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著者自身が一流大卒の発達障害者。で、似たような人々にインタビュー。なまじ学歴があると却って不利になる。高卒からはいい大学出たのに使えないバカだと思われ、障害のない知的エリートには憐れみと蔑みの目で見られることが多そうに思える。まぁ、人間の本性としてマイノリティを叩くのは陰気な愉しみの一つだろう。本書では、学生のうちは障害のデメリットがそれほど表面化しなかったが、就職で挫折という例が多い。同級生やら同僚やらに取り残される一方で、高学歴という最後のプライドにすがりつかざるを得ない惨めさ。むしろ彼らに必要なのは円滑な人間関係だろう。孤立無援になるよりは遥かにマシである。コロナ以降博愛主義に目覚めた人々に期待したい。著者にはパートナーがいるし、著作も多いので立派な勝ち組である。著者のような境涯にたどり着けるかは運なのか、自己責任なのか。言いたくなかったが、私も本書に登場する人たちと似たようなものなのである。学歴自慢など気色悪いし、今の自分を見れば学歴など何の役にも立っていないことを日々痛感している。頼みもしないのに勝手に種を付けて産みやがった両親を恨む気はないが、我が人生意味なし♪それでも生きてる限りは仕方ないから何か楽しみを探すのみ。
2024.06.02
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前半では多種多様なマウンティングの例文を挙げて冷笑しまくっている。屋久島マウントとかは笑えた。後半ではマウントを取りたい人に取らせてあげた方が人間関係を良好に保てる、マウンティングエクスペリエンス(MX)は重要な企業戦略になるなどと主張し、出来損ないのビジネス書みたいになっている。書名からして人を食っている。マウンティングで人生が整うわけない。よほど心臓の強いものでなければ無理だろう。ネットの言論は基本的に承認欲求の塊だろう。誰もが多少はマウントを取りたい気持ちがあるだろう。しかしながら自分語りすれば嫌われる。匿名を生かして顔の見えない相手がケンカを売ってくる。一方でマウントけしからんなどと怒るのは生真面目に過ぎるだろう。あと自己顕示欲丸出しのマウントは無駄に敵を作るだろう。そこら辺を考慮に入れて人生に必要なマウンティング技術を死ぬ気で習得しよう。痛いところを突いてくる本である。読者の感受性が強ければ強いほど穴があったら入りたい気持ちになるだろう。恐ろしく底意地の悪い著者に感謝。感謝マウント。以上。
2024.05.26
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本書でいう魔術師とはイノベーションに賭ける学者、予言者とは「このままでは大変なことになりますよ」と警鐘を鳴らす学者のこと。前者を代表するのが「緑の革命」で知られるボーローグ、後者の代表は人口抑制を訴えたヴォート。この2人の学者の物語を軸に食糧、気候、環境など人類が生き延びる方法を探っている。もっともこの先どうなるかなど分からないわけである。経済でもバラマキか緊縮かという問題があるし、ワクチンで言えば猛烈に反対する「予言者」たちもいる。私見では予言者には左翼が多そう。分厚い本で読み応え大有りだが、答は教えてもらえない。読者は頭を抱えてこの世は地獄だと再確認することだろう。以上。
2024.05.26
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書名に惹かれて興味を持ったのだが、予約が数十件入っていて断念。今年になってようやく借りることができた。絶対悲観主義というくらいだから「この世は地獄だ」みたいなのを期待していたのだが、全くの的外れ。悲観どころか全能感丸出し。明るいのなんのって。著者のハゲネタさえ、「余裕の自虐マウントじゃねーか」と言いたくなる。ただし著者は偉いのである。我ら生きているだけで社会に害毒を垂れ流す劣等糞底辺は著者に平伏すべきである。読後感に満足できれば本書の良い読者になれると思うが、考えが甘いかな。【おまけ】東洋経済オンラインの記事のタイトルだけ紹介。「大日本印刷にマネックス系ファンドが株主提案、経営学者・楠木建氏の社外取締役選任で経営改善を狙う」私は大日印を200株持っている。ますます著者の御健闘を祈るばかりである。
2024.05.15
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まず驚いたのは著者がソンタグをカッコいいと思っていること。ソンタグはカッコいいから叩かれてきたそうだ。私はソンタグが純粋な左翼じゃないから叩かれたのかなと思っている。カッコいいと思ったことは1度もない。素人の私が勝手に抱くソンタグのイメージは、恐ろしく優秀なユダヤ系の女性コメディアンである。抜群に頭が良く偽悪的。ただそのことがカッコいいとは思わない。面白かったのは内田樹氏が大江健三郎氏に反論したソンタグを「知性はかなり低いと断じてかまわないだろう」と罵倒したこと。本書とは別の話だが、辺見庸氏もソンタグを嫌っていたようだ。糞真面目な左翼の皆様には合わないのだろう。著者はソンタグの脆さ(ヴァルネラビリティ)に注目している。実際気の毒な人だった。癌になった姿をパートナーのアニー・リーボヴィッツに撮影させることを許す。ソンタグの息子はそのことを快く思っていなかった。『全身小説家』を思い出した。ちなみに井上光晴氏は1992年、ソンタグは2004年に亡くなった。私は脆さに全面降伏するしかない。この世は地獄。
2024.05.09
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著者は自閉症持ちの学者。優しい屠畜技術を考案して高く評価された。グレタさんにエールを送った記事を読んだことがある。あと東田直樹氏のファンだそうだ。物事を捉える際、人間は言語思考と視覚思考のどちらかから入るらしい。視覚思考はさらに物体視覚思考と空間視覚思考に分かれるそうだ。書名のビジュアル・シンカーというのは視覚思考者という意味になる。イメージとして言語思考は文系が、視覚思考は理工系が多いと思う。著者によれば視覚思考者には芸術家や発明家が多い。また、イーロン・マスクやジョブズなどの例を挙げ、天才発達障害者を称揚している。私が以前著作を読んだチャールズ・ファニーハフには否定的。思考と言語を密接にし過ぎだそうだ。どっちが正しいかは分からないが、脳科学の研究が進めば答えは出るかもしれない。アボリジニーは時間の概念は乏しいが空間把握能力に優れているという話を思い出した。世の中の捉え方にヴァリエーションがあった方が人類にとっては好ましいのではないか。多様性ですよ。ポリコレ糞食らえ。以上。
2024.04.29
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書名に感動して借りた。肛門のみならず腸、便などについて簡潔に説明。健康管理にも役立ちそう。概ねためになるのだが、異彩を放っているのは第5章「オトナのおしり事件簿」である。肛門にいろいろな物を突っ込みたがる人達の生態を解説している。本書を読み切る時間がない人は、とりあえず第5章だけ読んでおけば満足感を得られるだろう。なかなか心を洗われる美しい本だった。以上。
2024.04.21
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84人の鬱と本についてのエッセイ。見開きなのですぐ読める。自身が鬱病だと明記する人、文中でカミングアウトはしていないが鬱病だろうと思われる人、妙に明るく爽やかで鬱でも何でもなさそうな人、有名人、市井の人達が鬱と本について語っている。この本を作った屋良朝哉氏も筆者の一人。鬱の人によるブックガイドともいえるが、シオランの本を挙げていた人が数名いたのが笑えた。本書を図書館のマイリストにとりあえず入れて置いたら、予約件数がどんどん増える。何かあるぞと思って私も予約した。軽く1か月以上待つことになった。鬱と本というテーマでプロとアマ(とはいってもハイレベル)が同時に語っているのがいい。美しい本なのでしょう。
