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小説すばる 2022年12月号ソコレの最終便 第七回 霧島兵庫大連に向かう九十九率いる列車隊はいよいよソ連軍と遭遇する。ソ連軍は圧倒的火力と、車両数で襲いかかってくる。列車砲で対抗するが・・・。本格的戦闘も生々しいですが、日本に帰ろうとする一般人もいる朝鮮半島なので、まさしく大混乱。ソ連の容赦ない攻撃が犠牲者を生み、終戦間際の悲劇を呼びます。戦争は悲劇しかないですよね。次回いよいよクライマックスか。今回読んでいて、わかりにくかったのが場所の把握。イラストで地図が載っていると理解が深まっていいなあ、と思いました。
2022年12月19日
小説すばる 2022年12月号あの光 第十回 香月夕花紅が新しい構想でなにか仕掛けるので、楽しみにしていたら、こういうことだったのですね・・・。う〜ん、これは・・・。ネタバレになるので何も書けませんが、こういう方向になるのだとは思いませんでした。いよいよ窮地に立たされた紅は、今後どうするのでしょうねえ。次回、大注目です。
2022年12月15日
小説すばる 2022年12月号地面師たちⅡ ファイナル・ベッツ 第七回 新庄耕ハリソン山中を追う警察。東京入国管理局の協力もあり、ハリソン山中の足取りがつかめてきました。そんな中、ハリソン山中の突然の帰国・・・。しかし、これはほぼ予想通りの展開になりました。シンガポールの日本大使館の窓口が川久保、というのが判明して、さもありなん・・・。一方、シンガポールのWSDグループの御曹司ケビンと日本人のリュウがレストランで旧友を温めていると、隣の席の紳士が話しかけてくる。これは・・・。嫌な予感しかしません。ドキドキしてしまいますね。次回も楽しみ。
2022年12月13日
小説すばる 2022年12月号ヒトラー 第二部 第八回 佐藤賢一いろいろ問題があったゲリとの関係に決着がつきます。それもものすごく意外な形で・・・。これが史実なのか、佐藤さんの創作なのかは不明ですが、衝撃的な展開でした。ゲッペルスのほうは、丸く収まりました。尤も、これはゲッペルスの思い違いのようでしたが。政治ではいよいよ上り詰めそうな雰囲気。この時代、ヒトラーが求められていたんですねえ。
2022年12月12日
小説すばる 2022年12月号フェスタ 第六回 馳星周今一番楽しみな連載「フェスタ」!生産牧場の親子、馬主、調教師、騎手たちの夢をのせて走るカムナビ。カムナビのレースは読んでいて、いつも大興奮~。しかし、今回は話に暗雲が立ち込めました。予想もしなかった展開。カムナビにも転機が訪れる可能性もあるまずい事態・・・。最後の三上収の言葉に胸熱くなり、涙がこぼれました。次回も大注目。
2022年12月08日
小説すばる 2022年12月号二人キリ 第三回 村山由佳阿部定の過去を知る人物たちから証言を集める吉弥。一方Nは、金子文子と朴烈の映画に取り掛かる。(小説すばるより転載)阿部定の周りにいた人間の証言を集める吉弥。今回は森本健(旧姓・桜木健)の証言。阿部定と最初の関係を持った当時慶応の学生です。その後、小島波子(旧姓・福田)という阿部定の幼なじみの証言が続き、最後に阿部定の回想が入ります。当たり前ですが、立場が違うと微妙に話が違ってきます。まあ、本人の気持ちは他人にはわかりませんから、本当のところは本人にしかわからない。村山さん、じっくり、しっとり書いているので、毎回読むのも気合がいります。
2022年12月07日
小説すばる 2022年12月号うまれたての星 第四回 大島真寿美別デ編集部の西口克子は、小柳編集長の命を受け、伸び盛りの新人漫画家・辻内ゆきえの缶詰部屋に初めて足を踏み入れることになるが・・・。(小説すばるより転載)1969年の少女漫画「別冊デイジー」「週刊デイジー」を舞台にした小説。漫画黎明期の活気あふれる編集部とそこに務める人間の思惑と葛藤が描かれます。漫画家の缶詰の話、「漫画スクール」と名付けられた新人発掘の話、新人漫画家の話、どれも読み応え十分。男尊女卑が激しい職場のようだし、(この時代なら普通でしょう・・・)不本意な仕事を担当されてられていたし、不満はあったでしょうが、熱い現場だったでしょうね。続きが楽しみな連載です。
2022年12月06日
小説すばる 2022年12月号師匠 第一回 立川志らく当代きっての人気落語家が、師匠にして伝説の噺家・立川談志との日々を自ら綴る。自伝的エッセイの決定打、堂々の幕開け・・・。(小説すばるより転載)立川志らくさん、と言っても落語界を全く知らない私にはどれほど凄い人物なのかはピンときませんが、相当な人物なのでしょう。そして七代目立川談志さんはさすがに知っています。落語は聞いたことがありませんけど。志らくさんが談志さんに弟子入りして落語家になっていく話です。落語協会を脱会した立川談志さんが、寄席に出られなくなって、弟子の育成に苦労した話が出てきます。前座の大変さは、漫画「どうらく息子」で描かれていたので、なんとなくわかります。落語会のしきたりや作法、師匠や兄弟子との付き合いなど勉強することが山のようにあり、苦労しか無いような前座の生活。寄席がないことで、それらが勉強できないのですから、師匠も弟子も苦労したでしょうね・・・。談志師匠は、イメージ通りの破天荒なキャラ。続きも楽しみですね。
2022年12月05日
