世界のスピリチュアル・スポット レベッカ・ハインド ランダムハウス講談社 280x230mm 上製 ☆☆☆☆◎ 原題はSacred Places Site of Spirituality and Faithという。全世界の宗教的な遺跡や神聖視されてきた自然の景観の写真集。南米のマチュピチュやチチェン・イツァなどの石造遺跡、ヨーロッパの巡礼地、アジアの仏教や他の宗教の遺跡、オセアニアのエアーズロックやそのほかの自然の奇景や先史時代の人々が書き残した洞窟壁画…。私が特に印象に残ったと言うか、初めて目にして目新しく感じたのは二つ。一つはアフリカ、マリのトンブクトゥやジェンネの日干しれんが?のモスク。この建物は中東のドーム屋根がモスクのイメージだと思っていた固定観念を吹き飛ばしてくれる。なんだか古代ゲルマンの砦のようにも、どこかのファンタジーの世界の建物のようにも見える。あと一つは、オセアニア各地の自然が作り出した風景で、モダンなパターンのようでとても面白い風景だ。現地のアボリジニやマオリ族の人々が「タプ」(タブーの語源)として禁足にしたのが分かるような気がする。また、一つ一つの場所にはそれに関連した歴史や宗教やそこに暮らしていた原始の人々の宗教観の解説が書き添えてあり、ただの観光ガイド調の内容になっていないので、訳文がちょっと硬かったのが気にはなったものの楽しめた。よく考えたら、私が国内旅行でよく行くのは神社仏閣だし、この本そういう傾向の場所を集めた写真集で、しかも好みの薀蓄が語られているのだから、そりゃ、好みの内容にならないはずがない。寝る前に写真を眺めて楽しもうと思ったのだが、一度はちゃんと解説を全部読んでみた。ただ、非常に大判なうえに、フルカラーの写真集同様厚い紙が用いられ、更にハードカバーなので、机の上において読まないと、重くてかなわないのが玉に瑕だ。もう一つ難を言うなら、写真の粒子が粗いことか。ただ、この本、大判フルカラーで250ページを越える厚さだ。通常の写真集なら軽く7千~8千円…どころか1万円超えのお値段になっていても不思議ではないので、このお値段(って図書館で借りたんだけど)を考えると、妥当かもしれない。ちなみに日本で取り上げられているのは、紀伊山地と富士山のみ。紀伊山地のところでは高野山や熊野三山に触れられている。 眠れない時にこんな写真集を眺めたらいいのではと思い、試すつもりで図書館で借りてみた。自然のダイナミックな造形や神さびた遺跡の写真は特によかった。割と目が見慣れているように思う街の遠景や豪華な教会の写真はもうちょっと少なくてもよかったかも…と思える。まあともかく、私好みの景色ばかりを集めたと言える本だった。枕元にこういう本があるとやっぱりいいかも。