2024.04.15
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私はネットでケンカしたことがない。批判されたことは何回かあるが、謝ったり、木で鼻を括るような対応で逃げてきた。そもそも私のような無能のド素人にかかわっても時間の無駄だろう。私としても誰からも相手にされない方が落書きに勤しむことができる。本書であるが、著者はインテリである。ただ若い頃はいろいろあったようである。小田嶋隆氏とバトルしたことがあるらしい。私は小田嶋氏の左翼思想は大嫌いだったが、人柄は別に好きでも嫌いでもなくただの善人だったと思っていた。それでも意見が違えばバトルとなる。小田嶋氏は罵倒癖があってそれも面白かった。我ら観客としては、バトルの内容よりどっちが勝つかの方が興味深いわけである。バトルの当事者はギャラリーの目もあるだろうし自意識過剰になる。自分を守るための議論のテクニックが必要となる。インテリ同士のバトルなら、よりハイレベルの攻防となろう。ただ、その議論が私にとって有益かは疑問。「逆張り」は多面的に論じられていて、さすがインテリだと思うが、うっすら著者の情念が伝わってくる。ネットで意見を表明する仕事は大変だ。素人は安易に首を突っ込まない方がいい。全く言論は恐ろしい。私は株の逆張りで損ばかりしているが、順張りではもっと損している。この世は無間地獄。
2024.04.14
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『バフェット解剖 世界一の投資家は長期投資ではなかった』前田昌孝(宝島社新書)株やっててバフェットを知らない人はまずいないと思うが、彼の投資は巷間持たれているイメージとは大違いですよということを解説している。長期投資というのは結果的にそうなったもの。多くは1年以内に売却。分散投資といっても資産配分は適当で、アップル社に集中投資したのが功を奏した。パフォーマンスもS&P500をアンダーパフォームしている時が多いなどなど。バフェットでも効率的市場仮説には逆らえなかったとは。著者の偉いところはきちんと自分で検証したこと。きっと著者みたいな人は大儲けできるんでしょうね。私は怠け者なので無理だが。『ドキュメント異次元緩和 10年間の全記録』西野智彦(岩波新書)株やってて異次元緩和を知らない人はまずいないと思うが、黒田氏が植田氏にバトンタッチするまでの経緯を追っている。親黒田のリフレ派と反黒田の財務省の暗闘劇の内幕が丁寧に描かれていて面白い。黒田氏も財務相の人間だったので限界は多少あったが、株やってる者としてはありがたい存在だった。著者は記者からTBSの監査役になった人で、本書は岩波新書、ということで異次元緩和には批判的。左翼には分かるまい。『消費社会を問いなおす』貞包英之(ちくま新書)今風の消費行動を社会学者の観点から説明。リベラルっぽい話が続くが、格差を乗り越えるためのベーシックインカムに言及しているところが好感が持てる。斎藤幸平氏よりはるかにマシ。『回転寿司からサカナが消える日』小平桃郎(扶桑社新書)著者は水産貿易商社を経営。日本の漁業に警鐘を鳴らす。ニュースでよく聞く買い負けの話。日本は魚が大きくなる前に獲りすぎてしまうなど。マグロのトロは中国で、日本には赤身しか回ってこないという惨めさ。政治家もモリカケ桜とか政治資金とか馬鹿みたいな話より国民の衣食住に気を遣ってほしい。『社会主義前夜 サン₌シモン、オーウェン、フーリエ』中嶋洋平(ちくま新書)マルクスとエンゲルスが「空想的社会主義者」のレッテルを張った人たちの思想を説明している。著者の目の付け所がいいと思う。ここで取り上げられた3人は少なくともマルクスよりは性格が良さそうだ。以上。
2024.03.31
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日本共産党を追い出された鈴木元氏が志位氏に宛てた著作第2弾。私の感想としては「もう結構です、お腹いっぱい」とはいえ私は反共が趣味なので、その後の党内事情を知ることができてよかった。是非とも皆様の共倒れを願っております。日本共産党が有田氏を除籍しておきながら、次の総選挙では野党共闘の統一候補として支持を表明することのアホらしさを著者は指摘している。党首選挙がないのは日本共産党と公明党だけだからやりなさいと主張。ちなみに公明党は形式的な選挙はやっているらしい。個人的には金太郎飴の共産党が党首選をやったところで意味ないと思うのだが。民主主義じゃない政党の選挙っていったい何なのだろうか。昔、朝生で田原氏が公明党の冬柴氏に「公明党は党首を選挙で選んでないから民主主義じゃないね」みたいなことを言ったら、「そうですね」とあっさり認めたのが面白かった。ただし共産党と公明党では公明党の方が遥かに民主主義的に見える。公明党の方が支持者に逆らえないのではないか。党の立場が弱いのである。一方、共産党は民主集中制は民主的だと言い張って呆れられている。おたかさんブームのときは大所帯の社会党でさえ党首選をやる意味がなかった。どうせ土井氏が勝つのだから。体裁を整えるためかどうかは知らないが、上田哲氏が負けると分かっていながら土井氏の対抗馬として委員長選に出たことがあったと思う。今の社民党とかいったら、党首選など時間と金の無駄だろう。話を戻す。著者は先の統一地方選での共産党のボロ負けを糾弾している。正論だと思うが、著者や松竹氏のせいで減った票もあるのではないか。新委員長のたむとも氏の発言がいきなりパワハラだと批判されたり、大変そう。著者はこれからも戦い続けるだろう。それにしてもマルクス主義に魅せられる人たちの心は理解しがたいものである。反共の方が楽しいですよ。
2024.03.10
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共生関係にある生物を紹介したミニ図鑑。著者はオーストラリアの若き自然史イラストレーター。検索してみたが著作も多い。一口に共生といっても様々な形態があって、寄生もその一つだそうだ。願わくは私も是非ともどこかに寄生して楽したいものである。本文よりもイラストを堪能すべき本だとは思うが、絵柄があまり好きになれなかった。ちなみにイラストで知られる日本の動物画家だと木村しゅうじ氏が個人的には好きだった。小原秀雄氏の本でよく見かけた。もっとも著者のイラストが悪いというわけではない。自分には少しエグいかなと思っただけ。以上。
2024.02.26
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著者の本業は英国のイラストレーター。広範に亘る世界のゴーストネタをイラストで紹介する。パックマンがモンスターとかいうのは反則気味かと思うが、日本のネタも一通り揃っていて面白い。在野の研究家が楽しくまとめたミニ辞典といえるだろう。何より絵柄が可愛いので子どもが読んでも怖くなさそうだが、私のような中年親父でも軽く楽しめる。とにかく明るいゴースト本ということで。
2024.02.26