小説すばる 2022年12月号うらはぐさ風土記 第二回 山椒の赤い実 中島京子引っ越した伯父の家には庭がある。山椒や瓜の実などいろいろな植物があって沙希にとってそれは心躍る体験だった。(小説すばるより転載)アメリカから帰国して、武蔵野の一角「うらはぐさ」という場所の伯父の家に住むようになった沙希ののほほん話です。玄関わきに勝手に生えている「しのびよる胡瓜」その実が変な形になったので、庭を手入れしてくれた秋葉原さんに相談に行く。そして秋葉原さんに見てもらった結果は?・・・。まったくもって脱力の展開が待っています(笑)しかし、そのおかげで秋葉原さんと親しくなれた沙希は、秋葉原さんの実家に行ってみる。そこでの出会いは?全く肩の力を入れずに読める連載。登場人物もみな愛おしいです。
2022年12月01日
小説すばる 2022年12月号東京ハイダウェイ 星空のキャッチボール 古内一絵職場、家庭、学校・・・。ストレスフルな現代を生きる人々が、自分だけのハイダウェイ(隠れ家)に出会う物語。(小説すばるより転載)古内一絵さんの新連載。総合ショッピングモールを運営する中堅電子商取引企業パラウェイに務める矢作桐人は現在マーケッティング部に務めている。新卒で入社した矢作桐人は最初倉庫に回されてがっかりしていたが、コロナ禍でマーケッティング部が人員を補充したため本社に戻れたのた。矢作桐人は、初出店の店舗に限りおすすめコメントを手書き風のポップにしてサイトにアップしている。また家に新商品を持ち帰って試すこともやっており、仕事と私生活の境界があいまいになりつつある。矢作桐人は学生の頃から不眠症に悩まされており、生活は乱れ気味だ。真面目でコツコツ型の矢作桐人だが、周りの人間には仕事しすぎに思われていて、それが尊敬されるのではなく、迷惑に思われていることに気づき出す。同期のリーダー格の寺嶋直也から昼食に誘われた矢作桐人は、寺嶋直也から意外なことを言われて衝撃を受ける。もともと実家の母親とはうまくいっておらず、実家も会社も悩みの原因だ。そんなある日の昼休みに意外な人物を見かけて・・・。クソ真面目な性格の矢作が、会社では浮いてしまう、というのはいかにもありそうな話ですよね。就業時間内に仕事を終わらせるのも能力の一種と考えると、矢作は失格なのかもしれません。そんな行き詰まった矢作が意外な人物と出会い、意外な場所で考えることで、過去の精算が出来るのはとても気持ちの良い話でした。続きが楽しみな連載です。
2022年11月30日
小説すばる 2022年12月号楊花(ヤンファ)の歌(抄録) 青波杏1941年、日本占領下の厦門。カフェー朝日倶楽部の女給・リリーは、諜報活動をしていた。ヤンファと共に暗殺の指令を受けたリリーは・・・。時代に翻弄された二人の女性が真実の名前を取り戻す、長い旅路の物語。(小説すばるより転載)第35回小説すばる新人賞受賞作の抄録掲載です。336枚の小説の前半部分の掲載。時代が第二次世界大戦なら、舞台も台湾海峡を隔てた厦門、というすごい設定です。そんな時代のそんな場所は全く馴染みが無いので、描かれているのがそうなのかなあ、と感心しながら読みました。大阪や松島の遊郭で働いていたリリーが流れ着いたのが厦門。厦門で世話をしてくれている楊にスパイとして使われている。諜報活動の相棒みたいなヤンファと共に暗殺の指令を受けているリリーの暗殺に向けての日々が綴られます。厦門の描写や時代背景の書き込みなど、とても新人賞の作品とは思えない濃密さ。おまけに「百合」まで入れてきて、混沌とした世界を細かな描写で描いています。抄録なので、この先どうなったのかはわかりませんが、単行本が出たら読んでみたいですね。
2022年11月28日
小説すばる 2022年11月号ヒトラー 第二部 第七回 佐藤賢一「ブリューニング内閣は直ちに総辞職せよ」遂にドイツ国会の第二党に躍り出たエン・エス。議長席に制服姿の男たちが殺到し、国会は大混乱に陥る。(小説すばるより転載)第一次世界大戦の敗戦からまだ完全に立ち直らないうちに世界恐慌が巻き起こり、ドイツ国内は落ち着かない状態。極端な思想を持つエン・エスがドイツ国会の第二党に躍り出て、国会を混乱させる。エン・エスも突撃隊のことに悩みつつも、ヒトラーやゲッペルスなど上層部の力で、党を拡大しつつある。今回は政治問題を描きつつ、ゲッペルスとヒトラーの女性問題も重点がおかれて、読み応え十分。佐藤賢一さんの筆が冴えているので、今の所まだ話しについていけています。ヒトラーの女性問題がどうなるのか興味津々です。
2022年11月10日
小説すばる 2022年11月号あの光 第九回 香月夕花サロンが大混乱の中、閃きを得た紅は、サロンのために行動を開始します。が、これって、完全にヤバいのでは?もともと怪しい商売でしたが、今から紅がやろうとしていることは、胡散臭いことこの上なし・・・・。こんなんでいいのか?紅。
2022年11月09日
小説すばる 2022年11月号ソコレの最終便 第六回 霧島兵庫ソ連の戦車に砲撃されたマルヒト・ソコレ。これで終わりか・・・、と思われましたが、話はまだ続きます。冒険活劇ではありますが、自体が時代だけに、ハルピンでの関東軍の施設の話をちゃんと、かつ、さらりと入れつつ、列車も話も進みます。死亡する者、去っていく者、様々な出会いと別れがありますが、太平洋戦争末期の満州ですから、ドラマはたくさんあります。このあと、九十九の部隊はどうなるのか?・・・。いよいよクライマックスになりそうです。
2022年11月08日
小説すばる 2022年11月号ままならぬ世のオニオントマトスープ事件 結城真一郎「嵌められた・・・」空き巣に入った男が漏らした、謎の言葉。”ゴーストレストラン”のオーナーが不可解な空き巣未遂事件に挑む。(小説すばるより転載)ゴーストレストランのオーナーが副業の(?)安楽椅子探偵として、依頼人の謎を解く短編シリーズ。オーナーの手足となる助手役のビーバーイーツの配達員は前回と変わって、シングルマザーになりました。エリート銀行員の兄が、引きこもり気味の妹の家に行ったところ、ちょうどタイミングよく下着泥棒を捕まえた。一見、よくありそうな単なる泥棒に思えたが、わけのわからない言葉をつぶやき、スマホを見ているところを捕まえた上に、妹は、泥棒事件よりもっと引きこもるようになってしまった。ひっかかりを覚えた兄が、ゴーストレストランのオーナーに事件の真相解明を求めて依頼してきた。オーナーは話を聞いただけで、ほぼ真相を突き止め、ちょっとした補足で、すべて解決してしまう。その真相は・・・。不可解な泥棒事件が、オーナーの手にかかると、するすると解きほぐされてしまいます。オーナーの安楽椅子探偵ぶりが、爽快。事件の裏には、現代の問題が織り込まれていて、その上、配達員の状況も組み合わされて、まっこと今どきの話に仕上がっています。今回もオーナーの見事な解決ぶりと現代社会への問題提起がうまく盛り込まれて快作に仕上がっていました。次回も、めちゃくちゃ楽しみです。
2022年11月07日
小説すばる 2022年11月号うまれたての星 第三回 大島真寿美幼い頃から少女漫画に魅せられ、念願叶って週刊デイジー編集部で嘱託の仕事を得た香月美紀。理想と現実のギャップに戸惑いを覚えるが・・・。(小説すばるより転載)今回の主人公は香月美紀。大学を出て、嘱託として週刊デイジー編集部に潜り込んだ。しかし、仕事といえば漫画ではなく、芸能記事を補佐するものだった。漫画にかかわりたい、と熱い思いはあれど、男社会の編集部では全く出番がない。香月美紀のひとまわり年上の藤原修子は、女性ながら編集部にいるけど、やはり漫画にはかかわっていない。週刊デイジーは少女漫画だけど、他の記事もたくさんあったのですね。みな、漫画に関わりたい。でも重要な仕事は全部男。現在だって、男女差があるのに、この当時の女性の立場はものすごく低かったでしょうね。漫画に関わりたい、彼女たちはこの先、希望の仕事につけたのかとっても気になります。
2022年11月03日
小説すばる 2022年11月号夢のようには踊れない 佐原ひかり十年という期限つきの中、アイドルとしてデビューを目指すリトルたち。まばゆい舞台の上で、もがき続けるアイドルは何を願うのか。(小説すばるより転載)2022年8月号に載っていた「エバーグリーン」の続編が登場しました。ジャニーズジュニアを連想させるアイドルの卵軍団・リトルの話。リトルに在籍できるのは十年と決まっています。十年でデビューできなければ退所という厳しい決まり。作中にも書かれていますが、十二歳くらいでリトルに入って十年となるとだいだい二十二歳くらい。二十二歳といえば一般社会人に行くのはギリギリの年齢ですよね。ポツポツグルーブが決まってリトルを卒業するヤツが出てくる中、持田は一向に話が来ない。焦る持田に、同じリトルから悪口が聞こえてくる。顔面偏差値では他の人間に劣る持田はダンスだけが取り柄だが、それだけではデビュー出来ない。一方、顔面偏差値の異様に高い遥歌にはデビューの噂があって・・・。嫉妬に狂う持田の気持ちは痛いほど伝わります。評価って人によって全然違うから面白いですよね。持田が、全然やる気のないヤツ、と見ていた透のことを葵はプロ意識がある、と高評価。異様な美少年の遥歌にも、意外な悩みがあることもわかり、当たり前ですが、個性って面白いです。最後に遥歌から投げかけられる疑問に答えられない持田はどう、気持ちを切り替えていくんでしょうね?続きが楽しみです。
2022年11月02日
小説すばる 2022年11月号フェスタ 第五回 馳星周カムナビに迫るノーザンファーム期待のオーシャンジュエル。三上牧場の威信をかけた勝負の行方は・・・。(小説すばるより転載)毎回掲載される競馬のシーンは実際の競馬を見ているような臨場感。三上牧場の息子・三上徹の熱い思い。カムナビに騎乗する若林の戦い。もちろん馬主の小森や厩舎員の小田島など、カムナビにかかわるすべての人間が期待をかけ、勝ってほしいと願う。カムナビは、かかわる人間のことなど全くおかまいなく、ひたすら自分の前を行く馬を追い抜きたいだけの馬(笑)カムナビの性質をうまく利用すれば、そこそこ勝てることに気づいた人間は夢を見初める。小説なのに、カムナビをめちゃくちゃ応援したくなってきます。私競馬のことをほとんど知りませんが、この小説はべらぼうに面白いです。
2022年11月01日
小説すばる 2022年11月号サステナート314 人間六度死んだ人間は分解され、「資源」として宇宙船内を循環する。噎せ返る持続の都市から親友を解放するため、棺を牽いて少女は走る。SF界期待の新鋭が放つ、抗う少女たちの反SDGs小説。(小説すばるより転載)親友のマドカが自殺した。サステナート314では、死んだ人間は分解されて再利用される。遺体を見ることが出来なかったリン・ヤマネは吐き気に襲われ遥か遠くに行きたかった・・・。しかし、サステナート314は、恒星間航行移民船の内部に作られた居住区画だ。地球から約百光年先にあるスーパーアースを目指して移動してる。そんな場所で逃げるところなど無い・・・。巨大ですが、完全な閉塞空間であるサステナート314。最初の設定から、ハインラインの「宇宙の孤児」を連想しますが、全く違う話になっていきます。とにかく面白かった!予測不能な驚愕のラストに向けて、スピーディーで壮大な話が綴られます。何と言っても最後の衝撃度がすごい。バリバリのSFでありますが、第一級のミステリーを読み終えたような爽快感がありました。これほど面白い物語はめったにありません。最後の感動で打ち震えてしまいました。いや〜、すばらしい。良いものを読ませてもらいました。
2022年10月31日
