【現代劇】マリアージュ・ブラン~嘘つき弁護士の愛の法則~全40話 40
風起隴西-SPY of Three Kingdoms-全24話 24
【現代劇】イジワルな君に恋をした~Sweet First Love~全24話 24
燕雲台-The Legend of Empress-全48話 48
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse最終話「終わらない伝説」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)が誘拐された。やきもきしながら一報を待つ旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)、すると捜索していた陳哨子(チンショウシ)が戻って来る。陳哨子は昶(チョウ)王府で監禁されている淑容妃を発見していた。しかし中には大勢の反乱軍がおり、淑容妃が身重のため下手に動けなかったという。「淑容妃は無事です、首謀者は索蘭(サクラン)王子でした」褚仲旭は自ら緹蘭を救出に向かうと決めた。陳哨子と穆徳慶(ボクトクケイ)は皇宮で待つよう諌めたが、褚仲旭は2度と妻を失えないという。そこで皇宮の指揮を陳哨子に任せ、意表をついて裏門から20人の精鋭だけ連れて出ることにした。褚仲旭はこれまで尽くしてくれた穆徳慶に別れを告げ、万一の時は財宝を持って故郷へ戻れという。しかし穆徳慶は最後まで皇帝に仕える覚悟だった。「陛下…私は長年、陛下のおそばで過ごし、故郷などとうに忘れてしまいました 帰る場所などありません」緹蘭の侍女・碧紫(ヘキシ)は注輦(チュウレン)王に命じられ、公主の情報を密かに送っていた。実は宮女が落とした薬に毒を入れたも碧紫だという。あの時、皇帝が懐妊した淑容妃を守るため愈安(ユアン)宮を禁足とした。注輦に知らせを送れなくなった碧紫は気が急き、毒騒ぎを起こせば皇帝が公主を移動させると考えたという。「信じられないかもしれませんが何もかも公主のためです! 公主を大徴(ダイチョウ)で最も尊い女性にすると言われて…それで王子に手を貸したのです まさか謀反のために公主を利用するなんて…」緹蘭は浅はかな碧紫に激高したが、今は逃げ道を探すことが先決だった。「…碧紫、まだ私の命に従う気はある?」碧紫は見張り番に公主が苦しんでいると訴えた。驚いた兵士が中へ入ると、碧紫が後ろから殴りつけて倒すことに成功する。しかし物音に気づいたもう1人の兵士が駆けつけた。緹蘭と碧紫は呆然、すると兵士は突然、矢に射られて死んでしまう。その時、驚いたことに褚仲旭が自ら緹蘭を助けにやって来た。「びーしゃあ?!」褚仲旭は緹蘭を馬車に乗せて皇宮へ急いだ。しかし反乱軍を率いた施霖(シリン)が現れ、道をふさぐ。実は施霖は注輦の人間、今日のためにこれまで屈辱に耐え忍んできたという。「旭帝よ、もう逃げられぬぞ…殺(シャー)っ!」褚仲旭はわずかな精鋭たちと反乱軍に応戦した。その時、白い影が飛び込んで来たかと思うと、敵を蹴散らして褚仲旭の隣に方鑑明(ホウカンメイ)が立つ。生きてたのかーい!>ʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ<ザワザワ…死んだはずの清海公(セイカイコウ)の姿にその場は騒然となった。すると馬車の中から緹蘭の悲鳴が聞こえる。「お急ぎください、ここは私が」方鑑明は施霖たちを引き受け、褚仲旭を先に逃した。↓\\\\٩( ‘ω’ )و ////バーン!褚仲旭は産気づいた緹蘭を民家に避難させた。しかし安心したのも束の間、索蘭率いる注輦軍が追いついてしまう。覚悟を決めた褚仲旭は穆徳慶と碧紫に緹蘭を任せ、戦いの渦へ飛び込んだ。わずかな精鋭たちが全滅、褚仲旭は孤軍奮闘した。やがて日も暮れる頃、民家から元気な産声が聞こえる。緹蘭は産後の身体を引きずりながら何とか外へ出たが、そこには致命傷を負って血まみれとなった褚仲旭がいた。驚いた緹蘭は褚仲旭に抱きつくと、褚仲旭は碧紫の腕に抱かれた元気そうな男の子に気づく。「…我らに…そっくりだ…」その時、索蘭はこの機に姉と子を奪えと命じた。褚仲旭は緹蘭を守ろうとしたが、緹蘭が身を挺してかばい、褚仲旭の代わりに刺されてしまう。「緹蘭?…緹蘭!!うわあぁぁぁぁーっ?!」その時、白い影が現れ、一瞬の隙に索蘭の首をかっ切った。方鑑明は一刻も早く褚仲旭を皇宮へ連れ帰ろうとした。しかし褚仲旭は絶命した緹蘭を離そうとしない。「緹蘭が言った…朕のいない世を生きるつもりはないと… もう疲れた…このまま何もしたくない…」すると褚仲旭は大徴の民と息子を方鑑明に託し、愛する緹蘭と一緒に旅立った。城門を死守していた張承謙(チョウショウケン)だったが、いよいよ限界に近づいていた。その時、夜空に照明弾が上がる。反乱軍を指揮していた湯乾自(トウカンジ)は後ろを振り返り、先頭を駆けてくる方海市(ホウハイシー)の姿に気づいて驚愕した。援軍の到着に気づいた張承謙は開門を指示、突撃を命じて援軍と合流する。海市たちは城外で反乱軍と交戦し、湯乾自を生捕りにして決着した。すると任勇(ジンユウ)が駆けつけ、城内の状況を報告する。「索蘭が死にました!しかし…淑容妃も争いの中でお亡くなりに…」海市は任勇から龍尾神の護符を受け取り、湯乾自を激しく責めた。「お前は索蘭と手を組み、緹蘭を死に追いやって天啓の民を不安にさせた!」その時、愛する緹蘭の死に絶望した湯乾自は兵士の長槍を握って自ら身体を突き刺し、自害した。緹蘭の子供は早産のせいか生まれつき身体が弱く、李(リ)侍医は長くは生きられないと診断した。一方、海市はようやく皇宮に駆けつけ、城門で待っていた穆徳慶から旭帝の崩御を知る。「陛下は淑容妃と旅立たれました、混乱と動揺を招かぬよう清海公がまだ内密にせよと… しかも清海公は皇子のため、再び柏奚(ハクケイ)の契りを結ばれたのです」海市は無我夢中で昭明宮に向かった。すると憔悴した方鑑明が寝台に寄りかかって座っている。「来てくれたのか…」海市は鑑明の隣に腰を下ろしたが、何も言えずにいた。「越(エツ)州には戻れない…皇子がお生まれになった…朝廷が不安定な今、正当な補佐が必要になる」「…斛珠(コクジュ)夫人として私が支えるわ」「優しいのだな」鑑明はしみじみ海市にもっと早く会いたかったと漏らした。「私が若い頃に出会えていたら…良かったのに…」「ある書物で読んだわ、この世界には並行する別の世界が存在していると… 別の世界では私たちは同じくらいの年でもっと早くに出会っているかもしれないわ」…別の世界にいる海市と鑑明は宮中で行われた投壺(トウコ)の試合で初めて出会った海市の投げた矢が鑑明の頭を直撃、負けず嫌いの2人は言い争いになってしまう初めこそ鑑明は海市に意地悪だったが、やがて互いを意識するようになり、年頃になると2人は婚姻を約束した…「そして私は何人か子供を産むの、2人で子供を育てゆっくり年老いて行く」「卓英(タクエイ)を忘れているぞ?」「忘れていないわ、この世界では私が年上だから…卓英には師娘(シジョウ)と呼ばせる」鑑明は出会いが遅くなったことを謝り、まだやり残したことがたくさんあると言った。しかし自分でもこれからどうなってしまうのか分からないという。「…海市、少し疲れた、眠らせてくれ」鑑明は横になり、愛する海市の膝枕で眠ることにした。「必ず起こしてくれ…長く眠らないように…」天享(テンキョウ)16年、大徴の順武(ジュンブ)帝が崩御、元号は景恒(ケイコウ)と改められた。忘れ形見となった皇子・惟允(イイン)は淳容(ジュンヨウ)妃を皇太后と呼んで敬っている。やがて順武皇帝は陵墓に葬られ、宗廟の前で大徴高祖の名が贈られた。一方、鵠庫(コクコ)では右王の額爾済(ガクジセイ)が病で逝去した。後継者の奪罕(ダツカン)は他部の帰順を受け入れ瀚(カン)州を統一、自ら渤拉哈汗(ボツラコウハン)と名乗る。″渤拉哈″とは黒いたてがみ″烏鬃(ウソウ)″を意味していた。奪還は早速、大徴と同盟を結びたいと書簡を届け、摂政である皇太后宛に直筆の文を送る。「そうだ、哥哥からひとつ知らせがある」実は方卓英はついに鞠柘榴(キクシャリュウ)と再会を果たしていた。それから5年が経った。惟允は母后がかつて龍尾神を天啓に呼んだと師匠から聞いたが、鮫が怖くなかったかと尋ねる。「鮫人のいるところには鮫が出没するとか、鮫は怒ると船まで噛んで壊すそうですね」「鮫は怖いわ、でも守りたい人がいたから仕方がなかったの」海市は惟允にも困難や危険に立ち向かい、自分の信念に従って民を守って欲しいという。すると惟允は師匠と同じ言葉だと笑った。「今から老師に会いに行きます、母后も一緒に行きましょう!」「老師はお身体の具合が悪い、独りで行きなさい」「以前より回復されました…母后が行けば老師も喜びますよ?」「そうね」その頃、昭明宮では仮面をつけた老師が満開の霽風の花をながめていた。完( ̄▽ ̄;)意地でも海市と師父を一緒にしないという執念だけは伝わったw何だかんだ言いながらも、いざ終わってみると寂しい〜(´・ω・)
2022.12.16
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第47話「卑劣な裏切り」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)はかつて涼薬を大量に飲んだ弊害から、時折、腹痛や出血が見られた。大事にはならずに済んだが、旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は早々と子を世継ぎにすると決め、すでに準備もできているという。「誕生を待って穆徳慶(ボクトクケイ)が宣言する手はずだ…女子とて即位できるぞ 嗣子(シシ)を立てたのち、そなたを皇后に冊立するつもりだ」そんなある日、索蘭(サクラン)が差し入れを持って緹蘭に会いに来た。索蘭は具合の悪い姉を心配し、天啓に祭祀も連れて来たので龍尾神の護身符を祈祷してはどうかと提案する。護身符を外したことがない緹蘭は困惑したが、弟の厚意を無下にできず護身符を預けた。一方、琅嬛(ロウケン)を送り届けた方海市(ホウハイシー)は越州の海沿いで適当な家を見つけ、方鑑明(ホウカンメイ)と腰を落ち着けた。まず2人で庭に霽風(セイフウ)花の種をまき、鑑明はこれから海市の夢をひとつずつ叶えると約束する。隠遁して初めて知る自由な生活、海市と鑑明は幸せな時間を過ごしていた。↓師父が笑っとるwそんなある夜、方鑑明は鳥文を読んでいる海市の姿を見つけた。「何を見ている?」「ぁ…何でもないの」「私に隠し事か?」すると海市はばつが悪そうに張承謙(チョウショウケン)からの知らせだと白状した。実は鑑明のこと、どこにいても皇帝が気がかりなはずだと考え、時々、皇帝の様子を知らせてくれるよう頼んだという。「あ、心配しないで、あなたのことも私の居場所も伝えていない…陛下はご無事よ」鑑明は海市の気遣いに感謝し、これで安心だと喜んだ。索蘭が居所に戻ると、密かに潜入していた湯乾自(トウカンジ)が現れた。「文の内容は本当ですか?」「姉の護身符を見ただろう?真実の証しとして龍尾神を私に託したのだ」索蘭は皇帝が昶(チョウ)王の件で注輦(チュウレン)を許せず、姉の懐妊も公にせずに禁足を命じていると吹き込んだ。実は姉の身体は青あざだらけで、数日前には出血もあったという。湯乾自はかつて皇帝が公主を冷遇していた時を知っているだけに、状況はさらに悲惨になったと誤解した。そこで索蘭は今こそ奮い立って姉を救わねばならないと煽り、ついに野心をあらわにする。「旭帝を亡き者にし、子を奪うのだ、産まれた子が即位すれば姉は摂政太后となる」↓マイケルェェェェ…翌日、索蘭は緹蘭を訪ね、祈祷したと嘘をついて龍尾神を返した。「そろそろ注輦に戻るよ、帰る前に挨拶に来る」その頃、暗衛営の陳哨子(チンショウシ)が黄泉営からの急報を受け、慌てて謁見した。「陛下、緊急のご報告が…黄泉関の主将・湯乾自が許可なく姿を消したそうです」実は湯乾自が病を装っていたため、10日も経ってから報告が届いたという。索蘭たち注輦の特使一行は帰途についた。一方、褚仲旭は天啓防衛を指揮する張承謙を呼び、黄泉営を出る際に不審な点がなかったか確認する。張承謙は賀尭(ガギョウ)将軍の教練中で異常はなかったと証言したが、そこへ第2報を受け取った陳哨子が駆けつけた。「陛下、詳細が判明しました、5日前に大勢が毒にあたり、湯乾自の側近が賀尭を軟禁 黄泉営にいた将兵を集めて天啓攻めを企てています!」驚いた褚仲旭は張承謙に城門を閉めて守りを固めるよう指示、陳哨子には鳩を飛ばして各州の刺史に援軍を要請するよう命じた。「陛下、あの方には…」「あやつは自由の身だ、知らせるな」しかし張承謙が密かに海市に鳩を放ってしまう。その夜、緹蘭は騒がしい音で目を覚ました。侍女・碧紫(ヘキシ)の話では反乱軍が侵攻、皇帝が兵を分けて防衛の配備をしているという。皇帝は自ら指揮を執り、今夜は戻らないと知らせが来ていた。一方、海市は張承謙から思わぬ密書を受け取った。何でも湯乾自一派が天啓に侵攻、突然のことで城内の兵は2万5千しかなく、皇帝は城門を封鎖して応戦する構えだという。方鑑明は越州の援軍を動かすのが手っ取り早いと気づき、海市と二手に分かれることにした。そこで海市が越州の軍営に向かうと決める。「湯乾自は聡明な人よ、権謀のために暴挙に出るとは思えない…恐らく淑容妃を想っての決断だわ」すると鑑明は自分の玉板指を海市の胸に掛け、海市と別れて天啓に急いだ。反乱軍の攻撃が始まった。張承謙は鉄壁の守りで城門を死守、褚仲旭はわずかな護衛を残し、兵馬を城門へ回す。「必要あれば朕も皆と共に戦う!」すると褚仲旭は穆徳慶に緹蘭を密室へ移すよう命じた。もし城門が破られても緹蘭だけは助け、万が一の時は緹蘭を連れて皇宮の外へ逃げろという。その頃、緹蘭の元に別の太監が駆けつけていた。実は皇帝の命で淑容妃を先に避難させるという。緹蘭は最後まで皇帝のそばにいると拒んだが、碧紫から子供を守るためだと説得された。すると道すがら突然、何者かに襲われ眠らされてしまう。穆徳慶が迎えに行った時には淑容妃と碧紫が消えていた。衛兵はすでに太監が迎えに来て避難したと報告、褚仲旭は激高する。すると緹蘭を連れ出した太監と衛兵たちは口封じに殺されたのか、皇宮の外れで亡骸が見つかった。翌朝、緹蘭は廃屋で目を覚ました。そばには碧紫が付き添っていたが、なぜか弟の索蘭が現れる。「ここは封鎖中の昶(チョウ)王府だ、身を隠すには最適だろう?」反乱軍を先導したのは索蘭だった。索蘭は湯乾自の姉への真心を利用して反乱を起こし、旭帝を誅して姉の子を大徴の皇帝に立たせるという。「…力と尊厳は自力で勝ち取るものよ?他人から奪うものじゃない! 索蘭、国を乗っ取れば罵声を浴びせられるだけ」「勝者は手段を問われない、それに反逆したのは湯乾自だ!注輦は何ら関係ない!」緹蘭は弟の裏切りに深く失望した。すると索蘭は例え姉が死を望んだとしても、子を産み落とすまで絶対に死なせないと脅す。「碧紫、姉上をしかと見張っておけ」「…はい」「索蘭、父上も知っているの?」「父上の命令に従ったまでだ」↓マイケルェェェェ…索蘭は施霖(シリン)の周到な計画のおかげで姉を宮中から脱出させることに成功した。精鋭兵100人を隠すのは容易でなかったが、封鎖されたばかりで誰も寄りつかない昶王府は絶好の潜伏場所となる。施霖はもはや大局は王子の手中だと喜ばせたが、その様子を密かに偵察する影があった。つづく( ๑≧ꇴ≦)大哥ぁぁぁぁ〜!いや知らんけどw
2022.12.09
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第46話「新たなる旅立ち」方鑑明(ホウカンメイ)は鮫人(コウジン)族の琅嬛(ロウケン)の血で解毒してもらうことになった。しかし琅嬛はまず皇帝との柏奚(ハクケイ)を解く必要があるという。褚仲旭(チョチュウキョク)は今からすぐ始めようと言ったが、方鑑明は柏奚を結んだ時と同じ時刻でなければならないと教えた。それから数日後の満月の夜、方鑑明はついに褚仲旭との柏奚を解くことに成功する。褚仲旭は長年、感じることのなかった痛みを思い出し、指から流れる血を見て生きていることを実感した。方海市(ホウハイシー)が琅嬛の血を持ってやって来た。鮫人の血はいかなる毒も排出できる妙薬だという。しかし流觴(リュウショウ)方氏は特殊な体質のため、鮫人の血を受け入れられるかどうか琅嬛にも分からなかった。方鑑明は琅嬛から聞いた話を正直に海市と褚仲旭に伝え、もし自分の血と琅嬛の血が相克すれば命を落とすと教える。「海市、こたびは隠さぬ…また心配をかけてすまない」すると鑑明は迷うことなく琅嬛の血を飲み干した。方鑑明は激しく血を吹き出し、倒れた。そして翌朝、天啓(テンケイ)に清海公(セイカイコウ)の訃報が告示される。その様子をちょうど城門に到着した馬車の窓からうかがう者がいた。朝議では清海公に流暢郡王の名と靖翼(セイヨク)の諡号が贈られ、位牌は廟堂に安置されることになった。また朝廷は3日ほど休廷、流暢の民は100日の喪に服す。主を失った霽風(セイフウ)館も昭明宮を出て古巣へ戻ることになり、早々に荷物を運び出した。海市は朝議を終えると、しばし師匠と過ごした昭明宮を散策した。実は昨夜、李(リ)侍医が意識を失って倒れた方鑑明を脈診したところ、体内の毒が消え、積年の傷まで全て消失していると分かる。褚仲旭は喜び、くれぐれも口外しないよう釘を刺して李侍医を下げた。『方海市、この機を逃すでないぞ…清海公がこの世を離れる時が来た』海市が鳳梧(ホウゴ)宮へ戻ると、寝所の物陰から方鑑明が現れた。固く抱き合う2人、しかし海市は今さらながら鑑明に多大な犠牲を払わせてしまったと自責の念に駆られる。清海公という身分を失い、霽風館を指揮することもできず、先祖が眠る朝堂に祭られることもない。しかし鑑明は海市のおかげで安らぎと幸せを得られたと感謝した。そこで海市は皇帝が自分たちの新しい戸籍を作り、越(エツ)州の官府に届けてくれたと報告する。鑑明は早速、皇帝から賜った手形を開いてみると、新しい名前は″霽諸(セイショ)″となっていた。翌日、誰もいなくなった昭明宮に方鑑明と褚仲旭の姿があった。鑑明は″死ぬ″前に取りに戻れなかった荷物があると話し、化粧箱の蓋をあけて微笑む。その中には海市との婚姻書が入っていた。すると褚仲旭は″方″と刺繍された香袋を見つけ、確かに不器用な海市の作だと笑う。「永遠の別れではない…数年してほとぼりがさめたら朕がお忍びで会いに行く」「はお」一方、海市は身重の緹蘭(テイラン)を気遣い、龍尾神を見送りに行くとしか伝えなかった。しかし緹蘭は海市が宮中に戻ってこないと気づく。「寂しくなるわ…でもあなたが想い人と結ばれることは嬉しい」緹蘭は海市のために作った龍尾神の護身符を贈った。「あなたは私の1番の友よ」「いつか必ずあなたとあなたの子に会いに来るわ」そして翌朝、皇帝と大臣に見送られ、淳容(ジュンヨウ)妃は天啓を出発した。こうして清海公と淳容妃は天啓から姿を消し、やがて人々の記憶からも消えて行くのだろう。方鑑明が去って褚仲旭は心に穴が空いたような寂しさに襲われた。それでも親友の幸せのため、手放すしかない。緹蘭は友を思う皇帝の真心に深く感銘を受け、これからは天が守ってくれると安心させた。「清海公には及びませんが、私とこの子はずっと陛下のおそばにいます」一方、海市は宿で一夜を過ごすことになった。いざ天啓を離れてみると寂しさが募る海市、すると別の馬車で到着した方鑑明が現れ、海市の好きな桂花糖を差し入れる。海市は貴重な菓子を少しずつ食べることにしたが、鑑明は越州にも支店があると教えた。「他にも酒やお気に入りの装飾品、絹の織物も越州で買える」実は鑑明は霽諸の名で海市の好きな店を買収、他にも手広く田畑や鉱山を買っていた。まだまだ秘密はあるが、少しずつ教えるという。海市は清貧に暮らせればいいと思っていたが、鑑明は頑なに拒んだ。「周幼度(シュウヨウド)の家は店を持っていたな…お前に酒をおごり、贈り物で喜ばせ、奇術まで見せた あの者ができるなら私もできるぞ、もっとすごいことだって……(๑•̀ㅂ•́)و✧」「負けず嫌いなのは知っていたけれど、周幼度と張り合うなんて…( ̄▽ ̄;)」海市は子供のような鑑明に呆れながらも、かつて皇帝から聞いた自由奔放な姿に戻ったことが何より嬉しかった。緹蘭は弟の索蘭(サクラン)と再会を果たした。弟は立派な後継者に成長、注輦(チュウレン)も自国で力をつけなければならないと考え、今後は姉を頼って大徴の庇護を得たりしないと約束する。「注輦を発展させ、必ずや姉上の支えになってみせるよ…(๑•̀ㅂ•́)و✧」一方、海市は無事に琅嬛を海へ帰した。海市の手を握った琅嬛は海市と方鑑明が結ばれたと知り安堵する。「また会いに来るわ」「待ってる」琅嬛は海原を自由に泳ぎ出し、やがて深海へ消えて行った。つづく(* ゚ェ゚)<ハッ!あなたたち…って琅嬛、何を見てしまったのか?!www
2022.12.09
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第45話「偽りの人生」方鑑明(ホウカンメイ)は方海市(ホウハイシー)を鳳梧(ホウゴ)宮へ送り届け、″目覚めたら来て欲しい″と伝言を託した。翌朝、海市は急いで昭明宮へ向かったが、呼ばれた理由は分からない。「なぜ起こしてくれなかったの?」すると玉苒(ギョクゼン)は清海(セイカイ)公から疲れている淳容(ジュンヨウ)妃を起こさぬよう申しつかったと釈明した。今日の昭明宮は人影もなく静かだった。涼亭で待っていた方鑑明は海市に好物の桂花糖を勧め、方卓英(ホウタクエイ)から届いた密報を見せる。海市は師匠の雰囲気がいつもと違うことに戸惑いなら、久しぶりに師兄の筆跡を目にした。…師父、先日、奪洛(ダツラク)が少ない兵馬で右部を奇襲しました…塔拉(トウラ)は私を救うため不幸にも命を落とすことに奪罕(ダツカン)はこの悲劇で部下たちの信用を失わぬよう、単騎で奪洛を草原へ連れ出し、決闘を申し込んだという。そして配下が見守る中、卓英は徒手で奪洛を屈服させ追放、ついに鵠庫(コクコ)統一を果たした。↓だからあえてこのカツラだったのか〜って(;╹⌓╹)ェェエエ工?!塔拉が死んだ?!褚季昶(チョキチョウ)の謀反は失敗、雷州諸部は大徴と同盟を結び、瀚(カン)州も落ち着いた。方鑑明は天下泰平の世が訪れたと実感し、ようやく海市に本心を打ち明ける。当時は自分の死後に昶王が海市を害するのではと恐れて慌てて入内させたが、もはや海市を傷つける者はいなくなった。今後、海市がどこで何をしようと皇帝が許してくれるという。実は皇帝は朝廷が安定したら柏奚(ハクケイ)を解いて鑑明が官職を辞すことも認めていた。「共に行っても良いか?…お前がどこで何をしようとお前のそばにいたい…」( ゚д゚)<はぁ?…あなた、私のそばにいたいの?って、なぜ?(๑•̀ㅂ•́)و✧<それはお前を愛しているからだ!鑑明は海市が救ってくれた命を無駄にしたくないと訴え、もう一度だけ機会が欲しいと懇願した。(・Д・)<もし嫌だと言ったら?( ̄◇ ̄;)<ぁ…手紙を出すよ…その~時々、会ってくれるだけで…(´゚艸゚)∴ブッ<方鑑明!そんなに簡単にあきらめるの?!海市はこの言葉をずっと待っていたと涙を流して喜んだ。そこで今後は隠し事をせず、決して2人は離れず、ずっと愛し合い子供を持ちたいという。鑑明は何でもすると約束したが、海市は全て書き記して署名して欲しいと笑った。「はお、では今すぐ書こう!」(* ゚ェ゚)え?…てっきりハイC、ちゃぶ台ひっくり返すんだとばかり…方鑑明と海市は手を取り合い、書斎に急いだ。そして鑑明は海市が見つめる前で誓いの書をしたため、完成させる。「あとは署名するだけね…」すると鑑明はいきなり海市を押し倒してしまう。「今生、絶対にお前を裏切らない」鑑明と海市は共に生きることを誓い、愛を確かめ合った。方鑑明が謁見した。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は幸せそうな鑑明の姿に安堵し、解毒が終わったら柏奚を解くという。「そして朕は清海公の訃報を公表し、方海市に密勅を下す 琅嬛(ロウケン)を送ったら現地に留まり、龍尾神と善行を積めとな そうすれば清海公と淳容妃はこの世の中からいなくなる」鑑明は皇帝の周到な準備に感謝したが、その一方で投獄された弟を心配していると分かった。実は褚季昶は気が触れたのか、牢でおかしな話ばかりしているという。机には昶王に厳罰を要求する上奏文が山積み、しかし褚仲旭は唯一の血族の命をどうしても奪えずにいた。注輦(チュウレン)の王子・索蘭(サクラン)が自ら故郷の果物を届けるため宮中にやって来た。肉親の情に苦しむ褚仲旭は索蘭をしばらく滞在させると決め、淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)に情勢が落ち着いたら再会させると伝える。「姐弟の絆に恵まれるのは良いことだ…幸運だな」緹蘭は昶王のことを思うと胸が痛んだが、必ず良い解決法が見つかるはずだと慰めた。「皇室に生まれたら兄弟の縁は薄いものなのだろう…」しかしそんな中、ある重大な事実が判明する。翌朝、皇帝に謁見した索蘭が思わぬ秘密を明かした。「牢にいる昶王は陛下の本当の弟ではありません!」( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)マイケルェェェェェ___昶王の謀反の件は注輦にもすぐ伝わっていた。するとそれを知った褚季昶の元使用人の男が酒に酔ってうっかり秘密を漏らしたという。実は褚季昶と大徴の皇帝は血族ではなく、本当の褚季昶は注輦に来て間もなく不慮の事故で水死していた。しかし当時、仕えていた女官が罰を恐れ、王宮の外でよく似た偽者を探して来て替え玉にしたという。報告を受けた注輦王は使用人を拷問にかけ詳細を問いただし、本物の褚季昶を埋葬した場所まで発見していた。褚季昶の遺骨と証人はすでに大徴に向かう道中だという。褚仲旭はにわかに信じられなかったが、索蘭が献上した供述書を確認し、怒りのあまり身体が震えた。褚季昶の牢に皇帝が現れた。褚季昶は兄にすがりついて命乞いしたが、褚仲旭はまるで他人を見るような冷たい目つきをしている。思えば儀(ギ)王の乱の時、褚李昶は注輦でこっそり皇兄に協力し、偽帝姫(テイキ)の件では命を惜しまず皇兄を救った。「そなたは言ったな…朕がそなたを大切にすれば、そなたも朕に尽くすと…」「一時の気の迷いからこんなことを…哥哥…哥哥ぁぁぁ…」「…だがそなたは朕の弟か?」すると褚仲旭は偽者の手を振り払って帰ってしまう。「哥哥…讒言を信じないでください!哥哥ぁぁぁ~!」褚仲旭は方鑑明と海市に供述書の真偽を尋ねた。冷静な鑑明は証言だけでは信じられないと考え、霽風(セイフウ)館で調査させるという。しかし海市がすぐ真偽が分かる方法があると進言した。海市は深夜、誰にも見られぬよう褚季昶を連れて琅嬛の浴槽を訪ねた。すると琅嬛が褚季昶の手を取り、記憶をたどる。『ごめんよ、お前を売らねば弟も妹も飢え死にしてしまう』『泣かないで母さん、僕は大丈夫…』『…家族の無事を願うなら何も問わないことだ 今日からお前は大徴から来た王子・季昶、大徴の風習や季昶殿下の性格と習慣は教える』琅嬛は残念そうに首を横に振った。海市は偽の昶王に毒酒を届けた。慈悲深い皇帝は偽者を完全な姿で逝かせてくれるという。しかし偽者は慈悲など偽善者の言い訳に過ぎないと冷笑し、高貴な身分にいれば自分や家族を守れると言った。「私も漁村で育ち、阿娘もただの漁民だった… でも阿娘は万民の幸福のため望んで命を捨てたわ あなたがもし九州を統一したとしても阿娘の高貴にはかなわない」「わははは~斛珠夫人よ、母を聖人とするような戯言はやめろ…理解できん」「あなたには分からない…分かる必要もないわ」海市は何とも虚しくなって牢をあとにすると、寝宮で方鑑明が待っていた。方鑑明は自分が代わりに行くべきだったと後悔した。すると海市はこの手で母の敵を討ちたかったという。しかし気が晴れるどころか、悲しく惨めな気分になったと吐露した。それにしても皇帝はなぜ激怒しながら秘して公表せず、公然と処刑しなかったのだろうか。鑑明はこれも全て淑容妃のためだと教えた。「この事案は熟考が必要だ 注輦王はとうに真相を知っていたのやも…だが紛争を恐れ、暴かずにいた可能性もある もし公にして調査しても、その結果が陛下の望むものとは限らない」「この件が注輦と関係するなら緹蘭の地位に影響するからなのね」皇帝は緹蘭と子供のために必死に怒りを抑えていた。「でも昶王の従者として共に注輦に行った湯乾自(トウカンジ)が…」「今は調べるな、陛下は時機を待つおつもりだ」海市は皇帝と師匠が実の兄弟のように理解し合っていることに感銘を受けた。「これから私は陛下よりもずっとあなたを理解し、どんな時も隣にいる、もう独りにさせない」「私もそばにいてお前を大切にして愛し、喜ばせる…他には何もない」謀反で逆賊を欺き功績を上げた黄泉営の将兵たちは朝議で褒章を賜った。軍侯・張承謙(チョウショウケン)は明威(メイイ)将軍に封じられ、海市を大哥と慕っていた任勇(ジンユウ)・肖武(ショウブ)・呉恙(ゴヨウ)・郭大成(カクダイセイ)は参軍に封じられる。 つづく( ๑≧ꇴ≦)あれ?郭大成が生きてた!wwwwwじゃあ葉母を護衛していた小郭って誰よ?!wそれにしてもここに来て大事な話がさらっと流されてる~
2022.12.04
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第44話「運命の分かれ道」葉(ヨウ)夫人は娘と再会できると知り、取るものも取りあえず天啓(テンケイ)へ出発した。するとその夜、宿泊先の部屋に暗衛営の郭大成(カクダイセイ)が現れる。郭大成は密かに兵士の部屋を調べ、兵士の荷物から昶(チョウ)王の令牌を見つけていた。「奴らは陛下の配下ではない、逃げましょう」しかし兵士たちに気づかれ、郭大成は殺されてしまう。翌朝、琅嬛(ロウケン)を連れて天啓へ急いでいた方海市(ホウハイシー)の前に刺客たちが現れた。海市は弓を構えたが、その時、敵の馬車の中から母が現れる。しかし葉母は娘の足手まといになりたくないと、刺客が突きつけた剣で自ら首を斬り自害した。海市はそんな母の思いを無駄にするまいと馬車を走らせ逃亡、やがて崖っぷちに追い込まれてしまう。その時、方鑑明(ホウカンメイ)が現れ、馬車に飛び移った。すると鑑明たちはそのまま崖から落下してしまう。褚季昶(チョキチョウ)はまたしても海市の暗殺に失敗したと聞いて激怒した。配下は突然のことで追いつけなかったと釈明、ただどちらにしてもあの高さから落ちれば2人とも命はないはずだという。すると施霖(シリン)が何にせよ明日の龍尾神の披露は失敗、これも皇帝が暴政を行った天罰だろうとなだめた。「その通りです」その声は黄泉営から戻った符義(フギ)だった。符義の話では奪洛(ダツラク)が右部と交戦中で黄泉関を攻める余裕がないという。奪洛が黄泉関を牽制できなければ褚季昶は不利になるが、符義は一緒に戻って来た暗衛営の張承謙(チョウショウケン)をすでに引き込んでいた。張承謙と鵠庫(コクコ)が通じていた証拠をでっち上げたところ、千両で寝返ったという。「私の腹心をそばに置いてあります、怪しい動きを見せれば即刻、始末します」しかも今回、黄泉営から率いて来たのは符義と湯乾自(トウカンジ)の配下ばかり、北府軍にも2万ほど符義の配下がいるため心配はないはずだ。特使たちも皇帝が龍尾神を招くことができなかったと知れば自分に味方するはず、褚季昶はそうなれば簒奪も容易だと安堵した。宴の夜、符義の副将は張承謙の配下を連れて城楼にいた陳哨子(チンショウシ)を捕らえた。「霽風(セイフウ)館が雷(ライ)州諸部の使者と結託し、謀反を企んでいると密告があった」「…忠告しておく、反逆の罪は重いぞ?」しかし多勢に無勢、陳哨子は連行されてしまう。一方、紫辰(シシン)殿では旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)が雷州諸部の特使たちを招き、歓迎の宴を開いていた。すると痺れを切らした尼華羅(ジカラ)の特使・吐昴薩(トコウサツ)が上奏、宴も半分を過ぎたのに龍尾神が現れないと訝しむ。何より前特使と副使の殺害について釈明もなく、もし龍尾神の話が嘘なら大徴(ダイチョウ)と開戦も辞さない覚悟だと訴えた。これをきっかけに他の特使たちも皇帝への不信感をあらわにする。頃合いを見計らっていた褚季昶は自分の太監に目配せ、そこで太監は大殿を出て回廊にいた張承謙に合図し、張承謙が照明弾を上げた。「張承謙が信号を放ちました」待機していた符義は兵士に号令、ついに謀反が動き出した。緊迫する紫宸殿に穆徳慶(ボクトクケイ)が駆けつけた。穆徳慶は皇帝に何やら耳打ち、すると褚季昶がいよいよ立ち上がり、皇兄を追い詰める。「陛下に徳があるなら龍尾神は必ず姿を現すでしょう、陛下、どうか龍尾神をお呼びください これ以上、使者たちを待たせられません(クスッ)」褚季昶はこれが運命の分かれ道だと気が付かなかった。「季昶よ…そんなに龍尾神に会いたいか?」褚仲旭は弟に最後の機会を与えたが、褚季昶は選択を誤ってしまう。「…本当に今、会いたいのだな?」「もちろん!」その頃、符義は計画通り兵士を引き連れ、宮中へ入った。褚仲旭は弟と特使たちを連れて奥殿にやって来た。殿内には巨大な箱が鎮座しているだけだったが、そこへ方鑑明と斛珠(コクジュ)夫人がやって来る。2人が死んだと思っていた褚季昶は呆然、何とか符義たちが間に合うことを祈るしかない。そんな弟の心を褚仲旭は見透かしていた。「季昶…待っても無駄だ、龍尾神の他には誰も現れぬぞ」( ゚Д゚)゚Д゚)゚Д゚)ジェットストリームポカーン一方、張承謙は自分の兵を引き連れ、何も知らずに宮道を進んで来た符義を足止めした。実は張承謙は自分を見張っていた符義の配下をあっけなく買収できたという。裏切られた符義はひとまず退くことにしたが、後方から陳哨子たちが現れ、挟み撃ちにされた。「シャァァァァァ(殺)!」海市は手のひらに清水をつけて鮫人の印を見せた。そしてその印を巨大な箱に押し当てると、驚いたことに水晶槽が明るく輝き、海水の中で泳ぐ琅嬛の姿が見える。龍尾神の姿を目の当たりにした特使たちは驚きのあまり言葉を失っていたが、やがて一斉にひざまずいて祈りを捧げ始めた。褚仲旭は特使たちを連れて紫宸殿に戻り、宴も無事、御開きになった。龍尾神の降臨はまさに大徴の瑞兆、しかし特使たちは龍尾神をすぐ海へ返して欲しいと嘆願する。雷州では海は民の暮らしの一部、龍尾神の庇護が不可欠だ。そこで褚仲旭は大徴との同盟を結び、今後一切、大徴を侵略しないよう約束させる。「背いた者は龍尾神の庇護を失うであろう」こうして雷州諸部は大徴と同盟を結び、褚季昶の思惑は外れた。動揺を隠せない褚季昶は早々に退散することにしたが、その時、海市がやって来る。「昶王殿下、そう慌てなくても…主役なのですから」すると捕縛された符義たちが連行された。褚仲旭は符義が皇宮に立ち入る前に改心していれば褚季昶を見逃すつもりだったと明かした。驚いた褚季昶はひざまずき、一時の気の迷いだったと命乞いする。しかし海市は昶王が策略を巡らせ特使と副使を殺したと明かした。こたびは龍尾神を襲撃、聖旨を捏造して母を誘拐し、兵を動かして皇位簒奪を企んだという。「証拠も物証も揃っています!たとえ慈悲深い陛下でも見逃すことはできないでしょう」海市は容赦なく褚季昶を追い詰めた。方鑑明は黙って悲しみに耐えている褚仲旭を心配していたが、追い打ちをかけるように尼華羅の特使が昶王の厳罰を嘆願する。すると褚仲旭は涙をこらえながら、昶王と加担した者たちを投獄するよう命じた。褚仲旭は長旅で疲れた琅嬛を海水で満たされた大きな浴槽に移した。すると琅嬛は海市に未生花(ビセイカ)を解毒できると教える。方鑑明は体力を消耗している琅嬛を気づかい、回復してから相談したいと遠慮した。「鮫珠粉で当分、持ち堪えられる」褚仲旭も大徴と民を守ってくれた琅嬛に深く感謝し、2度と危険な目には遭わせないと約束した。海市たちは琅嬛がゆっくり休めるよう早々に出ていった。すると鑑明が回廊で突然、海市を手刀で打ち、眠らせてしまう。「…何だ?!」「戻ってから不眠不休で食事もしていません、無理をさせれば私より先に死んでしまう… 先に送り届けて来ます」褚仲旭は鑑明の急な変化にいささか面食らった。しかしどうやらあの石頭もようやく気がついたらしい。つづく( ゚д゚)え?何だか視聴者が置いてきぼりになってる?w
2022.12.03
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第43話「うごめく陰謀」方海市(ホウハイシー)をかばって負傷した方鑑明(ホウカンメイ)。海市を襲った尼華羅(ジカラ)の副使はかつて鑑明を刺した子供と同じように毒で操られていた。意識が戻った鑑明は海市の無事を知って安堵したが、副使が死んだと聞くと表情が一変する。「陳哨子(チンショウシ)…紅木(コウボク)の箱を持って来い!」方鑑明は重い身体を引きずって皇帝に謁見した。副使が昭明(ショウメイ)宮で死んだと尼華羅に伝われば挙兵する口実を与えることになるだろう。「陛下、私の越(エツ)州行きをお許しください」鑑明は箱を差し出し、この中に雷(ライ)州諸部の弱みや交渉の要点を記してあると伝えた。雷州との諍いを海市は独りで収めるつもりなのだろう。鑑明は海市に自分と同じような生き方をさせたくないと訴え、まして自分の役割などもってのほかだと嘆いた。「愛する者には幸せになって欲しい…」すると旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は方鑑明から箱を受け取り、越州行きを認めた。「長旅に耐えられるよう李(リ)侍医の薬を飲んで眠っておけ」「はい陛下…」褚仲旭は脇殿に隠れていた淳容(ジュンヨウ)妃を呼んだ。すでに皇帝から師匠の病状を聞いた海市、これまで師匠に捨てられたとばかり思っていたが、実は守ってくれていたと知る。しかし師匠の願いを聞いてもなお海市は師匠を救い、万民を戦から守るため、龍尾神を天啓へ連れて来ると決意した。「急がなくては、直ちに越州へ向かいます」「方海市、鑑明なら李侍医の薬で数日は目を覚まさぬはずだ」海市は昭明(ショウメイ)宮に方鑑明を訪ねた。何も知らずぐっすり眠っている鑑明、海市は愛する人の頬に触れ、大きな手を握りしめる。「私に同じことをさせたくなかったのね、その苦しみを知っているから… あなたは民のため、陛下と国のため身を捧げてきたけれど、誰かがあなたのために動いたことはない だからこたびは私があなたのために動く あなたを守ってみせるわ、私の幸せはあなたと共にあるのだから…」すると海市は鑑明にそっと口づけした。副使の死で都はにわかに騒がしくなった。皇弟・褚季昶(チョキチョウ)はこれで尼華羅が兵を起こせば、龍尾神の披露も間に合わないと期待する。しかも方海市は重傷を負ったのか、鳳梧(ホウゴ)宮にこもりきりで護衛が増えていた。黄泉(コウセン)営では湯乾自(トウカンジ)が張承謙(チョウショウケン)と符義(フギ)に兵5万を与えて都に送ったという。「はお、符義が率いる兵馬は私のものとなる」厳戒態勢の愈安(ユアン)宮で思わぬ事件が起きた。実は淑容(シュクヨウ)妃の薬湯を運んでいた宮女がうっかりこぼしたところ、薬がかかった草が枯れたという。褚仲旭は緹蘭(テイラン)の安胎薬に毒が入っていたと聞いて愕然となった。しかし残りの薬にも薬に触れた者たちにも怪しい点は見つからないという。方鑑明が眠ってから多くの事が起きた。尼華羅の水軍が西南一帯に達し戦況は一触即発、また天啓には諸部の使者が次々と到着して緊迫している。しかも宮中では淑容妃と子を害する者まで現れた。褚仲旭は鑑明の寝顔を眺めながら、目を覚まして方海市を越州に行かせたと知れば鑑明がさぞ怒るだろうとぼやく。その夜、緹蘭は安全のため皇帝の寝宮に移った。「緹蘭…幼い頃から私の好んだ物や心を許した人々は皆、私の元から消えて行く…」「ならば私が陛下の散らぬ朝雲、砕けぬ瑠璃になりましょう」海市は越州行きを悟られないよう寝宮に自分の替え玉を置いて出発、秘密裏に越州へ到着した。そこで鮫人の印がある右手を海水に浸けると、やがて海底から琅嬛(ロウケン)が現れる。琅嬛は海市の手を握り締め、これまでの海市の記憶をたどった。すると琅嬛は海市と鑑明の深い愛情と悲しみを知り、思わず涙を流す。「海市、よく耐えてきたわね…あなたと天啓に行くわ 私が行くことで戦乱を避けられるなら、あなたの力になる意義がある」感激した海市は琅嬛の恩にどう報いれば良いか分からなかったが、必ず守ってみせると誓った。注輦(チュウレン)の新たな特使は淑容妃の弟・索蘭(サクラン)だった。索蘭は叔父・蒲由馬(ホユウバ)が罪を犯した件で謝罪に来たと話し、どう処罰されても注輦は遺恨を残さないという。すると褚仲旭は緹蘭との再会を引き伸ばすため、初めて来訪した王子のため大臣に各地を案内させると言った。その夜、褚仲旭は緹蘭に弟が特使として来朝したと教えた。しかし緹蘭は会いたいような会いたくないような複雑な気持ちだという。確かに弟とは宮中で仲良く過ごしていたが、それは幼い頃だけのこと、注輦で唯一の後継者である索蘭は多くの物を背負っているはずだ。父王は索蘭に非常に厳格だったという。緹蘭は弟と再会して思い出話ができたらと思う反面、今の互いの身分では不都合が生まれることも分かっていた。「姉として会えばいいのか、使者の引見なのか…失望するくらいなら会わない方がましです」褚仲旭と緹蘭は共に離れ離れになった弟との難しい関係を共有し、全て杞憂に終わることを願った。海市の母の家に天啓から兵士がやって来た。葉夫人の護衛・郭大成(カクタイセイ)は聖旨を見て驚き、慌てて葉夫人に知らせる。「君命である…斛珠夫人・方海市は被災民救済で功を上げた 母を思う夫人の心情をおもんばかり、大徴軍を迎えに遣わす、天啓にて再会を果たされよ」すると兵士はこれからすぐ出発すると急かした。方鑑明は海市が自分の柏奚(ハクエイ)となり、喀血して倒れる夢を見た。「海市!」飛び起きた鑑明は実は李侍医の薬で数日、眠り続けていたと知る。配下は陳哨子が淳容妃を迎えに行ったと話し、預かっていた密書を差し出した。「目覚めたらすぐお渡しするようにと…」一方、海市は琅嬛を連れて帰路に着いた。皇帝は琅嬛のため海底で集めた黒檀(コクタン)で特製の車を作り、桐油(トウユ)を塗っているおかげで3年間は海水を入れ替えずとも水質が保てるという。しかし道中、海市は自分たちに付きまとう鷹に気づいた。「なるべく早く天啓に戻ろう!」方鑑明は皇帝に謁見、海市を越州に行かせた褚仲旭を非難した。「志願するように仕向けたのですね?!海市の母を盾にするなんて!」「何の話だ?」褚仲旭が困惑すると、鑑明は罠だと気づいた。「陛下ではないのか…」すると鑑明は褚仲旭が事情を聞く間も無く、暗影団を連れて皇宮を飛び出した。つづく( ゚д゚)索蘭が…何だかマイケ…ゲフンゲフン↓ラスト5時間だけ半額!ラスト5時間→1,870円(11/26 21:00 -- 11/27 01:59)大判ストール 秋 冬 秋冬 ウールたっち マフラーよりストール派 巻き方いろいろ【大判ルーシーストール】羽織にも出来る価格:1870円(税込、送料無料) (2022/11/26時点)楽天で購入
