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2022.09.07
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テーマ: 読書(8289)

本のタイトル・作者



おれたちの歌をうたえ [ 呉 勝浩 ]

本の目次・あらすじ


序 昭和四十七年
第一章 さよならの今日に 令和元年
第二章 すべての若き野郎ども 昭和五十一年
第三章 追憶のハイウェイ 令和元年
第四章 強く儚い者たち 平成十一年
第五章 巨人 令和元年
第六章 誰ぞこの子に愛の手を 令和二年

引用


この世界には大きなさだめがあって、自分ではそう思っていないうちにそうなってしまうんだ。意志の力や努力ではどうにもならない、そうでしかあり得ない仕組みの、おれたちは小さな部品にすぎない。どれだけ背伸びをしても、部品が全体を見わたすことは不可能だ。自分はなんの部品なのか、何に必要な部品なのか、いつそれは出来上がるのか、出来上がらずに終わるのか、何もわからないままに暮らすんだ。隣人を愛し、苦労を惜しまず、世の中の役に立つよい部品を目指した結果、組み上がった製品が機関銃だったりするのさ。自分が兵器になっていること自体、部品にはわからない。弾が発射され、誰かが血を拭き、それでようやく気づくんだ。『ああ、こうなったのか』


感想


2022年230冊目
★★★


ハードボイルドな表紙絵と冒頭の表記から、てっきりシベリア抑留の話だと思っていたら違った(先入観で判断し過ぎ)。
それでなかなか手が伸びなかったのだけど、読み始めたら続きが気になって一気読み。
はじめに大きな謎がある「今」の話と、回想として「過去」の話を挟み、謎を解いていく。

デリヘルのドライバーをする河辺久則。
元警視庁捜査一課の肩書きもむなしく、今は腐った貧乏暮らしだ。
そんなある日、久則の携帯が鳴る。
幼馴染・五味佐登志の訃報だった。
殺された佐登志の世話係だったというチンピラ・茂田は、佐登志が金塊の暗号を残したと嘯く。
それは、かつて「栄光の五人組」と呼ばれた昔なじみにしか解けない「謎」だった。

彼らが「栄光の五人組」と呼ばれるようになった事件。
五人が散り散りになるきっかけとなった惨殺事件。


久則がハードボイルドでひたすらカッコよかった。
佐登志のお茶目な感じも魅力的なんだけど、私は久則派。
いやあもう、いいよね久則。
熱いんだけど冷静で、諦めているんだけどしぶとくて。

佐登志の遺した暗号、かなり念入りに作られていて、佐登志ってそこまで文学少年じゃなかったから、最初は「ほんまに自分で考えたんかな」と思った。

セイさんが、新たに学んでいたように。

私なら自分が「栄光の五人組」だとしても、気付けないかも。笑
本の内容を使った暗号、しびれますよね。大好き。

誰かに見せ続けなければならない幻。
永遠に虚ろな人生を続けていく苦さ。
そして「夢」を守るために犯す、罪。

許せないこと、は人によって違う。
何が致命的な傷になるかも。
誰かを殺してまで、守りたいもの。
その人を、なんとか立たせているもの。
だからその一線を越えてきたら、もう戻れない。

ゴダイゴの「イエロー・センターライン」を読み終わった後に聴いてみた。
ああ、なんだかこの本、『アヒルと鴨のコインロッカー』をちょっと思い出すな。




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最終更新日  2022.12.03 23:42:31
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