全31件 (31件中 1-31件目)
1
ドナルド・トランプ大統領にイランを攻撃させたのはネオコンとイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相だ。その政策によってトランプ政権どころがアメリカを中心とする支配システムが揺らいでいる。ネオコンに服従、「首なし鶏」状態の日本の政治家や官僚は、日本がそうした状態にあることを理解できていないように見える。 もっとも、トランプに限らず、ジョー・バイデンにしろ、バラク・オバマにしろ、ジョージ・W・ブッシュにしろ、外交や軍事の分野はシオニストの一派であるネオコンがコントロールしてきた。戦略の基本構造は変化していない。その戦略の中における政策の違いにすぎない。オバマやバイデンはロシアとの直接的な戦争へ突き進み、トランプは選挙期間中、ロシアとの関係修復を訴えていたものの、大統領に就任してからその公約は放棄したようだ。 ネオコンは1980年代からイラクのサダム・フセイン体制を倒して親イスラエル体制を樹立、イランとシリアを分断して両国を征服するという計画を立てていた。フセインはペルシャ湾岸の産油国を守る防波堤だと位置付けていたジョージ・H・W・ブッシュ、ジェームズ・ベイカー、ロバート・ゲイツを含む勢力と対立、それが「イラン・コントラ事件」の発覚に繋がった。 2001年9月11日の攻撃から10日ほど後、欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めた経験のあるウェズリー・クラークは統合参謀本部で攻撃予定国のリストを見たのだが、そこにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが記載されていた。アメリカは計画通りに攻撃している。(ココやココ) アメリカとイスラエルがイランを攻撃している理由はイランの「核開発」だとされているが、イラクを先制攻撃した際の「大量破壊兵器」と同じように、これは違う。イランを征服し、中東全域をイスラエルの支配下に置くことが目的だろう。「大イスラエル」構想だ。その背後にはイスラエルを作ったイギリスやアメリカの帝国主義者がいる。ネオコンはその手先だと言える。 ネオコンの思想的な支柱はシカゴ大学で教授を務めていたレオ・ストラウス教授。この人物は1899年にドイツのヘッセン州で熱心なユダヤ教徒の家庭に生まれ、17歳の頃にウラジミール・ジャボチンスキーのシオニスト運動へ接近、1932年にはロックフェラー財団の奨学金でフランスへ渡る。そこで中世のユダヤ教徒やイスラム哲学について学んだ後、プラトンやアリストテレスの研究を始めている。(The Boston Globe, May 11, 2003) 1934年にストラウスはイギリスへ移動、37年にはアメリカへ渡ってコロンビア大学の特別研究員になる。教授として受け入れられた1944にはアメリカの市民権も獲得、49年から73年までシカゴ大学で教えている。ただ教授を務めたのは1968年まで。その間、1954年から55年にかけてイスラエルのヘブライ大学で客員教授にもなっている。 ストラウスと同じようにシカゴ大学の教授を務めたアルバート・ウォルステッターもネオコンを支えたひとり。冷戦時代、同教授はアメリカの専門家はソ連の軍事力を過小評価していると主張、アメリカは軍事力を増強するべきだとしていたが、その判断が間違っていた、あるいは嘘だったことはその後、明確になっている。 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の父親であるベンジオン・ネタニヤフはポーランドで生まれ、アメリカへ渡った。アメリカ時代、彼は「修正主義シオニスト世界連合」を創設したジャボチンスキーの秘書を務めた経験がある。 2003年3月にイラクを先制攻撃した際、大手メディアは「ショックと畏怖」という用語を使っていた。軍事攻撃などでターゲット国の人びとを恐怖に陥れ、アメリカの戦争マシーンに対する抵抗は無益であり、屈服するべきだと確信させるということのようだ。 日本の場合、明治維新より前、「刀狩り」後も日本の農民は武装、自立していた。だからこそ安藤昌益のような思想家が生まれたのだが、維新後の農民をはじめとする庶民は洗脳される。庶民は無力であり、強者に屈服してその暴力に耐えるだけだと思い込まされてきた。これも一種の「ショックと畏怖」だろう。 そうした洗脳に映画やテレビが重要な役割を果たしてきたが、天皇制官僚システムというカルト体制そのものが基盤になっている。そのシステムを構築、国民をカルトの信者にすることで操ってきたと言えるだろう。その天皇制官僚システムを構築したのは明治維新を仕掛けたイギリスの麻薬業者と金融資本。アヘン戦争で儲けた私的権力だ。 イギリスの金融資本は俗にシティと呼ばれる。そのシティで最も大きな影響力を持っていると考えられている一族がロスチャイルド。 シティが金融危機に襲われた1857年当時、ジョージ・ピーボディーとジュニアス・モルガンが経営する銀行の業績が悪化、倒産寸前になったのだが、そのときにピーボディーに救いの手を差し伸べたのがロスチャイルド一族。そのピーボディーは1864年に引退、ジュニアス・モルガンが引き継いだ。 その息子であるジョン・ピアポント・モルガンは1899年にロンドンで開かれた金融機関の会議に出席、その後、ロスチャイルド系金融資本のアメリカにおける代理人になる。ここからモルガン財閥の歴史は始まるわけである。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013) 関東大震災以降の日本はウォール街に君臨していたJPモルガンの影響下に入るのだが、その背後にはロスチャイルドが存在していた。1933年から34年にかけてJPモルガンを中心とするウォール街の大物たちは32年の大統領選挙で勝利したフランクリン・ルーズベルトの政権を倒すためにクーデターを計画した。それを阻止したのが海兵隊の伝説的な軍人、スメドリー・バトラー退役少将である。 JPモルガンたちはファシズム体制の樹立を目指していた。そのJPモルガンが日本を支配、その代理人と言える人物が駐日大使だったジョセフ・グルーである。グルーのいとこの結婚した相手がジョン・ピアポント・モルガン・ジュニア、つまりJPモルガンの総帥にほかならない。戦後日本の形を作ったジャパン・ロビーの中心人物もジョセフ・グルーだった。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.31

対イラン攻撃 アメリカ海兵隊の第31海兵遠征部隊(MEU)が中東に到着したとアメリカ中央軍(CENTCOM)が発表した。この部隊はディエゴガルシア島に駐留していると言われていた。到着している海兵隊員は2200名から2500名だと報道されている。さらに第11MEUが4月6日か7日着くという。 しかし、第11MEUと第31MEUの派遣は陽動作戦にすぎず、地上攻撃が本当に実施されるならば、ふたつのレンジャー大隊と第82空挺師団の支援を受けたSMU(特殊任務部隊、通称ティア-1)が実行する可能性が高いと元CIA分析官のラリー・ジョンソンは推測している。 いずれにしろ、アメリカ軍は100万人のイラン軍と戦うことになるのだが、アメリカ軍の退役将校やCIAの元分析官は「大惨事」になると見通している。それでも地上部隊を侵攻させるとするならば、ドナルド・トランプ大統領にアドバイスしている人たちが愚かなのか、それでもイランに攻め込まなければならない理由があるのだろう。少なからぬ人はトランプをイスラエルが動かしていると考えている。そのイスラエルはサウジアラビアと同じように、イギリスの支配層が作り上げた国だ。 すでにイランはホルムズ海峡の通行を制限している。イランに敵対していない船舶は安全保障規則を完全に順守するならイラン当局と連携してホルムズ海峡を安全に通過できるが、イランを侵略している当事国のアメリカやイスラエルのほか、侵略に何らかの形で参加している船舶は無害通航または非敵対通航の対象とはならないという。制限の中には石油取引の決済を中国の人民元で行うことも求めているようだ。 そうした中、イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)はイランとアメリカ/イスラエルとの戦争に参戦すると3月28日に発表した。この勢力はイスラエルによるガザ住民の虐殺を止めるため、イスラエルを攻撃していた。ガザでの虐殺を傍観している他のイスラム諸国とは違う。アンサール・アッラーはバブ・エル・マンデブ海峡の船舶通過を制限することになりそうだ。つまり紅海からスエズ運河を抜けて地中海へ向かうことができなくなる。 レバノンでは壊滅したとされていたヒズボラがイスラエルに対する攻撃を開始した。イスラエル軍はレバノンへ地上部隊を侵攻させたのだが、ヒズボラ側はイスラエルのメルカバ戦車や装甲兵員輸送車を75両から100両、破壊したと主張している。 イスラエル軍の地上部隊は2006年7月から9月にかけてレバノンへ軍事侵攻したが、その際、ヒズボラに敗北している。その時にメルカバ戦車が破壊されている。その結果、イスラエルはレバノンへ地上部隊を侵攻させなくなった。 2024年にイスラエルはヒズボラの幹部を暗殺した。例えば7月30日にはフアド・シュクルがベイルートで殺され、9月17日と18日にはレバノンやシリアでトランシーバーやポケベル(ページャー)が遠隔操作で爆破されるテロ攻撃があった。 9月27日にはベイルートでヒズボラ幹部による秘密会議が開かれていた地下施設がイスラエル軍によって空爆され、ハッサン・ナスララ事務総長も殺害されている。これでヒズボラは壊滅したとアメリカやイスラエルは考えたのだろうが、今回、すでに復活していることが判明した。 すでにアメリカ軍のF-35、F-15、F-16といった戦闘機、F/A-18戦闘攻撃機、KC-135空中給油機をイラン軍は破壊、あるいは損傷を与えたと伝えられているが、3月27日にはサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地に駐機していたAWACS(AEW&C、早期警戒管制機)のE-3が破壊された。 アメリカとイスラエルは追い詰められている。タッカー・カールソンとのインタビューではクネセト(イスラエル議会)で議長を務めた経験のあるアブラハム・ブルグは、イスラエルが1967年以降、いわゆる「第三神殿」を建設してメシアを呼び戻すため、アル・アクサ・モスクと岩のドームの破壊を5回以上試みたと話している。こうした側面からもイスラエルやアメリカが核兵器を使う可能性はある。第三神殿 ユダヤ教徒の中には、キリスト教徒を利用してエルサレムをイスラム教徒から奪還し、メシア到来を予言する政権を樹立すると構想している人がいる。その起源と言われているのはギヨーム・ポステル。16世紀の人だ。そのほかカバラ主義者のダビド・ルベニとソロモン・モルチョがいる。ポステルは世俗の権力が第三神殿を建設することを望んでいた。 プロテスタントの一派は新約聖書の最後の部分、「ヨハネの黙示録」を重要視するのだが、黙示録にはふたりの人物、つまり原著者と編集者によって書かれた文章が混在。ギリシャ語の能力が全く違い、思想も正反対であることから容易に区別できる。原著者は初歩的な文法についてしっかりしているのに対し、編集者の語学力は低く、知っている単語や表現をまるで無秩序に並べ立てるだけだというのだ。(田川健三訳著『新約聖書 訳と註 第七巻』作品社、2017年) 後から書き込んだ人物は狂信的なユダヤ民族主義者で、ユダヤ民族以外はすべて殺しつくされるべしだと繰り返す。世界中の異邦人が滅ぼしつくされ、殺しつくされ、ユダヤ人、あるいはユダヤ主義キリスト信者のみ救われることを願っている。キリスト教徒に大きな影響を及ぼしているのは後から書き込まれた部分だ。 エルサレムには、キリストが十字架上で亡くなり、復活した場所に建つ最も神聖な聖墳墓教会、イスラム教徒にとって重要なアル・アクサ・モスクもあるが、現在ユダヤ教徒が支配、教会やモスクは閉鎖されている。シオニズム 16世紀にはイギリスでシオニズムが現れた。海賊行為で富を蓄積していたエリザベス1世の時代(1593年から1603年)、イングランドに出現した「ブリティッシュ・イスラエル主義」だ。イングランドの支配層の間で、アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だとする信じ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まったのだ。 イギリスや西側世界にシオニズムを広めた人物としてブリティッシュ外国聖書協会の第3代会長を務めた反カトリック派のアントニー・アシュリー-クーパー(シャフツバリー伯爵)が知られているが、17世紀初頭にイギリス王として君臨したジェームズ1世も自分を「イスラエルの王」だと信じていたという。 その息子であるチャールズ1世はピューリタン革命で処刑されたが、その革命で中心的な役割を果たしたオリヴァー・クロムウェルをはじめとするピューリタンも「イスラエルの失われた十支族」話を信じていたとされている。クルムウェルはユダヤ人をイングランドへ入れることを許可したが、稼ぎ方を海賊行為から商取引へ切り替えるためだったとされている。ユダヤ人は商取引や金貸しに長けていた。 エリザベス1世が統治していた時代、イングランドはアイルランドを軍事侵略、先住民を追放し、イングランドやスコットランドから入植者をアイルランドのアルスター地方へ移住させた。好ましくないと判断した人びとを排除し、好ましいと考える人びとを移住させたわけだが、その後、そうした手法を彼らは繰り返す。 ピューリタン革命の時代にもアイルランドで先住民を虐殺している。クロムウェルは革命で仲間だったはずの水平派を弾圧した後にアイルランドへ軍事侵攻して住民を虐殺したのだ。 侵攻前の1641年には147万人だったアイルランドの人口は侵攻後の52年に62万人へ減少。50万人以上が殺され、残りは「年季奉公」や「召使い」、事実上の奴隷としてアメリカなどに売られたと言われている。 ダブリン出身でプリマス・ブレザレンを創設したジョン・ネルソン・ダービー牧師は1830年代から宗教活動を始めたが、彼はキリストの千年王国がすべての文明を一掃し、救われるのは選ばれた少数のグループだけだと考えていた。 19世紀のイギリス政界では反ロシアで有名なヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)が大きな影響力を持っていた。彼は戦時大臣、外務大臣、内務大臣を歴任した後、1855年2月から58年2月まで、そして59年6月から65年10月まで首相を務めている。ビクトリア女王にアヘン戦争を指示したのもパーマストン卿だ。 このように始まったシオニズムは19世紀に帝国主義と一体化し、パレスチナ侵略が具体化してくる。イギリス政府は1838年、エルサレムに領事館を建設し、その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査、イギリスの首相を務めていたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収。そして1917年11月、アーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出してイスラエル建国への道を切り開く。いわゆる「バルフォア宣言」だ。シオニズムと帝国主義によってイギリスは世界を侵略していった。 ピューリタンはアメリカへも渡り、先住民である「アメリカ・インディアン」を大量虐殺し、ヨーロッパ系移民が入れ替わった。同じことを中東でも行おうとしている人がいるように見える。アラブ人やペルシャ人を殲滅し、「大イスラエル」を作ろうとしているように見える。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.30
サウジアラビア上空を飛行していたアメリカ軍のF-16戦闘機がイラン軍の攻撃で損傷、緊急着陸したとイランの通信社が伝えている。この報道をアメリカ軍は否定、真相は不明だが、アメリカ軍のF-35、F-15、F-16といった戦闘機やKC-135空中給油機が、原因はともかく、破壊されたことは確かなようだ。アメリカ/イスラエルは劣勢だ。 イラン領内でアメリカ軍やイスラエル軍に攻撃された地域を見ても、両軍は制空権を握っていないことは明白。イスラエルやペルシャ湾岸の産油国ではイランによる攻撃の実態を撮影すると懲役刑に処せられるようだが、それでも破壊された街の様子は伝わってくる。 イランも被害を受けているが、弾道ミサイルは発射し続けている。イランにミサイルが残っていることは明白だ。アメリカ軍が確実に破壊できたミサイルを保管している兵器庫は3分の1程度にすぎないとされている。ミサイル、ドローン、発射装置は地下の施設に保管され、それらの製造装置も地下にある。アメリカ軍やイスラエル軍が攻撃しているのは地上にある学校や病院を含む民間施設、あるいはエネルギー関連の施設や製鉄所が中心だ。戦況がイランに有利なのは明らかである。 対イラン攻撃を主導したと言われているイスラエルのエヤル・ザミール参謀総長によると兵員不足は深刻で、兵役法、予備役法、そして義務兵役期間延長法を制定する必要があるとしている。レバノンでは壊滅したとされていたヒズボラがイスラエルに対する攻撃を開始、イスラエル軍はレバノンへ地上部隊を侵攻させたのだが、ヒズボラ側はイスラエルのメルカバ戦車や装甲兵員輸送車を75両から100両、破壊したと主張してている。正確な台数は不明だが、相当数のメルカバ戦車が破壊されたことは確かなようだ。 イスラエル軍の地上部隊は2006年7月から9月にかけてレバノンへ軍事侵攻したが、その際、ヒズボラに敗北している。その時にメルカバ戦車が破壊されている。その結果、イスラエルはレバノンへ地上部隊を侵攻させなくなった。 そして2024年7月30日、ヒズボラのフアド・シュクルがベイルートで殺され、同年9月17日と18日にはレバノンやシリアでトランシーバーやポケベル(ページャー)が遠隔操作で爆破されるテロ攻撃があり、9月27日にはベイルートでヒズボラ幹部による秘密会議が開かれていた地下施設がイスラエル軍によって空爆され、ハッサン・ナスララ事務総長も殺害された。この時の攻撃でヒズボラは壊滅したと言われてきたが、今回、すでに復活していることが判明したわけだ。 ナスララ殺害の時も言われたが、機密情報がアメリカやイスラエルへ漏れていると言われ、イラン政府の内部にスパイがいるのではないかと考える人もいた。今年、そのスパイはイラン革命防衛隊(IRGC)に所属するクッズ部隊を指揮していたイスマイル・カーニだということが判明、処分されたと言われている。彼がモサドのスパイだということは中国軍の情報機関によるCIA高官とイスラエル参謀本部幹部との通信傍受で判明したようだ。 イランとの戦争でアメリカとイスラエルが劣勢になる中、ドナルド・トランプ米大統領は沖縄のキャンプ・ハンセンを拠点にしているアメリカ海兵隊の第31海兵遠征部隊(MEU)に所属する2500名やアメリカのフォート・ブラッグを拠点とする第82空挺師団の約3000名を中東へ派遣すると発表していた。第31MEUはディエゴガルシア島に駐留しているようで、4月6日か7日には第11MEUが到着するともいう。 しかし、元CIA分析官のラリー・ジョンソンは、第11MEUと第31MEUの派遣は陽動作戦にすぎず、地上攻撃が本当に実施されるならば、ふたつのレンジャー大隊と第82空挺師団の支援を受けたSMU(特殊任務部隊、通称ティア-1)によって実行されるだろうと推測している。これらの部隊はすでにヨルダンとイスラエルの基地にいるとされている。そうした部隊がイランの島や本土へ侵攻したとしても、そこでは100万人というイランの戦闘員が待ち受けている。 イラン軍は当初、旧式のミサイルやドローンで攻撃、アメリカ軍やイスラエル軍の防空ミサイルを使わせた。すでに枯渇、攻撃を中断したのは兵器を補充するためだったと考える人もいる。駆逐艦や潜水艦のような艦艇に搭載されていたトマホークのような攻撃用ミサイルはすでに打ち尽くしたとみられるが、イランによるミサイルとドローンを使った攻撃に対応するため、再装填のために港へ戻ることができない。 それに対してイランには十分な数のミサイル、ドローン、そうして発射装置が存在、さらにロシアはドローンの改良型シャヘドをイランへ供与していると伝えられている。ロシアの技術者はイランのドローンを改良し、カメラ、AIコンポーネント、ジェットエンジンを追加し、航行性能と電子戦防御能力を向上させたという。ロシアは偵察衛星で得た情報をイランへ提供しているようだ。 しかも、ここにきてイエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)はイランとアメリカ/イスラエルとの戦争に参戦すると発表している。イエメンは紅海からスエズ運河へ抜ける航路を封鎖できる位置にある。イランがホルムズ海峡を、アンサール・アッラーが紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡をそれぞれ封鎖してエネルギー資源などの動きをコントロールするようになれば、ペトロダラーの仕組みが壊れる可能性がある。この仕組みが壊れたなら、米英金融資本が主導してきた支配システムも崩壊する可能性がある。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.29
アメリカ軍はキューバのグアンタナモを占領、そこに収容所を建設している。そこでは刑法にも戦争法にも縛られないとアメリカ政府は主張し、拷問も行われてきた。 CIAの対テロセンターで情報分析官を、またアメリカ上院外交委員会で主任調査官も務めた経験のあるジョン・キリアクーは2007年12月、CIAがウォーターボーディング(水責め)と呼ばれる拷問を行っているとCIAの同僚から聞いたと発言し、CIAの怒りを買う。そして2013年1月、彼は懲役30カ月の判決を受け、刑務所へ入れられた。 そのキリアクーが3月24日、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺に関するファイルのうち約1万件を未だに公開していないと指摘、そこにはイスラエルに関する記述が含まれていると述べた。ケネディ大統領暗殺に関するファイルを全て公開することを義務付ける連邦法が存在するのだが、守られていないわけだ。 約1万件が未公開だということは、ケネディ大統領暗殺に関するファイルからイスラエルの情報機関に関する資料を全て削除しろというCIAの要求が拒否されたということでもある。本ブログでは書いてきたことで繰り返しになるが、イスラエルはイギリスの帝国主義者が中東を支配するために作り上げた国であり、シオニズムもその帝国主義者が作り上げたのである。「ユダヤ人」はカモフラージュのための幻影だ。 ケネディ大統領には敵が多かった。ソ連に対する先制核攻撃を目論んでいた軍や情報機関の好戦派、経済政策をめぐって対立していた大手鉄鋼会社、大統領令11110号を出して大統領が銀証券を発行する権限を財務長官に委任したことから巨大金融資本とそれぞれ対立していた。西側世界では、イスラエル、資本主義、貧困格差に批判的な人が権力を握ることは許されない。 またケネディ大統領はイスラエルの核兵器開発にも厳しい姿勢で臨み、1948年の「イスラエル建国」によって難民になったパレスチナ人の帰還権も認めていた。大統領はCIA(中央情報局)の解体を目論み、その代わりにDIA(国防情報局)を設置している。 テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、統合参謀本部のライマン・レムニッツァー議長やSACの司令官だったカーティス・ルメイなどは1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だったという。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。楽勝できると思っていたのである。 ケネディ大統領はアメリカ軍をベトナムから撤退させることを決断、1963年10月にはNSAM(国家安全保障行動覚書)263を出した。アメリカ軍の準機関紙であるパシフィック・スターズ・アンド・ストライプス紙は「米軍、65年末までにベトナムから撤退か」という記事を掲載している。 しかし、この決定はケネディ大統領の暗殺で実行されていない。新大統領のリンドン・ジョンソンは1963年11月26日付け、つまり前任者が殺されて4日後にNSAM273を、また翌年3月26日付けでNSAM288を出し、ケネディのNSAM263を取り消してしまったのだ。(L. Fletcher Prouty, "JFK," Carol Publishing Group, 1996) ジョンソンのスポンサーはシオニストの富豪、アブラハム・フェインバーグだった。この人物はシオニストの富豪で、彼が経営していたアメリカン・バンク・アンド・トラストはスイス・イスラエル銀行の子会社である。(Whitney Webb, “One Nation Under Blackmail Vol. 1,” Trine Day, 2022) イスラエルの核兵器開発は欧米の富豪が資金を提供していた。そのひとりがハリー・トルーマン大統領のスポンサーでもあったフェインバーグである。ケネディ大統領はイスラエルのダビッド・ベングリオン首相と後任のレビ・エシュコル首相に対し、半年ごとの査察を要求する手紙を送りつけ、核兵器開発疑惑が解消されない場合、アメリカ政府のイスラエル支援は危機的な状況になると警告している。(John J. Mearsheimer & Stephen M. Walt, “The Israel Lobby”, Farrar, Straus And Giroux, 2007) ケネディ大統領暗殺の1カ月後にイスラエルのディモナにある原子炉は臨界状態に達し、その後、順調に核兵器の開発は進んだ。1986年10月5日付けのサンデー・タイムズ紙に掲載された内部告発者のモルデカイ・バヌヌの話よると、イスラエルが保有する核弾頭の数は生産のペースから推計して150から200発で、水爆の製造に必要なリチウム6やトリチウム(三重水素)の製造もバヌヌは担当、別の建物にあった水爆の写真を撮影している。さらにイスラエルは中性子爆弾の製造も始めていたという。(The Sunday Times, 5 October 1986)なお、ジミー・カーター元米大統領の推測によると、イスラエルの保有する核弾頭の数は150発以上、最も多い推計値は400発だ。 ケネディ大統領の弟であるロバート・F・ケネディ司法長官が率いる司法省は1962年、AIPACの前身であるアメリカ・シオニスト評議会がイスラエル・ユダヤ人機関から資金提供を受けていると主張し、同評議会に外国代理人として登録するよう命令したが、これは66年にジョンソン政権がひそかに撤回、67年にはアメリカ・シオニスト評議会のフロント組織が、外国代理人として登録することなく、AIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)となった。 1963年11月22日のケネディ大統領暗殺で中心グループのひとりと言われている人物がジェームズ・ジーザス・アングルトン。父親のヒュー・アングルトンと同じようにアレン・ダレスの側近として活動、CIAの秘密工作に深く関与している。 ジェームズ・アングルトンはイスラエルの情報機関とも緊密な関係にあり、オペレーション・レッドキャップを通じてリー・ハーヴェイ・オズワルドと直接つながっていたことが明らかになっている。ケネディ大統領を暗殺したとして逮捕され、警察署の地下駐車場で殺害されたオズワルドだ。アングルトンはイスラエルの核兵器開発にも協力していた。 この作戦はソ連国外にあるソ連政府施設を標的とした浸透および亡命勧誘作戦。若い軍人を募集し、ソ連の情報機関の餌としてソ連に送り込んでいた。オズワルドもそのひとりだったという。ソ連滞在中にアメリカの市民権を放棄したオズワルドは1962年6月にアメリカへ戻ったが、その際に拘留も逮捕もされなかった理由もそこにあるとされている。 ところで、ドナルド・トランプ政権は司法省が保有するジェフリー・エプスタインに関する約600万件の文書や映像、いわゆる「エプスタイン・ファイル」のうち約300万件を公開していない。しかも公開されたファイルは黒塗りだらけだ。それだけでなく財務省関係のファイルも公開していない。しかもエプスタインがライリー・キラリー私立探偵事務所を使い、自宅から6つの保管庫へ運び込んだコンピュータ、映像、写真、文書などを捜査当局は調べていないという。 エプスタインはロスチャイルド家をはじめとする世界の富豪と親しくしていたが、その裏ではイスラエルの情報機関の仕事をし、世界の要人の弱みを握って脅していた。 1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベン-メナシェによると、エプスタインはギレーヌ・マクスウェルや彼女の父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルと同じようにイスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていた。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) エプスタインやギレーヌは幼児を含む未成年の女性を世界の要人に提供、さらに拷問、殺害、そして人肉を食べるというようなことも行われていた。彼らはその様子を撮影などで記録し、用人を脅すために使っていた。すでに世界的な著名人の名前が出ているが、隠されたファイルの中にはそれ以上の重要人物がいるのだろう。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.28

