偐万葉田舎家持歌集

偐万葉田舎家持歌集

2014.10.24
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カテゴリ: 銀輪万葉

承前

 今回の銀輪散歩は来月29日に予定している青雲塾万葉ウォーク(兼第8回ナナ万葉の会)の下見を兼ねてのものなので、当日歩く予定のコースは自転車には乗らず、押して歩くというスタイルになりました。歩くことによって当日の歩程・所要時間を把握すること、トイレの所在場所の確認、以上が今回の任務である。
 当日の計画と同様に国分寺跡の広場でお弁当。昼食を済ませて撮影をしている処にヘリコプターが飛来し、去って行きました。ドクターヘリでしょうか。

国分寺跡上空を飛ぶヘリコプター (国分寺跡上空を飛ぶヘリコプター)

 さて、恭仁神社へと向かいますが、その前に前ページで記載できなかった恭仁京や鹿背山・狛山の歌を記して置きます。田辺福麻呂の作れる恭仁京を讃むる長歌2首に付された反歌7首のうちの6首である。

三香の原  布当 ( ふたぎ ) の野辺を 清みこそ
                        大宮処 定めけらしも(万葉集巻6-1051)
山高く 川の瀬清し 百世まで 神しみ行かむ 大宮処(同6-1052)
泉川 行く瀬の水の 絶えばこそ 大宮処 うつろひゆかめ(同6-1054)
布当山 ( ふたぎやま )  山なみ見れば 百代にも 易るましじき 大宮処(同6-1055)
鹿背の山 木立を茂み 朝さらず 来鳴き響もす うぐひすの声(同6-1057)
狛山に 鳴くほととぎす 泉川 渡りを遠み ここに通はず(同6-1058)

(注)布当=法花寺野辺りの地名とする説とみかの原一帯の地名とする説がある。
      前説によれば布当山は鹿背山の別名となるが、後説により恭仁宮背後
      の山とする説もある。

 田辺福麻呂は橘諸兄家の家人とも考えられるから、恭仁京への思い入れは家持以上に深かったことだろう。
 百代までもという福麻呂の願いも虚しく恭仁宮は3年余で廃都となってしまった。福麻呂は荒れたる恭仁の都を悲傷する歌も作っている。今日の恭仁京の景色にはこちらの歌の方が似合いかも知れない。

三香の原 久迩の都は 荒れにけり 大宮人の 移ろひぬれば(同6-1060)
咲く花の 色はかはらず ももしきの 大宮人ぞ 立ちかは
りける(同6-1061)

 恭仁神社へは裏道ルートで向かうこととする。帰途は表通りを取ることとし、変化を持たせようという次第。
 恭仁神社へは5年前の訪問の時に立ち寄っている。
  <参考>「 加茂から京都まで 2009.10.17.

恭仁神社 (7) (恭仁神社・参道)

恭仁神社 (1) (恭仁神社)

恭仁神社 (6) (同上・拝殿)

恭仁神社 (5) (同上・本殿)

 下の由緒書によると、此処は元は菅原道真を祀る天神社であったよう。昭和40年に、恭仁京跡にあった御霊神社を合祀して社名を恭仁神社と改めたとのこと。元の祭神の道真さんよりも、後からやって来た崇道天皇と藤原太夫人とが上座に居座ったようです。
 崇道天皇は桓武天皇の弟の早良親王。藤原太夫人とは誰であるのか。藤原太夫なら男性であるから藤原広嗣ということになるのだろうが、太夫人とあるから女性のような気もする。桓武天皇の夫人藤原吉子のことであろうか。

恭仁神社 (2) (同上・由緒)

恭仁神社 (3) 恭仁神社 (4)
(同上・境内摂社)

 恭仁神社から表通りで恭仁宮跡・国分寺跡へ戻る。徒歩17分程度。
 以上でmission completeである。後は自由に自転車で走るだけ。今回のウォークでは、立ち寄る予定の無い(もっとも、参加者の皆さんに体力の余裕があり、時間も許すなら立ち寄ってもいいかと考えてはいます。)岡田鴨神社に向かう。
 岡田鴨神社は恭仁大橋南詰を東に800mほど行った処にある。此処は初めての訪問。地図を持参しなかったので記憶で行くと道を一つ間違ったようで、山を一つ越えてしまった。途中で間違いに気付いたが、折角なので、どんどんこの道を行ったが、これ以上行くと道に迷ってしまいそうに思えたので来た道を引き返すことにしました。

岡田鴨神社 (1) (岡田鴨神社)

 岡田鴨神社の本殿は丁度修復が終わりかかっていたようで、工事の方がビニールシートを外して居られる処にて、ピカピカの姿でありました。

岡田鴨神社 (2) (同上・本殿 右岡田鴨神社、左天満宮)

 この神社は鴨氏の祖・賀茂建角身命を祀る神社。この神様、葛城山の麓の高鴨神社から京都の下鴨神社へと遷る際にこの地に暫しとどまったとか。鴨氏がこの地に居つき此処に神社を建てて祖神を祀ったのでもあるのでしょう。加茂という地名がこの神社に由来するのでもあれば、やはりご挨拶は欠かせませぬ。

岡田鴨神社 (3) (同上・説明板)

岡田鴨神社之景 (1) (岡田鴨神社之景)

 さて、その間違った道を辿ったことによって撮れた写真が以下です。

柿の木 (3) (柿もたわわに・・)

 秋らしき景色は柿にあるらし。
 まあ、みんな渋柿でありますが。

柿の木 (2) 柿の木 (1)

 ここでも見上げてみると美しい紅葉が。

もみぢ葉見つつ (見上げれば・・秋)

 迷いついでに立ち寄ったのが御霊神社。

御霊神社(加茂)(1) (御霊神社)

 元々は此処には燈明寺という寺があり、この御霊神社は燈明寺の鎮守であったらしい。

御霊神社(加茂)(2) (同上・由緒)

御霊神社(加茂)(3) (同上・燈明寺本堂跡)

 どうやら字数制限のようです。これにて完結とします。本日の日記をベースに万葉ウォークの資料を調整することと致しましょう(笑)。お付き合い有難うございました。=完=






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最終更新日  2015.12.01 10:48:57
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Re:続・恭仁京銀輪散歩(10/24)  
こんばんは(^^♪

万葉ウォークの下見、お疲れ様でした。
これ程までに準備しなくては、いけないんですね。
そりゃ そうですよね。
何も起こらないのが当たり前。。ですから、ね(^_-)-☆

とにかく、お疲れ様でした。

それにしても 渋柿って、どこでわかるのですか?
私なんか、甘いと思ってガブッとやって、ペッペッと舌に残る渋みに 往生した事が何度もあった子供の頃でした。 (2014.10.24 17:23:34)

ひろみちゃん8021さんへ  
けん家持  さん
 下見と言っても、まあ万葉の故地を行くのですから小生には楽しいお散歩でもあり、苦にはなりません。ただ歩程を測るためには、折角の自転車に乗れず、ゆっくり目に歩くという、いささか欲求不満にもなるのが「下見」というミッションでしょうか。
 今回は、ご高齢者に配慮、ということで事務局から短めの距離を申し付かりましたので、これまでのウォークの半分乃至は6・7割の距離で往復で7km程度となり、健脚の方には物足りないウォークとなるようです。
 野外ですから、急な雨の場合の昼食場所とかトイレの場所とかの確認や、安全のため車の交通量が頻繁な道を歩く設定になっていないかなどの確認は必要ですね。歩程を計算して昼食や何処でどの程度の説明時間を取るかなども或る程度把握して置く必要があります。まあ、添乗員みたいなものですからね(笑)。今回は、急な雨の場合は、屋根のある昼食に適当な場所が恭仁宮・国分寺跡にはないので、先に恭仁神社に回り、同神社の能舞台をお借りするしかないのかな、などと思っていますが、それも参加人数との兼ね合いがありますから、微妙です。好天気になることを願っています。
 渋柿と甘柿との見分け方は、と言われても困ってしまいますが、子供の頃からの勘で、形や色を見れば何となく分かるのですな。概ね細長い柿は渋柿と見て間違いないでしょう。まあ、山道の野辺にたわわになっている柿は渋柿です。甘柿なら鳥たちが見逃す筈もなく、多くの実が齧られたりつつかれたりしたキズ痕があるでしょう。全部無傷で綺麗な実であることが渋柿であることを証明しています。
 まあ、齧る前に爪で少し皮を剥いで見れば渋柿は茶色っぽい点々状のものを含まない柿色一色ですから、貴姉のように顔を顰めることもないでしょう(笑)。
(2014.10.24 18:46:50)

Re:続・恭仁京銀輪散歩(10/24)  
ふろう閑人  さん
去年マイカーで海住山寺へ行ったのですが地図で見ますと直ぐ近くなのですね。知っていれば寄っていたのに…です。一昨年は加茂駅から浄瑠璃寺、岩船寺から奈良の元興寺まで自転車で走ったことるのですが長い坂道でアップアップした思い出があります。 (2014.10.25 04:34:33)

Re:続・恭仁京銀輪散歩(10/24)  
英坊3 さん
流石に由緒ある社寺が沢山ありますね。私も近くに居れば参加したいくらいですよ。「秋空に 似合うヘリさま おもちゃ様」ですね。 (2014.10.25 06:19:50)

こんばんは  
新潟にも加茂市があるんですよ。
京都の賀茂神社の社領であったことが地名の由来で、
賀茂神社からの分霊を祀っています、

もっとも加茂市の神社は分霊をいただく前からあった、近郷の青海首一族の祖神を祀る神社であったため、名前は加茂でも賀茂でも鴨でもなく青海ですが・・・ (2014.10.25 08:38:37)

