2006年02月14日
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カテゴリ: 短編
「キミの瞳が映す人」 3


バレンタインデーの放課後。
俺は、親友のアツシを殴った。

「せっかくのチョコを、要らないってどういうことだよ!」

アツシは、殴られてきょとんとしていた。

「……帰るわ」

俺はそうつぶやいて、アツシを置いて教室から出た。


……生まれて初めて、人を殴った。

学校を出て家に向かって歩いている途中で、俺は徐々に冷静さを取り戻した。


アツシのああいう性格は、知っていた。
あのチョコがキミからのものじゃなければ、俺は笑ってふざけるなと言えただろう。

キミが勇気を出して俺に託したチョコを、アツシは要らないと言った。
キミの気持ちを、アツシは踏みにじったんだ。
そのことが、どうしても許せなくて。

気がついたら、俺はアツシを殴っていた。


「おーい!」

後ろから声が聞こえた。
驚いて振り向くと、アツシが走って追ってきていた。

「……アツシ」
「良かった……追いついた。」


……謝らなきゃ、と俺は思った。

「ごめん。悪かった」
「……え?」

俺が謝ろうと思っていたのに、先に謝ったのはアツシの方だった。

「無神経なこと言っちゃって、悪かったな」

「ああ、ま、許す」

許すって……。

「まさかお前が、佐藤のこと好きだったなんて知らなかったから」

アツシは、突然そんなことを言った。

「……バ、バカやろう。そうじゃねーよ」
「ん?違うのか?」

アツシは笑いながら俺に問いかける。

「……」
「違うのか。そうか……なら、考えてみようかな」
「……は?」
「せっかくチョコくれたんだし、付き合ってみなきゃわからないもんな。うん、俺、佐藤のこと考えてみるよ」
「な、おまえ、何言ってんだよ」

俺は、アツシが俺をからかって言っているのだとわかっていても、うろたえてしまった。
アツシは俺を見て、問いかけた。

「どうする?俺が佐藤と付き合っても、いいのか?」

どうするって……。
……アツシには、隠し事をしてもしょうがない。
知られてしまったのだから、素直に話すしかない。

「……わかったよ。認める」
「おお、そうか。……じゃ、聞きます。お前が好きなのは、誰だ?」
「佐藤だよ。佐藤が好きだよ」

自分で言って、恥ずかしくて顔が真っ赤になった。



次の日。

俺は、キミに呼び出された。


つづく





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最終更新日  2006年02月14日 11時16分00秒
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