陸上自衛隊は3月31日、熊本市にある健軍駐屯地に射程距離1000キロメートルという「12式地対艦誘導弾能力向上型」を配備するという。勿論、このミサイルは中国大陸の沿岸部が射程圏内に入る。射程距離は「当初計画」の5倍になったとされているが、最初から1000キロメートル以上を予定していたのだろう。 自衛隊や在日アメリカ軍が保有する兵器について議論する場合、日本では「防衛」や「反撃」を前提にするが、先制攻撃で使う可能性もある。少なくとも周辺国はそう考えるだろう。 何しろアメリカ軍は先制攻撃が基本。「自衛隊とアメリカ軍の部隊連携をより円滑にする」ため、2024年3月には陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として統合作戦司令部が編成された。自衛隊をアメリカ軍の指揮下に入れることが目的だとも考えられている。自衛隊もアメリカ軍の先制攻撃に加担することになるだろう。 自衛隊は2016年、与那国島にミサイル発射施設を建設、それに続いて19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。与那国島を除く3島へASCM(地上配備型対艦巡航ミサイル)部隊とSAM(地上配備型地対空ミサイル)部隊の配備が重要だとアメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書は説明している。アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしている。 RANDの報告書が発表されたのは2022年だが、与那国島に施設が建設された2016年には中国を中距離弾道ミサイルで包囲するという計画は始動していたはずである。同じことをアメリカはヨーロッパでロシアに対して行っている。アメリカはこうしたミサイルを配備する国として支配下にあるオーストラリア、フィリピン、韓国、タイ、そして日本を想定しているが、アメリカの案に同意する可能性がある国は日本だとしている。 2022年10月になると「日本政府がアメリカ製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」と報道されている。核弾頭を搭載でき、亜音速で飛行、最大射程距離2500キロメートルの巡航ミサイルを日本政府は購入するというのだ。中国に対する戦争を準備していると見られても仕方がない。 日本は中国と地理的に近く、アメリカが中国に対するミサイル能力を強化するために進めている取り組みと整合性があるとしているが、政治的な困難を認識している。アメリカにとって日本へのミサイル配備は「防衛」のためではないということだ。 RANDの報告書は日本が独自に長距離攻撃能力を追求することは国内で大きな反発を招き、中国、朝鮮、韓国が反対すると見通し、日本が運用するASCMシステムを共同開発するか、FMS(対外有償軍事援助)を通じて販売することを推奨している。日本には専守防衛の建前と憲法第9条の制約があるためASCMの開発や配備で日本に協力することにしたのだろう。 南西諸島にミサイル発射基地が建設されつつあった2017年11月、アメリカはオーストラリア、インド、日本とクワドの復活を協議、18年5月にはアメリカ太平洋軍をインド太平洋軍へ名称変更した。こうした動きも日本におけるミサイル配備と連携している。 高市早苗首相は昨年11月7日、衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言した。歴代の日本政府と同じように高市首相も「ひとつの中国」を受け入れているので、中国で内戦が始まった場合、日本は中国に対して宣戦布告するということになる。さらに、同首相は11月11日、衆院予算委員会で「核を保有しない、製造しない、持ち込まない」という非核3原則を堅持するかどうかという質問に対して明言を避けた。こうした高市首相の発言を「失言」で片付けようとする人もいるが、質疑の流れから考えても確信犯である。自衛隊の動きともリンクしているだろう。つまり、アメリカ支配層の命令で日本が中国と戦争を始める可能性もある。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.27

沖縄のキャンプ・ハンセンを拠点にしているアメリカ海兵隊の第31海兵遠征部隊(MEU)に所属する2500名に続き、アメリカのフォート・ブラッグを拠点とする第82空挺師団の約3000名を中東へ派遣する準備が進められていると伝えられているが、この程度の戦力でハールク島やイラン本土に上陸するのは無謀だ。 ドナルド・トランプ米大統領は3月23日、イラン側との協議に基づいてイランへの攻撃を5日間停止すると発表、これを受けて石油価格は低下しているが、イラン政府はアメリカと直接的にも間接的にも協議した事実はないとしている。ベネズエラの場合と同じように1、2時間の戦闘で目的地を占領、月曜日に石油の取り引きが始まる時には作戦を終了させられると考えているのかもしれないが、それは無理だろう。 アメリカの外交や軍事をコントロールしているネオコンは1990年8月から91年2月にかけての湾岸戦争以降、アメリカが軍事力を行使してもソ連/ロシアは動かないと主張してきた。ロシアであろうと中国であろうと、脅せば屈するというわけだ。 バラク・オバマ政権は2011年春にムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を利用してリビアやシリアの体制を転覆させる作戦を開始、その年の10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィ本人はその際に惨殺された。2013年11月から14年2月にかけてはウクライナでクーデターを実施、成功させている。この時の手先はネオ・ナチだ。 ソ連消滅後、ボリス・エリツィン時代のロシアでオリガルヒとして同国の資産を略奪していたミハイル・ホドルコフスキーはロシアの石油会社ユーコスを所有していた。 ホドルコフスキーはユーコスの発行済み株式のうち25から40%をアメリカの巨大石油会社、エクソン・モービルとシェブロンへ売り渡そうとしたが、ウラジミル・プーチンに阻止された。プーチンの動きが少しでも遅れればロシアは米英支配層の植民地になっていた可能性が高い。2003年10月、ホドルコフスキーはノボシビルスクの空港で横領と税金詐欺の容疑で逮捕された。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,“ Next Revelation Press, 2015) ホドルコフスキーは2024年5月22日、ユーコスの「保護者」はジェイコブ・ロスチャイルドだと語っている。「保護者」とは、誰に支配権を渡すかを決定する人物で、事実上、会社はその人物に支配されている。ソ連消滅後、耕作地や石油を含む資源は西側の巨大資本が支配しようとしていた。つまりロシアは西側を拠点とする私的権力の植民地になるところだった。その私的権力の中心にいたのがジェイコブ・ロスチャイルドということになる。ネオコンもロスチャイルド家の影響下にある。 ウクライナはロシアの隣国であるだけでなく、歴史的に両国は緊密な関係にある。そのウクライナをNATOの支配下に置き、ロシアに軍事的な圧力を加えるだけでなく、チャンスがあればロシアの体制を転覆させて植民地化を完成させようとしていた可能性が高い。NATOの東への拡大はナチ時代のドイツが1941年6月22日に始めた「バルバロッサ作戦」の再現にほかならない。 2014年2月のウクライナにおけるクーデターはそれだけ重要だったのだが、ロシアは表立って動かなかった。そこでネオコンは、アメリカが軍事力を行使してもソ連/ロシアは動かないという思い込みを強めることになったようだ。 しかし、その思い込みは2015年9月末の壊れる。アメリカの統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代した5日後にロシア軍がシリア政府の要請で軍事介入、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)を蹴散らした。また2022年2月にはロシア軍がウクライナへ軍事攻撃を開始、国境近くに集結していたウクライナ軍を粉砕している。 そして今、アメリカとイスラエルはイランからの報復攻撃に苦しんでいる。イラクの主要としは瓦礫の山と化し、中東にあるアメリカ軍基地も激しい攻撃にあっている。ネオコンはイランの戦力や工業力も過小評価していた。 もしロシアを植民地化できていれば、ホルムズ海峡の封鎖によって中国を締め上げることができたが、ロシアと中国が手を組んでいる現状ではアメリカを含む西側世界が窮地だ。 アメリカの騙し討ちで酷い目にあったイランやロシアは勿論、中国もアメリカとの交渉には消極的だろう。ネオコンはウクライナでロシアに敗北したが、イランとの戦争でも戦況は不利。トランプ政権は勝利を演出して逃げることも難しい。海兵隊や空挺部隊でイランを攻撃するば、傷口は広がる。送り込まれた部隊は全滅すると推測する人が少なくない。イスラエルが核兵器を使えばロシアが報復するかもしれないが、その前にイランがイスラエルの核兵器発射施設を破壊する可能性もある。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.26

ドナルド・トランプ米大統領はTruthへの投稿で、アメリカとイランは「過去2日間、中東における敵対行為の完全解決に関して非常に良好かつ建設的な協議を行った」と主張、イランの発電所に対する攻撃を5日間延期するよう国防省に命じたと発表した。トランプによると、彼が協議した相手はイランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師ではなく、正体不明の人物だという。 それに対し、イラン外務省はそうした協議が行われた事実はないと否定、そうした発言はエネルギー価格を引き下げ、軍事計画を実行するための時間稼ぎが目的だとしている。イラン側の主張はおそらく正しい。少なくとも軍事作戦の実行を先送りにした。 トランプをイランへの戦争へと導いたのは義理の息子であるジャレッド・クシュナーだと言われている。彼の父親であるチャールズ・クシュナーはトランプと同じ不動産デベロッパーで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と親しい。チャールズもネタニヤフと同様、考え方のベースにはトーラー(旧約聖書の最初の5書)があり、その記述をイスラム教徒虐殺を正当化するために利用している。 トーラーの中には、ユダヤ人と敵だとされている「アマレク人」が登場する。そのアマレク人を家畜と一緒に殺し、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神は命じたというのだ。アマレク人を皆殺しにするという宣言である。ネタニヤフやチャールズはアマレク人をアラブ人やペルシャ人に重ねている。このふたりはそうした御伽話の中に生きている。 サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」と書かれている。こうしたことこそが、ガザやイランにおいてネタニヤフたちが行っていることにほかならない。 ネタニヤフ首相の父親であるベンジオン・ネタニヤフはポーランドで生まれ、アメリカへ渡った。アメリカ時代、彼は「修正主義シオニスト世界連合」を創設したウラジミール・ジャボチンスキーの秘書を務めていた経験がある。 チャールズ・クシュナーの両親もポーランドで生まれで、アメリカへ移住している。生まれ育った環境が似ている。そうした環境が似た考え方を育み、彼らをイスラム教徒虐殺へと導いたのかもしれない。 ドナルド・トランプの父親であるフレッドはベンヤミン・ネタニヤフと1980年代に知り合っている。その当時、ネタニヤフはイスラエルの国連常駐代表を務めていた。 しかし、フレッドがユダヤ系の人びとと繋がったのは1950年代だと伝えられている。彼はブルックリンに土地を所有していたのだが、そこにあったアパートの地下駐車場でポーランドから移住してきたユダヤ教のラビ、イスラエル・ワグナー師は宗教的な集まりを主宰していた。そのワグナー師は地主のフレッドと親しくなり、フレッドはシナゴーグを建てるための土地を寄贈し、建設費も寄付したという。フレッドは息子のドナルドにユダヤ人への敬意を教え込んでいたようで、大統領になった現在でもその影響は残っている。ドナルドの娘イバンカはユダヤ教の律法に従って改宗、クシュナーと結婚している。 ドナルドは個人的にユダヤ教の影響を受けているわけだが、アメリカの政界へは以前からイスラエルのネットワークが入り込んでいた。その一端が1980年代に発覚している。 当時、イラクのサダム・フセイン政権をどうするかでジョージ・H・W・ブッシュ、ジェームズ・ベイカー、ロバート・ゲイツを含む勢力とネオコン(シオニスト)が対立していた。フセインについて前者はペルシャ湾岸の産油国を守る防波堤だと認識していたのに対し、ネオコンはフセイン政権を倒してイラクに親イスラエル体制を樹立、イランとシリアを分断して両国を制圧しようと考えていた。そこでブッシュたちとネオコンが対立、暴露合戦が始まり、「イラン・コントラ事件」も明るみに出た。その際、イスラエルの「スリーパー(情報機関の潜伏エージェント)」も見つかっている。 例えば、上院議員だったジョン・タワー。議員時代、彼はブッシュに近いと見られていた。タワーは1985年に議員を引退、ロバート・マクスウェルの会社で働き始める。マクスウェルはミラー・グループを率いていた人物だが、その一方でイスラエル軍の情報機関の下で活動していた。この頃、マクスウェルや娘のギスレイン・マクスウェルはジェフリー・エプスタインと知り合っている。 1986年にタワーは国家安全保障会議やそのスタッフとイラン・コントラ事件の関係を調べる特別委員会(タワー委員会)の委員長に就任、89年には国防長官就任が内定したのだが、長官就任は上院で拒否された。アルコールや女性の問題が原因だとされたが、本当の理由は彼がイスラエルのスリーパーだということが発覚したからだと言われている。 ロバート・マクスウェルはソ連を消滅させる西側情報機関の秘密工作(ハンマー作戦)にも関係していたが、ソ連が消滅する直前の1991年4月にタワーは搭乗していた近距離定期便がジョージア州ブランズウィック空港付近で墜落して死亡、同じ年の11月にマクスウェルはカナリア諸島沖で自身のヨット「レディ・ギスレイン」の船上から消え、死体となって発見された。 ドナルド・トランプ大統領は現在、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の意向に沿う形でイランを攻撃、反撃されて窮地に陥っている。日本の経済も危機的な状況で、飢餓の恐れもあるのだが、高市早苗総理大臣はトランプの周りではしゃいでいる。絶望的だ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.25

ドナルド・トランプ米大統領は3月21日、イランがホルムズ海峡の封鎖を48時間以内に解くように要求、もし解かなければイランの発電所を破壊すると脅迫したが、イランは報復を予告している。条件付きで通過が許されているホルムズ海峡を完全に封鎖し、破壊された施設が再建されるまで再開させないとIRGC(イラン革命防衛隊)は警告。さらにイスラエルの発電所、エネルギー関連施設、通信関連施設を標的にし、アメリカ系企業も攻撃するとしている。 現在、イスラエルのミサイル迎撃率は5%程度で、イランの攻撃に対応することは不可能だ。アラブ首長国連邦、サウジアラビア、クウェート、カタールなどにはイランを攻撃するために使われているアメリカ軍基地が存在しているが、それらに対する攻撃も続く。裏道で喧嘩に明け暮れているチンピラのような手法はイランにも通じない。 トランプ政権が始めたイランとの戦争により、すでに世界の経済は麻痺し始めている。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で破壊しきれなかったサプライ・チェーンがイランに対する攻撃で危機に瀕している。 トランプ大統領はアメリカ軍の作戦によってイラン空軍とその防空システムを完全に破壊し、イランは「防空能力を一切失った」と宣言したが、イランのミサイルがアメリカ軍のF-35、F-15、F-16などに命中しているようだ。アメリカの「無敵神話」はウクライナですでに崩壊しているが、F-35の「ステルス神話」も崩れ去った。アメリカ軍とイスラエル軍の戦闘機がイラン上空を飛行する頻度が急速に減少しているとも伝えられている。 ホルムズ海峡を通過するタンカーは世界へ供給されている石油の20%を占める。化学肥料の製造に不可欠な尿素の場合、海峡が封鎖されると30%が供給されなくなってしまい、世界の人口の4割以上が影響を受けるという。トランプ政権の恫喝戦術は事態を悪化させるだけだ。 そこでトランプ大統領はTruthへの投稿で、アメリカとイランは「過去2日間、中東における敵対行為の完全解決に関して非常に良好かつ建設的な協議を行った」と主張、イランの発電所に対する攻撃を5日間延期するよう国防省に命じたと発表したが、イラン外務省はそうした協議が行われた事実はないと否定した。そうした発言はエネルギー価格を引き下げ、軍事計画を実行するための時間稼ぎが目的だと述べている。 確かにアメリカをはじめとする西側諸国の「交渉」は新たな攻撃を準備するための時間稼ぎに過ぎないことはウクライナにおける戦争でも明確になっている。 トランプ政権のイラン攻撃はすでに破綻している。アメリカやイギリスの影響下にあるオマーンで外務大臣を務めているバドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディはイギリスのエコノミスト誌にエッセイを寄稿、アメリカの友好国はアメリカを不法な戦争から救い出すために支援しなければならないと主張している。ロスチャイルド家の雑誌と言われているエコノミスト誌にそうした意見が掲載されたのだ。米英の金融資本もイランとの戦争を終了させたがっているのだろう。 戦争を継続したがっているのはアメリカのキリスト教シオニストやイスラエルの「修正主義シオニスト世界連合」だけのように見える。このふたつは1970年代から手を組み、勢力を伸ばしてきた。トランプ政権の「ホワイトハウス信仰に基づく地域連携局」でスピリチャル顧問を務めるポーラ・ホワイト-ケインもそうした一派のひとりだ。 彼らの掲げる教義によると、キリストに従う「善の軍勢」と反キリストの「悪の軍勢」が「ハルマゲドン」で最終戦争を行い、人類の歴史は幕を閉じる。その際、再臨するキリストによって自分たちは救われるのだという。ジェリー・フォルウエルなど有名なテレビ説教師の大半がこの説を信じている。ポーラ・ホワイト-ケインもテレビ説教師である。 「四千万を超えるといわれる聖書根本主義者たちは、聖書に書かれた神の都シオンと現代のシオニズム国家イスラエルを中心に信仰体系を打ち立てている」。この信仰体系は天啓的史観と呼ばれている。(グレース・ハルセル著、越智道雄訳、「核戦争を待望する人びと」、朝日選書、1989年) イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は2023年4月に警官隊をイスラムの聖地であるアル・アクサ・モスクへ突入させ、ガザにおける住民大虐殺の下地を作った。同年10月3日にはイスラエル軍に保護された832人のイスラエル人が同じモスクへ侵入してイスラム教徒を挑発。ハマスなどの武装集団がイスラエルを陸海空から攻撃したのはその後、10月7日のことだ。 この攻撃では約1200名のイスラエル人が死亡したとされたが、イスラエルのハーレツ紙によると、イスラエル人を殺害したのはイスラエル軍。同軍は侵入した武装グループを壊滅させるために占拠された建物を人質もろとも砲撃、あるいは戦闘ヘリからの攻撃で破壊している。イスラエル軍は自国民の殺害を命令したというのだ。いわゆる「ハンニバル指令」である。 その攻撃から間もなく、ネタニヤフ首相は「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、パレスチナ人虐殺を正当化している。聖書の中でユダヤ人と敵だとされている「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を彼は引用、「アマレク人」をイスラエルが敵視しているパレスチナ人に重ねたのである。 その記述の中で、「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神は命じたというわけだ。「アマレク人」を皆殺しにするという宣言だが、このアマレク人をネタニヤフたちはアラブ人やペルシャ人と考えている可能性がある。 サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」と書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだと言えるだろう。ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民」なのである。ネタニヤフ政権はパレスチナ人だけでなく家畜も皆殺しにした上、彼らの存在を歴史から抹殺すると言っているのだ。 ネタニヤフのイラン攻撃はこの延長線上にある。おそらく、彼は中東に住むすべてのイスラム教徒を虐殺しようとしている。そのために彼はあらゆる手段を講じる。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.24

イラン軍は3月21日、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)に近い場所をミサイルで攻撃した。そこにはディモナ原子炉で働く科学者が避難するための地下施設があると言われている。この攻撃はイスラエルがイランのナタンズ核施設を攻撃した数時間後に実施された。アメリカ軍、あるいはイスラエル軍が発射したミサイルが3月17日、稼働中のブシェール原子力発電所から数メートルの地点に着弾している。 ディモナ原子炉では核兵器が製造されている可能性が高い。ここで技術者として働いていたモルデカイ・バヌヌの告発が1986年10月5日付けのサンデー・タイムズ紙に掲載されたが、それによると、イスラエルが保有する核弾頭の数は生産のペースから推計して150から200発。水爆の製造に必要なリチウム6やトリチウム(三重水素)の製造もバヌヌは担当、別の建物にあった水爆の写真を撮影したという。それだけでなく、イスラエルは中性子爆弾の製造も始めていたとしている。(The Sunday Times, 5 October 1986) ジャーナリスト、セイモア・ハーシュは『サムソン・オプション』の中で、バヌヌのディモナに関する話はイギリスのマスメディアを経由してイスラエル政府に伝わり、拉致に繋がったという。 イスラエル軍情報局のERD(対外関係部)に所属、イツハーク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたこともあるアリ・ベン-メナシェによると、イスラエルの情報機関はバヌヌがサンデー・タイムズ紙へ持ち込む前の段階で調査を開始している。 バヌヌにディモナの話を記事にしないかと持ちかけたのは、オーストラリアで知り合ったジャーナリストのオスカー・ゲレロ。まず地元のシドニー・モーニング・ヘラルド紙やザ・エイジ紙に持ち込んだが、掲載を断る。そのうえで同紙はオーストラリアの対内情報機関ASIOに通報し、その情報はさらに対外情報機関のASISへ伝えられ、そこからイスラエルへ知らされた。アングロ・サクソン系国とイスラエルの情報機関は密接に繋がっている。 次にゲレロはイギリスへ渡り、デイリー・ミラー紙に接触するが、同紙を所有していたロバート・マクスウェルはイスラエル軍の情報機関のために働いていた。ベン-メナシェによると、同紙の国外担当編集者のニコラス・デービスもイスラエルの情報機関のエージェントだ。 ゲレロとバヌヌがデイリー・ミラー紙の前にサンデー・タイムズ紙へ持ち込まなかったなら、記事は掲載されていなかった可能性が高い。モサドのロンドン支局長はイギリスの治安機関MI5に協力を要請、工作をはじめていたのだ。MI5はイギリスで政治的、あるいは外交的問題を引き起こさないという条件で協力を約束した。 モサドはバヌヌを拉致することにしたが、MI5との約束があるため、イギリスでは実行できない。そこで彼をイタリアのローマにおびき出すことにした。そして登場してくるのが「シンディ・ハニン・ベントフ」なる女性だ。 まずシンディは散歩中のバヌヌに何気なく話しかけ、パブに誘う。そうしたデートを何回か重ねた後、バヌヌはローマへ旅行しないかと持ちかけられ、彼はローマ行きを承知してしまう。ローマで彼を待ちかまえていたのはモサドのエージェント3名。ローマで大きな箱に押し込められたバヌヌは船でイスラエルのアシュドッドに運ばれた。外交特権で箱が調べられることはなかった。サンデー・タイムズが記事の掲載を決定したのは1986年10月5日、バヌヌが拉致された数日後のこと。バヌヌは1988年3月に懲役18年の判決を受けている。 バヌヌの告発はアメリカの情報機関にとっても驚きだったという。彼らはイスラエルの保有する核弾頭数を24から30だと推測していたからである。バヌヌが告発した後、イスラエルが保有する核兵器の数は増えているはずだが、ジミー・カーター元米大統領はその数を150発以上だとしている。中には400発だとする人もいる。実際の保有数が不明な理由のひとつはディモナを詳しく調べられないからだ。ジョン・F・ケネディ大統領は調べようとしたが、1963年11月22日に暗殺された。 イスラエルがイランの核開発についてとやかく言うのはおかしいのだが、アメリカとイスラエルがイランを爆撃している理由がそこにあるとは思えない。ガザのようにして、中東全域をイスラエルにしたいのだろう。「大イスラエル」だ。 イスラエルはアメリカやイギリスにとって中東を支配するための航空母艦だと考えることができる。北アメリカやオーストラリと同じように先住民を虐殺し、自分たちの領土にしたいのだろう。大イスラエルを荒唐無稽の話だと考える人は歴史を学び直すべきだ。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.23