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理工系的な新書をいくつか。『普通という異常 健常発達という病』兼本浩祐(講談社現代新書)予約が多くて数か月待たされた。書名通り、人間は程度の差こそあれ全員狂っている。著者は詩人でもある精神科医で、サブカルから理系文系の学説までごちゃまぜにして論じているので無学な私には分かりにくいが、発達障害の人にささやかな希望を提供しているとは思う。ちなみに私は狂っている自覚があっても精神科には絶対行かないつもり。『がんの消滅』芹澤健介本書の医学監修は小林久隆氏。光免疫療法の開発者で氏自身何年か前に光免疫療法の新書を出していたが、本書は著者の分かりやすいルポになっている。経緯があって楽天の三木谷氏が小林氏を金銭面で支援した。三木谷氏の「おもしろくねえほど簡単だな」という感想が面白い。私は感動して楽天株を買っていたのだが、楽天モバイル地獄で売ってしまった。でもってまたしつこく買い直した。前回より安く買えた♪ただし楽天株の行方は前途多難。『理数探求の考え方』石浦章一(ちくま新書)高校で理数探求という学科ができたらしい。探求なので自分で考えなさいねというわけで、成功すれば日本の国益になると思う。もっとも海外に比べて日本が出遅れていたようで、うまくやれなきゃまずいのだが、著者は厳しい見方もしている。『オスとは何で、メスとは何か?』諸橋憲一郎(NHK出版新書)性スペクトラムという考え方。生物の性はオスもメスも連続している。クマノミなど魚類の性転換は良く知られている。私見だが人間の場合、心の問題がかなりのウェイトを占めてしまうんじゃないかと懸念する。強い感情があるから人間は厄介である。とにかくいろいろな例を挙げて分かりやすく解説してある良書だと思う。『元素で読み解く生命史』山岸明彦(インターナショナル新書)いろいろな元素と人類との関わりを説明。分かりやすくためになって面白い。当たり前の話だが、未来永劫人類は元素と関わって生き延びようとする。『あのSFはどこまで実現できるのか』米持幸寿(インターナショナル新書)「バビル2世」「ナイトライダー」「わたしは真悟」といった漫画、アニメ、映画のSF的設定を現代の技術で実現できるかを解説、考察している。ディスカバリーチャンネルで「怪しい伝説」という番組があったが、本書が映像化できれば面白いのだがと思った。今回はここまで。
2024.02.18
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ゲバラの「モーターサイクル・ダイアリーズ」のルートを辿りながら出会い系アプリで花嫁を探すというふざけた旅行記。母国アルゼンチンでは、ゲバラは自国を放置で評判悪いそうだ。何か笑える。スマホでの南米女性とのやり取りはあまりに虚しく下らないが、著者の大らかなユーモアで読後感は悪くない。ネタバレになるので詳細は控えるが、本書の最後はクリフハンガーになっている。続編が出るなら期待したい。タイミングがいいのかどうか知らないが、ちょうど今、スペインの歌手モニカ・ナランホの「Sola」がYouTubeから流れてきた。英語でソロ、日本語でひとり。私は「Ora Orade Shitori egumo」確定だが、コロナになってひとりECMOとかいったら本当の地獄。本書は独身男性が真っ先に読むべきだろう。人生の泣き笑いを味わうことができる。以上。
2024.02.12
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自分の備忘録として最近読んだ新書を羅列してみる。ネットニュースの寄せ集めみたいだったり、まとめサイトに毛が生えたレベルのものから、専門的なネタを扱っていてためになるものまでいろいろ。『海のアルメニア商人』重松伸司(集英社新書) けっこう専門的。内陸国アルメニアの商人が海に出て行った歴史。日本の神戸も登場。生き抜くための商魂。『商社マン、エルサルバドル大使になる』樋口和喜(集英社インターナショナル新書) 住友商事出身の著者が大使になる。著者のポジティブさが心地よい。2017年から2020年まで務めたが、現在ニュースになっている大統領の独裁やギャング、中国から借款、台湾断交といった問題についても少し触れていた。『政治と宗教』島薗進(編 岩波新書)安倍氏の事件に際しての緊急出版だそうだが、日本、フランス、アメリカの政治と宗教について説明。編者の島薗氏は左翼的な言論が多いと思うが、バランスをとるためか、創価大教授が著者の一人になっている。感想としてはそんなに面白くない。『左翼の害悪』森口朗(扶桑社新書)著者は公立の小学校に勤めていた。同僚との思想的対立はなかったのだろうか。著者が陰謀論を全否定しないのはちょっと気になる。右にしろ左にしろ教育を気にし過ぎではないだろうか。『フィンランドの覚悟』村上政俊(扶桑社新書)著者は外交官出身。内容はほとんど安全保障について。世界幸福度ランキング6年連続世界一とかいってぬるま湯につかっている国かと思ったらとんでもない。常に自国の安全に気を配っていた。だからこそプーチンのウクライナに対してすぐにNATO加盟という手を打てた。『北極海』石原敬浩(PHP新書)温暖化で氷が解けることで北極海の使い勝手が良くなるらしい。でロシアや中国が覇権を狙っているようだ。中国はアイスランドやグリーンランドに接近しているそうで、こうなると欧米や日本も警戒を強めていくしかない。『ホモ・エコノミクス』重田園江(ちくま新書)著者はフーコーの専門家。ホモ・エコノミクスは「利己的人間」のこと。利益追求の資本主義を批判したいだけの本だった。フーコーも今の基準ならただの犯罪者なのだから、著者はそっちを批判すればいい。今回はここまで。
2024.02.10
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持株で225採用は前回までの25銘柄に加えて、東ソー、東海カーボン、楽天、ヤフー、東急、KDDI。ヤケクソで銘柄を増やしている。メーカーが多すぎたと思って、あわてて楽天、ヤフー、東急、KDDIを入れた。メーカーはシクリカルが多いから怖いのである。円高と利上げリスクがある。大型も目下は買われ過ぎだと思うが、強いものは強いのだから仕方ない。で決算が始まっている。日々忙しくなる。悲喜こもごもは毎度のことで、好決算は利食っておしまい、糞決算は腐れ玉を残して長い間苦しむことになる。こんな生活は耐えきれないと思う日も多いが、お笑い番組でも見ているうちにもうどうでもいいと思えるようになる。それが良くないのだが、子供部屋おじさんとしては安易で甘えた諦観を捨てることはできない。思考停止は楽なのである。グロースは強いが、買う気がしない。半値以下がザラの持株のナンピンくらいはやるが。先日は700円で持っていたモンラボを糞ナンピンで売り払うことができたが、えらく空しかった。ブルースの発音はブルーズだそうだがどうでもいい。エレジー。哀歌。何だっていいか。
2024.01.28
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著者は日経の記者。南米7か国の政治経済を分かりやすく説明。キーワードはポピュリズム。私はネットニュースで中南米関連の記事はよく読むので、復習のような感じだった。著者の実際のルポは少ないのだが、興味深く読めた。アジアの経済成長と比べてなぜ南米は駄目なのかという疑問を常に抱いているのだが、個人的には左翼や共産主義の抑え込みに失敗しているからだと思う。貧乏な国の分際で格差がどうのとか人間の尊厳がどうのとか言っても始まらない。今となってはベネズエラの庶民はこんなはずじゃなかったと思っているだろう。本書が出てからの話だが、アルゼンチンではリバタリアン党政権が誕生してしまった。著者は最後に、日本もポピュリズムの波が押し寄せたら大変ですぜと警告してくれている。私は油断しているが、とにかく左翼や日本共産党を叩き続けて不慮の事態に備えておくのがいいと思っている。無職よ強くなれ。以上。
2024.01.28
