アルバム全体の特徴はというと、収録曲の美しい演奏につきるが、何と言っても聴き逃せないのは、マンサネロの代表曲でもある2.「アドーロ(Adoro)」。この美しさは本盤随一だと思う。他に注目の演奏としては、これまたメキシコ人のアルベルト・ドミンゲスによる3.「ミエンテメ(Miénteme)」。冒頭のアルゼンチン人作曲家マリオ・クラベルによる1.「ソモス(Somos, 邦盤ではメイビー)」。トリオ・ロス・パンチョスで知られる9.「サボール・ア・ミ(Sabor a mí, 邦盤ではビー・トゥルー・トゥ・ミー)」は上記2.に次ぐ名演。7.「ポル・エル・アモール・デ・ウナ・ムヘール(Por el amor de una mujer,邦題は、愛ゆえに)」も本盤収録曲中ではかなり上位に来る美しい演奏。アルバム締めくくりの10.「ポインシアーナ(Poinciana)」(日本語では鳳凰木と呼ばれる木のこと)は、アメリカ人の作曲によるスタンダードだけれども、キューバのフォークソング(「ラ・カンシオン・デル・アルボル(La canción del árbol)」)が元曲だとのこと。