沖縄のキャンプ・ハンセンで訓練中のアメリカ海兵隊の第31海兵遠征部隊(MEU)に所属する2500名と佐世保海軍基地を母港とする強襲揚陸艦トリポリとその強襲揚陸艦群(強襲揚陸艦サンディエゴとニューオーリンズ)は3月13日から中東へ向かっているという。 アメリカ軍とイスラエル軍は2月28日にイランを奇襲攻撃、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害した。 オマーンのバドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相によると、9カ月の間に2度、アメリカとイランはイランの核開発計画について協議し、合意まであと一歩のところまで迫っていたという。ところが最も実質的な協議からわずか数時間後、アメリカとイスラエルはイランを攻撃したのだ。核開発計画に関する協議はアメリカがイランを油断させ、要人を一箇所に集めるるための罠だったのだろう。イランは2度と交渉に応じないと見られている。 ドナルド・トランプ米大統領は3月14日にイランのハールク島を爆撃させた。この島はイランの原油輸出の約9割を扱っている重要な場所。イランの原油輸出の約9割を扱っている同島の石油輸出ターミナルはこの攻撃でダメージは受けなかった。また、爆撃後もハールク島の防空システムは機能している。 このハールク島に対する上陸作戦をトランプ政権は考えていると言われ、そのために第31MEUが派遣されたというのだが、日本の駐留しているアメリカ軍部隊がイランに対する攻撃に参加するとなると、日本もイランにとって敵国ということになる。中東にあるアメリカ軍基地はイランやその同盟組織からの攻撃で破壊されているが、日本にあるアメリカ軍基地が攻撃されることもありえるということになるだろう。 上陸作戦が成功する可能性は高くないが、もし成功して占領した場合はイラン軍からの集中攻撃を受けることになり、捕虜になるか戦死することになる。アメリカ政府もそうした展開になることは理解しているはずで、海兵隊員を生贄にして核攻撃するつもりではないかと危惧する人もいる。イランに勝利することが困難になっているイスラエルが核兵器を使っても不思議ではない。 アメリカ軍の内部にはイスラエルのために命をかけたくないという将兵も少なくないが、イランを核攻撃したいと考える将兵もいる。2007年8月29日にアメリカのノースダコタ州マイノット空軍基地でW80-1可変出力核弾頭を搭載したAGM-129 ACM巡航ミサイル6発が行方不明になるという出来事があった。しかもミサイルの紛失は報告されず、マイノットとバークスデール両基地で36時間にわたり航空機に搭載されたままだったという。 間違ってB-52H重爆撃機に搭載され、ルイジアナ州バークスデール空軍基地へ輸送されたということになっているが、核兵器を扱うための手順を考えると、少なくとも軍の幹部が核弾頭を搭載しミサイルの移動に関係している可能性が高い。アメリカ国内での核テロを計画していたのか、イランを独断で核攻撃しようとしたグループがいるのではないかと言われていた。現在トランプ政権を動かしている人びとの一部が核攻撃を目論んでいても不思議ではない。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.22
高市早苗首相は3月19日にホワイトハウスを訪問、彼女を出迎えたドナルド・トランプ大統領の胸に飛び込んでハグを交わすという触れ合いからふたりの再会は始まった。それを微笑ましいと捉えるか、醜態だと捉えるかは人それぞれだろう。イランに対する奇襲攻撃やジェフリー・エプスタインとの関係で追い詰められているトランプ大統領にとって気の休まる時間だったかもしれない。 アメリカやイスラエルによる攻撃で始まったイランとの戦争はホルムズ海峡の封鎖という事態になり、エネルギー資源や肥料の流れが止まってしまった。これは日本にとっても重大なことで、「事態を一刻も早く沈静化させ、ホルムズ海峡における航行の安全、エネルギーの安定供給を確保することの重要性を確認しました」などという出来の悪い評論家的なことを言って済む状況ではないのだ。 高市は「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」だと発言したようだが、トランプ大統領を持ち上げているのはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と高市首相くらいだろう。 現在、トランプ大統領の愚かな行為のため、世界は経済危機へ突入しつつあり、核戦争の可能性も高まった。イランのミサイルやドローンを使った反撃でテル・アビブやハイファのようなイスラエルの主要都市や軍事施設は壊滅的な打撃を受けている。 イランを攻撃しているアメリカ軍に基地の使用を認めることは侵略への加担になるとイラン政府は主張、そうした基地のあるペルシャ湾岸の「親米国」は攻撃のターゲットになっている。戦争が長期化すると重要度が高まりそうなディエゴガルシア島は今のところイギリス領ということになっている。そこで、イランはイギリスにも矛先を向けている。日本にあるアメリカ軍基地がイラン攻撃に使われるような事態になれば、日本も攻撃対象と見做されるだろう。 また、ここにきてイラン領空に侵入していたアメリカ軍のF-35戦闘機にイランの防空ミサイルが命中したが、その前に複数のKC-135空中給油機が破壊され、イランの極超音速ミサイルによる攻撃を受けたアメリカ海軍の空母エイブラハム・リンカーンは現在、イランから1100キロメートル離れたオマーン沖に停泊。船内で大規模な火災が発生した空母ジェラルド・R・フォードは修理のため、クレタ島へ向かったと伝えられている。 アメリカやイスラエルによる攻撃を想定して報復の準備を進めていたイランにはまだ余裕があるが、数日でイランは屈服すると考えていたアメリカやイスラエルは窮地に陥っている。長期戦の準備ができていないのだ。こうした事態をアメリカの軍や情報機関は予見し、イラン攻撃を思いとどまるよう大統領にアドバイスしていたようだが、それは拒否された。 アメリカのNCTC(テロ対策センター)の長官を務めていたジョー・ケントは3月17日、「良心に照らして、現在進行中のイラン戦争を支持することはできない」として辞任した。 ケントは辞任後、タッカー・カールソンのインタビューに応じ、その中でイランはアメリカに差し迫った脅威を与えていなかったと主張、「この戦争はイスラエルとその強力なアメリカロビーからの圧力によって始まったことは明らかだ」と語っている。ケントによると、昨年6月までトランプは中東での戦争について、「アメリカから愛国者の尊い命を奪い、国の富と繁栄を枯渇させる罠であることを理解していた」という。 すでにトランプ大統領が始めたイランとの戦争は核戦争の危機を高めているだけでなく、世界経済を破壊し始め、アメリカに住む人びとにもその痛みが及び始めている。オマーンのバドル・ビン・ハマド・アル・ブサイディ外相はエコノミスト誌に寄稿したエッセイの中で、アメリカの友好国はアメリカを不法な戦争から救い出すために支援しなければならないと主張している。 アル・ブサイディによると、9ヶ月の間に2度、アメリカとイランはイランの核開発計画とそれが兵器開発計画になりえるというアメリカの懸念について、真の合意まであと一歩のところまで迫っていたという。 アメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃したのは最も実質的な協議からわずか数時間後のことだったともしている。その協議内容を検討するためにアヤトラ・アリ・ハメネイ師をはじめとするイランの指導者たちが集まり、トランプ政権とネタニヤフ政権それを狙って攻撃したのだろう。 イランが隣国領内のアメリカ軍基地を報復攻撃の対象にすることは遺憾だが、避けられないものだったとアル・ブサイディ外相は判断している。「イスラム共和国の終焉を目的とした戦争」に直面したイランの指導部にとって、報復攻撃はおそらく唯一合理的な選択肢だったというのだ。 こうした常識的な意見をオマーンのような親米国の外務大臣が書いたことは興味深いが、それだけでなく、意見を表明したエコノミスト誌がロスチャイルド家の雑誌だということも注目されている。ウラジミール・ジャボチンスキーが創設した「修正主義シオニスト世界連合」を信奉する人びとからトランプとネタニヤフの戦争は支持されるのだろうが、それ以外の人びとは苛立っているようだ。そのトランプに高市はホワイトハウスで媚を売った。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.21
イスラエルの情報機関はテヘランの交通監視カメラをハッキングし、最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師の自宅を監視、イラン人の動きを追跡していたと伝えられている。ハッキングにはBriefCamというイスラエルを拠点とするBriefCam社が開発した映像解析ソフトウエアが使われたと伝えられている。フィナンシャル・タイムズ紙は、最高指導者の暗殺はイスラエル諜報機関が長年にわたって収集したデータによって可能になったと報じている。 そのソフトウェアをロシアの民間企業が2010年代から使用していたことが発覚した。ロシア科学アカデミー理論実験生物物理学研究所を含む著名な機関、企業、建造物の多くがこの監視システムを使用しているという。 そこでロシアのラジオ局RBCの記者がイスラエル軍のアンナ・ウコロワ報道官に対し、イスラエルはロシアの交通監視カメラにアクセスできるのかと質問したところ、ウコロワ報道官は「ハメネイ師の暗殺は、われわれの能力が相当なものであることを示すものだ」回答、「われわれに危害を加えようとする者は誰であろうと容赦しない」と恫喝。さらに彼女は「モスクワが今、イスラエルに敵意を抱いていないことを願っています」と付け加えた。ロシアの当局者がイスラエルに「敵意」を抱けば「排除」の対象となる可能性があるというわけだ。 BriefCam社は2007年にイスラエルのヘブライ大学で設立された会社で、AIを活用して数時間分の動画を数分に要約して確認でき、要約した映像はさまざまな条件で検索できる。顔認識機能があり、対象の性別、年齢、服装、動きのパターン、特定の場所での滞在時間などでフィルタリングが可能だ。世界をパレスチナ化する技術だ。 この会社は2004年にキヤノン・グループのマイルストーン・システムズに吸収され、その後、BriefCamはマイルストーンのビデオ監視システムに統合された。なお、2022年にマイルストーンのロシアにおける事業は終了している。 イスラエルではこうした分野の会社は情報機関、つまりモサドや電子情報機関の「8200部隊(ISNU)」と関係が深い可能性が高い。必然的にイギリスの対外情報機関MI6や電子情報機関GCHQ、そしてアメリカのCIAやNSAともつながるだろう。そうした背景を持つBriefCam社の親会社が日本企業のキヤノンだ。 アメリカ軍は2月28日にイスラエル軍と共同でイランの主要都市をミサイルとドローンで攻撃し、アリ・ハメネイ師のほか、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、IRGC(イラン革命防衛隊)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会の事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含む人びとを殺害したが、これらの人びとが集まる日時と場所をイスラエルへ知らせたのはクッズ部隊を2020年1月から率いていたイスマイル・カーニで、すでに処分されと言われている。2024年の段階でカーニは疑惑を持たれていたが、アリ・ハメネイ師が殺されるまで要職についていた。 クッズ部隊はIRGCを構成する5部隊のひとつで、非正規戦と軍事情報活動を担当。カーニがモサドのスパイだということは、中国軍の情報機関によるCIA高官とイスラエル参謀本部幹部との通信傍受で判明したと伝えられている。カーニは西側諸国に対し、イランを引き渡すと約束していたという。 3月16日にはイランの最高国家安全保障会議で事務局長を務めていたアリ・ラリジャニが娘の家で、息子のモルテザ・ラリジャニや副事務局長のアリレザ・バヤットらと共に殺害された。 ラリジャニは普通の家に住み、地下施設に隠れるようなことはしていなかったので、居場所は容易に特定できたはずだ。この人物は穏健派と言われ、アメリカなど西側諸国との話し合いに前向きの人物だったが、その人物を殺害してしまった。イスラエル政府やアメリカ政府はイラン政府と話し合うつもりがないようだ。 BriefCamにかぎらず、日本企業はイスラエルの監視技術を導入してきた。例えば電力会社は原子力発電所の監視をイスラエルのディモナに拠点を置くマグナBSP社に任せている。マグナBSP社の社長によると、同社は日本国内のすべての原子力発電所の警備を提供するという基本合意を結んでいた。 2011年3月11日の東電福島第一原発の炉心溶融事故でマグナBSP社の存在は注目された。マグナBSP社と監視カメラを炉心の周辺に設置する契約を結んでいたのだ。同社の社長はエルサレム・ポスト紙の取材に対し、同社のサーマル・イメージング・カメラは大気中の放射性雲の存在を検知する能力も持っていると述べている。 また、ハーレツ紙によると、事故の約1年前にマグナBSP社は原発の施設に警備システムを設置していた。そのシステムにはカメラと警報システムが含まれ、施設の警備員は敷地内への侵入や境界フェンスの損傷を試みる人物を監視できる。セキュリティ・システムはテロ攻撃に利用するために放射性物質を奪おうとする勢力から原発を守るために設計されたという。マグナBSP社の社長はハーレツ紙に対し、高所に設置された同社のセキュリティ・システムのカメラは損傷を受けていないため、地震後の爆発や津波の影響を捉えていた可能性が高いと語っていた。 パレスチナは事実上、イスラエルが建設した強制収容所であり、日常的に虐殺が行われてきた。そこで培った技術を日本は導入している。監視技術の分野における日本とイスラエルの関係は強いようだ。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.20
イランの最高国家安全保障会議で事務局長を務めていたアリ・ラリジャニが3月16日に娘の家が爆撃され、息子のモルテザ・ラリジャニや副事務局長のアリレザ・バヤットらと共に殺害された。ラリジャニはイランだけでなくアメリカにとっても重要な人物だったが、その彼が死んだからといってイランの政策が変化する可能性は小さい。 アメリカ政府は昨年12月28日にイランの通貨リアルを暴落させて経済を混乱させ、その混乱を利用して反政府デモを誘発させた。デモ隊の中に潜り込ませた工作員には資金と共にスターリンクを渡している。スターリンクを利用して治安部隊の動きを知らせ、どのように行動すべきかを指示していたのだが、そのためにドナルド・トランプ政権は事前に約5万台のスターリンク端末をイランへ密輸していた。 アメリカやイギリスはインターネットを利用して反政府デモに衛星画像を提供し、作戦を伝えてきた。イランではスターリンクを使ったわけだが、そのスターリンクをイラン政府は遮断、反政府運動を沈静化させることに成功。2月28日にアメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃した際、イラン国内は安定していた。 この攻撃でイランの最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師、参謀総長のアブドルラヒム・ムサビ、国防大臣のアジズ・ナシルザデ、イラン革命防衛隊(IRGC)司令官のモハメド・パクプール、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含む政府の要人が殺害され、同時にミナブ女子小学校も攻撃されて168名から180名の生徒が殺されたものの、体制転覆には至らなかった。 アメリカやイスラエルは敵対勢力に交渉を持ちかけ、その敵の要人が集まる状況を作った上で爆撃するという手法を使う。つまり交渉に応じることは危険だということだ。こうした手法はウクライナでもロシアを相手に使っている。ロシアやイランが交渉に応じないのはそのためだ。ラリジャニもそのように認識していたが、アッバス・アラグチ外相も同じように考えている。戦場で決着をつけ、中東からアメリカ軍を追い出そうということだ。 トランプ政権が少なからぬ軍事や情報に関する専門家だけでなく自国の情報機関や軍の警告を無視してイランを軍事攻撃したのはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に命令されたからだという人もいるが、もうひとつの要因としてパランティア・テクノロジーズのAIがある。 イラン攻撃ではパランティアのAIを用いて標的は特定され、同社も支援している国防総省のプロジェクト・メイブンが中核的な役割を果たしているとも言われ、パランティアのMOSAICプラットフォームはパターン分析に基づく予測推論、つまりパターンを分析し、次に何が起こるかを推測する。同社はデータの収集から攻撃まで、戦争の全サイクルを網羅する統合システムを段階的に構築しているとも言われている。 パランティアはアメリカ主導軍がイラクを攻撃した2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設された。イスラエルの情報機関とも関係が深く、共同創設者のひとりで現在会長を務めているピーター・ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領は彼の弟子的な存在だ。 2003年3月のイラク戦争でアメリカ軍は指導部や指揮系統を短期的な空爆で壊滅させた。中央集権的な指揮系統に対してこの戦法は有効なため、イランは指揮系統をモザイク構造に作り変えた。この構造は今回のアメリカ/イスラエルによる奇襲攻撃に対して有効だった。 2003年に創設されたパランティアのAIも短期集中型の空爆を前提としていたが、それに対してイラン側は長期戦を選択、それに備える準備を整えてきた。長期戦になれば、石油や天然ガスなど資源の流れが滞るため、西側諸国はこの面でも苦しくなる。 現在、アメリカ/イスラエルはミサイルの枯渇に苦しんでいるが、イランは潤沢にある。これまでにイランが発射した弾道ミサイルやドローンは2012年や13年に製造された旧式のもので、相手に防空ミサイルを使わせることが目的。新型ミサイルを含む高性能兵器は温存されている。アメリカ/イスラエルはイランの技術水準と生産力を過小評価、窮地に陥った。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.19
アメリカFCC(連邦通信委員会)のブレンダン・カー委員長は3月14日、イラン戦争に関する「フェイク・ニュース」を放送する報道機関の放送免許を停止する可能性があると警告した。同じことをドナルド・トランプ大統領は昨年4月に主張している。 カーの発言は、親イスラエル勢力の指示に従うトランプ政権はイスラエルと共同でイランを奇襲攻撃、イランによる反撃でイスラエルや中東にあるアメリカ軍基地などが攻撃したが、予定通りに進んでいない。その実態について報道することを許さないということだろう。 カーの矛先はジャーナリストのタッカー・カールソンにも向けられている。カールソンは3月14日、CIAが彼の通信を傍受し、司法省に彼の刑事告発を準備させていると語った。 西側世界における言論弾圧は珍しくない。例えば、内部告発を支援してきたWikiLeaks(ウィキリークス)は2010年4月5日、アメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターがイラクのニューバグダッド郊外で非武装の十数名を殺害さする様子を撮影した映像を公開した。この銃撃事件は2007年7月の出来事だ。犠牲者の中にはロイター通信の記者ふたりと救助隊員、またふたりの子どもも含まれていた。 その映像を見れば攻撃された人びとが武装しているようには見えず、ヘリコプターの乗組員が武装集団と誤認したとは考えられない。勿論、戦闘はなかった。 この映像をWikiLeaksへ渡したアメリカ軍特技兵のブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニングと名乗っている)は2010年5月に逮捕され、軍事法廷は懲役35年を言い渡された。 一方、アメリカの司法当局はWikiLeaksの象徴的な存在だったジュリアン・アッサンジを起訴、2019年4月11日にロンドンのエクアドル大使館において、ロンドン警視庁の捜査官によって逮捕された。アメリカの司法当局はアッサンジをハッキングのほか「1917年スパイ活動法」で起訴したが、ハッキングがでっち上げであることは間も無く発覚、スパイ活動法だけが残った。これも無茶な罪状だが、懲役175年が言い渡される可能性があった。 アッサンジが「1917年スパイ活動法」について有罪を認めるという条件で司法取引が2024年6月24日に成立、アメリカ司法省はアッサンジが身柄引き渡しを待つ間に服役していた62カ月の刑を求刑、イギリスのベルマーシュ刑務所から釈放された。 そこからアッサンジは弁護士と駐英オーストラリア高等弁務官を伴ってチャーター機でサイパン島へ向かい、北マリアナ諸島連邦地方裁判所に出廷。そこでアッサンジはスパイ活動法に基づき、国家防衛情報の入手および開示を共謀した罪で有罪を認め、判事はその答弁を受け入れ、懲役62カ月を言い渡し、釈放された。 この事件でアメリカの司法は言論の自由を行使することがスパイ行為にあたると宣言したわけで、タッカー・カールソンのジャーナリストとしての活動は犯罪だとされる可能性がある。こうした言論弾圧はトランプ政権だからということではない。 現在の日本でも新聞、雑誌、放送、出版社など言論を生業とする人びとは言論の自由を放棄しているが、その日本でスパイ防止法の制定と国家情報局の創設を推進しようとする動きがある。これは言論弾圧の仕組みを強固なものにするためだろう。 オノレ・ド・バルザックが『幻滅』で描いたように、昔から「ジャーナリズム」は権力者と結びついたカネ儲けという側面があり、権力者はそれを利用して情報を操作、庶民を操ってきた。アメリカでは1948年から組織的な情報操作プロジェクトが始められている。「モッキンバード」だ。 このプロジェクトを指揮していた人物はCIAのコード・メイヤー。実際の活動で中心的な役割を果たした人物は4名いて、ひとりは情報機関に君臨していたアレン・ダレス、ダレスの側近だったフランク・ウィズナーとリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだ。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979) ウォーターゲート事件の調査で有名になったカール・バーンスタインは1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、ローリング・ストーン誌に「CIAとメディア」という記事を書いている。その記事によると、20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していた「ジャーナリスト」は400名以上に達し、そのうち200名から250名が記者や編集者など現場のジャーナリスト。現在はさらにネットワークが強化されているだろう。 また、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出版、その中で多くの国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。CIAに買収されたジャーナリストは人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開し、ロシアとの戦争へと導いて引き返すことのできないところまで来ていると彼は警鐘を鳴らしていた。この警告はすでに現実になっている。 体制に異を唱えるキャラを維持しつつ社会的な成功も望む人は体制に「騙して欲しい」と願っているかもしれないが、社会的な成功を願わずに権力者と対峙しようという変わり者もいる。そうした変わり者をFCCのカー委員長も潰そうとしているのだろう。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.18

ドナルド・トランプは平和を訴えて大統領選挙で勝利したが、イランへの奇襲攻撃から中東全域を戦火で燃やし尽くそうとしている。世界を戦争へと導いている点で、イラクを先制攻撃したジョージ・W・ブッシュ政権、そしてロシアとの戦争へ突入、シリアやリビアをジハード傭兵を利用して侵略したバラク・オバマ政権やジョー・バイデン政権と同じだ。 ソ連が消滅した直後の1992年2月、アメリカの国防総省はDPG(国防計画指針)草案を作成した。当時のアメリカ大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツ。草案作成の中心がウォルフォウィッツだったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 その最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことだが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設すると書かれている。要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込むということ。 世界征服を目指して侵略戦争を始めると読めることから政権の内部でも危険視する人がいたようで、ニューヨーク・タイムズ紙にリークされて大きな問題になり、最終的には穏便な表現に変えられたが、彼らの計画に変化はなかった。その計画を真剣に考えなかったビル・クリントンはスキャンダル攻勢に苦しむ。 クリントン政権の第1期目に戦争へ向かわなかったのは、国務長官を務めていたウォーレン・クリストファーが戦争を嫌っていたからだと言われている。その国務長官が第2期目にマデリーン・オルブライトへ交代した。オルブライトはズビグネフ・ブレジンスキーの教え子で、好戦的な人物。ヒラリー・クリントンやビクトリア・ヌランドと親しいことでも知られている。クリントン大統領は政権の終盤、1999年3月にユーゴスラビアを空爆した。 ウォルフォウィッツ・ドクトリンが本格的に始動するのは2001年9月11日に引き起こされた「9/11」の後。ジョージ・W・ブッシュ政権は2003年3月にイラクへ軍事侵攻、バラク・オバマ政権は2011年春にジハード傭兵を利用してリビアとシリアに対する軍事作戦を開始、14年2月にはウクライナでクーデターを成功させ、ロシアとの戦争へ突き進んだ。オバマ政権で副大統領を務めたジョー・バイデンも大統領に就任すると、ロシアとの戦争へ向かう。そしてトランプはイランを攻撃している。 2016年に実施されたアメリカ大統領選挙で民主党の候補者だったヒラリー・クリントンはオバマ政権を引き継いでシリアやロシアとの戦争へ向かっていたが、そうした政策を批判し、ロシアとの関係修復を訴えて勝利したのがトランプにほかならない。 選挙期間中の2016年7月10日、民主党全国委員会(DNC)でデータ分析を担当していたセス・リッチがワシントンD.C.のブルーミングデール地区で背中を2発撃たれ、運ばれた先の病院で死亡した。彼の財布、携帯電話、腕時計は盗まれていなかったのだが、警察は強盗犯に撃たれたとしている。 リッチが撃たれてから12日後の2016年7月22日、内部告発を支援していたウィキリークスは民主党を揺るがし、大統領選の行方を一変させることになる約2万件のDNCメールを公開した。そのメールの中に、民主党幹部がヒラリー・クリントンを候補者とするため、支持者が増えていた対立候補のバーニー・サンダースを落とそうとしていることが明らかになった。 それに対し、民主党幹部はCIAやFBIと共同で、ウィキリークスが公開したメールはロシア政府による陰謀だと主張しはじめ、2017年3月にアダム・シッフ下院議員は下院情報委員会で「ロシアゲート」の開幕を宣言した。2016年の大統領選挙にロシアが介入したとする声明を出したのだが、証拠は何も示していない。 シッフの主張は元MI6(イギリスの対外情報機関)オフィサーのクリストファー・スティールが作成した報告書だが、根拠薄弱だということはスティール自身も認めている。 アメリカの電子情報機関NSAの不正を内部告発したことでも知られているウィリアム・ビニーも指摘しているように、ロシアゲートが事実ならすべての通信を傍受、記録しているNSAからその傍受記録を取り寄せるだけで決着が付く。特別検察官を任命する必要はない。特別検察官を任命した大きな理由はトランプの周辺にいる人物を逮捕、司法取引で偽証させることにあったと推測する人もいる。 ところが、ロシアゲートはヒラリー・クリントン陣営を中心とする民主党幹部、CIA、FBIがイギリスの対外情報機関の元エージェントの協力を得て、西側の有力メディアが広めた作り話であることが判明してしまう。ヒラリーが当選していれば、こうした工作は隠蔽できただろうが、落選したため、そうしたことができなかった。 大手メディアが総がかりで宣伝したロシアゲート疑惑の影響もあり、トランプは第2期目の選挙でジョー・バイデンに敗北、バイデンはウラジミル・プーチン露大統領を人殺し呼ばわりし、ロシアとの戦争へ向かうのだが、この政策は破綻、トランプの復活につながった。 ところが、そのトランプも戦争へと突き進む。そのトランプは義理の息子であるジャレッド・クシュナーに操られていると主張する人物がいる。一時期はクシュナーと親しかったラッパーで音楽プロデューサーでもあるカニエ・ウエストだ。FOXニュースのホストを務めていたタッカー・カールソンに対し、彼はクシュナーを傲慢で金銭欲が強く道徳観念に欠ける人物だと語っている。ウエストによると、ジャレッドと弟のジョシュアはトランプを操るハンドラーのような存在だと思うようになったという。 トランプは若い頃からジェフリー・エプスタインの親友で、ラスベガスなどでカジノを経営していたシオニストのシェルドン・アデルソンやその妻ミリアム・アデルソンから多額の選挙資金を受け取ってきた。本ブログでは繰り返し書いてきたが、エプスタインはイスラエル軍の情報機関アマンのために働き、ロスチャイルド家にもつながっていた。こうした人脈によってトランプは操られているわけだが、その指示をトランプに伝える人物はクシュナーなのだろう。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.17

ドナルド・トランプ米大統領がイランに対して仕掛けた奇襲攻撃は最高指導者を務めてアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む要人の殺害に成功したものの、体制の転覆には失敗、イラン軍の反撃でアメリカ/イスラエル軍は窮地に陥っている。「われわれは勝っている」というトランプ大統領の「マイク・パフォーマンス」で状況を変えることはできない。 そこでアメリカやイスラエルは「偽旗作戦」を実行するのではないかと言われているのだが、イランの最高国家安全保障会議で事務局長を務めるアリ・ラリジャニは、ジェフリー・エプスタイン人脈が「9/11同時多発テロ」に類似した出来事を引き起こし、イランに責任を負わせようとする動きがあると語っている。イラン側によると、キプロス、アゼルバイジャン、リヤドを標的とした攻撃はイスラエルによって実行されたという。 この同時多発テロとは、2001年にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された出来事を指し、少なからぬ人がショックで思考停止状態になったようだ。アメリカでは憲法が機能不全になり、国内の収容所化が進み、国外では戦略戦争を始まった。 世界貿易センターでは1993年2月26日、ノース・タワーにある地下駐車場に仕掛けられていた爆弾が遠隔操作で爆破されている。ノース・タワーを倒し、サウス・タワーも破壊する計画だったが、建造物で最も弱いはずの地下を破壊してもノース・タワーはびくともしなかった。言うまでもなく、サウス・タワーも倒れていない。 ノース・タワーでは地下駐車場が爆破された後、1994年から2000年にかけてACEエレベーターが貿易センターのエレベーター・システムの改良工事を実施(George W. Grundy, “Death of a Nation,” Skyhorse, 2017)、ストラテセク社は1996年から2000年にかけてビルの治安システムを導入するための工事を実施した。大工事だ。 2001年の9/11ではサウジアラビアとイスラエルに疑惑の目が向けられていた。オサマ・ビン・ラディンの兄弟のひとりであるシャフィグは9月11日にジョージ・H・W・ブッシュやジェイムズ・ベイカーと会っていたほか、後にサウジアラニアの情報機関である総合情報庁を率いることになるバンダル・ビン・スルタンはアメリカ駐在大使として赴任中で、2005年9月までその職についていた。バンダルの後任大使、トゥルキ・ビン・ファイサル・アル・サウドは2001年8月31日、つまり9/11の11日前まで総合情報庁の長官を務めていた。 9月11日には140名のサウジアラビア人を乗せたチャーター機がアメリカを飛び立っているが、その中には24名のビン・ラディン家の人間も乗っている。その航空機の搭乗者のひとり、アーメド・ビン・サルマンは9/11を事前に知っていたと後に語っているが、2002年7月に43歳の若さで心臓発作のために急死してしまう。 9/11の前後に「イスラエル人美術学生」が逮捕されていることも話題になった。イギリスのテレグラフ紙によると、攻撃の前に140名のイスラエル人が逮捕され(Telegraph, March 7, 2002)、ワシントン・ポスト紙によると、事件後に60名以上が逮捕されている。(Washington Post, November 23, 2001)合計すると逮捕者は200名に達し、その中にはモサドのメンバーも含まれていた。後に全員が国外追放になる。 こうしたことが知られるようになったこともあり、9/11に関する政府の公式見解を信じない人が増えている。アリ・ラリジャニの発言は意味深長。また彼は偽旗作戦の実行する可能性のあるグループとしてエプスタイン人脈を口にした。 1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェによると、エプスタインはギレーヌ・マクスウェルや彼女の父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルと同じように、イスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていた。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019)イスラエルの情報機関の管理下にあったということは、アメリカやイギリスの情報機関、つまりCIAやMI6とも繋がっていたはずだ。 ギレーンはエベリン・ロスチャイルドとその妻リンと非常に親しい関係にあることが知られている。ギレーヌによると、イギリス王室の一員だったアンドリュー王子(現在はアンドルー・マウントバッテン-ウィンザー)をエプスタインに紹介したのはエべリン・ド・ロスチャイルドの妻、リン・フォスター・ド・ロスチャイルドだという。リン・フォスターはエプスタインの友人である。 ビル・クリントン元米大統領は宣誓供述で、ロスチャイルド家との親密な関係ゆえに、ジェフリー・エプスタインよりもギレーン・マクスウェルとより親密であったとしている。ギレーンはクリントンの娘チェルシーと休暇を過ごし、彼女の結婚式にも出席した。ギレーンとエプスタインはクリントン大統領の時代にホワイトハウスへ何度も招待されている。 トランプ政権はイランを奇襲攻撃する前、昨年12月28日にイランの通貨リアルを暴落させて経済を混乱させている。その混乱を利用して反政府デモを誘発させ、その中に工作員を潜り込ませている。 アメリカやイスラエルはスターリンクを利用して工作員に対して治安部隊の動きを知らせ、行動を指示していた。トランプ政権は事前に約5万台のスターリンク端末をイランへ密輸、政権転覆工作のために編成したグループに資金と共に渡したとされているが、イラン政府はスターリンクを遮断することに成功する。その遮断には中国とロシアが協力したと言われている。その結果、デモは沈静化、トランプ政権が望んだような社会の不安定化は起こらなかった。 それにもかかわらずトランプ政権はイランに対する軍事作戦を強行した。イスラエルからの圧力ということもあるが、アメリカには切り札があった。クッズ部隊を2020年1月から率いていたイスマイル・カーニである。クッズ部隊はイラン革命防衛隊(IRGC)を構成する5部隊のひとつで、非正規戦と軍事情報活動を専門とする。カーニは西側諸国に対し、イランを引き渡すと約束していたと伝えられている。それが発覚したということだ。カーニがモサドのスパイだということは、中国軍の情報機関によるCIA高官とイスラエル参謀本部幹部との通信傍受で判明したと伝えられている。 トランプ政権はスターリンクを利用した工作員のネットワークだけでなく、カーニという切り札も失った。ミサイルやドローンの戦いではイランが圧倒しはじめている。しかも、イランは石油取引の決済を中国の人民元で行うことを求めるようだ。アメリカの支配システムを支えてきた「ペトロダラー」を壊しにかかるつもりのようだ。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.16
ドナルド・トランプ米大統領は3月14日にイランのハールク島を爆撃した。すべての軍事目標を完全に壊滅させたと彼は自慢していたが、その1時間後、島の防空システムが機能していることが確認された。イランの原油輸出の約9割を扱っている同島の石油輸出ターミナルは無傷だとされているが、ここにあるタンクからの石油積載量は過去1ヶ月で1.5倍に増加、つまり貯蔵量を減らしてアメリカ軍による攻撃に備えていたようだ。ちなみに、イランで稼働中のターミナルはハールク島のものを含めて5つある。 元CIA分析官のラリー・ジョンソンが指摘しているように、ハールク島を壊滅させたという嘘を信じているのでなければ、トランプ大統領は勝利を演出してアメリカ軍を撤退させるつもりなのかもしれないが、イランはそれを許さないだろう。トランプ政権がイランとの戦争を終結させられたとしても、戦争の実態が明らかになることはトランプ大統領にとって好ましくない。早く終わりすぎると、「エプスタイン・ファイル」の問題が伸し掛かってくる。 アメリカは幻影を作り出して人びとを操る術に長けている。1948年から始められた「モッキンバード」はCIAのコード・メイヤーが指揮していた組織的な情報操作のプロジェクト。実際の活動はCIA長官を務めたアレン・ダレス、ダレスの側近だったフランク・ウィズナーとリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムだ。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979) ウォーターゲート事件の調査で有名になったカール・バーンスタインは1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、ローリング・ストーン誌に「CIAとメディア」という記事を書いている。その記事によると、20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していた「ジャーナリスト」は400名以上に達し、そのうち200名から250名が記者や編集者など現場のジャーナリスト。現在はさらにネットワークが強化されているだろう。 また、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出版、その中で多くの国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。CIAに買収されたジャーナリストは人びとがロシアに敵意を持つように誘導するプロパガンダを展開し、ロシアとの戦争へと導いて引き返すことのできないところまで来ていると彼は警鐘を鳴らしていた。 1982年9月にサブラとシャティーラの難民キャンプで1万数千名のパレスチナ人が虐殺された。イスラエル軍の下で活動していたファランヘ党の部隊だった。そのため世界的にイスラエル批判が高まり、イギリスでは親イスラエルだった労働党が親パレスチナへ変化した。その労働党をイスラエル支持へ引き戻したのがイスラエルを後ろ盾とするトニー・ブレアにほかならない。 アメリカでは1983年にロナルド・レーガン大統領がメディア界で大きな影響力を持つルパート・マードックとジェームズ・ゴールドスミスを呼び、軍事や治安問題で一緒に仕事のできる「後継世代」について話し合った。それがBAP(英米後継世代プロジェクト、後に米英プロジェクトへ改名)だ。そのプロジェクトには編集者や記者も参加、メディアは権力システムに組み込まれていく。 映画も情報操作の道具として使われている。警視監を経験した松橋忠光によると、アメリカは1959年から「1年に2人づつ警視庁に有資格者の中から選ばせて、往復旅費及び生活費と家賃を負担し、約5か月の特殊情報要員教育を始めた」という。その前は「数か月の期間で3、4人の組というように、あまり秩序立っていなかったようである。」(松橋忠光著『わが罪はつねにわが前にあり』オリジン出版センター、1984年) 支配者たちは、こうした仕組みを利用して幻影を作り出して人びとを操るのだが、2001年9月11日以降、幻影と現実の乖離が大きくなっていく。2003年3月にイラクをアメリカ主導軍が先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒した際、「大量破壊兵器」が口実に使われたが、これは嘘だった。攻撃前から嘘はバレていたのだが、ジョージ・W・ブッシュ政権はメディアの協力を得て強引に軍事侵攻している。 バラク・オバマ米大統領は2010年8月にPSD-11を承認してムスリム同胞団を使った体制転覆作戦を始動させ、2011年春にはジハード傭兵を使い、シリアやリビアを倒しにかかった。リビアでは2011年10月にムアンマル・アル・カダフィ体制は倒され、カダフィ本人はその際に惨殺された。それ以降、リビアは無法地帯で石油を含む資源は欧米の帝国主義者に略奪されている。シリアのバシャール・アル・アサド政権は2024年12月、アフマド・アル-シャラア(アブ・モハメド・アル-ジュラニ)が率いるアル・カイダ系武装集団に倒された。その当時から西側の大手メディアはあからさまな嘘を伝えるようになった。 ウクライナもそうだが、西側の支配層が計画した通りにことが進まないため、その後、彼らの嘘はエスカレートし、大手メディアが描き出す幻影と現実の乖離は大きくなるばかりだ。トランプ大統領はその幻影から抜け出せなくなっている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.15