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著者は杉並区長。2022年の区長選で自公支援の現職を187票差で破った。ちなみに著者が区長に当選する前の総選挙では石原伸晃氏が議席を失っている。著者は地域主権主義を謳っているが、左翼である。コモンがどうのこうの言っている。新自由主義とは戦わなければいけないと錯覚している。中央線リベラルという言葉があるかは知らないが、大雑把に言って都民は金持ちである。金持ちになる人は有能で頭もいい。高学歴も多いだろう。著者は大学卒業後ベルギーで暮らし、日本に向けて地域主権主義を宣伝するレポートを発信した。本書の大部分はその再録で、杉並という地域性に根差した話は少ない。意識高い系は自信を持つと手前が偉くなったのではないかと勘違いして、安直な政府批判を行う。たしかに彼らは頭がいいだろう。問題は頭が良くても根性までいいとは限らないことである。負け犬の自覚のある哀れな住民は彼らの甘言に騙されないことである。狛江市はかなり小さな自治体ではあるが、共産党の矢野市長は長続きした。世田谷の保坂区長は公約破って退職金もらったり公用車の使用に関して疑問を持たれたりしたが選挙は勝った。東京では問題が起こってもあまり生活基盤は揺るがないのだろう。著者は欧米などの主要都市で地域主権主義が進んでいることを強調する。とはいえコービンがボロ負けしたことについてもふれている。サンダースにも著者の考えは近そう。武蔵野市長選では糞リベラルもたいがいにしなさいね、との結果が出た。江東区長選、立川市長選などの結果も興味深い。著者は再選を目指すのだろうか。日本の景気が良かったりすると区民が油断して再選しそうな気がする。とはいえ、左派と右派のイデオロギーがぶつかり合う選挙になろう。区民は油断しない方がいいと思う。極端なことを言えば、貧乏な上、監視の厳しいキューバと新自由主義でそこそこ長い間成長を続けて豊かになったチリとどっちがマシかということである。なおカストロもピノチェトも極悪人だったことは言うまでもない。私はのんべんだらりが好き。貧困にさえならなければ政治なんてどうでもいい。反動最高。
2024.01.21
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「ポスト太陽的思考」とか言っている。太陽も50億年で滅びるから人類もその時までに消え失せる。それだけの話をピンカー、コジェーヴ、グレーバー、フクヤマといった学者たちの言論と絡めて論じている。最後は村上春樹論。人類の絶滅以前に、手前が死んじまえばそんなこと考えても意味がない。心配するとしたらせいぜい自分の知っている家族くらい。もちろん人類が直面しているジェンダーとか暴力性とかについても著者の論考はあるが、若干空疎に思える。著者の思想はリベラルなんでしょう。最後は人間が中性化するのがいいそうだ。如来や菩薩は中性というか性別を明らかにしないが、全人類も悟りを開けということか。著者もこの世は地獄だと言ってくれればいいのに、何か夢を持たせようとしているのは個人的には何言ってやんでぇと思う。ただし著者は立派な先生だと思うので、これ以上は自粛する。以上。
2023.12.17
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ポール・ヴァーゼンというヨーロッパ人女性の手による草花の標本というか押し花の写真が本書の半分以上を占めている。そこに堀江敏幸氏の「記憶の葉緑素」という文章が添えられている。最初はエッセイかと思えたが、店主との会話など若干芝居がかっていて、たぶんフィクションだろう。で、最後に日本の古物商が南仏の蚤の市で件の標本を見つけて日本に紹介したことが分かる。そうした経緯で本書は出来上がったようで、これは意識高い系の読者を吸い寄せそう。おしゃれで高尚で抒情たっぷり。私はもっと下品な話を好むのだが。
2023.12.17
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著者は有名なノンフィクション作家だが、スポーツ、とりわけサッカーを題材にしたものが多い。私はサッカーには全く無関心で、どんなにワールドカップが盛り上がろうとまともにテレビ観戦したことなどただの一度もない。本書はNATOによるコソボ空爆以降のえげつない話が紹介されている。著者は左翼寄りの発言をしているように思う。左翼が妙にガザに肩入れしているのと同じ感覚か。ともあれ本書には多くの世界的に有名な旧ユーゴスラビアサッカー選手、監督が登場するのだが、私には何の感慨もない。私がコソボと聞いて思い浮かぶのはリタ・オラとデュア・リパくらい。どちらもルーツがコソボにあるイギリス人だが、デュア・リパは昨年アルバニア国籍を取得した。リタ・オラは両親ともアルバニア系コソボ人。コソボ紛争ではセルビアのミロシェビッチ政権にアルバニア人が弾圧された。空爆後、日本を含むそこそこの数の国がコソボ独立を承認した。問題はその後で、アルバニア人のコソボ解放軍系が3000人近いセルビア人を誘拐、殺害して臓器を密売したらしい。アルバニアには血の掟があると聞いたことがあるが、それはともかく、旧ユーゴスラビアで一つの民族に肩入れするのは難しいのだろう。左翼の反戦運動が馬鹿みたいに見える所以である。戦争は人間のお仕事なのである。だから品性下劣だったとしても外交というのは人道など考えないで、損得だけでやる方がかえって平和的な解決に結びつくのだろう。世界は地獄。
2023.12.09
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読み進めているうちに、どこかで聞いたことがある話だと思ったら、ナショナルジオグラフィックチャンネルのドキュメンタリーになっていた。邦題は「執念の追跡 消えた我が子を捜して」で、以前全6話を見たことがある。著者は学者で冒険家。息子もその影響で冒険家になる。著者の生い立ちから始まって全員優秀な家族の話。息子の失踪に気付いてからの著者の死に物狂いの捜索活動が描かれる。でドキュメンタリーの話が持ち上がる。はたしてドキュメンタリーなのか大袈裟にショー化しようとするリアリティーショーなのかと著者は疑念を抱くが、敢えて乗っかる。出来上がった番組は事件の実態とはまるで違うとんでもないものだったそうだ。犯人あるいはすべてを知っていると思しき人物が特定されていたが、実際どうだったかは本書で。Netflixで「殺人者への道」という未解決の犯罪事件に制作側が肩入れするドキュメンタリーが人気を集めた。そのパターンの番組だと思うが、視聴者を満足させるにはいろいろ刺激的なネタが欲しいのだろう。社会派に見えるが根底はエンターテインメントなのである。本書に戻って、父の息子への愛情に感動してほしい。うちの父にも著者の爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。もっとも他人の爪の垢など気色悪くて飲めっこないが。以上。
2023.12.06
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著者はジャーナリスト。Netflixのドキュメンタリーにも出演。アヘンの章が最も長い。自宅で興味本位でケシを栽培したはいいが、法的、または様々な解釈によって有罪になりうることを知り、不安な日々を送る。カフェインの章は著者のカフェイン断ちの話。私もここ数十年1日最低2杯のコーヒーは欠かさないので興味深かった。著者はカフェイン断ちに成功するが、意識的に?コーヒーを飲むことを再開する。結局カフェインの魅力には抗えなかった。メスカリンの章。メスカリンはペヨーテというサボテンからつくられる幻覚剤。もともとスピリチュアルな儀式に使われるものだから単に快楽を求めて使っちゃいけない。なぜか日本人の仕切る(たぶん正当なものか分からない)儀式に著者は参加する。本書の大部分は著者の面白レポートなのだが、これらの物質と人間の社会的な関りに主眼が置かれているので、そこそこ考えさせられる。日本も大麻グミとかで盛り上がっているが、どうなることか。
2023.12.06
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カカクコムを自信がないのに前場でナンピン。建値の関係で良くも悪くも玉を増やしておきたかった。前引け後、そこそこの決算が出たが、幸いなことに自社株買い発表。こちらのインパクトの方が大きかっただろう。後場はカイ気配から寄って全玉利食い。もっとも儲けは3万円程度である。前日まで急騰相場だったので何とかなるかもと淡い期待を抱いたのが結果オーライとなった。半導体を見ても強いとは思えない。個別にいくつか上げるものはあるだろうが、しょせん私では銘柄選択を誤る可能性が高い。ドラッグストアでもクリエイトSDなど新安値でウェルシアも冴えない。PBRや配当利回りが影響しているのかね。これから決算を迎える持株がまだ100銘柄以上残っているが、全体相場次第だろう。基本的には目についたものを片っ端から対処することになる。ちなみに本日の悪運ベスト1は敢えて決算ギャンブルに挑んだシミック。1枚だけ新規買い。自信があれば10枚位は行けただろう。TOB価格の2650円近辺で売れたとして9万円強の儲け。でも他の持株の糞決算でそれ以上の持ち出しになってしまいそうな悪寒。暑い秋のお寒い話。