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第42話「狙われた命」愛する方海市(ホウハイシー)の幸せを願い、冷たく突き放す方鑑明(ホウカンメイ)。師匠の命がわずかだと知らない海市は深く傷つき、昭明宮を早々に出て行った。陳哨子(チンショウシ)は淳容(ジュンヨウ)妃の好物の菓子を差し入れに来たが、すでに帰ってしまったと知る。「今度また来た時に作りましょう」「もう来るまい」すると鑑明は黙々と涼亭を片付けた。一方、瀚(カン)州では鞠柘榴(キクシャリュウ)が右菩敦(ウホトン)王・額爾済(ガクジセイ)の娘・塔拉(トウラ)から頼まれた奪罕(ダツカン)の衣を仕立てていた。かつて自分の手で測った方卓英(ホウタクエイ)の寸法、今でも昨日のことのように覚えている。柘榴は卓英との幸せな時間を思い出しながら、心を込めてひと針ひと針、縫った。塔拉が衣装店に衣を受け取りにやって来た。見事な出来栄えに感激する塔拉、すると蘇姨(ソイ)はなぜ中州の衣を贈るのか尋ねる。すると塔拉は少し寂しそうに奪罕には想い人がいると吐露した。「大徴(ダイチョウ)にいる人だから瀚州には来られないのでしょうね 彼はよく中州の方をながめながら浮かぬ顔をしている… そんな姿を見るのが忍びなくて、何かしたいけれど方法がないの でもこの衣を受け取ったら笑顔になるはずよ、ありがとう!」柘榴は工房で塔拉の話を聞きながら、愛する人との再会が叶わぬ運命に独り涙した。右部で盛大に奪罕と塔拉の婚儀が開かれた。額爾済は甥に愛娘を託して一安心、これで奪罕が草原の王だと認める。しかし密かに塔拉を想っていた将軍・魯爾丹(ロジタン)だけはやけ酒で気を紛らわしていた。奪罕と塔拉は床入りの儀を迎えた。どこかぎこちない2人、すると塔拉が奪罕のために準備しておいた衣を贈る。奪罕は衣を気に入ったが、結局、塔拉を独り残して出て行った。「今日は疲れただろう、早く休め」一方、2人の婚姻を知った褚季昶(チョキチョウ)は憤慨していた。思いがけず厄介な存在となった奪罕、しかしこのまま左王の奪洛(ダツラク)が黙っているとも思えない。「夏までにはまだ時間がある…最後に誰が勝つかはまだ分からぬ」雷(ライ)州諸部はすでに天啓(テンケイ)に向けて使者を派遣、各部の船が次々と涂潦(チョロウ)海に入った。近日中にも西南の各港に着くだろう。しかし西南は干ばつを経たばかり、そこで旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は民心を安定させるため都の10万の兵を駐屯させると決めた。大臣たちは都の守備が手薄になるため黄泉(コウセン)営から兵を動かしてはどうかと進言したが、黄泉営は西南から遠く、皇帝は兵を動かす時間と労力の無駄だと反対する。そこで方鑑明は黄泉営の5万の兵を天啓の守備に戻せばいいと進言した。方鑑明は警備を再編成し、左衛の大半の兵を移動することになった。そこで敵に付け込む隙を与えぬよう各将軍に万全の準備を命じ、ようやく昭明宮へ戻る。すると書斎で海市が待っていた。留守の間に海市が何か見つけのではと気になる鑑明、しかし海市は雷州に関する書を見ていただけだという。実は海市は薬瓶に入った鮫珠を見つけたが、黙っていた。「また私が来るとは思わなかったでしょう? …実は師父が教えてくれた言葉を思い出したの、″天下の利を受ける者は災いも担う″ 民のため雷州の問題を解決することが最重要、だから師父が何を恐れようと来たいから来たわ」海市は雷州諸部の使者の船が出航したと知り、この機に何者かが戦を仕掛けるのではと警戒した。そのため急いで龍尾神の使者として遊説に出たいという。方鑑明は反対しようとしたが、その時、陳哨子が急報を知らせに駆けつけた。何でも尼華羅(ジカラ)の特使・波南那掲(ハナンナケイ)と注輦(チュウレン)の特使・蒲由馬(ホユウバ)が駅館から逃げ出し、行方不明だという。褚季昶は故郷が恋しいだろうと蒲由馬に注輦の菓子を差し入れていた。すると菓子の中から密書が現れる。…波南那掲を駅館から会仙(カイセン)楼へ連れ出せ…蒲由馬は酒に目がない波南那掲をそそのかし、中原の衣に着替えて塀から脱出していた。方鑑明は騒ぎにならないよう暗衛営に使者たちの捜索を任せた。すると会仙楼で泥酔している蒲由馬を発見する。蒲由馬は初めこそ波南那掲の行き先を知らないとごまかしたが、陳哨子から追及されて外へ出て行ったと教えた。そこで衛兵が裏庭へ出ると、刺客に刺されて井戸に落下した波南那掲を発見する。一報を聞いた海市は愈安(ユアン)宮で休んでいる皇帝に知らせることにした。しかし愈安宮には誰も入れないと門衛に止められてしまう。「急用なの、陛下は私の出入りは認めていたはずよ?」褚仲旭は淳容妃が足止めされたと聞いて驚いた。「波南那掲に関わることだ、なぜ通さなかった?! 伝えよ、淳容妃の拝謁願いはすぐ伝えろと!行くぞ!」海市は身重の緹蘭(テイラン)を気遣い、事が済めば皇帝も戻ると安心させて出て行った。しかし侍女・碧紫(ヘキシ)は淳容妃が皇帝を連れて行ってしまったと誤解、不満を漏らす。緹蘭は皇帝と海市の本当の関係を伝える事ができず、ただ碧紫を戒めることしかできなかった。波南那掲は一命を取り留めた。しかし侍医の話では目覚めるのがいつになるか分からないという。「4日後になるか、あるいは数月後かもしれません」すると方鑑明は刺客が現場に何の痕跡も残していないことから、何か裏があると疑った。恐らく大徴と尼華羅の紛争をそそのかす者がいるのだろう。そこで褚仲旭は鑑明と海市と一緒に一芝居うつことにした。翌朝の朝議、尼華羅の副使は波南那掲が刺客に暗殺されたと聞き及び、まだ遺体も見ていないと抗議した。そこで蒲由馬はひざまずき、先の謁見で皇帝の機嫌を損ねてしまったせいで暗殺されたと証言、自分も死を賜りたいと嘆願する。しかし方鑑明が調査の結果、蒲由馬が波南那掲を騙して会仙楼に連れて行ったと報告した。蒲由馬は波南那掲が泥酔するのを待ち暗い裏庭に行くよう誘導、待機していた刺客に襲われたという。「裏庭を指差しているお前を給仕が見ていた、衣を2着、盗んだことも分かっている」「波南那掲大人に厠の方向を教えただけだ、波南那掲大人が会仙楼に連れて行けと頼んだ!」すると副使が嘘だと反発した。確かに特使は酒が好きだが駅館にも美酒が揃っており、何より酒のために掟を破るような人ではないという。「そこまでだ、ここで言い争っても何もならぬ」褚仲旭は波南那掲が目覚めたら真相を聞けばいいとなだめた。波南那掲は生きていた。皇帝の話では龍尾神の使いである斛珠(コクジュ)夫人が祈祷したおかげで一命を取り留めたという。蒲由馬は井戸から引き上げられた波南那掲に息がなかったと聞いて死んだと思い込み、馬脚をあらわした。そこで方鑑明は蒲由馬を投獄して調べるべきだと上奏する。驚いた蒲由馬は思わず昶王に濡れ衣だと泣きついた。褚季昶は冷静を装い、蒲由馬をひとまず駅館で禁足にして波南那掲の意識が戻ってから調査するよう嘆願する。仕方なく褚仲旭は弟の顔を立てて認めたが、注輦から新しい特使を派遣させねばならなかった。すると海市が夏まで駅館の守備を強化すべきだと諫言する。方鑑明はすかさず雷州に詳しい昶王に任せてはどうかと上奏、褚仲旭もこれを認めた。方鑑明が昭明宮に戻ると陳哨子が待っていた。そこで今回の件に関係している昶王と蒲由馬を見張るよう命じる。「拝命します…公爺、淳容妃が副使を連れて波南那掲の見舞いに来ています 様子を見に行かれては?」「いや必要ない」鑑明は一度は書斎に戻ろうとしたが、ふと嫌な予感がして足を止めた。その頃、海市は見舞いを終えた副使を見送ることにした。すると回廊で急に副使が胸を押さえて苦しみだし、倒れてしまう。海市は玉苒(ギョクゼン)に侍医を呼びに行かせて副使の様子を見ようとしたが、その時、副使が急に短刀を取り出して襲いかかった。しかし危ないところで方鑑明が駆けつける。「師父っ?!」鑑明は海市をかばって斬られながらも副使を退けたが、そのまま意識を失った。方鑑明は昏睡した。駆けつけた皇帝と侍医の話を聞いていた海市はようやく師匠が毒に侵されていると知る。「毒とは何ですか?一体、どういうこと?」つづく(* ゚ェ゚)師父が何かカッコいい良いこと言ってたけど…端折ったわw
2022.11.25
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第41話「苦肉の策」旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は金価の件で特使と引見するため偏殿へ向かった。すると穆徳慶(ボクトクケイ)がその前に李(リ)侍医から急ぎの報告があると引き止める。李侍医は先日の清海公(セイカイコウ)の脈診では言い出せなかったが、やはり皇帝には事実を伝えるべきだと思い直していた。実は清海公は毒の影響を抑え切れておらず、血液の中にも毒が入り込んでいるという。鮫珠(コウジュ)を使い切って効果が薄れてくれば、もはや仙人でも救えなくなるだろう。「グッ…残された時は?」「鮫珠がなくなった時が最期の時かと…」その時、偶然にも方海市(ホウハイシー)がやって来た。海市は金価の件で力になりたいと上奏した。そこで褚仲旭は特使との面談に海市を連れて行くことにする。偏殿ではすでに尼華羅(ジカラ)の特使・波南那掲(ハナンナケイ)と注輦(チュウレン)の特使・蒲由馬(ホユウバ)が待っていた。2人は金を放出して暴落させた大徴を厳しく非難し、雷(ライ)州諸部と南疆(ナンキョウ)の部族が大損害を被っていると訴える。すると褚仲旭は夏に諸部の使者が天啓に集う時、龍尾神を見に来るよう勧めた。「瑞兆である龍尾神を迎えれば大徴は繁栄する」大使たちはにわかに信じられなかったが、それ以上、口出しできなかった。褚仲旭は雷州諸部が崇める鮫人を利用して騒ぎを収束させようと考えた。そこで海市に龍尾神を天啓へ呼ぶよう命じたが、海市は例え厳罰に処されても応じられないという。「陛下、龍尾神などいないのです、雷州一帯では確かに鮫人を龍尾神として崇めます それは鮫人が鮫から民を守ってくれるからです、でも鮫人は神ではない ただ私たちと違って海水の中で暮らしているだけです、海水を離れたら死んでしまう 皇宮に向かう途中で琅嬛(ロウケン)が死んでしまったら何と説明を?!」方鑑明(ホウカンメイ)も淳容妃の言う通りだと反対、別の案を考えるよう進言した。しかしこれが鑑明を救う唯一の方法だと信じる褚仲旭は勅命だと脅し、出て行ってしまう。その夜、褚仲旭は愈安(ユアン)宮に淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)を訪ねた。緹蘭は自分を守るように盟友を守ろうと苦悩する皇帝に寄り添い、素直な気持ちを口に出してはどうかと進言する。「分かってくれます」「…また話してみよう」実は緹蘭は今回、蒲由馬の謁見を断っていた。褚仲旭も緹蘭が身重だと知ればまた何か企むかもしれないと警戒、会わない方が良いという。緹蘭は皇帝が外套を忘れて行ったことに気づき、すぐ届けるよう命じた。するとしばらくして宮女が碧紫(ヘキシ)に届けたことを報告に来たが、思わぬ不安を口にする。「実は陛下が鳳梧(ホウゴ)宮の前でずっとお待ちになっていました 陛下は昼間、淳容妃に激怒したそうです…姐姐、万一、陛下が淳容妃に心変わりしたら…」驚いた碧紫は口は災いの元だとたしなめ、他言無用だと釘を刺した。海市が愈安宮にやって来た。久しぶりに会った緹蘭のお腹はすっかり大きくなっている。「西平港(セイヘイコウ)の土産を今、医官院で検査させているわ、あとで取って来てくれる?」「分かりました」碧紫は早速、出かけることにしたが、ちょうど門前で皇帝の輿と出くわした。「今、淳容妃とお話ししています」すると皇帝は出直すと言って帰ってしまう。海市は緹蘭に雷州の民にとって龍尾神とはそこまで大事なのかと聞いた。緹蘭の話では龍尾神は雷州で至高の神であり、首に掛けている龍尾神の飾りは王族の印だという。「護身符として全員が肌身離さず持っているの、龍尾神は私たちの守り神なのよ」すると緹蘭は龍尾神の使者とされる海市が我が子を守ってくれたら嬉しいと笑った。妻となり愛する人の子を宿した緹蘭、海市は自分が手に入れられなかった幸せを目の当たりにして感傷的になってしまう。「海市?…どうかした?」「何でもない」そこへ碧紫が淳容妃からの土産を運んできた。海市は土産の説明をしながら緹蘭の大きなお腹に手を当てたが、驚いたことに子が動く。「陛下が話しかけても動かないのに…あなたのことが好きなのね、縁があるんだわ」「…私にとって今日は一番、幸せな日かも」海市はその足で昭明宮に師匠を訪ねた。やはり恩人である琅嬛を危険な目に遭わせることはできず、その代わり龍尾神の使者である自分が雷州へ赴き、遊説して取り決めを交わすのはどうかという。方鑑明は海市に危険を冒させるつもりはないと反対したが、海市はすでに決意を固めていた。ただし皇帝を説得するためにはどうしても師匠の協力が必要だという。すると鑑明は身体が辛くなり、咄嗟にまた出直して欲しいと頼んだ。瀚(カン)州にある鞠柘榴(キクシャリュウ)の衣装店に再び右王の娘・塔拉(トウラ)がやって来た。塔拉は婚姻のしきたりで夫となる奪罕(ダツカン)に衣を贈るため、大徴の殿方用の衣を仕立てて欲しいという。奥で話を聞いていた柘榴は激しく動揺し、思わず涙があふれた。すると蘇姨(ソイ)が現れる。「断ってもいいんですよ?お辛いでしょう?」「…あの人のために衣を仕立てられるのはこれが最後になるわ」鞠柘榴は笑顔を見せた。そこで蘇姨は店に戻り、王女の結婚ならお祝いとして衣を贈ると伝えた。翌朝、海市は改めて昭明宮を訪ねた。すると方鑑明は雷州についてゆっくり話せるよう、涼亭に席を設けたという。中庭には霽風(セイフウ)花の木が美しく花を咲かせていた。方鑑明は海市の希望通り雷州の習慣や政局について説明を始めた。しかし海市はふと昔もこうして師匠の講義を聞いていたことを思い出し、集中できない。その時、鑑明は上の空の淳容妃に気づき、ここまでにすると言った。「…師父は毎日、昭明宮にいらっしゃるからいつでも質問に来られる 私たちに残された月日は長い、そう思うと集中が途切れました」「月日が長い?…今日はここまでに」すると鑑明は急に席を立った。海市は慌てて師匠を怒らせてしまったのかと聞いたが、鑑明は誤解だという。「先ほどの淳容妃のお言葉で気付かされました 淳容妃は皇帝の妃であり幼い子供ではない、今後の月日は長く、私はずっとそばにいられないと」「皇帝の妃と朝臣はこうして話すことさえ許されないと?」「そうです…あらぬ噂を立てられます」本当の理由を知らない海市は深く失望し、結局、師匠にとって大事なのは自分の名誉なのかと言い捨て帰ってしまう。つづく(  ̄꒳ ̄)そろそろ佳境に入ってもいいはずだけど…で、どうしたいんだろう?w
2022.11.19
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第40話斛珠(コクジュ)夫人は雨に濡れたせいか風邪を引いた。するとその夜、密かに方鑑明(ホウカンメイ)が海市(ハイシー)の様子を見にやって来る。机には風邪薬が置いてあった。鑑明は眠っている海市の脈を診て立ち去ろうとしたが、その時、海市が手をつかんで引き止める。「病になればきっと会いに来てくれると思ったわ…安心して、目は開けない、夢だと思うことにする」そこで海市は西平港(セイヘイコウ)刺史・劉昌平(リュウショウヘイ)と百里塬(ヒャクリゲン)の処遇について意見を求めた。鑑明は一部始終を明らかにして減刑を検討するよう助言し、皇帝も情状酌量を認めてくれるという。…あなたへの想いを断ち切らせたいなら冷たくすればいいのに、これじゃ諦められない…方鑑明は海市が救済の任を果たすまで遠くから静かに見守ることにした。そんな鑑明の深い愛情の中、海市は被災民のために炊き出し所に立ち、ついに米売却問題について結審の日を迎える。「劉昌平と百里塬による米売却について調べがついた 被災民を救うための行為であり、横領とは一線を画す…だが法を犯したことに変わりはない、 劉昌平は減棒3年、売却分の米を全て返還するように、その他の官吏は減棒1年とする 百里塬、海上通商の許可証を3年、役所預かりとする、しかし家名に恥じぬ行いだった」死罪に相当する罪を犯した劉昌平は寛大な措置に戸惑ったが、海市は巡回の印を持つ自分の言葉は皇帝の言葉であり、これが皇帝の裁定だと言った。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は淳容(ジュンヨウ)妃の見事な処断を知って大喜びだった。しかし方鑑明は表に出ることもなく、一体どうするつもりなのか。すると司庫監の呉(ゴ)主事が切羽詰まった様子で謁見した。皇帝の命により国庫の財貨を放出して修築に使ったが、そのせいで金が暴落しているという。世の金の8割は中州産だが実際に市場に流通しているのは銅で金の大半は国庫にあった。さらに皇帝が地方の収める銅銭を雷(ライ)州諸部で金に換えるよう命じたため、金は暴騰する。金商人は銭を借りて金を買い東陸(トウリク)で売りさばいていたが、暴落で元手まで失い、自害する者まで出ていた。「金価の安定を図り、恐慌を防いでください!」「金商人の対処をせよ、朕に考えがある」海市は西南一帯の被災民の庇護に尽力していたが、皇帝から呼び戻された。居北(キョホク)鎮には斛珠夫人を見送りたいと多くの被災民が駆けつけ、西南の恩人に感謝の声を上げる。その様子を遠目から方鑑明が見ていた。…″方海市″という私人から大徴(ダイチョウ)の斛珠夫人となったのだな…一方、鞠柘榴(キクシャリュウ)と蘇姨(ソイ)は瀚(カン)州の外れに衣装店を出し、老庄を介して右菩敦(ウホトン)王・額爾済(ガクジセイ)に情報を送る任務についていた。そんなある日、衣装店に右王の娘・塔拉(トウラ)がやって来る。塔拉は店主の蘇姨に大徴の衣が見たいと頼んだが、警護の将軍・魯爾丹(ロジタン)は大徴の衣はつまらないと言った。しかし塔拉は奪罕(ダツカン)から大徴に最上の刺繍師がいたと聞いたという。奥の部屋にいた柘榴は方卓英(ホウタクエイ)が今も自分を覚えていると知り、自然と笑みがこぼれた。その頃、奪罕は奪洛(ダツラク)から迦満(カマン)人を助けるため、右王に兵権を借りたいと嘆願していた。右王は迦満人のために左部と戦うわけにいかないと反対していたが、奪罕の熱意にほだされ、ある条件を出す。「私の娘を妻にしろ」そこで右王は左部の間者から届いた刺繍の密書を渡した。明日の昼前、奪洛が蘭茲(ランシ)に最終攻撃をかけるが、これが好機になる。「もし塔拉を娶るならお前の考えを支持しよう、夜になる前に答えをくれ」方卓英は刺繍の密書に困惑した。まさか鞠柘榴なのか。しかし他界して半年、柘榴のはずがない。草原の湖畔で独り悶々とする卓英、すると縁談を知った塔拉が走って来た。「奪罕哥哥?…私のことで悩んでいるの?」塔拉は奪罕がいつも寂しそうに中州の方を見ていることから、想い人が中州にいると気づいていたという。「私は平気よ、奪罕哥哥の思うようにして 婚姻しても想い人を忘れる必要ない、いつか心の片隅に私の居場所ができるのを待つわ」「…ありがとう」塔拉は迦満人が奪罕を助けてくれたおかげで出会えたと感謝し、恩返しすべきだと理解を示した。斛珠夫人は無事に帰京した。しかし大街で早々に身を投げた金商人に出会してしまう。すると密かに見守っていた方鑑明が慌てて駆けつけた。海市はこれを機に清海公(セイカイコウ)に宮中までの護衛を頼み、わずかな時間ながら堂々と鑑明をそばに置くことが叶う。…顔色が悪いわ、ますます痩せているけど、なぜかしら?…鳳梧(ホウゴ)宮に戻った海市は霽風(セイフウ)館から密かに侍医を呼んだ。聞けば侍医は昶(チョウ)王の誕生祝いで毒にあたった清海公を脈診して以来、清海公を一度も診ていないという。何でも清海公自身が脈診を断り、その理由も侍医には分からなかった。褚仲旭は無事に帰って来た方鑑明の姿に安堵していた。しかし未だ未生花(ビセイカ)の解毒薬が見つからず、李侍医への怒りが爆発する。鑑明は侍医の責任ではないとなだめたが、実は李侍医は皇帝を恐れて清海公の本当の病状を言えずにいた。褚仲旭は方鑑明が留守の間、ある策を思いついていた。鑑明を助けられるのは龍尾神のみ、そこで深海に住む鮫人(コウジン)を天啓まで連れてくるという。しかし鮫海(コウハイ)を捜索させてみても鮫人の影すら見えず、鮫に食われて犠牲者まで出していた。「方海市なしでは鮫人を探せまい」「解毒しうるという話は推測に過ぎません、捜索はあきらめてください」鑑明は海市が毒の件を知った末に鮫人に解毒の力がなかったとなれば辛くなるだけだと訴えた。「賭けには乗れません」「そこまで大事なら海市のために生きろ!」褚仲旭は愛するものを失った悲しみは自分の方が良く分かると言った。「猶予をやろう、だが良い策が見つからねば放念することはできぬ」方鑑明が昭明宮に戻ると陳哨子(チンショウシ)が大公子からの密書を届けた。…師父、左王奪洛は迦満攻略をもくろみ、激しい抵抗に遭って瀚州の勢力が変化しました…私は叔父の信頼を得て軍を預かり、奪洛の隙をついて左部を蘭茲から放逐、迦満と盟約を結びました…師父と海市と離れ長い時が経ちますがお元気でしょうか…いつの日かまた再会できることを願っていますまたも海市の暗殺に失敗した褚季昶(チョキチョウ)、すると皇帝が朝議に斛珠夫人を呼んだ。慣例では后妃の参政は許されないが、大功を上げた海市に巡回の印を正式に授与し、政への参与を認めるという。大臣たちからは当然、反対の声が出たが、褚仲旭はそもそも淳容妃を救済に行かせたのは大臣たちのはずだと揚げ足を取った。「方海市は男どもより有能であると証明された」すると西南での斛珠夫人の評判を聞いた大臣が妥当な判断だと上奏、昶王派の大臣たちの声はかき消されてしまう。海市は巡回の印を賜り、朝堂から下がった。しかし依然、金価の問題は解決されず、各地で不安が噴出している。各部の使者が天啓に向かっており、自害した死者の家族も謁見を求めていた。方鑑明はひとまず各使者たちの来意を確かめるのが先だと進言、そこで褚仲旭は偏殿で各部の使者と引見すると決める。つづく(  ̄꒳ ̄)師父の健診…否、献身
2022.11.18
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第39話「奇跡の雨」飢饉に見舞われた西南。西平(セイヘイ)港刺史・劉昌平(リュウショウヘイ)は朝廷に援助を上奏していたが、なぜか食糧ではなく斛珠(コクジュ)夫人がやって来た。西平港商会会長・百里塬(ヒャクリゲン)は女子に救済役など務まらないと高を括っていたが、淳容(ジュンヨウ)妃方(ホウ)氏と言えば前左菩敦(サホトン)王を仕留めた凄腕、劉昌平は見抜かれやしないかと気を引き締める。すると海市(ハイシー)は早速、百里塬の自尊心をくすぐった。「″百里″とは宛州南淮(エンシュウナンワイ)の百里氏か?」「さようです、よくご存知で…ですが百里氏は衰退し、今ではその話をする者もおりません」「方氏も百里氏も名門ゆえ当然、知っている、かつて先祖たちは交流もあっただろう」おだてられた百里塬は上機嫌だったが、劉昌平はやはり侮れない相手だと警戒した。一方、方鑑明(ホウカンメイ)は鮫珠のおかげで小康状態となった。しかし鮫珠で血毒を取り除いても大本を絶てたわけでないと分かっている。すると鑑明は早速、皇帝に謁見し、淳容妃の出発はいつだったのか聞いた。( ー̀ωー́ )<…チッ、誰から聞いた?!( ತ _ತ)<陛下が昏睡中の私に…(; ̄▽ ̄)<朕か…褚仲旭(チョチュウキョク)は海市自ら救済の任を努めたいと申し出たと釈明した。「方海市は籠の鳥ではない、翼を広げて飛んでこそ幸せになれるのだ… 心配なのは分かる、だが生涯、守り続けられるわけではない 鑑明…お前にも手放すべきことがある」その夜、駅間でささやかながら歓迎の宴が開かれ、斛珠夫人は気分良く部屋へ戻った。百里塬はやはり夫人は張子の虎だったと安堵し、名門出身の深窓の麗人が被災民を本当に気にかけるはずがないという。どうやら用意していた偽の公文書さえ出番がないようだ。「片付けますか…決めた通りに進めればいかようにも対処できます」しかし劉昌平はどこか懐疑的だった。海市は酔ったふりをして部屋へ入ると、急にしらふに戻った。どうやら刺史たちは何か隠している様子、そこで早速、偵察に出かけることにする。玉苒(ギョクゼン)は指示通り夫人の服を着せた張り子を座らせ、窓辺に常に影を映して居留守を使うことにした。「覚えておいて、干ばつに苦しむ西平港のため私は部屋で雨乞いをする 雨が降るまで一歩も外へは出ないとね」夜の炊き出し所。被災民たちはここで水のような粥だけもらい、なぜか街を追い出されていた。海市は状況を探るため被災民たちをつけて行くと、実は被災民たちは斛珠夫人が去るまで山の窪地で過ごさねばならないという。「以前は2つの市場に炊き出し所があって朝晩の粥には飼料も混ざっていたけど生きられた 倉の白米は数月前まだ平穏だった頃に劉昌平が船団の頭領に売ったわ、倉に残ったのは飼料だけ 龍尾神の使者・斛珠夫人が運んできたのは食糧ではなく厄介ごとだけよ 劉昌平と商会は事実を知られることを恐れ、残り少ない米を穀物倉庫へ入れた 体裁上、臓物の汁を粥に変えたけど、数が足りないから私たちを追い出しているの」翌朝、劉昌平は駅館に斛珠夫人を訪ね、劇団を手配するので観劇してはどうかと勧めた。しかし玉苒は夫人が雨乞いの祈祷に専念するため部屋から出られないという。劉昌平はならば食事を届けると食い下がったが、その時、殿内から声が聞こえた。「劉大人、心遣いに感謝する、だが留まられては気が散る」「では何なりとお申し付けください、失礼いたします」劉昌平は引き下がったが、夫人の声が違うと気づいていた。駅館に戻った海市は大徴軍からの鳥文に目を通した。すると食糧を乗せた船がまだ越州を出港していないという。商会は荒波で船を出せないと言っているとか、しかしこの季節の波は高くないはずだ。「故意に引き延ばしているのね」一方、刺史府では劉昌平と百里塬が密偵の報告を聞いていた。斛珠夫人は確かに駅館の部屋にこもっているという。2人はひとまず安堵したが、百里塬はこのまま越州から食糧が届かなければ当地の白米はもたないと焦った。「…夫人は雨を降らせると自らおっしゃった、ならば我らはそれを利用しましょう」玉苒は越州に鳥文を放った。「この知らせが届けば船は出ますか?」「待たねば…」なぜか夫人は雨が降るのを待つという。その頃、食糧の到着が遅れていると聞いた方鑑明は再び皇帝に救援への派遣を嘆願していた。このままでは暴動に発展するのは必至、この機を利用して海市の命を狙う者が現れる可能性がある。「死んでも他の者には任せられません!」しかし褚仲旭は方海市なら対処できると信じ、むしろ鑑明の身体の方が心配だと反対した。すると鑑明は拝跪し、海市の無事を見届けなければ死んでも死にきれないと訴える。褚仲旭は鑑明の決意が変わらないとあきらめ、せめて鮫珠の薬を持って行けと言った。褚季昶(チョキチョウ)は方鑑明が出立したと聞いた。方向から察するに西平港だという。「私の策を見抜くとは賢い、しかし残念だ〜西南は遠すぎる、方海市を救たくても手遅れだ」被災民たちは時間になると炊き出しに集まった。そこで兵士は斛珠夫人が来ても食糧は届かず、雨乞いと言って炊き出しに顔も出さないと触れ回る。こうして被災民の怒りの矛先は斛珠夫人へ向かった。そこで劉昌平と百里塬は官吏たちと駅館を訪ね、夫人の安全のためにも西平港を離れた方がいいと説得する。しかしその時、暗雲が垂れ込め、雷鳴と共に雨が降り出した。「何とか間に合ったわ…船はすでに越州を出港した、食糧は3日以内に到着するでしょう 明日からは町を見ます、そうだ、劉大人、食糧が足りるなら被災民を戻してはどうかしら?」「直ちに手配します」やはり夫人は只者ではなかった。一方、方鑑明は道中で海市の動向を知った。食糧は斛珠夫人の命で大徴軍が護送、すでに越州を出港したという。また西平港では大雨が降り、暴動どころか斛珠夫人は被災民から本当に龍尾神の使いだと崇められていた。玉苒はなぜ夫人が雨を降らせることができたのか不思議だった。すると海市は駅館に到着した時、中庭で″風雨花″と呼ばれる赤い花を見つけたという。故郷で良く見るこの花は湿気に敏感とされ、急に花を咲かせた時は7日以内に必ず雨が降った。「到着した日にはもう十分に開いていたわ」確かに南方の形勢は複雑だが、多くの人々が龍尾神を信仰していた。海市はその信仰心を利用し、雨乞いが成功すれば必ず自分に畏敬の念を抱くと考えたという。そこで越州に潜入していた大徴軍に″西平港で雨が降ったら食糧を運ぶ船を掌握せよ″と命じていた。もし失敗した場合は巡回の印で脅すつもりだったが、血を流さず済んだのは運が良い。玉苒はここで初めて夫人が巡回の印を大徴軍の首領に預けていたと知った。「夫人は思慮深く機知に富み、男なら将軍か宰相の器です」「ふっ、それより食糧が到着する前に西平港の虫けらを退治しなくては…」斛珠夫人が官吏たちを引き連れ居北倉の視察にやって来た。被災民たちは夫人の姿に驚き、何事かと集まり始める。すると倉にはわずかだが確かに白米があった。劉昌平と百里塬は胸を撫で下ろしたが、その時、海市の号令で大徴軍が現れる。大徴軍は朝から軍営に出かけ兵糧を回収、しかしその中身は全て飼料に取り替えられていた。海市は民を蔑ろにして西平港を苦境に立たせた劉昌平と百里塬を弾劾、さらし首にするよう命じる。驚いた百里塬は全て自分の考えだったと認め、劉昌平は無関係だとかばった。「1斤の白米を飼料に替えれば10斤です! 数ヶ月前にはすでに干ばつの件を上奏しました だが奏状は陛下まで届かず、越州からの食糧も来ない! 海は季節の強風が吹き荒れ、瀚(カン)州への商船は出航しても食糧を運ぶ船は来ません 劉大人は倉の食糧を売るしかなかった、その銭で飼料を買いました だから今日まで皆、生きてこられたのです!」全てを知った被災民たちは劉昌平と百里塬を許して欲しいと訴えた。海市は善悪を一面からでは判断できないと話し、良心に恥じることがなければ生きられるという。「必ず公正に判断しましょう」すると再び恵みの雨が降り始めた。海市が手のひらをかざすと、龍尾神が与えた印が光る。被災民たちは海市が確かに神の使いだと感激し、その場で平伏し崇めた。その様子を見ていた方鑑明は形勢が安定したと知り、海市に会わず、陰で見守ると決める。つづく( ๑≧ꇴ≦)師父、なぜねずみ男にw
2022.11.13
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第38話「宿命への挑戦」執拗に方海市(ホウハイシー)の命を狙う皇弟・褚季昶(チョキチョウ)。しかし海市が淳容(ジュンヨウ)妃に封じられ、簡単に手を出せなくなった。それにしてもいくら方海市を守るためとは言え、龍尾神の使者に祭り上げるとは方鑑明(ホウカンメイ)にも恐れ入る。そこで褚季昶はこれを逆手に取り、海市を誘き出すことにした。西南は年初の大干ばつにより作物が不作だった。各州府は秋の収穫まで倉を開け救済していたが、結局、稲が育たず不作が続き、冬に入り被災民が流浪しているという。西南の民は龍尾神への信仰が深く、飢饉は龍尾神の怒りに触れた罰ではないかと噂が広まっていた。すると昶王の息のかかった大臣が朝議で淳容妃を派遣して民の不安をなだめて欲しいと嘆願する。言い伝えによれば龍尾神の使者が西平港(セイヘイコウ)で祭祀を行えば状況を回復させられるというのだ。当然、皇帝も清海公(セイカイコウ)も反対したが、大臣たちからの上奏文が途絶えることはなかった。海市が寝殿に戻ると侍女・玉苒(ギョクゼン)が魚の粥を運んで来たところだった。「魚?…誰が作らせたの?」「清海公から淳容妃の好物を書いた紙が届きました」「…お腹は空いていないの、下げて」すると海市は小六(ショウロク)から届いた報告を見るなり、柏木か柏木製の器を探すよう頼んだ。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は方鑑明が安心して静養できるよう国庫の財貨を放出して援助すると決めた。それでも鑑明はこれが最後の仕事だと覚悟し、西平港へ行きたいという。褚仲旭は生きることが情義だと言い聞かせたが、そこへ玉苒が現れた。「陛下、すぐ淳容妃のところへ…」すると真っ先に鑑明が飛び出した。庭園にいた海市は皇帝と師匠が来たと気づき、慌てて手を隠した。しかし柏木には海市の血が流れている。海市は自傷ではないと否定して下がろうとしたが、急にめまいを起こした。玉苒の話では淳容妃は食事を取っていないため、そこに今の流血がたたったのだという。方鑑明は海市を抱き上げ、鳳梧(ホウゴ)宮へ連れ帰った。恐らく″柏奚(ハクケイ)″を解く方法を探していたのだろう。鑑明は海市の傷の手当てをしながら、もう探すなと止めた。「私のすることに清海公は関係ない」海市は何も教えてくれない師匠に冷たく当たったが、鑑明は海市が知っているのは表面的なことだけだという。「柏奚を解けるのは流觴(リュウショウ)方氏の血を継ぐ者だけだ」方鑑明は昭明宮に戻った。しかし中院で急に激しく喀血、そのまま昏睡してしまう。…グハッ!方鑑明、お前に残された時間は長くない…一方、褚仲旭は未生花(ビセイカ)の解毒方法を求め、各州府に医典を探させていた。するとかつて注輦(チュウレン)が紛失した医典が半冊だけとは言え瀾(ラン)州で発見される。淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は運が良いと喜んだが、褚仲旭は解毒法を見つけるまで安心できなかった。その時、穆徳慶(ボクトクケイ)が駆けつける。清海公が危篤だというのだ。驚いた褚仲旭は藁にもすがる思いで、皇帝のために保管された霊薬・応龍角を使うよう命じる。そのおかげで鑑明は命をつなぎ止めたが、あくまで一時しのぎに過ぎなかった。海市は流觴方氏について調べ始めた。方氏に関する文献によれば師匠を除く清海公52代のうち先代・方之翊(ホウシヨク)を含めて17名が皇帝より後に死去している。しかしどの書にも詳細は記されておらず、依然、柏奚の解明はできなかった。…まさか本人以外は解くことができないと?…一方、褚仲旭は方鑑明が安定したと分かり、誰かに察知されないよう昭明宮を訪ねないと決めた。翌朝、海市はさらなる情報を求め、自ら蔵書閣へ行くことにした。すると寝宮の前で女官が泣いている声が聞こえる。海市は念のため様子を見に行ってみると、女官は母と妹を助けて欲しいと懇願した。聞けば父と兄は餓死、今回の飢饉は西南の海を埋めて堤防を造り龍尾神を怒らせたせいで、龍尾神の使いである淳容妃が祈れば鎮められると噂になっているという。海市は皇帝に謁見し、西平港の救済に行きたいと嘆願した。しかし今の西南は危険この上なく、万が一、民が蜂起すれば2度と戻れなくなる。褚仲旭は複雑な状況だと知りながら自薦するのかと驚き、見込みがあるのか聞いた。「見込みは3割ほど、西平港に行って調査すれば5割になります」海市は大徴と民のために危険を冒せることが自分の存在価値だと訴えた。すると褚仲旭はついに決断、海市に勅命を下す。「この巡天の印を持てばお前は朕の代わりだ…直ちに西平港へ行き、救済せよ」海市は巡天の印を受け取り、その足で昭明宮に向かった。驚いた陳哨子(チンショウシ)は清海公なら留守だと嘘をついたが、淳容妃の要件が別だと分かって安堵する。「人手を派遣し援助をお願い…あの人には私が来たことを言わなくて良いわ」褚季昶の思惑通り淳容妃が西南に向かうことになった。西南は被災民があふれており、龍尾神の使いが嘘だと暴かれれば死ぬことになるだろう。それにしてもこの数日、方鑑明は朝議を欠席し、顔も見ていない。すると執事がもしや傷病のため隠れたのではと疑い、早速、少府監の主事・施霖(シリン)に探らせると言った。褚季昶は半信半疑ながら、本当に方鑑明が傷病で姿を見せられないなら方海市は孤立無縁となり、ますます面白い芝居が見られそうだという。海市は方鑑明の危篤を知らぬまま出発の日を迎えた。皇帝や朝臣たちは淳容妃を盛大に見送ったが、そこに師匠の姿はない。一方、方鑑明は5日経っても意識が戻らず、褚仲旭は不安を募らせた。しかし思いがけず緹蘭が医典から解毒の手がかりを見つける。それはいかなる毒にあたっても龍尾神のご加護があれば治るという記述だった。褚仲旭は伝説に過ぎないと肩を落としたが、緹蘭はあながち嘘ではないという。実は雷州には龍尾神の毛と血と鱗は薬となって人を救うという逸話があった。「…ならば鮫珠でもいいのか?!」「鮫珠?…陛下、鮫珠は龍尾神の涙、きっと救えます!」褚仲旭は医官院に命じて鮫珠の薬を作り、自ら方鑑明に飲ませた。「鑑明、方海市は西南へ行った、お前がこのまま手を離したら永遠に会えなくなるぞ? …方海市のためにも早く目を覚ますのだ」しかし鑑明は再び激しく喀血してしまう。驚いた褚仲旭は慌てて侍医に診せたが、実は鑑明は鮫珠のおかげで毒素を排出していた。淳容妃の一行は間も無く西平港へ到着しようとしていた。確かに西南は飢餓に苦しむ民たちであふれていたが、偵察によると城内の人は減っておらず、逆に集まっているという。「倉を開けて救済しているからかしら?」しかし玉苒は西平港刺史・劉昌平(リュウショウヘイ)が幾月前に食糧の援助を上奏して来たはずだと言った。かつて淑容妃が嫁いできた際に西平港を訪ねた海市、当時の刺史は陳赫然(チンカクゼン)で西平港は活気にあふれていたが、新任者は一体、何者なのだろうか。つづく( ๑≧ꇴ≦)いよいよヤンミー社長のターン!
