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2022.01.30
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テーマ: 読書(8289)
カテゴリ: 【読書】絵本

本のタイトル・作者



いっしょなら Together [ ルーク・アダム・ホーカー ]

本の目次・あらすじ


そして、大きな嵐がやってきた。
ひとびとは家にこもり、嵐が去るのを待った。

引用



たち止まる時間なんてどこにもない。
時計の針はカチカチを音をたてて進み、
人はいつだって、足早にどこかに向かっている。
忙しすぎて、考えるひまさえなくて、
ただ押し流されるようにして、同じ毎日をくりかえす。
流れ去る日々に目を留めることもなく、
人は毎日を駆け抜けてゆく。


感想


2022年021冊目
★★★★

黒い嵐が世界を覆う。
コロナを嵐に見立てた大人の絵本。けっこう分厚い。
世界同時期印刷(日本、イギリス、イタリア、ドイツ、アメリカ、オランダ、ポルトガル、韓国、中国、台湾)らしい。

絵が、ペン1つで描かれたモノクロで、すごーーーーく素敵な絵。
黒い嵐(コロナ)の不穏さや、さびしくてかなしい感じが、白黒の画面からよく伝わる。


コロナの中において、私たちが失ったもの。
でもだからこそ、気付いたこと。
人とのつながり。
みんなが同じことを言っているけれど、きっとそれらはすぐに、元の生活に戻れば忘れられてしまう。
残しておかなくちゃ、この時のこのことを。

絵本の中に「これまでもずっとあった隔たり」という言葉がある。
ダライ・ラマ法王が、今は世界中の人と繋がれるけど、隣の人とは話もしない、というようなことを仰っていたことを思い出した。

引用部分の、「元の世界」。
ビフォー・コロナの世界。
でも私が送っている日常は、相変わらずそのまま。
朝、満員電車に揺られて会社へ行く。

黙々と進む人の群れ。
誰も話さない。
無表情に、無感情に、流されて行く。
私はいつも、チャーリ・チャップリンの「モダン・タイムス」や、手塚治虫「 ユニコ 魔法の島へ 」を思い出す。

そして自分もその一部であることにぞっとする。
ベルトコンベヤーに載せられた商品みたいに会社へ着く。

本当はこんなことを、しなくてもいいはずなのに。
この情報化した社会で、もう、必要のないことがあるのに。
それでも慣習は変わらない。
劇的に変わっていく社会で、やり方を変えないものが残る。

急がずに、ゆっくりと。
スローダウンしよう。
もうじゅうぶんだ。小さくしよう。
便利さを、過剰さを、拙速さを。

そうすれば、できるんだろうか。
正義に目を瞑らず、人の道に悖らず。
違和感を見逃さず、他人にやさしく。

毎日感染者数が更新される。
外国の数万人、数十万人の感染者を眺めていたのが遠い昔のことのよう。
寒い中、ひしめきあう階段を昇る。
心を無にしながら。

みんな、身を低くして、嵐が去るのを待つ。
長い長い嵐だ。
どうせなら世界は洗われて、新しくピカピカになればいいのに。
どうにも私たちはすぐに忘れてしまい、後には黒い影が残るようだ。

だから、嵐のただなかにいた時に、何を考えていたのか。思っていたのか。
覚えていて。
忘れないで。

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最終更新日  2022.12.04 00:44:25
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