2023.11.07
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著者は学者で白人女性。白人が白人を断罪する本。もっとも著者は断罪ではないと言っている。構造的に差別のシステムが出来上がってしまっているので何やってもダメということ。著者は以前に『ホワイト・フラジリティ』を書いてかなり批判された。怖くてSNSはやっていないそうだ。著者によればリベラルで学歴もあって意識高い系の白人は自分は差別に理解があると勘違いしているらしい。黒人から見れば何も分かっちゃいないのよというわけである。こんなこと言われれば、彼らのプライドは傷つく。でも事実なんだから受け入れろと。というわけで意識高い系の白人が気の毒に思える本。著者の考えはあまりに正論過ぎる。ただ、正論を通すために頑張りすぎると深刻な対立を招きそう。レイシズムの反対語は「反レイシズム」カウンターだ反撃だ。だから頑張るのだろうがやり過ぎは引いてしまうだろう。個人的には全体主義的な手法を使われたら気色悪い。例えば統一教会の解散請求であるが、あれを異常だと思わないのだろうか。泉氏は「時間がかかりすぎた」などと言っていた。リベラルがそんな弾圧趣味でいいのだろうか。だったら、酒もタバコも一切のギャンブルも何もかも禁止すべきである。宗教に大金をつぎ込むのは愚かだとは思うが、自由を認める社会というのは自分の金をどう使おうが大きなお世話である。個別の裁判とかならともかく、国が介入する危険を考えた方がいいのではないか。話を戻して、著者の言ってることは多分正論なのだろう。ただし社会を変えるには個人が尊重される民主主義の国では相当な労力が要るだろう。トランプは民主的に大統領になった。私は性根が腐っているので、正義とか利他とかいうありがたい言葉には違和感があるのだが、長い物にはとことん巻かれてやろうと思っている。後生ですから巻き殺さないでください。
2023.11.07
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原著は1992年。本書のタイトルはコンラッドの『闇の奥』の登場人物のセリフから。著者自身のサハラ砂漠旅行に、コンラッドのアフリカ旅行を重ね合わせたエッセイ的な作品。ただし語られているのは、帝国主義と植民地主義でヨーロッパ人がアフリカ人をどれだけ虐げ殺戮してきたかということ。途轍もなく重苦しい心の旅。タスマニア人の最後の男性が死んだとき埋葬前に頭がい骨が盗まれたり、墓も荒らされたりと人を人とも思っていない話も。キュヴィエ、ウォレス、ラッセルといった学者も差別容認つーか、それが悪い事とも思っていなかった。そりゃホロコーストが起こるのも当然だと著者は思う。全部劣等民族にして滅ぼしてしまえと。戦争となれば敵国を野蛮だと思うのは当たり前だが、この世は地獄と嘆くのみ。
2023.11.05
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対談本ではない。どのパートをどちらが執筆しているのかも不明だが、政治経済は当然金子氏の顔が思い浮かぶわけである。金子氏と児玉氏は中高と筑駒の同級生だったそうだ。金子氏といえば反ネオリベ。バブルとその崩壊の繰り返しで格差が拡大してどーたらこーたら。ネオリベには「改革利権」があって、日本版オリガルヒが台頭していて許し難いらしい。んでもって北欧のイノベーティブ福祉国家を目指し、女性のリーダーシップに期待している。ネオリベを排した「不安定でないデジタル化」などとぬかしている。メルケル以降、サンナ・マリン、ジャシンダ・アーダーン、マグダレナ・アンデションら女性政治家が世界を良くしたと言いたげだが、プーチンのおかげで全部滅茶苦茶になった。(たぶん)金子氏の野望は潰えた。上に挙がった4人全員辞めてしまった。マリンとアンデションはEU入りを申請したが、選挙で所属政党が敗北した。女性だからということではないが、左派じゃダメだということになったのではないか。個人的には日本もそろそろ女性首相がいいと思う。私は何年も前に小渕優子氏は首相になると予想したことがある。自民党の各候補者の選挙ポスターは皆ドリルを持ってにっこり微笑む。どうだ、こんな平和な国があるか。ざまあみろ。
2023.11.04
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著者は報道カメラマン。コロナで取材に行けなかったので本書を執筆したようだ。主に紛争地域の取材記。被爆者との語らいも。要するに暗い。明るくなりようもないが、人間は死ねない以上は微かな希望を抱いて生き延びなくてはならない。伝えることは大切だろう。もっとも私などすっかり感情が鈍麻してしまって反戦ほど無意味なものはないと考える悪党である。とはいえ著者の文章を否定することはできない。それでも根性の悪い私が左翼的な政党に投票することはありえないが。実は私が中学生くらいの頃、大石氏を拝見したことがある。『アサヒカメラ』が企画した上野動物園でのイベントでたくさんのカメラマンが集まった。大石氏はゴリラのところにいて、ライカをぶら下げていた。一言声をかけていただいたので、こちらも軽く返事してその場を離れたが、今にしてみたら何とももったいない話だった。ちなみに、私が一番話せたのは岩合光昭氏で、ペリカン舎にいた。いろいろ話しかけて教えてくれるいいお兄さんだった。たしかバイソン舎には岩合徳光氏もいた。光昭氏のお父さんである。日本の動物写真界では草分けの大御所だろう。その後、光昭氏がブレイクして現在に至っているのは言うまでもない。まぁ、生きる気力がある限りは心のレンズは常に磨いておきたいものである。
2023.11.03
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著者はインド系の科学ジャーナリスト。親は医者で移民として渡米。生物の移動と人間の移動を説明。一つ言えるのは、著者の考え方は今風のリベラル。リンネはスケベ親父だそうだ。ミシガンのロイヤル島のオオカミが近親交配の繰り返しで絶滅危機に陥ったが、寒波でスペリオル湖が凍結しカナダと一時的に地続きになった。で1頭のオスが島へ渡ってきたおかげで島全体の生態系が回復した。移動はいいことなんだと伝えたいのだろう。移動は歴史的必然。それなのにトランプみたいな奴が移民に反対するのはけしからん。アフリカ人には黒い液体からなるマルフィージという皮膚の層があったというデマ。人種に関する差別は学者から右派へ引き継がれた。本書の出版は2020年。コロナの最中。移動でパンデミックの問題もあるが、著者の反論を読者はどう思うだろうか。科学的知見に基づいてはいるが、かなり人文科学的な本だと思った。
2023.11.03
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山上被告のツイートをもとに何か考えている。ぶっちゃけ五野井氏も池田氏も左翼である。私見だが危なっかしい言動も多い。五野井氏は山上被告とほぼ同年代のロスジェネ。もう一つの共通点は宗教2世であること。親がカトリックで、氏によればカトリックもカルトみたいなものだそうだ。左翼なので、話を社会の方に持っていくが、同意しかねる。山上被告の場合、かなり特殊である。五野井氏は「自分は運がよかっただけ」と言うが、あなたの本性はテロ志願者なのですかと。山上被告がテロを決行する直前は経済的にも限界だったようである。真の無敵の人になったのか。安倍氏を狙ったということは虚栄心もあったのではないかと。何しろ大きな獲物である。とりあえず名前は歴史に残るだろう。ツイートでは当初は親安倍だったが終り頃は反安倍・菅になっていった。これは左翼が喜ぶ話だが、自分の不運を暴力で復讐されたらたまったものではない。許されないことではあるが云々というのは許したがっているのだろう。左翼の何とかの一つ覚えは「新自由主義が悪い」というやつ。私は自由を認めない左翼の方がもっと悪いと思っている。社会にできることは限界があるのだから自己責任を悟った方がその人のためになると思うのだが。
