天の王朝

天の王朝

PR

プロフィール

白山菊理姫

白山菊理姫

フリーページ

ハーバード経済日誌


ハーバード経済日誌(2)


ハーバード経済日誌(3)


ハーバード経済日誌(4)


ハーバード経済日誌(5)


ハーバード経済日誌(6)


古代飛騨王朝を探して


海外でのダイビングあれjこれ


海外でのダイビングあれこれ2


海外でのダイビングあれこれ3


驚異のガラパゴス(1)


驚異のガラパゴス(2)


驚異のガラパゴス(3)


歴史箱


山口博教授の講演録


古典SFの世界


富山サイエンス・フィクションの世界


ETとの交信は可能か


不思議な世界


不思議な世界2


不思議な世界3


不思議な世界4


不思議な世界5


不思議な世界6


不思議な世界7


不思議な世界8


フォト・ギャラリー


雑感


誰がケネディを殺したか


誰がケネディを殺したか2


誰がケネディを殺したか3


誰がケネディを殺したか4


カストロが愛した女スパイ1


カストロが愛した女スパイ2


カストロが愛した女スパイ3


カストロが愛した女スパイ4


カストロが愛した女スパイ5


カストロが愛した女スパイ6


カストロが愛した女スパイ7


カストロが愛した女スパイ8


カストロが愛した女スパイ9


カストロが愛した女スパイ10


カストロが愛した女スパイ11


出雲族と大和族の話(パート1)


出雲族と大和族の話(パート2)


サイド自由欄

設定されていません。
2008.01.30
XML
テーマ: いい言葉(576)
カテゴリ: 文学・芸術
▼フランスの薔薇6(マラルメ6)


ほろ苦き停滞に倦み疲れて、私の怠惰は
栄光を台無しにする。栄光のために私は、
大自然の青空の下に咲く薔薇の茂みのような、
あの素晴らしい幼少期に別れを告げた。そして、
私の脳みその貧弱で冷たい土地に、新しい穴を徹夜で掘るという
固い誓いに七度倦み疲れて、挫折した。
不毛に対しては非情な墓堀人(破壊者)だ。

ここまでは自己紹介のようなものですね。一行目の「停滞」という言葉が示しているように、どうやら破壊者でもある詩人は、詩作に行き詰まっているようですね。詩人としての栄光ははるか遠くにあり、筆は進まず、焦燥だけが募っていきます。



次を見てみましょう。

――おお夢よ、鉛色の薔薇を恐れて、
巨大な墓地がその空っぽの穴を飲み込んだとき、
その薔薇の訪問を受けた、この暁に何と言えばいいのか?――
私は、残酷な国の貪欲な芸術を見捨てたい。
私の友、過去、詩の精霊、そして
私の苦悩を知るランプが私に浴びせる
古びた非難を笑いながら、
繊細で澄み切った心を持つ、あの中国人を模倣したい。

面白い表現をしますね。どういう状況かというと、ここには詩作に苦しみ、徹夜明けとなった詩人がいます。空っぽの穴とは不作に終わった詩作のこと。私には、はかどらない詩作にやけを起こして朝まで飲んだくれた詩人の姿が浮かんでしまいます。朝が来れば、現実的な日常生活に戻らなければなりませんから、大急ぎで頭(巨大な墓地)の中にできた詩作の穴をリセットします。

ここに出てくる「鉛色の薔薇」は、先ほどの幼少期の薔薇の茂みとは違った意味を持っていますね。livide(鉛色の)には、「顔が青ざめた」という意味もあります。どこか不健全で、快楽と結びつく淫靡な感じがします。具体的にはわかりませんが、恐れなければならないわけですから、創作活動を邪魔するような誘惑ではないかと思われます。



そのシンボルとして登場するのが中国人なのですが、次を読むと、その中国人がマラルメの手元にある中国製の磁器、もしくはその磁器の製作者であることがわかってきます。

彼にとっての純粋な恍惚は、
月から奪い取られた雪の茶碗に、
透明な生命の香りを振りまく、不思議な花の最後を描くこと。
その花こそ、彼が子供のころ、接木をするように育みながら、


マラルメは、中国製磁器に描かれた絵の世界に魅了されていますね。いわゆる西洋人がよく言う「禅の世界」のような、清らかで澄み切った世界をそこに見出したのでしょう。その幽玄の世界を詩に取り込もうとしたようです。それが最後の部分です。

賢者の夢にだけ現れる死よ、
心を静め、私は真新しい景色を選び、
心を空にして、それを茶碗になおも描くだろう。
薄い紺青色のラインは、
むき出しの陶磁器の空に浮かぶ湖水となるだろう。
白い雲間に隠れる細い三日月は、
三本の長いまつ毛のように茂るエメラルド色の葦の近くで、
穏やかなる弧の一角を、冷たい鏡の湖面に浸すのだ。

ここではマラルメが茶碗に絵を描いているように描写されています。でも実際は、茶碗は原稿用紙、筆のラインは詩の言葉です。「心を静め」「心を空にして」はまさに「禅用語」。か細い三日月も、3本の葦も、とても繊細でシンプルな、墨絵のような世界を思い起こさせます。東洋芸術の模倣――これも破壊者たるマラルメが、フランス詩の世界に掘ろうとした新しい風穴の一つであったことは、疑う余地はありませんね。
(続く)

宇宙の薔薇

地球から2000光年離れた、白鳥座の羽根に包まれた「生命のゆりかご」に咲く宇宙の薔薇「S106」。宇宙の年齢を告げる巨大な砂時計のようにも見えますね。

すばる望遠鏡で撮影した 写真はこちら にあります。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.01.30 11:27:12
コメント(6) | コメントを書く
[文学・芸術] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

simo@ Re:新刊『UFOと交信すればすべてが覚醒する』の解説(03/21) こんにちは。初めまして。 昨年妻が海で撮…
たぬき@ Re:ニニギの兄に祭り上げられたホアカリの正体(03/12) ホアカリ。 徐福が秦の始皇帝の使節を隠れ…
たぬき@ Re:サノノミコト(神武天皇)になぜ神が付いたのか(07/29) ジンム。と読まずに 大和言葉風味、古代語…
正木 ベータ@ Re:不思議な世界(その94)(05/13) こんにちは。初めてコメント致します。 不…

お気に入りブログ

日記更新お休みのお… 第七十三世武内宿禰さん

佐野まり はちどりの… convientoさん
氣のワーク研究所 朝日6844さん
窓辺でお茶を heliotrope8543さん
ひめのゆめ活動日記 ひめのゆめさん

カレンダー


© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: