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ドナルド・トランプ米大統領は12月28日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーと、また29日にはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した。ゼレンスキーとトランプの和平交渉による成果はほとんどなかったようだ。 トランプとゼレンスキーとの会談に合わせ、ロシアの大統領公邸が91機のドローンで攻撃され、テヘランでは28日から経済状況に不満を抱く人びとが体制に対する抗議活動を展開している。こうした攻撃や抗議活動がアメリカでの会談と無関係だとは言えないだろう。 モスクワでの攻撃についてキエフは「典型的なロシアの嘘」だと主張しているが、ロシアに「偽旗作戦」を実行する理由がない。それが常識的な考え方だ。本ブログでは繰り返し書いてきたが、ロシア軍の進撃スピードは速まり、ここ数週間で、クピャンスク、シベルスク、ポクロフスク、ミロノグラード、フレヤポリといったウクライナの主要都市をロシア軍は制圧している。 ロシアはすでに和平実現の条件を明確にしていて、交渉姿勢を変えようとする理由がない。ロシアはウクライナを非軍事化すると同時に、非ナチ化し、中立化を実現、さらに西側諸国が凍結したロシア資産の返還し、領土の「現実」を認めるということ。ソ連時代にウクライナへ割譲された地域をロシアへ返還しろということだ。ロシアはウクライナに対する攻撃を強化する口実を探していたという主張には説得力がない。 ウクライナではアメリカのバラク・オバマ政権が2013年11月から14年2月にネオ・ナチを利用したクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領が排除されたが、住民の7割以上がヤヌコビッチを支持していた東部や南部の住民はクーデター体制を認めず、クリミアの人びとはロシアと一体化する道を選び、東部のドンバスでは武装抵抗が始まって内戦になった。 キエフのクーデター体制はアメリカをはじめとする西側諸国が支援したものの、戦況は反クーデター軍が優勢。そうした時に停戦交渉が始まり、ウクライナ、ドネツク、ルガンスク、ロシアは2014年9月に停戦で合意、それが守られなかったことから15年2月にも停戦で合意した。いわゆるミンスク1とミンスク2だ。 NATO諸国はこの「停戦」を利用してキエフ側の戦力増強を図る。ウクライナへ兵器を供給して兵士を訓練するだけでなく、「ヒトラーユーゲント」的なプロジェクトもスタートさせている。その間、マリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルに建設された巨大な地下要塞を中心に要塞線を築き、ロシアとの戦争に備えた。ミンスク1とミンスク2が戦力回復のための時間稼ぎだったことはアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。ロシア政府は同じ間違いを繰り返さないだろう。地下要塞はアブディフカが2024年2月に陥落、なくなっている。 任期切れ大統領のゼレンスキーは窮地に陥っている。ゼレンスキーに近いとされるGUR(国防省情報総局)のキリーロ・ブダノフ局長は、戦争終結のためにロシアと交渉しなければならないことを認めているが、イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国のエリートは戦争継続を望んでいる。ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントである可能性が高いのだが、MI6の長官は10月1日、ゼレンスキーのハンドラーだったと見られているリチャード・ムーアからブレイズ・メトレウェリへ交代している。 新長官の父方の祖父にあたるコンスタンチン・ドブロボルスキーはソ連の赤軍から脱走、ドイツ占領下のウクライナでナチス親衛隊の戦車部隊に所属した後、憲兵隊に入っているが、その際、反ナチスの抵抗運動に参加していた数百人のウクライナ人を処刑したと自慢、「虐殺者」と呼ばれていたと伝えられている。 イギリス政府と関係を深めている元ウクライナ軍最高司令官のバレリー・ザルジニー駐英大使はゼレンスキーのライバルとされているが、1月4日から5日にかけて現職を退任し、キエフに戻ると言われている。ゼレンスキーを排除し、ザルジニーにロシアとの戦争を継続させようとしていると見る人も少なくない。今回のモスクワに対する攻撃もゼレンスキーを揺さぶることが目的だったとする専門家もいる。ロシア政府はこの攻撃について、黒幕はMI6だと示唆している。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.31

ドナルド・トランプ米大統領は12月28日、フロリダ州にある彼自身の別荘「マール・ア・ラーゴ」でウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーと会談したものの、戦場で圧倒的に有利な状態にあるロシアの要求をゼレンスキーが拒否している状態に変化はないようだ。 しかし、キエフでは変化も見られる。GUR(国防省情報総局)のキリーロ・ブダノフ局長は、戦争終結のためにロシアと交渉しなければならないことを認めていた。また、ゼレンスキーのライバルとされている元ウクライナ軍最高司令官のバレリー・ザルジニー駐英大使は1月4日から5日にかけて現職を退任し、キエフに戻る準備を進めているという。 トランプ政権はベネズエラに対して軍事的な圧力を強め、軍事侵攻する姿勢も見せ、カリブ海でロシア、中国、イランとの対立を強めているが、東アジアでは台湾に対し、111億ドルを上回る規模の兵器パッケージを承認。その中にはM142 HIMARSシステム82基、M57 ATACMSミサイル420基、精密誘導ロケット1200発以上が含まれている。M57ミサイルの一部は最大射程距離が約500キロメートルと推定される最新型のミサイルだという。 それに対し、中国軍は12月29日、台湾の北西部および南西部の海上で実弾射撃訓練を実施していると発表した。駆逐艦、フリゲート艦、戦闘機、爆撃機、無人航空機(UAV)が参加していると伝えられている。かつて日本は台湾を中国侵略のための「航空母艦」として利用したが、第2次世界大戦の直後に中国を属国化しよとしたアメリカにしろ、アヘン戦争で侵略したイギリスにしろ、同じように考えている。 台湾に対するアメリカの兵器パッケージ供与は対中国戦を想定しているが、その前に高市早苗首相は衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。 歴代の日本政府と同じように高市首相も「ひとつの中国」を受け入れているようなので、中国で内戦が始まった場合、日本は中国に対して宣戦布告するということになる。しかも高市首相は11月11日、衆院予算委員会で「核を保有しない、製造しない、持ち込まない」という非核3原則を堅持するかどうかという質問に対して明言を避けた。 11月23日には小泉進次郎防衛相が与那国島を視察した際、同島にミサイルを配備する計画を発表。与那国島、奄美大島、宮古島、石垣島へのミサイル配備はアメリカ国防総省のプランに従っている。そうした琉球諸島の先にある島が台湾だ。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書は、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画について説明している。アメリカの計画に基づいて自衛隊は軍事施設を建設したと言えるだろう。核弾頭を搭載できるトマホークを配備するともされているが、トマホークが発射されたなら、相手は核弾頭が搭載されているという前提で反応する。つまり核兵器で反撃される可能性がある。 GBIRMで中国を包囲する計画は2016年の前に作成されているはずであり、高市早苗首相が11月7日に衆議院予算委員会で行った「台湾有事発言」を「舌禍」と呼ぶべきではないだろう。アメリカ軍の対中国戦略を始動させるために発言した可能性が高い。 そして12月18日、「高市早苗政権で安全保障政策を担当する政府高官」が日本は核兵器を保有すべきだと記者団に対し、「オフレコ」という条件で語ったと伝えられている。日本がアメリカの一部勢力と手を組み、核兵器の開発を進めてきたことは本ブログで繰り返し書いてきた。 ちなみに、日本が派兵、植民地化するまで台湾はひとつの国とは考えられていなかった。先住民は部族単位で、そのほか福建省や広東省から渡った人びとが生活しているだけ。台湾がひとつの集団と見做されるようになるのは日本が統治するようになってからだと言われている。 軍事的な緊張が高まる東アジア情勢についてロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は12月28日、「台湾問題は中国の内政問題」であり、「北京には主権と領土保全を守るあらゆる権利がある」とロシアは考え、いかなる形態においても台湾の独立に断固反対するとていると語った。 中国とロシアの関係は良くないと主張する人が日本にもいるが、両国は2014年以降、関係を強めている。この年の2月にバラク・オバマ政権はウクライナでクーデターを成功させた。このクーデターを拒否するウクライナ人は少なくなかったが、ネオ・ナチを中心とする集団によってビクトル・ヤヌコビッチ政権は倒され、南部のクリミアはウクライナから離脱してロシアと一体化、東部では武装抵抗が始まり、その戦闘は現在も続いている。 2014年の9月から12月までの期間、香港で「佔領行動(雨傘運動)」という反中国運動があった。リーダーのひとりだった李柱銘はワシントンDCを訪問し、CIAの資金を扱うNEDで物資の提供や政治的な支援を要請した。 そのほかの指導者には香港大学の戴耀廷(ベニー・タイ)副教授、陳日君(ジョセフ・ゼン)、黎智英(ジミー・ライ)が含まれ、余若薇(オードリー・ユー)や陳方安生(アンソン・チャン)も深く関与していた。黎智英はネオコンのポール・ウォルフォウィッツと親しいとも言われている人物だ。 佔領行動にはアメリカのCIAとイギリスのMI6が関係している。1989年に中国では学生による抗議活動があったが、この活動にもCIAが深く関係している。 まず認識しなければならないのは、この年の1月にジョージ・H・W・ブッシュがアメリカ大統領に就任した事実。この人物はジェラルド・フォード政権の時代、1976年から77年にかけてCIA長官を務めているのだが、CIA入りしたのはエール大学時代だと考えられている。 ブッシュの父親であるプレスコットは上院議員になる前、ウォール街の金融業者。アメリカやイギリスの金融資本はナチへ資金を提供していた。 スイスで設立されたBIS(国際決済銀行)や第2次世界大戦が勃発する半年ほど前にドイツへ約2000トンの金塊を渡したと言われているイングランド銀行のほか、ディロン・リード、ブラウン・ブラザース・ハリマン、ユニオン・バンキングなどもナチへの資金援助で重要な役割を果たした。そうした金融機関の経営陣にはジョージ・ハーバート・ウォーカー、その義理の息子であるプレスコット・ブッシュ、ブッシュと同じエール大学のスカル・アンド・ボーンズに入っていたW・アベレル・ハリマンも含まれていた。 当時、ウォール街の弁護士だったアレン・ダレスとプレスコット・ブッシュは親しく、おそらくダレスはジョージ・H・W・ブッシュを子ども時代から知っていた。 エール時代からジョージ・H・W・ブッシと親しくしていたジェームズ・リリーもCIAの高官だが、そのリリーをブッシュ大統領は1989年4月に中国駐在大使に据えた。ちなみに、その前任大使であるウィンストン・ロードもエール大学の出身で、3人とも学生の秘密結社スカル・アンド・ボーンズのメンバーだったと言われている。 リリーが大使に就任する5日前に胡耀邦が死亡、それを切っ掛けにして天安門広場で大規模な抗議活動が始まった。その活動には投機家のジョージ・ソロスから中国改革開放基金などを通して資金が流れ込み、リリーをはじめとするCIA人脈が関係していたことがわかっている。 そうした活動の指導グループには方励之、柴玲、吾爾開希などが含まれていたが、こうした人びとは抗議活動が沈静化した後、イエローバード作戦(黄雀行動)と呼ばれる逃走ルートを使って国外へ脱出している。その際、中継地になったのが香港。そこからフランスを経由してアメリカへ逃れた。このルートを運営していたのはアメリカのCIAとイギリスのSIS(通称MI6)だ。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.30
【イラン大統領の発言】 イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は12月27日、アメリカ、イスラエル、そしてヨーロッパはイランを屈服させるために戦争を仕掛けていると語った。この発言をしたのはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がアメリカでドナルド・トランプ大統領と会談する前。アメリカの有力メディアはイランがアメリカ、イスラエル、ヨーロッパに対して「全面戦争」を宣言したと書いていたが、事実とは違う。【イランに勝てないイスラエルと米国】 イスラエルはイランとの戦争で勝てる見込みはない。今年6月13日未明にイスラエルはナタンズを含むイランの軍事施設や核施設を奇襲空爆した。その際にイラン軍のモハメド・バゲリ参謀総長やイラン革命防衛隊(IRGC)のホセイン・サラミ司令官やゴラム・アリ・ラシド中央司令部司令官を含む軍幹部、そして核科学者のモハンマド・メフディ・テランチやフェレイドゥーン・アッバシなど6名以上の核科学者を殺害している。この攻撃では親イスラエル派として知られているアメリカ中央軍のマイケル・E・クリラ司令官が重要な役割を果たしたとも推測されている。 イスラエル軍のエフィー・デフリン報道官によると、イスラエル軍は200機の戦闘機を用いて100以上の標的を攻撃したというが、要人の殺害にはテヘラン周辺に作られた秘密の基地から飛び立ったドローンが使われたという。 それに対し、イランは6月13日夜、イスラエルに対する報復攻撃を実施、テル・アビブやハイファに大きなダメージを与えた。モサドの司令部や軍情報部アマンの施設、イスラエルの核開発計画でも中心的な役割を果たしてきたワイツマン研究所も破壊されたている。 アメリカのドナルド・トランプ大統領は6月22日、イスラエルの要請に基づき、7機のB-2爆撃機でイランの核施設へ合計14発のGBU-57爆弾を投下した。大統領はイランの核開発を止めたと主張したのだが、アメリカのDIA(国防情報局)は計画を数カ月遅らせたに過ぎないと評価、その情報を有力メディアが伝えた。その情報漏洩に怒ったトランプ大統領はDIAの局長を務めていたジェフリー・クルーズ中将を8月22日に解任したが、DIAの分析は正しいと見られている。 また、6月23日にイラン軍はカタールのアル・ウデイド基地をミサイルで攻撃した。ここはアメリカ空軍の司令部として機能、中東におけるアメリカ軍の中心的な存在。1万人以上のアメリカ兵が駐留している。 その後、イランが攻撃を続けたならイスラエルやアメリカは対応できず、敗北したと見られているが、イランは攻撃を続けなかった。イスラエルやアメリカが攻撃をやめたからだ。イスラムの教えに従ったと言われている。【露国に敗北したNATO】 イランとの戦い以上にアメリカはウクライナで苦しんでいる。戦況はロシア軍が圧倒的に優勢で、ウクライナ軍の崩壊を受けてNATO諸国は自国の軍人や情報機関のメンバーを投入しているが、ウクライナ側の要塞線は崩壊、ロシア軍の進撃スピードは速まっている。イギリスやフランスが対ロシア戦争の拠点にしているオデッサをロシア軍が制圧するのは時間の問題だと推測する人もいる。 イランを破壊したいイスラエル、ロシアを屈服させたいヨーロッパやアメリカのネオコンはアメリカ軍を引き込まなければならない。そうしなければロシアと戦うことができないからだが、そのアメリカはベネズエラを相手に始めた軍事作戦が行き詰まり、苦しんでいる。ロシア、中国、イランなどの支援を受けたベネズエラを攻めきれないでいるのだ。【ネオコンの世界制覇戦争】 アメリカの軍事や外交を操っていたネオコンはソ連が消滅したことを受け、1992年2月にアメリカの国防総省ではDPG(国防計画指針)の草案として世界征服プロジェクトを作成した。当時、国防次官を務めていた大物ネオコンのポール・ウォルフォウィッツが中心になって書き上げられたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。ソ連の消滅でアメリカが唯一の超大国になったと確信したネオコンは世界制覇戦争を始められると考えたようだ。 そのドクトリンの最重要事項は新たなライバルの出現を防ぐこと。西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないということだが、東アジアには中国だけでなく日本も含まれている。1990年代から日本経済が停滞しているのは必然だ。 また、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設するとも書かれている。要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということだ。 しかし、当時の日本側はこうしたアメリカのプロジェクトを嫌がったようで、ネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンは日本が独自の道を歩もうとしているとカート・キャンベル国防次官補(当時)に報告、1995年2月になると、ジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表した。アメリカの政策に従うように命令してきたのだ。 こうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。1995年のこうした出来事は日本のエリートを揺るがしたはずだ。 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されると、アメリカでは国内で憲法の規定が無効化され、国外では侵略戦争が本格化する。ウォルフォウィッツ・ドクトリンが起動したとも言えるのだが、そのドクトリンはソ連が消滅、ロシアを属国化させたということが前提になっている。その前提が21世紀に入って間もなく崩れた。ロシアが再独立したのだ。そうした動きの中心にはウラジミル・プーチンがいた。 2003年3月にジョージ・W・ブッシュ政権はアメリカ主導軍にイラクを攻撃させるが、計画通りには進まなかった。そこで同政権は2007年に方針を変更、ズビグネフ・ブレジンスキーのように、スンニ派の傭兵を利用することにする。 北京の夏季オリンピックに合わせ、2008年8月にジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃したが、この攻撃はイスラエルとアメリカが兵器など軍事物資を供給、将兵を訓練しただけでなく、イスラエルが作戦を立てたと言われている。その攻撃でジョージア軍はロシア軍に完敗した。アメリカとイスラエルがジョージア軍を使ってロシアを攻撃したのだが、失敗したのだ。2015年9月にシリア政府の要請で軍事介入したロシア軍は自分たちの戦闘能力が高く、ロシア製兵器の能力が高いことを世界に示している。【破綻したネオコンの計画】 しかし、ネオコンはロシア蔑視の罠から抜け出せず、NATOを東へ拡大させてウクライナを制圧、そこからロシアを攻めるという作戦を実行しようとしてきた。かつてナチに支配されたドイツがソ連に対して仕掛けたバルバロッサ作戦を再現しようとしたのだ。結局、バルバロッサ作戦は失敗に終わり、攻め込んだドイツ軍は降伏しているが、その戦争でソ連は大きな損害を被った。このダメージをソ連は回復できないまま消滅している。NATO諸国は同じようにロシアを破壊しようとしているのだが、そうならなかった。 ジョージ・W・ブッシュ政権は2004から05年にかけてウクライナで「オレンジ革命」を仕掛けてビクトル・ヤヌコビッチ政権の樹立を阻止、バラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてネオ・ナチのクーデターを実行してヤヌコビッチ政権を倒すことに成功したものの、ヤヌコビッチの支持基盤で歴史的にロシア圏に入っている東部と南部では住民がクーター体制を拒否する。そして東部のドンバスでは武装抵抗が始まり、内戦に発展したが、戦況は反クーデター軍が優勢。そこで西側は停戦を持ちかけ、ロシアは受け入れた。これが2014年のミンスク1と15年のミンスク2。これはクーデター政権の戦力を増強するための時間稼ぎにすぎなかった。これはアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。 そして2022年2月からNATOとロシアはウクライナを舞台にして戦争を始めた。NATOがウクライナの完全制圧を目指す軍事作戦を始動させようとしたとき、ロシア軍がウクライナを攻撃した。NATO/ウクライナ軍はでばなを挫かれたのだ。しかもウクライナの東部や南部はロシアにとって「ホーム」である。ロシアの兵器を生産する能力が西側諸国の数倍と言われていることもあるが、ホームで戦っていることは大きい。 NATOはウクライナ人に対し、最後のひとりまでロシアと戦え、つまり「総玉砕」しろと命じているが、ロシアはソ連と違って疲弊していない。ロシア軍は死傷者をできるだけ出さないような戦い方をしている。 ウクライナでロシアに敗北、経済が破綻して社会が崩壊しつつあるヨーロッパ諸国は戦争を継続し、軍需産業で経済を立て直そうと目論んでいるようだが、事態はさらに悪くなるだろう。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.29