2023.10.21
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執筆は有田芳生、池田香代子、内田樹、木戸衛一、佐々木寛、 津田大介、中北浩爾、中沢けい、浜矩子、古谷経衡の各氏。あけび書房代表の岡林氏が頼んで書いてもらったとのこと。続編も出ているが未読。検索してみたのだが、岡林氏もたぶん共産党員。ですので日本共産党寄りの内容になっている。有田氏は自分が追い出されたのに未だに郷愁を持っているようで気の毒だが諦めが悪いと思う。古谷氏は自分では真正保守と言っているが、私は氏のことをただ単にネトウヨが憎くてたまらない人だと思っている。えらく日本共産党を持ち上げていた印象。老化は共産党に限ったことではないと言っているが、私は共産党老人の醸し出す雰囲気は痛々しくて見てられない。中北氏はまとも。浜矩子氏はアホノミクスで知られる悪口先生。共産党とは違って消費減税・インボイス存続には反対だそうだ。佐々木氏は民主集中制はそんなに悪くないみたいなことを。神様のような独裁者がいらっしゃればよろしいのですがね。個人的ワーストは木戸衛一氏。反共主義の「愚かさ」を乗り越えるのだそうだ。ネタ元はトーマス・マンの言葉。権威主義的で謙虚さのかけらもない。解散はいつだろう。寒い中、投票に行くのもかったるいが、日本共産党の一層の衰退をお祈りして悪口を終わる。以上。
2023.10.21
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今更ながら借りた。最近出た著者の新刊は不破氏宛てのものだが、私の地元の図書館にはまだ入っていない。私はアンチ共産党だが、アンチとファンは裏返しみたいなもの。で、内容もある程度予測通りだった。私は日本共産党は左翼じゃなくてゴリゴリの保守、極右だと思っている。著者の考えはまるでリベラルで、極右の日本共産党とは相容れない。私が党員だったら、こんな寝言言ってる馬鹿は追い出せと主張する。もちろん私は著者の方が正しいと思っている。だから除名されたら喜ぶべきである。おかしな教えから解放されたのだ。立民に入れてもらうか、自ら「シン日本共産党」を立ち上げたらいいと思う。そうなってくれれば左翼がきちんと整理されてうれしい。極右のくせに左翼にけっこうな影響力を持っている日本共産党は合法的に衰弱させるのが庶民のためだと思っている。ソ連にも中国にも騙され、挙句の果てに武装闘争に走るなどという最低の政党が今も残っているのは日本に勝ったアメリカのおかげだろう。日本共産党はアメリカ様に土下座するべき。著者は党にまだ愛着が残っているようで、自説は綱領に矛盾しないとかマルクスも自衛の戦争は支持とか詭弁めいたことを言っている。綱領なんて党員以外はどうでもいい話。著者もおかしいと思ったら党を見切るのが正しいと思うが、山上被告のお母さん同様、棄教は難しいのだろう。著者の御健闘をお祈りしたいのはやまやまなのだが、私は反共なので左翼と日本共産党の凋落だけ願っておく。左翼が消えればこの世は天国とまでは思いませんがね。
2023.09.14
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昨日11日はチリ・クーデター50周年だそうで、ということはアジェンデの命日。本書の出版は2011年。青土社から邦訳が出たのは今年。訳者の大黒岳彦氏は哲学者。アジェンデ政権でサイバーシン計画というプロジェクトが始まる。サイバネティクスを用いて国家産業を管理する取り組みである。フェルナンド・フローレスという若きエンジニアがイギリスの専門家スタフォード・ビアを招く。本書の主役である。ビアはチリのスタッフに『カモメのジョナサン』を読ませる。フローレスはガルシア⁼マルケスの『百年の孤独』を薦める。ビアの人となりが面白い。また、フローレスは野心家であったらしい。クーデターで投獄されるが、解放後は渡米し哲学博士になり、チリに帰国後は国会議員になった。機械などは当然アメリカなど先進国の企業に頼るわけだが、この手の思想は早く取り入れることが肝心だろう。実際、ナセル、チトー、ネルーといった元首たちによるテクノロジー重視の政策が功を奏したらしい。訳者の大黒氏の解説も詳しい。ただ昔の話なのでサイバーシン計画自体が過去の遺物に思える。ストライキの時物流対策に役立ったくらい。今年になって邦訳が出たのも不思議な気がするが、今のチリは左翼政権だから別にいいか。テクノロジーよテクノロジー。
2023.09.13
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本書はルポルタージュである。ただし、文化人類学者である著者は「計測値のように客観性の高いデータと、語りのように主観性を帯びたデータの折り合いをどうつければよいのか」を問題視している。著者の娘が通う小学校の夏休みのプール学習で1年生の女の子が溺死する。著者や遺族の友人らは「同行者」として協力する。両親は京都市と京都府を民事で訴えて勝つのだが、何より知りたいのは事故がどのように起こったかだった。となると話し合いで済まそうとする民事では無理である。で第三者委員会に希望を託す。再現検証が行われるが問題が多かった。しかるに第三者委員会は報告書出して解散する。調査資料は一部破棄される。納得いかない親と同行者は市教委と交渉して自主検証を行う。自主検証では母親、事故の当事者の教員も参加した。でどうなったのかは敢えて略す。学校やら教委やらは事故の反省と教訓を生かして無難な日常に戻ろうとする。しかし、親からすれば事故の時点で時は止まってしまっている。この差は埋まらないだろう。他人に起こった悲劇をどこまで一緒に苦しんで差し上げることができるのか。親にしても同情されたところで、結局は自分の人生を生きなくてはならない。母親は亡くなった娘さんの夢を見る。目が覚めれば当然泣く。私も死んだ祖父やらが夢に出ることはある。夢の途中で「いや、俺のおじいちゃん死んでるわ」と気づいて目覚めることもある。家族とはそういうものなんでしょう。
2023.09.11
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著者は毎日新聞の編集委員なので、左翼か日本共産党に考えが近いと思われるが分からない。イスラエル留学も経験したそうだ。論調は若干左翼寄りかな。とにかく多方面に考察を繰り広げている。私は通常「左翼」と「日本共産党」を分けている。日本共産党は左翼どころか全体主義の極右だと思うから。自由と民主主義を愛する人が日本共産党を支持するのはあり得ないというのが私のナラティブ。副題にあるように語りは人を惑わす。世論操作。ただし著者はナラティブを全否定しているわけではない。例えば選挙前の与野党の討論会などはナラティブ合戦の場でもある。共感の反対は無関心。なんとかナラティブで没入させなくては。安倍政権から今に至るまで左派の野党と共産党は失敗を続けてきたように見える。向社会性が低いほど閉鎖・排他的になりやすいそうだ。私の事か。承知致しました。不安な人ほど権威に従いやすくなり、フロムの「自動人形」と化すそうだ。「自由からの逃走」の成れの果て。不安が極端な結論を導き出して陰謀論に嵌るとも著者は指摘している。エピソードが豊富なほど記憶が定着するそうだ。効率が悪そうに思えるが付加的な情報があった方がしっかり記憶できるらしい。あいまい耐性の話も。答えを出せなくてもやり過ごす。ネガティブ・ケイパビリティという言葉が流行ったが。酒井邦喜氏の「考えることをやめたら成長の機会も手放す」という言葉も紹介されている。私は無様に死ぬだけなのでどうでもいいが、人生に多少でも希望を持つ多くの人々は悪いナラティブに騙されないように、でもって手前の揺るぎないナラティブを嘘まみれでもいいから構築してちょうだい。私は自動人形で頑張る。下手の考え休むに似たり。この世は地獄。