小説すばる 2022年11月号二人キリ 第二回 村山由佳「若竹」を訪ねてきた義眼の男に、吉蔵との記憶が呼び覚まされる阿部定。一方、吉弥は自ら集めた証言を徐々に紐解いていく。(小説すばるより転載)吉弥は事件の関係者に話を聞きに行き、それを記録し出す。この証言が、実際のものなのか、村山由佳さんの創作なのかは不明ですが、生々しいのは確かです。その後に、阿部定が語る物語。世間で噂されていることは事実とはかけ離れている、ということを思い知らされる阿部定には同情しかありません。村山由佳さんは、阿部定に語らせるのと、周りの証言を交互に書いて、事件を浮かび上がらせようとしています。ヘビーな内容ながら、ぐいぐいと読ませる筆力はさすが。続きも興味津々です。
2022年10月27日
小説すばる 2022年11月号チェインストーリーズ ひとつなぎの恋の物語 第一回 宇山佳佑The Chainsmokersの楽曲✕TikTokの人気動画原案!ピュアな想いを宿した指輪が紡ぐ、きらめく六つの恋物語。(小説すばるより転載)安藤花耶が恋をしたのは、同じクラスの市村征一。スタートは最悪だったが、次第に距離が近づいて・・・。めちゃくちゃ青春小説です。めちゃくちゃベタです。ベタすぎて、少女漫画の古典かっ、てくらい・・。さて、これがどう次の物語につながっていくのでしょう?
2022年10月26日
小説すばる 2022年11月号うらはぐさ風土記 第一回しのびよる胡瓜 中島京子家族とは?人と人とのつながりとは?武蔵野の一角、うらはぐさを舞台に新たな「絆」を描く心温まる群像劇。(小説すばるより転載)中島京子さんの新連載です。田ノ岡沙希はアメリカに住んでいたが、仕事が無くなって日本に帰ってきて大学近くにあった伯父の家を借りた。伯父は沙希の母の姉の夫にあたる人で、伯父の息子の博満が家に案内してくれた。従兄の博満は、大阪のマンションに住んでいる。伯父は2年前から施設に入っていて、家には住んでいない。家は伯父が住んでいた当時のままであり、荷物などもそのままだった。案内してくれた博満が帰ったあと、家でぼーっとしていた沙希は驚くものを見てしまった・・・。という始まり方をする物語。第一回の今回は、人物と状況の説明に終わっていて、どういう話になるのかは現段階では全く不明。物語巧者の中島京子さんなので、面白い話になることを期待してます。
2022年10月25日
小説すばる 2022年10月号令和元年生まれルリカ50歳 第二十一回 王谷晶白塗りと対決しているところに出現した人物。なんと、あんな姿になっていたんですねえ・・・。ルリカがあんなに苦しんでいたのに、こうもあっさり変身できるのはいまいちスッキリしませんが、まあ、相性が良かったのだ、と理解するしかないですね。目的地に向かうルリカたち。何があるんでしょうね、あの地に。
2022年10月13日
小説すばる 2022年10月号ヒトラー 第二部 第六回 佐藤賢一全国政党として勢力を拡大するエン・エス。国民の不満を吸い上げる彼らを後押しするように世界恐慌の黒い波がドイツを襲う。(小説すばるより転載)ブラック・サーズデー(暗黒の木曜日)で世界恐慌が起こります。ドイツも当然巻き込まれて大混乱。失業者が大量に増えて、国民の不満が益々増えます。突撃隊の反乱やオットー・シュトラッサーの扱いなど、エン・エスにも難問が続出。ゲッペルスだけでは解決が難しく、ヒトラーに登場を願うが、ヒトラーはヒトラーでゲリの付き合いのほうが大事という、体たらく。突撃隊のほうは何とかヒトラーがうまく丸め込んだようですが、綱渡り感が否めず。世界恐慌の中、ヒトラーの動向に大注目。
2022年10月12日
小説すばる 2022年10月号あの光 第八回 香月夕花一部のサロン生たちの「暴走」によって、窮地に陥った紅。(小説すばるより転載)大混乱の紅のサロン。朝から晩まで対応している紅とスタッフの疲労は濃い・・・。対応のまずさで、炎上がなかなか治まらないのはSNS全盛のこの時代ならでは。焦燥激しい紅の元に、とある人物が訪れる。その人物と話をしているうちに、紅はあることを思いつく。何を思いついたかはまだわかりません。しかし、その人物の悩みを聞いて愕然とする紅。何故なら、悩みの解決方法が無いことを何よりも紅が知っているからです。解決する方法はあるのか?次回も大注目です。
2022年10月11日
小説すばる 2022年10月号地面師たちⅡ ファイナル・ベッツ 第六回 新庄耕いよいよ動き出したハリソンの新たなプロジェクト。先遣隊として、苫小牧を訪れる稲田と宏彰だったが・・・。(小説すばるより転載)おおお・・・、ついにハリソン山中のターゲットが判明しました。なるほど、苫小牧でこんな動きがあったんですね。巨額の案件になるのが納得です。苫小牧に向かう飛行機の中で稲田と宏彰が話をしています。稲田のギャンプル狂いは相変わらずだし、宏彰の打ち明け話が本当なら、これほど悲壮な決意はないですね。本当かどうかはわかりませんが・・・。菅原という、いかにも怪しげな人物が登場してきました。柄は悪いですが、仕事は出来そう。菅原はどういう役目なんでしょうね?次回も楽しみ。
2022年10月10日
小説すばる 2022年10月号タフな狩り 第三章 歩く家の浜 倉田タカシ<獣>を追い、小杉を離れた四人は、<港湾>に辿り着く。そこは、家が歩行し、調停AIが集落のすべてを決めている場所。滞在するために四人は労働に駆り出されるが・・・。(小説すばるより転載)小説すばる2022年2月号の続き。小杉の戦闘をくぐり抜けて港湾にやって来た四人。小布施の娘・のぞみも加わって港湾の労働に駆り出されていたが・・・。ディストピアSF小説の第三章。ページ数が非常に多くで読み応えがあります。というか、この回だけで単行本になりそう・・・(^^;)三回目ともなると、だいぶこの世界に馴染んできて、前半は何とかついていけていましたが、後半はまたもや想像外の世界に突入してしまい、混乱しながら読みました。最後は一体何があったの???誰が攻撃したの?カピバラさんて誰なの?疑問符ばかりで今回の話は終了。次回で少しは理解出来るのでしょうか?
