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May 22, 2009
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カテゴリ: ミステリ(海外)

イスタンブールの群狼
ジェイソン・グットウィン作 和爾桃子訳
早川文庫
☆☆☆☆☆◎
 1830年代のイスタンブールが舞台の小説。白人宦官のヤシムは、市内で若い士官が行方不明になり殺された件と、後宮の若い女官が絞殺された二つの事件の解決をそれぞれ近衛新軍の司令官と時のスルタンマフムート2世の母后(ヴァリデ)と呼ばれるフランス人女性(しかも彼女はナポレオンの后ジョセフィーヌと親友という設定!)に依頼される。
 この士官行方不明には、10年前にその専横振りからマフムート2世の命令で壊滅させられたイェニチェリと呼ばれる、イスラム神秘主義を信奉していた軍団の生き残りが関わっているといわれていた。
 イスタンブール=ビザンチウム。華やかな文化が栄えた歴史の古い大都市だという知識はあるが、いつものことながら、私にそのあたりの世界史的な知識は殆どない。が、近世の大都市の描写はとても面白かった。
 もう次作が出版されているが、ヤシムはもちろん、彼の友人のポーランド大使(でもこの時代、ポーランドはロシア領になっている。有名無実の大使なのだ)や宮中の文書館(ものすごく巨大な公文書館)の司書、黒人宦官長(クズラル・アース)、コサックの踊り子プリーン(今でいうドラァグ・クィーンというかニューハーフみたいな…)、ロシア大使夫人、ヤシムを「エフェンディ(旦那)」と呼んで慕う荷馬車引きエズレクなどなど、登場人物それぞれの造形もものすごく面白い。でも、どーもヤシムやプリーンや黒人宦官長みたいなキャラが多いのが気になるが、当時としても、もう珍しいのにヤシムが宦官なのは、舞台の一つにハレムがあるからだろうな。地味だが、女性キャラ母后とロシア大使夫人の描写も美女だがかなりアクのつよ~い美女だ。
 しかし、士官の殺人ははっきりきっぱり「連続猟奇殺人」。さらっと描写したあったのだが、遺体損壊(だよな)がかなりスゴイ。そして、ヤシムもハマム(蒸し風呂)の中で殺されかける。これだって、途中で助けられたけど、かなり残酷な殺人法だ。正直、ここまでスゴイと思ってなかった。

 だが、活字も大きいが、ストーリーの展開が非常に速く読んでいて飽きない。ただ、難をいえば、最初の方は場面が細切れに転換されるので、少々この場面が後々どう繋がっていくのか混乱するところはあった。しかし、赤い林檎にたとえられる大都市イスタンブールの描写は魅力的だ。訳者の方が「主役はイスタンブール。小説の主人公すら狂言回し」とかいておられるだけある。そして、世界三大料理の一つに数えられるトルコ料理の描写も各処にあり、かなりおいしそうだ。東京にあるトルコ料理店が載ってたので、今度行ってみようかな。そして、今月第二作の「イスタンブールの毒蛇」も出版された。実はこの二作目を平積みで見かけて面白そうなので先に第一作を購入して読んだのだ。早速二作目も購入したので読んでみよう。





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Last updated  May 22, 2009 10:32:27 AM
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