フリーページ
韓国政府が昭陽の参加を発表したのは10月27日。海上幕僚長の酒井良が同月25日の記者会見で、回答期限を約2週間過ぎても韓国から回答が来ていないと説明した直後の発表だった。複数の日韓関係筋によれば、韓国は6月に観艦式の招待状を受け取っていた。
なぜ、参加の決定がこれほど遅れたのか。関係筋の一人によれば、大統領・尹錫悦(ユンソンニョル)の支持率が下がり始めた時期と招待を受けたタイミングが重なった。韓国政府内に「観艦式の参加を発表すれば、支持率がさらに下がるかもしれない」という懸念の声が出たという。
■ ■ ■
海自と韓国海軍の関係は2018年に急速に悪化した。 同年10月に韓国・済州島で開かれた国際観艦式で、 当時の文在寅(ムンジェイン)政権が自衛隊に対して自衛艦旗(旭日旗)の掲揚を事実上拒否した ため、海自は護衛艦の派遣を断念した。同年12月には韓国海軍艦艇による自衛隊哨戒機ヘの射撃用管制レーダー照射事件も起きた。
結局、現在の尹政権はぎりぎりまで悩むという姿を見せることで、韓国世論に理解を求めるやり方を取った。
昭陽の乗組員は、祝賀航行部隊の一員として、艦尾に自衛艦旗を掲げた護衛艦「いずも」などの観閲部隊に敬礼した。ただ、潜水艦も含む艦艇4隻を派遣したオーストラリア、軍艦マーチを演奏したインドなどに比べ、補給艦1隻の派遣にとどまった韓国は目立だなかった。
首相の岸田文雄は観艦式での訓示で「海軍力は国益を守り、国家のプレゼンスを高める、各国にとって不可欠の存在」「自由で開かれたインド太平洋の発展のため、皆様の国々を始め、諸外国との協力関係を一層深めていく」と訴えた。
■ ■ ■
日韓両国は11月、首脳会談を開催した。徐々に関係改善の兆しが見えつつあるが、レーダー事件の真相究明と、自衛艦旗を掲げた海自艦艇の韓国入港の可否を巡る問題は残ったままだ。韓国メディアによれば、韓国国防省の副報道官は11月17日の記者会見で「韓国軍のレーダー照射はなかったという立場を改めて申し上げる」と述べた。
一方、岸田は訓示で「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と改めて強調した。そのうえで 「安全保障の取り組みについて、透明性をもって国民のみならず、国際社会にも丁寧に説明していく」 と訴えた。
だが、陸上自衛隊東北方面総監を務めた松村五郎(元陸将)によれば、 「日本として防衛力をどう使うべきか」という議論が抜け落ちている という。
「例えば、 台湾有事の際、自衛隊を台湾防衛に使うのか、南西諸島などへの防衛に限るのか、 はっきりしません。(安全保障関連法で、集団的自衛権の行使が可能になる)存立危機事態ができた後、基本方針が不明確になっています。大方針の議論なしに、装備や予算の話に議論が集中しているのが現状です」
韓国を含む諸外国にも日本の「防衛力強化」の具体的な意味は理解されていない。=敬称略
(牧野愛博)
隣国とは友好の心で(30日の日記) 2026年07月30日
本当にいいんですか?(29日の日記) 2026年07月29日
皇室の姿、審議3時間(28日の日記) 2026年07月28日
PR
キーワードサーチ
コメント新着