2022年10月06日
小説すばる 2022年10月号ソコレの最終便 第五回 霧島兵庫満州最大の河川・松花江を横断中、敵艦隊による砲撃で更なる戦死者の出たマルヒト・ソコレ。西方へ急ぐ山道で予期せぬ足止めを食らうが・・・。(小説すばるより転載)敵艦隊による砲撃で戦死者が増えた。次の駅まで急ぐマルヒト・ソコレだが、途中で急停車する・・・。戦時下、ソ連が満州に攻め込んできている状況下なので、戦況は益々悪くなってきました。次々と出る戦死者。乏しくなる石炭と水。いよいよ辛い展開になってきました。ソ連の兵隊と戦車と向き合う九十九。次回が待ち遠しいです。
2022年10月04日
小説すばる 2022年10月号オークショニア 我が名はティラノ 永原皓今回出品されるのは、超レアなTーレックスの化石!?担当メンバーの一人に選ばれた椎名は悩む。貴重な学術的資料を、競りにかけても良いのか・・・?(小説すばるより転載)今度の麻生オークションの競り品はなんと化石!麻生オークションでも取り扱うのは初めて、という化石なのだが、話を聞いた専門家から個人にオークションを落とされて、研究が出来ない環境にいってしまうのでは?という疑問を聞いて、椎名は悩んでしまう。絵画や美術品と違って研究対象のものだと、確かに単なる商品とは言えないですねえ。難しい問題を、椎名はどうさばくのか?前回の刀の話に続いて、非常に面白いオークション話になりました。波に乗ってきましたね。どんどん面白くなってきました。次回も期待しています。
2022年10月03日
小説すばる 2022年10月号フェスタ 第四回 馳星周素質は抜群なのに、気性が荒く、自分が一番でないと気がすまないカムナビ。前に馬が見えると、追い抜こうとして走り続け、バテてしまう。長い距離を走る競馬ではずっと走り続けることはできないが、カムナビはそういう戦略にはお構いなし。どうすれば、勝てるようになるのか試行錯誤が続く。調教師、調教助手、騎手、馬主、いろいろな立場の人間を描いていて、ものすごく読みごたえがあります。生産牧場、育成牧場、本当に様々な人間が競馬に関わっているんですねえ。最後のレースシーンはやっぱり手に汗握る展開。読んでいて、競馬の実況中継を聞いている(みている)よう。いいところで終わっているので、次回が早く読みたいです。
2022年09月29日
小説すばる 2022年10月号最後のYUKICHI 新川帆立世はキャッシュレス時代。だが駆逐されたかのように見えた”現金”には、知る人ぞ知る”価値”があった。YUKICHIハンターとの熾烈なバトルが始まる・・・。(小説すばるより転載)現金が廃止された隷和の時代。一般には電子マネーしか使えないが、裏社会では現金が残り、重宝されていた。しかし、感染症が広がり、現金が感染症を媒介する、と考えられて現金は汚いもの、触ってはいけないものになっていた。YUKICHIハンターだけでなく、YUKICHI自警団が現金所持者を追い詰める・・・。という、ディストピア小説。現金が使用できない、ということだけでなく、嫌悪の対象になってしまうところが恐ろしい。今のコロナ禍でも、現金を敬遠する傾向がありますが、世の中のヒステリーというのは怖いですね。日本は現金使用率が世界一らしいですが、次第に現金が使われなくなってきている状態を見たら、将来このようなことが起こるかもしれませんね。読み終わって、この小説が現実になりませんように・・・、と思わざるをえませんでした。今回はイヤミスでした。
2022年09月28日
小説すばる 2022年10月号うまれたての星 第二回 大島真寿美少女漫画黎明期に光を当てる大河長編、躍動の第2話。別冊デイジー所属の若手編集者・西口克子は、担当する懸賞ページを洗練させるため奮闘するが・・・。(小説すばるより転載)1969年の東京神保町の出版社を舞台にした小説。少女漫画の週刊デイジーと別冊デイジーの編集部に配属された経理部補助の辰巳牧子。第一回の主人公は辰巳牧子でしたが、今回の主人公は編集部の西口克子。編集部とは言え、西口克子の仕事は懸賞ページです。編集者として、原稿の依頼や回収をしたいのに、懸賞ページで懸賞品の購入と写真撮りをやらされているため不満を持っていた・・・。後半は編集部の綿貫誠治という男性編集者も登場します。少女漫画の善し悪しがわからない綿貫誠治は仕事に大きな疑問を持ちながら働いている。会社は希望部署に配属してくれるとは限らないので、このような話もあるあるなんでしょうね。少女漫画黎明期とはいえ、漫画の編集部なので、熱気ムンムンです。やたらと忙しいのと、人手不足なのは何時の時代も変わらないのでしょうね。話がどう展開していくのか、いまのところはさっぱりわかりません。次回も楽しみにしています。
2022年09月27日
