毎日が暑い。
こう暑いと、銀輪散歩の花逍遥も、新潟のふぁみり~キャンパーさんに倣って夜の「花火逍遥」に切り替えるべきなのかも知れませぬが、懲りぬヤカモチは汗に濡れつつ「花」逍遥なのであります。
猛暑続きにて「秋」の到来が待ち遠しいことでありますが、そんな中でも野辺を行くと、早くもオミナエシの花が咲き出しているのであります。
オミナエシも亦、万葉人が愛した花にて、14首のこの花の万葉歌があります。
ひぐらしの 鳴きぬる時は
女郎花
咲きたる野辺を 行きつつ見べし
(
秦八千島
万葉集巻17-3951)
八千島さんが仰る通り、立秋となってヒグラシやツクツクボウシが鳴き出した頃がオミナエシの花も見頃なんでしょうが、早朝からシャンシャンと暑苦しいクマゼミの声がうるさい時期には、秋の花であるオミナエシは似合わないようであります(笑)。それでも汗づくの銀輪散歩にあって、この花が道の辺に咲いているのに出会ったりすると、「わが待つ秋の近づくらしも」という気にもなって、吹き来る風にも何やら涼しさが感じられもするのであります。
クマゼミの 鳴ける朝なれ
女郎花
咲けば野辺はも 秋づくならし
(偐家持)
秋の田の 穂向き見がてり 吾背子が
ふさ手折りける
女郎花
かも
(大伴家持 万葉集巻17-3943)
をみなへし 咲きたる野べを 行きめぐり
君を思ひ
出
たもとほり来ぬ
(大伴池主 万葉集巻17-3944)
熱中症対策。木陰に入って水分と塩分補給。ついでに煙分も補給しつつ、傍らの木を見上げると、ツルが巻き付いていて、そのツルのものと思われる実とも花ともつかぬものが顔を見せている。
この植物は木蔦(キヅタ)でありました。8月5日の若草読書会の席で小万知さんから教えて戴きましたので、追記して置きます。(2012.8.6.追記)
<参考>
木蔦
何と言う植物であるのかは分らぬが、一応写真に撮って置くことにしました。
次は小生も名を知っているカラムシです。
風が吹くと白い葉裏を見せて一斉に翻るので、如何にも涼しげな眺めとなる。このカラムシも万葉に登場する植物である。
カラムシは茎を蒸して皮をとり細かく裂いて繊維をとる。平安朝の女性が被った市女笠に垂らす薄い布も、このカラムシの繊維で作られたとのこと。
むしぶすま
柔
やが下に 臥せれども 妹とし寝ねば 肌し寒しも
(藤原麻呂 万葉集巻4-524
)
「むしぶすま」とは、カラムシの繊維で作った夜具のことである。この歌の作者、藤原麻呂は藤原不比等の4人の息子の内の一番下の息子である。家持の叔母であり義母でもある大伴坂上郎女の2番目の夫ともなった人物。この歌は麻呂が坂上郎女に贈った歌である。
このクソ暑い季節には時期外れ、時じくの歌でありますな。
さやさやと木陰に風が吹けば、カラムシは白き葉裏を見せて波が立つよう。こういう光景を目に出来るとあれば、真夏の銀輪花逍遥も悪くはないのであります。
からむしの 白き葉裏の 波立ちて 夏野の空に 風吹き抜ける
(偐家持)
そして、お馴染の「忘れ草」こと、ノカンゾウとヤブカンゾウです。
忘れ草など眺めつつ、暫し暑さを忘れて戴きましょう。暑さを忘れるのはいいが、水分と塩分の補給を忘れないことが、熱中症にならないためには不可欠であります。
今回、ノースリーブのシャツで炎天下を走り回りましたので、上腕から肩までしっかり日焼け、ヒリヒリになってしまいました。
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