2022.11.11
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第37話「龍尾神の使者」懇意の大臣を使って密かに清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)を追いつめる皇弟・褚季昶(チョリチョウ)。すると旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)が方海市(ホウハイシー)を紫宸殿に呼んだ。「清海公はそなたが幼少の頃、神仙に会ったと言ったが、大臣たちは懐疑的だぞ」「陛下、清水が一杯あれば海市が自分で証明しましょう」海市は水を手のひらにかけて鮫人の証しを現し、手をかざしただけで斛珠(コクジュ)を操って見せた。臣下たちは一様に驚いたが、ある大臣は龍尾神の話が本当だとしても男だと偽っていた罪は免れず、清海公と方海市は結託して方卓英(ホウタクエイ)を逃し、清海公は私欲を満たすために方氏を妃にするつもりだと非難する。すると海市は思わず失笑した。「師父から言われました ″神仙との出会いは瑞兆ではない、大徴(ダイチョウ)を陛下という名君が治めていることこそ瑞兆だ″と… 陛下が必要なら私は瑞兆になり、そうでなければ死士となる 死士とは命懸けで陛下に尽くす者、陛下に忠誠を尽くす以外の道理は存在しない ふっ、そなたらに清海公の何が分かる?」清海公は数々の功績だけでなく、この数年は鵠庫(コクコ)人を撃退し、辺境を守って来た。黄泉(コウセン)営の兵士たちが清海公の教えに従い命をかけて守っているのは大徴の安寧と民の平穏、もし誰より国を愛する良将が朝堂で陥れられていると知れば、兵士や民は黙っていないだろう。その時、武官たちが海市に追従した。「小人たちめ、清海公だけに戦わせておいて、いざとなったら責めるのか?! 自分は命懸けで戦ったことがあるのか?!」ネー(*´・ω・)(・ω・`*)ネー海市の訴えで形勢は逆転、清海公をかばう声が上がり始め、褚季昶も流石に手を引いた。「朕も方海市が女子であると知っていた、霽風(セイフウ)館に入れるよう命じたのも朕だ 方卓英の件も結論が出て清海公も罰を受けた、2度と蒸し返すな…退朝だ!」褚仲旭は臣下を黙らせると、追及していた大臣たちも新しい妃の誕生を祝うしかなかった。褚季昶は怒り心頭だった。まさか方鑑明が腹心である方海市を皇帝に捧げるとは予想外、それにしてもなぜ方海市を襲う計画が外部に漏れたのだろうか。しかし執事が徹底的に調べ上げても怪しい者は見つからなかった。褚季昶は仕方なく奥に入ることができた使用人を全て始末するよう命じる。「龍尾神か…ただの伝説に過ぎぬのにそれを利用するとは…私も油断したな」翌朝、海市は皇帝に謁見し、師匠との″柏奚(ハクケイ)″の関係を解いて欲しいと懇願した。しかし他人が解くことはできず、褚仲旭も方法を知らないという。実はこれまで何度も解くよう説得したが方鑑明が拒否していた。先日、ようやく鑑明は自ら解くと決めたところだったが、時機を失ってしまったという。海市は昭明宮に師匠を訪ねた。方鑑明はいきなり書房に乗り込んできた海市に戸惑ったが、海市はすでに自分が皇帝の柏奚だと知っている。「…自由を取り戻して家庭を築きたいと思ったことはないの?」「あった、だがもう過去のことだ」鑑明は余命わずかだと明かすこともできず、ただ拳を握りしめてこらえていた。「初めて会った時、師父は言ったわ…″私の館に来て女子として生きるなら安逸のみが得られよう だが男子として生きるなら安逸以外の全てが得られる、どちらか選べ″と… こたびはなぜ私に選ばせてくれないの?!…私たちの縁はもう、これまでです」海市は何も教えてくれない鑑明に深く失望し、昭明宮をあとにした。鳳梧(ホウゴ)宮で方氏の冊封の儀が執り行われた。方鑑明は愛する海市を自分の手で皇帝に託し、ついに冊封の詔が下される。するとその帰り、鑑明が急に吐血した。驚いた褚仲旭は鑑明を金城宮(キンジョウキュウ)で侍医に見せたが、心労が重なって発作が起きたと分かる。しかし肝心の解毒薬はまだ見つかっていなかった。実は数十年前にも注輦(チュウレン)の王が未生花(ビセイカ)の毒にあたり、解毒は叶わなかったという。その夜、褚仲旭はようやく禁足中の淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)を訪ねた。しかし緹蘭は拝礼もせずぽかんとしている。「今日は冊封の日ですし…夜はてっきり淳容妃と…」褚仲旭は人払いすると、この数日の疲れがどっと出て横になった。褚仲旭は注輦に使者を送っていた。使者の報告では王妃も王子も無事で、密かに暗衛営の精鋭を護衛につけておいたという。また自害した侍女・碧紅(ヘキコウ)もきちんと弔って埋葬しておいた。何も知らなかった緹蘭は心から感謝し、皇帝が初めから自分を疑ってなどいなかったと知る。「ずっと考えていた… そなたはなぜ1人で対処しようとしたのか、なぜ真っ先に朕に報告しなかったのか はあ~朕が頼りないせいだな」「違います、私は昔から問題を独りで解決し、誰も頼らずに生きて来ました…」「一生を共にするなら、全てを独りで抱え込まず、2人で背負えばいい、それが夫婦であろう?」「夫婦?…そうです、緹蘭は陛下の妻、一生をおそばにいて生死を共にします」翌朝、久しぶりによく眠った褚仲旭は穆徳慶(ボクトクケイ)に起こされた。そこで緹蘭を起こさぬよう寝台を出て身支度を始めたが、すでに淳容妃が朝の挨拶に来ているという。褚仲旭は慣例の朝晩の挨拶を免除すると伝えたが、その時、緹蘭が目を覚ました。緹蘭は自分に遠慮して方氏に会わないのかと心配し、海市は恩人であり、知己でもあると気遣う。仕方なく褚仲旭は方海市を妃に封じたのは方海市と清海公を守るためだと明かした。自分たちの関係は夫婦ではなく君臣であり、時が来たら方海市を自由にするつもりだという。少府監の施霖(シリン)が昶王府にやって来た。今や町では子供たちが方海市は幸運をもたらす龍尾神の使者だと歌っているという。褚季昶は方海市を守るため方鑑明がでっち上げた話だと呆れたが、確かに誰も龍尾神の姿を知らないため否定もできない。「待てよ?…神の使者か?これは面白い」海市が愈安(ユアン)宮へ挨拶にやって来た。暖かく迎える緹蘭、実は緹蘭は初めて会った時から海市が女子だと気づいていたという。「陛下がいずれあなたを自由にするとおっしゃっていた…事情は全て聞いたわ」海市は淑容妃が自分の秘密を守り続けてくれたことにいささか驚いた。すると緹蘭は大徴に来たばかりの自分に優しくしてくれた海市へのせめてもの恩返しだという。「辛い時は何でも私に話してね」「謝謝」一方、方鑑明は陳哨子(チンショウシ)から報告を聞いていた。愈安宮の毒の件はまだ手がかりがなかったが、宮中に詳しい者の犯行だという。実はもう一つ、気がかりなことがあった。淳容妃の冊封が決まった日の夜、昶王府で23名の使用人が誤って毒を飲み死んだという。鑑明は昶王が手っ取り早く間者を始末したと気づき、見張りの強化を命じた。「今後、また大きな騒動が起きるはずだ」「それからもう一つ報告があるのです…それが…鳳梧宮の者が淳容妃の好物は何かと… 実は淳容妃が食事に手をつけないそうです」すると鑑明は淳容妃の好物や習慣を紙に書いて渡すよう命じた。つづく(  ̄꒳ ̄)いやあ〜めでたしめでたし〜ってまだ何も終わっていなかったw
2022.11.05
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第36話「明かされた秘密」方鑑明(ホウカンメイ)は皇弟・褚季昶(チョリチョウ)が海市(ハイシー)を狙っていると知り、弾劾を覚悟して海市が女だと公表した。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)はひとまず海市を偏殿にかくまったが、鑑明を追求する。実は海市の首から鑑明の玉板指が下がっているのを見た褚仲旭は、鑑明が余生を共に過ごしたいと願っている相手が海市だと気づいていた。「今日まで朕を欺いて来たとは…この騒動をどう収めるつもりだ?!」「陛下、海市を入内させてください…」海市は偏殿で美しい衣に着替えて待っていた。するとようやく方鑑明がやって来る。海市は安堵して駆け寄ったが、鑑明はどこかよそよそしかった。「陛下はお前を妃に封じる… 男と偽っていたことは君主を欺く大罪だ、私ではかばい切れぬ 陛下の庇護があれば衆人の怒りは収まるだろう お前は陛下に仕え、お守りせよ…これで丸く収まる」突然、夫に突き放された海市はぽかんとしていた。もしやこれもまた何かの策なのだろうか。しかし鑑明は心を鬼にして海市を説得した。「入内をもちかけたのは私だ…初めて会った時からお前に期待していた、不世出の逸材だとな 今後はすべて陛下のお言葉に従え、しっかりとお守りせよ」海市は思わず鑑明の頬を平手打ちした。「私を帰京させたのは他の人に私を差し出し、私の人生を終らせるためだったと? …嘘でしょう?嘘だと言って!」海市は師匠に詰め寄ったが、鑑明は黙ったまま何も言ってくれない。「私の人生よ…例え師父でも勝手に決めることはできない」絶望した海市はかんざしを抜き、自分の首を刺そうとした。その時、咄嗟に鑑明が手を出し、かんざしは鑑明の手のひらを貫通してしまう。師匠の手を見た海市は急に全身の力が抜け、その場でへたり込んだ。方鑑明は多くの敵がいることから、自分が世を去った後、海市に復讐の刃が向けられることを恐れた。『海市を愛しています、陛下が紫簪(シサン)を愛したように…』余生を海市と2人で過ごしたいと思ったが、もはやその時間はない。鑑明は海市の無事こそが最後の願いだと訴え、今は残酷でも、いつか悲しみは消えるはずだと言った。『陛下、私の願いを叶えてください、私を遇したように海市を重んじてください』すると褚仲旭は自分の犠牲となった鑑明のため、海市を必ず守り通すと約束した。その夜、一部の大臣たちは方海市の処罰を求めて紫宸殿で嘆願を始めた。海市は皇帝に謁見しようと思いついたが、見張りが立ちふさがり偏殿を出られない。憤慨した海市は思わず衛兵の帯剣を引き抜いて刃を向けたが、そこへ皇帝が現れた。褚仲旭は人払いし、誰も近づけないよう命じた。すると海市は拝跪し、君主を欺き、罪人を逃した罪を認め、死を請う。確かに海市を殺せるなら話は早いが、褚仲旭は方鑑明から海市を託されたと教えた。思い詰めた海市は剣で自ら首を斬ろうとしたが褚仲旭が阻止、しかし抵抗した海市は皇帝に斬りかかってしまう。一方、昭明宮に戻った方鑑明は独り虚しく婚礼飾りが残った部屋に座っていた。その時、急に頬が切れて血が流れる。鑑明は海市が皇帝に抵抗していると分かった。すると今度は左腕に激痛が走り、袖をめくってみると歯形が浮き上がって血があふれてくる。実は海市は皇帝に剣を奪われ、柱に押さえつけられていた。何とか逃れようと皇帝の腕に噛み付いた海市、しかし皇帝に首を突かれて意識を失ってしまう。碧紫(ヘキシ)は太監から馬場での騒動を聞き、淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)に報告した。しかし緹蘭は驚くこともなく、実は初めて会った時から海市が女子だと気づいていたという。すると驚いたことに皇帝が方海市を連れて偏殿にこもったまま出てこないと知った。宮中では新たな妃が誕生するのではともっぱらの噂だという。↓縛られ放置プレーな海市↓婚礼セットで悶々とする師父↓既成事実を作るため独りで碁を打つ皇帝↓寵愛を失ったと落胆する緹蘭( ̄▽ ̄;)何だかシュール翌朝、褚仲旭は方海市と一夜を過ごしたと見せかけ、海市を淳容(ジュンヨウ)妃に封じると命じた。侍女・玉苒(ギョクゼン)は直ちに淳容妃に沐浴をさせ、冊封の儀の準備を始める。「皇后に次ぐ三夫人の位です、でもお支度は皇后のように豪華ですよ 早朝に清海(セイカイ)公が参内し、斛珠(コクジュ)を献上しました 聞けば淳容妃が鮫人から贈られたものだとか… 陛下は吉兆であるとご満悦で、すぐ冊封をお命じになりました 別称も賜りましたよ、斛珠夫人です」「幼い頃、臨碣(リンケツ)郡を遠く離れ、都に来たの 目を閉じるたび深い海に大きな渦が巻く情景が思い出され、悪夢にうなされたわ 師父は私に思い出させないよう斛珠を全て隠すよう命じた それ以来、見ていなかったのに…」すると海市は独りにして欲しいと頼んだ。海市は湯殿に身体を浮かべ、師匠の言葉を思い出していた。すると水に浸かった手のひらに鮫人族・琅嬛(ロウケン)が残した法陣が浮き上がる。その頃、方鑑明は皇帝と一緒に海市の支度が整うのを待っていた。「会わぬのか?」「君臣のけじめです」しかし湯殿から茶碗の割れる音が聞こえた。玉苒は湯殿で浮いている淳容妃を見て誤解し、うっかり盆を落として茶碗を割った。そこへ血相を変えた方鑑明が駆けつけ、咄嗟に海市を抱き上げてしまう。しかし海市は目を閉じて湯に浮かんでいただけだった。「玉苒は下がって」すると海市は師匠の頬に傷があることに気づき、昨夜、自分が皇帝を切り付けた場所だと思い出す。「それはいつの傷?いつ傷を負ったの?」海市は立ち去ろうとする鑑明の袂をつかんで止めたが、結局、放した。…この人が一度、決めたことは誰も覆せない、それなのに…海市は自分だけは師匠を変えられると思っていた自分の浅はかさに落胆した。海市は支度もせず、ぼんやり湯に入っていた。すると見かねた皇帝が湯殿へやって来る。褚仲旭は方鑑明の傷を見たかと尋ね、さらに袖をまくって腕をかめと命じた。そこで海市は鬱憤を晴らすように皇帝の腕にかみ付いたが、なぜか皇帝の腕には歯形が残っていない。実はその頃、鑑明は急な腕の痛みに顔を歪めていた。褚仲旭はついに方家の秘密を明かした。この国の朝廷が開かれた時、褚氏以外で領土を与えられた唯一の人物は方景風(ホウケイフウ)だという。それ以来、方家の子供たちは皆、幼少期に宮中に送られ、皇子の勉学の供となった。帝位は褚仲旭で53代目、また清海公の爵位も鑑明で53代目となる。「…670年あまり、歴代の清海公で天寿を全うした者はいない」実は方氏はもとより武門ではなかった。しかし流觴(リュウショウ)方氏は特殊な体質を持ち、歴代の清海公は全て皇帝の“柏奚(ハクケイ)″になるという。方氏は栄華と名声、一族の繁栄と引き換えに皇帝の身代わりになっていた。儀王の乱で大徴は焦土と化し、残った方氏の嫡流は方鑑明のみ、即位できる皇子は褚仲旭だけだった。鑑明は皇帝を守り国を安定させるため、自ら柏奚を望んだという。「今はお前の思惑など構ってはいられぬ…鑑明のことを守りたいと思わぬか? お前にしかこたびの騒動を収めることはできぬ」紫宸殿に皇帝が現れた。昨夜から嘆願を続けていた大臣たちは寒さに震えながら賊臣の排除を訴えると、皇帝は朝議で聞くという。一方、海市は玉苒を呼んだ。「最も威厳のある衣を用意して…紫宸殿へ行くわ」昶王の配下である大臣は仲間を煽り、清海公と方海市を糾弾した。褚仲旭は自分が妃を娶るだけで清海公を責めるのかと呆れ、これまで何かと清海公をそしり、自分を挑発して来たと嘆く。しかし大臣たちは鵠庫(コクコ)王子の事変が起きてから方海市を入内させたことを訝しみ、納得のいく説明が欲しいと訴えた。すると方鑑明が斛珠の検分を進言、海市の幼少期の奇遇が真実だと証明したいという。穆徳慶(ボクトクケイ)は大臣たちのもとを回って斛珠を見せた。その大きさと美しさに大臣たちは感嘆の声を上げたが、褚季昶がそれとなく大臣に目配せする。すると大臣は初めて見るため本当に龍尾神の物なのか分からないと訴えた。「方氏が偽造した品かもしれません!」しかし褚仲旭は真贋を確かめる簡単な方法があると言って穆徳慶に合図する。「呼べ」「はは…淳容妃、拝謁せよ~!」つづく( ゚ェ゚)来るか?( ゚ロ゚)来るのか?!コネ━━━━(。A。)━━━━ii
2022.11.04
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第35話「二人だけの婚礼」方鑑明(ホウカンメイ)は海市(ハイシー)に愛を告白、その夜、2人だけの婚礼を挙げた。「まるで夢を見ているみたい…」海市はそばにいられるだけで満足だと諦めていたが、まさかこんな日が来るとは信じられないと感激する。そして夫婦の杯を交わし、2人は初夜を迎えた。「怖いか?」鑑明は戸惑う海市に優しく口づけをしようとしたが、その時、身体に異変が起こる。皇帝の身に何か起こったのだ。「どうかしたの?」海市が心配そうに起き上がると、鑑明は思わず点穴して海市を眠らせてしまう。「…すまない」すると鑑明は寝衣のまま寝所を飛び出し、中庭で激しく血を吐いた。その頃、愈安(ユアン)宮では旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)が緹蘭(テイラン)に勧められ汁物を飲んでいた。すると突然、扉が開き、方鑑明が飛び込んで来る。「…毒だ!」鑑明は耐えきれず膝をつくと、褚仲旭が駆け寄った。「鑑明!」方鑑明は注輦(チュウレン)の未生花(ビセイカ)の毒に当たっていた。実はこの毒には解く術がない。しかし李(リ)侍医の応急処置と鑑明の人並み以上の忍耐力で持ちこたえていた。褚仲旭は激しく取り乱し、何としてでも鑑明を助けると騒ぎ出してしまう。すると鑑明は外へ漏らさぬよう諌言した。「朝廷に異変が起こります…陛下、淑容妃にも当たらぬように、何か事情があるのでしょう …李侍医、あと何日生きられる?」「普通の人なら3日以内に命を落としますが、武術に長けた清海公ならひと月もつやも…」「…ありがとう」鑑明が昭明宮に戻ると、海市は何も知らず穏やかに眠っていた。…私への失望と恨みを抱き、幾千里も卓英(タクエイ)を追ったのだな…そして病の身で独り赤山(セキサン)城に長く留まり、また不眠不休で走り続け帰京した…今度こそ穏やかな日々を送らせてやりたかった…だが結局、それも叶わぬ鑑明は海市の頬に触れながら、そっと涙を流した。緹蘭は決して毒を盛っていないと否定した。確かに弟の命と引き換えに脅されたが、要求に応えなければ自分に会いに来ると考え、敵を知ってから策を練ろうと思ったという。褚仲旭は到底、納得できなかったが、その時、侍女・碧紅(ヘキコウ)が独断で毒を盛ったことを認めた。何も知らなかった緹蘭は呆然、実は王子は碧紅の恩人で、どうしても王子を守りたかったという。すると碧紅は淑容妃と碧紫(ヘキシ)を巻き添えにしないよう、いきなり柱に頭を打ちつけ、絶命した。一方、皇弟・褚季昶(チョキチョウ)は方海市が一夜で昭明宮に戻ったと知った。海市がなぜそんなに急いで帰ってきたのか分からなかったが、とりあえず誕生日の招待状を送るよう指示する。「方家の小娘が帰って来たのだ、明日の誕生日にかこつけ陛下に請う 方海市を我が王府へ派遣するようにな」褚季昶は海市を見張らせるよう命じたが、卓英が残した密偵が全て聞いていた。緹蘭は碧紅の死を目の当たりにし、衝撃のあまり気分が悪くなった。心配した穆徳慶(ボクトクケイ)は皇帝の許可をもらって急いで侍医を呼んだが、懐妊だと分かる。褚仲旭は混乱し素直に喜べず、緹蘭に即刻、禁足を命じて足早に出て行った。御所に戻った褚仲旭は紫簪(シサン)の護身府を握りしめ、肖像画の箱を開けた。「紫簪…私は鑑明も失ってしまう、どうすればいい?せめて緹蘭は守ってやりたい」そこへ穆徳慶がやって来る。褚仲旭は手で顔を覆い、しばし涙が止まるのを待ってから顔を上げた。すると穆徳慶は愈安宮と金城宮の護衛を全て確認し、これでわずかな情報も漏れないと報告する。明日はいよいよ昶王の誕生日、褚仲旭は何事もなかったかのように予定通りだと指示した。方鑑明は海市の手を握りしめたまま朝を迎えた。すると回廊から陳哨子(チンショウシ)の声が聞こえる。「清海公…」鑑明は海市の布団を直すと、報告を聞くため外へ出た。陳哨子は清海公に昶王府から届いた海市宛の招待状を渡した。密偵からの情報では小公子を王府に置きたいと皇帝に嘆願する計画があるという。「何でも小公子のことを″方家の小娘″と言ったとか…」しかし褚季昶は皇帝の唯一の弟で恩人、証拠もなく二心があるとは伝えられなかった。鑑明は軽率に動けばかえって警戒されると考え、ついにある決断を下す。指示を聞いた陳哨子は動揺を隠せなかったが、これも海市の命を守るための苦肉の策だった。海市が目を覚ますと方鑑明の姿はなかった。すると身体は自然と卓英の部屋へ向かう。卓英の部屋はそのまま残されていたが、机に剣と令牌が置いてあった。海市は改めて卓英がいないことを実感し、霽風(セイフウ)館で兄弟として初めて顔を合わせた日のことを思い出す。そこへ鑑明がやって来た。鑑明は薄着の海市に外套を着せてやると、卓英を追わせたことを恨んでるかと聞く。確かにこんな形で卓英と別れるのは不本意だが、海市は今回の帰郷で鵠庫と大徴の長年の紛争を平定できるのだと納得していた。「卓英の願いが叶うのね…」方鑑明は海市のため朝餉を準備していた。「お前の粥には及ばぬが…食べてみろ」海市は鑑明に粥を食べさせてもらいながら、昨夜の失態を思い出した。「昨夜は…その~疲れ過ぎていて先に寝てしまったわ… 今日は大丈夫、必ずあなたに尽くすから」しかし鑑明は何も言えず、今日は皇帝が馬場へ昶王の鷹を見に行くと教えた。「共に行くか?」「行くわ!…じゃあ着替えないと」海市は鑑明の計画など何も知らぬまま幸せを噛みしめていた。海市が着替えて出てきた。すると方鑑明は今日が最後の男装だという。「流觴(リュウショウ)方氏の主は代々、天寿を全うできぬ 添い遂げられぬ時が来たら今日のことを後悔するか?」「しない、今も今後もずっと後悔などしないわ そんな日が来たら最後の一瞬まであなたと共に戦う、夫だもの」鑑明は思わず海市を抱きしめ、紐を通した玉板指を首からかけた。褚季昶は慣例に従い24羽の鷹を用意した。そこで鷹を一斉に放ち、褚仲旭が白翎青背鷂(ハクレイセイハイヨウ)を狙って見事に射止める。大臣たちはこれで天候に恵まれる年になると喜んだが、その時、警護していた陳哨子めがけて鷹が急降下してきた。海市は真っ先に気づいて陳哨子の元へ駆け出すと、方鑑明はちょうど海市の冠と鷹が重なったところで矢を放つ。すると弓矢が海市の冠を外し、鷹を射抜いた。海市は長い髪がほどけ女の姿を晒し、動揺してその場から動けなくなる。実は陳哨子は後ろ手に雛鳥を隠し持ち、鷹に襲われるよう仕組んでいた。褚仲旭は海市の姿を間近で確認することにした。すると海市の首から方鑑明の玉板指がぶら下がっている。それは鑑明が父からもらった唯一の贈り物で、どんなに譲って欲しいと頼んでも断られた品だった。褚仲旭は鑑明の意図に気づき、いきなり海市の肩を抱いて連れ帰る。驚いた大臣たちは男装して皇帝を欺いた海市を厳罰に処すよう嘆願したが、褚仲旭は自分が海市を霽風館に置いたと嘘をつき、引き上げて行った。褚仲旭は海市を連れて金城宮に戻った。すると海市はひざまずき、方鑑明を守るため皇帝を欺いた罪を認めて罰を請う。「私1人の過ちです」「…方海市、方鑑明を巻き添えにせず生き長らえたいなら、今から目が見えず口が利けぬ者になれ 誰か!方海市を偏殿へ連れて行け!」つづく( ;∀;)長かった…ここまで長かったわ~w
2022.10.29
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第34話「未来への夢」方卓英(ホウタクエイ)は迦満(カマン)から鵠庫(コクコ)南部に入った。右菩敦(ウホトン)王・額爾済(ガクジセイ)は娘の塔拉(トウラ)と共に出迎え、甥との再会を喜ぶ。ついに故郷である瀚(カン)州にもどった卓英、これからは奪罕(ダツカン)に戻り、叔父に従って一族の再興を叶えると誓った。その夜、奪罕を歓迎する宴が開かれた。しかし奪罕は皆の輪から離れ、改めて自分の使命を実感する。かつて方鑑明(ホウカンメイ)は自分が焦土化した大徴に平安を取り戻すため全てを捧げたように、瀚州のために努力する人がいれば必ずいつかは戦は終わると言っていた。『刺客の任務には一生、慣れないだろう、慣れなくても疲れても構わぬ だが悪は誰かが取り除かねばならぬし、誰かが平穏な世を守らねばならないのだ 夢に見た日々とは程遠くても、いつかお前も自分の進む道を選ばねばならぬ…』そこへ額爾済がやって来た。「独りでどうした?」すると額爾済は情報の伝達に使っている刺繍の暗号を渡した。この密書のお陰で奪罕が皇帝暗殺の機会をじっと待っていたのだと分かったという。「やはりお前は奪洛(ダツラク)とは違う あいつは横暴で、左菩敦(サホトン)王となってからは大勢を虐殺している」 奪罕、お前は正当な後継者、私と共に草原の秩序を安定させ、民に安寧を取り戻そう」( ゚ェ゚)右菩敦王ってこんなに良い人設定だった?大徴の皇帝暗殺を実行した奪罕は鵠庫で英雄と称えられ、額爾済に重用された。そして多くの部族を帰順させることに成功、奪洛の勢力を縮小させているという。報告を聞いた方鑑明は一安心したが、海市(ハイシー)は赤山城に留まったまま帰京する様子はなかった。そんな中、皇弟・褚季昶(チョリチョウ)の誕生日が近づく。褚季昶(チョキチョウ)は欽天監(キンテンカン)から当日は雪が降ると聞き、皇兄に東の馬場で鷹の調教の成果を見せたいと頼んだ。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は緹蘭(テイラン)の立后に向け、着々と準備を進めていた。そこへ方鑑明が現れ、方卓英が鵠庫南部での足固めに成功したと知る。あの夜、鑑明が卓英に自分を襲わせた上、海市に追わせたのは、海市が兄を殺せないと分かっていたからだろう。褚仲旭は確かにこれで周囲の批判をねじ伏せることができたが、海市の気持ちを考えるとやるせなくなった。「朕でさえあまりにむごい仕打ちだと感じる…帰って来ぬはずだ」しかし鑑明は苦笑いをしただけで何も言わなかった。褚仲旭は鑑明に緹蘭を皇后に冊封すると伝えた。ついに過去の苦しみから解放された褚仲旭、そこで鑑明も過去を手放して新たな人生を歩めという。鑑明は全て解決したら願い出るつもりだったと明かし、その場に跪いた。「朝廷が安定したら柏奚(ハクケイ)の解消を願いたいのです、私は官職を辞し流觴(リュウショウ)へ…」褚仲旭は鑑明の決断を喜び、まるで昔に戻ったように並んで座った。すると鑑明は正直に愛する人がいると告白し、余生を2人で過ごしたいという。「その者との誤解が解け、想いが通じたら、必ず2人で報告に来ると約束しよう」「お前を振り回すとは一体、どんな女子なのだ?さぞ非凡であろうな~ そうだ、季昶の誕生日に連れて来い」「はお」淑容妃・緹蘭は体調が回復したが、なぜか最近、眠くて仕方がなかった。そんなある夜、突然、寝宮に小さな巾着が投げ込まれる。中を確認してみると、緹蘭の弟で注輦(チュウレン)の王子・索蘭(サクラン)の護身府が入っていた。さらに小さな薬瓶と一緒に密書が出て来る。…旭帝を殺せ、さもなくば王子の命はない…緹蘭は愛する皇帝と弟との板挟みになり、頭を抱えた。方鑑明は新たな人生を迎えるためしばらく休職、褚仲旭は退屈な日々を送った。そんな中、海市から皇帝に暇願いが届く。方鑑明は皇帝から海市の手紙を受け取ると、急いで昭明宮に戻った。そして海市がくれた手作りの巾着を取り出し、2人の婚姻書をしたためる。思い出すのは海市との懐かしい記憶、思えば自分で気づくよりもずっと前から海市に恋していたのかもしれない。あれから長い時間がかかったが、鑑明はようやく堂々と海市を愛せる日を迎えたのだった。(  ̄꒳ ̄)いや~師父の回想が長い長いwその頃、雪深い赤山城の客桟に帷帽(イボウ)で顔を隠した客人が現れた。実は2人の女子は人を探しに来たという。「その人の特徴は?」海市の世話を任された小六(ショウロク)が応対していると、ちょうど上階から海市が降りて来た。「…見つかったわ」客人が薄絹をめくり上げると、海市は驚いて言葉を失う。その女子は自害したはずの鞠柘榴(キクシャリュウ)だった。( ゚д゚)… (つд⊂)ゴシゴシ …(;゚Д゚)…(つд⊂)ゴシゴシゴシ…(;゚Д゚)?! 鞠柘榴と蘇夷(ソイ)は生きていた。清海(セイカイ)公は方卓英のため自分たちの死を装っただけで、黄泉関(コウセンカン)で安全に暮らしているという。しかし今も卓英のため、情報を収集していた。「でも彼は…私が生きているとは知りません、弱みを握られずに済むからその方がいい」清海公は卓英の心がもっと強くなった暁には再会できると励ましてくれたという。「これが清海公からの言付けです、清海公は小方大人を案じていらっしゃいますよ?」海市は自分の部屋を鞠柘榴と蘇夷に譲り、飛び出した。すると驚いたことに師匠からの文を届けに来た陳哨子(チンショウシ)が現れる。方鑑明からの文の中は″天が定めた良縁″と書かれた婚姻書で、方鑑明と葉海市(ヨウハイシー)の名があった。「哨子哥…銀子は持ってる?馬を借りるから、悪いけど新しい馬を買って~!」陳哨子は走り去る海市を見送りながら、これからの人生もまた長い道のりだろうとつぶやく。一方、昭明宮では方鑑明が人払いし、霽風(セイフウ)花を眺めながら海市が到着するのを待っていた。↓_(⌒(_´-ω-`)_ 全視聴者が師父に謝った瞬間wその頃、緹蘭は決断を迫られていた。すると侍女・碧紅(ヘキコウ)が薬瓶を出し、王子を助けるためにはやむを得ないという。緹蘭は皇帝を裏切れないと断り、黒幕は自分を利用するためにも弟を殺すわけがないと考えた。「次に動きを見せるのを待って何者か暴き、策を考える…着替えるわ、陛下をお待たせしてる」そこで碧紅に薬瓶を捨てるよう命じた。しかし碧紅は納得がいかない。かつて男たちに襲われそうになったところを偶然、王子に助けられた碧紅、恩人である王子を救うためには旭帝を殺さねばならなかった。海市は天啓(テンケイ)に到着、一目散に昭明宮へ駆けつけた。すると回廊に道筋のように赤い花びらが敷かれている。海市が花道を進んでいくと、やがて中庭の霽風花の木の前に立つ師父を見つけた。「卓英に矢を放った時、急所を外しました」「卓英は私が送った酒壺をいつも左の脇下に携えている」鑑明は自分も卓英も海市の選択に賭けたと明かした。確かにあの矢で卓英は鵠庫での立場を確立したが、海市は自分だけ蚊帳の外だったと失望する。鑑明は海市を信じていたと訴え、苦しい思いをさせたことを詫びた。しかし海市は激怒し、婚姻書を投げつけてしまう。「苦しい?…ふっ、それで罪滅ぼしにこんな物を?!」海市は傷ついていた。師匠と結ばれない現実を受け入れ、想いを封印したが、まさか自分を利用した償いに婚姻を持ち出すとは…。海市は居たたまれなくなり去ろうとしたが、鑑明が海市を抱きしめた。「愛している!…愛していない者を娶らぬと言ったであろう?今宵、2人きりで婚礼を挙げよう」↓何だか見ちゃいけない物を見てしまった感( ̄▽ ̄;)緹蘭が着替える前に皇帝が愈安(ユアン)宮へやって来た。すると侍女が淑容妃お手製の菓子と汁物を運んで来る。緹蘭は身体が温まると汁物を勧めたが…。つづく( ̄▽ ̄;)何だか…熟練夫婦の…ゲフンゲフン…いや何でもないですw
2022.10.28
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第33話「謀反者の逃亡」朔日(サクジツ)の夜、方鑑明(ホウカンメイ)の予想通り金城宮(キンジョウキュウ)に左菩敦(サホトン)王・奪洛(ダツラク)が放った刺客が現れた。気配を感じた方卓英(ホウタクエイ)は真っ先に寝殿を飛び出し、ちょうど偏殿で待ち構えていた錬金師に襲い掛かる。しかし卓英の剣は錬金師の身体に刺さらず、あっけなく弾かれた。鉄の血か?>( ゚ロ゚)!! ( ˘ω˘ )<ふっ、覚えていたか錬金師は身体を鉄の壁にするという秘術・河絡錬金(カラクレンキン)を習得していた。一方、錬金師が卓英を引きつけている間に召風師は皇帝を狙った。すると方海市(ホウハイシー)が駆けつけ師匠を援護、しかし風より早く動く召風師を仕留めることは難しい。そこで卓英は皇帝に自分の剣を投げ渡し、草原の掟に従って錬金師に徒手での決闘を申し込んだ。方鑑明は海市と連携し召風師を倒した。そこへ決闘で勝利した方卓英が戻って来る。すると風前の灯となった召風師が古語で何かを伝えた。<死と戦士の栄誉をお授けください…><…旅立つがいい、あの世で会おう>卓英は召風師に止めを刺し、師匠と目配せした。陳哨子(チンショウシ)が警護団を連れて金城宮に到着した。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は見事に護衛の任を果たした方卓英を絶賛、褒美を取らせるという。「では遠慮なく…」卓英は錬金師と召風師を仕留めたかんざしでいきなり皇帝に襲い掛かった。しかし方鑑明が飛び出し阻止、誤って師匠の肩を突き刺した卓英は呆然となったが、鑑明は心を鬼にして卓英に斬りかかる。すると卓英はその機会を利用し、寝殿から逃げ出した。「卓英などいない!私は奪罕(ダツカン)なり!」٩(¨ )ว=͟͟͞͞ ピューッ!<″中の人″などいない!方鑑明は逆賊を育てた過ちを謝罪した。すると褚仲旭はまたしても自分の身代わりになった鑑明に過去の誓いを忘れるよう告げる。「…償いは十分だ」皇帝が寝所へ帰ると、鑑明は海市に卓英の追跡を任せた。「卓英を連れ戻せ、それができぬなら殺すのだ」「師父?!」「方卓英を討て!変心した卓英を討てるのはお前だけだ、兄ゆえお前には非情になれぬ…」夜が明けた。海市は全てが師匠の計画だったと気づき、ちょうど傷の手当てが終わった師匠を訪ねる。「師父は綾錦司(リョウキンシ)の人払いをして柘榴(シリュウ)に何かを告げたあと毒を飲ませた しかも蘇姨(ソイ)まで口封じするなんて…卓英に何をさせるつもりですか? 柘榴は昶(チョウ)王府から戻り自尽した、なのに卓英は昶王殿下ではなく陛下の命を狙いました 師父、あなたがそう仕向けたのですね?なぜ柘榴を亡き者に? 目が見えず寄る辺ない女子を卓英は慈しみ、大事にしてきたのです 柘榴を失って卓英は号泣していました、涙が枯れ果てるほどに…」「それが柘榴の死の理由だ…生きていれば卓英の弱みとなる」「ふっ…師父、あなたは生涯、弱点を持つつもりはないと? 卓英と私は兄弟であり盟友でもあった、あなたは師匠であり私にとって…ゥッ… 師父は冷たい、永遠の忠誠を誓った者ですら捨て駒に過ぎないのですから…」その時、軍旅が整ったと報告が届いた。「師父…私たちを引き取ったのは殺し合いをさせるためだったと?もうあなたを信じられない…」卓英が心配していた通り方鑑明の計画は海市を深く悲しませる結果になった。↓全視聴者を敵に回してしまった師父w一方、暗殺失敗を知った奪洛は苛立ちを隠せなかった。最強の刺客を送っても皇帝と方鑑明を倒せないなら大軍で攻め落とすしかない。しかし兵を無駄死にさせるつもりは毛頭なかった。「昶王が我らと手を組み、天啓(テンケイ)を手中に収める」ただしもうすぐ冬、挙兵に適した時期ではないため、奪洛は春を待つことにした。方卓英を追っていた海市たちは山間の空き家で卓英の馬を見つけた。すると卓英が現れ応戦、海市は兄に戦いを挑む。しかし師匠が予想した通り卓英は海市に怪我を負わせると動揺、隙をついて逃げ出した。海市は黄泉関(コウセンカン)に帰営した。聞けば師匠は私情に駆られないよう暗衛営ではなく北府軍の兵に方卓英の捕縛を任せたという。その多くは符義(フギ)が率いる配下だった。この半月、奪罕は単独で動き、何度も包囲を破っては勇猛な兵が犠牲になっている。実は最近、偵察に出た10人の兵も未だ戻っていなかった。奪罕はすでに迦満(カマン)の領土に侵入しただろう。しかし異民族の地に公然と踏み込むことはできず、海市は自分と符義で小隊を率いて近づこうと提案した。「師父の命に従い、私がこの手で捕らえる…(๑•̀ㅂ•́)و✧」方卓英は草原でふと馬を止めた。大きな夕日が映し出すのは愛しい人の面影…。卓英は微笑む鞠柘榴の姿にしばし心を和ませたが、その時、馬のいななきが聞こえた。小隊を率いる海市と符義はようやく卓英の姿を捉えた。しかし前方からも黒い外套を目深にかぶった鵠庫人たちがやって来る。すると海市が独り飛び出し、卓英が合流する前に得意の弓で狙うことにした。…卓英、これは私とお前の最後の賭けだ…海市がお前との情を捨てられず、命に逆らってお前を殺さぬ方に賭けよ…お前が勝てば自由と瀚(カン)州の地が手中に入る卓英は疾走しながら師匠の言葉を思い出していた。…海市、その矢を命中させてくれ、お前なら当てられるはずだ「(グサッ!)うっ!」海市の矢は卓英に命中した。そこへ鵠庫人たちが到着、落馬した卓英を囲んでしまう。海市は仕方なくそこで馬を引き返したが、その背中を薩莉亜(サツリア)が見送っているとは知らなかった。海市は復命のため、怪我が癒えぬまま符義と黄泉営を発った。しかし道中、高熱を出し倒れてしまう。符義は赤山城の駅館で海市を休ませたが、思いがけず医者の口から海市が女子だと聞いた。そこで口封じに医者を殺し、何食わぬ顔で海市を見舞う。「私は部隊を率いて先に出発する、方大人は回復次第、追いかければいい」方鑑明は海市の怪我が長引いていると聞いて心配した。卓英を追って1ヶ月余り、早く完治させねばのちにたたることになる。そこで薬を届けるよう命じたが、自分の名前では海市が拒むと考え、陳哨子が送ったことにした。施霖は昶王を訪ね、時が満ちる前に邪魔者の方鑑明を始末するよう進言した。施霖の後ろ盾が気になる褚季昶(チョキチョウ)だが、施霖は望みを同じくする者同士、いずれ顔を合わせる日が来るとはぐらかす。褚季昶はそれ以上、追求せず、方鑑明の手下を調べ上げるよう命じた。「情けをかける余地なく排除させる」思えば汾陽(ブンヨウ)郡主・聶若菱(ジョウジャクリョウ)は度胸と知恵を欠き愚かな最期を迎えた。しかし自分の名前を出さなかったことは評価できる。褚季昶はせめてもの弔いにその死を無駄にはしないと誓った。逆徒を育てた清海公は朝議で糾弾された。褚季昶は高みの見物、すると政敵たちが清海公の処罰と霽風(セイフウ)館の取り調べを嘆願する。しかし褚仲旭は命の恩人である方鑑明をかばい、決して辞職を認めなかった。すると皇帝の立場を考えた方鑑明はあえて自分から定和(テイワ)門の守衛への降格を申し出る。褚仲旭は清海公を罰しないまま退朝を命じたが、鑑明は勝手に城門に立った。↓かえって皆に気を使わせる師父w緹蘭(テイラン)が金城宮で待っていると、不機嫌な皇帝が戻ってきた。「一部の朝臣どもが朕とあやつを引き離そうとしている、朕を孤立させるまで手を緩めぬだろう」「…陛下が孤立する日など決して訪れません、お望みなら私がずっとおそばにいます」「そうか、いつまでだ?」「最後の最後までです」するとその夜、ついに褚仲旭は緹蘭の立后を決意した。符義は殺された主・蘇鳴(ソメイ)の敵を討つため昶王と手を組んだ。そこで天啓に到着すると密かに昶王府を訪ね、実は方鑑明の弱みをつかんだと報告する。「清海公の愛弟子・方海市が吐血して倒れ、赤山城の医者に診せました 医師の見立てでは女子特有の気血両虚であると…」思えば寝床も湯浴みも必ず独り、当時は貴族ゆえかと思っていたが、正体を隠すためなら合点がいく。確かに負傷しても医官に診せず自分で処置をしていた。符義は奪罕の件と弟子の正体を偽った件が重なれば、今度こそ方鑑明は逃れようがないという。しかし褚季昶は急いては事を仕損ずると言った。「決して向こうに手の内を悟られるな、じっくり攻めるのだ」つづく(  ̄꒳ ̄)え?卓英も知っていたわけ?柘榴が犠牲になること…ここでまさかの「トロッコ問題」w
2022.10.22
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第32話「決断の時」鵠庫(コクコ)左部の草原。左菩敦(サホトン)王・奪洛(ダツラク)は鳥文で召風師(ショウフウシ)が旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)の暗殺に失敗したと知った。しかし現場に実の弟・奪罕(ダツカン)がいたなら仕方がない。兄弟は双子のように顔も体つきもそっくりで、紅薬原(コウヤクゲン)の戦いではぐれたまま生き別れとなっていた。まさか弟が大徴(ダイチョウ)で方鑑明(ホウカンメイ)の弟子になっていたとは…。奪洛は方卓英(ホウタクエイ)が蘇鳴(ソメイ)を追いかけて瀚州(カンシュウ)に来た時、一目で奪罕だと分かったという。かつて母である紅薬帝姫に永遠に尽くすと誓った召風師、相手が奪罕では手の出しようがなかったのだろう。奪洛は次こそ皇帝と方鑑明を仕留めるべく、朔日(サクジツ)に再び召風師と錬金師を送り込むことに決めた。↓だから 髪 型 wその頃、無事に釈放された少府監の主事・施霖(シリン)は証拠隠滅のため、刺繍の密書を小さく刻んでいた。そこへ弟子が朝餉の準備ができたと知らせに来る。施霖は弟子に切れ端が入ったかごを渡し、しっかり燃やすよう命じた。すると入れ違いで今度は別の弟子が現れ、綾錦司(リョウキンシ)の典衣・鞠柘榴(キクシャリュウ)が生地選びに来ていると報告する。施霖は早速、居所を出たが、その時、鞠典衣が偶然、弟子のカゴから落ちた切れ端を触っているところを見た。「内官?布を落とされましたよ?」「ありがとうございます、典衣」驚いた施霖は急いで駆けつけ、不注意な弟子を厳しく叱って追い出した。柘榴は気にしていなかったが少府監で間者が見つかったばかり、施霖は長年、尽くして来た自分は杖刑(ジョウケイ)と俸禄1年分の罰金で済んだが、今や皆から見下されていると嘆く。「再び何かやらかせば生きていけません!」鞠柘榴は皇帝と淑容(シュクヨウ)妃の冬物の生地を選んで少府監を後にした。しかし施霖は鞠典衣が刺繍の暗号に気付いたのではないかと焦り、急いで追いかけ呼び止める。「忘れていました、実は昶(チョウ)王殿下が典衣を王府に招きたいそうです」なんでも聶(ジョウ)妃がいくつか残した刺繍品にほつれが見つかり、鞠典衣に修繕を頼みたいという。施霖が鞠柘榴と蘇姨(ソイ)を連れて昶王府にやって来た。確かに母の刺繍品にほつれはあるが、褚季昶(チョリチョウ)は鞠典衣を呼べと命じた覚えはない。ともかく話を合わせて典衣たちを繍房へ案内させ、施霖を正殿に呼んだ。聞けば処分前の密書に鞠典衣が偶然、触れてしまい、気づかれたのか否か見抜けないという。「念のため″朔日″まで鞠典衣を留めれば皆が安泰でしょう?」褚季昶は施霖が奪洛の手先だと気づいた。しかし施霖は失笑、あまりに読みが浅いという。「私が何者かはどうでもいい、私は殿下の助けとなる者です」その頃、方卓英は綾錦司に柘榴を訪ねていた。しかし朝早く少府監へ行ったきり戻っていないという。配下に調べさせたところ、柘榴は少府監を出たあと施霖と出かけたが、どうやら昶王府に向かったと分かった。城門に流觴(リュウショウ)旧府から蔵書が届いた。方鑑明は陳哨子(チンショウシ)に全て自分の書房に運ぶよう任せたが、そこへ方海市(ホウハイシー)が駆けつける。「師父、宮中の守備で多忙なのに、また面倒なことを? あんなに蔵書を引き受けて…傷は大丈夫ですか?」「ほぼ治った…あの日は大きな音で脈が乱れ、古傷に障っただけだ」鑑明はまさか皇帝の身代わりとなって傷を負ったとは言えず、笑顔で嘘をついた。その時、方卓英が血相を変えてやって来る。鞠柘榴が昶王府に連れて行かれたというのだ。方鑑明は興奮する卓英を引き止め、無理やり昭明宮へ連れ帰った。今、騒げばかえって鞠柘榴に危害が及ぶだろう。すると海市が自分に妙案があると伝え、むやみに動いては駄目だと説得した。その夜、海市は穆徳慶(ボクトクケイ)が止めるのも聞かず、強引に皇帝の寝所へ入った。重症を装っている褚仲旭は寝たふりをしていたが、海市は菓子の香りがすると指摘する。「鑑明め、ふざけおって…」褚仲旭は鑑明が海市にバラしたと憤慨、起き上がった。しかし海市は師匠から聞いたのではないと否定、実は皇帝と師父の暗号に気づいたという。あの日、温泉で刺客に襲われた皇帝は寝台に運ばれた際、鑑明の手を握りしめて指を動かしていた。「それでこれは策だと察したのです」「はあ~お前は子(ネ)年だろう?誰より目端が効くな…で、今度は何だ?」すると海市は方卓英と鞠柘榴の婚姻を許して欲しいと懇願した。方卓英と鞠柘榴の婚姻を命じる聖旨が下った。翌朝、綾錦司は昶王府に直ちに典衣を帰して欲しいと使いを送り、鞠柘榴たちは無事に解放される。鞠柘榴が昶王府を発ったと聞いた方卓英は師匠に感謝して迎えに行こうとしたが、方鑑明は命があると止めた。「会仙(カイセン)楼で茘枝(レイシ)の三花酔(サンカスイ)を買ってこい…早く戻れ」…機会があれば会えるやもしれぬ…卓英は急いで城門に向かった。その時、ちょうど柘榴が宮道を歩いていたが、卓英は愛しい人の姿に気づかず出かけてしまう。鞠柘榴と蘇姨が綾錦司へ戻ると、中庭で清海公(セイカイコウ)が待っていた。そこで蘇姨は典衣に報告し、独り黙って下がる。方鑑明は卓英が実は鵠庫王と紅薬帝姫の末子だと明かし、命の危機に迫られていると訴えた。「左菩敦王と瓜二つの顔が王位継承者の証となる 今、朝廷には左菩敦王と結託する者が潜んでおり、卓英の身分を暴いて排除するつもりだ 私は卓英に叔父の右王を頼れと勧めたが、卓英はそなたと一緒でなければ行かぬと… 心に想いがあれば何事も決断できぬ」「清海公、自分のすべきことが分かりました 彼にお伝えください、自分の命を大切にせねば私の命は無駄に捨てたことになると…」すると方鑑明は柘榴に毒薬を渡した。「この薬は効きが早く、何も感じず夢を見ているように逝けるだろう」清海公が帰ると蘇姨は涙に暮れる典衣に寄り添った。「私は孤独で行く所はありません…典衣の目となり、どこまでもお供いたします」その頃、方卓英は会仙楼にいた。しかし茘枝の三花酔は売り切れてしまったという。仕方なく別の店に行こうとしたが、突然、入口近くに座っていた客が1甕(カメ)ならあると声をかけた。卓英が娘の席へ行ってみると、驚いたことに娘は卓英の正体を知っている。「奪罕爾薩(ジサツ)…」「奪洛の手下か?」「ふっ…左菩敦王が忌み嫌う者の様子を探らせると思う?右菩敦王の命で参りました」「額爾済(ガクジセイ)叔父が?」実は酒甕の封泥(フウデイ)の中には馬を替える補給地の地図が入っていた。「9月中に莫紇(バクコツ)関外にお越しください、関を抜けたら護衛と共に迦満(カマン)から鵠庫へ…」すると卓英は酒を受け取り、密かに女の髪からかんざしを盗んで帰って行った。昭明宮に戻った方卓英は酒甕から地図を取り出し、三花酔を師匠の書斎の前に置いた。…早く柘榴に会わなくては…すると海市が現れ、一緒に綾錦司へ行くという。「うれしい知らせが待っているぞ!」しかし綾錦司の正門はなぜか錠が掛かって入れなくなっていた。2人は塀を飛び越え中庭から工房へ急いだが、そこで机にうつぶして息絶えた柘榴の姿を見つける。柘榴のそばには皇帝が方卓英との婚姻を下賜する聖旨が置かれていた。卓英は柘榴を抱きかかえ、自分の居所まで運んだ。後を追いかけてきた海市はそっと扉を閉じ、部屋の前に座って卓英の心が落ち着くのをじっと待つ。やがて辺りが暗くなる頃、卓英が部屋から出てきた。(´・_・`)<哥…( ー̀ωー́ )<当番に行く、柘榴を頼む朔日の夜、方鑑明は卓英と2人で皇帝の護衛についた。すると予想通り金城宮(キンジョウキュウ)に刺客が現れる。つづく( ゚д゚)… (つд⊂)ゴシゴシ …(;゚Д゚)…(つд⊂)ゴシゴシゴシ…(;゚Д゚)?!
2022.10.22
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第31話「隠しきれない真実」方鑑明(ホウカンメイ)は黄泉(コウセン)営の張承謙(チョウショウケン)から届いた密報を読んでいた。するとふと周幼度(シュウヨウド)の言葉が頭をよぎる。…愛する人といられるなら、それが1日でも海市(ハイシー)は幸せなはずです…そこへ海市が師匠の煎じ薬を持ってやって来た。鑑明は海市に密報を渡し、黄泉営に異常がないので戻らなくて良いという。「これを持っていても役に立たぬと?」鑑明が差し出したのは海市が返した玉板指だった。海市は喜んで玉板指を受け取ると、思わず鑑明に抱きついてしまう。「分かっています、師父がいつも私を突き放すのは危険な目に遭わせぬため でも私たちの勤めに長寿は望めず、離れたら2度と会えないかもしれない… だから危険は恐れません、恐れるのは師父が私をそばに置かず、遠ざけることです」すると鑑明は海市を愛する気持ちを隠さず、海市を抱きしめた。朝議では大臣が褚季昶(チョリチョウ)について諫言していた。昶王は負傷して以来、朝議に顔を出さず、最近は王府に芸人や鷹の卵を売る異民族が集まり、毎晩のように楽器を奏でているという。しかし旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は自分をかばって怪我をした褚季昶を自由にさせていた。そんな皇帝の寵愛を利用し、ある夜、外套を目深にかぶった異民族の男が昶王府に現れる。褚季昶は男の腕前を見るため刺客を放ったが、男は見事に風を操って刺客を捕らえた。「一撃で成功するなら左菩敦(サホトン)王と取り交わした謝礼の約束を果たす 貴部が迦満(カマン)を併合することに大徴(ダイチョウ)は関与しない」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は今夜も皇帝が暗殺される夢を見て飛び起きた。皇帝が帝姫府で襲われて以来、悪夢にうなされ病状が悪化してしまった緹蘭、しかし政務で忙しい皇帝をわずらわせないよう報告を拒む。しかし緹蘭の病は褚仲旭の知るところとなった。愈安(ユアン)宮に駆けつけた褚仲旭は緹蘭の病を治せない侍医に激怒したが、緹蘭が皇帝をなだめてくれる。一方、海市は急に殤(ショウ)州へ発つことになった周幼度を城門まで見送ることにした。「あの日、清海公から何か話は?」「師父の話?あ、私を都に残すと…」「それは良かった」海市はせめて春まで待ってはどうかと引き止めたが、周幼度は雪山で伝承の絶えた技が載る剣譜が発見されたため、どうしても見に行きたいという。「いつ戻る?」「分からない…」こうして周幼度は愛しい人の幸せを祈りながら旅立った。褚仲旭は緹蘭を静養させるため、冷えに効くという蝶泉谷の温泉に出かけた。海市も行宮を警護するため同行したが、うっかり周辺を見回してしまう。褚仲旭は海市を温泉から遠ざけ、罰として方鑑明の前でひざまずくよう命じた。しかしかえって鑑明と海市は人目がない場所で2人きりとなり、静かに過ごせる時間を得る。その時、突然、鑑明は胸に激痛を覚え、血を吐いた。「師父?!」「陛下を守れ!」褚仲旭は温泉の異変に気づいて緹蘭の元へ駆けつけた。その時、温泉から刺客が飛び出し、褚仲旭の右肩に暗器が命中してしまう。驚いた淑容妃が悲鳴をあげると同時に瞬時に岩陰から護衛が現れた。すると召風師(ショウフウシ)は護衛の顔を見て驚愕する。「奪罕爾薩(ダッカンジサツ)…」「海市!陛下をお守りしろ!」方卓英は逃亡した召風師を追跡したが逃げられてしまう。褚仲旭は方鑑明のおかげで無傷だったが、怪我を装って気を失った。金城宮は厳戒態勢が取られ、夜になっても日中の如く明るく照らされている。すると方鑑明は卓英を連れて昭明宮に戻った。卓英の報告では召風師の人相書を頼りに調査したところ、先日、良く似た男が昶王府を訪れてすぐ去っていたという。実は以前にも昶王府に奇術師が訪れていた。恐らく買収された奇術師が顧陳(コチン)氏の孫に毒を盛り、師匠を狙わせたのだろう。しかし昶王は皇帝の唯一の弟であり、帝紀の婚儀で命がけで皇兄を救った功績があった。昶王がいくら怪しくても確実な情報がなければ結論を出すことはできない。「もし昶王が関係するなら背後に大きな陰謀があるはずです」召風師のような奇才が未だ鵠庫に存在しているとは意外だった。そのせいで卓英は正体を見破られ、いよいよ真実を隠し通すことが難しくなる。すると方鑑明は紅薬原(コウヤクゲン)で卓英を拾った時のことを懐かしんだ。「私が名を尋ねると、お前は風変わりな言葉を話した、鵠庫の古語だと思う」「全く覚えていません」「たくさん話していた、ひと言目が″タクエイ″だった、だからお前を卓英と名付けた」鵠庫の伝説によれば数千年前、北の草原で寺九(シキュウ)という男が龍裔(リュウエイ)天馬を飼い慣らすため12年も奮闘したという。そして身体は石、髪は草のようになった頃、ついに天馬に乗ることに成功した。天馬はいななき、虹や雷雲の上を渡り、天地の間を12年も疾走、やがて寺九に手懐けられた天馬は女子に変わり、寺九の子を4人産んだという。この4人が鵠庫4部の祖先であり、同じく駿馬だ。「初めて会った日からお前は天馬だと分かった だがどんなに良い馬でも環境を間違えば天与の力が無駄になる 長年、お前を育て、武術と経略を教えたのは期待していたからだ いつの日かお前が瀚(カン)州を二度と殺し合いのない地にしてくれるはずだと…」方鑑明も卓英を手放すのは辛い決断だった。しかし海市が奪洛(ダツラク)と卓英が瓜二つだと知り、刺客が卓英の名を呼んでしまった今、卓英を天啓(テンケイ)に残すことはできない。「瀚州へ帰る貴重な機会だ、迂闊に過ちを犯すな お前の兄と叔父は犬猿の仲、今回の帰郷は成果をもたらす、私も助けを遣わそう」鑑明は鞠柘榴(キクシャリュウ)の面倒を自分が見ると約束し、決して辛い思いはさせないと約束した。すると卓英も覚悟を決め、自分の使命を果たすと誓う。恐らく召風師はまたやってくるはずだ。江湖の傑士は毎月の朔日(サクジツ)に天地の気を借りて最大の力を奮い起こす。「来月の朔日、我々が金城宮を護衛しよう」方卓英の心残りは海市のことだった。海市の師匠への秘めた想いを知っている卓英、この件を隠してもし事の情勢が変われば海市は悲しむことになる。しかし方鑑明は卓英が気にかけるべきことではないと言った。「あと数日、兄弟一緒の時間を大切にしろ、今後は会うことが難しくなる…」すると鑑明は最後に卓英の鎧を直してやった。海市は屋根の上で独り酒を飲んでいる卓英を見つけた。今夜はやけに感傷的な卓英、確かに多くのことが起きて、師匠の身体も治っていない。「師父はいつ治るんだろう?蝶泉谷でも急に吐血したし…」「吐血?!」「そうさ、知らないのか?陛下が襲われた時だ」卓英はしみじみ霽風(セイフウ)館の者は誰もが満身創痍だと漏らした。師匠も憂いや苦労が重なって吐血したのだろう。「海市…師父の世話を頼んだぞ」「なんだよ急に…分かった!何か隠しているな?危険な任務でも任されたのか?」「ふっ…まさか、霽風館で一番のやり手だぞ?千年のすっぽんより万年の亀よりも長寿だ!」「???…しっかりしろ、柘榴との祝宴を楽しみにしてるんだぞ?」翌朝、皇帝は病を理由に朝議を免除、大臣たちは紫宸殿をあとにした。大臣たちがいつも健康な皇帝の病に困惑する中、褚季昶は清海公を呼び止め、皇兄の病状を尋ねる。そこで方鑑明は皇帝が温泉に出かけた時、風邪を引いたようだと嘘をついた。「では金城宮にお見舞いに行っても?」「殿下は皇弟、当然、構いません、ですが風邪は人に移ります、殿下も回復されたばかりですし…」「心配ありがとう、では後日、訪ねることにする」褚季昶は笑顔で引き返した。しかし清海公に背を向けると、その顔からふいに笑顔が消える。つづく( ๑≧ꇴ≦)やっと本題キター!
