遊心六中記

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2017.05.29
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カテゴリ: 観照 [再録]


JR野洲駅構内(改札口を出た左側の先)に野洲案内資料のコーナーが設置されています。そこで得た「楽しく体験 どうたく博物館」というリーフレットには、 「銅鐸博物館・弥生の森歴史公園」 という表記がありますので、この博物館も弥生の森の中にあるととらえる方がよいようです。  [観照まとめ:2013年2月時点]
   弥生の森には、「スイレンの池」があります。


もう一つの竪穴住居の入口側から撮ると背景(西)に博物館が入ります。
    竪穴住居の傍のウメの木が芽ぶいていました。

『萬葉植物事典』 (大貫茂著・馬場篤[植物監修]・クレオ) を参照しますと、『万葉集』にはウメを詠んだ歌が119首あるようです。しかし、ウメは原産地が中国で万葉時代前期頃に日本に渡来したと記されていますので、弥生人は竪穴住居の傍でウメが咲くのを見ることはなかったのでしょう。




池を眺めた後、いよいよ博物館に入りました。勿論、入館料が必要ですが(大人200円)。


入館の際いただいた 三つ折りリーフレット です。

その時、ロビー部分は写真に撮ってもOKということでした。ちょっとご紹介しておきましょう。

ロビーには、

弥生人のイメージ壁面が左手に、正面に大きな銅鐸のレプリカが置かれています。
(2013年時点ですので、今はエントランス付近もリニューアルされているかもしれません。)

鋳型で成型された銅鐸は、本来こんな色調のきらきら輝いたものだったのですね。
私は京都国立博物館で古色蒼然とした緑青色の銅鐸しか見たことがなかったので、かなり前ですが初めてこれを見たときは、その色合いにちょっと驚きました。
卑弥呼の時代の銅鏡もその輝かしさから受ける感じはほぼ同じです。こちらは、ある展覧会で復元された銅鏡の展示を見たときにそう思いました。



右方向には、中庭に面したところに、弥生時代の衣服や土器が並べられていました。触ってもOKと書かれていたと思います。

展示室に向かう通路の壁面には、 「空から見た野洲市」の全景写真のパネルが展示されています。

さて、この後は講座が始まるまで少し時間がありましたので、展示室を順番に鑑賞しました。写真を撮れないので、画像でのご紹介ができなくて残念です。
私の感想を含めて、少しご紹介させていただきます。
展示のベースは 銅鐸専門の博物館

<< 常設展示室1(1階) テーマ『銅鐸の謎』 >>
銅鐸の誕生、銅鐸の造り方がよくわかります。銅鐸を復元するための製作工程の説明・製作作業中の写真、銅鐸製作の型などが展示されています。なぜ、銅鐸の身の上方に孔があり、銅鐸の身の下縁に凹みがあるのかもよくわかります。
銅鐸は中が中空ですから、金属を鋳込んであの形にするのに「外型」としての鋳型と「中子」と言われる中の鋳型が必要なのです。その両方の間に溶けた金属を流し込む為には両方の鋳型に一定の隙間を保たなければ製品が出来ませんから、支える箇所が必要になります。
身の上半の孔も下縁の凹みも型持ちのために必要な孔なのですね。鋳型の展示実物を見ると一目瞭然です。鋳型造り、溶融金属の鋳込みなど、その工程がよくわかります。

この鋳型、小さいサイズの頃は石の鋳型、大型化して土の鋳型に変化していったとか。

銅鐸が小さな形状から大きな形状のものに変遷していきます。考古学者の佐原真氏は、銅鐸の吊り手(「鈕 (ちゅう) 」)の変化から大きくは4段階(Ⅰ~Ⅳ)に分類されています。勿論それが、研究過程でさらに細分類されているようです。
そして、Ⅲ式(中段階)のある段階までは、銅鐸を叩いて音を出す「古い聞く銅鐸」で、それ以後の段階では「新しい見る銅鐸」に変化して行ったようです。「見る銅鐸」というのは、見たときに格好いい大きな飾り立てられた非実用的な銅鐸です。大きく2つの時期に分けることは、佐原氏の意見に基づきながら、田中?氏(奈良国立文化財研究所所長)が提唱されたのだとか。水野正好氏(奈良大学学長)が「大岩山銅鐸の発見・その後」という講演の中で触れられています。 (『徹底討論 銅鐸と邪馬台国』銅鐸博物館編・サンライズ出版・1999年10月刊)
展示パネルではこの変遷が年表形式を利用して、簡単にわかるようになっていました。

<< 常設展示室2(1階) テーマ『大岩山銅鐸』 >>
ここがある意味、この銅鐸博物館創設の原点なのです。
野洲の小篠原・大岩山から出土した銅鐸がこの展示室に展示されています。そして、大岩山から大量の銅鐸が発見された経緯も説明されています。併せて、滋賀県下で発掘された銅鐸の展示もありました。
前掲書の水野氏の講演記録には、昭和37年に銅鐸10個が発見された経緯がリアルに語られています。文化財関係の滋賀県職員となって2ヵ月ばかりの水野氏が、上司からの連絡で現地に行き、発見物の確認から携わられた経緯ですので詳細です。
明治14年(1881)8月に、地元の少年が山遊びのときに偶然発見したことがきっかけで14個の銅鐸が発見されていました。そして昭和37年にはJR東海道新幹線の道床用の土取り現場から作業中の人が発見されたのです。発見者の言では、大中小3つの銅鐸が入れ子状態でセットになっていたのだとか。それが3組と別途1つの発見があったことで、計10個です。この10個は発見後、水野氏他の尽力で滋賀県の所蔵となり、当初は湖上に建つ琵琶湖文化館の前の土地に小さな建物を建て保管されていたそうです。
昭和63年秋に、銅鐸博物館が大岩山出土地の近くに建設され、晴れて現在の形で陽の目を見たということになります。そのためには、様々な人々の努力、尽力があったことでしょう。

明治14年発見の14個は、その内2個は現東京国立博物館の所蔵となり、12個は地元に払い下げられたのですが、いつのまにか散逸したとか。水野氏の言では、昭和37年時点に地元には1つもない状態だったそうです。『県史25 滋賀県の歴史』(畑中誠治他共著・山川出版社)によると、行方が追跡された結果、国内に7個、アメリカに3個、ドイツに1個あることが判明しているとか。1個は依然行方不明だといいます。文化財保護の理念と方針、文化財保護の認識の重要性を感じる次第です。

水野氏の講演記録で興味深いのは、その後、銅鐸がまとまって発見されている遺跡も出現していますが、 「聞く銅鐸」の分布地域と「見る銅鐸」の分布地域が明瞭に別れているようです。
「聞く銅鐸」:島根県、広島県、香川県、徳島県、和歌山県北部、名古屋、福井県
  島根県荒神谷遺跡(6鐸)、島根県加茂岩倉遺跡(39鐸)
「見る銅鐸」:静岡県、愛知県、滋賀県、和歌山・徳島両県南部、高知県
ところが、この大岩山発見の銅鐸計24個にはその両方が一緒に出土しているのです。
特異な土地柄なのですね。古代史へのロマンをかき立てられますね。

なぜ、銅鐸がまとまって発見されるのか?  これには2つの考え方があるようです。
*小林行雄氏の仮説:銅鐸戦利品説
「周囲の国を統一・征服していく過程の中で最後に最も強力な人物のもとに集まった」
前掲の『滋賀県の歴史』もこの説を紹介しています。
*水野正好氏の仮説:配布説
「銅鐸は女王国が配るものだ」「配布する人」が保管していた場所が銅鐸大量発見の場所だとする考え方です。
水野氏はこの配布説の考え方で邪馬台国との関係を説き明かしていかれます。興味深い講演記録です。

銅鐸の形状とその分布が古代王権の存在場所や勢力圏の状況に及んで行く・・・・文献史学と考古学史論のアプローチの違い、両者の一致点と矛盾(対立)点・・・・古代史にますます引き込まれていきそうです。

つづく

【 付記 】 
「遊心六中記」と題しブログを開設していた「eo blog」が2017.3.31で終了しました。
ある日、ある場所を探訪したときの記録です。私の記憶の引き出しを維持したいという目的でこちらに適宜再録を続けています。
再録を兼ねた探訪記等のご紹介です。再読して適宜修正加筆、再編集も加えています。
少しはお役に立つかも・・・・・。他の記録もご一読いただけるとうれしいです。

補遺
銅鐸  :「東京大学総合研究博物館」
 このサイトでも、銅鐸を打ったときの音を聞けますよ。
6 銅鐸(岡地船渡1号銅鐸)   :「東京大学総合研究博物館」
銅鐸 (国宝) :「東京国立博物館」
袈裟襷文銅鐸  :「文化遺産オンライン」
銅鐸分布考
銅鐸出土地名表   pdfファイル
銅鐸出土地地名表 古代の謎へ <銅鐸>  ホームページ

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

観照 [再録] 滋賀・野洲 銅鐸博物館にて -1 弥生の森 へ
観照 [再録] 滋賀・野洲 銅鐸博物館にて -3 講座聴講と企画展示室 へ







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Last updated  2017.05.29 18:06:11
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