彼らは、何しろデビュー曲の『愛なき世界(A World Without Love)』からしてレノン・マッカートニーの作品だし、その後も何曲かレノン・マッカートニーの作った曲を歌ったことでも知られているが、それらはピーターとゴードン用のオリジナル曲だったので、ビートルズの曲をカヴァーしているというのとは違う。その彼らがまさにビートルズの "If I Fell" を歌っているのは長年知らない事実だった。
確かに "If I Fell " は、ジョンとポールで聞き慣れているけれど、ピーターとゴードンのハーモニーでもぜひ聴いてみたかった。けれど、それは叶わぬ夢で終わった。
そういえば、どこかでこの "If I Fell " は「女性の立場で歌った歌で、片岡義男の日本語訳が間違っている」というようなことを読んだ気がして、検索したら、ありましたよ。某検索サイトの一番上に出てきました。
なるほど、♪ Don't hurt my pride like her. の "like her" が、「主人公が女」の根拠なんですね。おお、しかも、中学生の時に気が付いたんですね。それなら ♪ That you would love me more than her の "than her" も根拠に上げてもらいたかったなあ。
なぜここでの "like" は、接続詞ではなく本来の前置詞として使われていると考えてはいけないのか。その方が不思議だ。 それに、"than" も口語では、当たり前のように前置詞として使われるから (例:She's older than me -"STAY WITH ME" by Eighth Wonder }、あまり大きな声で、「動詞の目的語になっている」と断言はできないだろう。 もちろん、その気になればどちらの意味にも取れるとして、どう解釈してもかまわないが、ここはそれまでのジョンの作った「他愛もない愛の歌」の数々と比較して、語られるべきだろう。
この曲のタイトルっていいなあ。 "If I Fell" で止めたところがかっこいいんです。 もちろん歌い出しですぐにばれてしまうし、初めてタイトルを聞いても、次に "...in love with you..." が来るのは、だいたい想像が付くってもんでしょうけど、このタイトルがもし "If I Fell in Love" とか "If I Fell in Love with You" だったりしたら、あまりに普通だし、直接的で、興ざめですよね。
でも、邦題を "If I Fell " に合わせたら、『もし落っこちたら』とか『もし転んだら』とかになって、話にもなりません。『恋におちたら』だよね、やっぱ。
あれこれ話題も提供してくれるこの曲を、先週の土曜日、月に1度行われる Beatles Night というライブ・イベントのセッション・タイムで歌わせてもらいました。 案の定、歌詞忘れちゃったところがあったり、いろいろ共演者にも迷惑だっでしょうが、大変楽しませてもらいました。