2022.10.18
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第30話「愛する人の幸せ」偽物の褚琳琅(チョリンロウ)は皇帝の暗殺に失敗、捕縛された。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)と清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)は黒幕を明かせば命は取らないと約束したが、偽物は決して口を割ろうとしない。しかし鑑明はすでに偽物が汾陽(ブンヨウ)郡王の娘・聶若菱(ジョウジャクリョウ)だと調べをつけていた。汾陽郡王・聶敬汶一(ジョウケイブン)は聶妃の実弟であり、褚季昶(チョリチョウ)と焉陵帝姫(エンリョウテイキ)の母方の叔父にあたる。「そなたは帝姫の従姉妹ゆえ、容姿が似ているのだな?」汾陽郡王は儀(ギ)王に追随して九族皆殺しとなったが、聶若菱は網をかいくぐって逃げ延びていた。全てが明るみに出た聶若菱は褚仲旭を正当な血筋ではないと非難、かんざしを抜いて自分の胸に突き刺してしまう。結局、聶若菱は蘇鳴(ソメイ)との結託は認めたものの、首謀者を明かさぬまま息絶えた。偽帝姫と通じていた崔(サイ)太監は清海公の話を盗み聞きさせていた仲間を連れて逃げることにした。しかし少府監から出たところで方卓英(ホウタクエイ)に捕まり、御前に引っ立てられてしまう。巻き込まれた施霖(シリン)は何も知らなかったと涙ながらに許しを請うたが、崔太監は暗君に命乞いするなと開き直った。「白状する!全て私がやった!この者は私の命に従っただけ!」すると褚仲旭は2人を尋問するよう命じ、施霖も投獄されてしまう。今回の案件が解決したものの頭を抱える褚仲旭、しかし今では愛しい緹蘭(テイラン)がそばにいてくれた。一方、方海市(ホウハイシー)は周幼度(シュウヨウド)と酒楼で酒を酌み交わし、命を捨ててまで守ってくれる人がいながら反逆した聶若菱に憤る。「譲れぬ志を持つ孤高の人間は皆、迷いがないのか? 自分を愛してくれる人がいても志は捨てられないと?」「…孤高の人間は常人とは違う覚悟があり、多くの犠牲を払う 大切なものを犠牲にしなければ愛する人や自分自身を守り抜けないのだろう」「常人には持てぬ覚悟?」その時、周幼度は酒楼の前で黙って傘を差し、海市が出てくるのを待っている方鑑明の姿を見つけた。周幼度が泥酔した海市を連れて店を出ると、方鑑明が待ち構えていた。「迎えに来た…」すると方鑑明はまるで周幼度から海市を奪い返すように抱きかかえ、馬車で帰ってしまう。↓イヤイヤイヤイヤ…周幼度一択でしょう?w方鑑明は海市を居所へ運び、寝かせた。酔って悪態をついていた無邪気な海市、その寝顔を見ながら鑑明は複雑な想いに揺れる。海市は師匠に嫌われているとぼやいていたが、海市を想う自分の心など誰も知るはずがない。鑑明は重い身体を引きずって居所に戻ったが、そのままばったり倒れてしまう。方鑑明が目を覚ますと海市が付き添っていた。「師父!目が覚めましたか?!3日も眠っていたんですよ?毒にあたってたのに黙っているなんて…」実は鑑明が昏睡している間に方卓英と陳哨子(チンショウシ)が都に潜んでいた蘇鳴の手下を一掃、残党は全て廷尉に引き渡されて断罪されていた。六翼将(ロクヨクショウ)の案件も方鑑明をおとしめるための嘘だと皇帝が民に告示を出し、名誉は回復され職務にも復帰できるという。「薬を煎じて来ます、横になって…」海市は師匠へのわだかまりが解け、以前のように明るく振る舞った。侍医の話ではこれ以上、傷を重ねぬよう清海公に警告していたが、毒にまであたり非常に好ましくない状態だという。『このまま無理をし続ければ数年で命を落としかねません』一方、褚仲旭は自分をかばって毒にあたった褚季昶を見舞っていた。すると褚季昶は皇兄が優しく気遣ってくれるように皇兄に尽くしたいと殊勝なことを言う。「皇兄の命より大事なものはありません」褚仲旭は弟の献身に胸を打たれ、目頭が熱くなった。鵠庫(コクコ)左部の左菩敦(サホトン)王・奪洛(ダツラク)は蘇鳴を信じ過ぎたと後悔していた。蘇鳴が潜ませた間者も一掃され、損失は大きい。しかし精鋭を託さなかったことは不幸中の幸いだった。「安心しろ、手は打ってある…数日後、天啓(テンケイ)に潜ませた間者に指示を送る 良く見ていろ、方鑑明と旭帝がどんな最期を遂げるのかをな…」方卓英は静養中の師匠を訪ね、綾錦(リョウキン)司を害したのは崔太監だったと報告した。しかし方鑑明はやけに簡単に罪を認めたことを怪しみ、首謀を守るための捨て駒かもしれないという。「黄泉関(コウセンカン)の間者との関連を示す手がかりは?」「今のところは何も…」「探せ」卓英が拝命して下がると、入れ違いで海市が薬を持って来た。海市は今回の件でひとつ解せないことがあると言った。皇帝が宗室を探せと命じたのは悪意ある者に罠を仕掛けるためだろう。「蘇鳴が鵠庫に逃亡したあとも手下や間者は天啓に潜んでいた… だから陛下と師父で餌をまいたのですね? 蘇鳴は顧陳(コチン)氏に師父を訴えさせ、一夜のうちに天啓中に噂を広めさせた 師父から兵権を奪おうとして…だから師父は蘇鳴の策を逆手に取り、わざと職を辞した 兵権を奪われても宮中の警備は厳重で、蘇鳴も容易に手は出せない そこで蘇鳴は婚儀を利用して陛下の暗殺を企んだのですね しかしことを急ぐあまり迂闊にも手下を全員、動かしてしまった 師父は蘇鳴の焦りを利用して順調に事を進めた…でもなぜ帝姫が偽物だと分かったんです?」実は帝姫の乳母は鑑明が送り込んだ間者だった。劉(リュウ)嬷嬷(モーモー)が手に入れた薬の煎じかすを調べたところ、偽物は牡丹で喘息を起こすことが分かったという。その事実を暴かれる前にと焦り、偽物は婚姻を願い出たのだ。「人間は焦ると馬脚を表す」「師父って本当にすごい!」海市の言葉に悪い気はしない鑑明、すると海市は少し休むよう促した。その夜、すでに休んでいた緹蘭は激しい雷鳴を聞いて飛び起きた。その時、ちょうど緹蘭の様子を見に来た皇帝が現れる。褚仲旭は緹蘭が眠れるようそばにいると告げ、添い寝して手をつないだ。「陛下…雷がなるといつもこうして紫簪(シサン)姐姐のそばに?」「いいや、紫簪には怖いものなどないように見えた」すると緹蘭は紫簪が最も恐れていたのは皇帝が苦しむことだったはずだという。「大切な人が傷つき悲しむ姿は見たくない…陛下の幸せだけを願っていたはずです」確かに生前、紫簪は自分の願いは褚仲旭が幸せで永遠に楽しく暮らすことだと話してくれた。褚仲旭は緹蘭の言葉で紫簪の願いを思い出し、ついに過去の悲しみと決別しようと決めた。そこで穆徳慶(ボクトクケイ)に紫簪の肖像画や思い出の品を全て片付けるよう命じる。「今後は朕の心の中に紫簪をしまっておく…」海市が清海公の薬を煎じていると周幼度がやって来た。清海公に雪参(セツサン)を届けに来たという。すると周幼度は薬材を海市に渡し、清海公の書斎に向かった。周幼度は清海公に堂々と海市が好きだと宣言した。しかし海市の心には別の人がいるため伝えることができないという。「私や他の人間が割り込む隙がない」すると周幼度は清海公も海市を愛しているなら、なぜ応えてやらないのか聞いた。方鑑明は周幼度の挑発的な態度にいささか憮然としたが、正直に長く生きられない男では幸せを与えられないという。「寿命が短ければ海市を不幸にすると思うのですか? 海市は愛する人といられるなら、きっとそれが1日でも幸せなはずです」 海市には幸せでいて欲しい… 例えわずかでも愛する人との美しい思い出を作れたら、長い人生で悔いを残さずに済むはずです」周幼度の思いがけない指摘は方鑑明の胸に突き刺さった。方卓英は久しぶりに綾錦司(リョウキンシ)へ鞠柘榴(キクシャリュウ)を訪ねた。柘榴はちょうど中庭でうさぎの小白(ショウハク)と小乖(ショウカイ)に餌をあげている。それにしても少府監の間者が偽の帝姫と繋がっていたとは驚きだった。柘榴はふと叔母のおかしな密書のことを思い出し、偽の帝姫と崔太監が鵠庫と結託していた証しとなる刺繍された布を見たいと頼む。しかし卓英は柘榴を巻き込まないよう、自分に任せろと言った。つづく(´-ω-。` )ビィシャ…今回はウルっと来たわ
2022.10.16
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第29話「宿敵との対決」方海市(ホウハイシー)は周幼度(シュウヨウド)と別れ、昭明宮に戻った。すると代わりに婚儀の品物を受け取ってくれた方卓英(ホウタクエイ)が忙しそうに整理している。「海市!やっと戻ったか…これはお前にだ」周幼度は婚儀の品の中に海市への贈り物を忍ばせていた。「こんな高価な物、受け取れない…」化粧箱の中には美しい玉板指が入っていた。海市はその足で早速、師匠に婚礼祝いを渡した。しかし方鑑明(ホウカンメイ)は黙ったまま何も言ってくれない。2人の溝は埋まらぬまま、仕方なく海市はすぐ引き上げた。翌朝、方鑑明は皇帝に謁見し、海市を黄泉関(コウセンカン)へ戻すと報告した。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)と焉陵帝姫(エンリョウテイキ)・褚琳琅(チョリンロウ)は信頼できる海市を留めるよう説得したが、鑑明は頑として譲らない。そこで鑑明は昭明宮に戻り、海市を呼んで黄泉関に発つよう命じた。困惑しながらも黙って従うことにした海市、すると急に鑑明はそろそろ海市も嫁ぐことを考える年頃だという。「想い人がいるなら折を見て軍籍を抜くよう手配する、1年のうちに私が縁談をまとめよう」「分かっているくせに…その必要はありません」海市は深く傷つき、涙をこらえながら出て行った。褚仲旭が政務を終えて寝宮へ向かっていると海市が駆けつけた。出立のため急ぎ挨拶に来たという。褚仲旭はまだ勅命を出していなかったが、方鑑明の意向に沿って黄泉関へ戻るよう命じた。それにしても鑑明はなぜ頑なに海市を遠ざけようとするのだろうか。翌日、海市は周幼度を呼び出し、明日にも北へ発つと伝えて玉板指を返した。贈り物を拒否された周幼度は困惑したが、ひとまず海市が戻るまで預かっておくという。後は出発を待つだけとなった海市、昭明宮の中庭には今日も美しい霽風花が咲いていた。結局、師匠と一緒に花を愛でることが叶わぬまま、再び離ればなれになる。海市は別れを告げる勇気もなく、方卓英にも見送りはいらないと言った。方鑑明は一睡もできないまま夜を明かした。早朝、部屋の窓を開けると、向かいの部屋にいる海市の姿が窓紗に映っている。その時、海市が自分の玉板指にそっと口づけし、荷物と剣を持って出て行く様子が見えた。鑑明は海市の部屋へ入ると、机の上にある文と玉板指を見つける。…師父、文にてご挨拶します…私は頑固で意地っ張り、そのうえ疑り深い性格です…努力で運命を変えられると思い、何度も命に逆らいました…隔たりを埋められぬまま発ちます…これは天からの教訓、心根を改めよということなのでしょう…どうかお元気で清海公と帝姫の婚儀まであと数日、そこで褚仲旭は淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)に新しい衣を贈った。この衣を着て帝姫の婚前の挨拶を一緒に受けて欲しいという。緹蘭にとって確かに名誉なことだったが、皇帝の横に並べるのは皇后だけという掟があった。しかし褚仲旭は自分が認めれば構わないという。そして迎えた婚儀当日、昭明宮では方卓英たちが清海公の書斎に集まり、計画の最終確認に余念がなかった。帝姫府で清海公と褚琳琅の拝礼の儀が始まった。そして最後に新郎新婦がそれぞれ皇帝に一献する。褚仲旭はまず褚琳琅の杯を空けたが、急に苦しみ出して倒れ込んだ。「毒が…」招待客は騒然、その中には周幼度の姿もあった。褚琳琅は呆然としている方鑑明に短刀を突きつけ、忠臣を殺した暴君と邪臣を罰すると訴えた。驚いた皇弟・褚季昶(チョリチョウ)は何の証拠もないと皇兄たちをかばったが、褚琳琅は蘇鳴(ソメイ)という証人がいるという。すると逃亡した蘇鳴が現れ、気がつくと殿内は使用人に紛れていた配下に掌握されていた。帝姫府もすでに北府軍が包囲したという。蘇鳴は毒死した旭帝に代わり帝姫を即位させると宣言、命が惜しい臣下たちは帝姫に忠誠を誓うしかなかった。蘇鳴はついに方鑑明に復讐する時が来た。しかし斬りかかろうとした瞬間、宦官が飛び出し阻止、褚琳琅の首に刃を向ける。突然の出来事に驚く蘇鳴、実はその宦官の正体は方海市だった。帝姫を人質に取られた蘇鳴は鑑明の首に剣を当て対抗、その時、死んだはずの皇帝がむっくり起き上がる。「わ~はっははは!面白い!」←また福山さん?w「皇兄!生きておられたんですね!」喜んだ褚季昶は思わず皇兄の足にしがみついて喜んだ。蘇鳴は北府軍がいると高を括っていた。しかし現れたのは陳哨子(チンショウシ)率いる護衛団、方鑑明があらかじめ入れ替えていたという。「膿を出し切ったな、あとはきれいに始末せよ」謀反は褚仲旭の芝居で呆気なく決着が着いたと思われたが、その時、帝姫の侍衛・張英年(チョウエイネン)がカラクリを回し、壁に仕込まれた毒矢が飛び出した。褚季昶は咄嗟に皇兄をかばい、足を怪我してしまう。殿内に毒矢が飛び交い、客人たちが逃げ惑った。なだれ込んだ護衛団は逆賊を片付け、方卓英は皇帝を守る。すると鑑明は海市に帝姫の追跡を任せ、蘇鳴を追った。海市は周幼度の協力を得て逃亡した褚琳琅を追いつめた。もはや逃げられないと諦める褚琳琅、すると主を慕っていた張英年が身を挺して褚琳琅を逃す。しかし海市と衛兵に挟み撃ちにされ、褚琳琅はその場にへたり込んだ。一方、方鑑明は蘇鳴を追跡、ついに竹林で対峙する。「今日こそ我らの因縁を終わらせる…」蘇鳴は鑑明に戦いを挑んだが、鑑明に殺されてしまう。周幼度は出立した海市がなぜ引き返したのか疑問だった。実は海市は黄泉営に向かったと見せかけて身を隠し、夜になってから皇帝に接触したという。宮中を出た海市は城内に大勢の鵠庫(コクコ)人がいると気づいた。婚儀を前に厳重な警備を緩めて鵠庫人の潜入を許したのは師匠の意図したこと、つまり皇帝も事情を把握していると分かったという。そこで海市はようやく皇帝が婚姻を下賜したことも計画の一部だったと悟った。褚仲旭は海市の鋭い推察力に感心したが、命に関わる危険な計画のため、方鑑明は愛弟子を案じたと教える。しかし海市は危険だからこそ微力を尽くして皇帝と師匠を守りたいと嘆願、褚仲旭はならば太監に扮して自分のそばに仕えるよう命じていた。方鑑明は蘇鳴を始末するため、あえて危険を犯してた。しかし師匠が困難に陥っても自分1人で解決しようとするため、海市はまだ安心できない。「…思えば帝姫は気の毒な女子だ、火に飛び込む虫のごとく決死の覚悟だったのだろう」つづく(  ̄꒳ ̄)ん〜やはり女同士、どこか通じるところがあるんですかね?@同情的
2022.10.08
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第28話「師匠の結婚」旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は庭園で清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)の琴を聞きながら牡丹(ボタン)を待っていた。そこへ焉陵帝姫(エンリョウテイキ)・褚琳琅(チョリンロウ)が現れる。すると褚仲旭は公主の乳母だった劉(リュウ)嬷嬷(モーモー)を呼び、牡丹と引き合わせた。感動の再会を果たし抱き合う2人、その様子を湖の向こうで方海市(ホウハイシー)と方卓英(ホウタクエイ)が見ている。「帝姫は本当に五公主だったな」「私が考え過ぎだったのやも…」海市は今回の件で時に一歩退くことで情勢がよく見えるという道理がようやく分かったという。「私も冷静に計画して行動せねば」「方海市~お前も成長したなw」こうして褚琳琅は帝姫府に劉嬷嬷を迎え入れた。一方、回復したと思われていた淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は後遺症が残っていた。涼薬を飲み過ぎたことで子宮を損傷し出血した緹蘭、侍医は恐らく子供を産むことができないという。褚仲旭は呆然となったが、緹蘭は自分には子宝の福運がないだけだと受け止めた。しかし褚仲旭は医官院の診断など信用するなと訴え、必ず自分が治してみせるという。皇弟・褚季昶(チョリチョウ)が帝姫府にやって来た。しかし馬場で落馬したせいか姉はどこか元気がない。すると侍衛・張英年(チョウエイネン)はそれとなく帝姫が恋の病だと教えた。褚季昶も姉が清海公を慕っていると気づいていたが、ただ清海公の朝廷での立場が危ういだけに縁組は難しいという。清海公は六翼将(ロクヨクショウ)の件で追い詰められていた。皇帝は歯牙にも掛けないが、段(ダン)御史たちは清海公の排斥を迫っているという。しかもこの件は世間で盛んに噂され、皇帝は奸臣を擁護する暗君とまで揶揄されていた。驚いた褚琳琅は直ちに参内、皇帝に清海公の窮地を救うため嫁ぎたいと懇願する。「私はずっと清海公を慕っていました、私に婚姻を授け、清海公を堂々と天啓に留めてください」すると褚仲旭は苦労させた牡丹の願いなら叶えると約束した。独り身を貫くと誓った方鑑明は婚姻を辞退した。しかし褚仲旭は意に返さず勅命を下し、褚季昶に準備を任せてしまう。師匠の縁談で方卓英は海市を心配したが、海市は取り乱す様子もなく冷静を装った。その夜、帝姫府では劉嬷嬷が昔を思い出し、公主に牡丹の菓子を差し入れていた。褚琳琅は美味しいと喜んだが、劉嬷嬷が出ていくと急に激しく咳き込んでしまう。喘息の発作だと気づいた張英年は急いで薬を煎じると、薬材のカスは庭に埋めておいた。昭明宮にようやく海市が戻って来た。すると心配して待っていた卓英が出迎える。実は海市は一日中、昶王と一緒に婚儀の準備で奔走していた。昶王は清海公が訪客謝絶のうえ忙しく、好みを知っている海市に供を頼んだという。そこで卓英は自分から手伝いを断ってもいいと言ったが、海市はこれも経験だと笑った。「哥が婚儀を行う時も私が取り仕切るよ」その夜、鞠柘榴(キクシャリュウ)が独り工房で婚礼衣装を仕立てていると方卓英が現れた。柘榴は目が見えなかったが、肌で感じる空気で卓英の元気がないことを悟る。「心配事でも?」「長く霽風(セイフウ)館にいるが思いもよらなかった、独りだった師父が帝姫と婚姻を結ぶとは…」「世のことは全て因縁があります、そこに来た以上、そこに落ち着くように…」しかし卓英は婚礼衣装を眺めながら、海市の気持ちを思うと切なくなった。翌朝、海市は目録を持って婚儀の買い物に出かけた。そこでまず如意坊に立ち寄ったが、思いがけず周幼度(シュウヨウド)が現れる。実は如意坊も周幼度の祖父が残した店のひとつだった。海市は師匠の婚儀の支度に来たが、先に個人的な贈り物を探していたという。すると周幼度は店主に自分の婚儀用に準備してある調度品を出すよう頼み、そこから精美な作りの玉如意を選んだ。周幼度は海市が清海公の婚姻を心から喜んでいないと気づいた。そこで自分の店を回って目録の買い物を全て片付けると、自分に付き合って欲しいという。( ゚д゚)<爺爺、一体、店をいくつ持ってるの?(  ̄꒳ ̄)<さて全部、西宮門に届けたぞ、付き合ってくれすると周幼度は海市を連れて大道芸の見物にやって来た。海市は見事な技に驚き、やがて自然と笑顔が戻る。つづく(  ̄꒳ ̄)もう周幼度でいいじゃない@み◯を
2022.10.07
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第27話「落馬の傷痕」焉陵帝姫(エンリョウテイキ)に接近したことで師匠から厳しく叱責された方海市(ホウハイシー)。それが方鑑明(ホウカンメイ)の真心だとも知らず、海市は帝姫府に使いを送り琴の譜面を届けた。喜んだ褚琳琅(チョリンロウ)は参内がてら巡回中の海市を見つけて礼を伝えたが、その様子を偶然、旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)に見られてしまう。「…方海市はいつの間に牡丹(ボタン)と親しくなったのだ? 牡丹が好意を寄せているのは鑑明なのか方海市なのか?」それにしても廷尉(テイイ)の調べを受ける清海公(セイカイコウ)を誰もが遠ざける中、褚琳琅だけは違う目で見ているらしい。「面白い」←福山さん?w海市は回廊でばったり周幼度(シュウヨウド)と出くわした。皇帝が瀚(カン)州から取り寄せた馬が間も無く到着するため、試乗の手配を父から命じられたという。海市は今さらながら周幼度が名高い武郷(ブキョウ)侯府の公子だったと思い出した。「そう言えば調べていた件は解決したのか?」「実は手を焼いている…人目につかぬ場所で話そう」周幼度は海市が聶(ジョウ)妃の元使用人を探していると知り、早速、居場所を突き止めた。そこで海市は直接、劉(リュウ)嬷嬷(モーモー)を訪ね、当時の話を聞き出す。すると帝姫が西の郊外にある狩場でこっそり馬に乗って落馬し、左腕に怪我をしたと知った。傷痕が残ったことから先帝は激怒して馬を殺し、護衛を罰して皇宮から追放したという。海市はお礼に周幼度に酒をご馳走し昭明宮に戻った。すると師匠に呼ばれ、帝姫の件だと気づく。方鑑明は何か言いかけたが、その前に海市が自ら反省してくると言って出て行ってしまう。]<バタン! あ…( ̄▽ ̄;)海市は罰として書房にこもり書写を始めた。乳母の話では帝姫は騎馬の他にも幼いうちから調香と闘茶、琴棋書画に精通していたという。しかし何より愛していたのは牡丹だった。好きというより執念さえ感じるほど牡丹を愛していたらしい。どんな時も牡丹をそばに置き、季節でない時は香を作って身につけていたという。任務を終えた方卓英(ホウタクエイ)が海市の様子を見にきた。明日は皇帝のお供で馬場へ行くため、数日はここでおとなしくしていろという。「哥(グァ)、師父も一緒か?」「帝姫も来るそうだ、皆が噂している、帝姫と師父が最近、親しくしていると…」そこで海市は卓英に仮病を使わせ、師匠に卓英の代役だと嘘をついて馬場へ同行することにした。一方、褚仲旭は心を入れ替え、淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)に優しく穏やかに接するようになっていた。緹蘭も皇帝への警戒が解け、2人の距離は縮まっていく。その朝、褚仲旭は馬場へ出かける前に愈安(ユアン)宮を訪ね、静養中の緹蘭を見舞った。「そなたの馬も選んでおこう、性格のおとなしい雌馬をな、回復したら朕が乗り方を教える」「感謝します」綾錦司(リョウキンシ)では帝姫の2枚めの衣が完成、鞠柘榴(キクシャリュウ)は牡丹の香りづけを行っていた。そこで最後に牡丹香の粉末を衣の目立たない場所に付けておくよう頼んだが、蘇姨(ソイ)は粉が肌についたら帝姫が不快に思うと心配する。しかし柘榴は帝姫がかつて衣に粉末をつけていたと話し、帝姫が馬場から戻る頃を見計らって屋敷に届けることにした。海市が周幼度と馬を見ていると帝姫が馬場に現れた。落馬経験がありながら恐怖心のない様子の帝姫、実は牡丹の目当てが方鑑明だと褚仲旭は知っている。皇弟・褚季昶(チョキチョウ)も気を利かせて清海公(セイカイコウ)に褚琳琅の護衛を頼んだが、褚仲旭は見物だけだと釘を刺した。「独りで馬に乗せたらあの世の先帝がお怒りになるぞ?」しかし褚琳琅は国を追われた時、三日三晩も馬を走らせて逃げたと訴える。思わず顔を見合わせる褚仲旭と方鑑明、すると褚仲旭は苦労した牡丹に同情し、仕方なく馬を贈ると決めた。「鑑明よ、従順そうな馬を選んでやってくれ」方鑑明は帝姫を厩舎に案内、漆黒の馬を勧めた。褚琳琅は何とか清海公と一緒に馬に乗ろうと食い下がったが、方鑑明は何かと理由をつけて断ってしまう。そこで褚琳琅は黒い馬の鞍が茶色なのはおかしいと難癖をつけ、清海公に別の鞍を選ぶよう頼んだ。海市は師匠たちの様子が気になって上の空、すると周幼度がこの馬でどうかと声をかける。「ああ、どの馬でもいい」「つまりまだこれだと思う馬に巡り合っていないのだな…」周幼度は人間と馬にも相性があり、欲しい馬はひと目見れば分かると説明した。「今日、無理に選ぶ必要はない…そうだ、瀚州から酒も届いた、一緒に飲もう」しかし鑑明と海市が帝姫から目を離した瞬間、帝姫が馬に乗って勢いよく馬場へ飛び出して行ってしまう。褚琳琅は方鑑明が鞍を探している隙に勝手に馬にまたがり、驚いた馬が疾走した。観覧席は騒然となったが、褚仲旭は方鑑明がついていると安心させる。すると褚琳琅は鐙(アブミ)から足を引き抜き、わざと落下した。しかし後を追っていた海市が瞬時に馬から飛び出し、危機一髪のところで帝姫を抱き止める。海市は帝姫の腕をつかんだ機会にそれとなく左腕を確かめたが、本当に傷痕があった。誰もが帝姫の身を心配する中、周幼度だけは海市を心配して駆けつけた。しかし海市は急いで師匠を追いかけて行ってしまう。「師父…傷痕を見せるために私に行かせたのですね…帝姫は本物でした」方鑑明は海市がようやく納得したと分かり、皇帝たちの元へ戻って行った。褚仲旭は帝姫を危険に晒した方鑑明を叱責し、屋敷までちゃんと送り届けるよう命じた。すると帝姫府の前で鞠柘榴が待っている。そこで褚琳琅は典衣の来訪を口実にし、清海公を茶に誘った。帝姫の侍衛・張英年(チョウエイネン)は早速、帝姫の衣を受け取った。しかし衣の牡丹香に気づき、怪訝そうな顔で帝姫に目配せする。「…離れていても分かる、牡丹香ね」褚琳琅は疑われないよう早速、化粧箱を開けて衣を見ると、大袈裟に称賛して典衣に褒美を出した。一方、方卓英と海市は宮中の巡回に戻った。すると回廊で偶然、段(ダン)御史に出くわす。「もうすぐ日暮れですが、陛下に奏上ですか?」「ふん…顧陳(コチン)氏の騒動をこのまま放置してはおけないのでな 清海公はしばらく身を引くことになったが、私は休んでいる暇はない」段御史は清海公の弟子たちに嫌味を言って先を急いだ。海市はようやく師匠が厳しい状況に置かれていると知った。冷たく関わるなと突き放したのも、自分を顧陳氏の騒動に巻き込まぬためだったのだろう。海市は酒楼で酒をあおりながら、自分の思いばかりを優先し、なぜ師匠の思いを理解しなかったのかと後悔した。師父を助けるつもりが、本当は傷つけてきたのだろうか。思えば帝姫への疑念も悔しさや嫉妬からだったのかもしれない。…だとしたら自分が情けない…その時、ちょうど同じ酒楼に周幼度がいた。友人たちは風流な周幼度が女子を避けていると訝しみ、もしや意中の女子でもいるのかとからかう。周幼度は相手にしなかったが、その時、独りで酒を飲んでいる海市の姿を見つけた。周幼度が海市の席へ向かうと、すでに海市は泥酔していた。そこで給仕にすぐ方卓英を呼ぶよう頼み、個室で休ませることにする。「師父…師父…」「師父じゃない、周幼度だ」「ん?…ぁ、公子も娘子(ニャンズー)に怒られるのが嫌か?私も師父に怒られるのは嫌だ~ 師父が眉をひそめると嫌われたのかと不安になる~ムニャムニャ…」「娘子はいない、だが理由は同じようなものだ 海市、″愛する人と永遠に″という言葉を知っているか?この言葉を忘れないでくれ 縁ははかない、愛する人に出会ったら、精一杯の力を尽くして手に入れろ」( ˘ω˘ )うんうん…ムニャムニャ…しかし海市を迎えにきたのは卓英ではなく方鑑明だった。「卓英は夜番だ、迷惑をかけて済まなかった」方鑑明は海市を引き取り、部屋に連れ帰って寝かせた。「周幼度~周幼度~ムニャムニャ」「違う、方鑑明だ」「方鑑明?あ~知ってる、私が昔、好きだった人だ~ さっきの言葉、覚えておくよ~″愛する人と永遠に″…zzzzz」「″愛する人と永遠に″…」鑑明は布団を直してやると部屋を出て行った。翌朝、緹蘭が目を覚ますと皇帝がいた。緹蘭は改めて姉を真似て褚仲旭を傷つけたことを謝罪、それでも自分を受け入れてくれたことに深く感謝する。「陛下、これからは陛下に温もりを与えられるような女子になります」2人は手を握り合い、心を通わせた。方卓英は寝坊した海市を起こしに来た。するとちょうど海市が部屋の戸を開ける。「ふわぁ(ノビ~)会仙楼で酒を浴びるように飲んだことは覚えている…誰が送ってくれたのかな?」つづく(  ̄꒳ ̄)師匠が笑える〜いや笑うところじゃないんだけどw
2022.10.01
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第26話「折れた簪」焉陵帝姫(エンリョウテイキ)・褚琳琅(チョリンロウ)は闘茶で清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)に完敗した。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は鑑明が相手で牡丹(ボタン)は上の空だったと揶揄し、気を利かせて鑑明に琳琅を送るよう命じる。しかし鑑明は城門まで見送ると、あとは陳哨子(チンショウシ)に任せて引き返した。一方、偶然、師匠と帝姫の闘茶の様子を見かけた方海市(ホウハイシー)は褚琳琅への疑念を深めていた。褚琳琅と言えば幼い頃から香と茶芸に秀でていたはず、時間が経って記憶が曖昧になることはあっても、一度、極めた技まで振り出しに戻るはずがない。しかし方卓英(ホウタクエイ)は海市が師匠に何かと接近しようとする帝姫に嫉妬して疑り深くなっていると気づき、思わず鼻で笑った。その夜、方鑑明が窓際に下げた捕夢鈴(ホムレイ)を眺めていると、陳哨子がやって来た。尼華羅(ジカラ)へ遣わした者が戻って来たが、帝姫の話の裏付けが取れたという。陳哨子が報告を終えて出て行くと、鑑明はふと綾錦司(リョウキンシ)の典衣・鞠柘榴(キクシャリュウ)の話を思い出した。実は海市の指摘を受けて密かに帝姫の香に注意していたが、確かに何か引っかかるという。すると回廊から陳哨子と海市の話し声が聞こえてきた。「小公子」「夜食を食べて来たんだ、もう寝るよ」海市は陳哨子と別れて部屋に戻ろうとしたが、その時、かんざしが落ちて割れてしまう。方卓英は海市に頼まれ、武郷(ブキョウ)侯府・周幼度(シュウヨウド)を昭明宮に招いた。その洒脱なたたずまいはまるで方鑑明のよう、しかし周幼度は高名な清海公と自分では月と蛍の光ほど違うと謙遜する。そこへちょうど卓英が香料を抱えてやって来た。海市は調香に詳しい周幼度から教えを請いたいと頼み、牡丹と蓮それぞれの香袋を渡す。すると周幼度は匂いだけで帝姫の愛用の牡丹の香だと分かった。「これは牡丹の花蕊(カズイ)・辟寒(ヘキカン)・月支(ゲッシ)など14種類の原料を混ぜて作る 一方、芰荷香(キカコウ)は燻した蓮に芸香(ウンコウ)や都夷(トイ)など7種類の原料を合わせる」ただし辟寒と都夷は相容れない性質のため、合わせて使うと全身に赤い発疹が出るという。例え同じ場所に置いておくだけでも全身に発疹が出るというのだ。周幼度は香譜で帝姫愛用の香の処方を見たことがあるため間違いないと言った。しかも手順を記したのは清海公だという。「つまり師父も調香を?」「私に聞かずとも身近な達人に聞けば済んだのに…クスッ」かつて都では若者たちが集まっては茶と香に興じ、中でも清海公が作る香は異彩を放っていた。しかし皇帝が即位後に質素を望み、今では下火になってしまったという。…師父も最初から帝姫を疑っていたのね、何かお考えがあるのかしら…↓( ゚ェ゚)oO(師父?…いや触角がないから違うw方鑑明が昭明宮に戻ると、涼亭にいる海市たちに気づいた。その時、偶然、香の匂いを確認しようとした海市と周幼度が近づき過ぎて頭をぶつけてしまう。2人の親密な様子に面白くない鑑明、すると海市が師匠の姿に気づいた。( ゚ロ゚)<師父!(; ̄▽ ̄)<お、おぅ…客人か?4人は一緒に食事をすることになった。周幼度はこの機会を利用して海市に姉妹がいるか聞いたが、海市はひとりっ子だという。「なぜだ?」「何でもない」都で見かけた海市を女だと見抜いていた周幼度、そんな周幼度を鑑明は密かに警戒した。海市が周幼度を門まで見送り昭明宮に戻ると、回廊で師匠が待っていた。そこで鑑明は海市にかんざしを贈る。「きつく叱り過ぎた」しかしそんな鑑明のあやふやな態度がかえって海市を傷つけた。「師父が弟子の過ちを正すのは当然のこと、謝罪の必要などないし、ましてやこれも受け取れません 私の気持ちはご存じでしょう?はっきり言ってください、あなたにとって私は何なのですか?」「…気に入らぬなら捨てればよい」すると海市は化粧箱を回廊に叩きつけ、かんざしが折れてしまう。その様子を偶然、卓英が見ていた。翌日、方鑑明は卓英を呼んで碁に付き合わせた。しかし卓英は昨夜の師匠と海市のことが気になって上の空、惨敗してしまう。「師父…海市をずっと従軍させるわけにいきません、嫁に行く年ですよ?女子に戻してやらねば…」「何を言い出すのだ?」「ここ数年、海市はかつての無邪気さがありません 私は誰よりも海市を理解しています、一度、心に決めたら想い続ける…師父? もし師父に師弟の情しかないのなら、いっそ海市の想いを断ち切ってやってください」「…何を言っている?出て行け、今すぐ!」鑑明は卓英に見透かされたようで激しく動揺し、思わず声を張り上げ追い出した。翌日、海市は宮中で帝姫の侍女に呼び止められ、清海公への招待状を預かった。そこで師匠の書斎を訪ね、帝姫から霜平(ソウヘイ)湖で行われる琴の鑑賞に招かれていると伝える。鑑明は招待状を受け取ったが、黙ってまた書物を探し始めた。「師父、何か申し付けは?…なければ卓英と市へ出かけます」「行きなさい」鑑明と海市の関係はさらに拗れていた。方卓英は海市に気晴らしさせようと街へ出た。すると酒楼で思いがけず周幼度と再会する。2人は周幼度を誘って街を散策、しかし海市は心ここにあらずだった。その時、海市はふと露店で売っているかんざしに目を留める。周幼度は海市の目線の先に気づき、造花のかんざしを選んで海市に贈った。まさか方鑑明の馬車が通りかかり、その様子を見ていたとも知らず…。鑑明は折れたかんざしを持って簪店に向かっていたが、結局、そこで昭明宮へ戻った。↓(´゚艸゚)師父…なぜだろう、切ないはずなのに笑ってしまうw方卓英と海市が昭明宮に戻るとなぜか帝姫の姿があった。清海公に琴を習いに来たが、来客中だという。どうやら師匠は鑑賞会に行かなかったらしい。海市は公務で忙しいと師匠をかばったが、褚琳琅は海市が清海公から詩や書を教わったと聞いていた。「小方大人、よければ私に手ほどきしてくれないかしら?」褚琳琅は琴を弾いて聞かせたが、正しく弾けず音を外した。すると海市はすぐ間違いを指摘、師匠から習った運指法で弾いてみせる。「この曲は今の時代とは指使いが異なるのです」その頃、方鑑明は廷尉・宗裕(ソウユウ)の聞き取りが終わり、門まで見送っていた。すると陳哨子が駆けつけ帝姫の来訪を報告、小公子が琴を指南しているという。一方、海市はこの機会に帝姫を探っていた。「帝姫は今日、牡丹香をお使いでしょう?」「鼻は利かないようね?今日、焚きしめたのは芰荷香よ」「牡丹がお好きと聞いて早合点してしまいました」「牡丹香も愛用しているけれど、あいにく今日は違うわ」しかし辟寒と都夷は相容れない性質、合わせて使えば赤い発疹が出ると海市は知っていた。褚琳琅は海市の腕前に感心し、ちょうど新しい香合があるので渡した。金糸細工の美しい香合、中には丸い香が入っているという。そこへ方鑑明がやって来た。「海市が掟を破り、師父としてお詫び申し上げます」褚琳琅は気にしていないと言ったが、鑑明は陳哨子に帝姫の見送りを頼んで海市を連れて行った。皇女が男に贈り物を渡したとなれば大事だ。方鑑明は香合を受け取った海市を厳しく叱り、今後、帝姫と接触するなと命じる。一方的に責められた海市は師匠も帝姫を疑っているはずだと言い返し、何を考えているのか教えてもくれないと嘆いた。しかし方鑑明は海市を守るため、関わるなと冷たい。「師父にとって私はそれほど信用ならぬ役立たずですか?!」海市は思わず不満をぶちまけ、部屋に戻ってしまう。鞠柘榴は帝姫の衣を仕上げ、少府監の施霖(シリン)に託した。褚琳琅は鞠典衣の刺繍を絶賛、如才ない施霖に褒美を渡して下げる。しかし帝姫の侍衛・張英年(チョウエイネン)はうっかり施霖の媚びた態度は目に余ると口をすべらせた。( ̄◇ ̄;)<ぁ…言葉が過ぎました鞠柘榴は帝姫が衣を気に入ってくれたと知り、もう一着作ることにした。すると腹心の蘇姨(ソイ)が頼んでおいた牡丹香を買って来てくれる。「これは前の時代から受け継がれている処方で高値で買わされました」そこで柘榴はこの牡丹香を次の衣に使うことにした。つづく(  ̄꒳ ̄)卓英と柘榴の話はほんわかするわ〜でもカットでw
2022.09.30
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第25話「纈羅の花」翌朝、書斎にいた方鑑明(ホウカンメイ)は外から聞こえる卓英(タクエイ)の声で海市(ハイシー)が戻ったと知った。「その腕はどうした?(はっ)顔に血の気がないぞ?」「淑容(シュクヨウ)妃の治療で副薬用に少し血を抜いたんだ」「血を?!蘭茲(ランシ)での傷が癒えたとたん命知らずな真似を…」「淑容妃は命も危うい状態だったし…もう話は終わり、疲れた」「おい!」鑑明は窓紗から海市が部屋に戻る様子を見ていた。皇帝は気血を損ねた方海市のため昭明宮に補薬を届けさせていた。そこで方鑑明は自ら薬を煎じ、海市の部屋へ持って行く。額に手を当ててみたところ熱はない様子、その時、貧血で朦朧としている海市が鑑明の手をつかんだ。しかし鑑明はその手をそっと下し、帰ってしまう。一方、回復した緹蘭(テイラン)は大好きな書物に没頭していた。「淑容妃、お薬です…まだ静養が必要ですよ?」「…もう少し読ませて」「あとどのくらいだ?」その声は皇帝だった。すると褚仲旭(チョチュウキョク)は改心したのか、急に2度と緹蘭を冷遇しないと約束する。「霜平(ソウヘイ)湖へ行ってみよ、見せたいものがある」緹蘭は侍女たちと霜平湖へ向かった。すると驚いたことに一面に纈羅(ケチラ)の花が浮かんでいる。纈羅とは蓮に似た注輦(チュウレン)の希少な花で滅多に見ることができなかった。目を見張る緹蘭、恐らくこれが皇帝からの謝罪なのだろう。焉陵(エンリョウ)帝姫・褚琳琅(チョリンロウ)は宮中に戻るなり万人がひれ伏す勢いを得た。海市はそんな帝姫に違和感を持ち、成り済ましの可能性を疑う。確かに礼部が素性を徹底的に調べ、皇帝と昶(チョウ)王も認めたが、どうも引っかかる気がした。褚琳琅は見舞いがてら愈安(ユアン)宮に緹蘭を訪ねた。実は自分も尼華羅(ジカラ)に流れ着いた時、気候が合わず、1年の半分は病だったという。その後、縁あって学んだ調香により少しずつ回復、そこで自分が選んだ香料を渡した。「良ければ気休め程度に身につけてみて」褚琳琅はたわいない話をしてすぐ帰って行った。すると侍女・碧紅(ヘキコウ)は長年、落ちぶれていたわりに気取っていると嘲笑する。「淑容妃を見舞うふりをして宮中を探っていましたね」「異郷で苦労をしたから何事にも慎重になるのよ」緹蘭は無礼のないよう釘を刺したが、関わらないことが一番だと心得ていた。瀚(カン)州から知らせが届いた。敵に寝返った蘇鳴(ソメイ)は左菩敦(サホトン)王の参謀となり、小部族をいくつか滅ぼしたという。方鑑明は蘇鳴も手柄を立てることに必死でしばらく黄泉(コウセン)営を攻める暇はないと考えたが、天啓(テンケイ)の防衛は怠らないよう命じた。すると務めから戻った海市がやって来る。「実は気になることがあるので念のため報告します 今日の当番で帝姫に会った時、牡丹ではなく蓮の香りがしました 帝姫には不審な点があると感じます、尼華羅へ誰かを遣わし調べを…」しかし鑑明は皇帝が認めた帝姫を調べることは皇帝の判断を疑うことになると取り合わなかった。顧陳(コチン)氏が清海公を告発した案件は廷尉に一任されたが、証拠集めが困難で時間を有していた。しかし段(ダン)御史が朝議でしつこく清海公を糾弾、そこで宗裕(ソウユウ)は廷尉の審理期間は清海公を参内させず、政から遠ざけるよう嘆願する。すると方鑑明は配慮不足だったと認め、自ら職を辞し、調査に協力すると申し出た。褚仲旭は方鑑明を連れて敬誠堂(ケイセイドウ)に戻ると怒りを爆発させた。「狙いは兵権を奪うつもりだ!」「さようです」鑑明も分かっていたが、群臣の怒りを静めるためにも従ったという。その時、回廊で控える侍従が二人の話に耳をそばだてていた。褚琳琅は皇帝へ挨拶に参じたが、機嫌の悪い褚仲旭に追い返された。仕方なく皇宮を散策していると偶然、霜平湖に浮かぶ纈羅を見つける。纈羅をどうしても欲しくなった褚琳琅は侍女に小舟を出させて摘み始めたが、うっかり落ちそうになった。ちょうど付近で立ち話をしていた卓英と海市が気づき、当番の卓英が助けに向かおうとする。しかしちょうど通りかかった方鑑明がすかさず飛び出し、2人の見ている前で帝姫を抱きかかえて露台に戻った。卓英と海市は急いで駆けつけ失態を謝罪、帝姫を屋敷まで送ることになった。すると褚琳琅は2人が鑑明を師匠と呼んでいたことから弟子だと気づく。「雲麾(ウンキ)将軍・方海市と中郎将・方卓英ね?」「ご聡明だという噂は誠でした…長年、異郷にいらしたのに大徴(ダイチョウ)の事情に精通しておられる」「鑑明は幼友達なの、それに異郷にいても常に心は大徴にあったわ」海市はそれとなく探りを入れたが、褚琳琅の答えはそつがなかった。そこで今度は褚琳琅が持っている纈羅に目をつける。「殿下は蓮がお好きなのですか?」「纈羅も蓮の一種だけど″静客″の別名があるの 幽谷に生育し、誰からも愛でられることなく、優美に咲き、香りを漂わせる…」「恥ずかしながら蓮と区別がつきません」「蓮の葉はけばだち、水面から出て、切れ目がない、纈羅の葉は艶があり、水に浮き、切れ目もある でも香りの区別はつきにくいわ」「…それほどお詳しいとは、誠にお好きなのですね?」褚琳琅は思わず話し過ぎたと気づき、あでやかな牡丹ほどではないと付け加えた。香料を調合する時もまず牡丹を選ぶという。宮中を出た褚琳琅は輿に揺られながら、″南北方周(ホウシュウ)″という流行り言葉を教えた。「都の若者の中で武郷(ブキョウ)侯府の周幼度(シュウヨウド)以外、 あなたたち2人が洒脱で並ぶ者がいないという意味よ」すると褚琳琅は今日のお礼に贈り物を用意したいので清海公の好きな物を教えて欲しいと頼む。しかし卓英は霽風(セイフウ)館が厳格なため、師匠の私事を知らないとごまかした。方鑑明の書斎に海市が花を届けにやって来た。「よくぞ選んだ、夜には開花を見られるだろう」鑑明は膨らんだつぼみを見て喜んだが、海市の困惑する様子に気づく。「(あ)公務もある、今後は花を摘まなくていい」「…私ではありません、師父の書斎に飾るよう帝姫に託されました」一瞬、書斎に気まずい空気が流れたが、海市は改めて帝姫の様子はどこかおかしいと報告した。しかし鑑明は海市が案ずる必要はないと一蹴、すると海市は部屋を出たら言動を慎むと誓って帰ってしまう。鑑明は独りになると美しい花が忌々しくなり、思わず花瓶から抜き取ってごみ箱に捨てた。綾錦司(リョウキンシ)では鞠柘榴(キクシャリュウ)が仕事に追われていた。ちょうど淑容妃の外着を仕上げ終えたばかりだったが、すぐ帝姫の衣に取り掛かるよう命じられ休む暇もない。今夜も独り工房に残って刺繍を続ける柘榴、そこへ急に方海市が訪ねて来た。「香料のことを教えて欲しい…実は帝姫に関わることだ」帝姫と言えば幼い頃から非常に牡丹を愛し、香料の他にも装飾品や部屋のあつらえも牡丹で、幼名まで″牡丹″と名乗ったという。しかし海市が帝姫と会った時、2回とも蓮の香りがした。柘榴は近々、帝姫の採寸をすると教えたが、海市は柘榴を巻き込むつもりはないという。「分かりました、ただ香料の使い分は普通のことですし、2回だけでは偶然なのかも… あ、小方大人、武郷侯府の周幼度殿は調香に長けていると都で有名ですよ」海市は卓英を誘って街へ出た。実は卓英が周幼度を知っていると聞き、今度、紹介して欲しいと頼む。すると海市は卓英の俸禄を使って珍しい香料を買った。「はあ〜分かったぞ、この散財は帝姫を疑うゆえか?」海市は自分の直感だと認め、確実かつ慎重を期すために周幼度の意見が必要だという。一方、鞠柘榴は淑容妃の衣を届けるため愈安(ユアン)宮を訪ねた。まさか褚琳琅がちょうど緹蘭を見舞っているとは知らず、目通りを願い出る。その頃、緹蘭は香料のお返しに皇帝に下賜された石斛(セッコク)の腕輪を帝姫に贈っていた。すると侍女が現れ、鞠典衣の来訪を伝える。褚琳琅は自分がいながら緹蘭が断らなかったことから、皇帝に会いに行く途中だったと言って席を立った。こうして殿前に控えていた柘榴は偶然にも帝姫を見送ることになる。…やはり蓮の香りだわ…褚琳琅が皇帝を訪ねると、ちょうど涼亭で方鑑明と闘茶に興じていた。「琳琅、良い所に来た、得意の闘茶で鑑明と勝負せよ、朕は負け続けゆえ、そなたに託す」「ぁ…でも清海公は茶と香の達人だとか、牡丹、恥をかきたくありません ですがご命令とあれば恥を忍んで披露します」こうして鑑明と褚琳琅の闘茶が始まった。清海公が帝姫を救ったことから、宮中では密かに2人の縁談の噂が流れていた。そんな中、宮中に戻った海市は警護の当番に戻り、ちょうど涼亭にいる皇帝たちを見つける。どうやら闘茶は師匠が勝ったようだ。「…長い異郷暮らしですっかり腕が落ちました」「鑑明、牡丹は心ここにあらずだ、手加減せよ」すると褚仲旭は鑑明に牡丹を送って行くよう命じた。つづく(つД`)ノ やっと周幼度がクル〜ッ!