イランの新しい最高指導者のモジタバ・ハメネイ師は3月12日、初のメッセージを発表した。2月28日にアメリカとイスラエルイランを奇襲攻撃し、モジタバの父親で最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師のほか、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含む政府の要人を殺害したが、その際、モジタバも負傷したようだ。西側はモジタバの死を期待していたようだが、その期待は裏切られたわけだ。 2月28日の攻撃ではミナブ女子小学校が攻撃され、168名から180名が殺された。その大半は7歳から12歳の少女。攻撃は2度あり、最初の攻撃で生徒たちは礼拝堂に避難したのだが、数十分後にその礼拝堂が攻撃されて多くの死傷者が出た。最初の攻撃で人びとを一カ所に集め、救助隊もろとも殺す計画だった可能性が高い。いわゆる「ダブルタップ攻撃」だ。 ドナルド・トランプ米大統領はイランのミサイルだと主張したが、攻撃に使われた巡航ミサイルのトマホークをイランは保有していない。アメリカかイスラエルによる意図的な攻撃だったと考えるべきだろう。アメリカとイスラエルはNATO諸国の協力を得てガザでも子どもや女性を大量虐殺してきた。 モジタバ・ハメネイ師はホルムズ海峡の封鎖を続け、敵対勢力が戦争を継続する場合、新たな戦線を開く可能性を排除しないと宣言、アメリカ軍基地を抱えている中東諸国に対し、そうした基地を速やかに閉鎖するように求めている。さらに、イランの敵対勢力は賠償金を支払うべきであり、支払わなければ財産を没収または破壊するとも述べた。 ただ、イラン外務省によると、イラン海軍と連携すれば船舶はホルムズ海峡を通過できるという。例えば、サウジアラビア産原油を積載したリベリア船籍のタンカー「シェンロン」がホルムズ海峡を無事通過してムンバイ港に到着したと伝えられている。またインド船籍のタンカー2隻、「プシュパク」と「パリマル」もホルムズ海峡を通過したという。 タンカーの海峡通過の前、インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相とイランのアッバス・アラグチ外相が会談し、イランはインドに対し「大きな安心感」を与えたとも伝えられている。前面封鎖でイランに反発する国が増えることを避けたいのかもしれない。 アメリカ/イスラエルによる奇襲攻撃から90分後にイランは報復攻撃を開始、イスラエルは迎撃システムが機能しなくなり、その様子の撮影と公開は禁止されているようだが、テルアビブやハイファのような都市は瓦礫の山になっていると伝えられている。アメリカ軍が韓国に配備されていたTHAAD(終末高高度防衛)発射装置6基すべてを中東へ移動させた理由もそこにあるのだろう。IRGC(イラン革命防衛隊)によると、彼らは地域内にあるアメリカ軍基地と司令部の70%を破壊したという。 アメリカ軍のKC-135空中給油機1機がイラクの西部で墜落、別の1機が被弾したものの、イスラエルに着陸したと伝えられている。アメリカ側はイラク軍の攻撃や友軍の誤射が原因ではないと主張しているが、アメリカCBSの特派員もイランの攻撃によるとしていた。イランのIRGCによると、イラクの人民動員軍(PMU)の防空システムが撃墜したという。 また、先日、クウェート上空ではアメリカ軍のF-15戦闘機3機が墜落している。アメリカ中央軍(CENTCOM)は「友軍による誤射」によるとしていたが、イランの防空システムに落とされた可能性もある。イランは少なくとも1機、F-15を撃墜したとしていた。 すでにレバノンのヒズボラはイスラエルに対する攻撃を開始、イスラエル東部へ侵攻したとも伝えられているが、すでにアメリカ/イスラエルとの戦争に参加すると表明しているイエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)を率いるサイード・アブドゥルマリク・バドレッディン・アル-フーシは、レバノンに対するイスラエルの侵略に対抗するのはヒズボラの権利であると主張している。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.14
ドナルド・トランプ大統領は対イラン作戦は成功し、勝利したと宣言しているが、事実はこの宣言を否定している。イスラエル政府はイランによるミサイルやドローンによる攻撃の様子を撮影し、公開することを禁止しているが、防空システムが機能していない実態は漏れ出てくる。 イランがアメリカの求めに応じることはないと見られている。停戦は戦況が悪化した場合にアメリカが使う常套手段。戦力を増強するための時間稼ぎにすぎない。態勢が整ったなら戦争を仕掛けてくる。西側諸国はウクライナでもこの手を使ったが、イランは昨年6月に停戦を受け入れ、今回の攻撃に繋がった。同じ間違いを繰り返すことはないだろう。 アメリカは韓国に配備されていたTHAAD(終末高高度防衛)発射装置6基すべてを中東へ移設したが、これは中東に配備されていた装置が無力化、あるいは破壊されたからだ。イランはクウェート、カタール、バーレーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、ヨルダン、イラクに設置されていたアメリカ軍の基地、あるいは外交施設も攻撃し、ダメージを与えている。 イランの攻撃手段はミサイルやドローンのほかにもある。例えばアメリカ、イスラエル、そしてこの2カ国を支援する国を攻撃するためにホルムズ海峡を封鎖し、ペルシャ湾から原油、LNG(液化天然ガス)、窒素肥料の供給を遮断した。ホルムズ海峡の封鎖が長引くと、世界的な景気後退から恐慌へと進む可能性が高い。 欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めた経験のあるウェズリー・クラークによると、2001年9月11日の攻撃から10日ほど後、彼は統合参謀本部で攻撃予定国のリストを見たという。そのリストにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが記載されていた。(ココやココ) イラクが2003年に攻撃されたのに続き、06年にはレバノン、07年にはソマリア、続いて11年にはシリアとリビアで侵略戦争が始まり、19年にはスーダン、そしてイランだ。自立の道を進み始めた国々がネオコンの予定通りに破壊されている。 2001年当時の大統領はジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ドナルド・トランプ、ジョー・バイデン、いずれも外交や軍事はネオコンがコントロールしている。ジャーナリストのマックス・ブルメンタールによると、第2期目のトランプ政権ではアメリカにイランを攻撃させるための工作が実行された疑いがある。 トランプは最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害した際、「彼が私を捕まえる前に、私が彼を捕まえた」と記者に語った。イランがトランプの命を狙ったという証拠はないが、彼は本当にそう信じていたようだ。 トランプが信じているらしい物語の主人公はアシフ・マーチャントなる人物。彼がテキサス州ヒューストンにあるジョージ・ブッシュ・インターコンチネンタル空港に到着したのは2024年4月。彼はすぐに「要注意人物」として国土安全保障省の監視リストに載せられている。ジャーナリストのジョン・ソロモンによると、マーチャントは空港で尋問されたものの、「特別公益仮釈放」が与えられた。FBI合同テロ対策部隊の文書には、マーチャントが何事もなく釈放され、希望する目的地へ自由に渡航できたと書かれているという。 アメリカへ入国したマーチャントにFBIはナディーム・アリという偽名で活動する秘密情報提供者を紹介、このふたり行動を共にするようになった。近日中に刊行が予定されているケン・シルバの著作『トランプ暗殺計画』にはマーチャント事件について「FBIによって厳重に管理された囮捜査であり、トランプに脅威を与えることは決してなかった」と書かれているようだ。連邦刑務所局長コレット・ピーターズの内部メモは、マーチャントがアメリカ国内のイラン情報機関員と一切接触していなかったことを示しているともいう。 ニューヨーク東部地区の連邦陪審は3月6日、アシフ・マーチャントについてイスラム革命防衛隊(IRGC)の工作員だったと認定、殺人請負と国境を越えたテロ行為未遂の罪で有罪判決を下したのだが、怪しい。 トランプ暗殺未遂事件には不可解な点が少なくない。一連の出来事はアメリカにイランを攻撃させるための秘密工作だった疑惑があるのだが、その捏ち上げにFBIが関係している疑いもある。トランプ政権がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権と共同で実行したイランに対する奇襲攻撃で体制を転覆させることはできなかった。今後、対イラン戦争を継続、あるいはステップ-アップさせるため、アメリカ国内で偽旗作戦を実行するかもしれない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.13
国内で消費する原油の90%をサウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタールといった中東諸国から輸入している日本のような国にとってホルムズ海峡の封鎖は深刻な事態だ。生産や輸送のコストが上昇して物価が高くなり、家庭の光熱費も上がる。石油に支えられていると言われている農業に対する影響も避けられない。 ロシアとの関係が良ければ逃げ道もあっただろうが、高市早苗首相は中国やロシアとの関係を悪化させてきた。高市首相はホルムズ海峡封鎖の原因を作ったアメリカのドナルド・トランプ大統領に服従している。トランプも高市もイランは脅せば簡単に屈服すると考えていたのだろうが、その計算は間違っていた。強烈な報復攻撃を受けている。 イランは長期戦を考えているが、アメリカやイスラエルは長期戦の準備ができていない。イランはアメリカやイスラエルとの戦争に敗れつつあり、降伏寸前だとトランプ政権は主張しているが、そうした事態にはなっていない。イランはこれまで旧式ミサイルによる攻撃でアメリカやイスラエルが保有する防空システムのミサイルを枯渇させた。今後、新型ミサイルによる攻撃が増えてくるはずだ。 トランプ大統領が軍事作戦を終了したいと考えてもこれからが戦争の本番。「戦争は概ね終結した」と主張して撤退したいとアメリカ政府は考えているかもしれないが、イランは逃さないだろう。トランプ大統領はウラジーミル・プーチン大統領に電話をかけたそうだが、助けを求めたのではないだろうか。ペルシャ湾岸諸国で構成されている湾岸協力会議(GCC)は各国の大使を3月5日にモスクワへ派遣、プーチン大統領に助けを求めたが、セルゲイ・ラブロフ露外相は要請を断ったという。 イランの報復攻撃はペルシャ湾岸諸国にあるアメリカ軍基地も標的になっている。そうした基地からアメリカ軍はイランを攻撃しているからだ。クウェートやバーレーンでは地対地ミサイルATACMSの空になったコンテナが発見され、アメリカ軍の爆撃機がサウジアラビアの領空内で燃料の補給を受けていることも判明している。 それでもペルシャ湾岸の産油国はアメリカ政府からのイランとの戦争に加われという要請を断っている。もしイランに宣戦布告すればアメリカは撤退して武器商人になり、両者が崩壊すれば「大イスラエル」が実現できるというわけだ。戦争を仕掛けたのがアメリカとイスラエルだということも忘れてはいない。この点、ネオコンの命令に従うだけの日本とは違うようだ。 アメリカ主導軍が2003年3月にイラクを先制攻撃した際、「ショックと畏怖」という用語が盛んに使われた。ネオコンの「脅せば屈する」という教義と同じだ。攻撃によって人びとを恐怖に陥れ、アメリカへの抵抗は無益であり、屈服すべきだと確信させる心理作戦とも言える。 心理戦を主導してきたのはアメリカやイギリスの金融資本、そしてその影響下にある情報機関。そうした支配層は圧倒的な力を見せつけることにより、アメリカに抵抗する意志を失わせようとしてきた。日本人はアメリカに抵抗する意思を放棄して久しいが、イランの場合、こうした「ショックと畏怖」が通用しない。同じことがロシアや中国に対しても言える。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.12

三陸沖でマグニチュード9.0、震度7という巨大地震が発生、それが原因で東京電力福島第1原発で炉心溶融という大事故が引き起こされたのは15年前の3月11日だった。津波が原因とされているが、データは揺れで原発が壊れていることを示していると原発の専門家は指摘していた。 確かに大きな地震ではあったが、震度7の地震はしばしば起こる。例えば、2024年の能登半島地震、2018年の北海道胆振東部地震、2016年の熊本地震、2004年の新潟県中越地震などだ。原発を推進してきた勢力は揺れで壊れたとは言えないのだろう。新潟県中越地震では柏崎刈羽原発の天井クレーンが破損したことを東京電力は認めている。 重大な出来事が起こると責任者たちは「想定していなかった事態」だと弁解するが、想定していないことが起こるから事故になるのであり、想定していないことが起こるのは当然のこと。想定していなかったからといって責任を免れることはできないはずだが、福島第1原発事故で東京高裁(木納敏和裁判長)は東電旧経営陣の責任を認めなかった。 この地震では原子炉内にあった核燃料のほぼ全量が溶融、周辺の装置などを含むデブリ(塊)は600トンと言われているのだが、それがどこにあるか明確でない。「チャイナシンドローム状態」で、それを大量の地下水が冷却、高濃度汚染水が太平洋へ流れ込んでいる可能性がある。 原発の専門家であるアーニー・ガンダーセンも指摘しているように、福島第一原発から環境中へ放出された放射性物質の総量はチェルノブイリ原発のそれを大幅に上回ることは間違いない。(アーニー・ガンダーセン著『福島第一原発』集英社新書)東電福島第1原発の事故で放出された放射性物質はチェルノブイリ原発事故の1割程度、あるいは約17%だとする話が流されたが、その可能性は小さいのだ。 福島のケースでは圧力容器が破損、燃料棒を溶かすほどの高温になっていたので放射性物質を除去することになっている圧力抑制室(トーラス)の水は沸騰、しかも急上昇した圧力のためトーラスへは爆発的な勢いで気体と固体の混じったものが噴出したはずで、トーラスで99%の放射性物質が除去されるという計算の前提は成り立たない。 そこで、チェルノブイリ原発事故で漏洩した量の十数倍、少なくとも2~5倍を福島第1原発は放出した。その大半は太平洋へ流れたと考えられているが、風向き次第では東日本が壊滅していただろう。 2011年3月11日には福島第2原発や女川原発もメルトダウンしかねない状況だった。地震で壊れる可能性があっただけでなく、第1原発の使用済み核燃料プールが倒壊、その中に入っていた1500本を超す燃料棒が入っていて、それらが剥き出しになると、近くの福島第2原発や女川原発へも影響が及び、それらも冷却が不能になる寸前だった。 幸運にもそうした事態にならなかったが、それほどの事故だった。その事実を日本の司法は認識できていないようだ。 また、衆議院議員だった徳田毅は2011年4月17日、「オフィシャルブログ」(現在は削除されている)で次のように書いていた。「3月12日の1度目の水素爆発の際、2km離れた双葉町まで破片や小石が飛んできたという。そしてその爆発直後、原発の周辺から病院へ逃れてきた人々の放射線量を調べたところ、十数人の人が10万cpmを超えガイガーカウンターが振り切れていたという。それは衣服や乗用車に付着した放射性物質により二次被曝するほどの高い数値だ。」 徳田毅は医療法人の徳洲会を創設した徳田虎雄の息子で、医療関係者には人脈がある。これは一種の内部告発だ。これだけ被曝して人体に影響がないとは考えられない。政府も東電、おそらくマスコミもこうした情報を持っていたはずだ。 その徳田毅は2013年2月に国土交通大臣政務官を辞任、11月には姉など徳洲会グループ幹部6人を東京地検特捜部が公職選挙法違反事件で逮捕され、徳洲会東京本部や親族のマンションなどが家宅捜索された。徳田は自民党へ離党届を提出、14年2月に議員を辞職している。日本の権力者が秘密にしておきたかった事実を明らかにした徳田に対する報復と見られても仕方がないだろう。 事故当時に双葉町の町長だった井戸川克隆によると、心臓発作で死んだ多くの人を彼は知っているという。セシウムは筋肉に集まるようだが、心臓は筋肉の塊。福島には急死する人が沢山いて、その中には若い人も含まれているとも主張、東電の従業員も死んでいるとしている。 井戸川元町長を作品の中で登場させた週刊ビッグコミックスピリッツ誌の「美味しんぼ」という漫画は、その内容が気に入らないとして環境省、福島県、福島市、双葉町、大阪府、大阪市などが抗議、福島大学も教職員を威圧するような「見解」を出し、発行元の小学館は「編集部の見解」を掲載、この作品は次号から休載すると決めたという。 ロシア科学アカデミー評議会のアレクセイ・V・ヤブロコフたちのグループによると、1986年から2004年の期間に事故が原因で死亡、あるいは生まれられなかった胎児は98万5000人に達する。癌や先天異常だけでなく、心臓病の急増や免疫力の低下、あるいは知能の問題が報告されている。 2011年3月12日に爆発したのは1号機で、14日には3号機も爆発している。政府や東電はいずれも水素爆発だとしているが、3号機の場合は1号機と明らかに爆発の様子が違い、より深刻なものだった。15日には2号機で「異音」、また4号機の建屋で大きな爆発音があったという。 その後、建屋の外で燃料棒の破片が見つかるのだが、この破片についてNRC(原子力規制委員会)新炉局のゲイリー・ホラハン副局長は2011年7月28日に開かれた会合で、発見された破片は炉心にあった燃料棒のものだと推測できるとしている。マンチェスター大学や九州大学の科学者を含むチームは原子炉内から放出された粒子の中からウラニウムや他の放射性物質を検出した。 その会議の直後、8月1日に東京電力は1、2号機建屋西側の排気筒下部にある配管の付近で1万ミリシーベルト以上(つまり実際の数値は不明)の放射線量を計測したと発表、2日には1号機建屋2階の空調機室で5000ミリシーベル以上を計測したことを明らかにしている。ダメージコントロールのために発表したようにも思える。 事故で溶けた燃料棒を含むデブリが格納容器の底部へ落下、地中へ潜り込んでいる可能性もあるのだが、破壊された原発を廃炉にする前にデブリを回収しなければならない。日本政府は2051年までに廃炉させるとしていたが、イギリスのタイムズ紙はこの原発を廃炉するまでに必要な時間を200年だと推定。実際は数百年必要だと考えられている。廃炉作業が終了しても10万年にわたって放射性廃棄物を保管する必要があると言われている。今から10万年前といえば、ホモ・サピエンスの一部がアフリカから出る直前だ。 福島第1原発では発電以外の作業が行われていたと疑われていたのだが、その背景には日本の核兵器開発の疑惑が存在する。 第2次世界大戦後、日本で核武装が具体的に検討され始めたのは、岸信介の弟、佐藤栄作が総理大臣だった時代。1964年に中国が初めて核実験を実施した後だ。(Seymour M. Hersh, “The Price of Power”, Summit Books, 1983) NHKが2010年10月に放送した「“核”を求めた日本」によると、1965年に訪米した佐藤首相はリンドン・ジョンソン大統領に対し、「個人的には中国が核兵器を持つならば、日本も核兵器を持つべきだと考える」と伝えている。こうした日本側の発言に対し、ジョンソン政権は日本に対し、思いとどまるよう伝えたという。 この番組によると、この時代、日本政府の内部で核武装が議論され、西ドイツ政府に秘密協議を申し入れている。1969年2月に開かれた両国政府の協議へは日本側から外務省の国際資料部長だった鈴木孝、分析課長だった岡崎久彦、そして調査課長だった村田良平が出席した。日独両国はアメリカから自立し、核武装によって超大国への道を歩もうと日本側は主張したのだという。 アメリカでは1969年にリチャード・ニクソンが大統領に就任。シーモア・ハーシュによると、この政権で大統領補佐官を務めたヘンリー・キッシンジャーは日本の核武装に前向きだった。彼はスタッフに対し、日本もイスラエルと同じように核武装をすべきだと語っていたという。(Seymour M. Hersh, “The Samson Option,” Random House, 1991) 佐藤政権では核武装の調査をするチームが編成され、その中心はCIAと関係の深い内閣調査室で主幹を務めていた志垣民郎。調査項目には核爆弾製造、核分裂性物質製造、ロケット技術開発、誘導装置開発などが含まれ、技術的には容易に実現できるという結論に達している。原爆の原料として考えられていた高純度プルトニウムは日本原子力発電所の東海発電所で年間100キログラム余りを生産できると見積もられていた。 当然、こうした日本の動きをアメリカ政府も承知していた。1972年2月にリチャード・ニクソン米大統領は中国を訪問しているが、それまでの交渉過程でキッシンジャーは周恩来に対し、日本の核武装について話している。シーモア・ハーシュによると、アメリカと中国が友好関係を結ぶことに同意しないならば、アメリカは日本に核武装を許すと脅したという。 原爆の製造に必要なプルトニウムを製造することになっていた東海発電所の原発はGCR(黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉)で、原爆用のプルトニウムを生産するには適していると言われている。アメリカやソ連はこの型の原子炉でプルトニウムを生産、原爆を製造している。 ジミー・カーター政権がスタートした年に東海村の核燃料再処理工場(設計処理能力は年間210トン)が試運転に入る。2006年までに1116トンを処理、その1パーセントのプルトニウムが生産されるとして10トン強、その1パーセントは誤差として認められるので、0・1トンになる。計算上、これだけのプルトニウムを「合法的」に隠し持つことができる。 日本が核武装を目指していると信じられている一因はリサイクル機器試験施設(RETF)の建設を計画したことにある。RETFとはプルトニウムを分離/抽出することを目的とする特殊再処理工場で、東海再処理工場に付属する形で作られることになった。常陽やもんじゅで生産した兵器級プルトニウムをRETFで再処理すれば日本は核兵器を製造できる。 アメリカ政府の内部にもネットワークを張り巡らせている勢力が日本の核兵器製造計画を支援してきた。アメリカ政府が東海村のRETFへ移転した技術の中に「機微な核技術」が含まれているわかっている。例えば小型遠心抽出機などの軍事技術だ。(Greenpeace International, "The Unlawful Plutonium Alliance", Greenpeace International, 1994) かつてNSA(国家安全保障庁)の分析官をしていた人物によると、アメリカの情報機関は現在でも日本が核兵器の開発と生産の準備を進めていると確信しているという。 ジャーナリストのジョセフ・トレントによると、ロナルド・レーガン政権の内部には日本の核兵器開発を後押しする勢力が存在し、東京電力福島第1原子力発電所で炉心が用揺する事故が起こった2011年当時、日本は約70トンの核兵器級プルトニウムを蓄積していたという。机上の計画ではなく、具体的に核兵器の開発が進められていたということだ。 アメリカでは1972年にCRBR(クリンチ・リバー増殖炉)計画が開始されたが、77年にカーターが大統領に就任しすると核政策の変更があって基礎的な研究計画を除いて中止になる。1981年にロナルド・レーガン政権が始まると計画は復活するが、87年に議会はクリンチ・リバーへの予算を打ち切る。 そこで高速増殖炉を推進していた勢力が目をつけたのが日本。トレントによると、この延命策を指揮することになったのがリチャード・T・ケネディー陸軍大佐はクリンチ・リバー計画の技術を格安の値段で日本の電力会社へ売ることにした。 こうした流れの中、毎年何十人もの科学者たちが日本からクリンチ・リバー計画の関連施設を訪れ、ハンフォードとサバンナ・リバーの施設へ入ることも許されていた。中でも日本人が最も欲しがった技術はサバンナ・リバーにある高性能プルトニウム分離装置に関するもの。実際、その装置はRETFへ送られた。 日本の核武装を推進しようとしていた日本とアメリカの勢力は高速増殖炉と再処理技術の日本への全面移転、核物質を無制限に日本が輸入し、それをプルトニウムに再処理し、他国、例えばイスラエルのような国へ再移転する権利を与える協定を結ぶが、こうした取り決めを実現する上で重要な役割を果たした軍人がジェームズ・アワーだと言われている。アワーは1988年9月退官してバンダービルト大学の教授に就任、同大学の日米研究協力センターの所長になった。 ちなみに、東電福島第1原発の警備を担当していたのはイスラエルのマグナBSP。セキュリティ・システムや原子炉を監視する立体映像カメラが原発内に設置していたとエルサレム・ポスト紙やハーレツ紙が伝えている。(The Jerusalem Post, March 15, 2011 / Haaretz, March 18, 2011) この協定によりアメリカから干渉されず、日本はフランスやイギリスからプルトニウムを「返還」されたが、イギリス核燃料会社(BNFL)が生産するプルトニウムは核兵器に使用できるほど純度が高かったとされている。そのBNFLは1960年代にイギリスは核兵器用のプルトニウムをイスラエルへ秘密裏に供給していた。また東芝はBNFLからウェスチングハウスを買収、それが原因で東芝は経済危機に陥った。 日本で原子力を取り巻く状況は1990年代後半に大きく変化する。まず1995年12月に「もんじゅ」で冷却剤の金属ナトリウムが漏れ出るという事故が発生し、それから約15年の間、停止を余儀なくされていた。2010年5月に再開されるのだが、8月には直径46センチメートルのパイプ状装置を原子炉の内部に落としてしまい、再び運転は休止状態になった。1997年4月には東海再処理工場で深刻な放射能漏れ事故が引き起こされる。 樋口健二が言っているように、「原発には政治屋、官僚、財界、学者、大マスコミが関わってる。それに司法と、人出し業の暴力団も絡んでるんだよ。」原発事故で東電と裁判所は共犯関係にある。COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動でも構図は同じだった。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.11
ドナルド・トランプ大統領が率いるアメリカ政府はイランを甘く見ていた。脅せば屈服し、主権も資源も全てを差し出すと考えていたようだが、屈しないのだ。そこで彼らは2月28日にイランを奇襲攻撃、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含む政府の要人を殺害したが、その90分後にはイスラエルや中東にあるアメリカ軍基地に対する激しい報復攻撃が始まった。 ペルシャ湾岸の石油利権をアメリカやイギリスのために管理するだけの湾岸協力会議(GCC)はイランの報復に驚き、その国々の大使はロシアのウラジミル・プーチン大統領に助けを求めるため、3月5日にモスクワを訪れたのだが、セルゲイ・ラブロフ露外相はそうした要請を断ったという。 ラブロフはペルシャ湾岸諸国における民間人の犠牲やインフラの被害に哀悼の意を表したのに続き、アメリカとイスラエルによるイランへの侵略戦争やアメリカ/イスラエル軍による女子小学校に対するミサイル攻撃で168名以上の生徒が殺された出来事を非難したのかと責めた。イランを奇襲攻撃したアメリカやイスラエルを非難せず、イランをなんとかしてくれと泣きつくのはおかしいということだろう。 アメリカとイスラエルがイランを奇襲攻撃する直前の2月25日から26日にかけてイスラエルを公式訪問、その際に両国の関係を「特別な戦略的パートナーシップ」へ引き上げたインドのナレンドラ・モディ首相に対してもロシア政府は厳しい姿勢を見せている。モディの行為はBRICSに対する侮辱だとも理解されている。 イランはアメリカやイスラエルに対する報復の一環としてホルムズ海峡を事実上封鎖、インドにとって厳しい状況に陥った。しかもモディ首相はトランプ政権に媚を売るため、ロシアとのエネルギー資源取引を減らしていたようだが、インドはロシアから原油を買い増さなければならなくなった。 アメリカとイスラエルがイランを攻撃する前、ロシアはインドに対してブレント原油価格より10から13ドル安い「友好価格」で売っていたのだが、3月と4月の引き渡し分については市場の実勢に合わせ、ブレント原油価格に4から5ドル上乗せした値段を提示した。ロシアはモディの行動を裏切り行為と判断しているのだろう。 アメリカ軍は1月3日にベネズエラを空爆、その際にアメリカ陸軍の特殊部隊デルタフォースがニコラス・マドゥロ大統領夫妻を誘拐、現在も拘束している。マドゥロを警護していたキューバ軍将校32人が殺害された。キューバの軍人と警察官はベネズエラ政府の要請を受け、任務に就いていたという。 また、アメリカ軍が奇襲攻撃した際、ベネズエラの防空システムは始動していない。マドゥロ政権の副大統領で現在は大統領代理を務めているデルシー・ロドリゲスを含む勢力がアメリカ軍に協力していた、つまり裏切った可能性が高い。買収されたのか、弱みを握られたのではないかとも推測されている。アメリカはベネズエラのエネルギー利権を奪うことに成功した。 イランはベネズエラと違うと言われているが、アメリカによる軍事侵略だという点では同じ。ウクライナを利用したロシアへの軍事攻撃も同じだ。こうした侵略に異を唱える議員やメディアは少数派である。 議員を含め、世界の有力者をイスラエルの情報機関が操る仕組みとしてジェフリー・エプスタインのネットワークは機能していた。1970年代にイスラエル軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、87年から89年にかけてイツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めたアリ・ベンメナシェによると、エプスタインはギレーヌ・マクスウェルや彼女の父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルと同じようにイスラエル軍の情報機関、つまりアマンのために働いていた。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) イスラエルの情報機関の管理下にあったということは、アメリカやイギリスの情報機関、つまりCIAやMI6とも繋がっていたはず。彼を中心とするネットワークの全体像は明らかになっていないが、エプスタインのネットワークは単なる性犯罪組織ではなく、「世界を動かす機械」の一部だとは言える。 その一端を窺わせる話が漏れている。例えば、ビル・クリントン元米大統領は宣誓供述で、ロスチャイルド家との親密な関係ゆえに、ジェフリー・エプスタインよりもギレーン・マクスウェルとより親密であったとしている。 ギレーンはエベリン・ロスチャイルドとその妻リンと非常に親しい関係にあり、またクリントンの娘チェルシーと休暇を過ごし、彼女の結婚式にも出席した。ギレーンとエプスタインはクリントン大統領の時代にホワイトハウスへ何度も招待されている。 ギレーンには双子の姉、イザベルとクリスティンがいるのだが、イザベルの息子であるアレックス・ジェラシは2007年から08年にかけてヒラリー・クリントンの大統領選挙キャンペーンに雇われていた。そのヒラリーをバラク・オバマ大統領は国務長官に指名、ヒラリーはジェラシを自分のチームに迎え入れた。 その後、ジェラシは国務次官補室近東局の首席補佐官に就任、アメリカ政府の中東政策に影響力を行使、リビア友好国会議やシリア人民友好国会議のアメリカ政府代表になり、リビアやシリアの政権転覆工作で重要な役割を果たした。 司法省が保有するエプスタインに関するファイル約600万件のうち半分ほどが黒塗りだらけで公開された。そのほか財務省関係のファイルもあるが、エプスタインはライリー・キラリー私立探偵事務所を雇い、自宅にあったコンピュータ、映像、写真、文書などを少なくとも6つの保管庫へ運び込んだとされているが、当局はまだ捜索していないという。 最も重要なファイルはエプスタインの管理下になかった可能性がある。そうしたファイルが存在しているなら、それに怯えている有力者は世界中にいるのだろう。エプスタイン・ファイルはそうした人びとを脅すために公開され、公開するためにエプスタインの逮捕が演出された可能性もある。世界を「リセット」するためには世界の有力者を一気に動かす必要があるはずであり、この推測が正しいなら、エプスタインが生きていても不思議ではない。そうした目論見の前に立ちはだかっているのがロシア、中国、イランだということになるだろう。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.10

