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引退金本「もう一度優勝したかった」
阪神・金本知憲外野手の引退セレモニーが9日、DeNA戦の試合後、甲子園球場で行われた。 マウンドでスピーチに立った金本は「まず最初に僕を生んでくれた両親、アマチュア時代から、広島時代、阪神時代、僕の野球人生に関わったすべての人々に心より感謝申し上げます」と切り出した。
スピーチを終えた金本に、DeNAを代表して三浦大輔投手と金城龍彦外野手が、阪神を代表して藤川球児投手、鳥谷敬内野手、関本賢太郎内野手が花束の贈呈。その後、ネット裏で試合を観戦した清原がスーツ姿で登場し、花束を渡した。最後に金本の一人娘(名前非公開)が泣きながら花束を渡した。
一塁ベンチ前で阪神ナイン、裏方、関係者と握手をかわした後、マウンド付近でナインの手で胴上げが行われた。金本は背番号と同じ「6」回、宙に舞った。
まず最初に、僕を産んでくれた両親
アマチュア時代から広島時代 阪神時代
僕の野球人生に関わったすべての人々に心から感謝を申し上げます
思い返せば10歳の時に野球を始め
常にプロ野球選手を夢見てボールを追っかけてきました
その夢がかなったのは21年前の地元 生まれ育った広島カープへの入団でした
プロ野球の世界は自分が思ったよりも とにかく厳しい世界でした
必死にバットを振って 必死に重たいバーベルを担いで
一生懸命 本当に一生懸命 無我夢中でやってきましたが
なかなか結果が出ず 苦しい思いをした最初の3年間でした
今もその3年間の苦しみというものは
僕の野球人生 僕の人生そのものにおいても大きな財産となっています
2003年にタイガースに移籍してきまして
いきなり2003年 感激の優勝を味わわせていただきました
立て続けに2005年も4番としてリーグMVPを獲得し また優勝させていただきました
2003年からは常にこの甲子園球場は毎年300万人の観客を動員し
あのジャイアンツにも10年間で2回しか負け越していません
この甲子園球場というのは自分の持っている力以上のものを引き出してくれました
しかし、そうも人生はうまくいきません
3年前に肩をけがしてからは
自分の思うようなプレー・パフォーマンスを出すことができなくなりました
それから常に引退の二文字が頭をよぎるようになりました
自分でも もう辞めたい もう嫌だと 悔しい思いをしながらも
ファンの皆様の あの金本の特大ホームランがもう一回見たい
あの弾丸ライナーのホームランがもう一度見たい
もう一度3割30本を打つ金本を見たいという思いに励まされ
必死にリハビリに励んできました
しかし なかなか元のパフォーマンスに戻ることができず
きょうここでユニホームを脱ぐ決意をしました
悔いや心残りはたくさんあります
チームとして2回優勝を経験しましたが 最後にもう一度、優勝したかったです
そして 阪神ファンが一番よろこぶ瞬間である日本一という瞬間を
この甲子園球場でどうしても達成したかったです
残念ながら その悔いと心残りは きょうここにいる後輩たちに託すことにします
DeNAベイスターズのみなさん
きょうは自分の引退セレモニーにご参列いただき ありがとうございます
DeNAベイスターズは今年 中畑新監督を迎え
チームの雰囲気もガラッと変わり 常に注目されるチームでした
しかし 一番目立っていたのは中畑監督でした
選手のみなさん 選手より監督が目立つようではダメだと思います
監督より選手が目立つことを 中畑監督も望んでいることと思います
来年ベイスターズが優勝争いをするようなことになると
一番日本で注目されるチームになると思います
日本球界のためにも 何とか来年意地を見せて 優勝争い期待しています
最後になりますが
もう僕はこの甲子園の左バッターボックスでフルスイングすることはありません
ダイヤモンドを全力で走り抜くことも もうありません
レフトのポジションでボールを必死に追いかけることも もうありません
正直言って寂しいです やり残したことはたくさんあります
僕のやり残した分まで 今ここにいる後輩たちが
僕の分まで必ずやってくれると信じています
そして 外野を守っていると
『アニキ夢をありがとう』 とか 『ありがとう』 とか
いろいろ看板というかボードが目につきます
それは 僕がファンの皆様に言いたい言葉です
タイガースに移籍してきて 本当に快く迎え入れてくれたファンの皆さん
たまにキツいヤジもありましたが こんな僕でも 成績が落ちたときでも
大多数のファンは 『頑張れ頑張れ』 と背中を押してくれました
阪神ファンは温かかったです やさしかったです
最後に 最後に ファンの皆様にひと言
本当に夢をありがとうございました
心からありがとうございます
そして 野球というスポーツ 野球の神様 ありがとうございました
アニキ 本当に ありがとう
そして 野球の神様
ありがとうございました
金本知憲 名場面 17
現役最後の安打 (12.10.09)