2022.09.25
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第24話「生き返った心」愛する方海市(ホウハイシー)を守るため自分から遠ざけたい清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)。しかし何も知らない海市は鑑明に拒絶され深く失望し、2人の関係はぎくしゃくした。その日も海市は鑑明たちと黄泉関(コウセンカン)に出立する湯乾自(トウカンジ)たちの見送りに出たが、公務が終わると独りでさっさと戻ってしまう。見かねた陳哨子(チンショウシ)は海市に中衛軍の腰牌を渡す際、礼儀として任務の初日には挨拶するべきだと諭した。海市は不機嫌そうに師匠の書斎を訪ねたが方鑑明が戸を開ける気配はなく、そのまま回廊から声をかける。「罪を認めに来ました」「…必要ない」すると鑑明は勅命が下ったからには自分ですべきこととすべきでないことを把握するよう戒めた。一方、宗室の生き残りを探していた旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は褚琳琅(チョリンロウ)だと名乗り出た娘を朝廷に呼んだ。皇弟・褚季昶(チョキチョウ)はカゴを持って大殿に入ってきた娘を見た瞬間、幼い頃の五姉の面影が蘇り、思わず駆け寄ってしまう。「牡丹姐姐!」褚琳琅は幼い頃から牡丹が好きで、いつもカゴに牡丹の花を入れて持ち歩いていた。すると褚仲旭はこの娘こそ先帝と聶(ジョウ)妃の娘だと確信し、焉陵帝姫(エンリョウテイキ)に封じて帝姫府に住まわせると命じる。しかし臣下たちは当然、皇帝の早急すぎる決断に困惑した。褚季昶はそんな大臣たちの反応を心配していたが、褚仲旭は他人など気にするなという。「そなたは朕のただ一人の皇弟、欲しい物なら何でも手に入れてやる」焉陵帝姫は屋敷に入り、挨拶回りも一通り終えた。しかし淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は静養中のため、愈安(ユアン)宮だけは訪れていないという。穆徳慶(ボクトクケイ)から話を聞いた褚仲旭は緹蘭がなかなか回復しないことを訝しみながら、冷遇していると誤解されないよう今夜の宴に呼ぶよう命じた。緹蘭はしがない1日、窓辺に座って過ごしていた。元気がない淑容妃を心配しながら見守る侍女・碧紅(ヘキコウ)、そこへ蔵に出かけていた碧紫(ヘキシ)が戻ってくる。「道すがら嬉しい話を聞きました、小方大人(ダーレン)が黄泉営から中衛軍に異動を… 今夜の帝姫の歓迎の宴を全て小方大人が手配したそうです」侍女たちは宮中に心強い味方が戻って来たと喜んだが、緹蘭は複雑だった。方海市を友だと思うからこそ、自分と親しくすることで名声が傷つけられることがあってはならない。「さらに望まぬのは…陛下の八つ当たりよ」そこへ皇帝の使いがやって来た。皇帝は美しい外套や豪華な装飾品を下賜、今夜は帝姫の歓迎の宴に同席するよう命じる。上の空だった緹蘭は侍従に促され勅命を受け取ったが、どんなきらびやかな贈り物を見ても虚しいだけだった。海市は宴を前に中庭を見回っていた。すると偶然、宴に向かう皇帝と淑容妃に出くわす。海市はその場で膝を突き拝礼、緹蘭は海市の姿に思わず顔をほころばせたが、それを見た褚仲旭は嫉妬から急に緹蘭の腕をつかんで強引に引っ張って行った。褚仲旭は酒が身体を温めることから、緹蘭にたくさん飲むよう強要した。そのせいで病み上がりの緹蘭は気分が悪くなり、咄嗟に着替えてくると断って退席する。すると道すがら、危うく池に落ちそうになったところを巡回していた海市が助けた。しかし運悪く皇帝が現れ、二人の親密そうな様子を見て憤慨、急に緹蘭を抱きかかえて連れて行ってしまう。海市は具合が悪そうな緹蘭を心配し、念のため寝宮の前で待機していた。一方、褚仲旭は亡き紫簪(シサン)の部屋に緹蘭を連れ込み、夜伽を強要する。緹蘭はもはや屈辱に耐えきれず、ついに皇帝に反発した。「こんなことをしてはいけない!紫簪姐姐が天から見ています… 愛する人を永遠に失うのは不幸なこと、でも陛下の行為は私に不公平だわ! なぜ私をいじめるの?!」その時、突然、雷鳴がとどろき、激しい雨になった。褚仲旭は奥の部屋に掲げられた肖像画の紫簪が見つめていることに気づき、一気に酔いが覚める。「公平?…俺は愛する人を失った…悪いことなど何もしていないのに…なぜ私なのだ?!」褚仲旭は肖像画の前でへたり込み、泣き崩れた。すると緹蘭は褚仲旭を抱きしめ、子供を優しくあやすようになだめる。「自分を苦しめないで、もう泣かないで…全ては過ぎ去ったこと…」海市が穆徳慶(ボクトクケイ)と控えていると突然、皇帝が淑容妃を抱きかかえて飛び出して来た。「侍医を呼べ!」淑容妃の姿を見た海市は子宮から出血していると気づき、このまま医官院へ直行するよう進言する。すると脈を見た侍医は淑容妃が自分の処方した薬を飲んでいないことに気づいた。もはや手遅れだと聞いた褚仲旭は驚愕、しかし緹蘭はむしろほっとしているように見える。「陛下が私を見ると心を痛めると知っています…これでいいのです」その時、海市が民間の処方を知っていると上奏した。一方、務めが終わった方卓英(ホウタクエイ)は綾錦司(リョウキンシ)に差し入れを届けることにした。しかし鞠柘榴(キクシャリュウ)が独りでまだ刺繍を続けている。「夜も更けた、続きは明日にしたらどうだ?」「…目が見えぬのですよ?昼も夜も違いはありません」その言葉に胸が裂ける思いの卓英、するとちょうど刺繍が完成した。「これを差し上げます」「深夜に刺繍していたのは私に贈るためか?」「日没の頃、やっと花の図案を考えたのです、お好みでしたら受け取ってください」卓英はありがたく受け取ると、皇帝から賜った菓子を勧めた。「これは柘榴の菓子ですね?」「だが松の実が入っていない、私が以前に食べたのとは違うんだ」その言葉を聞いた柘榴は思わず笑みがこぼれる。実は風神様にいつも供えていた柘榴の菓子には必ず松の実が入っていた。褚仲旭は独り医官院の前で悶々としていた。すると気配を感じ、方鑑明が来たのだと気づく。「鑑明…」しかし振り返ると方鑑明ではなく弟子の方海市が立っていた。「こんな時は皆、朕に近づき痛い目に遭うのを恐れるが、怖くないのか?」「私は誠実にお仕えしています、何も恐れません」実は海市も穆徳慶からこんな時、皇帝に声をかけることができるのは清海公だけだと聞いていた。褚仲旭は方海市の真っ直ぐな目を見ると、普段なら似ても似つかない方鑑明と方海市がひどく似ていると驚く。「…師父と私は純臣です」「純臣か、純臣は忠実で温厚なはず、鑑明は幼い頃から従順ではない むしろ当時は朕が鑑明に譲歩するほうが多かった、だがその後、だんだんと変わった」「師父はそんなにわがままだったのですか?」「わがままではない、自由だ…あの頃は朕も鑑明も自由だった 忠実な臣下でも天子などでもなく、我らは共に遊び、共に暮らし、共に学ぶ親友だった」「師父は昔の話をほとんどしません」「方海市、師父に代わり答えよ… お前のそばに良き人がいる、だがその者はいつもお前に思い出させる、最も辛い過去を… お前は愛する人を失った、ただの生ける屍だとお前に悟らせる お前はその者を喜ばせたくも思う、だがある時は傷つけたくなる、同じ痛みを与えたくなる ゆえにお前は一生、その者を愛せぬやも…そのような時、お前ならどうする?」「お答えします… 私ならその人に優しく穏やかに接し、いつも共にいて互いに尊敬し合います 失った恋人と同じように… 愛する人を失うことは最大の不幸、ですが天はまた良き人を与えてくれた その人を喜ばせたいと思い、傷つけ、痛みを味わわせたくも思う 私の心がその人のおかげで生き返ったのです、ならばなぜ優しくしないのですか?」褚仲旭は言葉を失い、ただ呆然と立ちすくんでいた。 つづく(´-ω-。` )緹蘭…
2022.09.24
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第23話「踏み出した一歩」皇帝が始めた宗室の生き残り探しで礼部は慌ただしくなった。そんな中、皇弟・褚季昶(チョキチョウ)の姉・聶(ジョウ)妃の娘だと名乗る褚琳琅(チョリンロウ)が礼部に現れる。報告を聞いた方鑑明(ホウカンメイ)は自分が戻るまで保留にするよう指示し宮中を出たが、大街で思いがけず孫を連れた老婆に馬車を止められた。「大人(ダーレン)!訴えたいことがあります!」方鑑明は群衆の手前、馬車を降りた。すると老婆は清海(セイカイ)公が六翼将(ロクヨクショウ)の阿摩藍(アマラン)や顧大成(コタイセイ)ら4人を手にかけたと告発する。「大人が亡くなった日、配下と一緒に屋敷に来たのを見ました」聞けば老婆はかつて顧家の使用人だったという。鑑明は誠意を持って訴状を必ず廷尉(テイイ)に渡すと約束し、自宅で待つよう指示した。しかし老婆は口の中に仕込んでおいた毒をかんで自害、驚いた孫も卒倒してしまう。方鑑明はまだ息のある幼い子供を抱いて馬車に乗った。しかし馬車が城門をくぐる頃、子供が突然、目を開き、隠し持っていた短刀で鑑明の胸を突き刺してしまう。「志は衰えず、不義に天誅を!」すると子供はそこで息絶えた。子供は毒で操られていた。古傷と同じ場所を刺された方鑑明だったが命に別状はなく、あらぬ噂が広まらぬよう陳哨子(チンショウシ)に口止めしておく。「海市(ハイシー)と卓英(タクエイ)にも内密に…」その頃、海市は土産物を届けるため、卓英と一緒に綾錦司(リョウキンシ)を訪ねていた。すると鞠柘榴(キクシャリュウ)が方卓英が選んだ生地で仕立てた衣を海市に贈る。「ぁ…しかし女子の衣装だし…」「小方大人、将来の夫人に贈っては?…サイズもピッタリかと(クスッ」海市は素直に感謝を伝え、実は自分からも贈り物があると言った。しかし卓英はもじもじして渡せず、しびれを切らした海市がばらしてしまう。「越州に帰る前、哥哥から柘榴姑娘に極上の糸を買ってくるよう頼まれたんだ」柘榴は貴重な鮫糸(コウシ)だと知って海市の心遣いに感謝すると、海市は兄の大切な人なら当然だと言った。驚いた卓英は決して無理強いするつもりはないと釈明したが、海市は男なら堂々と気持ちを伝えるよう畳み掛ける。突然のことにポカンとしている柘榴、すると卓英は居たたまれなくなり、咄嗟に務めがあると嘘をついて逃げるように帰ってしまう。海市が衣を受け取って綾錦司を後にすると、物陰から方卓英が飛び出してきた。「方海市!お前ってやつは…何を考えてる?!」すると海市は柘榴も兄を想っていると安心させ、皇帝に婚姻を願い出るようけしかける。婚姻と聞いて悪い気はしない卓英、しかしやはり慎重に進めようと思い直し、勤めに戻った。淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は侍女たちにせがまれ、庭園にやって来た。すると偶然にも方海市が歩いて来る。緹蘭は慌てて方向転換、しかし方海市に見つかり、呼び止められてしまう。「淑容妃?」「ぁ…」緹蘭は背を向けたまま、皇帝に冷遇される身でありながら、またも不興を買ってしまったと話した。「こんな私と関われば迷惑になります…」「淑容妃、例えどんな境遇に置かれても永遠に友人です あ…黄泉(コウセン)関に出立する前に挨拶に伺っても?」「どうぞお構いなく…人の目もありますのでお急ぎを…」「…分かりました、失礼します」海市は淑容妃の力になりたいと思ったが、困らせないようおとなしく下がった。陳哨子は念のため皇帝にだけ清海公の怪我の件を報告し、昭明宮に戻った。褚琳琅の肖像画を確認した方鑑明は海市にも気を配るよう頼み、なるべく早く都を離れさせねばならないという。「敵は私の過去を蒸し返そうとしている…老女を使ってまで私を陥れようとした どうやら手を緩める気はないらしい、嫌な予感がする」鑑明は腹心である海市、卓英、陳哨子まで巻き添えになることを何より恐れていた。海市はその夜、鞠柘榴が仕立ててくれた衣に袖を通してみた。水のように美しい衣、しかし運悪く、誰かが部屋の戸を叩く。「…誰?!」「私だ」海市は師匠だと分かってそのまま戸を開けた。美しい海市の姿に息をのむ方鑑明、しかしすぐ気を取り直し、早めに軍営へ戻るよう告げる。「…良く似合っている、だが誤解を招かぬよう控えろ」「はい(ショボーン)あ、師父、なぜ廷尉の者が来たのですか?」海市は昭明宮から帰るところだった宗裕(ソウユウ)たちと出くわし、暇があれば訪ねるように言われたという。すると驚いた鑑明は武将である海市が廷尉と関わってはならないと釘を刺し、宮中で少々、問題があったとだけ伝えた。その夜、方鑑明は突然、吐血した。太医は薬を飲めば安定すると言ったが、古傷が完治していないうちに新しい傷が重なり、こうして回復しないまま無理をすれば寿命を縮めかねないと諌める。陳哨子は太医の言葉に呆然となったが、鑑明は何も言わず太医の見送りを頼んだ。方鑑明は独りになると鮫人・琅嬛(ロウケン)の言葉を思い出した。…方鑑明、海市を愛しているの?…流觴(リュウショウ)方氏の主は代々、不幸な最期を遂げている。すでに大勢の恨みを買った鑑明、恐らく長寿を全うすることは天が許さないはずだ。…それでも海市が無事でいてさえすれば何も望むまい…褚仲旭は褚季昶と一緒に礼部が選別した宗室の生き残りの肖像画を確認した。しかし絵を見ても分からず、結局、礼部に一任する。そこへ湯乾自(トウカンジ)が黄泉関へ戻る前の挨拶にやって来た。「実はもう1つお話が…陛下、雷州の部族の中で注輦(チュウレン)は最も弱く、頼りは大徴(ダイチョウ)のみです 淑容妃は病弱で不安を抱えておられますが、宮中で気遣う者は誰もいないとか」驚いた褚季昶は兄の奥向きのことに臣下が口をはさむとは無礼だと叱ったが、褚仲旭は続きを聞いた。「口出しなど恐れ多い、ただ淑容妃には世話になりました、具合が悪いと聞いて心配しています 何とぞ陛下、淑容妃にお慈悲を…」褚仲旭は湯乾自を罰することはなかったが、幼なじみであっても心配は無用だと追い返してしまう。しかしやはり緹蘭の身体が心配になり、清泉(セイセン)宮にある温泉を使うことを許可した。鞠柘榴が見たいと言っていた虹が出た。方卓英は柘榴を霜平湖まで案内し、湖面にも美しい虹が映っていると説明する。「よく見ると木のツルや露のしずくにも虹が映り込んでいるよ」「なら途中にあった水たまりにも映っていたかしら?」「うん」柘榴は卓英の繊細な一面を知り、嬉しくなった。「今後は見たい物や思い出したい物がある時には私が話してあげるよ」卓英の優しさに柘榴は思わず顔をほころばせ、卓英の顔を見たいと願わずにはいられなかった。黄泉関に戻ることになった海市は久しぶりに張承謙(チョウショウケン)や弟分4人と合流、酒楼で飲んだ。するとその帰り道、会仙楼(カイセンロウ)で盛り上がっている講談師の話を小耳に挟み、一気に酔いが覚めてしまう。講談師はあろうことか清海公を忠臣殺しが明るみに出るのを恐れて姿を隠した男だと揶揄し、皇帝に媚を売りながら力を蓄えていたが老女に告発されたと面白おかしく話していた。激怒した海市は講談師の机に短剣を刺して話を遮ったが、咄嗟に張承謙が止める。「軽率に動いてはならぬ」海市は講談師の話から師匠が告発されたと知った。そこで翌朝、皇帝に謁見、中衛軍で働きたいと直訴する。棋譜を解いていた褚仲旭はその時、ちょうど黒石を置こうとしていたが、海市が咄嗟に止めた。「陛下、そこに置いたら黒が負けます」「なぜ朕が黒を勝たせたいと思うのだ?」「陛下、陛下は引き分けをお望みなのでは?どちらかを勝たせたら退屈しのぎにはなりません」「ふっ…面白い」←( ๑≧ꇴ≦)面白くなったのかw褚仲旭は海市の異動を認め、早速、聶妃の娘だという褚琳琅の護衛を任せることにした。左衛(サエイ)で将軍たちと協議中の方鑑明に思わぬ報告が届いた。驚いた鑑明は慌てて昭明宮に戻り、海市の部屋に駆けつける。「なぜ異動を願い出たのだ?!」「人手が足りぬと聞いたので」「その必要はない、すぐ戻れ!」鑑明の複雑な思いなど知る由もない海市はいつまで身を隠していればいいのかと食い下がった。「顧陳(コチン)氏の噂が消えるまでですか?」「…噂の件には関わるな」しかし海市は愛する鑑明をそばで守りたいと願い、師匠の汚名をそそぐと訴えた。「あの時なぜ口づけを?…私が心にいるのになぜ遠ざけるのですか?」鑑明は溺れた海市を助けた時、眠っている海市の額に密かに口づけしていた。「そばにいたいのです」すると海市はついに一歩ふみ出し、鑑明に口づけしてしまう。方鑑明は海市の行動に驚き、発作的に海市を突き飛ばした。「(はっ!)すまない」しかし海市は深く傷つき、師匠の手を振り払ってしまう。「師父に近づけたと思ってた…でも私のうぬぼれだったのですね、もう諦めます」すると海市は逃げるように部屋を出て行った。つづく( ゚ェ゚)・・・
2022.09.17
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第22話「鮫人との再会」方鑑明(ホウカンメイ)の計らいで方海市(ホウハイシー)は故郷に戻り、母と再会を果たした。ようやく普通の娘に戻れた海市、鑑明とも師弟関係を離れて穏やかな時間が流れる。その夜、海市は夜空を見上げ、思った通り漁村の月は美しいと喜んだ。「月だけはずっと変わらない…永遠というものを教えてくれているみたい」しかし鑑明は永遠などないという。「滄海変じて桑田となる…月にも満ち欠けがあり、満月もいつか欠ける ″永遠″とは恐らく人の執着に他ならない」「…なら執着すればいいわ」一方、天啓(テンケイ)では旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)が悶々としていた。実は清海(セイカイ)公が鵠庫(コクコ)の間者を引き取り育てたと密告する上奏文があったが、聞けば当人は方海市の故郷へ出かけたという。「反対を押し切って方卓英(ホウタクエイ)を紅薬原(コウヤクゲン)から連れ帰ったからこんなことに… 矛先は霽風(セイフウ)館に向いている、朕が握り潰さなければ鑑明は窮地に立たされていたのだぞ?」褚仲旭はひとしきり八つ当たりしてから陳哨子(チンショウシ)を下げた。愈安(ユアン)宮では床を離れた淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)が眠れずにいた。窓辺には方海市からもらった捕夢鈴(ホムレイ)が下がっている。「これがあれば悪夢を見ないって本当かしら?」心の拠り所だったウサギの小乖(ショウカイ)も今では綾錦司(リョウキンシ)で小白(ショウハク)と仲良く過ごしているらしい。「なら良かった…良かったわ」しかし緹蘭は今にも孤独と不安に押しつぶされそうになっていた。葉(ヨウ)母は娘の行く末を心配し、こっそり方鑑明に海市の世話を頼んだ。「都で私の代わりにあの子を気にかけてやって… 食べ物や衣は足りているか、辛い思いをしていないか」「はい、約束します」翌朝、鑑明は葉母の勧めで投げ網を見学に行った。葉母は急に手伝いを頼まれ、海市にすぐ戻ると声をかけて出かけてしまう。その時、急に刃物が突き刺さる音が聞こえた。「阿娘(アーニャン)?」海市が不審に思って外へ出てみると脅迫文を発見、母を救うため丸腰で崖まで駆けつけた。刺客は葉母と引き換えに方卓英が鵠庫の間者だと告発するよう迫った。その時、海市は急なめまいに襲われたが、機転を利かせて筆と墨を要求する。そこで証言すると見せかけ、まず筆と墨を投げて母を拘束している男を撃退、さらに呆然となった刺客から剣を奪い、見事な武功で母の元までたどり着いた。しかし刺客たちに崖っぷちに追い詰められてしまう。すると方鑑明が現れた。「師父!」「お早いお出ましだな~」「漁村の女子を丸め込んで霽風館の見張りを消したくらいで私の耳目を塞げるとでも思ったか?」( ゚ェ゚)<師父?!@葉母方鑑明と海市は敵に応戦、しかし崖から落下した刺客が咄嗟に海市の足首をつかんで道連れにした。鑑明は瞬時に海市の腕をつかんで助けたが、海市は刺客が暗器を出すのを見て驚き、自ら師匠の手を離して海へ落ちてしまう。「はいし~レモン!」その時、暗影団が到着、鑑明は証人を残せと命じ、海市を追って海へ飛び込んだ。方鑑明は海底に沈んでいく海市を見つけた。するとそこへかつて海市を救った鮫人・琅嬛(ロウケン)が現われる。琅嬛は海市の腕を捕まえると、鑑明に引き渡した。…方鑑明、海市を愛しているの?それなら連れて行きなさい…↓え?友達?w海市が目を覚ますと師父の顔が見えた。「師父…めまいがする」「頭を打ったのだろう、眠れば良くなる…」鑑明は海市の布団を直してやると、生捕りにした刺客を一足先に都へ護送した。宮中に戻った方鑑明は陳哨子から密告の件を聞いた。しかし都で奪洛(ダツラク)の顔を知る者はいないはず、鑑明は左王と方卓英は他人のそら似だと言ってごまかせばいいという。褚仲旭はようやく戻った鑑明と海市に苛立ちを隠せなかったが、鑑明は自分が留守の間に敵が何を仕掛けるか探るためだったと明かした。「まさか越州まで追ってくるとは想定外でした、海市を脅して私を告発させようとしたのです」すると褚仲旭は3日のうち刺客の口を割らせるよう命じ、さもなくば海市を罰すると迫った。方鑑明は黒幕を明かす見返りに安然な生活を保証した。すると刺客は自白を決意、しかし驚いたことに指示したのは皇弟の褚季昶(チョキチョウ)だという。褚仲旭はただ一人の弟が自分を陥れるはずないと一蹴、しかし鑑明はだからこそ潔白を確かめるべきだと諫言した。綾錦司(リョウキンシ)の典衣・鞠柘榴(キクシャリュウ)は清海公に春用の衣を届けに来たという口実で昭明(ショウメイ)宮を訪ねた。方鑑明は何か報告があると察して人払いすると、柘榴は叔母の部屋で見つけた密書を差し出す。「こうした伝書はすぐ燃やすのが決まりのはず、それにこれは姑姑の手法とは微妙に違います もしや毒死に関連があるのではないと…」「表沙汰にすればかえって名誉を損なう、私が調べるので綾錦司では不問に…」「はい、分かりました」すると方鑑明は柘榴も身の安全には十分、気をつけるよう念を押した。褚仲旭は弟を呼び出し、刺客と対面させて様子を見ることにした。すると刺客は後から部屋に入って来た昶王にすがりついて命乞いする。褚季昶は驚いて逃げ回ると、弟の無実を確信した褚仲旭が姿を見せた。刺客は咄嗟に割れた茶器の破片で昶王を脅したが鑑明に阻止され、結局、自分の首を切り裂いて自害してしまう。褚季昶はあまりの恐ろしさで失禁、褚仲旭は寝宮で休ませた。すると褚季昶は兄に疑われていたと気づき、自分が兄を陥れるはずないと嘆く。「″儀王の乱″のあと宗室は凋落し、何人もいた兄弟姉妹たちもいなくなりました 今や皇兄と臣弟のみ、互いだけが頼りです! 臣弟はいつも皇兄の役に立ちたいと思っていたのに…死をもって潔白を証明してもいい!」褚仲旭は不憫な弟をなだめ、褚季昶を傷つけた反省からある勅命を出した。褚仲旭は″儀王の乱″で散り散りになった宗室の生き残りを探すと決めた。朝廷は大反対、皇子や帝姫を自称する者が現れたとしても正否の判断ができないと訴える。しかし方鑑明はあえて皇帝の私事のため異を唱えず、褚仲旭は半ば強引に宗室探しを強行した。皇帝の勅命が布告された。朝廷が懸念した通り宗室を名乗る者が多く集まり、その確認のため礼部は人を割いている。そんな騒ぎの中、褚季昶の姉に当たる聶(ジョウ)妃の娘の面影が残る女子が直接、礼部に現れた。ちょうど出かける予定だった方鑑明は驚き、とにかく自分が戻るまで保留にするよう指示する。つづく(  ̄꒳ ̄)宗室探しも敵を誘き出す作戦だろうな〜ってことは皇帝も弟を疑ってるの?確かに弟は怪しい…ってか卵いくつあるんだw
2022.09.16
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第21話「里帰りの旅」紫宸(シシン)殿での祝宴が終わった。方海市(ホウハイシー)は湯乾自(トウカンジ)に昭明(ショウメイ)宮で滞在すると断り、師匠にそれとなく目配せして遊廊を進む。するとすぐ後から方鑑明(ホウカンメイ)が来たと分かった。「今夜の月は美しいです、故郷の月のように明るくて丸い…」すでに故郷の記憶もあいまいな海市、それでも月の美しさだけは覚えているという。「師父から教わった詩です ″山之高 月出小 月之小 何皎皎 我有所思在远道 一日不見兮 我心悄悄″…」「…忘れた」「師父が忘れても私が覚えていれば十分です、ふふ」鑑明は相変わらずそっけない態度だったが、海市が歩き出すと自然と口角を上げた。↓師父、わろてる…注輦(チュウレン)のため姉を模倣することで寵愛を得た淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)。すると翌朝、穆徳慶(ボクトクケイ)が皇帝の命じた涼薬を差し出した。「陛下は今に至るまで嫡子がなく、掟に照らして生むことは叶いません あ、ですが今、皇后のお席は空いておりますし…古いしきたりに従わなくても…」しかし緹蘭は深く傷つきながらも、自ら避妊薬を一気に飲み干してしまう。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は結局、朝議で注輦への援助を決定、その夜も緹蘭を夜伽に呼んだ。「紫簪(シサン)を演じたいのであろう?…今後、天啓(テンケイ)では作法を忘れるが良い これからは日夜、共にいよう、先はまだ長い…」こうして緹蘭は姉の身代わりという屈辱に耐えながら、朝になれば涼薬を飲む生活が続いた。( ゚ェ゚)もういらんですよ、皇帝のエピw海市は方卓英(ホウタクエイ)の何気ない仕草を見て左菩敦(サホトン)王のことを思い出した。「鵠庫(コクコ)左部の新王に会ったことはある?」「…突然、どうした?」「新王に会ったけどビックリしたわ___髪の毛と目の色以外は瓜二つだ! そう言えば紅薬原(コウヤクゲン)で師父に拾われたはず…(はっ!)もしや新王とは…」「おい!似ているヤツなんてたくさんいる、ただの偶然だ」すると卓英は何でもかんでも詮索しないようたしなめ、話をはぐらかした。海市は釣りに出かける方卓英と鞠柘榴(キクシャリュウ)を見送った。日中は日差しが強いため、卓英は柘榴を気遣って夜に出かけることにしたという。しかしその帰り道、海市は偶然、巡回する兵士の中に紛れ込んだ湯乾自に気づいた。…湯乾自?なぜ宮中に?…海市は湯乾自の後をつけてみると、驚いたことに愈安(ユアン)宮の中へ消えた。湯乾自は回廊で密かに淑容妃の様子を盗み見ていた。どうやら緹蘭は子供を望まず避妊薬を飲み続け、激しい腹痛に耐え忍んでいる。緹蘭の思わぬ苦境に胸が痛む湯乾自、一方、方卓英と鞠柘榴は釣りを楽しみながら、次第に距離を縮めていた。方鑑明はこの休暇に臨碣(リンケツ)郡の海辺に行くと決め、海市を里帰りさせることにした。そこで海市は出発前、方卓英に淑容妃への贈り物を預ける。それは迦満(カマン)人から習った捕夢鈴(ホムレイ)で海市の手作り、この鈴を吊るすと夢を見ないでよく眠れるという。↓回廊でばったり…くるりんパッ!( ゚ェ゚)だからいらんって___こういうエピ↓馬車で居眠りする計算高い海市(←下種の勘繰りw( ゚ェ゚)師父、わろてはる___褚仲旭は宮道を移動中、偶然、緹蘭のウサギを抱いている女官を見かけた。なんでも淑容妃がウサギの面倒を見ることができず、綾錦司(リョウキンシ)に預けに行くところだという。褚仲旭は緹蘭の怠慢に呆れながら、今夜も夜伽に呼んだ。しかしいつまで経っても緹蘭が現れず、代わりに侍女・碧紫(ヘキシ)がやって来る。碧紫は淑容妃が風邪だとごまかしたが、憤慨した褚仲旭は本当かどうか自分で確認すると言った。緹蘭が目を覚ますと、眠っている間に碧紫が金城宮へ出かけたと聞いて呆然となった。一歩間違えば碧紫が自分の巻き添えになってしまう。その時、碧紫が駆けつけ、皇帝の来訪を知らせた。緹蘭は寝台から降りて拝礼、すると褚仲旭は自分の夜伽を拒んだとして外でひざまずけと命じる。驚いた碧紅(ヘキコウ)は涙ながらに恩情を求めたが、緹蘭は罪を認めて外へ出ようと立ち上がった。しかしそこで失神してしまう。侍医は毎日の涼薬が淑容妃の身体に合わず、激しい痛みの発作に襲われていると説明した。「よく今日まで持ちこたえました」聞けば淑容妃は自ら治療を拒み続け、侍医も手をこまねいている状態だったという。自暴自棄のような緹蘭の行動に戸惑う褚仲旭、しかし素直に緹蘭を心配することもできず、侍医に治療を命じて帰って行った。鞠柘榴はこれまで通り繍女たちと同じ居所を使っていた。しかし蘇姨(ソイ)に促され、典衣だった叔母の部屋に移ることにする。柘榴は独りになるとしばし叔母との思い出に浸り、ふと涙があふれ出した。「姑姑を殺し、綾錦司を害した犯人を必ず見つけ出します…」すると柘榴は偶然にも机の下から暗号が刺繍された密書を発見する。…今日、瀚(カン)州の北は平静、すべては平安…鵠庫左部は黄泉(コウセン)関外に至った柘榴はこれが瀚州に潜ませた間者から叔母に届いた情報だと分かったが、なぜ叔母はこんなところに隠していたのだろうか。実は密書は他にもあった。…その捕虜は女子…方海市は方鑑明の想い人であり、蘭茲(ランシ)に潜ませた間者だ故郷へ到着した海市は母と再会、2人は抱き合って喜び涙した。海市は方鑑明を軍で一緒に育った友人だと紹介したが、そのせいで葉母は娘たちの関係を誤解し、方鑑明が娘の夫にふさわしい相手なのか質問攻めにしてしまう。「家柄が違いすぎるかしらねえ~」「阿娘…( ̄▽ ̄;)」鑑明はまんざらでもない様子だったが、海市は気まずそうにうつむいた。つづく(@_@)かあさん、本番まであとどれくらいでしょうか?※張玉娘の″山之高″より「高い山から昇る月 小さくとも美しい 思い人は遠いところ 1日会えぬと心が寂しい」″宮廷の諍い女″でも甄嬛が詠んでましたね〜懐かしい
2022.09.09
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第20話「英雄たちの帰還」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は自分の使命を果たすため、差し入れを口実に皇帝を訪ねた。皇帝は謁見を許してくれたが注輦(チュウレン)のために来たことは一目瞭然。激怒した旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は緹蘭を追い出し、特使・蒲由馬(ホユウバ)を天啓(テンケイ)から即刻、出立させるよう命じる。すると清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)が注輦との関係を心配して嘆願にやって来た。「朕は関わらぬからな、お前の好きにせよ」「御意」一方、綾錦司(リョウキンシ)の典衣となった鞠柘榴(キクシャリュウ)は失明しながらも、その才能は健在だった。春用の布が届けば手触りだけで品質を見抜き、少府監の施霖(シリン)も気が抜けない。これを機に方卓英(ホウタクエイ)は遠くから柘榴を見守るのを止め、そばで力になろうと決めた。そこで唐突に友になりたいと申し込み、これからは度々、綾錦司に来て交流を深めたいという。柘榴は卓英に風神様の面影を感じながら、喜んで申し出を受け入れた。(  ̄꒳ ̄)<で、なぜウサギの名前が小白(ショウハク)だと?( ̄▽ ̄;)<ぁ…白いウサギと言えば小白だろうな~って嘘です、前から知ってました春になり黄泉(コウセン)関から兵士たちが帰還、方海市(ホウハイシー)は湯乾自(トウカンジ)と共に参内を命じられた。官服に着替えて朝堂へ呼ばれた海市、一番前には師匠の姿がある。すると海市は鵠庫(コクコ)の前左菩敦(サホトン)王を殺して迦満(カマン)との同盟を結んだ功績が認められ、従三品の雲麾(ウンキ)将軍に抜擢された。清海公以来の異例の出世に大臣たちは騒然、海市も困惑する。「陛下、こたびの功績は黄泉営の兵士たち皆のおかげ、昇級は恐れ多くお受けできかねます」方鑑明も海市には早過ぎると撤回を申し出たが、褚仲旭は海市の度胸と智勇を高く買っての抜擢だと説明した。「まさか本気で辞退するつもりか?」「ぁ…陛下に従います!」その時、居眠りをしていた皇弟の昶王・褚季昶(チョリチョウ)がうっかり鷹の卵を落として割ってしまう。大臣たちは失笑、すると皆の注目が昶王に向いたのを利用し、湯乾自はそれとなく指を動かした。…湯乾自が誰かに合図を送ってる…海市は密かに湯乾自の様子を見ていた。方鑑明は昭明宮に戻ると海市に罰を与えた。「私の教えを忘れたのか?」「目先の成功や利益を得ようと焦るべからず…」海市は手の平を打たれながら戒めを暗唱していたが、やがて痛みに耐えかね、手を引っ込めてしまう。「これ以上ぶたれたら皮が裂けますぅ」「従三品は重臣だ…お前は女子、早い出世は危地に身を置くも同じ」鑑明は海市が権力争いに巻き込まれることを危惧したが、海市は早く師匠と肩を並べて戦いたいと訴えた。「師父!それより湯乾自が朝議で誰かに合図を送っていましたよ?」「分かっておる」「湯乾自は蘇鳴が送り込んだ間者では? あ、それに師父、左部の晋王・奪洛(ダツラク)は卓英にそっくりで…」海市は子犬のような眼差しで師匠を見上げながら矢継ぎ早にまくし立てた。今や海市は唯一の泣き所、鑑明は浮き足立って報告どころではない。「私は大事な人に会うためだけに戻って来たのです!」すると鑑明は海市を意識するあまり、居たたまれなくなって出て行ってしまう。(」゚ロ゚)」<しふぉ! バタン!>][昭明宮の中庭に満開の霽風(セイフウ)花樹があった。方卓英の話では師匠が旧館から移植させたという。根付くかどうか心配していたが、霽風花は海市の帰りを喜ぶように美しく開花した。その夜、方鑑明は寝床で気を巡らせていた。すると婚礼衣装をまとった美しい海市を追いかける幻想を見てしまう。手を伸ばしてもなかなか海市を捕まえられない鑑明、その時、海市の胸に弓矢が刺さり、鑑明は驚いて目を覚ました。海市は鞠柘榴に北方の土産を届けるため、方卓英と一緒に綾錦司を訪ねた。ちょうど柘榴は露台で刺繍をしていたが、海市は柘榴の目が見えないと気づく。その時、突風が吹いて刺繍糸が飛ばされた。海市は咄嗟に糸を拾ったが、柘榴は色が識別できないので教えて欲しいと頼む。「左手が青、右手が紫…」「ではこれが薄い桃色ですね」すると卓英は天気が良い日に釣りに行こうと誘った。帰りの道すがら、海市は自分たちが宮中にいれば綾錦司を救えたかと思うと胸が痛んだ。しかし方卓英は生き残れたことが不幸中の幸いだと捉え、いつか必ず黒幕を捕まえると誓う。海市はふと朝議での湯乾自の様子を思い出したが、卓英には何も言わなかった。注輦をめぐり旭帝と淑容妃の関係は暗転、再び溝ができた。思い詰めた緹蘭は紫簪(シサン)を模倣するという愚策に賭けようと決める。その時、帰郷した方海市が土産を持ってやって来た。しかしもはや皇帝から冷遇されている身、緹蘭は自分と関われば方大人まで巻き込むと懸念し、体調が悪いと追い返してしまう。その夜、紫宸(シシン)殿では盛大な祝宴が開かれた。褚仲旭はすっかり酔いが周り上機嫌、臣下たちが気兼ねなく飲めるよう先に引き上げる。すると寝所で紫簪が愛用した様式の衣装をまとった緹蘭が待っていた。「紫簪…」「…阿旭」しかしその声を聞いた褚仲旭は我に返り逆上、緹蘭の首をつかんでしまう。「紫簪とそなたの区別がつかないと思ったか?!…朕の名を呼ぶな!」かつて紫簪は注輦の使者が来ると憤慨し、追い返していた。『父上は欲深い人よ、あなたが情にもろいと知っているの 阿旭、だまされたり利用されたりしないで…』『だったら私より長生きして情にもろい私を守ってくれ』『あなたより長生きするわ、だって私がいなくなったら阿旭が独りぼっちになっちゃうでしょう?』褚仲旭は愛しい紫簪のことを思い出し、涙が込み上げた。しかしその悲しみは緹蘭への激しい憎悪となり、そのまま寝台に押し倒して衣を剥ぎ取ってしまう。つづく(°_°)何を見せられてるのかと小一時間w師父の妄想とか蟹エピとかいらないんですけど___
2022.09.04
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第19話「心のともし火」急ぎ天啓(テンケイ)へ戻り、再び方海市(ホウハイシー)と離ればなれになった清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は鑑明の温情も虚しく逃亡した蘇鳴(ソメイ)に深く失望していた。「この世も、この朝廷もうんざりだ…最初から知っていれば玉座など争わなかったものを…」しかし鑑明は改めて忠誠を誓い、今回の謀反を止めることができなかったが、次はないと安心させた。方卓英(ホウタクエイ)は想い人の苦難に心を痛めていた。そこへ大師兄の様子がおかしいと聞いた方鑑明がやって来る。卓英は蘇鳴を取り逃したと報告、殺すべきだったと後悔した。「いずれその機会は来る…こたびの責任は全て私にある」「師父、必ず挽回してみせます!」すると卓英は海市が戻ったら3人で霽風(セイフウ)花の下で飲みたいと言った。褚仲旭は鑑明の顔を立て、鞠七七(キクシツシツ)が裏切り者であっても、故郷へ返すことを許した。綾錦司(リョウキンシ)で独り生き残った鞠柘榴(キクシャリュウ)、すると清海公が叔母との告別に来てくれる。「そなたの命と共に恩讐も消えた、安心して帰郷せよ」方鑑明が鞠七七の遺骨に頭を下げると、柘榴も一緒に平伏した。そこで鑑明は柘榴も帰郷したければ手配すると言ったが、柘榴は皇宮に留まって叔母の志を継ぎたいという。「苦労するぞ?典衣の職務については?」「はい、典衣から全て教え込まれています、残された仕事もすでに引き継いでいます」先祖代々、鞠家は方家の家臣、柘榴は朝廷に忠誠を誓うと覚悟を伝えた。(  ̄꒳ ̄)え?裏切り者の姪なのに任せて大丈夫なのか?師父?その夜、方鑑明はようやく傷の手当てを受けた。太医は刀傷が癒えるまで静養するよう勧めたが、鑑明は軽症だと聞く耳を持たない。しかし今回ばかりは深刻だった。「このまま公務を続ければお命は風前の灯となります」一方、方海市は張承謙(チョウショウケン)たちと黄泉(コウセン)営に戻った。湯乾自(トウカンジ)は海市たちの活躍を称賛、これで大打撃を受けた鵠庫(コクコ)左右両部とも数年は身動きが取れないという。「辺境が平安なら朝廷も安泰だ」奇しくも共に静養する時間を得た方鑑明と海市、2人は遠く離れていたが、互いに相手を思いやっていた。あの夜から褚仲旭は淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)に上奏文を読み上げさせるのが日課になった。皇帝と淑容妃、頑固者同士も一緒に過ごす時間が増える中、次第に警戒が解けて行く。↓うたた寝してしまった緹蘭の顔にいたずら書きする陛下そんなある夜、侍女・碧紅(ヘキコウ)が嬉しそうに愈安(ユアン)宮へ戻ってきた。宮女たちの話では厳寒で凍った霜平湖に水灯が浮かんでいるという。「神業でもなければ冬の湖面を溶かせませんよ?淑容妃、見に行ってみませんか?」緹蘭たちは寒空の中、霜平湖へ出かけた。すると驚いたことに氷が溶けて水上にたくさんの蓮型の灯籠が浮かんでいる。「龍尾神のご加護ね…」「ここまで龍尾神の力は届かぬぞ」「(はっ!)陛下にご挨拶を…」「淑容妃、大徴(ダイチョウ)では本来、龍尾神を祭ることはありません 宮中には生き神様がいらっしゃいますから@陛下」穆徳慶(ボクトクケイ)の話を聞いた緹蘭は皇帝が自分のために準備してくれたと分かった。今頃は暖かい注輦(チュウレン)、故郷では恩月節を迎え、人々は灯籠を流して賑やかな街へ繰り出しているだろう。「望郷の思いを叶えていただき感謝します」褚仲旭は嬉しそうな緹蘭を見て満足げだったが、急にくしゃみが出た。緹蘭は皇帝が身体を冷やしたと気付き、温かい粥を作って御所へ届けた。そこで褚仲旭は独りで食べるのも味気ないと、緹蘭も一緒に食べようと誘う。すると緹蘭は作法として食事中、一言も話さなかった。「姉妹でも違うのだな…」褚仲旭は紫簪(シサン)との食事を懐かしんだ。紫簪は話に夢中になると箸が止まり、好物がなければ食が進まず、菓子ばかり食べていたという。「意地の悪い者には仕返しもした…ふっ」当時、方鑑明が宴をのぞき見している注輦の使者を見咎め、″使者も偏食で紫簪と同じだ″と嫌味を言ったことがあった。それを聞きつけた紫簪は半年もの間、鑑明が王府に来ても好物を出さなかったという。「完璧だからといって人を愛するわけではない、教えられた作法は忘れるが良い …今後は金城宮の出入りを許す、独りの食事はつまらぬ、共に食べよう」緹蘭は姉に遠く及ばないと分かっていたが、皇帝の言葉に救われる思いがした。静養のおかげで方鑑明の身体は回復した。海市もすでに完治、春になれば参内のため帰京する。海市との再会に人知れず胸を躍らせる鑑明、そんなある日、淑容妃が皇帝に寵愛されていると聞きつけたのか、注輦の使者がやって来た。蒲由馬(ホユウバ)は注輦が水害で避難民であふれていると報告、援助して欲しいと訴える。しかし方鑑明が密かに目配せし、長旅で疲れていはずだと半ば強引に使者を下げた。↓弟の鷹が大きくなってる!てっきり朝議で卵を落として割ったと思ってたw注輦は毎年、天災を理由にしては法外な金を要求して来た。かつて紫簪は注輦が無心してくる度、先帝への口添えは必要ないと言ってくれたことを思い出す。当時は愛する紫簪の故郷を無下に出来なかった褚仲旭、しかし紫簪を失った今、何もかも耐え難くなっていた。皇帝は愈安宮に現れなかった。仕方なく緹蘭は独りで食事を始めたが、そこへ注輦大使との面会が許可されたと知らせが来る。緹蘭は衝立越しに叔父と再会、すると蒲由馬は故郷が水害で王も心労で痩せてしまったと嘆いた。「陛下にお目取りし支援を嘆願したのですが、受け流されてしまいました かつては当時の旭王が先帝に頼んでくださった、それは紫簪殿下のお口添えがあったからこそ…」蒲由馬は緹蘭から皇帝に窮状を訴えて欲しいと迫り、帰って行った。褚仲旭は蒲由馬が愈安宮から帰った後、緹蘭が泣き腫らしたような目をしていたと聞いた。「女子に難題を迫ったか…」注輦は淑容妃を取り引きの駒にするつもりだろう。褚仲旭は憤慨し、緹蘭を避けるように敬誠堂(ケイセイドウ)に閉じこもった。緹蘭は皇帝の気持ちを察し、自分から会いに行くようなことはしなかった。しかし碧紅が大使の要求に応えてはどうかと進言する。「王城が浸水だなんて相当ひどい状態です、このままでは疫病が蔓延する恐れも…」「疫病なんて、誰に吹き込まれたの?」「あ…」碧紅はうっかり口を滑らせ、気まずそうにうつむいた。つづく( ゚ェ゚)…つまらん@陛下w
2022.09.03
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第18話「紅薬帝姫の令牌」その夜、蘇鳴(ソメイ)の刺客・呉奇(ゴキ)は蘭茲(ランシ)から護送された間者を始末しようとしていた。しかし牢の中はもぬけの殻、罠だと気づいた呉奇は撤退したが、待ち伏せしていた陳哨子(チンショウシ)たちに囲まれてしまう。「待っていたぞ、清海(セイカイ)公の読み通りだ」すると追い詰められた呉奇は自分の主が鞠七七(キクシツシツ)だと言い残し、配下を道連れに自害した。「…まずい!」陳哨子は慌てて綾錦司(リョウキンシ)に向かった。するとすでに息絶えた鞠七七と繍女たちを発見する。報告を受けた旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は激怒、まさか間者が自分の膝元にまで手を伸ばして来るとは予想外だった。「刺客の頭領の名は呉奇、大勢の刺客を束ねており、綾錦司に盛られた毒と同じ毒で自害しました しかし女官の1人は毒の量が少なく、一命を取り留めています 回復すれば証言を得られるでしょう」褚仲旭はともかく呉奇以外の刺客がいないか探し出すよう命じ、陳哨子を下げた。「鑑明(カンメイ)よ…やはりあの時、始末すべきだったな」一方、方海市(ホウハイシー)は迦満(カマン)皇族の聖薬と方鑑明の献身的な介抱でついに目を覚ました。するとそばに師匠の姿がある。「目が覚めたか?!」「師父…後悔していません」「何の話だ?」「眠っている時に師父の声が聞こえました…″出会ったことを後悔するか″と… 師父との出会いは私の人生の中で奇跡に近い出来事、後悔などするはずありません 今までもこれからも…出会えて良かった」鑑明は海市への想いを悟られまいと平静を装いながら、自然と口角が上がってしまう。その頃、方卓英(ホウタクエイ)は蘇鳴(ソメイ)が道中で部隊と別れ、腹心だけを連れて殤(ショウ)州へ向かったと突き止めていた。太監たちは穆徳慶(ボクトクケイ)に命じられ、額装した凧を金城宮(キンジョウキュウ)に運んでいた。すると北小苑(ホクショウエン)で碧紅(ヘキコウ)が立ちはだかり、これは愈安(ユアン)宮のものだと訴える。そこへ侍女がもめていると知らせを聞いた淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)が駆けつけた。緹蘭は騒ぎを避けるため自分の凧ではないと嘘をついたが、運悪く皇帝が通りかかる。「何を騒いでおる?…皆こちらへ」褚仲旭は例の凧が実は緹蘭の物だと知り、偶然、拾ったと言い訳した。「これはもらっておく…久しぶりに会ったな、後日、金城宮で詩でも教えてもらおう」方鑑明は常服に着替えて市場へ出かけた。ちょうど露店で貴重な赤砂糖を見つけて買うことにしたが、そこへ海市がやって来る。海市は苦い薬を飲まされる自分のために師匠が砂糖を買いに行きたと分かっていた。そこで海市は砂糖を横取りして自分で銭を払うと、鑑明の手を握りしめて引っ張って行く。「いつまで手を握っている?…そんな薄着では風邪を引くぞ?ほら見ろ、手が冷たい」すると今度は鑑明が海市の手を引いた。方鑑明は海市に露店で見つけた紅薬原(コウヤクゲン)産の雪狐の毛皮を買って着せた。「似合いますか?」「暖かそうだ」海市は思わず失笑し、師匠の一言で簡単に嬉しくなってしまう自分がおかしいという。「今日も付き添ってくれますか?…実は贈り物が」「何だ?」「秘密です」その夜、海市は城主府に残っていた婚礼用の美しいロウソクを灯した。そこへちょうど師匠がやって来る。「ロウソクが贈り物か?」「毎日、暗い部屋でお努めされているので、目が悪くなると思って…」「…赤いロウソクの意味を知らぬのか?」「意味ですか?…お気に召さなければ消します」「ふっ…もう休みなさい」すると鑑明は小さなロウソクと赤い大きなロウソクを並べ、読み物を始めた。翌朝、張承謙(チョウショウケン)がようやく報告に戻って来た。「蘇鳴は瀚州の北に逃げました、阻止できず申し訳ありません」やはり奇襲の知らせが滞ったのも蘇鳴の仕業、どうやら以前から鵠庫(コクコ)左部と通じていたらしい。張承謙は大公子1人では危険だと心配し、実は蘇鳴の刺客が鞠七七の名を残して自害し、鞠七七も毒殺されたと報告した。「何だと?!」衝撃を受けた方鑑明は古傷の痛みに顔を歪めたが、海市の耳には入れないよう釘を刺す。すると黄泉営の符義(フギ)が皇帝からの勅命を届けにやって来た。…至急、戻れ…方鑑明は帰京を伝えるため海市の部屋に戻った。しかし綾錦司の一件を聞いていた海市は師匠が皇宮へ戻ると気づいている。「私の分も焼香を頼めますか?…元気を出してください」海市は師匠を煩わせないよう大人しく静養すると約束した。「またしばらくの間、会えなくなるだろう」「…平気です、離れていても心の中ではすぐそばにいますから 今までは師父が怖かった、叱られて嫌われるのが怖くて近づく勇気がなかったんです でも今は違います、どれだけ離れていても師父の元へ飛んで行きます!」深い絆で結ばれた鑑明と海市、海市は城楼で師父を見送りながら、思い出の玉板指を握りしめた。もはやここでゆっくり休んでいる時間はない。海市は師匠が安心して努めを果たせるよう、一刻も早く軍営に戻って黄泉関を守ろうと決めた。一方、蘇鳴は都の呉奇たちが全滅し、始末できたのが鞠七七だけだと知った。鵠庫左部まではあと30里、左菩敦(サホトン)王が迎えを出してくれたという。「あと半日もあれば休めるな…」蘇鳴はようやく安心したが、その時、蘇鳴を追って来た方卓英が現れた。「長い間、霽風(セイフウ)館を目の敵にし、我らを陥れることに必死だったようだが、 将軍にも落ちぶれる日が来ようとはな… 将軍、私と共に戻るか、それともここで殺されたいか?」すると腹心たちは蘇鳴を逃がし、一斉に卓英に襲いかかった。方卓英は次々と腹心たちを切り捨て、蘇鳴を追跡した。しかしあと一歩のところで蘇鳴を迎えに来た左菩敦王の一行が現れる。すると奪洛(ダツラク)は蘇鳴が追われていると気づき、2本の矢をつがえて敵に放った。卓英は1本目の矢を剣で避けたが、続け様に飛んできた2本目の矢で仮面が吹き飛ばされてしまう。方卓英の顔を見た奪洛は自分と瓜二つだと気づいて呆然となった。左部と合流した蘇鳴も方卓英とそっくりな男が左菩敦王だと知って困惑する。対峙する卓英と奪洛、すると奪洛は配下に殺せと命じた。兵士たちは一斉に矢を構えたが、その時、卓英が懐から出した令牌を掲げる。紅薬帝姫の令牌だ!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<ザワザワ…驚いた兵士たちは攻撃体制を解除、すると卓英はその間に引き返して行った。「チッ…蘇鳴、あの男は何者だ?」「霽風館・方鑑明の一番弟子・方卓英です」蘇鳴が鵠庫左部に寝返った。しかし頼みの綱である方鑑明はまだ帰途にいるという。頭の痛い褚仲旭はその夜、緹蘭を寝宮へ呼んだ。「凧はそこに飾ったぞ…そなたの声は心地よい、代わりに上奏文を読んでくれ」緹蘭は政への干渉が死罪になると辞退したが、褚仲旭は今さら何を恐れるのかと挑発した。「…分かりました、読みます」上奏文を読んでも読まなくても結局は皇帝の気分次第で死罪になる。緹蘭は明君なら自分を死罪にしないはずだと口を滑らせた。「つまりお前を殺せば名君ではないと?…口は達者だな、では読んでくれ」方卓英は都での一件を知り、昼夜を問わず馬を走らせ戻った。すると定和門に陳哨子の姿を見つける。「綾錦司で何があったのですか?!全員が死んだと?!」陳哨子が何も答えられずにいると、卓英は急いで宮中へ向かった。方卓英は宮道で偶然にも叔母の遺骨を抱いた鞠柘榴(キクシリュウ)の姿を見つけた。想い人の無事を知って安堵する卓英、しかし柘榴の様子がおかしい。「方大人(ダーレン)…」すると付き添いの蘇姨(ソイ)が拝礼し、目が不自由なため柘榴の無礼を許して欲しいと言った。卓英は柘榴の美しい瞳に自分が映っていないと知り呆然、ようやく声を絞り出す。「…柘、柘榴姑娘、どうか元気を出して」「ありがとうございます…方大人、姑姑の初七日を控えて喪中の身です 先を急ぎますので無礼をお許し下さい」方卓英は鞠柘榴が心配で様子を見に行った。誰もいなくなった綾錦司に独り、柘榴は叔母の遺骨に手巾をかけている。「姑姑、陛下のお許しが出ましたよ、流觴(リュウショウ)へ帰りましょう 姑姑が大好きな木綿の花を刺繍してみました、寒くないようにこれで包んであげますからね…」柘榴は気丈にも綾錦司を再興させて見せると誓ったが、ついにこらえられなくなって泣き崩れた。「姑姑…私はもう孝行できません…どうかあの世で幸せに暮らしてください」卓英は想い人に寄り添い抱きしめることも叶わず、嗚咽が漏れないよう口を押さえていた。つづく( ;∀;)ぁぁぁぁ___そんなぁぁぁぁ___ウマーが(ってそっち?w)何だかもう皇帝と師匠はどうでもよくなってきたw
2022.08.27
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第17話「黒い渡鴉の羽」独りの食事は味気なく、旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は夕食を一口だけで終わらせた。「散歩でもするか…」その頃、御花園の涼亭では淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)が夢中で大徴(ダイチョウ)の本を読んでいた。侍女たちはよほど面白いのだろうと興味津々、そこで緹蘭は2人に物語を聞かせることにする。すると偶然、通りかかった皇帝がやって来た。緹蘭はまた怒られると緊張したが、褚仲旭は意外にも自分にも読み聞かせるよう命じる。しかし夜風が冷たいため、穆徳慶(ボクトクケイ)が愈安(ユアン)宮へ移動してはどうかと進言した。(  ̄꒳ ̄)<…そうだな (꒪ꇴ꒪〣)ェ___余計なことを…褚仲旭が寝台に横たわると、緹蘭は床にひざまずいて読み聞かせを始めた。すると疲れていた褚仲旭はすぐ居眠りしてしまい、昔の夢を見る。あれは六翼将(ロクヨクショウ)のうち4人目の首を方鑑明(ホウカンメイ)が届けた時のことだった。『よくやった、で褒美は何が良い?』『儀(ギ)王の乱を平定した直後は六翼将のうち5人が生き残っていました その後、わずか数年で残るは蘇鳴(ソメイ)のみ… 蘇鳴の父が死んだのは私のせい、どうか蘇鳴だけは生かしてやってください』『まさか共に苦しい戦を生き抜いた者たちを太平の世になってから我々の手で葬ることになるとはな… 約束する、蘇鳴は最後まで生かしておこう』その時、誰かの声が聞こえた。「…陛下?」「誰だ?!」褚仲旭は思わず飛び起きて緹蘭に襲い掛かり、驚かせてしまう。「陛下…私です…緹蘭です…寝宮にお戻りになって休まれては?」しかし褚仲旭は再び横になり、続きを読めと命じた。そして翌朝、褚仲旭は穆徳慶の声でようやく目を覚ます。どうやら緹蘭は眠れなかったようだが、褚仲旭は久しぶりに熟睡した。方鑑明が西南の乱を平定した一方で、泉明(センメイ)港には北方の難民が押し寄せていた。難民支援は重要だが、泉明港は瀚(カン)州や殤(ショウ)州へ通じる重要な拠点、鵠庫(コクコ)の侵入を防ぐため慎重を期さねばならない。それでも褚仲旭は自国の民を優先し支援を決定した。しかし大臣たちは清海(セイカイ)公以外にこの混乱を収められる者などいないと口を揃える。本来なら皇帝の名代として皇弟の褚季昶(チョリチョウ)が妥当だが、本人は朝議の間も居眠りする始末で当てにならなかった。その時、蘇鳴が厳しい任務も恐れず志願する。褚仲旭はその姿勢に感心して指揮をまかせたが、実は蘇鳴にとって泉明港行きは渡りに船だった。一方、張承謙(チョウショウケン)は蘇鳴の尻尾をつかもうと証拠探しに奔走していた。しかし調査中に蘇鳴が食糧運搬を志願し、泉明港へ向かったと知る。「蘇鳴はこのまま逃亡するつもりでは?」報告を聞いた方鑑明は蘇鳴の背信が証明できれば自ら仕留めると言った。張承謙は黄泉(コウセン)営で怪しい民家を発見した。そこで手がかりがないか家の中を捜索していると、地面に落ちている小さな黒い羽を見つける。張承謙は証拠を手に蘭茲へ戻ったが、符義(フギ)が軍医を帯同して蘭茲に来ていた。将軍・湯乾自(トウカンジ)に命じられ、清海公と方海市の様子を見に来たという。張承謙は食糧の確認に出ていたとごまかして清海公を呼びに行ったが、その時、符義は部屋を出る張承謙の履き物の裏に黒い羽根がへばりついているのを見た。黒い羽根を見た方鑑明は渡鴉(ワタリガラス)だと分かった。渡鴉を伝書に使うのは蘇家のみ、そこで鑑明は直ちに方卓英(ホウタクエイ)へ蘇鳴を都まで連れ戻すよう指令を送る。一方、薩莉亜(サツリア)は清海公に頼まれ、城主として符義を歓待した。すると符義は方海市と祝杯をあげられないのが残念だと探りを入れる。「そう言えば額爾済(ガクジセイ)が怪しげな妃を立てたとか?名は提蒂(テイテイ)だったか…」張承謙はすかさず海市なら軽傷のため心配ないと伝え、新しい妃なら今回の混乱で亡くなったとごまかした。「さあ、楽しく飲みましょう」↓薩莉亜ちゃん可愛い(^ꇴ^)その頃、蘇鳴の元に渡鴉が密報を届けた。「天啓に護送された間者には近づけぬらしい…これでは探りようがないな 方鑑明は鵠庫へ文を送った証しを入手したようだ」追い詰められた蘇鳴は泉明港行きを変更、淤河(オカ)に沿って進み居茲(キョシ)から海に出て浼海(バンカイ)を通り、瀚州から左部へ向かうと決めた。一方、天啓で留守を守る方卓英は、近頃ふさいでいることが多い鞠柘榴(キクシャリュウ)を心配していた。思い切って自分が風神だと名乗り出ようかと考えたが、屋根で盗み見ていたとばれてしまう。すると陳哨子(チンショウシ)が清海公の密書を届けに来た。卓英は明朝すぐ出発することになり、その夜、綾錦司(リョウキンシ)の屋根に登って口笛を吹く。独りで刺繍を練習していた柘榴は風神様だと気づいて中庭に出ると、夜空の星のごとく無数の蛍が飛んでいた。卓英は笑顔になった柘榴を見て安堵し、しばしの別れを惜しむ。…柘榴、任務から戻ったら必ず会いに行く…方鑑明は海市を献身的に世話していたが、海市は一向に目を覚まさなかった。そんな中、張承謙から思わぬ報告が届く。蘇鳴が居茲の辺りで行方不明になったというのだ。「まずい、殤州や鵠庫左部に逃げられたら…卓英は?」「大公子は天啓を出たばかり、蘇鳴は知らせを受けて逃げ足を速めています もし淤河から海上に出たら追いつけません、黄泉関から追っ手を出しますか?」その時、海市に付き添っていた薩莉亜の叫び声が聞こえた。「方大人!大丈夫ですか?!方大人!」驚いた鑑明が慌てて駆けつけると、海市は口から血を流していた。薩莉亜は迦満(カマン)人の恩人である方海市を救うため、皇族の至宝である聖薬を使うと決めた。しかし聖薬は残り1瓶、乳母は万が一に備えて残すべきだと反対したが、薩莉亜は恩に報いるため薬を惜しんではならないという。乳母は薬を差し出すと、薩莉亜がすでに立派な首領になったと泣いた。方鑑明は海市が吐血して窒息しないよう抱き起こしていた。そこへ薩莉亜が現れ、迦満皇族の聖薬を飲めば海市が助かるかもしれないという。「ただし強い薬なので強い真気で補わねばなりません 6時ほど真気を送り続けないとかえって害になります でも今の方大人に薬を飲み込めるかどうか…」「…私に任せてくれ」方鑑明は薩莉亜が帰ると早速、海市に薬を飲ませた。しかしやはり海市は飲み込むことができない。鑑明は思い切って口移しで薬を流し込むと、海市は無事に聖薬を飲み込んだ。安堵した鑑明だったが、心の奥底へ封じ込めたはずの情愛があふれ出し、思わずもう一度、口づけしてしまう。↓お待たせしました〜タイタニック体操です麴七七(キクシツシツ)は衣の献上を口実に皇帝に謁見、清海公と方海市の様子を探った。「実は瀚州への伝令を刺繍しましたが漏洩がなかったか心配で…清海公に確かめたかったのですが」「大丈夫だ、蘭茲で捕らえた間者が目を覚ました、数日後には審問が始まる 諜報網のどこで漏れがあったか、しかと検証できるだろう」「間者が目を覚ました?…」綾錦司に戻った麴七七はどこか様子がおかしかった。すると日も暮れる頃、皇帝の使いがやって来る。皇帝が今年の服に満足し、褒美として綾錦司全員に杏仁(キョウニン)茶を1杯ずつ振る舞うという。繍女たちは喜んで飲み始めたが、柘榴は一口飲んだところで客人の声に気づいた。「いいわ、私が行って来る」綾錦司を訪ねたのは官服の修繕を頼んだ兵士だった。柘榴は完成した官服を渡して戻ったが、杏仁茶を飲んだ繍女たちがバタバタと倒れている。一体、何があったのか。柘榴は慌てて階段を駆け上がると、叔母が倒れていた。「姑姑?…姑姑?!」するとわずかに息があった麴七七が再び激しく喀血、絶命してしまう。「誰か…誰か!」柘榴は助けを呼ぼうと階段を駆け降りた。しかし踊り場で急に血を吐き、倒れてしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)えーっ?!びっくりしたわ~何この展開!
