音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2017年07月05日
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テーマ: Jazz(1968)
カテゴリ: ジャズ
ルバルカバとの共演による暖かさとジャズ的展開に溢れたアルバム


 チャーリー・ヘイデン(Charlie Haden,1937年生まれ、2014年死去)は、アメリカ合衆国出身のベーシスト。狭義のジャズの枠組に捉われず、様々なミュージシャンと共演したことでも知られる。本盤『ランド・オブ・ザ・サン(Land of the Sun(La Tierra del Sol))』は、キューバ出身のピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバ(Gonzalo Rubalcaba)を迎えて2003年に録音された作品。ヘイデンとルバルカバは1990年代に何度も共演し、長らく温めた企画のボレロ集( 『ノクターン』 )を2000年に録音している。同作は2001年に発売されて2002年にはグラミー賞の最優秀ラテン・ジャズ・アルバムを受賞したが、さらにその翌年に録音されたのが本盤ということになる。

 表題の『ランド・オブ・ザ・サン』にはスペイン語表題も添えられており、“ラ・ティエラ・デル・ソル”(同じく“太陽の地”の意味)とある。収録曲に目を向けると、楽曲のタイトルはいずれもスペイン語で、カッコ書きで英訳が示されている(なお、日本盤では英語に基づいたカタカナの楽曲名になってしまっている)。このことからもわかるように、演奏されているのはいずれもラテン系の楽曲である。

 では、『ノクターン』の続編のような作品化と言われると、半分は続編であって半分はそうではないというのが正確だと思う。ヘイデン自身の言葉によると“『ノクターン2』みたいなものにはしたくなかった”という。確かにその通りで、“第二弾”もしくは“二番煎じ”とは違う。同じラテン系ピアニストと組んでやっているのだけれど、取り上げている楽曲は同じラテン系でも先のボレロ集という側面が前面に出たものとは異なる、まったく別種のバラード集である。事の始まりは、メキシコの作曲家ホセ・サブレ・マロキン(José Sabre Marroquín, 1995年没)の作品に触れたヘイデンがルバルカバに声をかけたところからスタートしたとのこと。つまりは、メキシコのポピュラー音楽を出発点として、インプロヴィゼーションを生かせるようなアレンジを加えていき、ジャズの世界を広げようというのが、本盤の試みとなった。

 取り上げられた曲のほとんどは、上記のホセ・サブレ・マロキンのもの。個人的お気に入りをいくつか挙げると、1.「フイステ・トゥ」、6.「デ・シエンプレ」、10.「カンシオン・ア・パオラ」などがおすすめ。それ以外では、アグスティン・ララ(Agustín Lara)の4.「ソラメンテ・ウナ・ベス」、アルマンド・マンサネロ(Armando Manzanero)の9. 「エスタ・タルデ・ビ・ジョベール(雨のつぶやき)」 という、いずれもメキシコの有名作曲家による有名曲が取り上げられている。上で触れたコンセプトは、多くの聴き手にも当てはまるのだろう。メキシコ音楽という普段聴くのとは少し違う独自世界を持った楽曲群がジャズ奏者たちの演奏可能性を押し広げているところが聴きどころになる。こういう抽象的な言い方しかできないけれど、この部分が演奏している本人たちだけでなく、聴き手にとっても本盤の鍵になっているように思う。そんなわけで、“こんな曲なんだ”などと言いながら(多くの人にとって)未知のメキシコの楽曲をさらりと楽しめそうでありつつ、その先にあるジャズ的な演奏の展開が広がっていくという、“一粒で二度おいしい”的な聴き方のできる盤だと思う。


[収録曲]

1. Fuiste tú (It Was You)

3. Canción de cuna a Patricia (Lullaby for Patricia)
4. Solamente una vez (You Belong to My Heart)
5. Nostalgia
6. De siempre (Forever)
7. Añoranza (Longing)
8. Cuando te podré olvidar (When Will I Forget You)
9. Esta tarde vi llover (Yesterday I Heard the Rain)
10. Canción a Paola (Paola's Song)


[パーソネル・録音]

Charlie Haden (b)
Gonzalo Rubalcaba (p, perc, arr)

Joe Lovano (ts)
Miguel Zenon (as)
Michael Rodriquez (tp, flh)
Oriente Lopez (fl)
Larry Koonse (g)

Juan De La Cruz (bongo)

2003年12月19~22日録音。




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【輸入盤】CHARLIE HADEN / RUBALCABA チャーリー・ヘイデン/ルバルカバ/LAND OF THE SUN(CD)




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Last updated  2017年07月05日 06時49分18秒
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