ロシア軍はミルノグラードで5000キログラム爆弾FAB-5000を数発投下、ウクライナ兵と外国人傭兵が拠点にしていた市街地を消滅させたと言われているが、フリャイポリでも同型の爆弾が投下されたようだ。 ウクライナ、ドネツク、ルガンスク、ロシアは2014年9月と15年2月に停戦で合意している。いわゆるミンスク1とミンスク2だ。この合意をキエフのクーデター政権は守らず、NATOはキエフに兵器を供与、現役の兵士だけでなく青少年に対する軍事訓練を実施、戦力を増強した。 ミンスク1とミンスク2が戦力回復のための時間稼ぎだったことはアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。今回、ロシアが停戦に応じないのはこうした経緯があるからだ。西側が要求する「停戦」とは、戦況を変えるための時間稼ぎに過ぎないとロシアは認識している。 その一方、停戦期間中にNATOはドンバス(ドネツクとルガンスク)の周辺に要塞線を建設した。その核になる巨大な地下要塞がマリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルに作られたが、2024年2月にアブディフカが陥落して巨大地下要塞はなくなった。 しかし、それ以外にも25メートル程度の深さの場所に少なからぬ地下バンカーがNATO軍の技術者によって建設されていた。そのバンカーにはウクライナ軍だけでなく、NATO軍の将校がいたが、ここにきてロシア軍はそうした地下バンカーを容赦なく破壊、要塞線は壊滅状態のようだ。フリャイポリにはイギリスの軍事顧問団がいたという。 ロシアの兵器を製造する能力は西側の数倍だと言われ、ミサイル、ドローン、砲弾の数はロシアがウクライナ/NATOを圧倒している。しかもロシアの地上部隊がいるウクライナの東部や南部はロシア語を話し、ロシア文化の中で生きている人が全体の約7割と言われ、行政区分ではウクライナとされていたが、実態はロシアだった。つまり、ロシア軍はホームで戦っているという強みがある。そうしたこととも関係するが、兵站線の長さはロシア軍が圧倒的に短い。ここにきてロシア軍の進撃スピードは速まり、ウクライナ/NATO軍が撤退できない事態も生じている。 イギリスの軍や情報機関を中心にドイツやフランスもロシアと戦っているが、ロシア軍の勝利は決定的。アメリカのドナルド・トランプ政権がウクライナでの戦闘終結を急いでいる理由はそこにある。時間はロシアに味方するからだ。 それに対し、ロシアの天然資源や穀倉地帯の利権獲得を当て込んで資金を投入した西側の人びとは窮地に陥っている。ウクライナに対して支援の名目で供給する資金を回収しても足りないだろう。これまで西側ではウクライナが勝利すると宣伝してきたが、現実との乖離が大きくなりすぎているため、アメリカはヨーロッパに対し、そのギャップを埋めるように命じたとも伝えられている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.28

ドナルド・トランプ米大統領は12月25日、世界有数の産油国であるナイジェリアの北西部をアメリカ軍が攻撃したと発表した。この地域にいるダーイッシュ(ISIS、ISIL、ISなどとも表記)がキリスト教徒を殺害しているからだというが、シリアやイスラエルでアメリカに支援された武装勢力がキリスト教徒を殺害していることをトランプは気にしていないようだ。つまり、キリスト教徒云々という話は戯言だ。 そうした殺害を実行する一方、トランプ政権は確認石油埋蔵量が世界最大と言われているベネズエラに対して軍事的な圧力を加えている。トランプによると、ベネズエラの石油は全てアメリカのものだというが、中国はベネズエラの石油産業に多額の投資をしている。 11月16日にアメリカ海軍の空母ジェラルド・R・フォードが5隻の艦船を伴ってカリブ海へ入ったものの、10月下旬にはロシアのアヴィアコン・ジトトランス所属のIl-76TD輸送機がベネズエラへ何かを運んでいる。この会社はロシア軍や傭兵会社ワグナーの貨物を輸送したとしてアメリカから「制裁」されていることから軍事物資、あるいは戦闘員を輸送したのではないかと言われ、ベネズエラへロシアのスペツナズ(特殊部隊)も入ったと伝えられている。アメリカ軍がベネズエラへ軍事侵攻した場合、相当の犠牲を覚悟しなければならない。 アメリカは軍事侵攻からタンカーに対する海賊行為に切り替えた。アメリカ軍は12月10日にイランとの関係が指摘されているタンカーの「スキッパー」を拿捕したのに続き、13日には別の「センチュリーズ」を拿捕した。このタンカーは中国人が保有している。13日にアメリカの沿岸警備隊は「ベラ1号」というタンカーも拿捕しようとしたが、船長は船の速度を上げて対抗した。拿捕できなかったアメリカの沿岸警備隊は追跡していると伝えられたが、拿捕は難しいと言われている。 アメリカ政府はカリブ海でイランと中国を攻撃したとも言える。ウクライナでの戦争にロシア軍にNATO軍は敗北、そのNATOを動かしている欧米の富豪たちはロシアのエネルギー資源や穀倉地帯を乗っ取ることに失敗した。ベネズエラの石油を押えようとしている目的のひとつはそこにあるのだろうが、カリブ海でアメリカはロシア、中国、そしてイランから逆襲されている。 歴代のアメリカ政府やEUが支援してきたイスラエルはガザ全域を瓦礫の山にし、住民を大量虐殺したものの、窮地に陥っている。パレスチナ人の抵抗は止まず、世界の人びとのイスラエルを見る目は厳しくなった。イスラエル経済の柱であるダイヤモンド産業も衰退した。そのイスラエルに代わり、アメリカはカリブ海でイランを攻撃したと言われても仕方がないだろう。 そしてアメリカは東アジアでも軍事的な緊張を高めている。トランプ政権は台湾に対して111億ドルを上回る規模の兵器パッケージを承認したのだ。その中にはM142 HIMARSシステム82基、M57 ATACMSミサイル420基、精密誘導ロケット1200発以上が含まれている。M57ミサイルの一部は最大射程距離が約500キロメートルと推定される最新型のミサイルだという。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は12月28日にマイアミを訪れる。 高市早苗首相は11月7日に衆議院予算委員会で台湾有事について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。 歴代の日本政府は「ひとつの中国」を受け入れてきた。高市首相もそうした立場を継承するならば、台湾で戦闘があってもそれは内戦ということになる。高市首相の発言は、中国で内戦が始まった場合、日本は宣戦布告するということだ。 また、高市首相は11月11日、衆院予算委員会で「核を保有しない、製造しない、持ち込まない」という非核3原則を堅持するかどうかという質問に対して明言を避け、11月23日には小泉進次郎防衛相が与那国島を視察した際、同島にミサイルを配備する計画を発表した。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書は、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画について説明している。与那国島、奄美大島、宮古島、石垣島にミサイルの発車基地を建設するということだ。アメリカの計画に基づき、自衛隊は軍事施設を建設してきた。高市政権はアメリカ軍の対中国戦略を始動させたと言えるかもしれない。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.27
日米欧のトライアングルはロシアに戦争を仕掛けて敗北、経済は破綻しつつある。特に状況が悪いのはロシア産の天然ガスを米英に断たれたヨーロッパだが、そのヨーロッパの「指導層」はそうした米英主導の政策を受け入れてきた。それに対する一般国民の怒りは膨らのでいる。そうした怒りのひとつの結果が11月18日にデンマークで出た。 この日、デンマークでは地方選挙が実施されたのだが、メッテ・フレデリクセン首相の社会民主党のほかベンスタや保守党は大きく議席を減らしている。逆に増えたのは現政権の政策に反対している社会主義人民党、DPP(デンマーク国民党)、自由同盟。新しく登場したデンマーク民主党も善戦した。社会民主党はコペンハーゲンを含む主要都市で市長のポストを失っている。フレデリクセン政権が国民の生活を犠牲にして軍事予算を増やし、ウクライナでの戦争に資金を投入していることを国民は怒っているのだ。 こうした政策はイギリス、ドイツ、フランスを含むヨーロッパ諸国で推進され、いずれの国でも庶民は怒っている。EUでは域内の農業を破壊するような政策が進められているため、4万人以上の農民が抗議活動を開始、トラクターを持ち出してジャガイモが街頭に撒かれている。 かつてのヨーロッパは今より自立していた。2003年3月にジョージ・W・ブッシュ政権はアメリカ主導軍でイラクを先制攻撃、サダム・フセインを殺害した。アメリカ政府はイラクが「大量破壊兵器」を保有、今にもアメリカを核攻撃するかのように宣伝していたが、それをフランスのジャック・シラク大統領やドイツのゲアハルト・シュレーダー首相はその主張を否定、攻撃に反対していた。当時、アメリカの統合参謀本部の中でもイラク攻撃に反対する声は小さくなかった。そのため、攻撃開始が半年から一年ほど遅れたと言われている。 ブッシュ政権はイラクが核攻撃を目論んでいるかのように宣伝、そのイメージを人びとに信じ込ませるため、例えばジョージ・W・ブッシュ大統領は2003年の一般教書演説の中で、サダム・フセインがアフリカから相当量のウラニウムを入手しようとしていると主張している。イラクがアフリカのニジェールからイエローケーキ(ウラン精鉱)を手に入れようとしているという偽情報を流していたのだが、この発言にジョセフ・ウィルソン元駐ガボン大使はショックを受けた。イラクがニジェールからイエローケーキを購入することで合意したという覚書が2002年初頭に流れたのだが、CIAからその中身の真偽を調べて欲しいと彼は要請されて調査、その結果、情報は正しくないということを確認していたのである。(The New York Times, July 6, 2003) ニジェールの話はイタリアの週刊誌パノラマの記者エリザベッタ・ブルバに電話が掛かるところから始まる。サダム・フセインとアフリカでのウラン購入を結びつける情報が存在すると電話の相手は話したのだ。その情報源はブルバが以前から知っている人物で、イタリアの情報機関と関係があると推測されていた。 書類を受け取ると、パノラマのカルロ・ロッセラ編集長はアメリカ大使館に持ち込むように指示。その書類はCIAローマ支局長を経由してワシントンに渡り、イラクを批判する材料として使われる。このイエローケーキに関する情報の発信源はイタリアの情報機関SISMIだと言われている。(Seymour M. Hersh, "The Stovepipe," The New Yorker, October 27 2003) この話は別ルートでも流れた。2001年秋、ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された直後にこの話はCIAへ伝えられたのだが、CIAは信憑性がないと判断。当然の結論だったが、この情報はネオコンがプロパガンダのため、2002年に設置したOSPのルートに乗り、チェイニー副大統領の手に渡った。なお、OSPの室長に就任したエイブラム・シュルスキーはポール・ウォルフォウィッツと同じようにシカゴ大学で政治科学の博士号をレオ・ストラウス教授の下で取得している。(The New York Times, October 24, 2002) 一方、ブッシュ・ジュニア政権で国務長官を務めていたコリン・パウエルは2003年2月、国連でサダム・フセイン政権が間違いなく生物兵器を開発、生産能力もあると主張した。いうまでもなく嘘だが、パウエルの下にいたシャルロット・ビアーズに注目する人もいる。 この人物は「マディソン街の女王」と呼ばれ、ふたつの大手広告会社、オグルビー・アンド・メーザーとJ・ウォルター・トンプソンの会長兼CEOになっている。ビアーズの手法は単純化と浅薄化で、詳しく丁寧には説明しない。イラクへの先制攻撃をアメリカ政府は「イラクの自由作戦」と命名したが、これもビアーズのアドバイスに従っている。そうしたアドバイスをブッシュ大統領は自分流に解釈し、「この戦争は平和のため」と発言した。(Alexander Cockburn & Jeffrey St. Clair, “End Times”, CounterPunch, 2007) 実は、小泉純一郎も同じ手法を採用している。いわゆる「ワン・フレーズ・ポリティックス」だ。この手法をアドバイスしたのは電通だという(『週刊金曜日』取材班編著『電通の正体』金曜日、2018年)が、その電通はビアーズの手法を真似したのかもしれない。 こうしたアメリカやイギリスの宣伝にシラクやシュレーダーは惑わされなかったが、その後、フランスやドイツはネオコンの命令に従う人物がフランス大統領やドイツ首相の座についる。ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックの元幹部、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はロスチャイルド銀行の出身。そしてキア・スターマー首相がいるイギリスには金融資本の総本山とも言えるシティがある。こうした人びとが資金を投入しているウクライナではブラックロックやJPモルガンといった西側の巨大金融機関が資金の動きを管理している。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.26
ロシア軍は12月23日、変電所、物流施設、軍事企業、軍事施設などを600機以上の異なるタイプのミサイルやドローンで攻撃したが、ウクライナ西部にあるジトーミルでは軍事物資を輸送していた列車をドローンが攻撃、脱線させている。破壊された車両には約70名の傭兵、そして軍事顧問としてスムイへ派遣されていたイギリス軍将校8名が乗っていたという。 その前日、モスクワではロシア軍参謀本部のファニル・サルバロフ作戦訓練部長を乗せて走行中の自動車に仕掛けられていた爆弾によって暗殺されている。ロシア軍はウクライナでNATO将校をターゲットにするようになっているが、そうした作戦を指揮していたのはサルバロフだったという。 ロシア側の発表によると、暗殺を実行したのはウクライナとイギリスの情報機関員。SBU(安全保障庁)やGUR(国防省情報総局)だけでなく、SIS(秘密情報部、通称MI6)やSAS(特殊空挺部隊)が実行したということになる。ロシア下院の国防委員会に所属するアンドレイ・コレスニク委員は「この攻撃を実行した者全員を特定し、排除する必要がある」と発言していた。 23日にもモスクワで爆弾事件が起こされている。サルバロフ中将が暗殺された場所の近くで不審者を発見した交通警察官2名、マクシム・ゴルブノフとイリヤ・クリマノフが近づいたところ爆発、警察官ふたりを含む3名が死亡した。ウクライナ側が行ってきた爆弾テロの手口から考えると、爆破は遠隔操作せ行われる。爆弾を設置していた人物の口を封じるために爆破したのかもしれない。 今のところ、キエフはMI6を後ろ盾とするウォロディミル・ゼレンスキーを中心とするグループが支配しているが、アメリカを後ろ盾とするNABU(ウクライナ国家汚職対策局)とSAPO(特別反腐敗検察)が汚職捜査「ミダス作戦」を進め、ゼレンスキー周辺を締め上げている。ロシアとの戦争を継続したいイギリスをはじめとするEUのエリートに対し、戦況が変化する可能性は小さいと考え、早く戦争を終結させようとしているドナルド・トランプ米大統領が対立しているようだ。 NABUやSAPOに追い詰められ、法務大臣を名乗っていたヘルマン・ハルシチェンコとエネルギー大臣を名乗っていたスビトラーナ・グリンチュークはすでに辞任、国防大臣を務めていたルステム・ウメロウは7月に辞任を表明し、11月に入って国外へ脱出、カタールにいると言われている。コメディアン時代からゼレンスキーと親しいテレビ制作会社共同オーナーのティムール・ミンディッチはイスラエルへ逃亡したという。ゼレンスキーを排除し、ウクライナ軍の元軍最高司令官で駐英大使のバレリ・ザルジニーを後釜に据えようとする動きもある。 ヨーロッパにはアメリカをロシアとの戦争へ引き摺り込もうとしている勢力、アメリカにはネオコンのようにロシアを破滅させることに熱中している勢力も存在しているが、彼らの思惑通りには進んでいない。そこで必死にテロでロシアを攻撃、おそらく一発逆転を狙ってウラジミル・プーチン露大統領の暗殺も狙っているだろう。プーチンを暗殺すればロシアとアメリカの全面戦争になると考えているかもしれないが、可能性は小さい。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.25

アメリカの沿岸警備隊は12月20日、ベネズエラ沖の国際水域で中国が所有するタンカーを拿捕、さらに別のタンカーを追跡していると伝えられている。「麻薬テロ」の資金源を断つためだとドナルド・トランプ政権は主張しているが、確認石油埋蔵量が世界最大と言われているベネズエラを支配し、さらにラテン・アメリカ全域をかつてのように植民地化したいのだろう。 麻薬取引は情報機関の工作と関係が深い。アメリカのCIAはベトナム戦争の際にはヘロイン、中央アメリカで秘密工作を実行した際にはコカイン、アフガン戦争の際にはヘロインを製造し、売り捌いて資金を調達している。 アメリカの巨大資本はラテン・アメリカを支配するため、配下の軍人を育成してきた。その育成施設としてアメリカ政府は1946年にパナマでSOA(米州訓練所)を創設、対反乱技術、狙撃訓練、ゲリラ戦、心理戦、軍事情報活動、尋問手法などをラテン・アメリカ各国から集めた軍人に教え込んでいた。そうした軍人がラテン・アメリカのクーデターで中心的な役割を果たしている。そのSOAをパナマ政府は1984年に追い出し、アメリカのジョージア州フォート・ベニングへ移転、2001年には「WHISCまたはWHINSEC(西半球治安協力研究所)」へ名称を変更した。 そうした訓練を受けた軍人が支えるニカラグアのソモサ体制を1979年に左翼ゲリラのサンディニスタが倒してしまう。そこでアメリカのジミー・カーター政権はサンディニスタ政権を倒すために「コントラ」と呼ばれる武装組織を編成する。そのメンバーにはソモサ時代の国家警備隊メンバーが参加していた。 この武装組織はエル・サルバドルでの反革命作戦にも参加している。この国で巨大資本の代理人として活動していたのは「14家族」で、支配の道具として「死の部隊」を編成していた。支配者にとって目障りな人間を拉致、拷問、暗殺していたが、そうした弾圧を批判したカトリックのオスカル・ロメロ大司教が1980年3月に暗殺されている。死の部隊を指揮していたロベルト・ダビッソンはSOAで訓練を受けた軍人だ。 ソモサ家はイスラエルとの関係が深いことでも知られていた。同家のアナスタシオ・ソモサ・ガルシアはシオニストへ外交特権を与え、武器を供給するなどしてイスラエルの建国に協力した人物である。 1970年代にはロサンゼルス市警の一部捜査官がコカイン取引の背後にCIAが存在していることに気づいていたようだが、1980年代になると同警は麻薬取引の中心人物を逮捕するために特捜隊を編成している。 このチームは1987年に解散したが、その直後からアメリカの司法省は麻薬業者ではなく警察官を調べ始め、その警察官たちは1990年頃、税務スキャンダルで警察を追放されてしまう。 CIAやその手先であるコントラのコカイン取引に気づいたのはAPの記者だったロバート・パリーとブライアン・バーガー。1985年末のことだ。少なからぬ関係者に取材して記事を書いたのだが、AP本社の編集者はふたりの記事に反発、お蔵入りになりそうになった。それが「ミス」でスペイン語に翻訳され、ワールド・サービスで配信されてしまったのである。(Robert Parry, "Lost History," The Media Consortium, 1999) その後、CIAとコカイン取引の関係を疑う声は広がり、ジョン・ドッチCIA長官は内部調査の実施を約束せざるをえなくなった。そして1998年1月と10月、2度に分けてCIA監察室長の報告書が公表されている。いわゆる『IGレポート』だ。内部調査だという限界はあるが、10月に出た『第2巻』では、CIA自身がコントラとコカインとの関係を認めた。 APの記事はアメリカの議会を動かすことになり、上院外交委員会の『テロリズム・麻薬・国際的工作小委員会(ジョン・ケリー委員長)』が1986年4月、麻薬取引に関する調査を開始。1989年12月に公表された同委員会の報告書でもコントラと麻薬業者との深い関係が明確に指摘されていた。ほかの麻薬取引でも同じだが、商品を売り捌くために犯罪組織が使われる。そうしたこともあり、CIAと犯罪組織との関係は密接だ。この構図は基本的に変化していない。また、麻薬資金は欧米の巨大金融機関にとって重要な存在だ。 トランプ政権はベネズエラの石油を奪うために麻薬を口実に使っているが、笑止の沙汰。本当に麻薬の密輸を取り締まりたいなら、金融機関やCIAにメスを入れなければならない。 マージョリー・テイラー・グリーン下院議員はドナルド・トランプ大統領のベネズエラに対する軍事的な恫喝とイスラエルの関係を指摘したが、確かにベネズエラへの軍事侵攻を求めている反体制活動家でノーベル平和賞受賞者、つまりアメリカ政府の手先であるマリア・コロナ・マチャドはイスラエルのハマスに対する姿勢を支持している。ラテン・アメリカを再びアメリカの植民地にしようという動きにイスラエルも繋がっているようだ。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.24
イギリスやフランスの軍や情報機関がロシア攻撃の拠点にしている南西部オデッサをロシア軍はドローンだけでなく、イスカンデルM弾道ミサイルやキンジャール極超音速ミサイルで攻撃、その攻撃で地下18メートルの場所に建設されていたイギリス陸軍の施設が破壊された。その一方で北東部のスムイでは少なからぬウクライナ軍兵士が降伏、さらにビソコエやグラボフスコエも陥落している。そこからハリコフへ向かうと言われている。 キエフのクーデター体制軍だけでなく、その後ろ盾になっているイギリスをはじめとするNATO軍は厳しい状況にあるが、そうした中、モスクワでロシア軍参謀本部のファニル・サルヴァロフ作戦訓練部長が12月22日に暗殺された。自動車の下に仕掛けられた爆弾による爆死だという。戦場で敗北しているウクライナ/NATOはテロに頼っている。 ロシア軍幹部に対するテロ攻撃はウクライナのSBU(安全保障庁)やGUR(国防省情報総局)が実行したと見られているが、これまでの例から考え、NATOの軍か情報機関が関与しているだろう。 NATOはウクライナ人に対し、最後のひとりまでロシア軍と戦えと、命令しているが、すでに戦闘の継続が難しくなっている。傭兵の投入では足りず、NATO各国が部隊を派遣しているとも見られ、戦死者が膨らんでいるようだ。 イギリスをはじめ、EU諸国は戦争継続を画策しているが、アメリカは戦争が長引くほど損失が膨らむと考えているようで、ロシアと和平交渉を進めている。交渉はアメリカのスティーブ・ウィトコフ特使とロシアのキリル・ドミトリエフ特使が行っている。マイアミでの交渉は「生産的かつ建設的」だったという。次の開催地はモスクワが予定されているようだ。 ロシア政府が一貫して要求しているのはウクライナの非軍事化、非ナチ化、中立化、西側諸国が凍結したロシア資産の返還、そして領土の「現実」を認めるということ。ドナルド・トランプ政権が本当に和平を望むならば、これを受け入れる必要がある。この要求を受け入れられないのがEU諸国のエリートだ。 第2次世界大戦の終盤、アレン・ダレスをはじめとするOSSや軍の一部はフランクリン・ルーズベルト大統領には無断でナチの幹部や協力者を救出し、保護した。その後、アメリカの政府機関はそうした人びとを雇い、その後継者を育成した。1991年12月にソ連が消滅した後、そうした後継者は旧ソ連圏へ戻り、活動を開始している。 アメリカのトゥルシ・ギャバード国家情報長官はNATO諸国がアメリカをロシアとの直接対決に引き込もうとしていると非難し、戦争を売り込むために「ヒステリーを煽っている」とロイター通信を非難した。虚偽情報を広めているというわけだ。西側の有力メディアは戦争を継続させようと必死である。 こうした戦争を煽る情報の流布にはCIAも参加している。2017年1月から18年4月までCIA(中央情報局)長官、18年4月から21年1月まで国務長官を務めたマイク・ポンペオはウクライナの軍事企業で、ロシア深奥部にある標的を攻撃できる長距離ドローンを開発しているファイア・ポイントの諮問委員会に加わった。ポンペオをロシアとの戦争に積極的な人物だが、キリスト教系カルトの信者としても知られている。イスラエルはパレスチナの土地に対する聖書的権利を有しているというのだ。 トランプ大統領はネオコンを遠ざけ、ロシアと交渉する道を選んだようだ。ロシアとの戦闘を継続することはアメリカにとって利益にならないと考えているのだろうが、ロシアを攻撃することに執着し、ヨーロッパを犠牲にしているEUのエリートたちと対立することになった。 EUは構造上、民意が反映されないようになっている。寡頭制ということだ。EUのエリートには後ろ盾がいるようだが、その後ろ盾も窮地に陥っている。ロシアの勝利は彼らにとって破滅を意味するのかもしれない。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.23
アメリカのドナルド・トランプ政権は台湾に対し、111億ドルを上回る規模の兵器パッケージを承認した。その中にはM142 HIMARSシステム82基、M57 ATACMSミサイル420基、精密誘導ロケット1200発以上が含まれている。M57ミサイルの一部は最大射程距離が約500キロメートルと推定される最新型のミサイルだという。 アメリカは台湾で中国を挑発しているわけだが、アメリカと中国はベネズエラでも激しく対立している。トランプ政権はウクライナを舞台にしたロシアとの戦争から距離を置く一方、ベネズエラに対する軍事的な圧力を強めている。 そうしたアメリカの行動をロシア、中国、イランなどは批判、ベネズエラを支援している。すぐにでも始まると見られていたアメリカ軍の侵攻は実行されていないが、その原因はロシアなどのアメリカに対する警告が影響しているのだろう。ロシアは防空システムを供与しただけでなく軍用艦船を派遣、傭兵もベネズエラへ入ったと言われ、中国もアメリカに対する経済戦争を始める姿勢を見せている。 トランプ政権の中国に対する軍事的な圧力と連動した動きを見せているのが日本の高市早苗首相。10月7日に同首相は衆院予算委員会において、台湾有事について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。 歴代の日本政府は「ひとつの中国」を受け入れてきた。高市首相もそうした立場を継承するならば、台湾で戦闘があってもそれは内戦ということになる。高市首相の発言は、中国で内戦が始まった場合、日本は宣戦布告するということを意味する。 高市首相は11月11日、衆院予算委員会で「核を保有しない、製造しない、持ち込まない」という非核3原則を堅持するかどうかという質問に対して明言を避け、11月23日には小泉進次郎防衛相が与那国島を視察した際、同島にミサイルを配備する計画を発表した。与那国島、奄美大島、宮古島、石垣島、そして台湾にミサイルを配備することをアメリカ軍は予定しているので、その計画を実行するということだ。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書は、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画について説明している。アメリカの計画に基づいて自衛隊は軍事施設を建設したと言えるだろう。核弾頭を搭載できるトマホークを配備するともされているが、トマホークが発射されたなら、相手は核弾頭が搭載されているという前提で反応する。つまり核兵器で反撃される可能性がある。 GBIRMで中国を包囲する計画は2016年の前に作成されているはずであり、高市早苗首相が11月7日に衆議院予算委員会で行った「台湾有事発言」を「舌禍」と呼ぶべきではないだろう。アメリカ軍の対中国戦略を始動させるために発言した可能性が高い。 そして12月18日、「高市早苗政権で安全保障政策を担当する政府高官」が日本は核兵器を保有すべきだと記者団に対し、「オフレコ」という条件で語ったと伝えられている。 日本は明治維新以来、米英金融資本の影響下にあり、第2次世界大戦で敗北してからはアメリカ軍に占領されている。主権国家とは言い難いのだが、1991年12月にソ連が消滅した後、従属の度合いは強まった。 1992年2月、アメリカの国防総省ではDPG(国防計画指針)の草案が国防次官を務めていた大物ネオコンのポール・ウォルフォウィッツが中心になって作成された。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。この指針を読むと、ソ連の消滅でアメリカは唯一の超大国になったとネオコンは確信、世界制覇戦争を始めようとしていたことがわかる。 そのドクトリンにはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということだが、最重要事項は新たなライバルの出現を防ぐことだ。日本がライバルに成長することもアメリカは許さない。1990年代から日本経済が低迷しているのは必然だ。 日本がアメリカの戦争マシーンに組み込まれたのは1995年だと言えるだろう。日本が独自の道を歩もうとしているとネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に報告、1995年2月になると、ジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令している。 その頃、日本を震撼させる出来事が相次いだ。1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次へ交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。そして1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載される。 ネオコンの世界制覇プロジェクトはソ連の消滅、ロシアは欧米の属国になり、金儲けにしか興味のない中国人は欧米の戦略に逆らわないという前提で進められた。 しかし、物事が計画通りに進むのは最初だけで、その後は状況に合わせて対応しなければならない。そこで情報分析が重要になるのだが、その能力がアメリカでは低下している。公になっている情報を調べるだけでもわかることをCIAの分析官は大統領に伝えていないようだ。 ネオコンは冷戦時代、分析部門に対抗するため、CIAの内部にチームBというプロパガンダ部門を作った。ジョン・ブレナンはバラク・オバマ政権でCIA長官を務めた際、分析局所属の分析官と作戦局所属の作戦担当官をハイブリッド・ミッションセンターに統合したのだが、その結果、分析官は作戦部門に従属することになった。 旧日本軍が無謀な侵略戦争で敗北した一因は情報の軽視にあったが、同じことをネオコンは行っている。CIAでは作戦部門の失敗を分析部門が指摘できなくなり、作戦は成功しているとする話だけが伝えられるようになった。ウクライナを舞台にした戦争でNATOが敗北、EUが崩壊へと向かっているが、その一因はそこにあるだろう。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.22
【オフレコ発言】 12月18日に「高市早苗政権で安全保障政策を担当する政府高官」が日本は核兵器を保有すべきだと記者団に対し、「オフレコ」という条件で語ったと伝えられている。その発言をマスコミは一斉に報じた。公表することを想定していたのだろう。 高市首相は11月11日、衆院予算委員会で「核を保有しない、製造しない、持ち込まない」という非核3原則を堅持するかどうかを問われ、明言を避けた。この原則を放棄する可能性を示唆したと言える。 NSA(国家安全保障庁)やCIA(中央情報局)、つまりアメリカの情報機関の分析官は日本が核兵器の開発を進めていると異口同音に主張していた。この開発にはアメリカの協力者が存在している。【戦後日本の核開発】 第2次世界大戦後、日本に核を持ち込んだのは中曽根康弘にほかならない。1954年3月に中曽根は国会に原子力予算を提出し、修正を経て予算案は4月に可決されている。その背景には、1953年12月にドワイト・アイゼンハワー米大統領が国連総会で行った「原子力の平和利用」という宣言がある。 中曽根は東京帝国大学を卒業した後、1941年に内務省へ入省、それから間もなくして海軍経理学校へ入学して海軍主計少佐として敗戦を迎えた。1945年10月に内務省へ戻り、翌年9月には警視庁警視に昇進するものの、その年の12月に依願退職。1947年4月には衆議院議員選挙に出馬、当選して政界入りを果たした。 政治家となった中曽根は河野一郎の派閥に入り、そこで児玉誉士夫と知り合う。中曽根は児玉の子分になったと言う人もいる。その児玉は右翼の大物として知られていたが、ロッキード事件の際にCIAの手先だったことが判明。この事件では中曽根の名前も出たが、検察は動かなかった。 中曽根が権力の階段を登り始めるのはMRA(道徳再武装運動)と関係するようになってからだ。この団体はCIAとの関係が深い疑似宗教団体で、岸信介や三井高維も参加していた。そこで彼はヘンリー・キッシンジャーを含むCFR(外交問題評議会)のメンバーと知り合い、1950年6月にはスイスで開かれるMRA世界大会へ出席している。 ちなみに、その3年後、内閣調査室の初代室長だった村井順がMRAの大会へ出席するためにスイスへ向かっている。村井はボンでアレン・ダレスCIA長官と会い、創設されて間もない内閣調査室に関する助言を得ることになっていたと言われている。 中曽根は1953年にキッシンジャーが責任者だった「ハーバード国際セミナー」というサマー・スクールに参加している。このセミナーはロックフェラー財団やフォード財団をスポンサーにしていたが、CIAともつながっていた。キッシンジャーは1954年にハーバード大学の大学院で博士号を取得、CFR(外交問題評議会)の核兵器外交政策研究グループの責任者に選ばれる。 1964年10月に中国が核爆発の実験に成功した3カ月後、佐藤栄作首相はワシントンDCを訪れ、リンドン・ジョンソン大統領と秘密会談を実施、もしアメリカが日本の核攻撃に対する安全保障を保証しないなら日本は核兵器を開発すると伝えた。それに対し、ジョンソン大統領は日本にアメリカの「核の傘」を差し出すと約束している。(NHK、「“核”を求めた日本」、2010年10月放送) 佐藤は1967年に訪米した際、「わが国に対するあらゆる攻撃、核攻撃に対しても日本を守ると言うことを期待したい」と求め、ジョンソン大統領は「私が大統領である限り、我々の約束は守る」と答える。この年、「動力炉・核燃料開発事業団(動燃)」が設立された。 NHKの番組によると、この時代、日本政府の内部では核武装が議論され、西ドイツ政府に秘密協議を申し入れている。1969年2月に開かれた両国政府の協議へは日本側から外務省の国際資料部長だった鈴木孝、分析課長だった岡崎久彦、そして調査課長だった村田良平が出席した。日独両国はアメリカから自立し、核武装によって超大国への道を歩もうと日本側は主張したのだという。 佐藤政権で核武装を目指し始めたグループは10年から15年の期間で核武装すると想定し、具体的な調査を開始。その中心は内閣調査室の主幹だった志垣民郎だった。調査項目には、核爆弾製造、核分裂性物質製造、ロケット技術開発、誘導装置開発などが含まれ、技術的には容易に実現できるという結論に達している。 原爆の原料として考えられていたプルトニウムは日本原子力発電所の東海発電所で生産することになっていた。志垣らは高純度のプルトニウムを年間100キログラム余りを作れると見積もっている。長崎に落とされた原爆を10個は作れる量だ。(「“核”を求めた日本」NHK、2010年10月3日) 1976年にアメリカ大統領となったジミー・カーターは潜水艦の原子炉技師を務めた経験を持つ人物で、プルトニウムと高濃縮ウランについて熟知。そのカーターは1978年に核拡散防止法を議会で可決させた。この法律はウランとプルトニウムの輸送すべてに議会の承認を得るように義務付け、日本からの多くの機密性の高い核技術の輸入を阻止するものだ。 1977年に東海村の核燃料再処理工場(設計処理能力は年間210トン)が試運転に入るが、予想された通り、ジミー・カーター政権は日本が核武装を目指していると疑い、日米間で緊迫した場面があったという。 当時、アメリカのエネルギー省では増殖炉計画が注目されていたが、カーター大統領はその流れにブレーキをかけた。その方針に反発したひとりが原子力規制委員会のリチャード・T・ケネディにほかならない。そのケネディを助けたアメリカ海軍大佐のジェームズ・アウアーは後にバンダービルト大学の終身教授に就任、同大学の米日研究協力センター所長にもなっている。【日本の核兵器開発】 1980年にロナルド・レーガンが大統領に就任すると、新大統領はケネディを核問題担当の右腕に据えた。ケネディはカーター政権の政策の解体、クリンチリバー増殖炉計画を始めた。エネルギー省は1980年から87年にかけて、このプロジェクトに160億ドルを投入するが、議会は突如、計画を中止する。そこで目をつけられたのが日本。ケネディは日本とアメリカの増殖炉計画を結びつけた。 この計画に資金を提供することになった日本の電力業界の関係者は核兵器に関する技術を求め、兵器用プルトニウムを大量生産していたプルトニウム分離装置をリストに載せた。東海再処理工場に付属する施設として1995年に着工されたRETF(リサイクル機器試験施設)はプルトニウムを分離/抽出するための施設だが、この施設にアメリカ政府は「機微な核技術」、つまり軍事技術である遠心分離機が運び込まれている。 アメリカは日本へ技術を提供するだけでなく、日本へ限りなく核物質を輸出し、それを制限なくプルトニウムに再処理し、他国へ再移転する権利が与えられた。それだけでなくイギリスやフランスの再処理業者が日本へ返却するプルトニウムも核兵器に使用できるほど純度が高く、アメリカ産の核物質はトン単位で日本へ輸送されているようだ。 調査ジャーナリストのジョセフ・トレントによると、東電福島第1原発が過酷事故を起こした当時、日本には約70トンの兵器級プルトニウムがあったという。日本は核兵器を生産する準備が整えられている。中国だけでなくロシアもこうした状況を看過できないだろう。ロシアは最新鋭の防空システムだけでなく、攻撃用の極超音速ミサイルを極東地域に配備するだろう。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.21

ヨーロッパの製造業はドイツの自動車産業が支えてきたと言えるだろう。ドイツでその自動車産業が窮地に陥り、フォルクスワーゲンはドレスデン工場における生産を完全に停止すると発表した。同社は昨年10月、経営者が従業員代表に対し、ドイツ国内の少なくとも3工場を閉鎖する意向を伝えている。ドイツ経済の失速は深刻で、個人や法人の倒産は2008年から09年にかけての金融危機の当時より状況は悪いようだ。 こうした状況に陥った直接的な原因は、ドイツ企業が安価なロシア産天然ガスを入手できなくなったことにある。2013年11月から14年2月にかけてアメリカのバラク・オバマ政権はウクライナでクーデターを仕掛けたが、その主な目的はロシアとヨーロッパを結びつけていた天然ガスの取り引きを断ち切ることにあった。 オバマ政権で副大統領を務めていたジョー・バイデンが大統領に就任した翌年、つまり2022年の9月にはノードストリーム(NS1)とノードストリーム2(NS2)が爆破されている。これらのパイプラインはウクライナを迂回し、バルト海を経由して運ぶために建設しされたものだ。 ヨーロッパではウクライナの治安機関SBU(ウクライナ安全保障庁)のメンバーが爆破したと宣伝、首謀者としてセルゲイ・クズネツォフ元大佐を逮捕しているが、真犯人は別にいる可能性が高い。 2022年9月にドイツ企業から借りたヨットを利用し、パイプラインに少なくとも4つの遅延起爆装置付き爆発物を仕掛けた7名のグループをクズネツォフが率いたというのだが、このシナリオでは減圧装置など必要な装備を運ぶことすらできず、パイプラインを爆破できないのだ。 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2023年2月8日、アメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを破壊したとする記事を発表している。ジョー・バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成、そして2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を進言して実行されたという。 ロシア連邦保安庁(FSB)の元長官で、現在は大統領補佐官を務めているニコライ・パトルシェフは今年9月7日、NS1とNS2の爆破テロは高度に訓練されたNATO特殊部隊の関与のもとで計画、監督、実行された可能性が高く、実行犯は深海での作戦経験が豊富で、バルト海での活動にも精通していたとしている。こうした条件に合致する情報機関として彼はイギリスの特殊舟艇部隊(SBS)を挙げている。 オバマ政権がウクライナでクーデターを実行した直後の2015年9月、フォルクスワーゲンはロシアでエンジンの生産を始めた。アメリカのEPA(環境保護局)が同社の販売している自動車の一部が排ガス規制を不正に回避するためのソフトウエアを搭載していたと発表したのはその2週間後。それでもドイツ企業はロシアとの関係を強化、2019年4月にはダイムラーがメルセデス・ベンツの新しい組み立て工場がモスクワ近郊に完成させている。こうしたドイツ企業とロシアとの関係に止めを刺したのがNS1とNS2の爆破だった。 ロシアとの関係を強めていたヨーロッパ企業はドイツの自動車産業だけではなかった。例えば、フランスの大手石油会社トタル。ロシアとの取引拡大を指揮していたのは同社の会長兼CEOだったクリストフ・ド・マルジェリだが、2014年10月にモスクワ・ブヌコボ空港で事故死している。その3カ月前、ド・マルジェリは石油取引をドルで決済する必要はなく、ユーロの役割を高めれば良いと主張していた。 フランスの自動車会社ルノーの会長で、日産の会長でもあったカルロス・ゴーンも2014年当時、ロシアでの自動車販売を推進する姿勢を見せていた。そのゴーンをアメリカの従属国である日本の当局はゴーンを怪しげな容疑で逮捕している。 イギリスは19世紀からロシア征服を計画、それをアメリカは引き継いだ。その計画を始めたのはイギリスの首相や外相として暗躍していたヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)。彼はロシアをイギリスにとって最大のライバルとみなしていた。「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語り、ポーランドをロシアとドイツの間の障壁として復活させる計画を立てている。いわゆるグレート・ゲームだ。 またパーマストン子爵は中国におけるイギリスの権益を守るためにチャールズ・エリオットを1836年に広東へ派遣、東インド艦隊の軍事行動の規制を緩めて清(中国)への軍事的な圧力を強化、1840年にはアヘン戦争を始めた。彼の政策はセシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、アルフレッド・ミルナーが引き継ぎ、それは今でもアメリカやイギリスの支配層に影響を及ぼしている。 こうした戦略は放棄されなかった。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」はその理論が基盤になっている。 こうした戦略を信奉する人びとは1991年12月にソ連が消滅すると、アメリカが唯一の超大国になったと認識した。アメリカは他国に気兼ねすることなく好き勝手に振る舞えると考え、世界征服プロジェクトを始める。その計画は1992年2月、アメリカの国防総省ではDPG(国防計画指針)の草案という形で現れた。その当時、国防次官を務めていた大物ネオコンのポール・ウォルフォウィッツが中心になって書かれたことから、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 このドクトリンはアメリカのライバルだったソ連が消滅、ロシアは西側の属国になり、中国は金儲けさせておけば反抗しないという前提で成り立っている。21世紀に入り、ウラジミル・プーチンを中心とする勢力がロシアを再独立させることに成功した後もネオコンは自分たちが世界の支配者だと信じ続けてきた。 そうした妄想はロシア軍がウクライナでNATO軍を粉砕したことで崩れている。状況を理解したドナルド・トランプ政権はウクライナから距離を置き始めたが、EUの「エリート」は抜け出せないでいる。 EU諸国では国民の怒りが高まり、ブリュッセルではフランスやベルギーの農民が抗議活動を展開、EU全域でロシアとの戦争に邁進する政策に反対する声が高まっている。フランスでマリーヌ・ル・ペンが率いる国民連合が支持され、ドイツでAfD(ドイツのための選択肢)や左翼党などの支持率が高まっているのは象徴的な出来事だ。 これまで西側世界を率いてきた反ロシア勢力の力は急速に低下、自分たちの支配システムを維持するために言論統制を強め、ロシアとの戦争で国民を脅しているが、支配システムを維持することは難しいだろう。 そうした中、日本では高市早苗首相が中国との関係を悪化させ、中露との戦争に向かっている。中国や韓国を蔑視することで優越感を満足させてきた日本人は少なくないようだが、妄想を現実の世界に持ち込むと悲劇的なことになる。日本はEUの後を追っていると言う人もいる。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.20
EU(欧州連合)はスイス人のジャック・ボーとフランス国籍のザビエ・モローを含む12名に対し、政治的に不都合とみなされる意見を表明したという理由で制裁を科した。 ジャック・ボーはスイス戦略情報局に所属した後、国連難民高等弁務官事務所の臨時代理大使やNATOの政治安全保障政策局の小火器軽兵器地雷管理部長などを務めた人物で、優秀な情報アナリストだ。その優秀さのため、EUを動かしている「エリート」は彼を都合の悪い人物だとみなしたわけだ。 支配システムに組み込まれている有力メディアはボーのような人びとに「陰謀論者」という「タグ」、あるいは「呪符」をつけ、事実に基づく議論を回避している。こうした手法は1963年11月22日にジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された後から盛んに使われるようになった。 ケネディ大統領暗殺を調査するとしてリンドン・ジョンソン新大統領は1963年11月29日に「ケネディ大統領暗殺に関する大統領委員会」を設置、アール・ウォーレン最高裁長官を委員長に据えた。委員長の名前から「ウォーレン委員会」と呼ばれることが多い。 委員会のメンバーはウォーレンのほか、リチャード・ラッセル上院議員(当時、以下同じ)、ジョン・クーバー上院議員、ヘイル・ボッグス下院議員、ジェラルド・フォード下院議員、アレン・ダレス元CIA長官、ジョン・マックロイ元世界銀行総裁がいた。そして主席法律顧問はリー・ランキンだ。 委員会の中心になったダレスはウォール街(金融界)の大物弁護士で、第2次世界大戦中からOSSの幹部として破壊活動を指揮、大戦後にはCIA長官に就任するが、ケネディ大統領に解任させられている。マックロイもウォール街の大物で、大戦の後に世界銀行の総裁を経てドイツの高等弁務官としてナチスの大物たちを守った。フォードはJ・エドガー・フーバーFBI長官に近く、ランキンはCIAとFBIにつながっている。ダレスは委員会の中で唯一の専従だった。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) この委員会にはCIAやFBIから情報が提供されたが、1964年1月にはCIAとの連絡係としてジェームズ・アングルトンが任命されているが、この人物はアレン・ダレスに近く、またイスラエルと密接な関係にあった。(Michael Holzman, “James Jesus Angleton,” University of Massachusetts Press Amherst, 2008) ウォーレン委員会が暗殺に関する報告書と出した3週間後の1964年10月12日、ケネディ大統領と親密な関係にあったマリー・ピンチョット・メイヤーが散歩中に射殺された。銃弾の1発目は後頭部、2発目は心臓へ至近距離から撃ち込まれている。プロの仕業だ。 報告書の結論はリー・ハーベイ・オズワルドの単独犯行だが、この結論をヘイル・ボッグスは口頭で批判、1966年には委員会の腐敗した状況をジム・ギャリソンに話しているという。このボッグスを乗せたセスナ310は1972年10月16日、アラスカで行方不明になった。(Joan Mellen, “A Farewell to Justice,” Potomac Books, 2007) オズワルド単独犯行説は説得力がなく、事実に基づく批判が噴出。検証すれば単独犯行説が崩れてしまうため、単独犯行説で決着した勢力は呪符で封印することにしたわけだ。この手法は効果的だったようだ、さまざまな出来事で使われている。 ジャック・ボー以外にも西側諸国の公式見解を批判した専門家は少なくない。そのひとりがフランス軍情報部で分析官を務めていたエリック・ドゥネセ。2000年にはシンクタンク、CF2R(フランス情報研究センター)を設立している。この人物が今年6月9日に死亡している。経済的な理由による自殺とされているが、家族や友人は強く疑っている。自殺するほど苦しい状況ではなかったというのだ。 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターが製作したドキュメンタリーにもドゥネセは登場している。この作品の中でウォロディミル・ゼレンスキーについて、イギリスの対外情報機関であるMI6のエージェントである可能性があり、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はリチャード・ムーアMI6長官だと推測している。 そのリッターは2024年6月3日にニューヨークのジョン・F・ケネディ空港で国境警備隊員にパスポートを押収され、8月7日には自宅をFBIと州警察の捜査官が家宅捜索している。「FARA(外国エージェント制限法)」に違反した容疑だとされているが、具体的に何が問題なのか不明で、彼のようにネオコンが主導する政策に批判的な人びとへの恫喝だと見られている。 日本を含む西側世界の有力メディアは支配システムに組み込まれているが、そうした中で事実を明らかにしようとしている人に対する弾圧言論の自由はなくなりつつある。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.19

NATO諸国がキエフのクーデター体制を強化するために2014年から8年かけて建設した要塞線は壊滅した。ロシアを疲弊させるために兵士として使われてきたウクライナ人も少なくなり、イギリスやフランスをはじめとするNATO諸国の軍人も肩書を変えてウクライナへ入ったが、そうしたNATO軍の将校をロシア軍は容赦なく攻撃している。 そうした中、ゼレンスキーを支援し続けているのがイギリスの対外情報機関であるMI6。ゼレンスキーがウクライナの大統領に就任したのは2019年。その翌年の10月にゼレンスキーはイギリスを公式訪問しているが、その際にMI6本部を訪れ、直前にMI6長官となったリチャード・ムーアと会談した。その様子は映像に残っている。アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターのドキュメンタリーで、その映像は確認が可能だ。 この事実から、ゼレンスキーはMI6のエージェントの可能性が高く、ハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はMI6長官だったリチャード・ムーアだと推測されていた。そのムーアが今年10月1日に退任し、ブレーズ・メトレベリへ引き継がれた。メトレベリの祖父はナチスの協力者だとされているコンスタンチン・ドブロヴォルスキーである。 イギリスは12月15日、ゼレンスキーの一派と共同で水中ドローンでロシアの「バルシャビャンカ」級ディーゼル電気潜水艦を破壊しようとしたが、桟橋を破壊しただけで、潜水艦は無傷だった。その様子を撮影した映像をロシア政府は発表したが、これは衛星写真でも確認されている。潜水艦は損傷を免れたものの、ロシア軍の防衛態勢に問題があったことは間違いなく、失態ではある。その2日後、ロシア軍は超音速爆撃機Tu-22M爆撃機をNATO加盟国の近くに配備した。 一方、主戦場である地上での戦況に変化はない。すでにウクライナがロシアに勝利することは不可能な領域に入っているが、少しでもロシアにダメージを与えたいと考えているイギリスのような国は戦争の継続を願っている。メトレベリMI6長官はウクライナへの永続的な支援を誓った。イギリスのようにロシアを攻撃する意思を捨てない国がある以上、ロシアは戦場で自らの安全を確実にする仕組みを構築するしかないだろう。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.18
ロシア軍は12月5日からオデッサに対する大規模なミサイル攻撃を続けている。過去10日間にロシア軍は攻撃用ドローンだけでなく、数百発のイスカンデルM弾道ミサイルと数十発のキンジャール極超音速ミサイルを撃ち込んだという。その際、地下18メートルの場所に建設されていたイギリス陸軍の施設が破壊され、数十人の兵士が犠牲となったとされている。 イギリス軍やフランス軍はオデッサを対ロシア戦争の拠点にしているが、そのオデッサに近いオチャコフで今年8月2日、ロシアのスペツナズ(特殊部隊)がイギリス陸軍のエドワード・ブレイク大佐とリチャード・キャロル中佐、そしてイギリスの対外情報機関MI6の工作員ひとりを拘束した。オデッサからMI6はロシア深奥部に対するミサイル攻撃やテロ攻撃を指揮していると言われている。 ロシア軍は11月22日、ウクライナとルーマニアの国境にある検問所をドローンで爆撃、その翌日にオデッサからルーマニア近くまでの地域をミサイルなどで攻撃した。ルーマニアからオデッサにかけてはウクライナ軍やNATO軍の重要な兵站線だ。この攻撃によってイギリス、フランス、ルーマニアの兵士も死傷したと伝えられている。 11月下旬にロシア軍は5機の短距離弾道ミサイルのイスカンデルでウクライナ南部のニコラエフを攻撃、水上ドローンや飛行機タイプの無人機の製造工場を破壊、そこにいた10名のイギリス人エンジニアが死亡したとされている。 昨年5月以降、ウクライナに大統領はいない。選挙が行われていないからだ。ロシアとの関係修復を訴えて2019年の大統領選挙で勝利したウォロディミル・ゼレンスキーは西側の命令に従い、ロシアと戦争する道を進み、自国だけでなくEUを破壊している。ゼレンスキーがイギリスの対外情報機関MI6のエージェントである可能性が高いことは本ブログでも繰り返し書いてきた。 ロシアとの戦争でウクライナが勝利する可能性はゼロに等しいが、ロシアに勝利して耕作地や資源を含む富を略奪するという妄想から抜け出せないEUのエリートはウクライナに戦争を継続させ、少しでもロシアを疲弊させようとしている。 ある程度疲弊させればロシアは停戦交渉に応じると考え、そうなればメディアという拡声器を利用して自分たちが勝利したかのように宣伝して「西側勝利」のイメージを広めることができる。そのイメージの中、2014年の「ミンスク1」や15年の「ミンスク2」と同じように停戦を利用して戦力を回復させ、再びロシアを攻撃するつもりだったのだろう。 NATOが主張する「停戦」とは、ウクライナ軍の戦力を回復させてロシアを攻撃させる時間稼ぎに過ぎないことをウラジミル・プーチン政権も熟知しているはず。そうした「停戦」に応じるはずがないのだ。ロシア政府が求めているのはウクライナの非軍事化、非ナチ化、中立化、西側諸国が凍結したロシア資産の返還、そして領土の「現実」を認めるということである。ロシアが戦闘を終えるのはこうした要求が受け入れられた場合。受け入れないならば、ロシア政府は戦場で決着をつける。 イギリス、フランス、ドイツをはじめとする嫌ロシア派はロシアとの戦争を継続しようとしている。「神風」が吹いて大逆転があると信じているのかもしれないが、戦争が終結するとさまざまな悪事が露見すると恐れているのかもしれない。 ウクライナでロシアが勝利したと認識しているドナルド・トランプ政権はウクライナから距離を置き、敗者のイメージで見られないようにしているが、その一方で敗北の責任をゼレンスキーに押し付けようとする動きもある。その上でゼレンスキーを排除し、ウクライナ軍の元軍最高司令官で駐英大使のバレリ・ザルジニーを後釜に据えようとする人もいるが、ロシア政府はこうした動きを気にしていないはずだ。ロシアが気にしているのは、イギリスやフランスがルーマニアからオデッサにかけてのラインを対ロシア戦争の拠点にしていることだろう。今後、ロシア軍はオデッサを含むウクライナ南部を制圧する可能性が高くなった。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.17
オーストラリアのシドニーにあるボンダイ・ビーチで12月14日、ユダヤ教の祭りであるハヌカーのフェスティバルが襲われ、15人が死亡、数十人が負傷したと伝えられている。イスラム教徒の親子ふたりが銃撃、父親は警察に射殺され、負傷した息子は逮捕されたという。射殺される前、シリア系のイスラム教徒であるアハメド・アル-アハメドが父親から銃を奪っている。 この事件を利用し、イスラエルによるパレスチナ人虐殺を批判してきた人びとを攻撃するメディアも出てきた。ユダヤ人を含む人びとがナチに弾圧されたからといって、イスラエルのパレスチナ人虐殺が正当化されないのと同じように、ガザにおける大量虐殺に反対する意見を封印する口実にボンダイ・ビーチの事件を利用することは許されない。 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はパレスチナ国家樹立の呼びかけが反ユダヤ主義を煽っていると主張したようだが、イスラエルの樹立が破壊と大量虐殺を生み出している。世界的にイスラエル批判が高まっている一因はネタニヤフ政権の政策にあるとも言える。 ネタニヤフ政権は2023年10月7日以降、ガザで住民を大量虐殺、建物は灰燼に帰した。10月7日にハマスがイスラエルを攻撃、約1200名の市民を殺害したからだと親イスラエル派は主張しているが、イスラエルのハーレツ紙によると、侵入した武装グループを壊滅させるためにイスラエル軍は占拠された建物を人質もろとも砲撃、あるいは戦闘ヘリからの攻撃で破壊している。イスラエル軍は自国民の殺害を命令したというのだ。いわゆる「ハンニバル指令」である。 ハマスの攻撃が唐突に起こったわけではない。2023年4月にネタニヤフ首相は警官隊をイスラムの聖地であるアル・アクサ・モスクへ突入させ、同年10月3日にはイスラエル軍に保護された832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入してイスラム教徒を挑発している。ハマスなどの武装集団がイスラエルを陸海空から攻撃したのはその後だ。 その攻撃から間もなく、ネタニヤフ首相は「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、パレスチナ人虐殺を正当化している。 聖書の中でユダヤ人と敵だとされている「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を彼は引用、「アマレク人」をイスラエルが敵視しているパレスチナ人に重ねたのである。 その記述の中で、「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神は命じたという。「アマレク人」を皆殺しにするという宣言だが、このアマレク人をネタニヤフたちはアラブ人やペルシャ人と考えているのだろう。 サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」と書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだと言える。 ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民」なのである。その発言通り、ネタニヤフ政権は子どもを含むパレスチナの民間人を虐殺、それを欧米諸国の政府は支援してきた。怒りの声はイスラエル政府だけでなく、ガザでの虐殺を支援してきた西側諸国の政府にも向けられている。その怒りを封印するため、ボンダイ・ビーチの事件は利用されている。親イスラエル派は今後もパレスチナ人虐殺を容認するつもりのようだ。 実は、1982年にもイスラエルに対する批判が高まっている。この年の6月、PLOのヤセル・アラファトと対立していたアブ・ニダル派のメンバーがイギリス駐在のイスラエル大使を暗殺しようと試みた。この出来事を口実にしてイスラエル軍はレバノンへ軍事侵攻した。 8月21日にアメリカの仲介で戦闘は終結、西側諸国が監視する中、パレスチナの戦闘員は9月1日までにベイルートから撤退。西側諸国は難民と難民キャンプの保護が保証された。 撤退の直後、イスラエルのメナヘム・ベギン首相はレバノンのバシール・ジェマイエル大統領と会談し、イスラエルとの和平条約への署名を強く求めたが、イスラエルとの和平条約の締結を拒否し、残存するPLO戦闘員を掃討するための作戦を承認しなかった。 パレスチナ難民の安全を保証していた国際部隊は9月11日にベイルートから撤退、ジェマイエルは9月14日に暗殺された。その翌日にイスラエル軍は停戦協定を無視して西ベイルートへ侵攻したが、難民キャンプへはファランヘ党の部隊を入れることにしていた。 ファランヘ党を中心とする部隊は9月16日、イスラエル軍から提供されたジープに乗り、イスラエル軍から提供された武器を持ち、イスラエル軍の命令に従って行動する。そしてサブラとシャティーラの難民キャンプへ侵攻し、大量虐殺を始めた。1万数千名の市民が殺されたとされている。 パレスチナ人を虐殺したのはレバノンのファランヘ党だが、そのファランヘ党にパレスチナ人を虐殺させたのはイスラエルであり、反イスラエル感情は世界に広がる。 それを危惧したロナルド・レーガン米大統領は1983年、メディア界で大きな影響力を持つルパート・マードックとジェームズ・ゴールドスミスを呼び、軍事や治安問題で一緒に仕事のできる「後継世代」について話し合った。それがBAP(英米後継世代プロジェクト、後に米英プロジェクトへ改名)にほかならない。 そのプロジェクトには編集者や記者も参加、有力メディアのプロパガンダ機関色は強まった。現在、ガザではサブラとシャティーラでの虐殺をはるかに上回る大量虐殺が展開されているが、虐殺システムに組み込まれている西側の有力メディアのイスラエル批判が弱いのは必然だ。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.16