2022.08.26
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第16話「決死の作戦」深夜の黄泉(コウセン)営に清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)が到着した。湯乾自(トウカンジ)は早速、状況を報告、鵠庫(コクコ)右部が迦満(カマン)人の町・蘭茲(ランシ)を占拠したが、今のところ黄泉関を攻める様子はないという。「ただ方参軍が難民を救おうとして捕虜に…張承謙(チョウショウケン)を向かわせたもののまだ戻りません」方鑑明は冷静を装い、国を守ることが優先だと伝えて幕舎に落ち着いた。方鑑明の幕舎に張承謙から密書が届いた。…方海市(ホウハイシー)から報告、蘭茲の西門は守りが薄く、城主府内で脱出の指示を待つとのこと…そこへ方海市の身を案じる任勇(ジンユウ)たちが駆けつけ、大哥を助けて欲しいと嘆願した。鑑明は誤解を解こうと思ったが、さらに迦満人の首領・薩莉亜(サツリア)が訪ねて来る。首領と言ってもまだ年の頃も若い娘、実は薩莉亜の父は蘭茲城主だったが、母と兄と共に鵠庫人に殺されていた。薩莉亜は迦満人の命の恩人である方海市の救出に協力したいと訴え、迦満人だからこそ怪しまれずに捕虜と接触できるという。「どうかお聞き入れください」蘭茲に黄泉営から婚礼祝いが届いた。右菩敦(ウホトン)王・額爾済(ガクジセイ)は方海市への伝言があると怪しんだが、使者の任勇は信用できないなら持って帰るという。すると予想通り挑発された額爾済は祝いを受け取った。「方鑑明に伝えよ、戦場で待つとな」結局、結婚祝いの中には暗号も密書も見つからず、額爾済はそのまま方海市の部屋に運ばせた。海市は黄泉営からの婚礼祝いに戸惑いながら行李を開けた。すると小さな化粧箱から師匠に返したはずの玉板指が出てくる。…血がついてる、師父が怪我を?(はっ)まさか師父は黄泉営に?…海市は結婚祝いに何か意味があると気づき、慌てて確認した。贈り物は下元節の時に使うものばかり、恐らくこの日に脱出を決行するという意味だろう。一方、天啓では旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)が西平港からの勝利の知らせに喜んでいた。しかし方鑑明が無断で黄泉関に向かったと知り、方海市のためだと気づく。方卓英(ホウタクエイ)は黙っていたが、褚仲旭は師匠の情にもろいところだけは真似るなと釘を刺した。綾錦司(リョウキンシ)を通りかかった方卓英は鞠柘榴(キクシャリュウ)が門の敷居に腰掛けているのを見た。前庭では繍女たちが楽しそうに凧揚げしている。空を見上げる横顔が美しい柘榴、その手首には卓英が贈った真珠の腕輪があった。柘榴は誰かの視線を感じて振り返ったが、すでに卓英の姿はない。すると糸が切れて凧を失くしてしまった繍女が泣き出した。同じ頃、愈安(ユアン)宮でも淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)が凧揚げをしていた。凧は上手く風に乗り、このまま南角門の外へ出そうなほど高く舞い上がる。すると緹蘭はハサミで糸を切った。「自由に飛ぶのよ、2度と糸で支配されることはないわ…」しかしその凧は思いがけず宮道を移動していた褚仲旭の輿に落下してしまう。穆徳慶(ボクトクケイ)は慌てて皇帝の輿を止めた。するとちょうど回廊を渡りながら凧を探している宮女を見つける。「ゲフンゲフン!」(´゚艸゚)あ…驚いた鞠柘榴は繍女と一緒に急いで皇帝の元へ駆けつけ、無礼を詫びた。「そなたか…」褚仲旭はウサギを飼っている鞠柘榴だと気づき、誰の凧かと聞く。困惑する柘榴だったが繍女を庇い、咄嗟に自分の凧だと嘘をついた。しかし皇帝は凧を欲しいと頼み、罰を与えるどころか褒美を出すよう命じて帰って行く。実は褚仲旭は凧に書いてあった詩が気に入った。まさか凧にその詩を書いたのが緹蘭だと知らずに…。蕊黄無限當山額宿妝隠笑紗窗隔相見牡丹時 暫来還別離(温庭筠 菩薩蛮)※妃嬪の寵愛など一時のことと嘆いている詩(管理人的意訳)蕊黄はこよなく額に残っている化粧して待ち続けたのにと窓紗を隔てて隠れて笑う相見まえたのは牡丹の頃かしばらく通ってくれたがもうお別れなのね〜薩莉亜たちは奴隷として蘭茲に潜入し、方海市を救出すべく動き出した。牢に放り込まれた迦満人は張承謙と接触、下元節に内外呼応して救出する計画だと伝える。そして10月15日、海市は右王に身を委ねるなら王妃に封じて欲しいと頼んだ。額爾済は急な態度の変化を怪しんだが、海市は時の情勢を見ているだけだという。「今、逆らえば殺されるだけ、それに黄泉営にも戻れない 私が女だとばらしたのは恐らく黄泉営の者なのでしょう?つまり戻っても居場所はない 生より死を、栄華より没落を選ぶ者などいるかしら?」海市は黄泉営に裏切られた腹いせに右王を手伝うと言った。その前に婚儀を開き、内外に自分が王妃となって万人の上に立つと知らしめて欲しいという。「下元節の今日は妻を娶るのに適した日よ、誠意を尽くすなら今日がいいわ」海市は捕虜たちに自ら王妃になると伝えたいと頼み、地下牢へ行く許可をもらった。そして奴隷たちも自分たちの婚礼が祝えるように食べ物と酒を差し入れる。「城主府の外で花火が上がる時、私は右菩敦王に嫁ぐことになる…」張承謙はその意味を悟り、こっそり迦満人に清海公への連絡を頼んだ。すると迦満人は急に指笛を吹き、見張りの兵にこれは祝賀の習わしで王と王妃へのお祝いだという。その指笛を外にいた迦満人の子供が聞いていた。「″決行は今夜、花火が合図、城外に伝えろ″…」迦満人たちは直ちに計画を伝達し、薩莉亜もこっそり井戸へ薬を混ぜておいた。額爾済はあえて海市を牢に行かせた。反意があるなら馬脚を現すはず、しかし海市は婚姻を伝えただけで誰とも接触しなかったという。額爾済は海市が本当に自分へ嫁ぐつもりだと確信し、海市が必ずや自分を草原の王にしてくれると喜んだ。しかしそこへ急報が舞い込む。…方海市は方鑑明の想い人であり間者だ…騙されていたと知った額爾済は激怒、牢の見張りを増やし、怪しい人質がいたら殺せと命じた。海市は脱出するため男装に着替え、侍女たちを縛り上げた。すると額爾済が現れ、作戦がばれてしまったと知る。もはや絶体絶命、しかしその時、運良く合図の花火が上がった。海市は剣をつかむと躊躇せず窓から飛び降りてしまう。驚いた額爾済が窓から見下ろしてみると、方鑑明が自分の馬に海市を乗せて逃げるところだった。「方 鑑 明 め っ !」海市は師匠と一緒に逃亡しながら美しい花火を見た。「師父、婚姻の日の花火もきれいでしたか?」「いいや…愛していない者は娶らぬ」海市は師匠が婚姻していないと知り、大きな背中に頬を寄せた。↓( ̄▽ ̄;)これは…ちょっとwその頃、毒を飲んだ鵠庫の兵たちが激しい頭痛に襲われ、次々、倒れ始めた。張承謙は牢屋の前で倒れた兵士から鍵を奪い取り迦満人たちと脱出、城門へ向かう。一方、薩莉亜はこの機会に父の敵を討つと決めたが、城主府へ向かう途中で敵兵に捕まってしまう。方鑑明と海市は見事な連携で追っ手を次々に撃破、城門で張承謙たちと合流した。海市は師匠と呼応していた張承謙が霽風(セイフウ)館の者だと気づいたが、そこへ薩莉亜を人質にした額爾済が現れる。「方海市と交換だ」すると鑑明が自分が人質になるという。「配下に手を出すな」「何が配下だ!特別な関係だろう?!」「私が行く!」海市は師匠に目配せすると歩き始めた。海市と薩莉亜はちょうど中間地点ですれ違った。その時、方鑑明は張承謙が差し出した剣をつかむと、右王めがけて放り投げる。瞬時に体勢を変えた海市、すると額爾済も咄嗟に避け、剣は後にいた兵士に突き刺さった。しかし薩莉亜が無事に解放され、海市が逆に額爾済の首をつかむ。すると魯爾丹(ロジタン)が背後から海市に襲い掛かった。鑑明は慌てて海市を抱きしめ守ったが、海市は師父をかばって回り込み、結局、魯爾丹に背中を斬られてしまう。「方大人(ダーレン)!」「大哥!」これに激怒した張承謙たちは一斉に攻撃を開始、劣勢になった額爾済たちは蘭茲から撤退した。海市は背中を大きく切り裂かれていた。方鑑明はひとまず部屋に寝かせて止血し、薩莉亜に世話を頼む。すると張承謙は誰かが情報を漏らしていると警告した。鑑明には心当たりがあったが、都の状況が複雑なため、調べてから改めて説明するという。「左部には奇襲をかけられ、右部には動きを読まれた…そなたも状況を調べてくれ」海市はなかなか意識が戻らなかった。「十数年、努力してきたが、結局、お前をこんな目に遭わせてしまうとは… あの時、私に出会わなければよかったとお前は後悔するだろうか」方鑑明は海市の手を握りしめ、付き添った。褚仲旭は重臣を召集、鵠庫右部が敗れて瀚州の北に撤退したと伝えた。しかし鵠庫に潜ませた間者に裏切られ、奇襲を把握できなかったという。「何でも裏切った間者を捕らえたそうだ…やはり間者を護送して尋問しよう」すると蘇鳴(ソメイ)の顔が一瞬、曇った。「間者を天啓に?」「実はもう蘭茲を出たそうだ…だが間者は深手を負い意識が戻っていないとか 蘇鳴、そなたは信用できる人を遣わし出迎えよ」「拝命します」褚仲旭は蘇鳴に鎌をかけたが…。つづく( ๑≧ꇴ≦)ナナナ怖いわ~ハイCが結婚すると聞いて作戦に気付き、慌てて情報を流したのね~やるねえ~wそれにしても宮中の話になると途端につまらなくなっちゃう( ̄▽ ̄;)
2022.08.20
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第15話「美しき捕虜」清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)は流觴(リュウショウ)軍を率いて西平港に到着、早速、戦術を練った。そこで自分をおとりにして月亮(ゲツリョウ)湾に敵の船を誘い込み、火攻にするという。海戦に長けるなら陸戦に弱いはず、敵兵を上陸させてすばやく決着をつけねばならなかった。「流言を広めよ、私が月亮湾へ視察に向かうと…」その頃、方海市(ホウハイシー)は蘭茲(ランシ)へ向かった迦満(カマン)人に危険を知らせるため紅薬原(コウヤクゲン)に向かっていた。紅薬原とは紅薬帝姫から取った名、紅薬は若くして鵠庫(コクコ)に嫁いだ大徴(タイチョウ)の皇女だという。紅薬は次々と3人の藩王の妃となって権力を得たが、儀(ギ)王の乱で自ら兵を率いて異母弟である儀王・褚奉儀(チョホウギ)を援護し、戦乱で命を落としていた。末子は行方不明となっていたが、恐らく生存はしていないだろう。旭(キョク)帝と清海公が攻め込んで数日間の激戦を繰り広げた雪原は、20里にわたり戦死者の血肉で埋め尽くされたという。海市たちは鵠庫兵に襲われている迦満人を助け、敵兵を撃破した。しかし迦満人を連れて先に逃がした郭大成(カクダイセイ)たちが敵将・魯爾丹(ロジタン)に捕まってしまう。(  ̄꒳ ̄)🏹 ウム… 大哥!逃げろ!>乂(>◇< )乂(>◇< )<俺たちに構うな!海市は兄弟を見捨てられず投降、部隊は捕虜となって蘭茲に連行された。海市は右菩敦(ウホトン)王・額爾済(ガクジセイ)の前に突き出された。魯爾丹の話ではこの華奢で小さな男が配下を8人も殺し、左王を仕留めたという。にわかに信じられない額爾済、そこでいきなり海市に短刀を投げつけた。すると海市は瞬時に短刀を受け止め、これを利用して手枷の鎖を断ち切ると、草原の掟を持ち出し決闘を申し込む。「私が負けたら右王に帰順する、ただし私が勝ったら仲間を解放してもらう」「いいだろう、体格が劣るお前は短刀を、私は徒手で十分だ」しかしそれが裏目に出た。額爾済は素早い海市に手こずりながらも力でねじ伏せようとしたが、隙を突かれて首に短刀を突きつけられてしまう。「解放しよう、だが今日とは言っていない」海市は卑劣な右王に憤慨したが、人質を守るため我慢するしかなかった。一方、西平港では敵兵が方鑑明の罠にはまり、船を捨てて上陸を始めていた。報告を聞いた鑑明はすぐ出陣することにしたが、その時、小公子が鵠庫の捕虜になったと密報が届く。「何だと?!」鑑明が驚いて足を止めると、後ろにいた副将・修風(シュウフウ)が突然、腕に隠していた暗器を放った。「清海公、恩人に報いるため、不本意ながら英雄に手をかけた、すまない」鑑明は左胸を負傷、すると修風は護衛が突きつけた剣で自ら命を絶った。方鑑明は静養を余儀なくされたが、作戦が功を奏して敵兵はほぼ壊滅した。西平港刺使(シシ)・陳赫然(チンカクゼン)の報告では残る敵船は2隻、そこで鑑明は3隻を配置させ、日の出の前にすべて沈めるよう命じる。…海市、耐えるのだぞ…その頃、瀚(カン)州一帯の諜報網を束ねる鞠七七(キクシツシツ)の元にも一報が届いた。驚いたことにあの方海市が右王の捕虜になったという。「はお…好都合だわ」鞠七七は自分を捨てた方鑑明とその方鑑明が寵愛する方海市への恨みを募らせ、小さな切れ端に刺繍を始めた。↓ナナナのオカルトが過ぎるw翌朝、戦に勝利した方鑑明は後処理を刺史に任せ、士気を下げないよう負傷したことは口止めした。刺史は清海公の怪我を心配していたが、鑑明は痛みを隠して黄泉関へ向かう。一方、蘭茲では魯爾丹が右王に勝利した方海市を独断で殺すことにした。そこで罠を仕掛け、方海市が独房から出て来たところを狙う。すると独房が火事なった。魯爾丹の配下たちは矢をつがえたが、なかなか方海市が現れない。その時、運悪く騒ぎに気づいた右王が駆けつけた。「なぜ火事になった?!」「それが…方海市が牢を破り、見張りが殴り倒されて、その時、松明が倒れたのです」見張りの兵が説明していると、濡れた毛皮の毛布をかぶった方海市が飛び出して来た。海市は右王の声が聞こえたので安心して外へ出たと言った。その意味を悟った額爾済は魯爾丹に射手を連れて何をしていたのかと尋ねる。魯爾丹は咄嗟に脱走が心配で見に来たとごまかしたが、海市は失笑した。「ふっ、誰が私に毒を持った?脱走するようわざと牢の鍵を外したのは誰だ? 大方、矢の雨を降らせて私を針鼠にしようと大勢の射手を連れて来たのだろう?」海市は確かに火事なら証拠も一緒に焼けて消えると指摘し、懐に隠していた焼餅(シャオピン)を出した。「お前が持って来たな?ほら、食べてみろ」すると焦った見張り番は毒入りの焼餅を遠くへ払い避けてしまう。魯爾丹は仕方なく過ちを認めて謝罪した。しかしこれも右王への忠誠心からに他ならないという。額爾済は火を消すよう命じて罰を与えなかったが、そこへ思わぬ報告が舞い込んだ。実は左部の奪洛(ダツラク)が南門に現れ、方海市の身柄の引き渡しを求めて来たという。新しい左菩敦王は前王の異母弟にあたる奪洛だった。奪洛は先王を殺した方海市が紅薬原で右部に捕らわれ、叔父である左王との決闘で勝ったと耳にしたという。額爾済は知らないとごまかしたが、配下は捕虜1人のために左部と争うのは危険だと諫言した。しかし額爾済に思いがけない情報が届く。密書には方海市が女子だと書いてあった。そこで額爾済は方海市のことは知らないが、自分と対決した相手となら会わせても良いという。監禁されていた海市は妃の衣装を着るよう強要された。もし拒めば1刻ごとに捕虜を殺すという。仕方なく海市は草原の妃の衣装に身を包み、面紗で顔を隠して城門へ登った。「…美しい、昨日とは別人だ」額爾済は賢く勇敢でありながら美貌に恵まれた方海市にすっかり魅了され、甥の元へ連れて行く。すると海市は新しい左王こそ黄泉関で戦ったあの方卓英(ホウタクエイ)と瓜二つの戦士だと知った。↓( ๑≧ꇴ≦)ちょっとお兄の頭wwwなぜそうなった?!額爾済は海市を提蒂(テイテイ)と呼び、自分と戦った相手だと教えた。奪洛は妃の顔を見ようとしたが額爾済が阻止、その隙に海市は城内へ引き返してしまう。その時、魯爾丹が機転を聞かせ、先の火事で焼死した阿爾泰(アジタイ)の亡骸を運んで来た。「実は紅薬原で方海市を捕らえて… しかし狡猾な奴で牢で火を放ち逃げようとしましたが、私の矢に倒れ焼死しました 報告が遅れたため、お二人が行き違うことに…」奪洛は遺体を見たが、真っ黒な骸では方海市本人なのか確認しようもなかった。「叔父、その骸が方海市なら話は終わる だが違う奴の骸だと分かったら…蘭茲も黒焦げにしてやる、退くぞ!」海市は城主府への道すがら自分の情報の出どころがどこか聞いた。しかし額爾済は妃になれば何でも教えてやるという。「誰がお前の妃になるか、対決に敗れたうえに約束を破る卑怯者だ…」その時、偶然、新しい迦満人の人質たちが連行されるのを見た。海市はその中に迦満人に成り済ました張承謙(チョウショウケン)がいることに気づき、咄嗟に咳払いして合図する。「…それでいつ捕虜を解放するつもり?」「お前が私に嫁げば全員を解放しよう」海市は牢に戻れば張承謙と接触できそうだと考えたが、額爾済は城主府で自分と過ごすよう命じた。額爾済は海市を城主府の部屋に監禁、贈り物を届けて機嫌を取った。しかし海市はいきなりグラスを割って破片を自分の首に突きつける。「王妃にはならない、逃亡するつもりもないが、無理強いするなら命を絶つ!」驚いた額爾済は捕虜を何人か解放すると約束、海市の望み通り城内を自由に歩かせることにした。地下牢に右王が妃を連れてやって来た。額爾済は提蒂妃が食料を与えると言って各牢屋に配給、その間に海市は張承謙の居場所を確認する。どうやら張承謙は提蒂妃が海市だと見抜いたが、大成たちは気づいていないようだった。すると張承謙の咳払いを聞いた大成たちは具合が悪そうに咳込み始める。そこで海市は咳の止まらぬ捕虜が奇病ではないかと疑い、早く出すよう勧めた。海市のお陰で大成たちは解放、城外へ放り出された。すると女がわざとぶつかって来る。大成たちは女の首飾りに気づき、張承謙から聞いた守衛近くにいる味方だと分かった。そこで女に密かに暗号を渡し、何食わぬ顔で別れる。一方、方鑑明は休まず黄泉関を目指し、山道でついに馬を一頭、潰した。護衛は20里先にある暗衛営の拠点に馬を準備させておいたが、このままでは清海公の傷が悪化すると心配する。その時、伝書鳩が戻って来た。…方海市の正体が露見、右王に捕らわれ妃になるよう迫られている…方鑑明は傷口が開き喀血したが、海市のために我が身を顧みる余裕はなかった。額爾済は海市に腰牌を与え、約束どおり城内を自由に歩かせた。そこで海市は再び差し入れを持って地下牢を訪ね、食べ物を配りながら張承謙と接触する。「いつも粗末な食べ物だからありがたいっす」「これは良い焼餅よ、東の市場は胡麻が多すぎる、西門の店は材料が少なくて崩れやすいの」張承謙は東に兵が多いが、西は手薄で守りが弱いと分かった。額爾済の元に急報が舞い込んだ。紅薬原を踏みにじり、鵠庫が分裂するきっかけとなった方鑑明が黄泉関に向かっているという。しかし方海市の正体を知らせた者とは別の筋からの情報のため、すぐに真偽を確かめることにした。「相手は鵠庫共通の敵だ、直ちに各部族に知らせておけ!」額爾済はこの機会に必ず雪辱を果たしてみせると奮起した。つづく
2022.08.20
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第14話「敵軍との戦い」旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は瀚州(カンシュウ)の諜報網の一件を鞠七七(キクシツシツ)に任せることにした。清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)は鞠七七の目が悪く、危険な任務だと反対したが、皇帝の決定は覆らない。仕方なく方卓英(ホウタクエイ)に密書を託し、綾錦司(リョウキンシ)への使いを頼んだ。卓英は方海市(ホウハイシー)の情報が届かなくなることを心配したが、何より自分が師匠の代理で鞠典衣と会うことに気が引ける。今まで鞠典衣には師匠が直接、連絡してきたからだ。卓英は咄嗟に師匠の具合が悪く代わりに来たと取り繕ったが、あからさまに避けられた鞠七七は深く傷ついた。真珠税が解決した西南一帯、しかし近頃、海賊の被害が頻発していた。方鑑明は尼華羅(ジカラ)と吐火魯(トカロ)が海賊に扮して西平港(セイヘイコウ)の防衛を探り、恐らく鵠庫(コクコ)と呼応して黄泉(コウセン)関を攻めるつもりだと気づく。そんなある日、天啓(テンケイ)に急報が舞い込んだ。尼華羅と吐火魯の戦艦が西平港に現れたという。褚仲旭は思わぬ敵の挑発に激怒、大臣たちも西南沿海の防壁である西平港が尼華羅と吐火魯に落とされれば取り返しがつかないと動揺した。そこで陸戦にも海戦にも長けた方鑑明に白羽の矢が立つ。鑑明は必ずや敵を一掃すると拝命、すると蘇鳴(ソメイ)は清海公が指揮を執れば西平港は必ず難を逃れられるだろうと歯が浮くようなお世辞を言った。↓( ತ _ತ)oO(蘇鳴、コイツッ方鑑明は流觴(リュウショウ)軍を招集、方卓英と陳哨子(チンショウシ)に留守を任せて西平港へ出立した。「私が不在の間、陛下をお守りせよ、それから諜報網の件で綾錦司が危害を加えられぬよう見張れ」「はい、師父もご無事で」一方、海市は水井屯(スイイトン)から逃亡した鵠庫兵が何の痕跡も残さず姿を消したことを怪しんでいた。氷河の道も封鎖され退路はないはず、しかし付近には休憩や野宿した形跡もない。海市は水井屯の戦が実は鵠庫の奇計なら罠が潜んでいる可能性があると危惧し、湯乾自(トウカンジ)の許可をもらって偵察に向かった。清海公が出征したその夜、蘇鳴は西平港に鳥文を送った。「私はあいつの命の恩人だ、方鑑明の命で恩返ししてくれるかどうか…ふっ」海市たちが敵軍の行方を探して2日、未だ何の手がかりもなく、兵士たちは降り積もる雪の中で震えていた。すると黄泉営から小隊長・宋典(ソウテン)が毛布の差し入れを持って来る。「湯将軍に聞いた、かつては伝令兵で地理にも詳しいとか…それで毛布を届ける任務を?」「そうです」宋典は瀚(カン)州の出身だった。そこで海市は逃亡した鵠庫兵が隠れそうな場所がないか聞いてみる。すると宋典は食糧不足の鵠庫なら強奪するため迦満(カマン)人を探すはずだと教えた。「東に迦満、西に鵠庫、鵠庫には左部と右部があります 迦満人は分散して生活を…鵠庫人は迦満人から食糧を強奪します、そして迦満人を″羊″にする」羊とは奴隷のことだ。迦満人は近頃、他の部族に侵略され散り散りとなり、身体が小さいこともあってすぐ捕らえられ、戦では生きる盾として使われるという。海市は宋典に迦満人が集まる場所へ連れて行って欲しいと頼み、その日は休むことにした。翌朝、一足先に周囲を確認して来た宋典が戻って来た。「方大人、1日ほどで毘羅(ヒラ)山へ着けるかと…迦満人が集まる場所です」海市は宋典の行動に違和感があったが、そのまま泳がせようと宋典の案内で毘羅山へ出発する。しかしやがて分かれ道で沢山の足跡を発見、馬蹄の跡も増えていた。宋典は鵠庫かもしれないと訴え、蹄の跡をたどって東へ向かうべきだと説得したが、海市は罠だと気づく。「…降り続いた雪で馬蹄など残っていないはず、新しい足跡だ、伏兵に違いない 宋大哥?昨夜はどこへ行っていた?」海市は剣を突きつけ追及したが、宋典は自害してしまう。左菩敦(サホトン)王は毘羅山で方海市一行を待ち伏せしていたが、そこへ急報が届いた。実は方海市を誘導する役目の間者と連絡が途絶えてしまったという。どうやら方海市は罠に気づいたらしい。「仕方あるまい、計画通り動く…もし方海市に出くわしたら迷わず殺せ 我らが目指すのは黄泉関だ、勝利すれば瀚州は我ら鵠庫左部のものになる (๑•̀ㅂ•́)و✧ガシッ!」海市は密かに敵の背後に周り、様子をうかがった。これほどの大軍なら敵の主力のはず、恐らく黄泉営に奇襲を仕掛けるつもりだろう。「まずい、お前たちは湯将軍に知らせろ、私は麒麟営に援軍を頼む」呉恙(ゴヨウ)と肖武(ショウブ)は大哥と別れ、急いで黄泉営に戻った。「鵠庫の大軍だ!戦に備えよ!」実は水井屯に潜んでいた鵠庫の左部の主力が密かに黄泉関に近づいていた。湯乾自は符義(フギ)に命じて麒麟営に援軍を頼むことにしたが、すでに方海市が向かったと知る。「何だと?!地形に疎い方大人では時間がかかる…行け!」奇襲の知らせに緊迫する黄泉営、一方、方鑑明は流觴軍と合流し居北鎮(キョホクチン)に到着していた。出迎えた西平港刺使(シシ)・陳赫然(チンカクゼン)は早速、状況を報告、今のところ敵船からの攻撃はないという。しかし敵は30隻、対して西平港には大船8隻と小船15隻、兵は1万しかなかった。鑑明の流觴軍を加えても2万、どうやら持久戦を覚悟しなければならない。すると陳赫然が副将・修風(シュウフウ)を紹介した。修風は慎重で地理にも詳しく、清海公の案内役だという。鵠庫の大軍が黄泉関に到着、すると宋典が話していた通り、先発隊は迦満人を盾にして城門に近づいて来た。湯乾自は迦満人に当てないよう矢を放てと命じたが、思うように仕留められず苦戦を強いられる。やがて城門が破られそうだと報告が届いた。湯乾自は援軍がまだか尋ねたが、符義は麒麟営から何も連絡がないという。その時、照明弾が上がり、方海市の案内で麒麟営が到着した。後方で戦況を見守っていた左菩敦王たちは不意を突かれ、急な交戦を強いられてしまう。海市は見事な弓術で敵を撃破、迦満人たちを助けながら城門へ向かった。その頃、湯乾自たち上官も城門から飛び出し、突撃する。激しい戦闘が長引く黄泉関、そこで海市は咄嗟に城壁に登り、敵の将となる左菩敦王を狙った。海市は見事に左菩敦王を仕留めたが、そんな海市めがけて矢が飛んでくる。驚いた海市は馬の背に飛び降り、外套を目深にかぶった敵兵に矢を放った。咄嗟に岩陰に隠れた敵兵は難を逃れたが、外套が切り裂かれて顔があらわになってしまう。その男の名は奪洛(ダツラク)、奪洛は絶命した左菩敦王に気づき、慌てて撤退を叫んだ。王を失った鵠庫左部は慌てて撤退した。海市の機転を賞賛する湯乾自たち、しかし海市は釈然としないまま困惑している。…あれは卓英だった…髪の色以外、顔や身体つきが全く同じだ…共に育った私が見間違えるはずがないあの男は一体、何者なのか。↓( ゚д゚)大沢たかおじゃない?海市は湯乾自の天幕を訪ねた。宋典の裏切りが単なる復讐とは思えず、他にも密偵がいるかもしれないという。湯乾自は間者の件を内密にして用心することにしたが、海市は何より哀れな迦満の難民の処遇が気がかりだった。しかし今年は例年以上の寒さと飢えに襲われ、難民のために食糧や薬を使う余裕がないという。「軍備に影響が出ては困るのだ」「では軍営で働かせてはどうです?」「自由気ままな迦満人をまとめるのは容易ではない、余分な食糧もないしな そう言えば西南では雷(ライ)州各部族の攻撃が続き、清海公が流觴軍を率いて西平港へ向かったそうだ 難民のために朝廷を煩わせるわけにいかぬ」「師父が?!」海市はいくら師匠でも長い海岸線では厳しい戦いを強いられると心配した。方鑑明のもとに黄泉関から密書が届いた。…麒麟営の救援を得て方参軍は左菩敦王を始末…鵠庫左部は撤退し、右部には動きなしそこで鑑明は引き続き左右両部の動きを見張り、黄泉関を死守するよう命じた。方鑑明は夜空を見上げながら、離れ離れになった海市へ思いを馳せた。その手には海市から戻って来た玉板指がある。同じ頃、海市も城楼に立ち、師匠がつけてくれた腰牌を眺めていた。それにしても師匠は婚儀の後、急いで西平港へ向かったのだろうか。すると張承謙(チョウショウケン)がやって来た。海市は難民の様子を尋ねたが、定住しない迦満人たちはすでに紅薬原(コウヤクゲン)に向かったという。「その先の蘭茲(ランシ)は迦満人の町だった…はっ! 先ほど鵠庫右部が紅薬原に現れたと報告があったんだ!」驚いた海市は湯乾自を訪ねた。湯乾自は密書を渡し、蘭茲がすでに鵠庫右部に占領されたと教える。「左部と右部は連携していると?」「左部と右部は血縁関係があるものの、不仲で行動は別だ、手を組む可能性は低い」しかし黄泉関から近い蘭茲が補給地となれば事態は厄介だ。海市は何も知らず蘭茲に向かっている迦満人を助けに行きたいと嘆願した。湯乾自は反対したが、海市は迦満人が再び鵠庫に捕らわれれば、また生きた盾にされてしまうと懸念する。「蘭茲が占領されたと伝えて行き先を変えさせます!」つづく( ๑≧ꇴ≦)あ~ヤギーがぁぁぁ!でもさすがウマーの演技はすごいわ!それにしてもみんな怪しい、って…まだ言わないで!w
2022.08.15
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第13話「揺らめく灯籠」清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)は綾錦司(リョウキンシ)に赴き、鞠七七(キクシツシツ)にはっきりと誰とも婚姻を結ぶことはないと宣言した。「典衣…私を待つ必要はない」鞠七七は何とか冷静さを保ち、幼い頃から鑑明を兄だと思って来たと取り繕う。しかし独りになると深い失望感に苛まれ、これまで大切に保管していた婚礼衣装にハサミを入れ、燃やしてしまう。一方、黄泉関(コウセンカン)へ向かった方海市(ホウハイシー)たちは瀚州(カンシュウ)の戈壁(カヘキ)で休憩していた。それにしても注輦(チュウレン)も尼華羅(ジカラ)も南毘(ナンヒ)も現れず、妙に静か過ぎる。海市は鵠庫(コクコ)の動向を心配したが、張承謙(チョウショウケン)は軍営から何も知らせがないと安心させた。今は戈壁の砂漠の泉が枯れており、水の補給ができる毘羅山(ヒラサン)の峪沿河(ヨクエンカ)へ行くためには必ず黄泉関を通らねばならない。その時、まだ9月末というのに小雪が舞い始めた。すると雪を見た張承謙は氷河を通る手があったと気づく。実は今年、瀚州は8月末に雪が降っていた。鵠庫も恐らく9月までには雪に覆われたはず、この寒気で氷河は硬く凍っただろう。確かに険しい道だが目立たずに動ける。「だが兵糧が足らぬはずだ…どこかで略奪を働くに違いない」海市は鵠庫が氷河から20里にある水井屯(スイセイトン)を襲撃すると読んだ。張承謙と符義(フギ)は黄泉関に到着、主将・湯乾自(トウカンジ)に新兵と食料の無事を報告した。湯乾自は遠く都からやって来た兵士たちを労ったが、参軍の方海市の姿がない。聞けば方参軍は水井屯の危険を察知、副将ら2千の兵を率いて救援に向かったという。湯乾自は驚いた。実はちょうど水井屯で戦が起きたと報告があったところだという。今は道が凍っているため、情報が遅れがちだ。もし鵠庫人が奇計を使って黄泉営に攻めて来れば厳しい戦いになるだろう。符義は水井屯を放棄し、黄泉関を死守すべきだと訴えた。しかし張承謙は方参軍を見捨てるような発言に憤慨し、大徴の領土を奪われてはならないと反対する。湯乾自も張軍候の意見に賛成、直ちに援軍を送ることにしたが、その時、方参軍たちが到着したと報告が来た。海市たちは水井屯で敵軍を撃退し黄泉関に到着した。3千ほどの鵠庫の兵は大半が逃亡、投降しない20名ほどを生け捕りにしたという。「防衛のための濠(ホリ)を掘っていますが人手が足りません」そこで湯乾自は副将に配下を連れて今すぐ水井屯へ向かうよう命じた。湯乾自は水井屯から戻った兵士たちを見舞った。すると任勇(ジンユウ)は大変な戦だったが、大哥の戦術のおかげで水井屯を守り、自分たちも命があると感謝する。海市は兵を3つに分けて民と共に敵を挟み撃ちにしていた。三方から攻撃された鵠庫の兵は予想通り1つの逃げ道に集中、その時、海市が楼門の上から飛び降り、得意の弓術で敵を撃退したという。方海市は功績を称えられる一方で、千人を超える仲間を失ったと思うと複雑だった。しかも初めて凄惨な光景を目の当たりにしたせいか、食事も喉を通らない。湯乾自は慣れだと励まし、謙虚で情け深い方海市をさすが流觴(リュウショウ)の方氏だと称賛した。かつて清海公・方鑑明も14歳で軍を率いて戦い、6つの軍を撃破したのは有名な話だという。「病死したと聞いて残念だったが、まさか生きていたとは…世の中、何があるか分からないな」海市は湯主将の話を聞きながら、師匠から与えられた任務が頭をよぎった。…黄泉営に着いたら私に尽くすがごとく湯乾自に仕えろ…そして私から文が届いたら殺せその頃、左菩敦(サホトン)王は水井屯を攻める裏で密かに黄泉関へ歩みを進めていた。報告では敵軍が濠を修復しているとのこと、自分たちに気づいていないという。どうやら奪洛(ダツラク)の提案した策が功を奏したらしい。「もう少しの辛抱で黄泉関が手に入る…ふっ」一方、方鑑明は黄泉営から気がかりな報告を受け取った。実は鵠庫に潜ませた間者からの連絡が届いていないという。間者は故意に報告しないのか、もしくは裏切ったのか。鑑明は方卓英(ホウタクエイ)に改めて人員を配置し、間者の数を増やすよう指示した。さらにその中に別の間者も潜ませ、裏切り者がいないか見張らせるという。「手配は任せる、尻尾を出すまで待つのだ」「はい…師父?海市に伝えておいてもいいですか?そうしないと…」しかし鑑明は首を縦に振らなかった。淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は愈安(ユアン)宮に戻り、指の傷も癒えていた。しかしウサギの小乖(ショウカイ)は穆徳慶(ボクトクケイ)に預けられたまま、空の籠を見ると寂しさが募る。するとある侍従が侍女・碧紫(ヘキシ)を訪ねてきた。碧紫は淑容妃に朗報を伝えた。方海市は無事に黄泉関に到着、道中では水井屯に寄って敵兵を撃退したという。緹蘭は安堵し、何より勇敢な方海市が湯乾自のそばにいてくれることを喜んだ。「そうだ、色紙を持ってきて」一方、旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は亡き皇后・紫簪(シサン)を失った孤独に耐えられず、今夜も酒に溺れていた。ふと回廊に出てみれば美しい上弦の月が見える。あの時もやはり美しい月が出ていた…褚仲旭は愛する紫簪と盟友の鑑明3人で小船に乗って湖に出た꒰⌯͒ ˶´꒳`˵)<ふふ、鑑明ったら酔っ払ってるわ紫簪が今にも眠りそうな鑑明を見て笑うと、褚仲旭は湖に入って酔いを覚ませとからかった(  ̄꒳ ̄)<ヒック!良いですよ~誰かさんと違って水など怖くありませんから꒰⌯͒´゚д゚)<まあ~あなた水が苦手なの?( ̄▽ ̄;)<何を言う?!(  ̄꒳ ̄)<早見優~ヒック꒰⌯͒´゚艸゚)∴ブッ<大丈夫よ、溺れたら私が助けてあげるわ…今となっては夢の中で旧情を温めることしかできない3人、褚仲旭は飲めば飲むほどかえって寂しさが募っていった。その頃、緹蘭は湯乾自と方海市の無事を祈り、こっそり灯籠を流していた。霜平湖なら宮中から離れているため、誰にも見つからないだろう。しかしうっかり龍尾神に供える神酒を忘れ、侍女たちが急いで取りに戻った。すると酒に酔って昔を懐かしんだ褚仲旭が湖にやって来る。褚仲旭は独り湖を見ていた淑容妃を紫簪と思い込み、感激のあまり抱きしめた。「紫簪…ずっと会いたかった、どこへも行かないでくれ」「へっ陛下?飲み過ぎです」緹蘭は皇帝を突き放したが、褚仲旭は思わず口づけしてしまう。驚いた緹蘭は力一杯、皇帝を突き飛ばした。よろけた褚仲旭は後ろへ倒れそうになり、咄嗟に緹蘭の腕をつかんで一緒に湖へ落ちてしまう。泳ぎが得意な緹蘭は湖に沈んで行く皇帝を捕まえ、何とか上昇した。すると寝所へ運ばれた褚仲旭はうなされながら緹蘭の手を握りしめ、離そうとしない。緹蘭は皇帝の紫簪への深い愛情に心を打たれ、結局、そのままそばに付き添い、朝を迎えた。翌朝、褚仲旭は久しぶりに幸せな気持ちで目を覚ました。しかしふと我に返り、そばにいたのが紫簪ではなく緹蘭だと気づく。「陛下の起居する金城宮(キンジョウキュウ)に無断で立ち入りお許しを…」すると褚仲旭は皇帝を助けた功績を認め、何でも緹蘭の望みを聞くと言った。緹蘭は恐縮し、褒美を辞退して下がることにしたが、褚仲旭がふいに呼び止める。「待て!あのウサギだが…ここで飼うのも面倒だ、そなたの元へ戻す」「はい!陛下、感謝します!」方鑑明は皇帝に謁見し、瀚州の諜報網の強化と黄泉関の防衛について相談した。どうやら水井屯の戦には裏があるという。褚仲旭は結局、弟子の方海市が心配なのかと揶揄し、天然の要塞である黄泉関なら容易に落とされないと高を括った。「戦のせいで婚姻を遅らせてはならぬ」「婚姻?」「方海市にもお前と七七に婚姻を下賜すると話した、聞いてないか?」鑑明はようやく海市の様子がおかしかった理由を知った。「妻を娶る気はありません…もう決めたのです、その話はお忘れに…」すると褚仲旭はならば任務を瀚州一帯の諜報網を束ねている鞫七七に任せると決めた。婚姻する暇もないというなら、臣下を酷使する皇帝だと言われかねない。鑑明は危険な任務だと反対したが、褚仲旭は鞫七七に引き継いで鑑明は手を引けと命じた。つづく(  ̄꒳ ̄)さすがにナナナに同情したわ〜師父、ひど過ぎないか?…と思ったけど、婚礼衣装を切っているナナナがオカルトだったwそれにしてもヤンミーの声が…ヤンミーだけ日本語吹き替えでもいいです( ̄▽ ̄;)
2022.08.13
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第12話「半歩の距離」方海市(ホウハイシー)は師匠への想いを断ち切ろうとするあまり訓練に没頭、殿選での古傷を悪化させた。心配した陳哨子(チンショウシ)は清海(セイカイ)公に小公子の様子を伝えたが、方鑑明(ホウカンメイ)は新兵には過酷な訓練が必要だと厳しい。そこで方卓英(ホウタクエイ)が軍営に駆けつけ、無茶をする海市を連れて帰ろうとした。「都で努めに励み、師父に孝行すればいいだろう?」「孝行?ふっ…清海公・方鑑明は私の父親なんかじゃない!」卓英は海市の激しい感情に戸惑い、無理強いせず帰ることにした。その夜、海市は開いた傷口のせいで熱を出し、うなされていた。心の奥底に封じ込めた方鑑明への恋心、しかし夢の中ではごまかすことができない。海市はふと目を覚ますと、枕元に立つ師匠の姿があった。「師父…あなたがとても好きなの…思いが強くて離ればなれになるのは辛い… この気持ちをあなたは知っているかしら?…師父…」しかし海市は再び深い眠りに落ちてしまう。翌朝、目を覚ました海市は慌てて外へ飛び出した。すると心配した任勇(ジンユウ)たち4人が幕舎の前に集まっている。「粥が置いてあったが誰か来たのか?!」「我らが作りました」「朝からここにいましたが、粥を運んだ呉恙(ゴヨウ)以外、誰も入っていません」海市は夢を見たのかと思ったが、あれは確かに師匠の姿だった。黄泉関への出発を明日に控え、兵士たちは一度、家に戻ることになった。そこで海市も師匠に別れの挨拶をするため、昭明宮を訪ねる。するとちょうど棋譜を解いていた方鑑明が一局、対戦しようと誘った。一方、緹蘭(テイラン)のウサギ・小乖(ショウカイ)は鞠柘榴(キクシャリュウ)の進言のおかげですっかり元気を取り戻していた。今では金城宮(キンジョウキュウ)の人気者になっていたが、急に李(リ)侍医が謁見を願い出る。聞けば淑容(シュクヨウ)妃が頑なに彫り物を続けているため怪我が悪化の一途を辿り、薬を使っても根治しなくなっていた。方鑑明と海市は対局しながら互いに牽制し合った。鑑明は海市の一手を焦り過ぎだと指摘、強引に進めるなと諭せば、海市は師匠が一思いに自分を下す自信もなく、かと言って手放すこともできないとやり返す。その時、回廊から錦服が届いたので受け取るようにと報告が聞こえた。そこで海市は最後の石を置き、別れの挨拶代わりに思いの丈をぶちまける。「私にとって師父は特別です、だからこそ半歩の距離を保って欲しい たとえ養父としての情であれ、師弟愛であれ、踏みとどまってください あと半歩近づけば、海市は言うべきではない言葉を吐き、すべきでない事をする… もしそうなれば、海市は一生、辺境にとどまり師父を避けなければならなくなります」すると鑑明も石を置いたが、やはり局面はこう着したまま動かなかった。「…どうしても白黒つけるとしたら、私に勝算がある」海市は自ら決着をつけて出ていった。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は南宮に淑容妃の様子を見に行った。すると緹蘭はすでに半数の龍尾神を完成させ、あと10日もあれば彫り終わると報告する。「…惜しいな、血がにじみ汚れている」褚仲旭は遠回しに休ませようとしたが、緹蘭は頑なだった。「すぐ手を洗って彫り直します」驚いた褚仲旭は自分への当てつけかと憤慨、思わず緹蘭を引き止めようとしたが、その時、緹蘭が握りしめていた小刀でうっかり手を切ってしまう。しかし褚仲旭の身体は傷を負うことがないため、咄嗟に手を隠してごまかした。褚仲旭は腹いせに侍女を死罪にすると命じた。すると緹蘭は皇帝に逆らう気など毛頭ないと謝罪、褚仲旭のために彫った龍尾神のお守りを贈る。「大徴(ダイチョウ)に来た頃は孤独で苦しみばかりの自分の人生を恨めしく思いました でも今はそんな恨みも消えました、陛下の苦渋を察したからです 陛下も私も運命に幸福を奪い取られてしまった…陛下と私は相容れない運命なのでしょう でも緹蘭、せめて紫簪(シサン)阿姐を想うよすがになればと龍尾神を彫りました 少しでも陛下の苦しみが和らぐようお祈りしております」褚仲旭は緹蘭に自分の心を見透かされたようで居ても立っても居られなくなった。そこで龍尾神を捨て、彫刻はもう必要ないと免じる。「淑容妃と侍女を愈安(ユアン)宮に戻せ」海市は方卓英と一緒に錦服を受け取った。確かに海市の錦服も洗練され美しかったが、卓英の錦服は鋭い目をした鷹が刺繍され、最上の技巧が凝られているという。実は少府監に来た皇弟・褚季昶(チョリチョウ)が鞠柘榴の鷹の刺繍を気に入り、衣を寄こせと駄駄を捏ねていた。しかし注輦(チュウレン)から献上された銅線で刺繍したため非常に重く、武人でなければ着こなせないと説得して諦めてもらったという。「哥?ふっ、″花の盛りに手折らねば欲する頃には枝ばかり″…」「…知った口を」そこへ師匠の使いがやって来た。清海公が公務で帰れないため、海市に自分の部屋へ泊まって行けという。↓鋭い目…鋭い目…👀師匠の寝殿にはすでに海市の鎧が準備されていた。海市は師匠の寝台に腰掛けると、思わず枕を腕に抱いて香りを確かめる。↓フレーメン反応w一方、宮中では方鑑明が月を眺めながら海市の言葉を思い出していた。…海市、近づこうにも我が身の自由が利かぬ私に何ができようか…鑑明の手のひらには小刀で切られた傷があった。あの年、儀(ギ)王は逆賊討伐を掲げて宗室を殺し、庶民を苦しめ、忠臣を害した。皇太子・伯曜(ハクヨウ)は亡国を愁い自死、褚仲旭と方鑑明は自分たちの力だけを頼りに起死回生を図ろうと踏ん張る。しかし手探りで進んでいた道の半ばで方家が滅ぼされ、我を失った鑑明は命令を無視した。その結果、紫簪が亡くなり、褚仲旭をも危機に陥れることになってしまう。鑑明は軍の士気を高め、戦局を掌握すると、大事な友を生かすため、褚仲旭の″柏奚(ハクケイ)″になった。この時から2人の運命はひとつ、鑑明は褚仲旭の病や傷を代わりに引き受ける身体になる。…海市、お前と会わなければこの一生を淡々と全うしただろう…お前という存在によって後悔ではなく、無念な思いがもたげてきた…海市、許してくれ翌朝、海市が錦服に着替えた頃、師匠が現れた。海市の気持ちに応えることはできない鑑明、そこでせめて軍装の支度を手伝い、送り出してやることにする。すると海市は師匠からもらった玉板指を返した。「戦場で壊してしまいそうなので… 師父、以前に″行行重行行(行き行きて重ねて行き行く)″という詩を教わりました」海市は師匠の言葉を待ったが、鑑明は思わず目線を外してしまう。それが答えだと分かった海市はあきらめがついた。「…では師父、お体に気をつけて」その時、鑑明が思わず海市の背中に声をかけた。「海市…」海市はかすかな期待を抱いて足を止めたが、鑑明は″行行重行行″の最後の一節を引用する。「海市、″棄捐勿復道 努力餐飯(思いを捨てよ、しっかり食事をせよ)″」「…師父、保重」海市は振り返らず、涙をこらえて出て行った。一方、褚仲旭は鑑明に出征の儀を任せ、身支度もしないまま紫簪の部屋にこもっていた。これまで弱みを見せまいと虚勢を張って来たが、思いがけず緹蘭に孤独を見抜かれ動揺が隠せない。「そなたと共に年を重ねたかった…そなたを失ってから苦しさだけが募る… もう力尽きそうだ!紫簪…強い姿を見たいのだろう?だが誰と生きていけというのだ…」方鑑明は夕暮れ時、皇帝と一緒に楼上に立った。いつになく感傷的な褚仲旭はふと紫簪が天啓の秋の落日を愛していたと思い出す。「黄金色に染まって繁栄を祝うかのようだと…」「美しい夕日です」鑑明は誰しも平穏な日常を望むものだと話し、互いに定められた運命がある以上、多くは望めないと諭した。「執着せず、折り合いをつけることも必要かと…」「お前は変わったな…お前の心には執着するものがないと?」「あります、胸に秘める想念が…」実は大徴建国以来、歴代の君主は方家と柏奚の契りを結んできた。鑑明は多くのことを共有し近づきすぎては傷つけ合うだけだと吐露する。驚いた褚仲旭は鑑明を柏奚にしたいと望んだことはないと訴えたが、鑑明は自分が望んだと言った。つづく( ˙꒳˙ )なぜか全然、入ってこないちゃんと見てないのか?いやヤンミーの声かw
2022.08.07