小説すばる 2022年10月号二人キリ 第一回 村山由佳昭和十一年、一人の女性が起こした猟奇的な事件が日本中を震撼させた。その女性の名は、阿部定。彼女はいったい何者だったのか。阿部定の真実を照らす挑戦作、開幕。(小説すばるより転載)村山由佳さんの新連載。村山由佳さんの前回の連載は、激烈な人生を送った伊藤野枝の生涯を描いた「風よ、あらしよ」でしたが、今回もまた強烈な人物を主人公に持って来ました。愛する男の一物を切り取ってしまった事件、としてしか知らない阿部定事件なので、興味津々ではあります。話は映画の脚本家、波多野吉弥が阿部定(この時の名前は吉井昌子)を訪ねるところから始まる。波多野吉弥は阿部定事件の本当のところを知りたくて、阿部定に直接話を聞きに行くのだが、波多野吉弥には過去に阿部定との関わり合いがあったのだ・・・。伊藤野枝の話の時もそうでしょうが、今回も入念に下調べをしたと想像されますから、かなり事件の深層に迫るのではないでしょうか。読むのに気合いがいりそうですが、楽しみな連載です。
2022年09月26日
小説すばる 2022年9月号令和元年生まれルリカ50歳 第二十回 王谷晶東京に来てから知り合ったガレキがこの物語に重要な人物だということが、今回で良くわかりました。ガレキとルリカの関係がどう変化するのか、次回、大注目です。
2022年09月13日
小説すばる 2022年9月号ヒトラー 第二部 第五回 佐藤賢一エン・エスのベルリン・ブランデンブルク大管区は再建されていた。国会議員となったゲッペルスは、数多くの名誉毀損で敗訴だったが、国会議員の議員特権で逮捕はされない。もっと国会議員を増やして、支持者を増やしたいところだが、肝心のヒトラーが何故か上の空だ。それには訳があり・・・。一方、ヒトラーはハインリッヒ・ホフマンの写真館で、従業員の女性と出会う。この女性、名前がエーファ・ブラウン!こんなところで出会っているんですか・・・。政治活動は順調、収入の上昇がありますが、私生活のほうが重要であまり政治活動に熱心で無かった時期があったんですね。さて、ヒトラーの女性関係はこの先どうなるのか?(全然知らないので楽しみです)
2022年09月12日
小説すばる 2022年9月号ソコレの最終便 第四回 霧島兵庫ソ連軍機による突然の空襲を受けるマルヒト・ソコレ。その後、満州北東部の町、三江省の省都ジャムスに何とか到着する。ジャムスで、ソ連軍の攻撃であちこち不具合が出ていたマルヒト・ソコレの修理をする。次の目的地に向かうマルヒト・ソコレだったが、またもや緊急事態に直面する・・・。戦争、というか、ソ連軍の突然の攻撃なので、次から次にピンチが訪れます。今度の攻撃はかなり手強そうです。ソ連軍の攻撃を躱すことが出来るのか、次回も大注目。
2022年09月05日
小説すばる 2022年9月号地面師たちⅡ ファイナル・ベッツ 第五回 新庄耕シンガポールから一転して、東京に舞台が戻ってきました。ハリソン山中を追う警察。手がかりは静岡刑務所に収容中の辻本拓海だが、取り付く島もない態度のため、何も情報が得られなかった。そこで元刑事の服部辰、通称「辰さん」に協力を仰ぐ。ハリソン山中を執拗に追っていた辰さん効果はあるのか?ハリソン山中が何をやろうとしているのかはまだ判りませんが、警察が手がかりを掴めれば良いですねえ。それにしても、辻本拓海の態度は何を意味しているんでしょうね?恐れなのか、復讐心に燃えているのか、不明です。
2022年09月01日
小説すばる 2022年9月号妖精飼育日記 吉羽善実家に帰ってきた女性は、小さい頃に何度も遊んだ近所の屋敷へと向かう。そこで見つけた一冊の日記には、妖精を飼育した記録が残されており・・・。(小説すばるより転載)なんともまあ、幻想的な、不思議な話です。日記に書かれている話は、奇妙な話なんですが、どうやら妖精というのは実在するようですね。そして、最後に回収される主人公の過去。これには驚かされました。恐ろしくもあり、悲しくもあり、余韻が残る話でした。
2022年08月31日
小説すばる 2022年9月号あの光 第七回 香月夕花掃除をすれば開運する、という紅のメソッドはうまくいく場合もあるが、もちろんうまくいかない場合もある。うまくいかないからといって、これといって打開策を打ち出せないのは仕方のないことであった。なにせ、「信じること」、だけが教えなのだから。そんな中、朝一番に紅かかってきた電話はとんでもない内容だった!紅の活動も、話の内容もマンネリ化してきたところに、大騒動が巻き起こります。こう言っては失礼ですが、成功譚も面白いですが、大トラブルはもっと面白い(^_^;)人の不幸は蜜の味、とはよく言ったもので、紅の窮地は興味をそそられます。危機管理能力が問われる事件。次回大注目です。
2022年08月29日
小説すばる 2022年9月号フェスタ 第三回 馳星周荒れ馬の扱いに定評のある騎手・若林がカムナビの走り方に工夫をこらす。その作戦は上手くいくのか?いや〜、第三回にして、益々面白くなってきました。夢中になって読んでしまいます。競馬のシーンは眼の前を馬が走っているよう。馬の鼻息や、馬場の音が聞こえてきそうな臨場感。馳星周さんの筆が冴え冴えです。牧場主、騎手、調教師の様々な思惑も事細かに描かれていて、本当にリアル。ただ、カムナビの気性の粗さと、我儘度が気になりますねえ。これをどうやって、うまく持っていくかは調教というレベルではどうにも出来ないっぽいのが将来の不安ですね。