ふろう閑人さん  
けん家持  さん
 そうですね。恭仁京大極殿跡の背後の山の一角にあるのが海住山寺ですから、直ぐ近くです。大極殿跡から北へ坂を上って行くと加茂神社という小さな祠があって、その脇から海住山寺へのハイキング道があります。かなり以前のことになりますがその道を辿って海住山寺へ行ったことがあります。
 加茂駅から浄瑠璃寺、岩船寺経由元興寺まで、走り応えのある行程ですね。万葉風に言えば大伴家持の「久迩の都は山河のさやけき見れば」の歌碑から「山河のさやけき見つつ道をたづねな」の歌碑への銀輪散歩となり、テーマ的には面白いです(笑)。

(2014.10.25 09:46:06)

英坊3さんへ  
けん家持  さん
幻の都・恭仁京。背後には海住山寺、木津川を挟んで当尾の山々に岩船寺、浄瑠璃寺など有名な寺もありますね。
 「流石に」で思い出しましたが、活道の岡だとされる流岡山についての伝説ですが、洪水で流れ出した大岩が笠置辺りで川を塞ぎ水運の妨げになったので、東大寺の良弁に祈祷させた処、これが二つに割れて流れ出し、その一つが流れ着いたのがこの流岡山だというものです。
>秋空に 似合うヘリさま おもちゃ様 (英麻呂)
 ヤカモチさまも 富山では餅 (偐家持)
家餅という富山の土産を思い出しました(笑)。

(2014.10.25 10:04:42)

Re:こんばんは(10/24)  
けん家持  さん
ふぁみり〜キャンパーさんへ
そうですね。三条市の北隣は加茂市ですね。加茂川も流れている。やはり、京都の賀茂神社の流れでありましたか。
奈良・葛城山麓の風ノ森峠にある高鴨神社、そして此処木津川畔の岡田鴨神社、京都の上鴨神社、下鴨神社とつながり、それは遠く新潟の青海神社へと続いているのですな。祭神の賀茂建角身の化身が八咫烏とされていますから、日本サッカー協会とも繋がる。京都サンガから新潟アルビレックスへですな(笑)。

(2014.10.25 10:21:04)

Re:続・恭仁京銀輪散歩(10/24)  
さわやかな秋晴れに誘われて銀輪散歩に。

でも任務があったのですね。
それが当方もお世話になる予定の青雲塾万葉ウォークの下見とはご苦労様でした。

当日を楽しみにしております。
(2014.10.25 17:23:49)

ビッグジョン7777さんへ  
けん家持  さん
 はい、少し早いのですが、好天気に誘われて下見の銀輪散歩に出掛けて参りました。
 ご健脚のビッグジョンさんには物足らない距離のウオークとなります。短めの距離をダラダラと歩いて戴くこととなるでしょうね(笑)。
 今回の記事「恭仁京銀輪散歩」と「続・恭仁京銀輪散歩」をご覧戴いたらもう予備知識としては十分です。当日の資料や話もこれに些かの尾鰭を付けたものに過ぎないこととなるでしょうが、まあ、犬養先生も仰っていたように、万葉歌は現地に立ち、現地の風に吹かれ、現地の景色を愛でながら鑑賞するのが一番、想像の翼を広げて恭仁京跡の風光を楽しんで戴ければよしで、小生の拙い説明などは本来不要のものとも言えます(笑)。ご一緒に快適なウオークを楽しめることを期待致して居ります。
(2014.10.25 23:10:38)

Re:続・恭仁京銀輪散歩(10/24)  
小万知 さん
虫愛づるをのこもお似合いですが、銀輪で駆けまわり歌碑愛づる家持様の姿がピタリはまり役ですね(笑)
以前、近鉄奈良駅からバスで浄瑠璃寺まで行き、周辺を歩きましたが住所が京都府なのですね。
前ページの、木津川にかかる恭仁大橋からみえる鹿背山の光景が良い写真ですね。
恭仁神社の参道も趣のある風情で、きっとご案内される皆様もけん家持様の説明共々大満足されることでしょう。
当日の好天をお祈りします。 (2014.10.25 23:35:49)

小万知さんへ  
けん家持  さん
 虫愛づるヤカモチはかりそめの姿。銀輪駆けての歌碑愛づるヤカモチがやはり本来の姿ですかね(笑)。花愛ずるヤカモチはもっと似合わない(笑)
 奈良駅から浄瑠璃寺経由加茂駅というのがハイキングコースの定番コースで若い頃よく歩きました。
 恭仁大橋から木津川下流方向を眺めると先ず目に入って来るのが鹿背山です。
 恭仁神社は、その参道も社殿も趣がありますね。
>当日の好天をお祈りします。
有難うございます。雨天の場合は中止して予備日の12月6日に順延となりますが、そんなことにならないことを願うばかりです。そんなことより、今日は阪神の日本シリーズ先ず1勝が嬉しいですね。

-----
(2014.10.26 00:00:06)

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