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第11話「龍尾神への祈り」淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)は3万の新兵のため、黙々と龍尾神(リュウビシン)を彫り続けていた。やがて夜も更けた頃、手元が狂った緹蘭は誤って親指に小刀を刺してしまう。侍女が慌てて門衛に知らせると、すぐ穆徳慶(ボクトクケイ)の耳に入った。そこで穆徳慶は軟禁中のため侍医を派遣するにも皇帝の許可が必要だと伺いを立てたが、皇帝は苛々しながら報告など不要だという。「掟の通り対処せよ…チッ、頑固な女だ」一方、なかなか引っ越しを決断できずにいた清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)は方海市(ホウハイシー)も連れて行くと決心、晴れて霽風(セイフウ)館は皇宮へ移った。片付けが遅れていた海市は翌日に引っ越すことにしたが、今日は官服の採寸のため綾錦司(リョウキンシ)へ向かう。すると海市は寸法を測ってくれた鞠柘榴(キクシャリュウ)の手首に方卓英(ホウタクエイ)が越州の母からもらったと話していた真珠の腕輪があると気づいた。そうとは知らず柘榴は友からもらったものだとごまかしたが、その時、偶然にも少府監の内侍・施霖(シリン)が官服の生地を届けにやってくる。「お?もしや新しい殿中郎の方海市方大人では? …私は清海公と懇意にしておりまして、施叔叔と呼んでください」「施叔叔」「方大人の武挙の合格、霽風館の移動、これで清海公の婚姻が続けば3つの吉事が重なりますな~」実は方鑑明には父が決めた婚姻があり、相手は幼なじみで綾錦司の典衣である鞠七七(キクシツシツ)だった。″儀(ギ)王の乱″のせいで婚姻が遅れてしまったが、皇帝が自ら采配するという。寝耳に水だった海市は顔色が一変、そこで帰ることにした。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は緹蘭の怪我が気になっていたが、自分から尋ねるのも癪だった。そこで医官院を訪ね、自分の治療記録を見たいと口実をつけて緹蘭の様子を探ろうとする。山積みの治療記録に困惑する褚仲旭、その時、回廊から女官と医官が言い争う声が聞こえて来た。聞いてみれば愈安(ユアン)宮のウサギが具合が悪くなり、医官に診せに来たが断られたという。そこで褚仲旭は緹蘭のウサギの世話を穆徳慶に任せ、ひとまず昨日の治療記録を報告するよう命じた。「陛下…昨日の治療は一件のみでした、淑容妃が小指を負傷され、薬を出しました 休息を取るように伝えたのですが…薬を塗って簡単に包帯を巻いただけで彫刻の続きを…」その夜、方鑑明が昭明宮に戻ると土砂降りの中、海市が門の前でうずくまっていた。驚いた鑑明は海市を連れて殿内に入り、急いで濡れた身体を拭いてやる。「師父、まるで子供扱いですね…そんなに年上だと?」「そうだ、世代が1つ違う」鑑明は茶を入れて温まるよう言ったが、海市の様子はどこかおかしかった。「私と卓英が師父の幸せを邪魔したのですね?私たちがいなければ家庭を持って子供もいたでしょう」「何があった?…とにかく今日はここに残れ」鑑明はひとまず着替えを取りに出て行ったが、回廊でばったり方卓英と会った。そこで卓英に海市の着替えと薬湯を届けるよう命じる。卓英は昭明宮に海市がいると知って喜んだが、着替えと薬を持って行った時にはもういなかった。海市は誰もいなくなった霽風館に戻った。すると翌朝、方卓英がやって来る。「昨夜、薬を届けに行ったらいなかったが、やっぱり帰っていたのか」しかし海市はいつのも無邪気さが消え、急に大人びて見えた。「何か悩み事か?」海市は何も言わなかったが、用事があるので卓英と一緒に皇宮に行くという。海市は一大決心して皇帝に謁見した。先の真珠税の件では誤解していたと謝罪、実は黄泉関(コウセンカン)へ派遣して欲しいと嘆願する。黄泉関と言えば北部の要衝だが極寒の地、流行病はもちろん食料の補給も滞りがちだった。それでも海市は黄泉関を守ることが国を守ることであり、出世や俸禄を求めていないという。「陛下の恩に報い、朝廷に尽くしたいだけです」「いいだろう、師匠と同じく志が高い…ならば師父の婚儀が終わったら出立せよ」「陛下、私も新しい兵士たちと一緒に出発したいと思います 遅れて出発するという特別扱いは許されません、さもなくば兵士との関係構築に影響が出ます」「分かった」海市が下がると、入れ違いで太監が駆けつけた。李侍医の薬で回復したと思っていたウサギの小乖(ショウカイ)が下痢をして弱っているという。褚仲旭はふとウサギを飼っている女官がいたことを思い出し、金城宮(キンジョウキュウ)に呼ぶよう命じた。褚仲旭は鞠柘榴にウサギを見せた。確かにウサギはひどく弱っている。柘榴は小乖が清潔で新鮮な野菜や果物を与えられていると聞いて原因に気づいた。「陛下、洗った野菜を時々食べるのは構いませんが、食べ続けると下痢してしまいます ウサギの餌に向いているのは干草やオオアワガエリ、苜蓿草(モクシュクソウ)などです ともかく果物や野菜は与えず、水もあげないでください 今、申し上げた草の粉末に蜜柑の皮と生姜を加えて食べさせてください 回復したら普通の餌に戻します」すると褚仲旭は鞠柘榴に自分のウサギを連れて来るよう命じて帰した。(  ̄꒳ ̄)ノ″🐰<病を治してやる、遊び相手も見つけてやったぞ?穆徳慶は珍しく機嫌の良い皇帝の姿に目を細めたが、褚仲旭が急に顔をしかめた。「ウサギの世話もできぬとは、役立たずめ!」海市は左衛(サエイ)に師匠を訪ね、黄泉関への派遣を皇帝に願い出たと報告した。驚いた方鑑明はなぜ自分に相談もなく決めたのかと困惑し、理由を尋ねる。すると海市は師匠のように一切の私欲を捨てて国と陛下に尽くすためだと言った。「都より辺境の地で鍛錬したいと考えました 大徴(ダイチョウ)の要衝である黄泉関で鵠庫(コクコ)という強敵を食い止めたいのです」理路整然と説明する海市、さすがに鑑明も師匠として引き止められなくなってしまう。「いいだろう、お前にとって良い経験になる」海市は呆気なく了解した師匠に落胆しながら下がることにした。しかし去り際、つい師匠の婚儀には参加できそうにないと断ってしまう。鑑明は独りになると海市からもらった香り袋を手に取った。昨夜、海市の様子がおかしかった理由は自分の婚姻を知ったからなのか。互いに惹かれ合う2人、しかし鑑明は自分の気持ちを認めることができなかった。霽風館に戻った海市は早速、荷物をまとめ始めた。すると馬射の試験の前にもらった師匠の玉板指を見つけ、感傷的になってしまう。そこへ知らせを聞いた方卓英が駆けつけた。卓英はてっきり海市が嫌がらせで辺境に送られると誤解、しかし海市は自分で希望したという。必ず大事を成し遂げるつもりだが、都にいるだけでは経験をつめないというのだ。「鞠典衣が屋敷に来るまでは師父の世話を頼む」「鞠典衣?」卓英は師匠と鞠典衣の縁談話を知り、なぜ海市が無謀な決断をしたのか気づいた。昭明宮に戻った方卓英は師匠を訪ねた。しかし師匠は海市が黄泉営の参軍に封じられたことを了承し、かえって永遠に一緒にはいられないと諭されてしまう。「ここはもう皆の家ではなくなるのですね…海市は荷物をまとめながら涙をこぼしていました」「泣いていた?」「師父!師父の婚姻が原因ですよ!いや変な意味ではなく…私たちと距離を感じたのかも きっと寂しいんじゃ…海市が不びんです!」「出て行け…」「師父?!」卓英は師匠に追い出され、自然と綾錦司に足が向いていた。するとちょうで中庭でウサギの小白(ショウハク)を連れた鞠柘榴を見かける。「明日は小乖のところへ行くのよ?…小乖は危ないところだったの」卓英は屋根の上で柘榴の話を聞きながら、いつの間にか嫌なことも忘れていた。「…風神大人、小乖は具合が悪くかわいそうでした、早く回復するようお守り下さい」翌朝、海市は黄泉営参軍として軍営に向かった。すると門の前に武挙で同期だった任勇(ジンユウ)たちがいる。4人は大兄が黄泉関へ発つと聞き、一緒について行くと決めていた。張承謙(チョウショウケン)と符義(フギ)は清海公の弟子である海市を暖かく迎えた。「で出自は?」「…流觴(リュウショウ)の方氏です」師匠の故郷である流觴(リュウショウ)の方氏は代々、英傑を輩出している名家だが、″儀王の乱″により一族の大勢が犠牲になっていた。張軍候は″方″という姓を聞くと寂しい思いがすると吐露し、ひとまず休むよう勧める。しかし海市は疲れていないのですぐ練武場へ行きたいと頼んだ。つづく(´-ω-`)うむ…こういう微妙な場面になるとヤンミー社長の声がねえ…
2022.08.06
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第10話「それぞれの転機」皇帝を怒らせた淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)はその夜から南宮に軟禁された。荒れ果てた屋敷を見た侍女・碧紫(ヘキシ)と碧紅(ヘキコウ)は幽霊の住処のようだと怯えたが、緹蘭はこの静けさがむしろ心地よいという。「愈安(ユアン)宮のように身をすくませて過ごすことも、陛下に会うこともない…桃源郷よ」緹蘭は確かに王宮で育ったが、決して贅沢な生活ではなかった。一方、正式に世襲を認められた方鑑明(ホウカンメイ)は清海(セイカイ)公の爵位を取り戻した。霽風(セイフウ)館も昭明宮へ移ることになり片付けが終わったが、療養中だった方海市(ホウカイシ)の部屋だけ着手できずにいる。陳哨子(チンショウシ)は小公子が回復したので片付けさせるか尋ねたが、鑑明は必要ないと言った。「私に考えがある…」海市は師匠が自分だけ置いて行くつもりだと気づいていた。すると鑑明は海市がもう大人になり、男だらけの昭明宮に移るのは何かと不都合になるという。「不都合とは何ですか?!…私は一生、師父や師兄のそばにいます!」しかし鑑明はいずれ海市も任務から外れて女子に戻る日がくると諭した。「話は終わりだ、下がれ…」綾錦司(リョウキンシ)では典衣・鞠七七(キクシツシツ)が刺繍に没頭していた。何日も寝ていない叔母を心配して付き添う鞠柘榴(キクシャリュウ)、するとついに刺繍が完成する。一方、朝議を終えた旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は鑑明を連れて書斎に向かっていた。「荷を運び入れたのになぜ越して来ない?」「やはり分不相応ですし、不都合も多々生じます」しかし褚仲旭は堂々と越して来いという。すると回廊で鞠七七と柘榴が待っていた。鞠七七は清海公が朝廷に復帰した祝いとして皇帝に刺繍を献上し下がった。顔色ひとつ変えない鑑明だったが、褚仲旭は七七が綿の花の刺繍を贈って来た理由を知っている。実は方家の故郷・流觴(リュウショウ)では嫁入り道具の中に花嫁が刺繍した綿の花の枕掛けを用意する風習があった。綿の花には花嫁が夫と共に風雨に耐え、生涯、愛を貫くという意味がある。「そうでしたか?」「アイヤー、七七は朕とお前に訴えているのだろう?…腹をくくれ」「…他にお話がなければ失礼します」海市がひとり霽風館で不貞腐れていると方卓英(ホウタクエイ)が帰って来た。「海市!殿選で3位だって?!明日の参内で殿中郎に封じられるな 今後は街を歩くと大変だぞ?美女たちが放っておかない、憧れの的だからな」それにしても蘇鳴(ソメイ)も卑怯なことをする。師匠に刺客を送り、武挙で海市に毒を使うとは…。海市は師匠が無事ならそれでいいと話し、卓英が持ち帰った母の差し入れに喜んだ。しかしふと自分だけ皇宮に引っ越せないことを思い出し、意気消沈してしまう。「なんだって?!だめだ!お前がいなきゃつまらん!」「哥!掟を忘れたのか?師父の言葉は絶対だ」「いつも逆らってたくせに~」「でも師父は恩人だし、それに…迷惑をかけてばかりだったから…」その夜、卓英は師匠に越州での引き継ぎが終わったと報告した。「師父…あえて海市を連れて行かぬのですか?」鑑明は黙っていたが、卓英はせめて海市が傷つかないよう説明してやって欲しいと訴える。しかし鑑明は決して自分の本心を明かせなかった。…男ばかりの中では不都合が生じる…不都合って何ですか?!私は一生、師父や師兄のそばにいたい!鞠柘榴は綾錦司の中庭でひとり、目隠しをしながら刺繍を修練していた。そこで卓英は屋根からそっと飛び降りたが、柘榴はわずかな足音も聞き逃さず、″風神様″が来たと気づく。しかし何事もなかったかのように刺繍を続けた。卓英はそっと柘榴に近づき、海市の母にもらった真珠の腕輪を布に乗せる。すると腕輪は布を滑り落ち、柘榴の手元へ届いた。柘榴は驚いて腕輪を手探りで確認、思い切って目隠しを外したが、すでに″風神様″の姿はない。朝廷に復帰した鑑明は左衛にこもりきりだった。暇を持て余した褚仲旭は堤防決壊の件で諫言してきた大臣を呼んだが、結局、ただの受け売りで浅慮だと分かる。仕方なく宮中を散策しながら穆徳慶(ボクトクケイ)に愚痴をこぼしていると、やがて侘しい南宮が見えた。褚仲旭が南宮に入ってみると、前庭は綺麗に掃除され、どこからともなく琵琶の音が聞こえていた。「穆徳慶?…自省のための幽閉のはずが、お前はのどかな別邸を用意してやったのか?」すると簡素な殿内で緹蘭が琵琶を弾いていた。「古い琵琶だ、今では滅多に見ない、宮中でも弾ける者はごくわずかだ」「(はっ)お越しと知らず無礼を…すぐ衣を整えて参ります」しかし褚仲旭は今さら礼について考えても遅いと嫌味をいう。その時、机の上に彫りかけの龍尾神(リュウビシン)を見つけた。褚仲旭は大方、黄泉営の湯乾自(トウカンジ)か方海市の平穏無事を祈って彫っているのだろうと難癖をつけたが、緹蘭は自分のためだと否定する。「身分が低かった生母に言い聞かされてきました… 自分自身を見つめ、身の程をわきまえ、人の助けを当てにせず、自分の身は自分で守れと…」「…朕も庶出だ、亡き生母はひたすら耐え忍べと言った、だが耐えるだけでは駄目だとのちに悟った」褚仲旭は緹蘭と思わぬ共通点があることを知り、皇子だった頃の屈辱を思い出した。「陛下?」「(はっ)…紫簪(シサン)は出征する兵たちのために形代(カタシロ)を彫り、兵らの無事を祈った 紫簪にならい、3万の新兵一人一人に龍尾神を彫ってやれ」驚いた侍女たちは無茶だと訴えたが、緹蘭は拝命した。「…朕を喜ばせるためなら紫簪を演じると申したな?よく覚えておけ 紫簪亡き今、朕が喜ぶことは未来永劫、起こりえぬ」鑑明は政務を理由に遅くまで霽風館に戻らなかったが、本当は海市と顔を合わせづらかった。いよいよ明日は海市が皇帝に拝謁し、殿中郎として挨拶する。海市は今夜も師匠の帰りを待ちわびていたが、結局、参内用の衣装が届いただけだった。翌朝、海市は参内までの時間、街に買い物に出た。そこで如意坊で玉飾りを選ぶ。「これと…あとこれを」「お目が高い!この白玉は天啓に1つしかありません」するとどこかの令嬢が店に入って来た。ヒソヒソ(*´・д・)(・д・`*)<あの方、長兄と一緒に武挙に出ていた方海市よ!(」゚ロ゚)」<みなさ~ん!方公子よ~!キィャア~!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ )))))┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨・・・!今や有名人となった海市はあっという間に娘たちに囲まれ、2つ目の佩玉を受け取る間もなく逃げ出してしまう。周幼度(シュウヨウド)は友人の裁縫鋪にやって来た。するとちょうど店から飛び出して来た美しい海市に目を奪われてしまう。「おう幼度!…ああ~残念だがあれは男だぞ?買ったばかりの女の衣に着替えてさっさと出て行った」「男だと?…全くお前ときたら、見る目がないな」海市は面倒から解放され、山査子(サンザシ)を食べながら歩いていた。すると突然、卓英が現れる。「哥の言葉通りになって散々な目に遭ったよ」「参内の時間を間違えて伝えていたそうだ、お前は巳の時1刻に参内せねばならぬ」「え?!でも衣が…」結局、海市は紫宸殿に現れなかった。鑑明は仕方なく毒の後遺症なのか急に具合が悪くなったと取り繕う。こうして海市は不在のまま、卓一凡(タクイツハン)と共に北府軍の殿中郎に封じられた。海市は参内の時間に間に合わないと分かり、諦めて卓英と酒楼にいた。「遅れたから行かぬとは…無礼も甚だしいな」「最近、私はついていない、万事そつない霽風館の使用人が重要な刻限を誤るなんて… この姿も私の過ちに数えられるな…叱られたくないから師父が眠った頃に帰る」しかしその時、店に師匠が入って来た。卓英はすぐ気づいたが、背を向けている海市はうっかり口を滑らせてしまう。「師父の瞳はまるで黒曜石のようだ、冷え冷えとした光を放ち、一瞬で光を奪う 師父に近づきたくても遠くから敬慕するしかない、こたびの大失態でますます遠ざけられるな…」(Ŏ艸Ŏ).oO(ハイシー…後ろ後ろ!「あ~分かってる、師父に叱られたんだろう?…昭明宮のことはもう口にするな」(  ̄꒳ ̄)<誰が叱っただと?ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ<師父!…面壁します!「…すぐ荷物をまとめなさい」あれ?(´・д・)(・д・`)え?「お前を独りにするわけにいかぬ…昭明宮に越せ」「ほえ~(はっ!)謝謝、師父!」外は雨になった。3人は軒下で雨宿りしていたが、海市の荷物を持っていた卓英がうっかり化粧箱を落としてしまう。「あ、それは哥に贈る玉だ」「私に?!」卓英は早速、玉を出して喜んだが、鑑明は面白くない。「私がいては気詰まりだろう」はっ?(´・д・)(・д・`)まさか?!師父海市は確かに掟を持ち出されると窮屈だが当然のこと、師匠の教えをいつも胸に刻んでいると言った。「ところで海市、師父の分は?」「あ?…買わなかった、師父にふさわしい品は街では見つからない」「何だって?!…誕生日までには準備しておけよ!」鑑明は居たたまれなくなり、自分はいらないと言って歩き出してしまう。無神経な卓英に怒り心頭の海市、しかし卓英は何が悪いのか分からなかった。雨はすぐに止んだ。卓英は微妙な雰囲気を察し、前を歩く師匠に聞こえるよう海市に大きな声で話しかける。「越してからしばらく別々に過ごそう、だが様子を見てまた3人で一緒に住めばいいさ!」つづく(  ̄꒳ ̄)師父ったら…まあ~卓英は悪くないんだけど、いるよね、こういう間の悪いタイプw
2022.07.30
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第9話「外れた仮面」武挙も最後の試験となる殿選、今回は旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)の提案で舞台を霜平湖(ソウヘイコ)に移した。方海市(ホウハイシー)は湖上に配置された太鼓に乗って待機していたが、幼い頃の海での惨劇が蘇り、立ちくらみに襲われてしまう。しかしあの時、自分を助けてくれた鮫人族・琅嬛(ロウケン)の姿を思い出し、不思議と心が落ち着いた。旭帝が淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)を連れて会場に到着した。すると方諸(ホウショ)が命に背いて護衛についている。「来るなと言ったはずだが?」「″臣下は主君から離れるな″と言います」「…おもしろい、どういつもこいつも朕に従おうとせぬ」褚仲旭の言葉は隣に着席した緹蘭への当てこすりだった。湖にはやぐらが建てられ、その周りを取り囲むように太鼓が浮かんでいた。参加者はそれぞれ策を練り、競争相手を蹴落としながらやぐらにぶら下がった箱の中にある玉棒を奪い合う。緹蘭は試合が始まっても伏し目がちだったが、褚仲旭は心ここに在らずかと嫌味を言った。しかし緹蘭は注輦(チュウレン)の掟で妃嬪は臣下の前で顔を覆い、ましてや武芸など直視してはならないという。「注輦は細かいことにこだわらぬはずだが…大徴の掟より厳しく聞こえる」「おっしゃる通りですね」緹蘭は面紗を外し、皇帝の意に従って堂々と試合を見ることにした。その時、ちょうど海市が足を蹴られ、やぐらから落ちてしまう。驚いた緹蘭は思わず肘掛けをつかむ手に力が入ったが、海市は太鼓につかまり無事だった。蘇鳴(ソメイ)の間者・何冲(カチュウ)は方海市に協力を持ちかけた。まず2人で敵を蹴落とし、最後に一対一で決着をつけようという。何冲の作戦が功を奏し、ついに海市は玉棒を奪い取ってやぐらに上がった。その時、何冲が下から氷の暗器を放ち、海市は突然、ばったり倒れて湖に落ちてしまう。方諸は慌てて湖に飛び込み、海市を抱き上げて無事に助け出した。しかしその際、仮面が外れ、素顔を衆目に晒してしまう。あれは清海(セイカイ)公だ!>ʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ-̫͡-ʕ•̫͡•ʔ*̫͡*ʔ-̫͡-ʔ<ザワザワ…会場で黒い血痕が見つかり、方海市を襲ったのが毒の暗器だと分かった。褚仲旭はすぐ霜平湖と科挙会館を封鎖し、暗衛営の中郎・陳哨子(チンショウシ)に調査を一任、黒幕を暴くよう命じる。その頃、宮中では鞠七七(キクシツシツ)が鞠柘榴(キクシャリュウ)に頼んでおいた腰帯を取りにやって来た。「玉蘭花?…慣例では猛獣のはずよ?精緻(セイチ)で美しいけれど殿方にはふさわしくない」「小公子はとても美しいお顔立ちで、普通の殿方より動きもしなやかです あの俗世に染まらぬ雰囲気には玉蘭花がぴったりだと思ったのですが…やり直します」「…確かにそうね、いいわ、柘榴の見立てなら間違いない」鞠七七は早速、霽風(セイフウ)館にお祝いの品として腰帯を届けることにした。2連続で第一甲だった方海市のこと、今日は恐らく首席に選ばれるだろう。方諸は海市を抱いて急いで霽風館に戻った。解毒薬を届けるよう指示したが待っている時間はなく、方諸は海市の抱き起こして背中の傷をあらわにする。「耐えろ、痛いぞ…」方諸は傷口を短刀で切り裂き、自ら毒を吸い出した。その艶めかしい様子を偶然にも腰帯を届けに来た鞠七七が見てしまう。陳哨子は調査を終えて指揮使に報告した。参加者全員と科挙会館を調べても手がかりはなかったが、何冲が厠で自害したという。遺書には方海市がいなければ首席になれると思い、陥れたとあった。2人は裏があると気づいていたが、証拠がなければ追及はできない。一方、褚仲旭はこれを機に方諸を朝廷に戻すと決め、暗衛営を連れて皇宮に越して来るよう命じた。戦乱で壊される前は皇宮の護衛たちが寝起きする麒麟(キリン)台があり、鑑明の父も住んでいたことがある。そこで褚仲旭は許嫁の鞠七七との婚礼も早々に済ませるよう勧めた。鞠柘榴は夜になっても中庭にいる叔母を心配し、外套を届けに行った。すると鞠七七は姪の手を握りしめ、しみじみ広大な皇宮で温かいのは柘榴の手だけだという。「姑姑(グォグォ)?どうかしましたか?」「いいえ…昔のことを思い出していただけよ あれは″儀王の乱″よりも昔のこと、ある名家の若君が両親の命に従い家臣の娘と婚約したの」あの時、鑑明は自ら婚姻を辞退すると申し出た。確かに七七とは幼なじみだったが男女の情はなく、色恋にかまけず国のために身を捧げたいという。結局、双方の親は約束だけで婚姻を先延ばしにしたが、そのまま未だに2人は独り身だった。「歳月だけが過ぎ娘は老いていく、あの人はいつになったら自分を見てくれるのか… その日が来ることをずっと願い続けているの」殿選での事件は何冲による単独の犯行だったと断定、結審した。これにより第一甲1位だった何冲の成績が取り消され、合格者は2位の卓一凡(タクイツハン)、3位の方海市、2名に決まる。主管・蘇鳴は過失責任を問われ、職務怠慢により2階級下の北府軍の都尉に降格、3年間の減給となった。すると死んだと思われていた清海(セイカイ)公・方鑑明(ホウカンメイ)がついに朝廷に復帰、使持節大都尉および左衛将軍として文武軍を管轄し暗衛営を率いるよう命じられる。しかも霽風館は三皇子の寝宮だった昭明宮に移されることになり、大臣たちは異例の厚遇に驚きを隠せなかった。方鑑明が再起を果たし、蘇鳴は今以上に手を出しずらくなった。…殺すのがさらに難しくなった…屋敷に戻った蘇鳴は打ち込み台を斬り付け憂さ晴らししていたが、そこへ突然、方鑑明が飛び込んでくる。すると鑑明は見事な剣さばきで蘇鳴を追い詰め、警告した。「今度、私の弟子に手を出したら命をもらう」海市がふと目を覚ますと、師匠の顔があった。ちょうど海市に薬を飲ませていた鑑明は動揺を隠せず、慌てて薬を置いて出て行ってしまう。実はあの時、湖の底へ沈みながら海市はこのまま死ぬと思っていた。…死の直前には最も大切な人の姿が目に浮かぶと聞いたことがある…私の愛する人は師父だったのね海市は師匠の幻覚だと思い、思わず師匠に口づけしてしまう。驚いた鑑明は咄嗟に海市を突き放し、その時、仮面が外れていた。緹蘭の侍女・碧紫(ヘキシ)が急いで愈安(ユアン)宮に戻って来た。方海市は峠を越えたようで、清海公も外出しているという。緹蘭は安堵したが、そこへ突然、皇帝が現れた。「また臣下に興味を?」実は碧紫と衛兵が何やら話している姿を偶然、皇帝に見られていた。緹蘭は恩人である方海市を友だと説明、心にいるのは皇帝だけだと取り繕う。すると褚仲旭は緹蘭を試すように夜伽を命じた。その夜、緹蘭は水心苑(スイシンエン)で身を清めてから皇帝の元へ向かった。緹蘭は皇帝の着替えを手伝うことにしたが、褚仲旭は自分に触れるなと怒鳴りつける。「私のどこが間違っているのか教えて下さい」「何を教えろと?!厚かましい!」「…紫簪(シサン)姐を忘れられぬなら私が演じて見せましょう」「っ!恥知らずめ!」紫簪の名前を出された褚仲旭は烈火の如く怒り出し、穆徳慶(ボクトクケイ)を呼んだ。「淑容妃珂洛爾提(カラクジテイ)氏は嫉妬から無礼を働いた…ワナワナ… 南宮に軟禁せよ!2度と顔を見せるな!連れて行け!…ゼエゼエ…」つづく(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ キィッ!2度と見たくないのは皇帝の顔だっつー!
2022.07.30
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第8話「師匠からの贈り物」武挙の会選、今日の試験科目は論文だった。「各々が時の政(マツリゴト)について論述せよ、主君への忠言として忌憚なき意見を述べること!」そこで方海市(ホウハイシー)は″鮫珠(コウジュ)論″と題し、自身の辛い体験と故郷の惨状を訴え、″真珠税″を厳しく批判した。武挙の主管・蘇鳴(ソメイ)はわざと方海市の論文を皇帝に届け、何者かの意図があるようだと讒言した。しかし予想外に旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は海市の論文を褒め、第一甲(上位3名)に選出する。実は真珠税は旭帝が″儀(ギ)王の乱″を平定した年、国力を回復すべく設けたものだった。″豊漁の年は10分の1を納め、上納した真珠に応じて褒美を出す″というもの、当初は民も歓迎していたが、いつの間にか汚職の温床になっていたとは…。何も知らなかった褚仲旭は朝議で官吏を糾弾、論文を読まなければこの由々しき事態を知らないままだったと激怒した。そこで調査のため直ちに廷尉(テイイ)・姚傑(ヨウケツ)を越州へ送り、越州刺史・呂柯(リョカ)と白依港(ハクイコウ)刺史・丁志偉(テイシイ)を投獄してしまう。こうして海市の論文は朝廷に大波を起こし、結果、第一甲の1位を獲得した。武挙の次の会選は5日後、それまで科挙会館は手入れのため閉鎖になり、参加者は一度、帰宅した。海市は師匠の反応が気になったが、師匠は入れ違いで参内したという。その頃、方鑑明(ホウカンメイ)こと方諸(ホウショ)は真珠税の一見で皇帝に呼び出されていた。「方海市が朕に刃を向けたのは父親の死が原因だったのか…」「当時すぐお伝えしなかったことをお詫びいたします あれから調査を続け、ようやく解決のめどが立ったところでした」そこで褚仲旭は方諸も姚傑に同行するよう命じたが、方諸は科挙の期間中につき皇帝を警護するため、方卓英(ホウタクエイ)を送ると言った。褚仲旭は自分ではなく方海市が心配なのだと見抜いていたが、その時、方諸の腰飾りの巾着に気づいて目を丸くする。「ひどい出来だな、綾錦司(リョウキンシ)がこんな物を?…そろそろ典衣を代えるべきか?」 「綾錦司ではありません…」「まるで男が刺繍したようだ」「気に入っています」( ゚д゚)え? え?(^ꇴ^*)方卓英は海市の論文がきっかけで皇帝が東南の調査を命じ、自分も越州へ同行すると教えた。実は師匠は海市を連れ帰ってから、悪徳官吏を逃さぬよう慎重に調べを続けて来たという。「お前の故郷もじき変わる」翌朝、海市はちょうど出かけるところだった師匠と出くわした。(^ꇴ^)ノ″<しふぉ!しかし師父の腰飾りには巾着ではなく玉がついている。「…急いで出るので巾着は置いて行く」(ヾノ・∀・`)<いいんです、いいんです、みっともないから付けないでくださいwすると方諸は次の馬射も頑張るよう励まし、自分の玉板指を海市に贈った。師匠から返礼の品をもらった海市はすっかり舞い上がり、ふと女子の姿に戻って方諸と口づけする妄想にふけってしまう。すると翌朝、方諸は海市の顔を見るなり眠れなかったのかと指摘した。「くまができているぞ?」「ぁ…師父からもらった弓懸けの指輪が少し大きくて、自分の指に合わせて糸を巻いていたんです」「…新しく買えばよいものを」「とんでもない!師父から頂ければどんな品も宝物です!」方諸は海市の言葉が嬉しかったが、決して表情に出すことはなかった。「遅れるぞ?もう行け」弓馬騎射は海市の得意な種目だった。何の心配もない海市だったが、なぜか急に馬が暴れ出してしまう。実は蘇鳴の配下が鞍に細工し、海市がまたがると馬の背中に釘が当たるようになっていた。海市は振り落とされそうになりながらもくらいつき、師匠の言葉を思い出して冷静さを取り戻す。…馬に自分を合わせよ、馬が怖がっても慌てるな…安定した姿勢を保てばお前の射る矢も思い通りに飛ぶだろうそこで海市は馬の動きに合わせながら一度に3本の矢をつがえ、まとめて的の中心を射抜いた。海市は弓馬騎射でも第一甲1位となった。当初は敵意剥き出しだった同室の任勇(ジンユウ)たちも方海市に感服、海市の配下になるという。「これからは大哥と呼ぶよ!」一方、方諸も陳哨子(チンショウシ)から海市の活躍を聞いていた。しかし馬におかしな点があり、調べさせているという。次はいよいよ殿選、皇帝が来臨するため、敵は必ずや海市を阻もうとするはずだ。方卓英は武挙で忙しい海市に代わり、愈安(ユアン)宮の淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)を訪ねた。実は海市から贈り物を預かっているという。ひとつは龍尾神(リュウビシン)の代わりに白雲寺で手に入れた数珠、もうひとつはウサギだった。卓英はウサギを抱いた淑容妃の嬉しそうな笑顔を見ると、思わず女子ならウサギをもらうと誰でも喜ぶものかと聞いてしまう。「可愛いから嫌がる人はいないわ…方大人(ダーレン)?どなたかにウサギを送りたいの?」( ゚д゚)はっ!<没有めいよ~しかし方卓英は早速、綾錦司に出かけ、ちょうど鞠柘榴(キクシャリュウ)が庭に独りでいる時を狙い、ウサギを放した。柘榴は確かに嬉しそうにウサギを抱き上げると、もしやこれも″風神大人″の仕業かと気づく。すると柘榴はお供物がまだだったと思い出し、いつものように菓子を置いた。塞ぎ込んでいた緹蘭はウサギのおかげですっかり元気になった。その日は庭園で衣の刺繍の柄を選んでいたが、ふと気づくと小乖(ショウカイ)がいない。緹蘭は侍女たちと探しに出かけたが、小乖は運悪く皇帝に捕まっていた。咄嗟にきびすを返した緹蘭、しかし時すでに遅く、皇帝に見つかってしまう。「待て!…こちらへ」緹蘭は仕方なく御前へ参上し、無礼を詫びて寝宮に戻り反省すると申し出た。皇帝が何も言わないことから見逃してくれたと思った緹蘭、そこで徳慶(ボクトクケイ)から小乖を引き取り、下がることにする。「戻っていいと言ったか?…こちらへ」褚仲旭はウサギを受け取った緹蘭の手首に数珠があることを見逃さなかった。「白雲寺に行ったのか?」「まさか…白雲寺の場所も存じません」実はこの数珠は白雲寺でしか入手できない貴重な数珠で、簡単には手に入らない代物だという。焦った緹蘭は蔵から届いた服飾品の1つだろうと誤魔化したが、褚仲旭はならばウサギはどこから来たのかと聞いた。「女官がくれました」「女官?…ふん、正直に話せば罪には問わぬ、そればかりかウサギを飼うことも許してやるぞ?」緹蘭はうつむいたまま黙っていたが、褚仲旭は方海市だと言い当てた。驚いた緹蘭はその場でひざまずき、全て自分の罪だと方海市をかばう。すると褚仲旭は2人の仲を疑い、明日の殿戦に緹蘭を連れて行くと決めた。その夜、蘇鳴は武挙に参加させた何冲(カチュウ)を呼んだ。実は皇帝の発案で殿選の課題が変わったという。「受験者は太鼓の上でそれぞれに策を練り、やぐらに登る その太鼓の位置を把握しておけば有利に戦えるはずだ」すると蘇鳴は毒を仕込んだ氷の針を渡し、皇帝や審査官に決して疑われずに方海市を仕留めるよう命じた。方卓英は巡回中に密書を拾い、師匠に届けた。「師父の疑い通り、何者かが東南と連絡を取っています」すると方諸は越州に着いたら引き継ぎだけ済ませ、すぐ都に戻るよう命じた。卓英は皇帝の命に逆らって護衛に向かう師匠を心配したが、方諸は海市の無事が今は一番、大事だという。翌朝、緹蘭は殿選を見学するため、皇帝の敬誠堂(ケイセイドウ)にやって来た。面紗で顔を隠した緹蘭は紫簪(シサン)の生き写しのよう。褚仲旭はしばし見惚れていたが、ようやく席を立った。「…では霜平湖(ソウヘイコ)へ向かうとしよう」つづく( ๑≧ꇴ≦)哥www卓英のキレ芸が面白いでも皇帝が出てくると早送りしたくなるわ( ̄▽ ̄;)
2022.07.23
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第7話「不恰好な巾着」皇帝から冷遇され、宮中でも軽んじられる淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)。侍女の碧紫(ヘキシ)と碧紅(ヘキコウ)はそんな主の境遇を嘆きながら庭園を歩いていた。「平穏に暮らしたいお気持ちは分かるけど… でも幼なじみが遠方へ行くというのにお見送りもしないつもりかしら?」2人はまさかその会話を旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)が聞いているとは夢にも思わなかった。褚仲旭は緹蘭と湯乾自(トウカンジ)の仲を怪しみ、わざと黄泉関へ出立する将軍の見送りを許可した。しかし大徴では妃嬪と臣下が親しくすることは御法度、そこで緹蘭は水風呂に入って体調を崩し、逃れることにする。結局、湯乾自は見送りもなく寂しい出発となった。褚仲旭は緹蘭が具合が悪く見送りに出なかったと聞いて愈安(ユアン)宮に出かけると、確かに緹蘭は高熱を出して激しく咳き込んでいる。「妙だな、元気だったのになぜ突然、病に?…見送りを命じられて怖くなったのか?」緹蘭は皇帝に疑われていると気づき、確かに湯乾自とは旧知の間柄だが、特別な情はないと否定した。2人だけで会ったこともなければ、節度を守って来たと訴える。「お疑いなら私を牢に入れて取り調べを…」「本当に牢に入ると?」「…無実を証明いたします」「ふん、つまらぬ」褚仲旭が寝宮をあとにすると、緹蘭はばったり倒れた。科挙が近づき、霽風(セイフウ)館は参加者に不審者が紛れ込まないよう万全の体制を敷いた。方鑑明(ホウカンメイ)こと方諸(ホウショ)は卓英(タクエイ)に懇願され、武挙を前に久しぶりに海市(ハイシー)の稽古に付き合うことにする。しかしその時、海市の剣先がわずかに方諸の佩玉の紐に届き、玉が落下して割れてしまう。卓英と海市は師匠が手加減したと思い込んだが、方諸の様子がどこか気まずそうに見えた。そこで卓英は自分の官服が完成したので海市を連れて出かけたいと頼む。「師父、海市にも気分転換が必要です」方卓英は海市を連れて参内したが、実は理由があった。すると宮道で急に腹が痛いと言い出し、卓英は逃げるように引き返してしまう。٩(¨ )ว=͟͟͞͞. ピューッ!<厠へ行ってくるから官服を頼む!はあ?さっき行っただろう?>∩(゚ロ゚∩)綾錦司(リョウキンシ)では鞠柘榴(キクシャリュウ)がちょうど中庭で目隠しをしながら刺繍を練習していた。「実に見事な刺繍だ…」「…姑娘、何か?」柘榴は目隠しを外すと、実は青年だと気づいて謝罪する。そこへ典衣・鞠七七(キクシツシツ)がやって来た。海市は官服を受け取り帰って行った。すると鞠七七はなぜ小公子を″姑娘″と呼んだのか尋ねる。柘榴は足音や雰囲気が女子のようだったが、間違いだったと答えた。「霽風館に女子がいるはずないですよね~機嫌を損ねなくてよかった」「そうね…女子が霽風館にいられるはずがない…」鞠柘榴が刺繍した官服を胸に抱き、幸せに包まれる卓英。一方、綾錦司で柘榴が作った巾着を見かけた海市はある事を思いついていた。するとその夜、卓英は偶然、海市が部屋でこっそり針仕事をしているのを見つける。焦った海市は拾った物だと誤魔化したが、卓英は綾錦司にこんな下手な女官はいないと笑った。どうやらついに師弟にも好きな相手ができたのだろう。卓英は兄としてその相手を自分が連れて来てやると言ったが、海市に追い出されてしまう。翌朝、海市は師匠の部屋の前で行ったり来たりしていた。結局、勇気を出せずに戻ることにしたが、窓紗に映る海市の影を見ていた方諸が戸を開ける。「海市?…何を持っている?」「その~あの~…師父の佩玉を壊してしまったので、お詫びにこれを…」海市は師匠に巾着を渡すと、気恥ずかしくて逃げるように帰って行った。↓(  ̄꒳ ̄)これは…酷いw海市は身体検査をどうやり過ごそうか悩んでいた。そこで卓英に代わりに行って欲しいと頼んだが、卓英は今や要職に就く身、さすがに下手な嘘はつけないと断る。「あ~あ、武挙を受けるのは無理だな~仕方ないから暇つぶしに皆に話そうかな~ 誰かさんの綾錦司での怪しい行動とか~厠に逃げたこととか~好きな女子でもいるのかな?」( ๑≧ꇴ≦)ノ<ハイシーっ!…兄さんに行かせてくださいっ身体検査になぜか3年前に合格した射声(シャセイ)校尉が紛れ込んでいた。試験官たちは弟の付き添いかと尋ねたが、卓英は自分が方海市だと押し通してしまう。困り果てた試験官は武挙の主管を任された蘇鳴(ソメイ)に相談した。「理解に苦しむ…まあ会選まで進んだのだし、とりあえず通過させよ、真偽はいずれ分かる」すると蘇鳴は配下に指示した。「私も方卓英には迂闊に手を出せぬ…何を企んでいるのか、方海市たちの動きを見張れ」海市は愚策であっさり身分証を手に入れた。恐らく師匠が根回ししてくれたに違いない。海市は方諸の教えを胸に必ずや合格してみせると奮起したが、科挙会館の居所に入って早々、同室となった参加者たちから偽物だと糾弾されてしまう。しかし試験官はなぜか名簿に間違いはないと問題にしなかった。不満が募る参加者たち、すると名家の参加者から地方出身者には方家がいかに名門か分からないのだろうと揶揄されてしまう。その夜、陳哨子(チンショウシ)は指揮使を訪ね、手配を済ませたと報告した。「ただ…霽風館を憎む者がこの機に乗じて何かしでかすのでは?」「心配はいらぬ、向こうは身分を偽った海市をそのまま通過させた、武挙も合格させるだろう」方諸は海市が陥れられないよう、常に様子を見張らせろと命じた。夜も更けた頃、海市は部屋の男臭さで気分が悪くなり外へ出た。回廊で夜風に当たりながら居眠りを始めた海市、すると後をついて来た参加者たちがいきなり襲い掛かる。しかし海市は見事な武功で4人を退けた。「大した腕前もないのに参加するつもりか?…これでも手加減して遊んでやっただけだ」参加者たちの喧嘩騒ぎは試験官の知るところとなった。しかし海市は厠に行っただけで何も知らないと嘘をつく。4人は海市にやられたと訴えたが、その時、静観していた見知らぬ参加者が証言すると申し出た。「確かに方海市が4人を殴っているのを見ました…しかし悪いのは4人で方海市は反撃しただけです」すると兵士から新しい証言が届き、4人が結託して方海市を挑発したと分かった。こうして海市は無実だと断定され、4人は次に何かあれば受験資格を剥奪するとお灸を据えられてしまう。海市は庇ってくれた参加者に感謝した。参加者は何冲(カチュウ)と名乗り、一緒に酒でもどうかと誘う。しかし海市は武挙が終わったら朝まで飲み明かそうと笑った。つづく( ๑≧ꇴ≦)師兄www面白すぎるwwwそして師父は甘すぎるw
2022.07.22
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第6話「風神のいたずら」その晩、方卓英(ホウタクエイ)は霽風(セイフウ)花の木の下で物思いにふける方海市(ホウハイシー)を見つけた。「ハイシー!戻ってたのか?!」卓英はこれでやっと退屈な日々から抜け出せると喜んだが、海市の様子がおかしい。「哥…何が正しいか分からなくなった」実は海市の任務とは趙(チョウ)叔の始末だった。卓英はこれも因果応報だったとなだめ、自分も最初は任務に戸惑ったという。すると海市は自分を殺そうとした父が自分に噛まれて血を流したせいで鮫に襲われ死んだことも因果かと聞いた。突き詰めれば漁村の貧しさも因果、結局、弱き民は運命を諦めて因果を受け入れるしかない。ならば旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)の命は他の者のそれより尊いというのか。「忠義のためにかつて交わした想いも秘めなくてはいけないのか?」「ハイシー、お前は任務を遂行しただけ、過ちを犯したわけではない」しかし卓英は傷ついた海市のため、師匠に答えを確かめることにした。方卓英は珍しく師匠を非難した。趙叔は海市が幼い頃から世話になっていた家族のようなもの、せめて理由を説明すべきだという。何より師父は女子である海市をこれまで大切に守り続けて来たはずだ。「なのになぜこんなむごいことを…」「忘れたのか?…初めて会ったあの日、海市が自分で男として生きる道を選んだのだ」確かに方諸は海市を任務から遠ざけようとして来たが、海市自ら強く望んだという。「死を覚悟して陛下に刃を向けたのだぞ?みくびるな」「陛下に刃を?…私たちの復讐のために…」卓英は海市の忠誠心を思うとやり切れなくなった。「他の任務を与えるべきだった、なぜ趙叔を殺させたのですかっ?!」「黙れ!」「…師父は非情すぎます」翌朝、海市は書き置きを残し、師匠に黙って出て行った。…師父、再三にわたり師父の命に逆らいました…育てていただいた恩に報えなかったと恥じるばかりです…師父の教えを胸に瀚(カン)州へ向かいつつ、館内の間者について調べ、不当なものは正します…いつか帰れる日まで、くれぐれもご自愛ください…徒兒海市より暗衛営の陳哨子(チンショウシ)は小公子にとってこれも修行だと分かっていたが、やはり心配だった。「経験が浅いため面倒に巻き込まれるのでは?」しかし方諸は失敗したら自分が責任を取ると安心させた。一方、綾錦司(リョウキンシ)では鞠柘榴(キクシャリュウ)が忙しい毎日を送っていた。その日は淑容(シュクヨウ)妃の衣に使う紗(シャ)を温泉で洗ってから乾かそうとしたが、突風に飛ばされてしまう。すると偶然にもその紗は高楼の渡り廊下にいた方卓英の元に飛んできた。卓英は慌てて顔から紗を剥がしたが、その時、紗を探して宮女がこちらへ走って来るのが見える。その宮女は灯会の夜、一目惚れしたあの美しい娘だった。(>人<;)<風神様…持ち去った紗をどうぞお返しください…ナムナム…しかし鞠柘榴が綾錦司へ戻ると、中庭の石桌子の上に綺麗に畳まれた紗が置いてある。その様子を屋根から卓英が見ていた。海市は日が暮れる前に客桟に部屋を取った。しかし客も女将もどこか様子がおかしい。その夜、女将と客たちは寝静まった海市の部屋に乗り込んだ。寝たふりをしていた海市はすぐ反撃したが多勢に無勢、そこで2階の窓を破って脱出する。すると納戸で監禁されている本当の店主を発見した。海市は罠だと知らず店主を解放したが、待っていたかのように官兵が駆けつける。そこで店主は納戸から飛び出し、海市を賊だと言いつけた。もはや逃げ場のない海市、そこへ突然、仮面姿の師匠が現れ、海市を連れて屋根まで飛び上がる。「お前たちの主は恥を知らぬ…罠を仕掛けるとは先祖の名を汚す所業だ 命が惜しくば戻って主に伝えよ、再び姑息な真似をしたらこちらも容赦せぬ」彡 シュバッ!方諸は海市を連れて霽風(セイフウ)館へ帰った。「師父、昨夜の官兵は北府軍ですか?…北府軍を動かすとは大物のはず、何者です? 元宵節の刺客もそやつが?」「…古い知人の私怨だ、案ずることはない」方諸は瀚州行きをやめさせ、皇帝に手出ししないことを条件に霽風館に残ることを認めた。陳哨子は小公子が戻ったと知り、寡黙な指揮使の代わりに趙叔の真相を教えた。実は趙叔は北方の出身、唯一の兄弟が亡くなって甥が独り北方に残っていたという。そのため毎年こっそり甥に銭を送っていたが、鵠庫(コクコ)に嗅ぎつけられ、甥が人質に取られた。趙叔は甥を守るため機密を流すようになり、確かな証拠もあるという。「表向きは病死したことになっている、そうしないと趙叔の甥に身の危険が及ぶからな 納得し難い気持ちも分かるが、だが世は無情だ、この先の人生は長い」鞠柘榴は誰が紗を届けてくれたのか分からなかったが、風神様に感謝して中庭に供物を置いた。すると不思議なことに供物の菓子が消えている。戸惑う鞠柘榴、その様子を綾錦司の屋根の上で方卓英が菓子を食べながら眺めていた。それ以来、鞠柘榴は庭先に菓子を備えるようになる。「これからもたくさんお供えします、どうかみんなの刺繍の腕が上がりますように… それから私が刺繍する官服を射声校尉が気に入ってくれますように…」卓英はそんな優しくも美しい鞠柘榴を陰ながら見守るようになった。海市は自分の過ちに気づき、師匠に謝罪した。「これからはよく考えて行動します、表面だけ見ず、師匠の期待に応えます だから許して頂けませんか」すると方諸は海市が客桟で負った傷を放ったらかしていると気づき、薬を渡した。「反省は自室でしなさい…明日からは稽古に励め、怠ってはならぬぞ」「はい、師父!」海市は左腕の傷のせいで上手く弓が引けなかった。すると突然、方諸が現れ、介添えしてくれる。「師父…私が心配で客桟までついて来たんですか?」「…的から目をそらすな」2人は一緒に弓を引いて矢を放つと、見事に的の中心を射る。その時、音に驚いたのか鳥が飛び立ち、真っ白な羽根が舞い落ちた。霽風館に戻った卓英は嬉しそうに菓子を眺めながら歩いていた。うっかりつまづいて菓子を落としそうになる卓英、その時、ちょうど稽古を終えた海市がやって来る。「あ、哥!…ニヤけちゃって何?何を隠したの?!」「何でもない、お前こそ何だ、羽根なんか持って」「(あ…)軽くて薄いから矢に使おうかと思って…」「機嫌がいいな、どうしたんだ?」「…師父を許してあげたの」「逆だろう?許すのは師匠だw」すると卓英は皇帝が海市に武挙を受けるよう命じたと教えた。蘇鳴(ソメイ)は朝議で武挙の名簿を提出した。旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は蘇鳴を武挙の主管に任命、さらに黄泉関の主将に封じた湯乾自(トウカンジ)に直ちに出発するよう命じる。その時、居眠りしていた昶(チョウ)王・褚季昶(チョリチョウ)がうっかり卵を落とした。グシャッ!大臣たちは四皇子の愚鈍さに呆れていたが、褚仲旭は何も言わず退朝を命じた。海市は武挙に参加するなど突拍子もないと思ったが、やはり受けたいと師匠に申し出た。「自分の武芸の程度を確かめてみたいのです」方諸は女の身では何かと不自由だと警告したが、受けたいなら受ければいいと認める。「…武挙の場には陛下が来臨なさいます、なのに許してくださるのですか?」「陛下のご意志だ、それに陛下に手出しせぬと約束したであろう?」方諸は今日の大徴があるのは皇帝の功によると言ったが、海市は真珠税のせいで大勢が亡くなったと反論した。「国事と私事は別であり、上と下の間には隔たりがある…じきに理解できるだろう 今は武挙に専心せよ」「…全力を尽くして武挙の準備に取り組みます」卓英は鞠柘榴が気になり、当番でもないのに皇宮へ行くことにした。しかし稽古していた海市に見つかり、皇妃が目当てかと揶揄される。驚いた卓英は否定し、それより海市の騒ぎ以来、淑容妃が愈安(ユアン)宮に幽閉されたと教えた。「まあかえって身の危険は少なくなったがな」すると海市は卓英に3年前の武挙について聞いた。武挙の考査は初選・会選・殿選と進められるが、皇帝から指名された海市は初選が免除される。どれも3つの科目で選抜され、科目は毎年、違った。海市は論文まであると知り、天文や地理まで学ばねばいけないとうんざりする。|ω・`)<ん?それでよく哥が通ったね…つづく(  ̄꒳ ̄)んー方諸と卓英は師弟に見えないよね〜これもヤンミー社長を少女設定にした弊害でしょうか?www