ウクライナでの戦乱はアメリカの軍事と外交を支配してきたネオコンによって始められたのだが、現在のアメリカ大統領、ドナルド・トランプはウクライナから距離を置き、ロシアへ接近している。 そこで浮上してきたのがベーリング海峡の下に天然資源を輸送するためのトンネルを建設し、アメリカ大陸とユーラシア大陸を結ぶという話だ。RDIF(ロシア直接投資基金)のCEOを務めるキリル・ドミトリエフはこの構想を打ち出している。 アメリカはロシアとの関係を強化し、ロシアと中国との関係を壊そうとする可能性があるが、ロシアはアメリカと手を組んで中国と対峙するつもりはないと明言している。 これに対し、EU/NATOの現リーダーは反ロシア感情が強く、戦争でロシアを疲弊させると主張しているのだが、ロシアは疲弊せず、ヨーロッパ諸国の経済は壊滅的なダメージを受け、社会は崩壊しそうだ。いずれの国でも政府に対する国民の怒りは高まっている。 ウクライナではアメリカを後ろ盾とするNABU(ウクライナ国家汚職対策局)とSAPO(特別反腐敗検察)が汚職捜査「ミダス作戦」を進めているが、この捜査で法務大臣を名乗っていたヘルマン・ハルシチェンコとエネルギー大臣を名乗っていたスビトラーナ・グリンチュークはすでに辞任、国防大臣を務めていたルステム・ウメロウは7月に辞任を表明し、11月に入って国外へ脱出、カタールにいると言われている。コメディアン時代からゼレンスキーと親しいテレビ制作会社共同オーナーのティムール・ミンディッチはイスラエルへ逃亡したという。 アメリカの国防総省はウクライナで生物兵器の研究開発を進めていたが、それだけでなく、資源や耕作地の略奪、マネーロンダリング、人身売買、臓器売買などさまざまな犯罪行為の舞台になっている。ゼレンスキーの周辺が不正な蓄財をしているだけでなく、西側諸国の政治家などへのキックバックが相当額に上ると噂されている。 ウクライナにおける資金の動きをコントロールしているのは巨大金融機関のブラックロックやJPモルガン。ブラックロックは2022年後半からウクライナ政府のコンサルタントを務め、ブラックロック傘下の企業はウクライナの戦略的資産の大部分を支配するようになったと報道されている。なお、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックで監査役を務め、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行で働いていた人物。イギリスのキア・スターマー首相はシオニスト、つまり親イスラエルであることを公言している。 西側の巨大資本はウクライナの穀倉地帯を狙っているが、2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアムとして契約を締結して事業を開始した。このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配している。 カーギル、デュポン、モンサントの主要株主にはブラックロックのほか、バンガードやブラックストーンといった「闇の銀行」が名を連ね、ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガンやゴールドマン・サックスと協力関係にある。 ウクライナの利権、あわよくばロシアの富を盗もうとしていた西側の巨大資本にとって現在の戦況は良くない。停戦でNATOに戦力回復の時間を与えるつもりのないロシアは攻勢を強めている。8年かけて築いた要塞線はすでに崩壊、ロシア軍の進撃速度についていけず、取り残されたNATOの軍幹部も少なくないようだ。 時間の経過に伴って西側の置かれた状況は悪くなると判断したアメリカはロシア政府の要求を呑み、経済関係の改善と発展へと舵を切ろうとしているのかもしれないが、ネオコンに操られてきたEUの現指導部は戦争を長引かせようと必死だ。ゼレンスキーやその周辺が資金の流れを話し始めたなら、彼らは破滅だろう。ロシアとの戦争を始めた勢力は、戦争でウクライナやロシアの富を手に入れられるという前提で計画を書き上げていたように見える。 ウクライナにおける現在の戦争はアメリカのバラク・オバマ政権が始めた。2013年11月から14年2月にかけてキエフにあるユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でクーデターを開始、合法的に選ばれていたビクトル・ヤヌコビッチ大統領は排除されるのだ。ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部ではクーデターを拒否、クリミアはロシアと一体化し、ドンバスでは武装抵抗を始めて内戦になった。 内戦は反クーデター派が有利な展開になったが、その理由のひとつは軍や治安機関の約7割のメンバーが離脱、一部はドンバスの抵抗組織に入ったことにある。そこで2014年の「ミンスク1」や15年の「ミンスク2」と呼ばれる停戦合意で武装抵抗を弱め、NATO諸国は年少者を集めて軍事訓練する一方で兵器を供与し、地下要塞を中心に要塞線を建設した。そうした作業は2022年2月まで続く。キエフのクーデター政権は停戦合意を守らなかった。 2014年6月から19年5月までウクライナの大統領を務めたペトロ・ポロシェンコも反ロシア感情の強い人物だが、その背後にはアメリカが存在していた。歴史的にロシアとウクライナは一体だったこともあり、親戚が両国にまたがっていることが少なくない。西側諸国やウクライナの「エリート」とは違い、ウクライナ人の多くはロシアとの友好的な関係を望んでいた。 そうした気持ちを利用して2019年の大統領選挙で勝利したのがウォロディミル・ゼレンスキーだが、その翌年、彼がイギリスの対外情報機関MI6のエージェントである疑いが強まった。イギリスを公式訪問した際、秘密裏にMI6の本部を訪れ、MI6長官だったリチャード・ムーアと会ったのだ。そこで、そのムーアがゼレンスキーのハンドラー(工作員を管理する担当オフィサー)だと見られている。 このようにイギリスと関係が深いゼレンスキーだが、ウクライナの戦況は圧倒的にロシアが優勢。イギリスの内部にもゼレンスキーを排除したがっている人たちがいる。そうした人たちがゼレンスキーの後継者と考えられているのはバレリ・ザルジニー元軍最高司令官だ。ザルジニーは2024年5月から駐英大使を務めている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.15

ウクライナの北東部、ロシアとの国境近くにあるスーミィにはウクライナ軍やNATO軍の重要な拠点で、ロシア軍の標的になってきた。このところイギリスの軍人や情報機関員が戦死したとする情報を聞く。 12月10日にイギリスのRC-135W偵察機からの支援を受けたウクライナ軍はロシアの民間船舶を攻撃したが、その直後、ロシアのスペツナズ(特殊任務部隊)はウクライナのGUR(国防省情報総局)やイギリスのSAS(特殊空挺部隊)を含む部隊を殲滅、その際にイギリス軍兵士3名が捕虜になったと伝えられている。 12月10日の夜には北カフカスクラスノダールにある基地を飛び立ったロシア軍のSu-57M戦闘機がKH-69巡航ミサイルでオデッサのチェルノモルスクにある偽装された基地を攻撃、イギリス軍の将軍を含むイギリスやウクライナの高官が死亡。この後、イギリス軍に所属する現役の軍人がアクシデントで死亡したとイギリス政府は発表した。 ウクライナ軍は総崩れになりつつあるが、それに伴ってイギリスをはじめとするNATO軍将校の戦死者が増えているようだ。 そして、もうひとつ大きな問題が再浮上してきた。アメリカの国防総省がウクライナで行っていた生物兵器の研究開発に関する情報が再び流れているのだ。 ロシア軍の核生物化学防護軍司令官を務めるアレクセイ・ルティシチェフ少将は12月12日、そうした活動にUSAID(国際開発庁)が関与、2019年10月18日にニューヨークで実施されたコロナウイルスが全世界で流行するというシミュレーション「イベント201」にもこの機関は資金を出していたという。USAIDはCIAの資金を流してきた機関だ。 ルティシチェフ司令官の前任者、イーゴリ・キリロフ中将は2024年12月17日にモスクワで暗殺されたが、そのキリロフは22年5月、ウクライナ国内における生物学的研究プログラムについて発表ている。そのプログラムにはアメリカだけでなくドイツとポーランドも参加しているとしていた。 ウクライナにはアメリカ国防総省のDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が約30カ所あり、研究開発はDTRAから資金の提供を受け、CBEP(共同生物学的関与プログラム)の下で進められていた。 ロシア軍は2022年2月にウクライナを攻撃を始めた際に回収した機密文書を分析、23年4月に報告書を発表した。その中でアメリカがウクライナで「万能生物兵器」を開発していたと指摘されている。人だけでなく動物や農作物にも感染でき、大規模で取り返しのつかない経済的損害を与える遺伝子組換え生物兵器を開発していたというのだ。そうした兵器を秘密裏に標的を絞って使い、「核の冬」に匹敵する結果をもたらすという。 キリロフ中将がウクライナにおける生物化学兵器の研究開発について発表した翌月、つまり2022年6月にウラジミル・プーチン露大統領は連邦金融監視局のユーリー・チハンチン局長と会談、マネーロンダリングについて話し合っている。特に農業、医療、建設、輸送建設、防衛調達などの分野に注目していた。 また、金融監視局はFSB(連邦安全保障局)と共同で、外国の製薬会社が医療機関の責任者や医療従事者と結んだ契約に関する事件に取り組んでいるとしている。製薬会社は医薬品を売るために医療関係者を利用し、その見返りに多額の報酬を支払っていたとしている。 アメリカでは「COVID-19ワクチン」に関するファイザー社の関連文書をFDA(食品医薬品局)は75年間、封印しようとしていたが、一部の専門家が情報の開示を求める訴訟を起こし、迅速な公開を裁判所が命じて文書は明らかにされた。 そうした文書を分析したサーシャ・ラティポワは「COVID-19ワクチン」について、アメリカ国防総省のプロジェクトだと発表する。つまり騒動は軍事作戦の結果であり、医薬品メーカーは国防総省の契約企業ということになる。そうした企業は情報を公開する必要がなく、免責だ。 病原体だとされたSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)は人工的に作られた可能性が高いのだが、このウイルスに感染した動物は中国でなく、北アメリカで見つかっている。北アメリカの自然界ではシカ、ノネズミ、コウモリを含む5種類の動物が感染していることが判明、それらの種はモンタナ州にあるロッキー・マウンテン研究所で実験動物として使用されていたことが突き止められた。(Jim Haslam, “COVID-19 Mystery Solved,” Truth Seeking Press, 2024) ラティポワによると、2020年2月4日に保健福祉長官はCBRN(化学、生物、核、放射線)緊急事態に関するふたつの宣言をしている。そのひとつがEUA(緊急使用許可)で、大量破壊兵器が関与する重大な緊急事態を想定、CBRN物質に対する対抗手段を安全性と有効性を確保するため、規制監督なしに使用する許可だ。 しかし、この問題でUSAIDの資金が動いているということは国防総省だけでなくCIAのプロジェクトでもあることを意味、しかもWHO(世界保健機関)も関与している。 ネオコンをはじめとするアメリカの一部エリートはヨーロッパ人を巻き込んでウクライナでさまざまなことを行った。生物兵器の研究開発だけでなく、資源や耕作地の略奪、マネーロンダリング、人身売買、臓器売買などさまざまな犯罪行為の舞台になった。ウクライナでロシアが勝利することにより、ロシア征服にかけた富豪が経済的な窮地に陥る可能性もあるが、そうした犯罪的な行為が明らかになるかもしれない。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.14
【真珠湾攻撃から84年】 日本軍は1941年12月7日18時(UTC)にマレー上陸作戦を開始、同日18時18分(UTC)にハワイの真珠湾を攻撃、米英両国と戦争を始めた。今から84年間のことだ。この戦争で日本は敗北、ポツダム宣言を受けれた。 明治体制の日本は琉球併合から始め、台湾派兵、江華島事件、そして日清戦争、日露戦争から中国侵略へと進んだ。戦争は、明治維新から間もない時点から始められたと言える。 戦後日本はポツダム宣言を受け入れたところから始まるのだが、そこには「カイロ宣言の条項は、履行せらるべく、又日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」とある。 カイロ宣言は「日本国より1914年の第一次世界戦争の開始以後に於て日本国が奪取し又は占領したる太平洋に於ける一切の島嶼を剥奪すること並に満洲、台湾及澎湖島の如き日本国が清国人より盗取したる一切の地域を中華民国に返還すること」としている。【中国征服計画】 琉球諸島を含む諸小島のうち、どの島を日本領とするかは連合国が決めるということであり、日本に発言権はない。アメリカが独断で決めることもできないはずだが、琉球諸島をアメリカ軍は1950年代に「銃剣とブルドーザー」で軍事基地化していく。琉球国の復活をアメリカは認めず、自分たちの「空母」にした。台湾を中国侵略のための「空母」にさせないという宣言が「ひとつの中国」にほかならない。 アメリカのハリー・トルーマン政権は第2次世界大戦後の中国を国民党に支配させる予定で、20億ドルを提供し、軍事顧問団を派遣していた。ソ連ヨシフ・スターリンも蒋介石体制の樹立を容認している。 当時の戦力を比較すると、国民党軍は200万人の正規軍を含め、総兵力は430万人。それに対し、紅軍(コミュニスト)は120万人強にすぎず、装備は日本軍から奪った旧式のもの。勝負は明らかのように見えたのだが、1947年の夏に農民の支持を背景として人民解放軍(同年3月に改称)が反攻を開始。兵力は国民党軍365万人に対し、人民解放軍は280万人で接近、48年の後半になると人民解放軍が国民党軍を圧倒するようになった。1949年1月には解放軍が北京に無血入城、コミュニストの指導部も北京入りし、10月には中華人民共和国の樹立が宣言されている。トルーマン政権はこの体制を軍事的に倒そうとする。そのための兵站拠点になったのが日本にほかならない。【朝鮮戦争】 そして1950年6月25日に朝鮮戦争が始まるのだが、その前からアメリカの破壊工作部隊は朝鮮半島で挑発作戦を展開し、小規模の軍事衝突はあった。その当時、ダグラス・マッカーサーに同行して日本にいた歴史家のジョン・ガンサーによると、半島からマッカーサーに入った最初の電話連絡は「韓国軍が北を攻撃した」というものだ。 朝鮮戦争勃発後、山岳での戦闘に不慣れなアメリカ軍は劣勢になり、南端まで追い詰められる。そこで救いの手を差し伸べたのが旧日本軍の参謀たちだったとされている。 琉球諸島の西にある台湾も「空母」だと見なされていたが、日本が征服する前、そこに住む人びとの間には共通のアイデンティティがなかったという。 漢民族は祖先である氏族、あるいは故郷の福建省や広東省との結びつきをより強く意識、先住民族は部族的なアイデンティティで繋がっていた。日本の植民地になった後、台湾では共通のアイデンティティが形成され始めた。【日本軍の参謀たち】 第2次世界大戦後、日本軍の将校、下士官、兵士が蒋介石軍によって処刑される中、日本は台湾との軍事的な協力関係を築いている。蒋介石が接近した旧日本軍大将の岡村寧次は海で戦犯として裁判にかけられたが、1949年1月に無罪の判決を受けてすぐに帰国、GHQ/SCAPの保護下に入っている。蒋介石が岡村の下へ曹士徴を密使として派遣したのは同年4月のことだ。 曹は岡村や富田直亮少将と東京の高輪で会談して「台湾義勇軍」を編成することで合意、富田少将が「白鴻亮」の名前で義勇軍を指揮することになった。そこで義勇軍は「白(パイ)団」と呼ばれている。 その白団は1950年の正月頃に台湾へ渡り、日本軍の戦術や軍事情報を台湾軍に教育して国家総動員体制を伝授した。翌年の夏までに83名の旧日本軍参謀が台湾へ渡っている。 白団へ軍事情報を渡していたのは「富士倶楽部」、つまり陸士34期の三羽烏と呼ばれた服部卓四郎大佐、西浦進大佐、堀場一雄大佐、あるいは海軍の及川古四郎大将や大前敏一大佐たちだ。服部はノモンハン事件で作戦指導を行った軍人で、1949年には市ヶ谷駅の近くに「史実研究所」をつくり、その後、約20年間に白団へ6000点ほどの資料を渡している。その中には自衛隊の教科書も含まれていた。白団メンバーのうち23名は自衛隊へ入っている。 服部や大前を含む旧日本軍の軍人、つまり有末精三陸軍中将、河辺虎四郎陸軍中将、辰巳栄一陸軍中将、服部卓四郎陸軍大佐、中村勝平海軍少将、大前敏一海軍大佐はアメリカ軍の下で活動している。このグループはKATO機関、あるいはKATOH機関と呼ばれた。 森詠によると、このうち辰巳中将を除く5名は東京駅前の日本郵船ビルを拠点にしていた。その3階には「歴史課」と「地理課」があり、歴史課は1947年5月から50年12月まで活動、地理課は朝霞のキャンプ・ドレークに移転した後、75年まで王子十条にあったアメリカ軍の施設内で活動していたと言われている。 歴史課には杉田一次陸軍大佐、原四郎陸軍中佐、田中兼五郎陸軍中佐、藤原岩市陸軍中佐、加登川幸太郎陸軍少佐、大田庄次陸軍大尉、曲寿郎陸軍大尉、小松演陸軍大尉、大井篤海軍大佐、千早正隆海軍中佐らが、また地理課には山崎重三郎陸軍中佐など参謀本部支那班の元メンバーが出入りしていた。こうした旧日本軍の軍人たちを統括していたのはGHQ/SCAPのG2(情報担当)を統括していた親ファシストのチャールズ・ウィロビー少将だ。(森詠著『黒の機関』ダイヤモンド社、1977年)***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.13
