運動後には誰でも息が切れるものだが、なかには気道がぐっと狭くなり、まるで喘息のような症状を示す人がいる。この症状は「運動誘発性気管支収縮」(EIB)と呼ばれるもので、スポーツ選手、特に一流選手になるほど合併率が高いことが知られている。このEIBを、魚油サプリメントで予防できる可能性があることが、米国で行われたプラセボ対照試験から明らかになった。研究結果は、American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine(AJRCCM)誌11月15日号に掲載された。
この研究を行ったのは、米国Indiana大学運動学部門のTimothy D. Mickleborough氏ら。同氏らは、EIBにはロイコトリエンやプロスタグランジンなどの炎症性メディエーターが関与しているが、これらはn-6系(ω-6系)不飽和脂肪酸のアラキドン酸(エイコサテトラエン酸)が代謝されて発生することに着目。魚油などのn-3系(ω-3系)不飽和脂肪酸を摂取すれば、競合的にアラキドン酸代謝を抑制できる可能性があると考えた。