アメリカとイスラエルは2月28日にイランを攻撃したが、その1週間前、トゥルシ・ギャバード国家情報長官の下で作成された国家情報会議(NIC)の機密報告書がワシントン・ポスト紙にリークされた。アメリカがイランに対して大規模な攻撃を仕掛けたとしても、このイスラム共和国の根強い軍部および聖職者組織を転覆させる可能性は低いとその報告書は評価している。 最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害してドナルド・トランプ大統領の対イラン攻撃は始められ、イランだけでなくイスラム世界で反米感情が高まった。そして予測通り、体制転覆は実現できていない。世界を見渡しても、イランとの戦争でアメリカとイスラエルが勝利できると考える軍事の専門家は多くない。兵站や地理的な条件を考えるだけでもそうした結論になる。それでもアメリカ/イスラエルが勝てると主張する人は、プロパガンダを生業としているのだろう。 昨年6月13日から6月25日にかけてもアメリカとイスラエルはイランを攻撃した。その前、ロシア製防空システムのS-400やS-300をイランは保有していると見られていたのだが、持っていないことが判明。攻撃用のミサイルもイランが自力で開発したものだった。イランが発射してミサイルはイスラエルの軍事基地、情報機関モサドの本部や軍の情報部アマンの兵站拠点に命中、さらに軍事研究の拠点だったワイツマン科学研究所も破壊されていた。 昨年6月の攻撃では開始直後に防空システムが麻痺、回復までに10時間ほどかかった。それでもアメリカやイスラエルの想定より早かったのだが、今回の報復攻撃では90分後に報復攻撃を始めている。しかもイスラエルの軍事施設だけでなく、カタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地を含む27基地を攻撃している。キプロスの基地もドローンで攻撃された。アメリカ/イスラエル軍によるテヘランへの攻撃は派手に伝えられているが、攻撃された地点を見ると西側に集中、両国軍はイランでの制空権を握れていないようだ。 サウジアラビアの石油施設も破壊されたが、タッカー・カールソンによると、サウジアラビアとカタールでイスラエルの情報機関モサドの工作員が逮捕されたという。その工作員は両国で爆破を計画、つまり偽旗作戦を実行しようとしていた可能性がある。 イランのマスード・ペゼシュキアン大統領はイランが発射したミサイルとドローン攻撃の影響を受けた近隣諸国に対して個人的に謝罪したのだが、イランに向かってミサイルを発射する基地のある国に対する報復攻撃は当然だとする批判の声がイラン国内ではあがっている。現在、イランはペゼシュキアン大統領でなく、最高国家安全保障会議のアリ・ラリジャニ長官を中心に動いているようだ。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.09

イラン革命防衛隊(IRGC)を構成する5部隊のひとつで、非正規戦と軍事情報活動を専門とするクッズ部隊の司令官を2020年1月から務めていたイスマイル・カーニが「自決」させられたと伝えられている。最高指導者だったアリー・ハメネイ師を含むイランの要人に関する情報をイスラエルの情報機関モサドに提供、暗殺に協力したのだという。カーニがモサドのスパイだということは、中国軍の情報機関によるCIA高官とイスラエル参謀本部幹部との通信傍受で判明したと伝えられている。 カーニの前任者であるガーセム・ソレイマーニーは2020年1月、イラクで活動している人民動員軍(PMU)のアブ・マフディ・アル・ムハンディス副議長と共にバグダッド国際空港で暗殺された。その当時、イランとサウジアラビアは関係修復に向かって交渉を開始、ソレイマーニーはイラン側のメッセンジャーを務めていたという。イラクの首相だったアディル・アブドゥル-マフディによると、その日にソレイマーニーはサウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書を携えていた。 2024年4月1日にイスラエル空軍はゴラン高原方向からダマスカスを攻撃、イラン大使館領事部を破壊してクッズ部隊の幹部だったモハマド・レザー・ザヘディ准将と副官のモハマド・ハディ・ハジ・ラヒミ准将を含む将校7名を殺害。 それに対し、イランは報復として同年4月13日にドローンやミサイルでイスラエルのネバティム空軍基地、ラモン空軍基地、そしてハルケレン山頂にある「サイト512」基地のAN/TPY-2 Xバンドレーダー施設を攻撃。イランが発射したミサイルの大半は目標にヒットしたと伝えられているが、これは形式的な攻撃で、イスラエルに打撃を与える意思はなかったと見られている。 この攻撃を命じたエブラヒム・ライシー大統領は2024年5月19日、アゼルバイジャンからアメリカ製のベル212ヘリコプターで帰国する際、そのヘリコプターが墜落、同乗していたホセイン・アミール-アブドラヒヤン外相らと一緒に死亡した。 ライシーの後任として選ばれたのはマスード・ペゼシュキアン。7月28日に行われた就任式にはハマスの政治指導者イスマイル・ハニヤも出席したが、7月31日にイランの首都テヘランにあるゲスト・ハウスでイスラエルの攻撃を受けて護衛と共に暗殺された。この事件に絡み、情報機関や軍の高官、ゲストハウスの職員など20名以上が逮捕されたとされている。 2024年7月30日にはベイルートでヒズボラのフアド・シュクルが殺され、9月17日と18日にはレバノンやシリアでトランシーバーやポケベル(ページャー)が遠隔操作で爆破されるテロ攻撃があった。9月27日にはベイルートでヒズボラ幹部による秘密会議が地下施設で開かれたのだが、その場所がイスラエル軍によって空爆され、ハッサン・ナスララ書記長も殺害された。 ヒズボラの秘密会議にはカーニも出席していたのだが、予定より早く席を立ち、助かった。2025年6月にはIRGCの本部がイスラエル軍に攻撃され、数名のイラン人将校が死亡しているが、カーニは直前にその場から立ち去っていた。今年2月28日にイランの最高指導者アリー・ハメネイ師の邸宅が攻撃された際に、カーニは攻撃の5分ほど前に退席していたという。 2024年の段階でカーニは疑惑を持たれていたようだが、ハメネイが殺されるまで要職についていた。イランの経済エリートには米英金融資本と結びついている人も少なくないようで、ペゼシュキアンも親欧米派と言われ、イスラエルに対する報復にも消極的だった。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.08

アメリカのデラウェア州にあるドーバー空軍基地において戦死した兵士の遺品を整理する「遺品整理スペシャリスト」をジョイント・テクノロジー・ソリューションなる会社が募集していると話題になっている。 ドーバー基地では海外での軍事作戦支援中に死亡した軍人および国防総省所属の民間人の遺体を処理する作業をしていることからイランでの戦死者と結びつけて考える人がいるのだ。アメリカ軍の戦死者数をアメリカ側は6名、イラン側は600名としている。 アメリカ軍は2月28日にイスラエル軍と共同でイランの主要都市をミサイルとドローンで攻撃し、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含む人びとを殺害、ドナルド・トランプ政権はイランがすぐに屈服すると考えたようだが、そうした展開にはならなかった。 ピート・ヘグゼス国防長官は3月4日、イランとの戦争は3週間から8週間続く可能性があると述べているが、こうした展開はアメリカの大手メディアにとっても想定外だったようだ。イランのアッバス・アラグチ外相はNBCニュースでアンカーを務めるトム・ヤマスに対し、アメリカと交渉する理由はないと語っている。イランは戦争を続けるつもりだということだ。このアンカーもイランがすぐに屈服すると思っていたようで、アラグチの発言を聞いた後、顔がこわばったように見えた。 アメリカ軍とイスラエル軍が攻撃を開始してから90分後にはイラン軍がミサイルやドローンで激しい反撃を開始、イスラエルや中東にあるアメリカ軍基地を攻撃している。イスラエルのテルアビブやハイファ、そしてカタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地を含む27基地を攻撃。キプロスの基地もドローンで攻撃されたという。 衛星画像などの分析から、イランによる報復攻撃でヨルダンのムワッファク・サルティ空軍基地にあるアメリカ軍の主要レーダーシステムが深刻な被害を受けたか破壊されたことが確認された。このレーダーは弾道ミサイルの探知、追跡、識別を目的として設計され、アメリカのミサイル防衛センサーの中で重要な役割を果たしていた。この地域におけるアメリカ軍の早期警戒能力は失われたと見られている。アメリカ側はイランが保有しているミサイルが枯渇していると期待しているようだが、まだ余裕がある可能性が高い。 サウジアラビアの石油施設など民間施設も破壊されたというが、タッカー・カールソンによると、サウジアラビアとカタールでイスラエルの情報機関モサドの工作員が逮捕されたという。その工作員は両国で爆破を計画していたという。偽旗作戦が展開されている可能性がある。 トランプ政権は今回の対イラン攻撃にインドを巻き込んだ。インドのナレンドラ・モディ首相は2月25日から26日にかけてイスラエルを公式訪問、その際の会談で両国の関係を「特別な戦略的パートナーシップ」へと引き上げたのだが、その直後にイスラエルとアメリカはイランを奇襲攻撃している。 2月17日から26日にかけてインド海軍は「ミラノ2026」と名づけられた演習を実施した。42隻の艦艇と潜水艦、そして29機の航空機が参加、イランからはフリゲート艦の「デナ」、アメリカからはP-8Aポセイドンが加わっている。 2月25日に空母「ビクラント」の艦上で閉幕式を催され、そこからデナは帰路についたのだが、スリランカ沖の公海上でアメリカ海軍の潜水艦が発射した大型誘導魚雷のMK48で撃沈された。インド海軍から見ると招待客が攻撃されたわけだ。 トランプ大統領はNSC(国家安全保障会議)の職員数を3分の2以上削減を縮小、CIAでは分析部門が秘密工作部門の管理下に入れられたようで、客観的な分析ができなくなっている可能性が高い。今回、国務省は計画にほとんど関与せず、国防総省の警告も無視されたという。そしてトランプ大統領は大混乱に陥り、抜け出せなくなっている。 そして執務室では、ホワイトハウス信仰に基づく地域連携局でスピリチャル顧問を務めるポーラ・ホワイト-ケインを中心とする牧師が祈りの儀式を行った。神頼みだ。 ホワイト-ケインは福音派のテレビ宣教師。この宗派はキリスト教原理主義者、あるいは聖書根本主義者と呼ばれ、1970年代にネオコンと同じタイミングで台頭してきた。 この一派が掲げる教義によると、キリストに従う「善の軍勢」と反キリストの「悪の軍勢」が「ハルマゲドン」で最終戦争を行い、人類の歴史は幕を閉じる。その際、再臨するキリストによって自分たちは救われるのだという。イランに対する攻撃が始まった時、「ハルマゲドン」だと興奮していたアメリカ軍将校もいたという。 ジェリー・フォルウエルなど有名なテレビ説教師の大半がこの説を信じていて、「四千万を超えるといわれる聖書根本主義者たちは、聖書に書かれた神の都シオンと現代のシオニズム国家イスラエルを中心に信仰体系を打ち立てている」。この信仰体系は天啓的史観と呼ばれている。(グレース・ハルセル著、越智道雄訳、「核戦争を待望する人びと」、朝日選書、1989年) このキリスト教系カルトはネオコン、あるいはウラジミール・ジャボチンスキーが創設した「修正主義シオニスト世界連合」と一心同体の関係にある。ネオコンはトランプ政権だけでなく、1970年代以降の前政権がその影響下にあった。アメリカはカルト的な妄想の中を彷徨っている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.07