ドナルド・トランプ米大統領によると、12月10日にアメリカの沿岸警備隊が海軍の支援を受け、ベネズエラ沖でキューバに向かっていた石油タンカーを拿捕した。そうした作戦を実行しなければならなかった理由は示されず、単なる海賊行為だと考える人も少なくない。キューバ系のマルコ・ルビオ国務長官はベネズエラを軍事侵攻した後、キューバの体制を転覆させようとしているとされている。 アメリカがカリブ海に艦隊を入れてベネズエラを威嚇し始めたのは今年8月のことだった。9月からトランプ政権は「麻薬密売船」だとして小型船を約20回にわたって爆撃し、少なくとも80人を殺害している。11月16日には空母ジェラルド・R・フォードが5隻の艦船を伴ってカリブ海へ入り、閉鎖されていたプエルトリコの海軍基地を修復して使えるようにした。 アメリカ軍はすぐにでもベネズエラへ軍事侵攻すると言われたが、10月下旬にロシアのアヴィアコン・ジトトランス所属のIl-76TD輸送機がベネズエラへ何かを運んだ頃からアメリカ軍の勢いは急速に弱まっている。 アヴィアコン・ジトトランはロシア軍や傭兵会社ワグナーの貨物を輸送したとしてアメリカから「制裁」されていることから軍事物資、あるいは戦闘員を輸送したのではないかと言われている会社。ロシアのスペツナズ(特殊部隊)もベネズエラへ入ったとする話も伝えられた。 11月上旬には2機のB-52爆撃機をベネズエラへ向けて飛行したが、この時、B-52は陸地から約100キロメートルの地点でロシア製防空システムであるS-300に照準を合わされ、基地へ引き返している。ベネズエラはそのほか、中低高度の防空システムであるブークM2e、シリアで有効性が証明された近距離対空防御システムのパンツィリ-S1も配備したとされている。アメリカ軍がベネズエラへ軍事侵攻した場合、こうした防空システムの洗礼を受けることになるわけだ。 かつて中南米はアメリカの「裏庭」だと言われた。アメリカの巨大資本が軍事独裁政権を使って支配する植民地だったのだ。 ヨーロッパの富豪は膨大な資産を保有しているが、その基盤は十字軍が中東から盗み出した知識、そして15世紀から17世紀にかけてスペインやポルトガルが南アメリカから盗み出した金や銀を含む財宝だ。盗んだ財宝を運ぶスペインやポルトガルの船を海賊に襲わせ、横取りしていたのがイギリスである。 その後ラテン・アメリカはスペインの支配下にあったが、19世紀の終盤、アメリカは南への侵略を始める。国内で先住のアメリカ・インディアンを殲滅、土地の支配も一段落したところで新たな略奪先としてラテン・アメリカに目をつけたわけである。 侵略戦争を始める切っ掛けは1898年に引き起こされた出来事。アメリカの軍艦メイン号がキューバのハバナで爆沈したのだ。船に積まれていた火薬が爆発したのだが、アメリカは水雷による攻撃が原因だと主張、戦争に発展した。事故説やアメリカ側の自作自演説を信じる人は少なくない。 事件の前からキューバをめぐってアメリカとスペインとの間では軍事的な緊張は高まっていた。ウィリアム・マッキンリー米大統領は外交的に問題を解決したいと考えていたが、アメリカの新聞はアメリカ国民を煽り、戦争へと駆り立てる。メイン号の事件は外交的解決への道を閉ざすことになり、大統領は開戦に踏み切った。 戦争はアメリカの勝利で終わり、スペインはキューバの独立を認め、アメリカがキューバを支配することになった。さらにプエルトリコ、グアム、フィリピンをアメリカは買収する。フィリピンは中国を侵略するための拠点になった。 マッキンリーは1901年にニューヨークで暗殺され、副大統領から昇格したのがセオドア・ルーズベルト。新大統領は軍事力を使った侵略に前向きで、「棍棒外交」を展開することになる。最初のターゲットがベネズエラだった。 ベネズエラでは1998年に選挙があり、ウゴ・チャベスが勝利。チャベスは1999年2月から大統領を務め、アメリカが支配する仕組みを壊してしまう。その時代に副大統領だったのがニコラス・マドゥロにほかならない。 2001年にアメリカ大統領となったジョージ・W・ブッシュは、その翌年からチャベス政権を倒すための秘密工作を始めた。工作の中心にはイラン・コントラ事件に登場したエリオット・エイブラムズ、キューバ系アメリカ人で1986年から89年にかけてベネズエラ駐在大使を務めたオットー・ライヒ、そして1981年から85年までのホンジュラス駐在大使を務め、2001年から04年までは国連大使、04年から05年にかけてイラク大使を務めたジョン・ネグロポンテがいた。 ホンジュラス駐在大使時代、ネグロポンテはニカラグアの革命政権に対するCIAの秘密工作に協力、死の部隊(アメリカの巨大企業にとって都合の悪い人たちを暗殺する組織)にも関係している。クーデターが試みられた際、アメリカ海軍の艦船がベネズエラ沖に待機していた。ウィキリークスが公表したアメリカの外交文書によると、2006年にもベネズエラではクーデターが計画された。 2007年にアメリカの支配層はベネズエラの体制を転覆させるため、「2007年世代」を創設、09年には挑発的な反政府運動を行った。こうしたベネズエラの反政府組織に対し、NEDやUSAIDといったCIAの資金を流す組織は毎年40004万ドルから5000万ドルを提供していた。 その2年前、つまり2005年にアメリカの支配層は配下のベネズエラ人学生5名をセルビアへ送り込んでいる。そこにはCIAから資金の提供を受けているCANVASと呼ばれる組織が存在、そこで学生は体制転覆の訓練を受けている。このCANVASを生み出したのは1998年に組織されたオトポール!なる運動だ。 この運動の背後にはCIAの別働隊であるIRIが存在した。このIRIは20名ほどのリーダーをブダペストのヒルトン・ホテルへ集め、レクチャーする。講師の中心的な存在だったのは元DIA(国防情報局)分析官のロバート・ヘルビー大佐だ。 抗議活動はヒット・エンド・ラン方式が採用された。アメリカの政府機関がGPS衛星を使って対象国の治安部隊がどのように動いているかを監視、その情報を配下の活動家へ伝えている。このとき、アメリカは情報の収集や伝達などでIT技術を使う戦術をテスト、その後の「カラー革命」におけるSNSの利用にもつながった。(F. William Engdahl, “Manifest Destiny,” mine.Books, 2018) 体制転覆の企てが成功しなかった理由のひとつはチャベスのカリスマ性にあったが、そのチャベスが2013年3月、58歳の若さで死亡する。その後継者が現大統領のニコラス・マドゥロだ。 生前、チャベスは、アメリカ政府が南アメリカの指導者を癌にしているのではないかと発言している。ブラジルのジルマ・ルセフ大統領、ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ元大統領、そしてパラグアイのフェルナンド・ルゴ大統領が相次いで癌になっていた。癌を誘発する物質やウイルスはあるので、不可能なではない。 同じ時期にアルゼンチンのクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領も甲状腺癌だとされ、手術したが、後に癌でなかったとされている。なお、キルチネル大統領の夫、ネストル・カルロス・キルチネル元大統領は2010年に心臓病で死亡している。 死の前、ネストル・キルチネルは映画監督のオリバー・ストーンに対し、ジョージ・W・ブッシュ米大統領が戦争は「経済活性化」の手段だ力説していたと語っている。その様子はドキュメンタリー映画「国境の南」に納められている。 ところで、2014年2月から5月にかけて反政府行動があった。その指導者のひとりだったフアン・グアイドは2019年に大統領を自称する。この人物はカラカスの大学を卒業した2007年にアメリカのジョージ・ワシントン大学へ留学している。 グアイドを利用したクーデターは失敗、現在、アメリカの手先として活動しているのはマリア・コリーナ・マチャド。今年のノーベル平和賞受賞者だ。この人物は今年11月5日から6日にかけてマイアミで開かれたアメリカ・ビジネス・フォーラムのイベントにリモートで登場、ベネズエラからニコラス・マドゥロ大統領を排除すれば、1兆7000億ドルの投資機会がアメリカの巨大企業へもたらされると主張していた。ノーベル平和賞の受賞もベネズエラにおける「クーデター劇」の演出に含まれていたのだろう。 ウクライナでロシアに負けたアメリカは、ラテン・アメリカや東アジアで「世界の支配者」というイメージを復活させようとしているが、その前にはロシアと中国が立ちはだかっている。このふたつの国と自らが戦うことはできない。振り上げた拳を下ろすわけにいかないトランプ政権は海賊行為で逃げたのかもしれない。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.12

自衛隊隊によると、ロシアのTu-95爆撃機と中国のH-6爆撃機が12月9日、宮古島と沖縄島の間を通過して太平洋へ入り、四国沖まで飛行したという。途中、沖縄島と宮古島の間で中国のJ-16戦闘機も合流、日本海ではロシアのA-50早期警戒管制機とSu-30戦闘機が飛行していた。それに対して自衛隊は戦闘機を緊急発進させたという。アメリカ国防総省の計画に従って自衛隊がミサイル発射施設を建設中の地域を中露の軍用機が飛行して日本側の反応を見たのだろう。 バラク・オバマ政権がウクライナでクーデターを実行、香港でアメリカのCIAやイギリスのMI6が「佔領行動(雨傘運動)」なる反中国運動を展開した2014年頃から中国は欧米諸国の敵対的な姿勢を認識、すでに攻撃を受けていたロシアに接近し始めた。両国は経済的な繋がりだけでなく軍事的な協力関係も強化している。高市早苗首相の言動はそうした動きを加速させることになった。 そうした中、ロシアのセルゲイ・ショイグ安全保障会議議長はアジア太平洋地域に出現しつつある「NATOの萌芽」について語り、日本の急速な軍備拡張と防衛予算の増加は地域の情勢が変化していることを示しているとしている。 ウクライナでは崩壊したクーデター体制軍を保管するため、イギリスやフランスをはじめとするNATO軍の将兵が入り、ロシア軍と戦っていたが、ここにきてロシア軍はそうしたNATO軍に対する攻撃を強めている。これまでも劣勢にあったウクライナ軍だが、ここにきて総崩れになりつつある。アメリカのドナルド・トランプ大統領が戦争を終結させようと焦っているのはそのためだ。 終結が遅れればその分ロシアに攻め込まれてしまうからだが、EUを動かしている人びとは戦争の終結を嫌っている。1990年代から旧ソ連圏を支配するために多額の資金を投入している巨大資本、あるいは米英の情報機関は戦争を止められない。ウクライナで暗躍している金融機関はブラックロックやJPモルガンなど。故ジェイコブ・ロスチャイルド、その息子であるナット・ロスチャイルド、ロスチャイルド金融資本と関係の深いジョージ・ソロスなどの名前も出てくる。 ガザでの虐殺を容認、ウクライナでの戦争を推進しているドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックで監査役を務め、エマニュエル・マクロン仏大統領はロスチャイルド銀行で働いていた人物。イギリスのキア・スターマー首相はシオニスト、つまり親イスラエルであることを公言している。 ウクライナの魅力として資源が喧伝されてきたが、穀倉地帯が広がっていることでも有名。その穀倉地帯の約4分の1を外国企業が所有している。2022年には約3分の1をカーギル、デュポン、モンサントの3社が所有、この3社は効率性を高めるため、コンソーシアムとして契約を締結して事業を開始した。 このコンソーシアムは事実上、ウクライナの土地の半分以上を支配しているのだが、カーギル、デュポン、モンサントには黒幕が存在する。3社の主要株主には巨大金融機関のブラックロック、バンガード、ブラックストーンが名を連ね、ウォロディミル・ゼレンスキーはブラックロックのほかJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスと協力関係にあるのだ。ブラックロックは2022年後半からウクライナ政府のコンサルタントを務め、ブラックロック傘下の企業はウクライナの戦略的資産の大部分を支配するようになったと報道されている。 ロシア政府はウクライナの非軍事化、非ナチ化、中立化、西側諸国が凍結したロシア資産の返還、そして領土の「現実」を求めているが、ロシア政府はその目的を軍事的に達成するしかないと考えている。軍の進撃を止めるにはロシア側の要求を呑むしかないとトランプ大統領は考えているようだが、EUの「エリート」たちはそれができない。ウクライナへ流入した資金がどこへ流れたかを明らかにできないという事情もあるだろう。 ヨーロッパには「停戦」で戦力を立て直す時間を稼ぎ、何年か後に再びロシアを攻めようと目論んでいる勢力もいるようだが、当然、ロシアはそれを認識している。だからこそ軍事的に解決すると決断したのだ。 日本にはいまだにロシア軍が兵器や予算が欠乏しているというような御伽話を語っている人もいるようだが、2022年以降、ロシアは兵器の生産能力が大幅に向上、生産量は消費量を上回っている。新しく開発された高性能兵器の生産も本格化しているようだが、それほど使われていないのはNATO軍との全面戦争に備えているからだと見られている。 こうしたウクライナでの展開を受け、軍事的な緊張が急速に高まったのがカリブ海と東アジアだ。 東アジアでアメリカは同じアングロ・サクソン系国のイギリスやオーストラリアとAUKUSを創設、アメリカ、オーストラリア、インド、日本はクワドなるグループを編成、軍事的な連携を強化してきたが、インドはロシアや中国に接近、アメリカと距離を置いている。 NATO(北大西洋条約機構)の事務総長だったイェンス・ストルテンベルグは2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーとするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言しているが、こうした目論見をロシアは警戒してきた。ロシアのニコライ・パトロシェフ大統領補佐官はAUKUSが中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」だと批判している。 本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、日本は1995年にアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.11
沖縄本島南東の公海上空で中国海軍の空母「遼寧」から発艦したJ-15(殲-15)戦闘機が12月6日、自衛隊のF-15戦闘機に対し、レーダー照射したと日本の防衛省は12月7日に発表した。中国側に強く抗議したとしている。それに対し、中国政府は緊急発進した自衛隊機が演習空域に接近、飛行の安全を脅かしたと反論した。 日本が中国との関係を悪化させたのは菅直人政権の時だ。菅政権は2010年6月の閣議決定で尖閣諸島周辺の中国漁船を海上保安庁が取り締まれることにして「日中漁業協定」を否定、そして2010年9月に石垣海上保安部は中国の漁船を尖閣諸島の付近で取り締まった。菅政権は田中角栄と周恩来が決めた尖閣諸島の領土問題を棚上げにするという取り決めを壊したのだ。 こうした中国との関係を壊す行為の中心にいた前原誠司は松下政経塾の出身で、2009年9月から10年9月まで国土交通相、10年9月から11年3月まで外相を務めている。 前原と同じ松下政経塾出身の高市早苗首相は10月7日、衆院予算委員会において、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。 時代遅れで運用している国はないと言われる戦艦を持ち出したことはともかく、台湾で軍事衝突があれば軍事介入する意思を示したと言えるが、歴代の日本政府は「ひとつの中国」を受け入れてきた。高市首相もそうした立場を継承するならば、台湾で戦闘があってもそれは内戦ということになる。高市首相の発言は、その内戦に日本が軍事介入するということを意味するわけだ。 言うまでもなく、高市首相に対する質問は事前に提出されていた。それに基づいて官僚が作文するのだが、今回の場合はそれに首相が「存立危機事態発言」を付け加えたわけだ。彼女のアドリブだったとは思えない。官僚以外の何者かの指示があった可能性がある。 そして11月23日には小泉進次郎防衛相が与那国島を視察した際、同島にミサイルを配備する計画を発表した。与那国島、奄美大島、宮古島、石垣島、そして台湾にミサイルを配備することをアメリカ軍は予定しているので、その計画を実行するということだ。台湾にアメリカ軍の基地やミサイル発射施設が建設される事態になれば、中国が台湾を攻撃する事態はありえる。日本はすでにアメリカの「不沈空母」だが、中国を侵略しようとする国は台湾も「不沈空母」とみなしている。 高市首相や小泉防衛相の発言がアメリカのドナルド・トランプ大統領が韓国で中国の習近平主席と会談して間もない時点でのことだということに注目する人もいる。 この会談では台湾問題は両者によって明確に棚上げされ、経済問題が議論されたようだ。トランプ大統領は中国に対して経済戦争を仕掛け、失敗している。韓国での会談で中国がレアアースに対する輸出規制の一時停止に同意したことは大きいだろう。トランプ大統領は中国に「膨大な量の大豆やその他の農産物」を直ちに購入させることができたとも語っている。 アメリカと中国は台湾問題を棚上げにして、悪化した経済的な関係をある程度修復、アメリカ経済の急速な悪化にブレーキをかけることに成功したと言える。そうした中での高市首相や小泉防衛相の発言だ。この順番が逆だった場合、中国のアメリカに対する姿勢は厳しいものになったかもしれない。アメリカが中国との関係をこれ以上悪化させないで中国を挑発する道具に日本はなっている。日本の政治家ふたりは米中首脳会談が終わるのを待っていたようにも見える。 欧米諸国はロシアを征服するための手先としてウクライナを使い、アメリカは中国を屈服させるために日本を使おうとしている。いずれも西側諸国が簡単に勝てるというシナリオになっていたのだろうが、ウクライナではロシアに敗北している。 本人が自覚しているかどうかはともかく、高市や小泉は日本をウクライナのようにしようとしている。原発を海岸線に並べ、食糧を自給できない日本が中国と戦争できるはずがないのだが、彼らはそうしたことを考えないのだろう。それでも戦争へ突き進めば日本は破滅する。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.10

【窮地のNATO軍事顧問団】 ウクライナではロシア軍の進撃スピードが加速、撤退できず包囲網の中に「外国人傭兵」やNATOの軍事顧問団も取り残されるケースが増えているようだ。一般ウクライナ兵の投降が増えているようだが、そうした動きをネオ・ナチで編成された親衛隊や外国人傭兵が阻止している。フリアイポレもそうした状況だ。 西側諸国がロシアに対して仕掛けた経済戦争も失敗、ロシア経済は好調。物価は上昇しているものの、それを上まる率で賃金が上昇、失業率も低い。経済戦争で深刻なダメージを受けたのはヨーロッパだ。ウクライナを利用してロシアを壊滅させられると信じていた人びともこうした現実を認めざるをえなくなっているが、今後、状況は一変すると主張している。「神風」が吹くと信じているのかもしれない。ロシア国内には少なからぬ西側の人が生活、あるいは旅行しているが、市民生活に変化はなく、物不足ということもない。 ウクライナを侵略し、そこからロシア征服を目指すという計画をイギリスは19世紀から持っていた。それを実行したのはナチス時代のドイツにほかならない。バルバロッサ作戦だ。結局、ソ連が勝利したのだが、戦死したソ連軍兵士は870万人から1000万人、殺された市民は1800万人から2400万人(ロシアの発表では2660万人)で、多くの生産設備が破壊されている。結局、ソ連はこのダメージから最後まで立ち直ることはできなかった。おそらく、NATO側は同じようなダメージをウクライナがロシアに与えることを期待したのだろうが、失敗した。【ネオコンの対中露戦争】 ソ連が消滅した直後の1992年2月、アメリカの国防総省ではDPG(国防計画指針)の草案が作成された。国防次官を務めていた大物ネオコンのポール・ウォルフォウィッツが中心になって書かれたことから、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。この指針を読むと、ソ連の消滅でアメリカは唯一の超大国になったとネオコンは確信、世界制覇戦争を始めようとしていたことがわかる。 そのドクトリンにはドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということだが、最重要事項は新たなライバルの出現を防ぐこと。西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないということだが、東アジアには中国だけでなく日本も含まれている。 日本がこの計画に取り込まれたのは1995年だと言えるだろう。日本が独自の道を歩もうとしているとネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に報告、1995年2月になると、ジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令した。 こうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。1995年のこうした出来事は日本のエリートを揺るがしたはずだ。 その頃、日本政界の中心には後藤田正晴がいた。警察庁長官を経て政界へ入り、田中角栄の懐刀と呼ばれる存在になった人物だ。田中失脚後も日本では大きな存在だった。その後藤田は1996年に引退している。その5年後、ネオコンは「9/11」を利用し、世界制覇戦争を始めた。【ウクライナのクーデター】 2014年2月にネオコンはネオ・ナチを使ったクーデターでウクライナを乗っ取ることに成功するが、ロシア文化圏である東部や南部を中心に反クーデターのウクライナ人は少なくなかった。その結果、南部のクリミアがロシアと一体化し、東部のドンバスで武装抵抗から内戦になったわけだ。 この内戦は当初、反クーデター軍が優勢。そこで欧米諸国はロシアに停戦を持ちかける。それが2014年の「ミンスク1」や15年の「ミンスク2」にほかならない。クーデター体制の戦力を増強させるための時間を稼ぐことが目的だった。このことはアンゲラ・メルケル元独首相が明言し、フランソワ・オランド元仏大統領が認めている。今回、ロシアが停戦に応じないのはこうした経緯があるからだ。 イギリス、フランス、ドイツを中心とするNATO諸国には、2030年までに戦力を増強し、ロシアと全面戦争を始めると主張する人たちがいる。イギリスのキール・スターマー首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はそうしたグループに属している。 停戦を実現して時間を稼ぐことをミンスク合意で煮湯を飲まされたロシアが認めるはずはない。そこで英仏独の政府は戦争を継続させようと考え、ウクライナに「総玉砕」を求めている。そのヨーロッパからドナルド・トランプ米大統領は距離を置いている。【ネオコンの対中戦略】 1995年以降、日本の軍事戦略はネオコンが描いている。この戦略に従い、自衛隊は2016年に与那国島で軍事施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。この背景にはアメリカ国防総省のミサイル配備計画がある。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書は、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画について説明している。アメリカの計画に基づいて自衛隊は軍事施設を建設したと言えるだろう。核弾頭を搭載できるトマホークを配備するともされているが、トマホークが発射されたなら、相手は核弾頭が搭載されているという前提で反応する。つまり核兵器で反撃される可能性がある。 GBIRMで中国を包囲する計画は2016年の前に作成されているはずであり、高市早苗首相が11月7日に衆議院予算委員会で行った「台湾有事発言」を「舌禍」と呼ぶべきではないだろう。アメリカ軍の対中国戦略を始動させるために発言した可能性が高い。 11月23日には小泉進次郎防衛相が与那国島を視察、その際、同島にミサイルを配備する計画を発表した。与那国島、奄美大島、宮古島、石垣島、そして台湾にミサイルを配備することをアメリカ軍は予定しているだろう。台湾にアメリカ軍の基地やミサイル発射施設が建設される事態になれば、中国が台湾を攻撃する事態はありえる。ミサイル配備が東アジアの緊張を高めることは間違いない。 しかし、トランプ政権が中国に経済戦争を仕掛けた後、反撃を受けてアメリカは窮地に陥っているようだが、アメリカの基本戦略は中国の制圧である。2022年にアメリカの下院議長だったナンシー・ペロシが台湾訪問して中国を刺激したが、これもその戦略に基づく。こうした対中国戦略は19世紀にイギリスが中国(清)に対して仕掛けたアヘン戦争の延長線上にあり、アングロ・サクソンの長期戦略が今でも維持されていることは彼らの行動が示している。 アヘン戦争で中国を制圧できなかったイギリスは明治維新を仕掛け、新体制の日本は琉球併合、台湾派兵、江華島事件、そして日清戦争、日露戦争へと進み、満州国を建国した。ここまでの動きはアングロ・サクソンの利益に適っている。そこから日本軍が北上すれば、ソ連は西から攻めるドイツとサンドイッチになっていた。アングロ・サクソンの手先として、日本は再び同じ動きをしているが、すでに西部戦線でNATOは敗北している。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.09
