天晴さんのブログ

PR

×

プロフィール

天晴(あっぱれ)

天晴(あっぱれ)

カレンダー

コメント新着

コメントに書き込みはありません。

キーワードサーチ

▼キーワード検索

2025.03.30
XML
カテゴリ: 芸術

「デザインの知恵」(須永剛司) ​を読みました。多摩美術大学に情報デザイン学科を立ち上げた方で、現在は公立はこだて未来大学の特任教授をされているようです。「いいデザイン」というと、たとえばフェラーリのかっこいい車とか、おしゃれな洋服とかが頭に浮かびます。しかし、情報デザインはそれらとは違います。本書の冒頭に「情報デザイン」の説明があるのですが、正直なところ、この部分がわかりにくかったです。私なりに理解した範囲でまとめてみました。
まず、情報デザインは須永の言うところの「言葉の道具」と密接に結びついている概念です。道具というと、鉛筆とかノコギリのようなものが浮かびますが、「言葉の道具」はそれらと違い情報のやり取りのために用いられるSNSやカーナビのようなものをさします。鉛筆やノコギリのような道具は、使い手が文字を書くとか、木を切るといったことに使われます。デザインによってそれらの機能が生み出されているのですが、道具を使う人にとっても変化しうると須永は説明しています。鉛筆でいえば、線や文字を淡々と書くこともあれば、スケッチで影をつけるためにサーッと斜めにすべらせたり、ドットをたくさん打ったり、といろいろな使い方があるということでしょうか。そうすると、作り手の想定しているデザインに対して、使い手にとってのデザインのあり方は異なっているということになります。情報デザインについても、須永はデザインの作り手と使う側との関係を強調しています。カーナビであれば、目的地をどのように入力して、その後の案内によってどう誘導されてゆくのか、情報の受け手との関係がデザインの基盤になるのはよくわかります。スマホが多くの機能をもつようになり日々の暮らしで情報を求めるようになりました。そんな現代ではたしかに情報デザインが非常に重要になっていますね。
 本書の後半では実例を挙げて、情報デザインをつくりあげるプロセスや、発展性について説明しています。「一つの答えではなく多様性を求める」、「まずは実際に試してみて、その関わりの中で洗練させてゆく」というアプローチが、デザインの分野では基本となるようです。現在の自然科学ではこれとは正反対のアプローチをすることが普通です。まず、各研究者は「正しい答え」に到達しようとするでしょう。たとえば「ある薬が効くか効かないか」を研究している科学者が、「実験をして効いたり効かなかったり、いろいろな結果になったけれど、この多様性が素晴らしい」と学会で発表したら袋叩きにあいますね。また、自然科学では、実際に試してみる前に論理的に道筋を絞って実験計画を練ってゆくプロセスも重視されます。なるべく無駄な費用や労力をかけたくないためです。情報デザインを洗練させるアプローチでは、あるゴールにたどりついても別のゴールがないかと次々と考え始めるのだそうです。そのプロセスの中でよいものを探してゆくのですね。また、まずは作品を作ってみて、それが良いかどうかを試行したり、その体験からよりよい別の作品に改良したりするということです。もちろん自然科学にすべてあてはめることが良いわけではないですが、短時間で結果を出すように効率を強く求められる今の日本の研究環境だと、新しいアイディアは生まれにくいと思いました。
本書に近い考え方の本として、少し前に読んだ​ 太刀川英輔の「進化思考」 ​も面白かったです。建築などを手掛けるデザイナーなのですが、生物の進化と同じプロセスを利用してより多様な考えを生み出すことを提案しているのです。生物の中には、機能的に洗練された仕組みがたくさんある一方で、一体どうしてこんな形になったのか謎に満ちた種も多くいます。しかし、そういう多様性が面白さや美しさ、気づかなった機能につながってゆくのでしょう。堅くなった頭をやわらかくしてアイディアを発想してゆきたいですね。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2025.03.31 21:55:28コメント(0) | コメントを書く
[芸術] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: