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November 1, 2010
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カテゴリ: 日本の小説
御開帳綺譚

御開帳綺譚

価格:1,300円(税込、送料別)



文藝春秋 四六上製
☆☆☆☆☆
 表題作と「ピュア・スキャット」の二編を収録。初めて読んだ著者。最初の部分を拾い読みしてみて、お寺関係の小説で神社仏閣めぐりも好きなこともあって借りてみた。表題作は21年ぶりに開帳される秘仏を巡って、その寺の住職で主人公の無状とその仏像に関係した男女、そして無状自身のプライベートにも関わる内容。ハリーポッターの最終巻の並行して読んだせいか、物凄く大人な小説だと思った。男女関係も色っぽさを超えて、生と死、エロスとタナトスが分かちがたく絡んでいる。秘仏のご開帳という、もう長い間、宗教的な儀式というよりは、もっと俗っぽい目的の方が大きくなっているような行事を中心に、それでも、この行事が何がしかのきっかけにはなって、無状とあと一組の男女の関係性の変化が暗示される。
 もう一つの「ピュア・スキャット」も内容的にはほぼ同じ。ご開帳ではなく、お祭りのおみこしを担ぐという行動が中心。なにせ「私」こと主人公の女性は週に3度人工透析を受ける体なのだ。食べ物の制限も多いし、日常の行動も自由にならない体で、それを隠してお神輿を担ぐ。彼女には夫もいて、彼は彼女の無茶を咎めつつも聞き入れないことが分かっていて、それを見守っている。一緒にお神輿を担ぐ人々には迷惑な話だと思うが、この夫は前カノを病で亡くし、また重い病を患う主人公と、危篤だった彼女の父の前で結婚する。何だか人間ホスピスみたいな人物だと書いたら、不謹慎だろうか。主人公の願いは叶うが、結論は読者の想像に委ねられている。ちなみに、タイトルは彼女の夫がジャズマニアらしくジャズバーを経営しており、作中にも往年の名ジャズメンの名前や著者のジャズのスタイルなどに関する薀蓄のようなものがちょこちょこと顔を出している。(これは「御開帳綺譚」にもちょっと出てきており、ジャズに詳しい人なんだろう)そういえば、ジャズミュージシャンにも不慮の死を遂げた人が結構いる。それも関係してるのかな。とにかく、単純な私はこれを読んだだけでも、少しオトナになったような気分になった。本文の字詰めは割合緩やかなのだが、描写も濃密だし、内容も重いので、読むのには意外と時間がかかった。





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Last updated  November 1, 2010 01:16:37 PM
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