ウラジミル・プーチン露大統領は1万人以上のウクライナ軍がクピャンスクとクラスノアルメイスク(ポクロフスク)で包囲されていると発表したが、ポクロフスクに近いディミトロフ(ミルノフラード)も包囲されているようだ。 ミルノグラードでロシア軍は空中投下式の5000キログラム爆弾FAB-5000を数発投下、ウクライナ兵と外国人傭兵が拠点にしていた市街地を消滅させたと言われている。そこにはウクライナ軍将校とNATO軍将校の拠点があった。この大型爆弾の投下を知った100名以上のウクライナ兵が降伏したという。 この地域に限らず、ウクライナ側の部隊はロシア軍の攻勢を持ち堪えられなくなってきた。早晩、総崩れになると見られている。2014年の「ミンスク1」や15年の「ミンスク2」と同じように、ロシアを再攻撃するための戦力を回復させる時間を稼ぐための停戦にロシア側は応じないはずだ。なお、ミンスク1とミンスク2が戦力回復のための時間稼ぎだったことはアンゲラ・メルケル元独首相やフランソワ・オランド元仏大統領が認めている。今回、ロシアが停戦に応じないのはこうした経緯があるからだ。停戦が実現しなければ、ロシアの攻勢は止まらない。 本ブログで繰り返し書いてきたように、アメリカのネオコンは1992年2月に世界征服プロジェクトを作成した。アメリカ国防総省で作成されたDPG(国防計画指針)の草案だが、この指針は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツが中心になって作成され、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 この当時、ネオコンはソ連の消滅によってアメリカが唯一の超大国になったと認識、他国を気にせず勝手気ままに振る舞えると考え、ウォルフォウィッツ・ドクトリンにつながったわけだ。このドクトリンは新たなライバルが再び出現するのを防ぐと宣言、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。。要するに、ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということだ。 ソ連消滅後、ボリス・エリツィン時代のロシアは米英を中心とする西側の巨大資本に支配され、国の富は奪われた。そうした外国勢力による略奪に協力したシャボス・ゴイム的なロシア人もいる。いわゆる「オリガルヒ」だ。このオリガルヒは犯罪組織と連携していた。 21世紀に入るとウラジミル・プーチンが台頭、ロシアを再独立させることに成功した。これが可能だったのは、軍や情報機関を西側が完全に支配できていなかったからだろう。 EU/NATOはロシアを再び属国にしようとする。そこで重要な役割を果たすことになるのがウクライナに他ならない。ネオコンはNATOを東へ拡大、ウクライナをNATOの支配下に置こうとする。これが実現すれば、「新たなバルバロッサ作戦」の開始だ。 ウクライナではビクトル・ヤヌコビッチの大統領就任を阻止するために西側諸国は2004から05年にかけて「オレンジ革命」を仕掛け、ビクトル・ユシチェンコを大統領に据えるのだが、彼の新自由主義的な政策は国民の大半を貧困化、人気は急速に低下した。 そのため、2010年の大統領選挙ではヤヌコビッチが勝利、その政権を倒すため、2013年11月から14年2月にかけてキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でバラク・オバマ政権はクーデターを開始、ヤヌコビッチは排除された。 クーデターでネオコンはネオ・ナチを利用、新たに誕生した体制でオレクサンドル・トゥルチノフが大統領代行を経てペトロ・ポロシェンコが大統領に就任した。このポロシェンコはアメリカの傀儡にすぎず、国民から拒否される。2019年の大統領選挙で勝利したのは、ロシアとの関係修復を訴えたウォロディミル・ゼレンスキーが勝利した。ゼレンスキーはイギリスの対外情報部MI6のエージェントだった可能性がある。 対ロシア戦争が始まったのは2008年8月。北京で夏季オリンピックが開催されたが、その開会に合わせてジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃したのだ。 この攻撃はイスラエルとアメリカが兵器など軍事物資を供給、将兵を訓練しただけでなく、イスラエルが作戦を立てたと言われている。その攻撃でジョージア軍はロシア軍に完敗した。この奇襲攻撃によって対ロシア戦争は開始された。 しかし、ネオコンをはじめとする西側の「エリート」は簡単にロシアを倒せると信じた。その理由は不明だが、スラブ人蔑視が背景にある可能性は小さくない。 現在、EUを動かしている欧州委員会委員長のウルズラ・フォン・デア・ライエン、エストニアの首相から欧州連合外務安全保障政策上級代表になったカヤ・カラスなどはネオコンと同じように強い反ロシア感情を持っている。 そこでロシアを叩き潰したいのだが、ウクライナでロシアの勝利は決定的。ロシア側が主張してきたウクライナの非軍事化、非ナチ化、中立化、西側諸国が凍結したロシア資産の返還、そして領土の「現実」を認めるしかないのだが、それをフォン・デア・ライエンやカラスを含む嫌露派は拒否している。このまま進めば降伏するしかない。そのためアメリカはウクライナから距離を置き始めたのだが、EUのエリートはロシアと戦争するというポーズをとっている。実際にロシアと戦争し、勝利することは不可能。核ミサイルをロシアに撃ち込むつもりかもしれないが、報復でヨーロッパは消滅する。そうした事態になる前に経済破綻でヨーロッパは崩壊する。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.08
ウクライナを舞台とした戦争でNATOはロシアに敗北している。アメリカは無様な姿を晒したくないため、ロシアの要求を呑もうとしているようだが、負けるわけにはいかないヨーロッパ諸国はウクライナに「総玉砕」を要求、ロシアの資産を使って戦争を続けようとしている。西側ではトランプ政権が「親ロシア的だ」と文句を言っているが、ロシアが勝利した以上、仕方のないことだ。 戦争を始めたのはアメリカのネオコンだが、ここにきてドナルド・トランプ政権の内部でネオコンの力が弱まってきたように見える。そこでネオコンの支配下にあるヨーロッパの勢力は自力で戦わざるをえないようだ。 ロシアとの戦争を主張しているヨーロッパの国々の中で中心的な存在はイギリス、フランス、ドイツ。11月25日にはイギリスのキール・スターマー首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相が共同議長を務めた会議が開かれ、38カ国、NATO、EUが参加しただけでなく、ジョージ・ソロスの代理としてラドミラ・シェケリンスカが出席した。この中でイギリスはロシアとの対立を望まないとされているが、ミサイルを使った攻撃や工作員を使ったテロ活動を繰り広げている。 イギリスは2014年に開かれたNATOの首脳会議において、イギリスはNATOの内部に合同遠征軍(JEF)を創設した。この遠征軍はイギリスの指揮下、デンマーク、エストニア、フィンランド、アイスランド、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、オランダ、スウェーデンが参加している。今年11月5日、イギリスはNATO非加盟国であるウクライナをこの合同遠征軍(JEF)に含めた。 イギリスの首相を務めていたウィンストン・チャーチルの側近、ヘイスティング・イスメイはNATOの初代事務総長を務めている。そのイスメイはNATO創設の目的について、ソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることにあるとしていた。ソ連からの攻撃に備えるためではないということを認めている。実態はヨーロッパを支配する仕組みだった。そのNATOを指揮してきたのはイギリスとアメリカだ。そのイギリスとアメリカがここにきて分裂しているように見える。 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターのドキュメンタリーによると、ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントの可能性が高く、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はMI6長官だったリチャード・ムーアだと推測されていた。そのムーアが今年10月1日に退任し、ブレーズ・メトレベリへ引き継がれている。 ウクライナではアメリカを後ろ盾とするNABU(ウクライナ国家汚職対策局)とSAPO(特別反腐敗検察)が汚職捜査「ミダス作戦」を進めている。この捜査で法務大臣を名乗っていたヘルマン・ハルシチェンコとエネルギー大臣を名乗っていたスビトラーナ・グリンチュークはすでに辞任、国防大臣を務めていたルステム・ウメロウは7月に辞任を表明し、11月に入って国外へ脱出、カタールにいると言われ、コメディアン時代からゼレンスキーと親しいテレビ制作会社共同オーナーのティムール・ミンディッチはイスラエルへ逃亡したという。 2014年2月のクーデター後、ウクライナのGUR(国防省情報総局)とSBU(ウクライナ安全保障庁)はアメリカの情報機関CIAの配下に入ったと考えられているが、GURの工作員が12月3日、療養所の敷地内に侵入、門と柵を破壊し、空中と地上に向けて発砲、A4005部隊の軍人10人を捕虜にし、重傷を負わせたとする話が伝えられている。この話が事実ならば、ウクライナの権力システムは崩壊寸前だ。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.07

ウラジミル・プーチン露大統領が12月4日、ニューデリーに着いた。ドナルド・トランプ米大統領はインドとロシアの接近を妨害するために経済的な圧力を加えたが、効果はなかったようだ。軍事やエネルギーについて話し合うと見られている。 8月31日から9月1日にかけて天津でSCO(上海協力機構)の首脳会議が開催され、24カ国と9国際組織の首脳が参加した。その際、ロシア、中国、そしてインドの結束が世界にアピールされている。会場から引き上げる際、プーチン大統領はインドのナレンドラ・モディ首相を自身のリムジンへ招き入れ、親密さを示した。ロシアとインドの二国間会談でロシアの通訳は英語でなくヒンディー語を使ったことも話題になった。 この会議が始まった8月31日、テレンス・アーベル・ジャクソンと名乗るアメリカ人の死体がダッカにあるホテルの客室で発見された。 インドのメディア、ノースイースト・ニュースによると、ジャクソンは米陸軍第1特殊部隊司令部に所属、8月27日にチェックインしていたとされているが、予約依頼はアメリカ大使館の関係者からウェスティン・ホテルの営業部へ送られていたという。ジャクソンはバングラデシュ軍の将校を訓練しているチームのひとりだったとも言われているのだが、第1特殊部隊司令部の広報担当者はジャクソンが同部隊に所属していたとする報道を否定している。 死体が発見された後、午後12時半頃にアメリカ大使館の職員3名がホテルを訪れ、大使館との関係について話さないように指示したという。大使館は死体を8月31日の午後6時半頃には運び出した。この出来事が注目されたのはタイミングだ。天津でプーチンがモディを自身のリムジンへ招き入れた理由についても噂が流れている。 インドがロシアとの関係深めている現在、バングラデシュはアメリカにとって重要な国になっている。この国では昨年6月から8月にかけて、学生が主導する反政府運動が激しくなり、インドや中国と友好的な関係あったシェイク・ハシナ政権が倒され、ムハマド・ユヌスを首席顧問とする暫定政府へ移行している。 ベネズエラの反政府活動家マリア・コリーナ・マチャドはノーベル平和賞の受賞が決まっているが、ユヌスはアルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞(ノーベル賞ではない)を受賞しているのだが、トム・ハイネマンが2019年に制作した「マイクロ債務」というドキュメンタリーによると、高利貸しと言える人物だ。商業銀行の金利が通常12から13%のところ、ユヌスが1970年代に設立したグラミン銀行は30から40%。こうした高利で借りた人は返済のため、さらに高利の業者からカネを借りなければならず、多くの貧困層を借金漬けになった。 アメリカはベンガル湾の北東部にあるセント・マーチン島に注目、この島に軍事基地を設置し、ミャンマーの港湾を利用している中国に対抗しようと計画していたが、ハシナは昨年5月、外国の軍事基地許可を拒否していた。 バングラデシュはアメリカ海軍にとって重要な物流拠点になる可能性があり、同国の海軍基地は中国とインド洋をつなげるCMECを監視できるとアメリカは指摘、マラッカ海峡のコントロールにも役立つとも考えているようだ。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.05

EPPO(欧州検察庁)からの要請を受け、ベルギー警察は12月2日にブリュッセルのEU(欧州連合)外交部とブルージュにあるヨーロッパ大学を家宅捜索、元外務安全保障政策上級代表のフェデリカ・モゲリーニ学長を含む3名を逮捕したと伝えられている。若手外交官研修プログラムの入札において、不正行為があったと「強く疑われている」のだという。この事件がどのような展開になるかは不明だが、ここにきてヨーロッパのエリート層に疑惑の目が向けられているとは言える。その震源地はウクライナだ。 本ブログでも書いたことだが、ウクライナではウォロディミル・ゼレンスキーの側近として知られているアンドリー・イェルマークの自宅が汚職事件に絡んで家宅捜索を受け、その直後に辞任が発表された。 ゼレンスキーはすでに大統領の任期が切れているわけで、イェルマークを大統領首席補佐官と呼ぶのは奇妙な話だが、とりあえず西側諸国では大統領と大統領首席補佐官ということになっている。事実上、アメリカ政府の機関であるNABU(ウクライナ国家汚職対策局)とSAPO(特別反腐敗検察)が進めている汚職捜査「ミダス作戦」の一環だという。 この捜査で法務大臣を名乗っていたヘルマン・ハルシチェンコとエネルギー大臣を名乗っていたスビトラーナ・グリンチュークはすでに辞任し、国防大臣を務めていたルステム・ウメロウは7月に辞任を表明、11月に入って国外へ脱出、カタールにいると言われている。 コメディアン時代からゼレンスキーと親しいテレビ制作会社共同オーナーのティムール・ミンディッチはイスラエルへ逃亡したと言われているが、彼の所有物の中に純金製のトイレや200ユーロ札が詰まった戸棚などが含まれていたという。ミンディッチは家宅捜索の数時間前に国外へ脱出した。 こうした不正はロシアとの戦争を推進してきた西側諸国から流れ込んできた資金に絡んでいる。そうした資金を動かしているのは金融機関はブラックロックやJPモルガンなど。故ジェイコブ・ロスチャイルド、その息子であるナット・ロスチャイルド、ロスチャイルド金融資本と関係の深いジョージ・ソロスなどの名前も出てくる。こうした金融機関や富豪にとってウクライナでの敗戦は投資の失敗を意味する。 ゼレンスキーは政治家になってもコメディアンとしてシナリオ通りに動き、発言していたはず。ここにきてゼレンスキーの周辺がNABUなどに摘発されているが、このグループを操っていた人たちが欧米にいる。アメリカのネオコン、そしてヨーロッパではネオコンの子分たちだ。そうした仕組みの不正はすでに囁かれてきたが、捜査の対象になっているゼレンスキーの側近がカネの流れを証言し始めると、欧米はパニックになるかもしれない。 アメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッターのドキュメンタリーによると、ゼレンスキーはイギリスの対外情報機関MI6のエージェントの可能性が高く、そのハンドラー(エージェントを管理する担当オフィサー)はMI6長官だったリチャード・ムーアだと推測されていた。そのムーアが今年10月1日に退任し、ブレーズ・メトレベリへ引き継がれている。ゼレンスキーはイギリスの情報機関と密接な関係にある可能性が高く、この人物にメスを入れると、こうした関係が明るみに出るかもしれない。 欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長も疑惑の人物だ。彼女はパンデミック騒動のピーク時にファイザー社のアルバート・ブーラCEOと個人的に書簡を交わし、これがきっかけとなり、EU向けの350億ユーロという「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」供給契約が締結された。「ワクチン」は2027年まで購入される予定だったが、パンデミック騒動が終了した後に需要がなくなり、期限切れのワクチンが数十万回分廃棄された。そもそもパンデミック騒動自体が如何わしく、「COVID-19ワクチン」が深刻な副作用を引き起こしていることも明白だ。フォン・デア・ライエンの責任は重いのだが、今のところ何者かに守られている。 欧州委員会は人類を管理するために便利なデジタルIDの導入を積極的に推進してきた。同委員会が2019年に公表した指針の中には、EU市民向けの「ワクチン・カード/パスポート」を2022年に導入する計画が示されていた。欧州委員会のステラ・キリアキデスは2022年12月、WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長と「世界的な健康問題に関する戦略的協力を強化する」協定に署名している。 WHOと欧州委員会は2023年6月5日、GDHCN(グローバルデジタルヘルス認証ネットワーク)を実現するために「画期的なデジタル・ヘルス・イニシアティブ」を開始、世界的な相互運用可能なデジタル・ワクチン・パスポートを推進すると発表している。 日本で導入された「マイナンバーカード」も一種のデジタルID。岸田文雄内閣は2022年10月13日、「マイナンバーカード」と健康保険証を一体化させる計画の概要を発表、それにともない、それまで使われてきた健康保険証を2024年の秋に廃止すると宣言した。その中心にいたのはデジタル大臣を務めていた河野太郎だ。 発表時、河野太郎デジタル大臣は「デジタル社会を新しく作っていくための、マイナンバーカードはいわばパスポートのような役割を果たすことになる」と述べ、「日本は国民皆保険制度であり、保険証と一体化するということは、ほぼすべての国民にマイナンバーカードが行き渡るということで、格段に普及が進む。」と寺田稔総務大臣は主張した。 ウクライナでNATO軍がロシア軍に敗北したことから欧米エリートの不正が明るみに出始めているが、その不正は人類管理プロジェクトにつながっている。ネオコンをはじめとする西側のエリートはロシアを簡単に屈服させられるという前提で計画を作成、ロシアが消えた後の世界を支配する仕組みを作ろうとしていたのだろうが、その計画は崩れ始めている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.04

