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2022.10.02
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テーマ: 読書(8289)

本のタイトル・作者



ノレノレかるた 二人でつくる卒塾制作 [ こまつ あやこ ]

本の目次・あらすじ


母と祖母が通った中学を受験するため、週に3回「ノーレイン・ノーレインボー進学教室」(ノレノレ)に通う小春。
少人数の塾で、中学受験コースの小学六年生は九人。
成績順で長机の座席が決まる方式だ。
ある日、仕事をまた辞めた父から、古い名刺を貰った小春。
何気なくした落書きに同じ塾の英(はな)が文字を書き…「これってかるたみたい?」
二人はノレノレの思い出を描く、卒業制作ならぬ「卒塾制作」を始める。

引用


「まあな。なかなかうまくはいかないよなあ。でもな、一生安泰な人生なんて、ハチマキなしのスイカ割りみたいにつまんないだろっ?」


感想


2022年254冊目
★★★

こまつあやこさん(1985年生まれ、現役司書)、デビュー作の『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』が中学受験の問題にめちゃくちゃ取り上げられたそうだ。

この本、元のタイトルは「2×46」で、毎日小学生新聞に連載(2020.12.2~2021.3.12)されていたもの。

作中にムスリムの子がよく登場するのは、こまつさん何か思い入れがあるんだろうか。
ヒジャブ(女性が美しい部分=頭髪を隠すために覆う布)をつける女の子についてのところ、日本にもムスリムはいるし、それを奇異の目で見ないためにも、子どもたちに教えてあげたいと思うのだけど、唐突なエピソード挿入のようにも思えた。

私も前はムスリムの女性が身体を覆わなくてはいけないことを「男性による抑圧」だと思っていたんだけど、これって元々は「女性を守るため」に考えてくれたんだろうなと思う。当時の男が。
時代は下って、現代では感覚的に服の一部みたいな感じのよう。
いろんな柄と巻き方があって、ほんとにオシャレ。
そこに「やらされてる」感がない限り、部外者がどうこう言うもんじゃないよな、と感じた。
けれど一方に最近起きた「適切ではない被り方」による痛ましい事件のように、それはどうしても「男性側の原理の押しつけ」と「そこから逸脱した女への制裁」を免れないわけで…そこにモヤモヤが残ってしまう。

市井君がジェンダーにとらわれない選択をするあたりも、英の家がステップファミリーなのも、この短い話の中にあれこれ詰め込んだ結果、どれも中途半端というか…。
「こういうネタいれたいの全部入れておきました、世の中的にもこういうの求められてるし」
みたいになっちゃって残念。

それを描くのは賛成だけど、英と小春の話を掘り下げてもよかったんじゃないかな。

しかし小春の家は、お父さんが転職を繰り返しているわりに、お母さん週3のパートだし、家計に余裕がありそうなんですよね…すごいな。
我が家は「大学(院)までオール国公立」派なのですが、まわりには小学校受験、中学受験する人が増えてる。
うちも子どもが1人だと私立に入れたかなあ。入れたかもしれない。
子どもには社会にいろんな人がいるように、いろんな人がいる環境を知って育って欲しいのだけど、同時にその中で育つ難しさもあって。

階級の再生産になるのは分かっていても、それを教育環境として肯定する自分もいる。
それが自分の子であれば、「そうはいっても」となってしまう。
良い環境を。

学習塾を舞台にした物語では、

みかづき [ 森絵都 ]
金の角持つ子どもたち [ 藤岡陽子 ]

の2冊がおすすめ。
どちらも「教育とは何か」を考えさせられました。

これまでの関連レビュー


リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ [ こまつあやこ ]
ポーチとノート [ こまつあやこ ]




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最終更新日  2022.12.03 23:34:15
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