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February 24, 2010
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カテゴリ: 日本の小説


光文社文庫
☆☆☆☆☆
 まず「長編推理小説」となっているが、名探偵が出てくるわけでも謎に満ちた殺人が起こるわけでもない。舞台は2018年の日本。この時代では、精神医学・大脳生理学・ヴァーチャルリアリティが融合して人の脳の中の情報をデジタル化し、さらにそれをパソコンデータとしてコピーし、その中に人間をデジタル情報化して入り込ませる、という技術が可能になっている。人の脳の中に入り込んでバーチャルイメージ化されたその人のトラウマをやっつける、ということが出来るという設定。この技術者をバーチャル療法士と呼び、この世界では「宇宙飛行士になるより簡単だがプロ野球選手になるよりは難しい」職業という設定になっている。まあ、人の心の中に入り込んで、その中に巣食うトラウマだかリビドーだかに立ち向かう、というのは似たような設定をどこかで聞いたことがあるような気がするけど、まあ、ベタなイメージでいう「推理小説」じゃないような気がするなぁ…。正直タイトルを見たときは、ドロドロした因縁の歴史ミステリを連想して、図書館で借りたんだけど。いざ読んでみると近未来SFアクションといえる内容だ。
 バーチャル世界で血なまぐさい戦いを繰り広げつつ、「患者」であるメディチ家の血を引く少女のトラウマを取り除いていく、というのが最初のストーリー。この少女の精神世界に入っていくと、中では彼女にすら意識されていないが、 ルネッサンス期のフランスで血で血を洗う 戦いになっているのだ。どちらかというと、ロールプレイングゲームの小説版のような連想もしたが、その戦いの場面がスリリングで結構なページターナーでもあった。さらに先に進むと 思わぬ展開となり、どこかで聞いたような設定の小説ではなくなるし さらにページを捲る手に加速がかかる。
 確かに面白かったし、私が一日で読んでしまうほどのページターナーだったが、好みのタイプの小説かというとそうでもないかも…。なにせ過去の因縁に結びついた伝奇小説的なドロドロの方が好きなので。ただ、息もつかせず「読まされてしまった」小説ではある。

 まあ、要はSFが肌に合わないんだろうな、やっぱり。





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Last updated  February 25, 2010 02:02:42 AM
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