2022.07.16
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第5話「復讐の殺意」皇帝から理不尽な罰を受けて倒れた方鑑明(ホウカンメイ)こと方諸(ホウショ)と方卓英(ホウタクエイ)。その夜、方海市(ホウハイシー)は付き切りで師匠を介抱していたが、いつの間にかうたた寝していた。翌朝、海市はふと目を覚ますと、師匠に拝礼してから自分の部屋に戻る。…師父、あなたたちを守るため、暗君を殺します…その手には故郷の網針があった。海市が霽風(セイフウ)館の令牌で参内した頃、方諸はようやく目を覚ました。方卓英が峠を越えたと知って安堵する方諸、しかし海市が自分たちの無事を知った後に去ったと知る。…まずい、宮中へ行ったか…一方、旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は淑容(シュクヨウ)妃・緹蘭(テイラン)の顔が忘れられず、朝議でも上の空だった。大臣たちは万一に備えて兵の増員を上奏していたが、褚仲旭は急に退朝してしまう。すると書房へ続く回廊で禁足を命じたはずの緹蘭が待っていた。その手にはかつて紫簪(シサン)が作ってくれた懐かしい菓子・蓮花糕(レンカコウ)がある。褚仲旭は突然、心の傷をえぐられたようで怒りが爆発、菓子の皿をひっくり返した。「誰にこうしろと言われた?!誰にこの菓子を使えと吹き込まれたのだ?! 言ったはずだ、愈安(ユアン)宮から勝手に出るなと!」「…首飾りを返して欲しいのです」首飾りと聞いた褚仲旭はさらに興奮し、いきなり緹蘭の首をつかんだ。しかし悲しげな緹蘭の顔を見た褚仲旭はふと我にかえり、手を離して書房へ入ってしまう。海市は目立たぬよう庭園を抜けて敬誠堂(ケイセイドウ)を目指した。すると偶然、寝宮へ戻る淑容妃と出くわす。「方大人(ダーレン)?!」「拝謁いたします(ハッ)首にアザが…」敬誠堂に戻ってようやく落ち着くかと思われた褚仲旭、しかし机の上にある龍尾神(リュウビシン)の首飾りを見て怒りが再燃した。どうやら掃除をした者が拾って置いたようだが、褚仲旭は激怒して側仕えの穆徳慶(ボクトクケイ)に首飾りを投げつけてしまう。「命が惜しければこれを2度と見せるな!」:;(∩´﹏`∩);:<今すぐ捨てて参りますそこへちょうど方諸がやって来た。「ふん、まだ生きていたのか…穆徳慶!」ヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3 <はいっ!「先ほど渡したものは捨てるな…」_:(´ཀ`」 ∠)_: <はい、びぃしゃ~一方、海市は愈安宮いた。淑容妃が冷遇されていると知った海市は憤慨、やはり暗君を殺すしかないと決意も新たにする。しかし思いがけず皇帝の使いがやって来た。淑容妃は直ちに参内するようにという。褚仲旭は淑容妃を書房に呼び、方諸に会わせた。確かに驚くほど亡き紫簪に似ている。「どうだ、お前に下賜してやろうか?」「陛下、なりませぬ、このお方は注輦(チュウレン)の公主、それに私は一生、誰も娶らぬと誓いました」書房に潜入した海市はこっそり話を聞いていたが、うっかり物音を立てた。「(ギシッ!)誰だ?…出てこい!」皇帝に見つかった海市は仕方なく飛び出し、いきなり襲い掛かった。しかし方諸が現れ阻止、取り押さえられてしまう。「(はっ)方大人?」緹蘭の侍女がうっかり口を滑らせ、褚仲旭はその刺客が公主を救った方海市だと分かった。褚仲旭は方海市が愛する女のために戦ったと誤解し、今度は淑容妃を方海市に与えると言い出した。これに海市は猛反発、何の罪もない淑容妃への辱めを非難し、師匠と師兄を罰したことへの不満をぶちまける。「仁道を失った君主を民は認めぬ!…お前を殺すまで!」退屈だった褚仲旭は威勢の良い海市を面白がり、方諸との手合わせを命じた。しかし師匠に勝てるはずもなく、海市は結局、また取り押さえられてしまう。「続けろ、勝った方に淑容妃を与える」すると緹蘭は皇帝の暴挙に失望し、かんざしを抜いて自害しようとした。褚仲旭は咄嗟に阻止したが、緹蘭は自分が憎いなら死なせて欲しいと嘆願する。「わざとらしい芝居だ…出て行け」穆徳慶は皇帝の気が変わらないうちに淑容妃を見送り、侍女にこっそり首飾りを返しておいた。褚仲旭は堂々と自分への殺意を認めた海市を気に入り、師匠の下で腕を磨いて出直せと命じた。「方諸と弟子の手合わせは実に見事だった、方諸に鎧と馬を、方海市には槍を授ける」方諸が海市を連れて霽風館に戻る頃には激しい雨になっていた。「お前は破門だ、もう弟子ではない」しかし海市は食い下がった。皇帝からの長きにわたる嫌がらせ、それでも師匠は黙って任務に励んでいる。2人の間に一体、何があったというのか。すると方諸は海市の胸に剣を突きつけた。実はずっと出仕を認めなかったのは海市が頑なに皇帝への恨みを捨てられなかったからだという。「陛下は命より大切な友だ、忠誠を尽くすと誓った」「私も師父に忠誠を誓いました」海市は自ら胸に剣先を突き刺し、殺すなら早く殺して欲しいと訴えた。海市のまっすぐな瞳、方諸は急に居たたまれなくなり、剣を捨てて部屋に戻ってしまう。その夜、海市はびしょ濡れになりながらひざまずき、師匠の許しを待った。すると夜も更けたと言うのに穆徳慶が皇帝の聖旨を届けにやって来る。皇帝の勅命とは方海市に科挙の武挙部門への参加を命じるものだった。そこで方諸は海市の元へ向かい、皇帝が許したと教えて密書を渡す。「10日以内に任務をこなせ、さもなくば追放だ」綾錦司(リョウキンシ)では典衣・鞠七七(キクシツシツ)が姪・鞠柘榴(キクシャリュウ)の上達ぶりに目を細めていた。そこで新任射声校尉(シャセイコウイ)の官服の刺繍を任せることにする。鞠柘榴は校尉なら杖刑に処されたと噂で聞いていたが、七七は叱責だけで任務は解かれていないと教えた。「淑容妃の衣の仕立てもあるけど官服も急いでね」すると鞠柘榴は校尉の外見の特徴を聞き、どんな刺繍を選ぶか想像を膨らませた。「目力が鋭く、鼻筋が通っていて彫りが深い…方卓英…」あれから数日後、卓英は無事に回復した。すると思いがけず海市が任務に向かったと知る。海市を心配する卓英だったが、任務の内容を知ることは御法度だった。海市は竹林の奥深くで標的を見つけた。しかしそれが趙(チョウ)叔だと知って愕然となる。海市は何かの誤解だと思ったが、趙叔は確かに大罪を犯したと認め、小公子が見送ってくれることを感謝した。すると趙叔は突然、短剣を取り出し、海市に襲い掛かる。驚いた海市は咄嗟に趙叔の腕をつかんだが、趙叔はその手を握って自ら腹を刺した。海市は任務を終えて戻った。「師父、今日でちょうど10日です」「…よくやった」方諸はそれ以上、何も言わなかったが、海市は納得がいかない。あの時、趙叔は任務の詳細を知らず、緹蘭公主が乗る馬車も当日に知ったはず、間者に情報を売る隙などなかったという。しかし方諸は任務に疑念を抱くなら出て行けと厳しかった。「…残してくれて感謝しています」「陛下がお許しくださったのだ」「師父…今日の師父の言葉にはとても失望しました」「お前は情にもろい、任務には向いていない …ここに残ったのはお前の意思だ、残るなら覚えておけ 2度と陛下を狙うな、余計な口は挟まず、命に従うことだけを考えろ 私はお前よりも多くの苦い経験をしてきたのだ」方諸は回廊で風に舞う花びらを見かけ、ふと海市との稽古を懐かしんだ。『師父、霽風花はきれいですね!なぜ植えたのですか?』『″東欄(トウラン)の一株(イッシュ)の雪 人生 看得るは幾清明″…』※蘇軾:東欄の梨花『師父?どう言う意味ですか?』つづく( ๑≧ꇴ≦)穆徳慶が不憫すぎるw
2022.07.15
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第4話「許せない罪」四皇子・褚季昶(チョキチョウ)と注輦(チュウレン)公主・緹蘭(テイラン)を都まで護送することになった方卓英(ホウタクエイ)と方海市(ホウハイシー)。しかし卓英が警護する第2隊が刺客に襲われた。卓英は公主と侍女2人を馬車から脱出させるも、公主をかばって背中を斬られてしまう。そこで兵士に公主を任せて逃がそうとしたが、次々と兵士が矢に射られた。その時、第3隊にいた海市が駆けつけ、公主を自分の馬に引き上げる。緹蘭は思わず海市にしがみついたが、その時、胸の膨らみで海市が女子だと気づいた。刺客は援軍が来たと誤解、慌てて逃げて行った。海市は師兄の怪我に驚いたが、卓英はかすり傷だと笑う。「それにしてもどこで兵を集めたんだ?」「あ~あれ?砂埃を上げながら旋回して大軍に見せているだけ」緹蘭は兄弟の砕けた会話を聞いて安堵し、面紗の下で思わず笑顔になった。その頃、宮中では旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)が方鑑明(ホウカンメイ)こと方諸(ホウショ)を呼びつけ、叱責していた。「またもやってくれたな! 方卓英の他に若い者がいたとか?…公主が都に現れたらその時、罪の所在を明らかにしよう」四皇子と公主は無事に野営で合流、都まであとわずかとなった。しかし海市は自分が公主を救ったせいで皇帝の逆鱗に触れ、師匠や霽風(セイフウ)館まで責められるのではと心配になる。卓英はもし四皇子だけ連れ帰っても無事に済むとは思えず、どちらにせよ自分たちが陥れられる可能性はあるとなだめた。その時、突然、幕営に暗衛営の陳哨子(チンショウシ)が現れる。海市は師父の反応が気になったが、陳哨子は功績が認められて海市の名も勤務名簿に加えたと教えた。「早速、最初の任務を命じられたぞ」予想外の展開に戸惑う海市、すると卓英は自分が霽風館に知らせたと安心させる。「じゃあ行ってくる!」四皇子と公主は無事、天啓に到着した。朝廷は丁重に出迎えたが、公主だけ皇宮ではなく駅館で待つよう指示されてしまう。こうして四皇子は湯乾自(トウカンジ)と一緒に皇帝に謁見、褚仲旭は四弟の帰朝を喜び、昶王に封じた。褚仲旭は大臣たちを下げ、四弟の元へ駆け寄った。すると褚季昶はなぜか大事そうに卵を持っている。「陛下、これは鷹の卵です、鷹を飼い慣らすには卵からかえすべしと聞きました 雛は母親だと思ってなつくのだそうです 取り柄がないのでせめて極上の鷹を育てて陛下に献上しようかと…」褚仲旭は弟の思わぬ贈り物に戸惑いながら、十分、尽くしてくれたと感謝した。通平城の戦いでは四弟が雷州から送ってくれた兵糧に救われ、何より長い間、注輦の内情を知らせてくれたという。しかし褚季昶はすべて湯将軍の手柄だと教えた。「幼い頃に国を離れ、哥哥の記憶も薄れてしまっただろう…我ら兄弟は多くのものを失った だが安心せよ、これからはもう今までとは違う、相応の物を必ず与えてやる」「皇兄…私は多くを望んでいません、おそばにいられればそれでいい」四弟の笑顔を見た褚仲旭は安心し、湯乾自を黄泉関(コウセンカン)の主将に抜擢した。褚仲旭は弟と感動の再会を果たしたが、次にもう一つの問題を解決することにした。書斎ではすでに方諸と卓英が控えている。「あと1人足りぬようだが?」褚仲旭は公主を助けた者がいないと指摘したが、方諸はすでに霽風館を去ってしまったと報告、罰は自分が受けると申し出た。面白くない褚仲旭は命に背いた方卓英に杖刑(ジョウケイ)200回を命じる。方諸は君主が臣下を軽んじれば君臣に確執が生まれると諫言し、卓英はあくまで自分の命に従っただけだとかばった。「どうしても罰するなら私が受けます」「よし、望み通り2人まとめて処罰する!連れて行け!」考える間も無く任務に駆り出された海市は道中、ようやく冷静になって来た。そこで馬を止め、陳哨子にかまをかけてみる。「師父が霽風館の反徒を捕らえろと?では人相書きは?」「ぁ…あったのだが燃やしてしまった」「身内なのに人相書きが必要なの?」海市はやはり公主の件で問題が起きたと察し、自分だけ逃げるわけにいかないと引き返してしまう。卓英は88回、打たれたところで意識を失った。背中の刀傷が大きく割れて出血がひどく、太医はこのまま続ければ目を覚まさないと報告する。驚いた方諸は残りを自分が受けると申し出たが、褚仲旭はそこで退席、見逃した。駅館に留まる公主に旭帝の聖旨が届いた。「注輦国公主珂洛爾提(カラクジテイ)氏を淑容(シュクヨウ)妃に封じる、直ちに入宮せよ、全て簡素に行うこと」旭帝のぞんざいな扱いに憤る緹蘭と侍女たち、そこへ公主の入宮を聞いた湯乾自がやって来た。湯乾自は注輦を守るには大徴の後ろ盾が必要だと訴え、亡き皇后に良く似た公主なら寵愛を得られるはずだとなだめる。一方、海市は霽風館に帰った。するとちょうど宮中から戻って来た方諸たちと回廊で出くわす。しかし卓英は意識がなく、医官が付き添って急いで部屋に向かった。「師父?…何があったんですか?!罰は明日、受けます、看病させてください!」「罰は与えぬ、去れ…出て行け」「師父、これには何か裏が…私が旭帝に説明します!」「旭帝だと?まだ分からぬのか?かばおうとして追い出すわけではない 頑固で無謀な性格を改めようとせず、師の命を軽んじる…霽風館を離れよ」事態の深刻さにようやく気づいたのか、海市はその場でひざまずいた。命令なら自害も辞さない覚悟だが、ただし一晩だけ卓英の看病をしたいという。「朝になったら出て行きます!」その頃、入宮した緹蘭はようやく謁見が許された。しかし旭帝はすでに酔っているのか、急に怒号を響かせる。「…今の挨拶は何だ?皇后が目に入らぬのか?!」困惑した緹蘭は顔をわずかに上げると、確かに机に聖文(セイブン)皇后の霊位が置かれている。「注輦珂洛爾提氏より陛下と皇后にご挨拶申し上げます…」「つまらぬ…」褚仲旭はよろよろと立ち上がって出て行こうとしたが、その時、緹蘭が紫簪(シサン)と同じ首飾りをしていると気づいた。何でも母の一族に伝わる吉祥のお守りで、幼い頃から身につけているという。褚仲旭は思わず緹蘭の首飾りを奪い取り、恐る恐る緹蘭の顔を確認した。すると緹蘭が愛する紫簪とうり二つだと知って驚愕する。「同じ顔をして同じ物を着けても紫簪にはなれぬ!…出て行け!出て行けぇぇぇ! 朕の許しなく愈安(ユアン)宮から出てはならぬっ!」夜も更けた頃、霽風館に突然、皇帝の使いがやって来た。もし方諸が休んでいたら床からひきずりだしても絵を鑑賞させよとの勅命だという。方諸は何とか重い身体を起こしたが、なかなか立ち上がれなかった。そこへ海市が駆けつけ、ようやく師匠も大怪我だったと知る。ともかく師匠を支えて正門まで連れて行くと、太監は淑容妃の姿絵を見せた。「こっ…これが淑容妃?!」方諸はしばし呆然、すると全てを察したように自ら夜が明けるまでひざまずくと言った。「皆は下がれ」海市は師匠のそばに付き添った。方諸は淑容妃の姿絵を見つめながら、取り返しがつかない罪を犯したことを思い出す。…肉体の痛みを感じられる者は幸せだ、それは喪失の痛みを知らぬ証し…この数年、私は繰り返し自責の念に苛まれて来た…儀(ギ)王の乱で一族を滅ぼされた私は怒りで我を忘れ、無謀な戦に出た…まさかそれが紫簪の死を招くことになろうとは…私が開戦の刻限を守ってさえいれば、褚仲旭は今頃、妻子と幸せに過ごしていただろう…だが時は巻き戻せない…褚仲旭のために敵を破り、覇権を得ることはできても、最愛の人を返してやることはできないのだ褚仲旭は紫簪との婚礼の夜を思い出していた。『注輦のしきたりは全然、違うわ 花嫁は18種の絹糸で織った面紗で顔を隠すの、夫君と向き合って初めて面紗を上げる …でも殿下に嫁ぐんだもの、大徴の礼にのっとらなくてはね ただこれだけは別、龍尾神(リュウビシン)は珂洛爾提氏の印、小さい頃から肌身離さずつけていたから』『18種の絹の面紗をつけた姿はさぞかし美しいだろうな、目に浮かぶよ』まさかその花嫁姿を紫簪ではなく緹蘭で見ることになるとは…。褚仲旭は紫簪の形見である龍尾神を取り出すと、緹蘭の龍尾神を床に投げつけた。「許さぬっ!」海市は一晩中、師匠の後悔の念に寄り添った。やがて夜が明ける頃、方諸は力尽きたように倒れてしまう。「誰か!手を貸して!」医官の懸命な治療が続いた。海市はその夜、師匠に付き切りで介抱する。つづく( ˶´꒳`˵ )いや~公主、可愛い♪如懿伝の時より美人になったような?声も同じかな?
2022.07.09
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第3話「もう一人の公主」注輦(チュウレン)で人質となっていた皇弟・褚季昶(チョキチョウ)の帰国が決まった。しかしその際、注輦公主・緹蘭(テイラン)が同行、和親のため皇帝に嫁がせるという。そこで旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)は指揮使(シキシ)・方鑑明(ホウカンメイ)こと方諸(ホウショ)を呼びつけた。四弟の出迎えを霽風(セイフウ)館に任せ、同時に歓迎されない公主はいつも通りでいいという。「この世に紫簪(シサン)の変わりはおらぬ…」方諸は緹蘭公主に罪はなく、拒めば友好関係に溝ができると諌めた。確かに注輦は小国だが、大微(ダイチョウ)とは最も親しく、少なくとも南の国境の安定に貢献している。「陛下、公主は亡き皇后の妹、どうか皇后に免じて…」しかし紫簪を持ち出された褚仲旭は激高、思わず鑑明の胸ぐらをつかんでしまう。「忠実な臣下のつもりか?…ずうずうしい、あの頃の若君のままだとでも? …お前はドブの中を這いずり回る汚れたネズミ、日陰を生きる朕の手先だ!…うせろっ!」癒えることのない紫簪を失った悲しみ、兄弟も同然だった褚仲旭と鑑明の間には消すことのできないわだかまりがあった。一方、方海市(ホウハイシー)は師匠が留守の間を狙い、元宵節(ゲンショウセツ)に現れた刺客を探ることにした。その夜、霽風館を抜け出した海市は郊外の林まで曲者を誘き寄せる。木の根元で息を潜める海市、するとそっと近づいてきた黒衣の刺客がまんまと罠に引っかかった。「何をする!」「それは針金を入れて編んだ網、鮫でも破ることはできない」海市は焚き火を準備、その上に網に捕らえた刺客を吊り下げた。「主人は誰だ?」刺客は元宵節のことなど知らないと言ったが、海市は答えるまで紐をゆるめる。「あちちちち!分かった!俺たちは…」しかし突然、師匠が現れ、刺客を逃した。海市は″命に従って行動する″という霽風館の掟を破った。罰として掟を200回も書写したが、翌朝になっても師匠は口をきいてくれない。機嫌を直してもらおうと躍起になる海市、しかし師匠は取り付く島もなく任務で参内してしまう。方諸は海市の兄弟子・方卓英(ホウタクエイ)に皇弟の警護を任せることにした。「陛下の命に疑問を感じても従うように…」そこへ海市が現れ、自分が代わりに任務に行きたいと嘆願、功績で罪を償いたいという。すると驚いたことに師匠は卓英に剣術で勝てたら認めると言った。海市は詭計を弄した。勝負の最中、急に防御を止めると、驚いた卓英は振り下ろした剣を自分に跳ね返し、倒れてしまう。その隙を狙い海市は師兄に剣を突きつけた。「私の勝ちだ」しかし方諸はしつけ棒を出し、海市に手を出せと命じた。すると卓英が咄嗟に自分の手を出して代わりに打たれてしまう。「大目に見てやってください」方諸は相手が敵でも手加減するのかと卓英を叱責した。結局、兄弟の情で勝たせてもらっただけだと気づいた海市。方諸は再び掟の書写を命じ、書き終わるまで海市を書房に閉じ込めてしまう。殿中郎(デンチュウロウ)・方卓英は射声(シャセイ)校尉・親迎使に封じられ、兵符を授かった。すると褚仲旭は卓英を書斎へ呼び、連れ帰るのは皇弟だけでいいと釘を刺す。「親迎使とは名ばかり、注輦公主を天啓(テンケイ)に来させるな、よいな? 他のことは霽風館のやり方に任せる」卓英は余計なことは言わず、拝命して下がった。その帰り道、侍衛たちが入内した美しい娘に目を奪われ、うっかり転ぶところを目撃する。「困った奴らだ…ふっ」卓英にはその娘の後ろ姿しか見えなかったが、実はその娘こそ灯会の夜に一目惚れした美しい娘だとは知るはずもない。その娘の名は鞠柘榴(キクシャリュウ)、綾錦司(リョウキンシ)の典衣・鞠七七(キクシツシツ)の姪だった。西平港(セイヘイコウ)へ出立する朝、卓英は立派な鎧に身を包み、師匠に挨拶した。しかしどうしても解せないことがあるという。「公主を拒否して注輦を怒らせれば、注輦は西南の各部族と手を組むのでは? 北方には鵠庫(コクコ)の脅威もあるのです」実は鵠庫は西部の部族に大徴が注輦と一体となって各部族を併呑する気だと風聴していた。方諸はとにかく皇帝の命に従って皇弟を守り、他のことは自分に任せれば良いと言い聞かせる。そこへ暗衛営の陳哨子(チンショウシ)が駆けつけた。皇帝が水心苑(スイシンエン)へ行くため、指揮使と配下全員を護衛につかせろという。海市は師匠たちが任務に出かけた隙に館を抜け出し、師兄を追った。やがて今夜の野営に追いつき潜り込んだが、卓英に見つかってしまう。しかしすでに西南の国境、卓英は仕方なく自分の衛兵に潜り込ませて連れて行くことにした。四皇子と注輦公主は水路で無事、西平港に到着した。整列する兵士に紛れて出迎えの儀式を見学する海市。四皇子のそばにいるのは湯乾自(トウカンジ)という将軍らしい。一方、公主は大きな冠に真っ白な面紗(メンシャ)で姿を隠していた。顔ははっきり見えないが、海市でもそのたたずまいだけで美しいと分かる。その夜、海市は師兄とくつろいでいたが、明日の警固が心配だった。実はここへ来る途中、民たちが見知らぬ船や怪しい商人が増えたと噂していたという。「誰かが婚姻に水を差す気かも…」「…その話は師父も知っている」卓英は鵠庫と西南の部族たちが婚姻を警戒しており、今回の任務では四皇子だけを守るよう皇帝から命じられたという。そこへ刺史(シシ)・陳赫然(チンカクゼン)が訪ねて来た。卓英が弟弟子を紹介すると、陳刺史は親迎使と違って書生のようだと笑う。すると海市はふと思いついた。「陳大人(ダーレン)に兵を借りたら?」陳刺史が用意できた兵士は千人だけだった。そこで卓英は3隊に分かれて敵の目をくらます作戦を立てる。まず第1隊が四皇子を護衛、第2隊は注輦からの貢ぎ物の輸送を装い、卓英が公主を護衛する。そして最後は公主に扮した海市がいる第3隊だ。偽の公主の隊列は人数も多く目を引き、最も賑やかな東門から出て敵を引きつけるという。第3隊の長い隊列は穏やかに郊外を進んでいた。すると御者の趙(チョウ)叔はふと感慨を覚え、これが最後の任務だと漏らしてしまう。「小公子、別れを伝えるのは掟に反するのですがつい…」「気にしないで、困った時は私に知らせてね」しかし海市は道中、何も起こらないことにかえって違和感を感じ始める。思えばあの陳刺史の様子も不自然だった。…まずい、罠だ…海市の悪い予感は的中、卓英が護衛する公主の隊列は伏兵に襲われていた。つづく( ๑≧ꇴ≦)盛り上がってまいりました~w
2022.07.09
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第2話「元宵節の夜」方海市(ホウハイシー)は暗衛営の指揮使(シキシ)である方諸(ホウショ)の直弟子でありながら、出仕を許してもらえなかった。不満が募る海市、そんなある晩、偶然、師兄たちの話を小耳に挟む。実は皇宮の東門から西に5丈の場所に木があり、その後ろがちょうど死角になっているというのだ。そこで早速、覆面に黒装束姿で皇宮に忍び込んだが、呆気なく兄弟子・方卓英(ホウタクエイ)に捕まってしまう。(,,Ծ‸Ծ,,)<私より武芸のできない新米が護衛の当番に選ばれてるのに…ブツブツ今年も元宵節(ゲンショウセツ)がやって来た。灯会で賑わう都・天啓(テンケイ)、実は旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)にとっても忘れることのできない大切な日だ。当時、褚仲旭は盟友の方鑑明(ホウカンメイ)と街へ出かけ、偶然、美しい娘とすれ違った。一目で心を奪われた褚仲旭は運命を感じ、その娘から強引に仮面を外してしまう。侍女は失礼な公子に激怒し、思わず声を荒げた。『無礼者!この貴人をどなたと…』『知っている、注輦(チュウレン)の紫簪(シサン)だ!…私は褚仲旭』それが2人の出会いだった。元宵節の晩、海市は師匠のため元宵を手作りするつもりだった。しかし暗衛営の陳哨子(チンショウシ)が指揮使を迎えにやって来る。落胆した海市はまた貴人のお出かけかとぼやいたが、師匠に叱られ、部屋から追い出されてしまう。「指揮使、護衛は必要ないという陛下の命に背いて暗衛営を動かせば、君臣の間に溝ができるかと…」「大微の皇帝は万世一系、血脈を守らねば…」方諸はその代わり皇帝に気づかれないよう配下たちに距離を保って護衛するよう指示した。褚仲旭は方諸と2人で賑やかな灯会に出かけた。しかしふと紫簪との出会いを思い出し、急に焦燥感に襲われて仮面を外してしまう。一方、海市も退屈しのぎに街へ出ていた。すると護衛当番のはずの卓英が現れる。「今日の持ち場は会仙楼(カイセンロウ)なんだが、賑やかな様子を見ていたらつい足がここへ…へへっ」その時、玉飾りの露店が目に留まった。店主の話では同じ玉から彫ったもので″永遠に共に…″という意味があり、恋人への贈り物に最適だという。卓英は霽風(セイフウ)館には独り身ばかりだと大量に買い占め、海市にもひとつ渡したが、海市はいらないと返した。褚仲旭が仮面を外したせいで人混みに紛れていた刺客が簡単に皇帝を見つけた。「陛下だ、そばにいるのは方鑑明だろう…今すぐ全員、ここに集めろ」その頃、褚仲旭は店先で元宵を食べている男女を見かけ、足を止めた。仲睦まじい2人の姿に自分と紫簪を重ねる褚仲旭、あの頃はこのまま2人の幸せな人生がいつまでも続くと信じて疑わなかった。「腹が減ったな…」褚仲旭は空いた席に座って元宵を食べることにしたが、方諸はいつ残党に狙われるかと気が気でない。その時、夜空に花火が上がった。海市は卓英と通りで立ち止まり、花火を見物していた。すると怪しい男と肩がぶつかり、海市はその男を追跡することにする。卓英はちょうど目の前の露店で絹糸を選んでいる美しい娘に見とれ、海市が消えたことにも気づかなかった。しかしふと目を離した隙に娘を見失ってしまう。付近を探し回る卓英、そこでようやく海市がいないと分かった。刺客が続々と集結、剣を片手に露店の方諸に襲い掛かった。方諸は皇帝を巻き込まないよう刺客を引きつけ通りで応戦する。その時、刺客を尾行して来た海市が露店にいる皇帝に気づいた。父の敵である皇帝に近づこうとする海市、しかし、突然、刺客に襲われてしまう。海市は瞬時に避けて後ずさりすると、師匠と合流した。「自分と陛下の身を守れ」「狙いは師父では?」「うるさい!」すると方諸は海市を元宵の露店まで放り投げた。恨めしそうに皇帝を警護する海市、そこへ待機していた暗衛営が駆けつける。「先に戻れ!」方諸は街から飛び出し、刺客を誘き出した。海市は師匠を追いかけようとしたが卓英が捕まえた。「戻れとの命だ」すると褚仲旭は自分を睨みつけていた少年に興味を持つ。「あの者も霽風(セイフウ)館の?」「名は方海市、指揮使の弟子です…まだ若く世間知らずです、無礼はお許しを」陳哨子(チンショウシ)は慌てて拝跪し、謝罪した。方鑑明の暗殺は失敗した。全員が鑑明に殺されたと聞いた蘇鳴(ソメイ)は情報を漏らさぬための口封じだと気づく。「恐らく私が黒幕だと気づいたやもしれぬ…しかし陛下にも知らせぬつもりだろう」かつて逆賊を討った六翼将(ロクヨクショウ)のうち、今も朝廷に残るのは蘇鳴ただ1人だった。誰よりも皇帝に信頼されていると自負する蘇鳴、いくら皇帝と共に育った方鑑明でも自分には敵わないだろう。「全員、慎重に行動するよう命じるのだ」卓英は師匠のため薬を準備した。しかし持ち場を離れていた後ろめたさから、怖くてなかなか届けることができない。海市は仕方なく代わりに持って行くことにした。「宮中に忍び込んだ件はこれで帳消しね」すると海市は師匠がちょうど衣を脱いで身体を拭いている姿を見てしまう。帷(トバリ)越しでも分かる師匠の鍛え抜かれた大きな身体…。海市は初めて胸のときめきを感じ、薬を置いて慌てて出て行った。海市はこの日を境に師匠を男性として意識するようになった。何とも居心地が悪くなり自然と師匠を避けてしまう海市、しかし方諸は海市の様子がおかしい理由が分からず困惑する。一方、宮中には外交関係を結ぶ注輦から奏状が届いていた。褚仲旭はどうせ銭か穀物の要求だろうと言い捨てたが、蘇鳴は吉事だと報告する。実は注輦王が人質だった四弟・褚季昶(チョリチョウ)の帰国を許したというのだ。褚仲旭は久しぶりに心からの笑顔を見せたが、まだ話には続きがあった。「四殿下と一緒に緹蘭(テイラン)公主がやって来ます 大徴と注輦は代々、姻戚関係を結んでおり、緹蘭公主を陛下に嫁がせたいと…」すると褚仲旭の顔色が一変、妃なら大勢いると和親を拒否する。しかし蘇鳴は破談にすれば褚季昶の身が危険だと説得した。「注輦が大徴に歯向かうとでも?ありえぬ…それより蘇鳴、元宵節の日、朕は刺客に襲われた そなたは黒幕を誰だと考える?」「分かりません!(即答)」「…誰の仕業かは知らぬが、標的は朕ではなかった、ふっ、実に面白い」「陛下の威光に刺客も怯えたのでしょう」蘇鳴は決して尻尾を出すまいとこらえた。「…蘇鳴よ、注輦王に伝えよ、すべての要求に応じるとな」綾錦司(リョウキンシ)の典衣・鞠七七(キクシツシツ)が方諸を訪ねた。「公爺…」「清海(セイカイ)公はもうこの世にいない」「失礼しました、指揮使は昔と変わらず、清らかで俗世にとらわれぬのですね」七七の報告では、鵠庫(コクコ)の情報筋から左菩敦(サホトン)王が黄泉関(コウセンカン)に向かったことが分かったという。しかし瀚(カン)州は春と言ってもまだ雪の日もあり、行軍に適した時期ではなかった。「引き続き調べてくれ」「はい…元宵節に刺客に襲われたと聞きました、生捕りした者から黒幕を?」「全員、始末した」すると七七は頼みがあると切り出した。実は近頃、目の調子が悪く、物がはっきり見えなくなったという。そこで両親がいない姪の鞠柘榴(キクシャリュウ)を宮中へ呼び、才能があれば自分の後継にしたいと頼んだ。方諸は信頼できる鞠七七の頼みとあって了承する。この時、卓英はまさか元宵節で一目惚れしたのが鞠典衣の姪だとは知る由もなかった。方諸が奥殿に戻ると、中庭で卓英と海市がじゃれ合っていた。2人にとってはよくある兄弟のたわむれだったが、方諸はこれが海市の異変の理由だと深読みしてしまう。「卓英、来なさい」方諸は卓英と海市が恋仲だと誤解した。「海市は弟弟だぞ、分かっているのか?「もちろん、だからからかっているんです」「では灯会で何をしていた?(2人で密会してたな?)「ぁ…(サボって玉を買ったり、美しい娘を見染めたことか〜)」「2人も年頃だ、恋することを禁じはしない、しかし職責を果たしてから…」「師父!誤解です!私は色恋にうつつは抜かしません! 兄としての立場を保ち、威厳を忘れません!」「まあ、それならいいが…」その夜、方諸が海市の寝殿にやって来た。(((ʘ ʘ;)))師父?!「最近、眠れぬのでは?」「はい…まあ」「座禅を組む、お前は部屋で」「はい」すると方諸は回廊に陣取り、的外れにも邪念を追い払うよう説いた。つづく( ๑≧ꇴ≦)しふぉ~www
2022.07.02
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斛珠夫人 Novoland:Pearl Eclipse第1話「 鮫人の涙」時は大徴王朝、漁師の娘・葉海市(ヨウハイシー)は父や叔父たちと海に出ていた。「父さんの指示は分かってるな?美女を見つけたら海面に誘い、鮫珠(コウジュ)をもらえ それで今年の真珠税を納められる」「うん!じゃあ潜ってくるね!」村一番の泳ぎ手である海市はこれから自分にどんな運命が待っているかも知らず、命綱をつけて海へ飛び込んだ。海市が海深く潜って行くと、やがて涙が斛珠になるという鮫人族と出くわした。美しい鮫人・琅嬛(ロウケン)に見とれる海市、すると息が続かなくなり苦しくなってしまう。驚いた琅嬛は少女の腕をつかんで海面まで送り届け、おかげで海市は無事に舟へ引き上げられた。しかし鮫人族を見つけた葉父たちは恐ろしい計画を実行する。葉父はいきなり娘の首を絞め、海市を殺そうとした。「父さんを許してくれ…すまない」琅嬛は娘の悲劇を嘆き、大粒の涙を流した。どうやら作戦は成功、金(キン)叔と柱(チュウ)叔は海に飛び込み、網で鮫珠を集め始める。一方、海市は必死で父の手に噛みついた。葉父はあまりの痛さに耐えかね娘から離れたが、勢い余って倒れ、腕が海に放り出されてしまう。すると血の匂いに誘われ、鮫の大群が現れた。葉父は娘を抱きしめ詫びた。「真珠税の取り立てがあまりにも厳しくて…鮫人の涙を集める最後の手段だったんだ…」その時、巨大な波が襲いかかり、海市たちの舟は転覆してしまう。琅嬛は鮫に襲われそうになった哀れな娘を助け、その手に鮫玉を持たせて舟に帰してやった。やがて日が暮れた。過酷な真珠税の取り立てに苦しめられる村人たち、その時、海市が戻って来る。海市は父たちが鮫に食べられてしまったと報告したが、持ち帰った鮫珠を将軍に納めて村人たちを救った。しかし将軍は見事な鮫珠に目が眩み、自分の懐に入れてしまう。「こんな貧しい村に鮫珠などあるはずない!陛下の命だ!真珠税が納められなければ身売りだ!」その時、漁村の近くを一台の馬車が通りかかった。将軍は証拠を消すため官兵に村ごと焼き払えと命じた。海市は将軍に捕まった母を助けるため、漁網の上に置いてあった鋏(ハサミ)で将軍の首を刺してしまう。「(はっ!)将軍が刺されたぞ!」「早くお逃げ!」葉母は海市を逃がしたが、後少しで山道へ出られるというところで転倒した。その時、突然、仮面の男とその弟子が現れ、九死に一生を得る。果たして仮面の男は味方なのか敵なのか。すると仮面の男は落ちていた鮫珠を拾って娘に返した。「そなたの名は?」「イェハイシィ」「うむ、私と共に都へ行くか?」海市は母や村人を守ってくれるならついて行くと条件を出した。そこで仮面の男は村人に手出しさせないと約束、海市に2つの道を示す。「私の館に来て女子として生きるなら安逸のみが得られよう だが、もし男子として生きるなら安逸以外の全てが得られる、どちらか選べ」「男がいい!」海市は迷わず男として生きる道を選んだ。仮面の男は海市を馬車に乗せると、唯一の弟子・方卓英(ホウタクエイ)に後始末を任せた。「あの子は当時のお前のようだ、正しく導けば必ずものになる」実は卓英も四年前、紅薬原(ベニヤクゲン)の乱のさなか、仮面の男に拾われていた。「村人の安全を確保せよ、霽風(セイフウ)館の密偵に官兵の素性を調べさせ、真珠の行方を突き止めよ」「はい、師父!」海市は恩人の馬車に揺られながら、いつか必ずこの恩に報いると約束した。「なぜ仮面をつけているのですか?」「怖いか?」「怖いです」すると恩人は黙って仮面を外し、その端正な顔立ちを見せてくれる。恩人の名は方諸(ホウショ)、皇帝直属の警護団・暗衛営の長である指揮使(シキシ)だった。その日、旭(キョク)帝・褚仲旭(チョチュウキョク)はお忍びで狩りに出た。皇帝に危険が及ばぬよう狩り場には鳥や兎などの小動物が放たれたが、褚仲旭の狙いは暗躍するかつての政敵の残党だ。その時、草むらの間を抜けて走って行く鹿に気づいた。褚仲旭は衛兵たちが止めるのも聞かず鹿を追って林の奥深くへ、すると予想通り刺客が現れる。一方、海市が乗った馬車は天啓(テンケイ)へ続く林の中を走っていた。海市は窓から景色を見てみたが、偶然、2頭の馬を発見する。「先生、馬がいます」「…皇宮の馬か」すると方諸は再び仮面をつけて馬車を止め、趙(チョウ)叔にのろしを上げるよう頼んだ。「海市を連れて馬で逃げよ」褚仲旭と衛兵は刺客に包囲された。しかし方諸が駆けつけ、見事な武功で刺客を蹴散らし皇帝のもとへ駆けつける。「もう戻ったのか…息抜きもできぬ」一方、馬で逃げた趙叔たちの前にも曲者が現れた。「私がおとりになる、行け!」趙叔は馬の尻を叩いて逃がしたが、乗馬の経験がない海市に馬を御せるはずもない。「誰か~助けて!」馬にしがみついた海市は林の中へ迷い込み、自ら渦中に飛び込んで行った。「うわあーっ!」海市は馬から投げ出され、よりによって皇帝に直撃、押し倒してしまう。すると刺客が一斉に皇帝に襲いかかり、褚仲旭は咄嗟に少女をかばった。方諸が危ないところで2人を助けたが、その際、刺客に仮面を壊されてしまう。その素顔を見た刺客たちは呆然となった。まさか清海(セイカイ)公?!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<死んだはずでは?!やはり刺客は儀(ギ)王の残党だった。「儀王殿下の敵が2人そろったぞ!覚悟しろ!」褚仲旭は黙って方諸が残党を始末するのを見守っていたが、突然、右胸に矢が命中する。しかし衝撃を受け、膝をついたのはなぜか方諸だった。「潔癖なお前を血で汚すのは忍びない…狩りは終わりだ」褚仲旭はついに剣を抜いて応戦、そこへ暗衛営が駆けつけ、刺客は慌てて退散した。海市は目の前にいる男が皇帝だと知った。…この人が皇帝?真珠税のせいで父さんは死んだ、なのに救う手助けをするなんて…海市は思わず石をつかんで報復しようとしたが、方諸が咄嗟に止めた。復讐の機会を逃し、去って行く皇帝の背中を睨み続ける海市、その時、毒にあたった方諸がばったり倒れてしまう。褚仲旭は宮中へ戻った。側仕えの穆徳慶(ボクトクケイ)は胸に矢が刺さった皇帝の手当てをしようとしたが、なぜか追い出されてしまう。褚仲旭は独りになると鎧を脱いで衣をはだけた。しかし胸にはやはり矢傷がない。「傷が鑑明(カンメイ)の身体に…」一方、褚仲旭の代わりに深手を負った方鑑明こと方諸は霽風館に運び込まれた。危ないところだったが毒が全身に回る前に排出に成功、翌朝には床を離れる。すると寝所の前で海市が待っていた。方諸は暗衛営には常に危険がつきまとうと教え、後悔しているなら帰ってもいいという。しかし海市は恩返しを誓った以上、二言はないと答えた。海市は弟子入りの儀を終え、方諸の直系の弟子になった。そこで方諸は今日から自分の″方″を名乗ることを許し、海市の名は方海市になる。「小公子にご挨拶を!」暗衛営の配下たちは一斉に拝跪し、指揮使の新たな弟子を歓迎した。将軍・蘇鳴(ソメイ)は皇帝から暗衛営が捕らえた儀王の残党を任された。しかしどんなに痛め付けても残党たちは口を割らず、頭を抱えてしまう。「残党を根こそぎ絶やさねば陛下に顔向けできぬ…」するとその夜、何者かが門の外に残党を置いて行ったと報告が来た。どうやら殴られたようで気を失っている。「牢に入れて問いただせ」一体、誰がここへ運んできたのだろうか。方卓英が任務を終えて霽風館に戻ると、弟弟子が待っていた。「師兄!」「師兄なんて他人行儀だ、哥哥と呼んでくれ、新しい家族だぞ」すると海市は真っ先に母の様子を聞いた。「母さんなら無事だ、伝言を預かって来た ″母のことは心配いらない、学業と武芸に励むように″と…」卓英は懐から葉母に託された品を出した。「これは…父と母がずっと使っていた網針です、ありがとう、哥!」男として新たな人生が始まった方海市は師匠のもと稽古に励み、数年で武芸に熟達した。しかしいつまで経っても留守番ばかり、そこで師匠に出仕したいと訴える。「大人になったらだ」「師父…いつもその一言で退けるんですね」その頃、蘇鳴は儀王の残党の根城を襲撃し、最後の1人を追い詰めていた。「これはこれは…通平城(ツウヘイジョウ)の戦から出世の一途の蘇将軍 蘇将軍は敵がどこにいるかご存じないのか? あなたの父君を死なせた方鑑明は生き延び、銀面で正体を隠しながら褚仲旭に近侍しているぞ!」残党は数年前、狩場で面の外れた男の顔をしかと見たという。すると不倶戴天の敵の名を聞いた蘇鳴はいきなり残党を斬り捨て、配下に1人も逃すなと命じた。方諸は卓英と海市に弓術の腕試しを命じた。そこで海市は合格したら皇宮へ勤めに出てもいいか尋ねたが、方諸は何も言ってくれない。ともかく2人は中庭に出ると、交互に3射して最後に的に残った方が勝ちと決めた。先手の卓英は見事に的の中心に命中、しかし後手の海市が卓英の矢を弾き飛ばして真ん中に命中させてしまう。さすが小公子!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<見事な弓術だ!2射目も同様に海市は卓英の矢を吹き飛ばし、最後の3射目になった。海市はまた卓英の矢を弾き飛ばそうと矢を放ったが、その時、師匠が投げたつぶてが弓を弾き、外してしまう。( ゚ロ゚)!!<師父!「弓の技を磨くには心の鍛錬が必要だ…邪念を抱いて放つゆえ矢が定まらぬ、基本に返れ」すると方諸は精進するよう命じて行ってしまう。卓英は思わず出仕する域にはまだ達していないということだと言った。( ತ _ತ)チッ…つづく( ๑≧ꇴ≦)何が何だかさっぱり分かりません!w方諸=方鑑明だけど幼名かしら?そう言えば身代わりになっちゃう話、花千骨だったかな?ありましたね
2022.07.02
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