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November 9, 2012
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カテゴリ: ミステリ(海外)

【送料無料】忘れられた花園(上) [ ケイト・モートン ]

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ケイト・モートン
東京創元社 四六並製
☆☆☆☆☆
 3世代、100年以上にわたるルーツ探しの旅。20世紀の初頭、オーストラリア、メアリーバラ。イギリスから着いた船に置き去りにされていた幼い少女。彼女は自分の名前も忘れ、結局港で働く夫婦に実子として育てられる。しかし、彼女が21歳になった時、父親から真実を告げられ、彼女はショックを受けるが、人生も老境にさしかかった'70年代、自分のルーツ探しを始める。
 この著者のデビュー作だった前作はイギリスの凋落していく貴族階級のストーリーだったが、今回はそこに著者の母国、オーストラリアが加わってくる。でも、一見ただの細かな描写・演出にしか見えないマニアックな小道具が後々とんでもない意味を持って読者の前に現れる、という設定の妙は相変わらず。でも今回はこれがメインとはならず、さらに一族の女性たちのルーツをめぐる旅になる。オーストラリアに置き去りにされて少女はネルと名付けられ、やがて、自分の両親までは調べ上げるが、家庭の事情でイギリスに移住?帰還?することは叶わず、彼女の意志を継いだ孫娘がイギリスに調査に渡る。どうも祖母の生まれはコーンウォール地方だったらしい。そして、そこで探索が始まる。
 この著者の十八番凋落するイギリスの貴族階級の描写の冴えは相変わらず。下層階級から玉の輿に乗った、レディ・マウントラチェットの描写はいい。更に、ネルの最初の記憶に登場する「お話のおばさま」イライザが、不幸な生い立ちからとマウントラチェット家に引き取られてからのレディ・マウントラチェットとの陰険なやりとり、繊細なお姫様で後にただのノータリン娘でさらに悲劇のヒロインといえなくもないローズ。彼女の悲劇が分かるところは面白かったが、実際にはもっと悲惨なことになっていたんじゃないかとも思う。そして、不気味な有閑貴族マウントラチェット卿。サイアクの似たもの夫婦といえなくもない。広大なお屋敷に暮らす不気味な上流階級の人々というのも楽しいが、さらにこの本はこれでもかと好みの要素が加わる。良くも悪くも少女趣味・乙女趣味なイライザが書いたとされる童話集。そして、有名な「秘密の花園」をモチーフにした囲み庭と著者バーネットも少しだけ登場する。そして、辺境の描写だなと思っていたら、コーンウォールって本当に辺境の地だったのね。。この土地柄もストーリーの雰囲気に一役買っている。
 最初はイライザ・ネル・カサンドラ(ネルの孫)三人の視点で入れ替わりながらストーリーが進行するので、慣れるまでは少々読みにくかった。だが、やっぱりこういう壮大なゴシックロマンは好きだ。使用人でイライザとは仲良しだったメアリの娘から語られたメアリがマウントラチェット家をどう見ていたか、そして夫妻の末路。ローズが呆気なく死にすぎ、という気はしないでもないし、結末があと一ひねりでもよかったような気がする。
 そういえば、イライザの少女時代は小公女、ネルのルーツ探しは私小説、カサンドラのところはハーレクインだ。そういえば、「秘密の花園」読んでみようかな。





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Last updated  November 9, 2012 02:23:28 PM
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