2022年08月25日
小説すばる 2022年9月号うまれたての星 第一回 大島真寿美直木賞作家が創作の原点を辿る大河長編がついに始動!舞台は1960年代末、伝説の少女漫画編集部。全ての女性が物語の魔法にかかった季節が鮮やかに蘇る・・・。(小説すばるより転載)大島真寿美さんの新連載。1960年代末の少女漫画編集部を舞台にした小説です。主人公の牧子は高校を卒業して、神保町の出版社に就職、経理補助として少女漫画「週刊デイジー」「別冊デイジー」を作っている部署に配属された。経理補助とはいえ、事実上は雑用係。なんでもやる。牧子曰く「女中さんだな」。牧子自身は漫画は今までほとんど読んがことがなかった。でも、就職してから「週刊デイジー」「別冊デイジー」を読んでみたら面白かった。従兄弟の千秋が、牧子の家で「別冊デイジー」を夢中になって読んでいるのを見て、牧子は誇らしく思う。少女漫画って、こんなに夢中に出来るんだ・・・。神保町の出版社で少女漫画を出していたと言うから、集英社の「マーガレット」がモデルでしょうか?漫画黎明期で、どんどん面白い作品が出てきた時代の話なので、この小説も面白くなりそうです。少女漫画の編集部が舞台なのに、主人公が出版社の編集でないところに、新鮮味がありますね。どういう切り口で物語を語るのか、興味津々です。楽しみな連載が始まりました。
2022年08月24日
小説すばる 2022年8月号令和元年生まれルリカ50歳 第十九回 王谷晶なんだかぐっちゃぐっちゃの状態から、ようやく物語の核心に迫る状況に変化。ガラスの向こうにいた人物。この人物こそ、この物語の鍵になりそうな最重要人物っぽいです。この人物の告白で、この世界の状況がかなり飲み込めました。そして最後に登場した防護服を着た人間は!いよいよクライマックスに突入しそうですね。次回、楽しみ。
2022年08月17日
小説すばる 2022年8月号少年籠城 最終回 櫛木理宇磐垣市大字泥首は県内有数の温泉街である。温泉街の河原で子供の死体が発見される。犯人とみなされた、温泉街で有名な少年を警官が発見するが、少年に警官は襲われる。そして、その後、少年は食堂に立てこもる・・・。泥首という架空の温泉街を舞台にした殺人事件と立てこもり事件を描いた小説。いや~、物凄く面白かった!全編緊迫状態の連続で、ドキドキが最後まで続きます。架空の温泉街の話とは言え、温泉街の暗部がこれでもか、と描かれます。特に温泉街の子供たちの状況は実際もこうなのでは?と思わせる衝撃の内容です。立てこもりの舞台となる「やぎら食堂」とその店主・柳楽司の存在は唯一の心暖まる存在。警察と警察官の描写は真に迫り、事件は凄惨としか言いようが無いですが、納得の解決で、読後はむしろさやわか。櫛木理宇さんは、最近益々精力的に活動されていますが、この小説もリアリティ抜群で、一級品のミステリーでした。他の作品も読んでみたいですね。
2022年08月16日
小説すばる 2022年8月号栞と嘘の季節 最終回 米澤穂信高校二年生の図書委員堀川と松倉は、返却本に、押し花をラミネート加工した栞がはさまっているのを見つける。その花は猛毒のトリカブトだった。(小説すばるより転載・後半省略)『本と鍵の季節』の続編です。高校二年、堀川と松倉が主役のミステリー。今回は長編です。栞の作り手を探す三人。思わぬ方向から、遂に作り手を見つけ出します。その手がかりは意外なものからだった・・・。栞を作った人物を探す物語の最終回。キレキレの二人をもってしても、かなり時間というか、手間がかかりましたね。でも最後はすべての謎が解けてスッキリ。最初の強烈な登場から、物語を引っ張る瀬野。芸能人と間違われるほどの美形の瀬野は登場時から次第にその印象を変えていきますが、最後の熱い思いを聞くと、最初の印象とは全く違ってきますね。ネタバレになるので、何も書けませんが、とにかく、面白いの一言です。高校生が主役のミステリーとしてはちょっと暗いですが、謎と登場人物が気になって、先を読みたくなります。単行本で読んだら一気読み間違い無しの快作。
2022年08月15日
小説すばる 2022年8月号地面師たちⅡ ファイナル・ベッツ 第四回 新庄耕ハリソン率いる地面師メンバーとの顔合わせに臨んだ稲田は、新たなプロジェクトの驚くべき中身を聞かされるが・・・。(小説すばるより転載)前回、やけに偉そうにしていた川久保の正体が明かされました。これはビックリ、驚くべき肩書の人物でした。ハリソン山中が弱みを握られているわけですね。しかし、さすがハリソン山中は用意周到に「保険」をかけています。マヤの正体もおぼろげながらに分かって、大体メンバーの把握が出来ました。そして、稲田に驚愕の報酬を告げるハリソン山中。報酬がこれなら、仕掛ける物件は一体いくらなんでしょう?この報酬を聞いたら、心動きますよね(^_^;)完全にハリソン山中の手中に入った稲田の運命やいかに?
