遊心六中記

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茲愉有人

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2019.04.17
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カテゴリ: 探訪
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国道1号線・山科西野の交差点を起点にご紹介します。
国道と交わる西野道を北に上がると、東西の道である「渋谷街道」に出ます。
そのT字路が 「渋谷西野道」 です。 東南角に石標 が立っています。


「右蓮如上人御往生旧地」 と刻されています。寛政9年(1797)2月25日再建の道標です。普通は 「西野道道標」 と呼ばれているそうです。 「西宗寺道道標」 と称する場合もあるようです。

ここから、改めて西野道を南に戻ります。
 京阪バス 「様子見町」バス停の南東側に お寺の本堂屋根が見えます。

西宗寺は西野広見町に所在します。
「山科西野」と「渋谷西野道」のほぼ中間点で西野道から東に入ったところです。 



西野道から東に少し入ると北面する山門が見え、山門の右側に 「蓮如上人御往生之地」 と太い字で刻した石標が立っています。


「西宗寺由来」碑 が見えます。
築地塀に沿い東側に回り込むと、東側にも門があり、こちらにも

「蓮如上人御往生之地」碑が立っています。 



蓮如上人と縁の深い「 西宗寺 (さいしゅうじ) 」です。西宗寺は現在浄土真宗本願寺派に属し、山号は「放鶯山 (ほうおうざん) 」です。
名主海老名五郎左衛門信忠が蓮如上人に帰依し、山科の地を寄進したことはこの探訪記で既にご紹介しています。 海老名五郎左衛門は蓮如上人より浄乗の法名を賜った そうです。上人による山科本願寺諸堂の建立と併行して、 浄乗 は一宇坊舎を建立し、 西宗寺の開基となります 。文明13年(1481)10月18日、蓮如上人より絵像「方便法身尊形」を与えられ、浄乗はこれを本尊として掲げたそうです。 (駒札・西宗寺由来より)

南殿跡地での情報と西宗寺由来・駒札の説明ほかを加えて考えます。
蓮如は75歳で1489年8月に次男の実如に法燈を譲り、南殿を隠居所としました。蓮如上人の年譜(資料2)を見ますと、1496年、82歳のときに、大坂・生玉庄に御坊を建立されています。これが大坂石山御坊。のちの石山本願寺の発祥となります。つまり1496年大坂に拠点を置かれ在住されたのでしょう。その後も山科との往来をされていたのか、あるいは、大坂石山に常住されていたのか・・・・。
大坂で発病したのち、死を予感した蓮如は山科に戻ってきてここを往生地と定めたことになるようです。

なお次の一説を目にしました。
「山科本願寺建立の際に、このお寺のご先祖にあたる海老名遠江守五郎左衛門尉信忠という人が、蓮如上人に深く帰依して、所領の地や屋敷を寄附し、その弟子となって浄乗と名乗りました。そして、文明13年(1481)に蓮如上人は、本願寺の一部である南殿を浄乗に与えて、西宗寺とし、浄乗がその開祖となったものです。蓮如は、のちに摂津石山に石山御坊を設けましたが、明応8年(1499)に山科に戻り、3月25日にこの地で没しています。寺伝では、蓮如は同寺で没したと伝わっており、西宗寺門前の大きな石標は、蓮如往生地を示すものです」 (資料1)
ここに記す南殿はどの時点でどこに建立されていたのでしょうか。

前回ご紹介したこの山科本願寺復元イメージ図と重ねて考えますと、山科本願寺に祀られた本尊阿弥陀如来と宗祖親鸞上人を北西側から拝することができる場所を往生地にされたということになりますね。

東門前には、東への道があります。この道沿いに東に進めば、山科中央公園の南西端であり、山科南団地の北西角でもあり、前回ご紹介した山科本願寺の案内板が設置されている地点に至ります。そして、そのまま山科中央公園と山科南団地の間の道路を東に進めば、蓮如上人御廟所に至ることになります。
位置関係は地図(Mapion)をこちらからご覧ください。


              北面する山門を入り、振り返った景色

          右側に東面する本堂があります。本尊は阿弥陀如来。


              向拝の木鼻と蟇股はごくシンプルです。
 目に止まったのがこれ!
欄干の通常擬宝珠のところが変わった意匠になっています。

本堂の屋根には獅子と牡丹の飾り瓦が置かれています。注目すべきは本堂正面左側です。


 「蓮如上人放鶯の像」です。


この像は、西宗寺に伝わる蓮如上人放鶯の影像画幅を模し制作された銅像です。 (駒札より)
当寺の山号はこの放鶯に由来するのでしょうか・・・・。
「蓮如上人の言葉『鶯 (うぐいす) でさえ、法を聞け(ホーホケキョ)と鳴く』から来ている来ています。」と山号の由来を説明する資料を見つけました。 (資料1)

境内の拝見を続けます。
 手水舎の水盤正面には山号が刻されています。


境内南東隅に鐘楼があります。この探訪の折、お寺の関係者とお話をして知ったのですが、この西宗寺の梵鐘も戦時中に金属供出の対象となったとか。梵鐘には昭和32年(1957)3月再興と陽刻されています。



鐘楼の西側には、獅子口・鬼板・置き瓦などを並べた一画があります。本堂大屋根の葺き替えがされていますので、以前に使用の瓦を中心に遺物として保存されているのでしょう。鬼板には菊花がレリーフされています。



西宗寺は東門から退出し、東隣りの西野山階町を巡ります。

これは前回ご紹介した「山科本願寺推定復元図」です。説明の都合上、追記しました。
青色の丸を付けたところが西宗寺の位置 です。薄茶色の線が推定土塁です。 茶色の追記で コントラストを分かりやすくしたところが 残存土塁の位置 を示しています。
西宗寺の南東側 の薄茶色の線が 御本寺の郭の土塁ライン です。このライン(あるいは 空色の濠のライン )が 大凡、現在の地図での広見町と山階町の境界線と重なるようです 。そして、残存土塁は山階町に点在しています。


駐車場の北側ブロック塀の背後に見える高まりが[A]を付した位置の残存土塁と推測しました。

駐車場の西側の民家の門です。正面の上部に虫籠窓が設けられています。長屋門と呼ばれる形式の門構えと思われます。

正面の左側柱に 「景観重要建造物 京都市」 と記した金属プレートが取り付けてあります(西野山階町・奥田氏宅)。
この大きな民家の背後に残存土塁が続いていると推測します。

この民家の西側を拝見するとこの高まりがあります。これが残存土塁の一部で[B]の位置に相当するようです。

民家前の道路を挟み、フェンスで囲まれた土地があり、その南に見えたのがこの高まりです。
樹木が全面的に伐採されています。残存土塁として[C]を付した位置にあたりそうです。


ここも樹木が伐採されています。こちらもわりと広い駐車場でしたので、フェンス傍から撮れました。
上掲の残存土塁[C]の連なりかと推測しますが、推定図に明示の残存土塁の長さとの対比という点で少し疑問が残っています。[C]の延長線上と判断できるのですが。ここは間違っているかもしれません。



この高まりは[D]を付した箇所の残存土塁跡と思います。上掲の駐車場の南側面になります。

全体からすると、わずかに残されたこれら土塁跡はやはり歴史の痕跡として保存維持してほしい思いがします。

入手できた情報を重ね併せて考えて行くと、歴史的な事実としてスッキリしない謎の部分も見えて来ます。単なる私個人の情報不足なのか、未だに解明されていないせいなのか・・・・興味は一層深まります。やはりまた、ここでも課題が残りました。

山科本願寺旧地を巡る探訪を一旦これで終わります。
ご覧いただき、ありがとうございます。

参照資料
1) 「山科区民魅力探訪-山科本願寺と蓮如コース- 参加者用資料」
    ふれあい”やましな”実行委員会主催
    案内 ふるさとの良さを活かしたまちづくりを進める会
2) ​ 蓮如上人の年譜 ​  :「吉崎御坊 蓮如上人記念館」

補遺
蓮如上人の生涯 ​  :「吉崎御坊 蓮如上人記念館」
石山本願寺 ​  :ウィキペディア
石山本願寺 ​  :「コトバンク」
蓮如 今春に500回遠忌法要 京都山科 終えんの地に銅像 ​ :「京都新聞」
         平成10年(1998)時点
現地説明会資料 ​  :「京都市埋蔵文化財研究所」
 「No.193 山科本願寺跡現地説明会資料 2012.9.8時点」が一覧に掲載されています。
   ほかに、No.189 2011.9.10時点、 No.184 2011.2.18時点
      No.147 2005.12.10時点 No.140 2005.2.20時点
      No.117 2002.1.12時点  No.95  1998.10.3時点
      N0.82  1997.9.6時点  No.77  1997.6.7時点  も掲載ありです。

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!

(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)

探訪 京都・山科 山科本願寺旧地を巡る -1 山科本願寺と蓮如上人御廟所 へ
探訪 京都・山科 山科本願寺旧地を巡る -2 西本願寺山科別院(1) 山門 へ
探訪 京都・山科 山科本願寺旧地を巡る -3 西本願寺山科別院(2) 本堂・中宗堂・燈籠・天水受け へ
探訪 京都・山科 山科本願寺旧地を巡る -4 西本願寺山科別院(3) 太鼓堂・北側の門・鐘楼ほか へ
探訪 京都・山科 山科本願寺旧地を巡る -5 東本願寺山科別院(1) 山門・鐘楼ほか へ
探訪 京都・山科 山科本願寺旧地を巡る -6 東本願寺山科別院(2) 本堂 ・石灯籠 へ
探訪 京都・山科 山科本願寺旧地を巡る -7 東本願寺山科別院(3) 蓮如上人銅像・太鼓楼・庭ほか へ
探訪 京都・山科 山科本願寺旧地を巡る -8 実如上人と証如上人の御廟所 へ
探訪 京都・山科 山科本願寺旧地を巡る -9 史跡山科本願寺南殿跡・光照寺・御塚道石標 へ
探訪 京都・山科 山科本願寺旧地を巡る -10 山科本願寺土塁跡・同土塁跡南西角 へ ​​​​​​​​​





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Last updated  2019.04.17 10:33:23
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