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kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2020.06.14
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カテゴリ: 教育・子育て
​ 様々な研究誌や会報、紀要、雑誌、新聞等に掲載された 広田教授 の文章や、
 日大での講演、本著のための書き下ろしを加えて出来上がった一冊。
 『教育展望』や『学校運営』『月刊教職研修』『日本教育新聞』等、
 教育現場ではお馴染みのものに掲載された文章が多いです。

 第1部は「中央の教育改革」、第2部が「教育行政と学校」、
 そして、第3部が「教員の養成と研修」という、3つの観点から構成されています。
 第1部と第2部からは、現在進められている教育改革の背景や、


  「生まれつきの能力」というのは、特別な障害を除いて誰にも分かりません。
  にもかかわらず、「個に応じた教育」を早期の段階で始めると、
  子どもたちの興味・関心や意欲は家庭環境に大きく左右されているので、
  家庭環境の差が早期の学校選択に反映してしまいます。
  レベルや内容の異なる教育、すなわち「分化した社会化」がなされていくことで、
  結果的に一人ひとりの子どもの間の差異は増幅され、固定化されます。
  まだ全国レベルでの分化の程度は進んでいませんが、
  下手をすると、多くの子どもが小学校入学段階で将来が限定されてしまうような
  教育制度にもなりかねません。(p.17)

懸念されるような状況になることを、
実は望んでいる人たちも存在する。

そんな風に思ってしまうのは、勘繰りすぎでしょうか。

  学力が落ちていっているわけでもないし、教育内容への関心や意欲が低く、
  家でもあまり勉強しない子どもたちを相手にして、
  日本の学校は、国際比較で上位のスコアを維持している。
  日本の学校の教員はよくやっている、というのが私の率直な感想である。(p.39)

『FACTFULNESS』 の世界。
なぜ、逆方向のことばかり、足を引っ張る内容ばかりが広く喧伝されるのか……

  知識の有無は測定できるけれど、
  抽象的な「〇〇力」なんてものは、簡単には評価できません。
  評価すべきではないものまで評価しようとすることになったら、
  教育の本質から離れてしまいます。(p.49)

全く異論の余地がありません。
何でも数値化し、評価しようとするのは危険極まりない行為です。

  氏岡 国が緩やかに裁量を決めても、
     地方行政の段階で締めつけが厳しくなっていくように感じられます。
  広田 公教育が官僚制の末端に位置しているというベクトルと、
     教育の専門性・自律性との間のせめぎあいなのだと思います。
     近年は現場で問題が起きないように……
     という上からの関与が厳しくなっていますが、
     行政は現場を管理しすぎないでほしいし、
     校長は、行政の下請けにならずに、
     現場の教員の自主性と裁量を尊重する存在であってほしいです。(p.56)

行政側からすると、校長なんて一介の課長にすぎません。
そんな分際で上級行政職に逆らうなんて論外、と思っているはずです。

さて、何と言っても、本著が優れていると私が感じたのは第3章。
学校に関わるものは、ここだけでもぜひ読んでほしいと思いました。

  日本の教員の仕事は意外なほどチーム労働である。
  教育以外の分野の研究者と議論して、
  なかなか理解してもらえないのは、この点である。
  政治学の専門家でも経済学の専門家でも、自分が受けてきた教育を思い出すとき、
  教壇に立つ授業中の先生の姿だけを思い浮かべているらしい。
  だから、個人を単位とした評価・競争の徹底をやれば、
  教育の質が向上するはずだ、と思い込んでいる。
  実は、教員の仕事の重要な部分は、教員集団のチーム労働や、
  メンバー相互の協力によって支えらえてきている。(p.200)

このあと、著者は現場の様子を3つの側面から述べています。
まさに、これが教員の世界であり、「こうあらねば」と思わされます。

  このことを私は「教育の不確実性」と呼んでいる。すなわち、
  ①教育を受ける側は、教育に対して、
   常にやり過ごしたり離脱する自由を持っている。
  ②教育を受ける側は、教育する側が意図したものと
   まったく異なることを学んでしまう可能性がある。
  ③教育の働きかけは、相手(と相手の状態)によって、
   まったく異なる結果が生じてしまう。
  ④それゆえ、教育に失敗はつきものである。(p.222)

これも素晴らしい。
まさに、これが「教育」ですね。





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Last updated  2020.06.14 11:53:36コメント(0) | コメントを書く
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