アメリカのドナルド・トランプ大統領は麻薬対策という口実でベネズエラへ軍事侵攻する姿勢を見せているが、勿論、本当の理由は違う。石油利権を手にすると同時に、ラテン・アメリカの再植民地化から世界を支配するシステムを立て直そうとしているとしているのだろう。 そうした本音を公然と主張している人物がいる。今年のノーベル平和賞受賞者、マリア・コリーナ・マチャドだ。この人物は長年、ベネズエラの自立した体制を転覆させ、アメリカの巨大資本が支配する帝国主義体制を復活させるために活動をしてきた。 マチャドは今年11月5日から6日にかけてマイアミで開かれたアメリカ・ビジネス・フォーラムのイベントにリモートで登場、ベネズエラからニコラス・マドゥロ大統領を排除すれば、1兆7000億ドルの投資機会がアメリカの巨大企業へもたらされると主張していた。言うまでもなく、投資先の中心には石油がある。マチャドは5日に現れたが、同じ日にトランプも登壇している。 そのトランプは麻薬がアメリカへ密輸されることを防ぐと宣伝しているが、世界最大の麻薬業者はCIAに他ならない。秘密工作の資金としてCIAは麻薬取引を利用してきたのだ。 例えば、ベトナム戦争の時には東南アジア(黄金の三角地帯)のヘロイン、アフガン戦争の際にはパキスタンからアフガニスタンにかけてのヘロイン、そしてラテン・アメリカではコカインだ。その源流はイギリスが中国を侵略するために仕掛けたアヘン戦争だと言えるだろう。いずれも研究者、ジャーナリスト、そしてアメリカ議会がその実態を暴き、CIAの内部調査でもこの事実を確認しているアメリカの先輩にあたる国がアヘン戦争で中国(清)を侵略したイギリスであり、麻薬資金を処理する拠点として香港は重要な役割を演じてきた。 麻薬資金は流動性が高いことから、米英を中心とする金融システムの中で重要な位置を占めている。国連の麻薬犯罪局長を努めていたアントニオ・マリア・コスタによると、麻薬取引の利益はリーマン・ショックのあった2008年の時点で3520億ドルあったと推定され、その資金に救われた銀行がいくつかあるという。(The Observer, 13 December 2009) その2008年にはワコビアという銀行が破綻、ウェルズ・ファーゴに吸収されているが、このワコビアが2004年から07年にかけて3784億ドルという麻薬資金のロンダリングをしていたことが判明している。この事実に気づき、内部告発した社員は解雇されてしまった。 麻薬取引と関係している以上、CIAはマネーロンダリングにも関係している。実際、CIAの銀行はいくつも作られてきた。例えば、対キューバ工作と関係しているバハマ諸島ナッソーのキャッスル銀行、CIAに協力していたユダヤ系ギャングのメイヤー・ランスキーが違法資金のロンダリングに使っていたマイアミ・ナショナル銀行、ペリーン銀行、BWC(世界商業銀行)などだ。 このBWCとつながっているスイスの国際信用銀行はモサド(イスラエルの情報機関)へ資金を流していた。東南アジアのヘロイン取引と関係していたナガン・ハンド銀行、CIAのアフガニスタンにおける工作のために設立されたBCCI。1953年にイランのムハマド・モサデク政権を倒したクーデターでCIAが資金の調達に使ったディーク社は田中角栄を失脚させたロッキード事件でも登場する。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.03
ドナルド・トランプ政権はベネズエラに対して軍事的な威嚇を続ける一方、西側のメディアは怖気づいたニコラス・マドゥロ大統領が国外へ逃亡しようとしているかのような話を流している。 しかし、10月下旬にロシアのアヴィアコン・ジトトランス所属のIl-76TD輸送機がベネズエラへ飛来した頃から状況が変わっている。ロシアから軍事物資、あるいは傭兵会社の戦闘員を運んできたと考えた人が少なくない。ロシアのスペツナズ(特殊部隊)もベネズエラへ入ったとする話も伝えられている。 11月上旬には、アメリカ軍が威嚇のために2機のB-52爆撃機をベネズエラへ向けて飛行させたのだが、陸地から約100キロメートルの地点でロシア製防空システムであるS-300に照準を合わされ、基地へ戻らざるをえなくなった。そのほか中低高度の防空システムであるブークM2e、シリアで有効性が証明された近距離対空防御システムのパンツィリ-S1も配備された。対艦ミサイルも配備されただろう。 中国やイランもベネズエラへの支援を始めていると言われ、イランは航続距離が2500キロメートルだという攻撃用ドローン「シャヘド」を供与、これによってベネズエラはフロリダのアメリカ軍基地を攻撃できるようになった。ベネズエラはアメリカを恐れていないだろう。 トランプに限らず、アメリカの政権はベネズエラを再植民地化して石油を奪おうとしてきたが、そのアメリカでは他の産油国とは違い、生産コストの高いシェール・ガスやシェール・オイルに頼っている。 シェールとは堆積岩の一種である頁岩(けつがん)を意味し、シェール層から天然ガスやオイルを採取するのだが、そのために水圧破砕(フラッキング)と呼ばれる手法が使われている。垂直に掘り下げ、途中からシェール層に沿って横へ掘り進み、そこへ「フラクチャリング液体」を流し込んで圧力をかけて割れ目(フラクチャー)を作って砂粒を滑り込ませ、ガスやオイルを継続的に回収する。この際に化学薬品が使用されるのだが、それによって地下水源が汚染されている。 アメリカの食糧生産はグレートプレーンズ(大平原)の地下にあるオガララ帯水層に支えられてきたのだが、その水位が低下している。その貴重な水源をシェール・ガスやシェール・オイルの開発で汚染しているのである。この帯水層は2050年から70年の間に枯渇する可能性があるとも言われ、アメリカはエネルギーと食糧で危機的な状況だ。 ウクライナをNATOの支配下に置き、ロシアを征服できればそうした問題を解決できたのだろうが、ウクライナでNATO軍はロシア軍に負けてしまった。イギリスなどはウクライナのクーデター政権に対し、最後のひとりまでロシア軍と戦えと命じている。「総玉砕」しろということだ。少しでもロシアを疲弊させ、容易に倒せる状況を作れということだが、それはできそうにない。疲弊しているのはヨーロッパ諸国だ。 ウクライナ軍の補給を支えていた幹線道路が交差するポクロフスクをロシア軍は制圧、ウクライナ側の要塞線は崩壊した。ロシア軍の進撃スピードは速まり、ウクライナ軍の戦死者は百数十万人とも推測され、そのほか、今年8月までにウクライナ軍では約40万人が無許可で部隊を離脱、つまり脱走したと報告されている。 ウクライナ軍の兵士不足は深刻。街頭での拉致が横行しているが、ろくに軍事訓練をしないまま戦場へ送られ、短期間に戦死してしまう。徴兵担当者が賄賂をもらって逃亡させるケースも少なくないようだ。そこでNATO加盟国が情報機関員、特殊部隊員、ミサイルなどのオペレーターだけでなく、通常の兵士も送り込んでいる。1カ国あたり数千名から1万名の部隊を投入、相当数が戦死したという。NATOが部隊を正式にウクライナへ派兵したがっている理由はそうした実態を隠したいからだろうという推測もある。 ウクライナへはブラックロックやJPモルガンといった西側の巨大金融機関が多額の資金を投入してきた。ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はブラックロックの元幹部、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はロスチャイルド銀行の出身。イギリスのキア・スターマー首相はシオニスト、つまり親イスラエルであることを公言している。イスラエルとロスチャイルド家が緊密な関係にあることは言うまでもない。 スターマーに限らず、イギリスの政界はアメリカと同様、イスラエルの影響を強く受けている。その仕組みの中で最も重要な役割を演じてきたとされている人物がトレバー・チン。2005年には「イスラエル・英国ビジネス協議会」の共同議長としてイスラエルを訪れ、アリエル・シャロン首相の輸出国際協力会議に参加。2018年にはトニー・ブレア元首相をはじめとする英国政界の有力者数名が出席したハイム・ヘルツォグ元イスラエル大統領の盛大な祝賀会を共同主催している。 チン卿は1980年代以降、イギリスの二大政党である保守党と労働党の圧力団体である労働党イスラエル友好協会(LFI)と保守党イスラエル友好協会(CFI)の両方に資金を提供、イスラエルのパレスチナ人虐殺に批判的だったジェレミー・コービンを攻撃する一方、キア・スターマーが首相になるのと助けた。 イギリス労働党は1982年9月にレバノンのパレスチナ難民キャンプ、サブラとシャティーラで虐殺事件が引き起こされた後、親イスラエルから親パレスチナへ変化していたが、それを親イスラエルへ引き戻したのがブレアにほかならない。 ブレアは労働党を親イスラエルへ引き戻しただけでなく、社会民主主義を放棄して大企業に接近していく。チン卿はそのブレアの大口献金者だったが、富豪のマイケル・レビーも有力スポンサーだった。 ブレアとイスラエルとの関係は遅くとも1994年1月に始まっている。このときにブレアは妻のチェリー・ブースと一緒にイスラエル政府の招待で同国を訪問、帰国して2カ月後にロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介されたのだ。 その2カ月後、つまり1994年5月に労働党の党首だったジョン・スミスが心臓発作で急死、その1カ月後に行われた新党首を決める投票でブレアが勝利している。レビーやLFIのようなイスラエル・ロビーを資金源にしていたブレアは労働組合の影響を受けなかった。 西側の巨大金融機関はウクライナを乗っ取り、ロシアを再属国化しようと目論んだのだろうが、思惑通りに進んでいない。損を受け入れるのか、粘って全てを失うのかという状態だ。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.03
パナマ船籍の石油タンカーM/T MERSINがセネガル沖で民間の船舶から飛び立ったウクライナ海軍のドローンによる攻撃を受けたと伝えられた。 8月にロシアのタマン港へ寄っていることから「影の艦隊」だとして攻撃されたと推測する人もいるが、こうした推測が正しいならば、黒海以外の公海上でも船籍や所有者を問わず攻撃して良いとウクライナ側はNATOから許可を受けていたのだろう。許可したのはイギリスの政府機関だという説もある。ここにきて対ロシア戦争でイギリスの動きが目立つ。 11月28日には黒海のトルコに近い海域でロシアのノボロシスクへ向かっていた2隻のタンカー、ビラトとカイロスが水上ドローンによって攻撃されてカイロスは炎上した。イギリスの将校が指揮したと言われている。 その直後、ロシア軍は5機の短距離弾道ミサイルのイスカンデルでウクライナ南部のニコラエフを攻撃、水上ドローンや飛行機タイプの無人機の製造工場を破壊、そこにいた10名のイギリス人エンジニアが死亡したとされている。 また、今年8月2日にはロシアのスペツナズ(特殊部隊)がオデッサに近いオチャコフでイギリス陸軍のエドワード・ブレイク大佐とリチャード・キャロル中佐、そしてイギリスの対外情報機関MI6の工作員ひとりを拘束した。MI6はオデッサからロシア深奥部に対するミサイル攻撃やテロ攻撃を指揮していると言われている。 2014年から22年にかけてのクーデターで作られた体制の戦力を増強するためにNATO諸国はマリウポリ、マリーインカ、アブディフカ、ソレダルの地下要塞を結ぶ要塞線をドンバス周辺に築いたが、ウクライナ軍の補給を支えていた幹線道路が交差するポクロフスクをロシア軍は制圧、要塞線は崩壊した。 その包囲網を突破して救出するため、ウクライナの情報機関GUR(国防省情報総局)は特殊部隊をUH-60Aブラックホークで送り込んだ。10月28日にはGURの特殊部隊員11名がヘリコプターから降りたところをロシア軍に殲滅される様子をロシア軍の偵察ドローンが撮影した映像が公開され、10月30日には2機のブラックホークで約20名から24名の特殊部隊員を送り込まれ、同じように殲滅されている。 ポクロフスクがロシア軍に制圧された後、キエフのボルィースピリにある特殊部隊の訓練基地をロシア軍はマッハ10という極超音速ミサイルのキンジャールで破壊、またスムイにある深さ50メートルという地下バンカーを極超音速巡航ミサイルのツィルコンで破壊したという。その地下バンカーにはイギリス軍の将軍とフランス軍の大佐、そしてウクライナのGUR(国防省情報総局)高官がいたという。 現在、ウクライナに正規の大統領は存在しない。ウォロディミル・ゼレンスキーの任期は昨年5月に切れている。ロシアとの戦争中だという口実で居座っているだけだが、ウクライナ軍は崩壊、NATO諸国が送り込んでいる部隊も少なからぬ犠牲者が出ているようで、ロシアの勝利は明白。ゼレンスキーの天下は長く続かないだろう。 そうした中、ドナルド・トランプ米大統領はウクライナでの戦争から距離を置き始め、ロシア政府を丸め込んで「停戦」に持ち込もうとしている。2014年の「ミンスク1」や15年の「ミンスク2」と同じようにロシアを再攻撃するための戦力を回復させる時間を稼ごうというわけだ。問題はそうしたことをロシアが受け入れないだろうということである。 すでにゼレンスキー体制は崩壊している。法務大臣を名乗っていたヘルマン・ハルシチェンコとエネルギー大臣を名乗っていたスビトラーナ・グリンチュークはすでに辞任、国防大臣を務めていたルステム・ウメロウは7月に辞任を表明し、11月に入って国外へ脱出、カタールにいると言われている。コメディアン時代からゼレンスキーと手を組んできたティムール・ミンディッチはイスラエルへ逃亡したという。そしてゼレンスキーの側近として知られているアンドリー・イェルマークの辞任が発表された。こうした人たちがウクライナへ流し込まれた資金の行方を話し始めたなら、ヨーロッパは大混乱になるかもしれない。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.02
ウクライナでNATO軍がロシア軍に敗北したことを隠しきれなくなりつつある中、ドナルド・トランプ大統領は確認石油埋蔵量が世界最大であるベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領と電話会談、マドゥロに対し、退陣しなければアメリカ軍の軍事行動に直面すると脅したという。石油をアメリカの巨大資本によこせということだと理解されている。ベネズエラ沖に艦隊を並べて脅せば屈すると考えていたのかもしれないが、屈服する様子はない。 本ブログでもすでに書いたことだが、11月上旬、アメリカ軍は威嚇のために2機のB-52爆撃機をベネズエラへ向けて飛行させたが、陸地から約100キロメートルの地点でロシア製防空システムであるS-300に照準を合わされ、基地へ戻らざるをえなくなった。そのほか、中低高度の防空システムであるブークM2e、シリアで有効性が証明された近距離対空防御システムのパンツィリ-S1も配備されたと言われている。 10月下旬にはロシアのアヴィアコン・ジトトランス所属のIl-76TD輸送機がベネズエラへ何かを運んできた。この会社はロシア軍や傭兵会社ワグナーの貨物を輸送したとしてアメリカから「制裁」されていることから軍事物資を輸送してきたのではないかと言われている。戦闘員を運んできたとも言われているほか、ロシアのスペツナズ(特殊部隊)もベネズエラへ入ったとする話が伝えられている。 しかも、ロシアだけでなく、中国やイランもベネズエラへの支援を始めている。イランは航続距離2500キロメートルだという攻撃用ドローン「シャヘド」を供給したと言われているが、これが事実なら、ベネズエラはフロリダのアメリカ軍基地を攻撃できる。アメリカ軍がベネズエラを軍事侵攻した場合、ロシアの防空システムや対艦ミサイルの洗礼を受けることになるだけでなく、アメリカ本土も戦場になる可能性があるわけだ。 アメリカの脅しに屈しない国はベネズエラのほかにも少なくない。インドもそうだ。ロシアとの関係を強め、アメリカから距離を置く政策を進めている。トランプ大統領はインドがロシア産原油の購入を「ほぼ停止した」と公言したが、インド外務省はそうしたことに関する「いかなる協議も承知していない」と述べ、エネルギー調達の「広域化」によって「エネルギー価格の安定」を確保するというインドの政策を強調していた。 12月到着分を中心にロシアからのエネルギー輸入量は減少しているようだが、インドがロシアと距離を置く気配はない。インド国営の軍用機メーカーであるヒンドゥスタン・エアロノーティクス(HAL)はロシアの統一航空機製造(UAC)社製のSJ-100双発ナローボディ機を国内顧客向けに製造するという。HALは長年にわたってUACと提携、インド空軍向けにSu-30MKI戦闘機のライセンス生産を行っている。 それに対し、アメリカはバングラデシュでも暗躍していた。昨年6月から8月にかけて、バングラデシュでは学生が主導する反政府運動が激しくなり、インドや中国と友好的な関係あったシェイク・ハシナ政権が倒され、ムハマド・ユヌスを首席顧問とする暫定政府へ移行している。 ユヌスはアルフレッド・ノーベル記念スウェーデン国立銀行経済学賞(ノーベル賞ではない)を受賞しているが、トム・ハイネマンが2019年に制作した「マイクロ債務」というドキュメンタリーによると、高利貸しと言える人物だ。商業銀行の金利が通常12から13%のところ、ユヌスが1970年代に設立したグラミン銀行は30から40%。こうした高利で借りた人は返済のため、さらに高利の業者からカネを借りなければならず、多くの貧困層を借金漬けになった。 ハシナ政権を倒したデモは雇用配分制度に対する不満が原因だとされているが、その背後にはパキスタンやアメリカが存在していたと言われている。アメリカはベンガル湾の北東部にあるセント・マーチン島に注目してきた。この島に軍事基地を設置し、ミャンマーの港湾を利用している中国に対抗できるからだ。ハシナは昨年5月、外国の軍事基地許可を拒否していた。 バングラデシュはアメリカ海軍にとって重要な物流拠点になる可能性があり、同国の海軍基地は中国とインド洋をつなげるCMECを監視できるとアメリカは指摘、マラッカ海峡のコントロールにも役立つとも考えているようだ。 ハシナ政権をアメリカと共同で倒したとされているパキスタンでは昨年2月8日に実施された総選挙の結果、266議席のうち無所属の候補者が100議席以上を獲得、そのうち93議席はイムラン・カーン元首相が率いるPTI(パキスタン正義運動)が占めていた。70議席は各政党が獲得した議席数に基づく比例代表制で女性(60議席)と非イスラム教徒(10議席)に割り当てられるのだが、PTIは政党からの出馬が認められていない。 選挙の前、パキスタンの裁判所はカーン元首相に対し、「カンガルー法廷」で立て続けに懲役刑を言い渡していた。その背景でアメリカ政府が暗躍している。インターネット・メディアの「インターセプト」が公開したパキスタン政府の機密文書によると、アメリカの国務次官補を務めていたドナルド・ルーやレ・ビグリーを含む国務省高官が当時の駐米パキスタン大使のアサド・マジード・カーンと2022年3月7日に会談、ルー国務次官補は不信任決議を提案している。アメリカの言いなりにならないカーンをジョー・バイデン政権は排除したかったのだ。 その命令に従い、2022年4月に内閣不信任決議案が提出されるが、下院議長は却下、カーンは解散総選挙に打って出ると表明し、4月3日に議会は解散されたのだが、その議会解散を違憲と最高裁は4月7日に判断し、4月10日に内閣不信任決議案の採決が行われて可決された。そして軍を後ろ盾にするシャバズ・シャリフ政権が誕生する。 国民は強く反発し、大規模な抗議行動や暴動という形で表面化。そこで軍は市民の自由を大幅に削減し、軍への批判を犯罪化し、国内経済における軍の役割を拡大、国内は麻痺する。言論統制のひとつの結果として、アメリカ政府に従属する軍に批判的なジャーナリストが殺害されたり行方不明になったりした。カーンは政治集会で銃撃されて足を負傷、その際、支持者のひとりが殺されている。 カーンは2023年8月から刑務所に隔離され、彼の率いるPTIの候補者が政党から出馬すること、またクリケットのバットを選挙シンボルとして使用することが禁止された。非識字率40%のパキスタンでは大きな打撃となると見られていたが、それでも第1党になった。通常の選挙だった場合、PTIは圧勝していただろう。 そのカーン前首相の健康状態が懸念されている。死亡しているという噂も流れ、家族や弁護士は週間にわたって面会を拒否されているとしている。当局は健在だとしているが、カーン前首相が健在である証拠を提示するように求めている。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2025.12.01
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