2023.08.27
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花粉学者の著者が事件を解決に導く。決して明るい本ではない。力強いが暗い。著者の人生も若干の波乱があって、事件の暗さと相まって重苦しい印象。著者は「ロカールの交換原理」を大切にしているようで、本書でも何度も触れている。ボディファームへも訪れている。他の学問より花粉学の方が事件解決に有効な場合があるとも言っている。法医解剖学の世界的権威であるスー・ブラックの助言を受けて鼻甲介の物質を取り出す方法を知る。私はスー・ブラックの本を2冊読んだことがあるのだが、内容はほとんど忘れた。花粉が付着するのは、ネバネバだけではなく静電気も影響しているらしい。著者の生き様が個人的には一番興味深かった。不仲だった母とその死、幼い娘の死、離婚とその後など学者ならではの独自の強さで乗り切っているようだ。実に重い。私のような吹けば飛ぶよなぺらぺら親父には決して真似できない。真似なんかできるわけがない。学者は偉い。そういう話。
2023.08.21
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著者は人類学者。その随筆集。「たまふり」を検索してみたが「活力を失った魂を再生すること」だそうだ。一物を振り回して喜んでいる下品なおっさんの話ではない。魂を震わせて再活性化を図るといった元気なエッセイではない。むしろ心が沈む。多様な言説が紹介されるが著者の主張は控え目で、私のような頭も根性も悪い読者からすると思わせぶりな気がする。もっとも著者の企みは読者の心に波紋を起こすことだろう。語り倒して読者に試練を与える。脱線するが政治の話。与党は出来ることしかやろうとしない。対して野党は情に訴える。ナラティブ。理想を語る。情勢が不利と見れば話を大袈裟にする。「語る」が「騙る」に成り代わる。自民党の作る歴史とそれを許さない左翼や日本共産党。与党にしろ野党にしろ語る力をつけなくては。そのためには人間をもっと知らなくてはということで人類学の出番かどうかは分からない。ともあれ私のような人でなしには敷居が高すぎる立派な本だと思う。金井美恵子氏の『風流夢譚』論についての著者の分析は面白かった。他にも興味深いネタはいくつもあったが、日付も変わってしまったのでこの辺で。
2023.08.15
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有名な3人が対談。1968年の学生運動の状況が主だが、吉本隆明、小熊英二、斎藤幸平各氏らの批判やコロナ話も。新左翼は反日本共産党。なので、日本共産党の反米には対立したそうだ。第二次世界大戦中、フランスではナチ協力者のことをコラボと呼んだそうだ。ふーん。笠井氏は1979年12月号の『第三文明』で「マルクスを葬送する」と題した対談に出席。津村喬氏を除く笠井氏を含む4名が「マルクス主義こそが革命をその反対物へと転化させてしまう元凶」ということで一致したそうだ。斎藤幸平氏の本ではマルクスは連呼するが革命という言葉はほとんど出てこない。昔から『資本論』のエコロジー的解釈はあった。斎藤氏のやり方は新左翼からすれば生ぬるいということだろう。今の差別は女性やクィア中心だそうだ。ちなみにウーマンリブはヒッピーだったが、80年代になるとアッパー主導のリーン・イン・フェミニズムになったそうだ。今はどうなのだろうか。私のようなおっさんが惨めを強いられるフェミニズムは本当に恐ろしいが。笠井氏によると、ユーロコミュニズムは武装闘争の実績によって勝利して議会主義を勝ち取ったらしい。で日本は武装闘争に敗北した結果としての議会主義になり果てたらしい。もっとも笠井氏・すが氏とも多分社会的にも経済的にも成功者だろう。そのうえ言いたいことまで言えて実に羨ましい。成功者に学んで1000円でもいいからお金を稼ごう。もちろんこの世は地獄。以上。
2023.08.11
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非科学的な思想や言説をいろいろ解説。神智学とかエクトプラズムといった昔の話から始まってニューエイジ、ポストモダン、疑似科学、現代の陰謀論みたいなものまで。著者の言ってることはその通りなのだろうが、信じるものを持てないのも不幸。鰯の頭も信心から。多くの人からすれば到底信じられないようなものでも易々とハードルを越えて向こうへ達してしまう人たちがいる。ある意味うらやましい話。著者は進化論をダシにした競争社会には否定的なようだ。そうですか。個人的にはアベガーや日本共産党も亜宗教としてトンデモぶりを紹介してほしかったのだが。日本のミニ政党の中にも陰謀論めいたのがいくつか思い浮かぶ。もっとも思想の自由は最低限守られないといけないだろう。陰謀論を馬鹿にして自分の承認欲求を満足させるというのも意地が悪く暗い。意見はあっても戦わないのが一番。他人のことなどどうでもいい。
2023.08.06
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植物に知性や意識があると言い張っている。植物を傷つけると麻酔化学物質がつくられる(から知性的だ)とか、植物の根こそが頭、緑部は尻とかワールドワイドウェブならぬウッドワイドウェブとか訳の分からないことを言っている。植物が知的生命体であってほしくてたまらない著者の願望丸出し。現時点では却下。中学くらいの時に、ノン・ブック『サボテンが喋った』を読んだのを思い出した。調べたら1974年の刊行だった。植物が知的生命体だと主張する学者は一定数存在するのだろうが、研究の成果が得られているとは思えない。著者の考えは当然マイノリティ、つーか異端視されているようだ。異端を意味する「マーヴェリック」の語源が紹介されている。根性が続くことをお祈り申し上げる。異端者の喜びを味わえればよろしいのでは。
2023.07.30
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おてんば娘が傷つけられたみたいな書名だが、「跳ねっ返り」じゃなくて「跳ね返り」だった。原語では「跳弾」あるいは「石切り」ということで、近親者の受けたトラウマが自分にも伝染する話である。著者はジャーナリスト。夫はシャルリー・エブド(本書での表記はシャルリ・エブド)の漫画家で、会議に遅れて行ったのが幸いしてすんでの所で身体的被害を免れる。しかし凄惨な現場に居合わせてしまってPTSDに。おかしくなった夫に寄り添って著者もおかしくなる。で「跳ね返り」被害者に認定され、補償も受けることになる。著者はそうすることの意義を称賛する。おフランスは優しい国だねぇ。それはともかく表現の自由を突き詰めると悲劇というか笑えない喜劇が起こる。「私はシャルリー」か、それとも「私はシャルリーではない」か。著者の見解は、左翼が左翼的なシャルリー・エブドを批判するのはおかしいということ。テロリストを資本主義と人種差別の犠牲者にするな。テロリストがSSだったら同じことが言えるのかと。私は自己責任だと思う。自由はある。ただし行使してしまったらとんでもないことになると思ったら先回りして自粛する方が結果がいい。結果が全て。表現の自由なんてそれほどありがたいものではない。どうでもいいが、著者夫婦はIKEAのフェイクレザーの赤いソファを愛用していたそうで、それもアレだろう。スウェーデンやデンマークではよせばいいのにコーラン焼却。自由が不自由に変わって中国みたいな国がボコボコ生まれたりしてね。この世は毎度の地獄。
2023.07.24
