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September 9, 2011
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カテゴリ: 日本の小説

 転生 (講談社文庫) (文庫) / 篠田節子/〔著〕
篠田節子
講談社ノベルス
☆☆☆☆
 商品リンクは文庫だが、私が読んだのはノベルス版。中国政府の厳しい弾圧下に置かれているチベットで十数年前に暗殺(?)されたチベットの高僧、パンチェンラマが本人のミイラの中に蘇った、という奇天烈な設定。このラマ、蘇った直後は食べ物の意地汚いわ、女とみれば言い寄っていくわ……と生前の徳の高さはどこへやら。このラマの世話係を命じられた10歳のロプサンもあきれ返るのだが、やがて、かつての高僧だったころの信条も元に戻り、チベット各地でクチコミでそれが広まっていく。ロプサンはこのラマと行動を共にするが、そこで描かれるのは、中国政府に弾圧され、虐げられる人々の姿。核実験場のそばで暮す遊牧民は重篤な放射線障害に苦しんでいるが、定住しない彼らの統計は存在せず、捨て置かれている。作中でも砂漠緑化をしようとしてとんでもない計画をぶち上げている。そして、ラマは ロプサンや身の回りにいる協力者の力を借りてそれを阻止し、また、元の眠りに戻るのだ。
 著者には確か中国によるチベット弾圧を書いた別の小説があったと思ったが、この小説を読んでいても弾圧の苛烈さは、目を覆うばかりだ。作中出てくる日本人観光客のKYっぷりや日本のテレビの取材クルーの平和ボケっぷりが滑稽に見える。多分、現地の人にもそう見えているんだろうなぁ。でも、その弾圧の中でも強かに生きていくチベットの人々の「狡さ」も庶民からすれば小気味いいくらいだ。ま、この人々に日本人観光客も手玉に取られるんだろうけど。カバー折り返しの著者の言葉によると、この小説が著者の最後のノベルズだったとか。そこにチベットを舞台にした小説を書いたのも意味があるんだろうな。





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Last updated  September 9, 2011 02:53:42 PM
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