2022年08月11日
小説すばる 2022年8月号あの光 第六回 香月夕花オンラインサロンの会員から会費を取って、開運コンサルテーションの料金も入り、収入は飛躍的に増えた。地方のセミナーも勢力的にこなしている。しかし、高岡紅は不安で落ち着かない状態が続いていた。セミナーの楽屋で見知らぬ女に詰め寄られて、動揺するが、持ち前の頭のキレでその女を追い返す。益々自信がなくなる高岡紅の気持ちはわかるような気がします。何せ、しゃべっていることはインチキみたいな話だし、何より本人が信じていないので、ファンがつけばつくほど、これでいいのか?と思ってしまいますよね。この先、高岡紅がどういう決断をするのか、興味津々です。
2022年08月10日
小説すばる 2022年8月号オークショニア 菊一文字、登場 永原皓華麗なる舞台の裏で日々、オークショニアたちも出品物探しに奮闘中。この度<麻生オークション>に持ち込まれたのはかの新選組・沖田総司が愛した刀<菊一文字>?(小説すばるより転載)沖田総司の愛刀の菊一文字が麻生オークションに持ち込まれた。佐久間という人物から持ち込まれた刀を見た椎名はその迫力に息を呑む。上司の三谷に刀を見せると、やはり凄い刀であることは間違いがなさそうだった。これは本物の沖田総司の刀なのか?そして、その後麻生オークションは大騒動になる・・・。下見会やオークションの進行で様々な思惑が交錯します。出品物の真贋もさることながら、最近の刀ブームを反映した愛好家たちの盛り上がり方が面白かったです。最後は意外な形で決着が着いて、これはいかにもありそうな話だなあ、と思わせる内容に唸ってしまいました。前回はいまいちピンとこなかったですが、今回は面白さが抜群。内容充実で読み応えがありました。面白かった!
2022年08月09日
小説すばる 2022年8月号ヒトラー 第二部 第四回 佐藤賢一エン・エスへの活動禁止処分に講義するため、ベルリン警視庁に向かったゲッペルス。目の前に現れた副警視総監は、ユダヤ人だった。(小説すばるより転載)ベルリン警視庁の副警視総監は、ベルンハルト・ヴァイスというユダヤ人だった。ユダヤ人への偏見にまみれているゲッペルスは、その顔を見た瞬間からヴァイスを敵対視する。党の大物・シュトラッサー兄弟とも対立しているゲッペルスは、新たな新聞を発行し、新聞でヴァイスを徹底的に攻撃する。エン・エスは反ユダヤ主義で支持者を増やしていく。そして国会議員選挙が行われる。ゲッペルスは比例代表の一位に登録されたのだった。いよいよ議員さんですね。ヒトラーとゲッペルスの反ユダヤ主義に一定の支持者がいた、ということに戦慄します。危険な思想も、支持する人が必ずいる、ということです。当たり前なことですが、恐ろしいことでもあります。
2022年08月08日
小説すばる 2022年8月号ソコレの最終便 第三回 霧島兵庫林口を離れ、ジャムスへ向けて北上を続けるマルヒト・ソコレ。山間部で遭遇した非常事態をきっかけに、九十九と雲井は激しく衝突するが・・・。(小説すばるより転載)ジャムス(佳木斯)に向かうマルヒト・ソコレは次の駅で水と石炭の補給をする。負傷した兵の手当はすんだが、銃撃された機関車の調子が悪い。小池機関士が修理をしていたが、完全に治すことが出来ない。ここで意外な人物が役に立つ。そして列車は先へ進むが、途中で列車事故に出くわす。これでは先に進めない、と思っていたら、鉄道兵が思いも寄らぬ行動に出て・・・。ソ連が攻めてきている緊迫状況なので、次から次に予期せぬ出来事が起きます。臨機応変に対応する九十九以下の鉄道兵ですが、不可抗力もあり、辛いところ。この先も思いやられますね。
2022年08月04日
小説すばる 2022年8月号まだあの場所にいる 古矢永塔子教師生活十五年。一目見るだけで、この子とは合わない、と直感が働くことがある・・・。転校生を前に、相田杏子は胸騒ぎを押し殺す。(小説すばるより転載)女子校の教師・相田杏子は、転校生の倉橋美月を見て、生理的に受け付けない、と感じた。もちろんそんなことはおくびにも出さすに、倉橋美月を受け入れるが、クラスで懸念されることがあった・・・。相田杏子は副担任なのだが、担任は若い永原塔也である。永原がうまくクラスを導いてくれることを願いながら、季節は過ぎていく。教師である相田杏子は、あるコンプレックスを持っているのですが、それが後半明らかになります。それは倉橋美月と関係のあるコンプレックス。何故、倉橋美月を心配したのか、何故、クラス一番の美人・早乙女莉愛を警戒したのか、それが明らかになった時、驚愕の事実が・・・。クラスのヒエラルキー、いじめ、美人と○スの差別、など、学校の暗部をこれでもか、と書きながら、最後はあっと驚く展開になって、爽快爽快!倉橋美月という女子生徒が最高です。読んで絶対に損をしない短編。ものすごく元気をもらえます。
2022年08月03日
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