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8名の研究者が異性装を論じる。ネタは古典文学、漫画にラノベ、シェイクスピア劇の現代風アレンジ、タイのドラマなど多岐にわたっている。「日本は異性愛と同性愛をデカルト以来の西洋思想の特徴である二項対立的に論じません」という指摘はそうなんでしょうなと思う。ところがわが国では明治になって西洋思想にかぶれて異性装を恥ずべきものと考えて、歌舞伎など職業上の者以外犯罪にしてしまう。もちろん今はそんなことはないが。最近成立したLGBT法もアメリカの圧力だという説がある。G7で日本だけが法制化されてなかったとか。ただG7でアジアは日本だけである。全くの勘だが中国やインドよりはるかにマシだろうし、日本のやり方で解決できればそれが最善だろう。左派や日本共産党と保守系野党・自民党で争ったものの解決をみた。今後もこの手のもめ事はさらに燃え上がっていくだろう。マイノリティの権利向上を訴える人が増えたのは日本人が優しくなったのか、乗じて暴れたくなったのか。どちらもあると思うが、私は他人にあまり興味を示さない人でなしである。ただこの手の本で学んでおくことは大切なような気がする。特に私のような保身に汲々とする小心木っ端野郎にとっては。考えないで生きられれば幸せなのだが。
2023.07.12
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タイトルが下ネタだったので借りた。最初から最後までチンチン、タマタマ言っているが、まともな生物学の本である。生物学以外のコラムもアベラールの話、国芳の狸の金玉話など軽快で面白くためになる。雑学ファンは喜びそう。有名な『わけあって絶滅しました。』も著者の本だった。図鑑制作者でテレビ出演も多い。私は全然知らなかった。予約が多くて借りる気が失せたのが敗因。いつか挑戦してみたい。
2023.07.02
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タイトルが大袈裟だったので借りた。著者は農業協同組合新聞の元室長。コロナやウクライナで大転換を迫られていると思われる日本の農業に警鐘を鳴らしている。柳田國男の引用やメグミルクの経営者にインタビューがあって普通かと思ったら左翼丸出しでぶったまげた。持ち上げているのは宇沢、内橋、鈴木宣弘各氏。ちなみに鈴木氏は斎藤幸平、藤原辰史両氏が宇沢・内橋を継ぐものとして評価しているそうである。イスラエル、スイスの食糧自給率が良好なことを指摘しているが、新自由主義やTPPは目の敵。左翼や日本共産党の人たち向けの本だと思った。ということは本書の逆をやった方がうまくいきそう。左翼の人たちは商売っ気を嫌う。でも商人が勝つ。国民全員を救うにはどうしたらいいかね。
2023.07.02
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読んだのは半年以上前だったのだが、個人的にしっくりこなかった。備忘録を兼ねて書いてみる。書名通り、著者の講義録。個人的な交流があった他のボカロPについても論じている。著者自身もボカロPである。私のような小汚い中年親父としては彼らの価値観を手放しで受け入れるには年を取り過ぎている。著者は知力で武装する。アンチセクシュアル、ジェンダー、記号論など難しい話で作家を語る。たぶん今どきの若者が抵抗感なく受け入れるリベラル文化なのだろう。著者は大声で彼らを応援する。歯向かう言論とは戦おうとする。ただ私の確固たる偏見ではリベラルは負けるようにできている。著者の主張はほぼ100パー正しいとは思うが、世の中思うようにはいかないはずである。このほど民主的に成立したLGBT法案を見ればわかる。生きづらさだったら私も自信がある。もっとも若者なんかより俺の方がよっぽど不幸なんだと叫びでもしたら狂人扱いされるだろう。どこかで中年男性救済法案でも出してくれませんかね。
2023.06.18
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合成生物学はもはや進撃を続けるしかないという話。二重らせんのワトソンが女性や黒人を差別したという有名な話や、中国の学者がたぶん善意で遺伝子編集ベビーを誕生させたが各方面から批判を浴び、結局逮捕されてしまったとか倫理的な問題について触れている。その一方で、VAD(ビタミンA欠乏症)で子どもが早死にしたり失明したりしないように遺伝子操作で開発されたゴールデンライスを巡ってのグリーンピースの反発を著者は批判している。コロンブス交換によって、旧世界、新世界とも互いの作物や文化が入ってきて生物学上の均質化が進んだ。コロンブス以前には、スパイス大国インドの唐辛子も、アイルランドのジャガイモもイタリアのトマトも北米の小麦までも存在しなかった。合成生物学の発展も同じことだと著者は言いたいのだろう。ジョサイア・ザイナーというけったいなおっさん(私よりずっと年下だが)の話が面白かったが、Netflixの「不自然淘汰」というドキュメンタリーに出演して自分自身で人体実験したバイオハッカーだった。そうか、あの人だったか。何だか分からないが頑張っていただきたい。
2023.06.12
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著者は記者で15年間動物園の記事を連載してきた。動物や動物園についての四方山話かと思いきや、記事の方法論とか動物園の在り方に関する考察が中心で、若干堅苦しい。動物園には学術機関としての矜持がある。飼育係と呼ぶか、飼育員と呼ぶか。関係者の意向を著者は汲み取る。記事にするにも動物を安易に擬人化して描いてはいけない。上野動物園の「かわいそうなぞう」や忠犬ハチ公の検証と考察。実際とフィクション。著者も苦労しながら伝える技術を磨こうとしているのだろう。その姿勢には全く頭が上がらないが、若干の左翼臭を感じ取ってしまった。そう、私は根性の腐った動物以下のひねくれ者だ。でも気にしない。
2023.06.12
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コンパクトにまとまっていて文章も読みやすい。著者は偉い先生である。カミュと言えば「不条理」や「反抗」で語られるが、自分の心に忠実に、良く生きたかったのだろう。不条理だろうが生き抜く。女たらしでもあった。この手の人はモテるのだろう。英雄色を好む。不条理に負けずに生きるとなれば、死後の救済など信じない。著者の解説によれば、社会主義革命などキリスト教のメシアニズムみたいなものだと。だからマルクスを批判してサルトルにやっつけられる。当時は社会主義革命の時代だった。太陽と海が好き。「冷たい山々」は良く思っていない。短編集『追放と王国』の「客」を思い出した。明るい人生を貫くことができればよかったのだが、46歳で事故死、まさに不条理の極み。医者の不養生?伝記と一緒に大半の作品が順を追って簡単に解説されていて入門書としては最適。個人的には数十年前の微かな記憶が呼び戻された。この年になって再読してみるのもいいかもしれないが、今はNetflixとかで頭の悪くなるようなドラマ見てた方が楽しい。劣化上等。どうせこの先衰える一方。
2023.06.08
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ここでいうデータ管理とはセルフトラッキングだそうだ。自分の健康データなどをIT企業に提供するのが基本だろう。データ分析が自分の利益にもなるし、各人のデータを集積することで社会全体の利益にもなりうる。ただ、当然ながら個人情報丸出しにはリスクがあるし、監視社会化しやすくなる。監視国家となれば最悪。著者はセルフトラッキング肯定派である。ただし問題点には相当気を遣っている。副題も「倫理学」だし。イヌイットを例に、データに依存し過ぎて人間の能力が退化してしまったという指摘が面白い。つい最近でもAIに頼りすぎると人間が馬鹿になってしまうという論議を呼びそうな記事があった。私のような愚民も意識高い系に目覚めて、IT企業の利益のため、いや、我らの未来のため、能動的にデータを提供して差し上げる時代になるんでしょうな。もっとも、お前のデータなんかいらねぇと言われて自我が崩壊したりしてね。
2023.06.04
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