アメリカのピート・ヘグセス国防長官(戦争長官)は3月4日、アメリカ海軍の潜水艦が3月2日、スリランカ沖の公海を航行していたイランのフリゲート艦「デナ」を大型誘導魚雷のMK48で撃沈したと発表した。デナがスリランカ沖を航行していたのはインド政府から演習に招待されたからであり、演習に参加する艦船は弾薬を搭載できないという。招待客が攻撃され、少なからぬ死傷者が出ている以上、インド海軍は少なくとも哀悼の意を表するべきだと言われている。 デナの乗組員は約200名。スリランカ海軍が救助に向かい、32名を助けたものの、約90名が死亡、残りは行方不明だ。この出来事を受け、イランのアッバース・アラグチ外相はアメリカに対し、自らが作った前例を深く後悔することになると述べている。 このフリゲート艦はインド海軍が実施した演習「ミラノ2026」に参加した後、帰投する途中だった。この演習にはドイツ、フィリピン、アラブ首長国連邦を含む74カ国が参加。アメリカ海軍は演習の直前に参加を辞退したとされている。アメリカとイスラエルがイランを攻撃する前にデナを撃沈させることを決めていたのだろう。 2月28日にアメリカ軍はイスラエル軍と共同でイランの主要都市をミサイルとドローンで攻撃し、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含む政府の要人を殺害した。 しかし、攻撃から90分後には反撃を開始、イスラエルのテル・アビブやハイファといった都市のほか、カタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地を含む27基地を攻撃、少なからぬダメージを与えた。バーレーンの基地が破壊されたことからアメリカの艦隊はミサイルやドローンを補充するためにディエゴガルシア島まで行かねばならない。 アメリカ信仰にどっぷり浸かっている人は「無敵のアメリカ軍」が簡単にイラン軍を倒し、体制転覆を実現すると信じているようだが、今回の戦争でアメリカとイスラエルが勝てるとは思えない。イランはアメリカとイスラエルに降伏せず、アメリカ軍をペルシャ湾地域から追い出してイスラエルを壊滅させるつもりだろう。 アメリカを含むNATO諸国はウクライナを舞台にしたロシアとの戦争で敗北しつつあるが、兵器は枯渇している。アメリカは1970年代から製造業を国外へ移転させ、金融にシフトしてきた。戦闘機、ミサイル、砲弾などを生産する能力が低下しただけでなく、ロシアや中国に比べて技術水準も落ちている。しかも兵器の製造に必要な希土類鉱物のアメリカへの輸出を中国は拒否している。イスラエルも生産力が技術力で遅れをとっている。 しかも、アメリカやイスラエルの支配層はカルト色が強まり、現実を冷静に判断する能力がなくなった。1990年代からアメリカ政府はシオニストのネオコンが作成した計画に基づいて動いている。ジェフリー・エプスタインの事件でもわかるが、この人びとは正気でない。幼児を含む未成年者に対する不適切な行為を働いたのだが、その中には拷問、殺害、そして人肉食という行為も含まれている。 イスラエルの現首相であるベンヤミン・ネタニヤフの父親、ベンツィオン・ネタニヤフはウラジミール・ジャボチンスキーの秘書だった人物。ネタニヤフ親子はジャボチンスキーが1925年に結成した「修正主義シオニスト世界連合」の信奉者であり、現在のイスラエルはジャボチンスキーの思想によって統治されている。 2023年10月7日にハマスを中心とする武装勢力がイスラエルへ攻め込んだ。その時に約1400名(のちに1200名へ訂正)が殺された。イスラエルのハーレツ紙によると、その際、イスラエル軍は侵入した武装集団を壊滅させるため、占拠された建物を人質もろとも砲撃、あるいは戦闘ヘリからの攻撃で破壊している。イスラエル軍は自国民の殺害を命令したというのだ。いわゆる「ハンニバル指令」である。 その攻撃から間もなく、ネタニヤフ首相は「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、パレスチナ人虐殺を正当化している。聖書の中でユダヤ人と敵だとされている「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を彼は引用、「アマレク人」をイスラエルが敵視しているパレスチナ人に重ねたのである。 その記述の中で、「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神は命じたというわけだ。「アマレク人」を皆殺しにするという宣言だが、このアマレク人をネタニヤフたちはアラブ人やペルシャ人と考えている可能性がある。 サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」と書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだと言えるだろう。ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民」なのである。その発言通り、ネタニヤフ政権は子どもを含むパレスチナの民間人を虐殺、それを欧米諸国は支援してきた。 世界はこうした人びとによって動かされている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.06

アメリカ軍は今年1月3日にベネズエラを攻撃し、同国のニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拉致した。2月28日にはイスラエル軍と共同でイランの主要都市をミサイルとドローンで攻撃し、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含む人びとを殺害している。 ベネズエラとイランを攻撃した目的は中国を弱体化させることにあると考える人が少なくない。この推測はおそらく間違っていないが、そのターゲットは中国だけでなく、ロシア、そしてBRICSも含まれているだろう。アメリカを支配する勢力は世界を制覇するつもりだ。 ジョージ・H・W・ブッシュが大統領だった1992年2月、政権内のネオコンはアメリカが「唯一の超大国」になったと認識、DPG(国防計画指針)草案として世界制覇プランを作成した。この文書は国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 このドクトリンによると、新たなライバルの出現を防ぐことが最優先事項。またドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。1995年以降、日本はアメリカの戦争マシーンになるため、驀進している。 このドクトリンの前提はアメリアのライバルだったソ連の消滅。ボリス・エリツィン時代にロシアは西側巨大資本の属国と化した。さらに支配力を強めるため、ネオコンはNATOを東へ拡大させるのだが、これはナチ時代のドイツによるソ連への軍事侵攻、バルバロッサ作戦を彷彿とさせる動きにほかならず、「新バルバロッサ作戦」とも言える。 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、リチャード・ニクソン元米大統領は1994年3月21日にビル・クリントン大統領へ手紙を出し、その中でウクライナの内部状況が非常に危険だと警告。ウクライナで戦闘が勃発すれば、ボスニア・ヘルツェゴビナでの戦争は「ガーデンパーティー」のように感じられるとしている。 また「封じ込め政策」で有名なジョージ・ケナンは1998年、NATOが拡大について「これは新たな冷戦の始まり」であり、悲劇的な過ちだと批判、この政策を決めたアメリカ上院での議論について表面的で無知だと指摘している。 ヘンリー・キッシンジャーは2014年3月5日付けワシントン・ポスト紙でウクライナとロシアの関係について論じている。 ロシアの歴史はキエフ・ルーシで始まり、宗教もそこから広がり、ウクライナは何世紀にもわたってロシアの一部であり、その前から両国の歴史は複雑に絡み合っていたと指摘している。ロシアにとってウクライナが単なる外国ではないということだ。特に東部と南部はロシアとの繋がりが強い。 こうした警告は21世紀に入ってウラジミル・プーチン政権が誕生すると現実のものになる。西側に対するロシア人の反発が強まり、ロシアは再独立に成功、経済力も軍事力も急成長した。ソ連の消滅で養わなければならない国が減ったことがプラスに働いたとも言われている。そこで西側諸国の支配層はロシアを再属国化する工作を始める。 まず、ロシアの隣国ウクライナで2004から05年にかけて「オレンジ革命」を実行して親ロシア派と見られていたビクトル・ヤヌコビッチを排除、西側金融資本の影響下にある新自由主義者のビクトル・ユシチェンコを大統領に据えることに成功した。 北京で夏季オリンピックが開催された2008年8月にはジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃したが、の攻撃はイスラエルとアメリカが兵器など軍事物資を供給、将兵を訓練しただけでなく、イスラエルが作戦を立てたと言われている。この戦争でジョージア軍はロシア軍に完敗した。 ウクライナではユシチェンコ政権が新自由主義的な政策を推進、貧富の差を拡大させ、国民の怒りを買う。そこで2010年の選挙ではヤヌコビッチが勝利、オバマ政権はクーデターを実行してヤヌコビッチを排除しなければならなくなった。そして2013年11月から14年2月にかけてのクーデターにつながる。 2014年にアメリカとイギリスの情報機関、つまりCIAとMI6は香港で反中国運動「佔領行動(雨傘運動)」を仕掛けた。中国政府もウクライナ情勢を注視していたはずだが、香港の動きを見て米英に対する信頼度は大きく低下、ロシアに接近していく。西側では右も左もロシアと中国が手を組むことはないと信じていたようだ。そのありえないはずのことが起こったわけだが、それでもネオコンをはじめとする西側の支配層は世界制覇の野望を捨てない。 その野望について書き残しいた人物がいる。1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して大儲けしたセシル・ローズだ。彼は1877年に書いた『信仰告白』の中で「私たち(アングロ・サクソン)は世界で最も優れた人種であり、私たちが住む世界が増えれば増えるほど、人類にとってより良いものになる」と主張している。 「より多くの領土を獲得するあらゆる機会を捉えることは我々の義務であり、より多くの領土は単にアングロサクソン人種の増加、つまり世界が所有する最も優れた、最も人間的で最も名誉ある人種の増加を意味するという考えを常に念頭に置くべきである」というのだ。その系譜の中にアドルフ・ヒトラーもいる。 ローズの前にも世界制覇を夢見る政治家がイギリス人にはいた。ヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)だ。彼は戦時大臣、外務大臣、内務大臣を歴任した後、1855年2月から58年2月まで、そして59年6月から65年10月まで彼は首相を務めている。ビクトリア女王に対し、アヘン戦争を指示したのもパーマストン卿だった。 19世紀のイギリスの支配層はパレスチナにも目を向けている。イギリス政府は1838年、エルサレムに領事館を建設。その翌年にはスコットランド教会がパレスチナにおけるユダヤ教徒の状況を調査。イギリスの首相を務めていたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収したが、その資金を提供したのは友人のライオネル・ド・ロスチャイルドだ。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018) パレスチナに「ユダヤ人の国」を建設する第一歩と言われる書簡、いわゆる「バルフォア宣言」をアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ出したのは1917年11月のこと。イギリスは1920年から48年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強めている。 そうした反発を抑え込むため、パレスチナへ送り込む警官隊を創設するという案が出てくる。デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルもこの案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーが採用された。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立されたのだが、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。 アイルランドはピューリタン革命を指揮したオリバー・クロムウェルの軍隊に侵略され、多くの住民が虐殺されている。17世紀の半ばのことだ。 クロムウェルが出現する前からイングランドではアングロ・サクソンをユダヤ人の「失われた十支族」の後継者だと信じ、自分はイスラエルの王だと信じる人がいた。そのひとりがジェームズ6世(イングランド王ジェームズ1世)。彼は自分をイスラエルの王だと信じていたと言われている。 ジェームズ6世の息子であるチャールズ1世はピューリタン革命で処刑されたが、クロムウェルの私設秘書だったジョン・サドラーも同じように考え、彼は1649年に作成されたパンフレット『王国の権利』の中でイギリス人はイスラエルの失われた部族のひとつであり、ユダヤ人と同族であると主張している。 「神はイギリス人だ」と主張していたというクロムウェルの聖書解釈によると、世界に散ったユダヤ人はパレスチナに再集結し、ソロモン神殿を再建することになっていた。この解釈に基づいて彼は政権を樹立し、1656年のユダヤ人のイングランド定住禁止令を解除、パレスチナにイスラエル国家を建国することを宣言した。海賊の国だったイングランドで金融や経済を彼らに任せるためだったともいう。これがシオニズムの始まりだ。 ピューリタン体制が倒されるとシオニズムは放棄されるものの、クロムウェルを支持する人びとの一部はアメリカへ亡命、ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、ベンジャミン・フランクリンらはその後継者だと主張したという。その北アメリカで先住民は「民族浄化」された。 パーマストン卿たちの世界制覇プランはハルフォード・マッキンダーがまとめ、1904年に発表している。彼はユーラシア大陸の周辺部分を海軍力で支配、内陸部を締め上げるという理論を発表、それをアメリカが継承した。封鎖帯の西端がイギリス、東端が日本だ。 ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もマッキンダーの理論がベースになっている。冷戦もこの戦略の一幕にすぎない。 こうした長期戦略は妄想と化している。ジャーナリストのジョナサン・ラーセンによると、アメリカ兵たちは指揮官たちからイランとの戦争は「ハルマゲドン」であり「イエスの再来」であり、トランプ大統領は「神に選ばれた者」だと告げられているという。そうした妄想は現実に押し潰されようとしている。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.05

アメリカとイスラエルは2月28日にイランを奇襲攻撃、執務室にいた最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含む政府要人を殺害した。同時に女子小学生が通う学校も攻撃して約150名を殺害している。 この攻撃でイランの政府機能が麻痺、国内が混乱して体制転覆が起こると考えていたのかもしれないが、そうした展開にはならなかった。攻撃開始から90分後には報復攻撃をイラン軍は初めている。 ここにきてイラン軍はアメリカ軍のF-15戦闘機3機を撃墜した可能性が高い。アメリカのCENTCOM(中央軍)司令部は味方の誤射によると主張しているが、その戦闘機はIFF(敵味方識別装置)を搭載、レーダーや他の航空機が確実に味方と認識できるようになっている。このシステムが3機とも機能しなかったとは考えにくい。つまり、3機のF-15はイラン軍に撃墜されたと見られている。 イラン軍はミサイルやドローンを大量に保有しているが、アメリカ軍は中東の基地が攻撃されたこともあり、補充が困難。3週間以内にアメリカ側は使い果たしてしまうと言われている。3月31日から4月2日にかけてドナルド・トランプ米大統領は中国を訪問する予定で、それまでにアメリカはイランを屈服させたいのだろうが、難しい。 イラン軍はイスラエルのテルアビブやハイファのほか、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、カタールなどにあるアメリカ軍の27基地を攻撃したが、それ以外にサウジアラビアの国営石油会社Aramcoのラス・タヌラ製油所もドローンに攻撃され、火災が発生、操業が停止された。このプラントを攻撃したのもイランだとされていたが、石油施設をイランが攻撃するのは奇妙だと考える人もいる。 アメリカのジャーナリスト、タッカー・カールソンは3月2日、サウジアラビアとカタールでイスラエルの情報機関モサドの工作員が逮捕されたと話している。両国で爆破を計画していたという。この情報が正しいなら、ラス・タヌラ製油所に対する攻撃もモサドが実行した可能性がある。 イスラエルとアメリカはイギリスが作った国であり、イギリスは複数のターゲット国を互いに戦わせて共倒れにし、漁夫に利を得るという手法を得意にしている。ヨーロッパではドイツとロシア/ソ連、東アジアでは日本と中国といった具合いだ。中東では宗教対立、あるいは宗派対立を煽ってきた。ここ数年サウジアラビアとイランは接近していたが、こうしたことをアメリカやイギリスは嫌っていた。 サウジアラビアとイランの接近が話題になっていた2020年1月3日、イランのIRGC(革命防衛隊)に所属する特殊部隊クッズ軍を指揮していたガーセム・ソレイマーニーがバグダッド国際空港でアメリカとイスラエルによって暗殺された。 ソレイマーニーはイラン側のメッセンジャーを務めていた人物で、その日、彼はサウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書を携えていたとイラクの首相だったアディル・アブドゥル-マフディは語っている。アメリカやイスラエルはサウジアラビアとイランが接近することを恐れている。 今年2月18日にカールソンはベン・グリオン空港でイスラエル駐在アメリカ大使のマイク・ハッカビーにインタビューしたが、その際、大使はイスラエルが聖書に登場するすべての土地を占領しても問題ないと主張している。ユダヤ人にはパレスチナの土地を植民地化する「神聖な権利」があり、パレスチナ人の国民的アイデンティティをハッカビーは否定している。いわゆる「大イスラエル構想」を肯定、イスラエルが中東を制圧し、そこにある資源を米英の巨大資本が支配するということだ。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.04
唯一の超大国であるアメリカの世界最強軍は弱小国イランを簡単に屈服させられるとドナルド・トランプ大統領は考えたのだろう。大統領はイランの上層部を殺害すれば体制を数日以内に転覆させられると信じていたようだが、その兆候は見られない。 1992年2月にネオコンはDPG(国防計画指針)草案を作成したが、その中で「唯一の超大国」になったアメリカは他国を配慮する必要なく行動できる時代になったとしていた。トランプ大統領も同じように考えている。 日本にも同じように考える人が少なくない。「アメリカ様」を崇めている人びとは「無敵のアメリカ」に縋り、「劣等な中国」に罵詈雑言を浴びせて自己満足するしかないのだ。 実際に戦わなければ、こうした幻想に浸っていることができる。ところがアメリカはロシアと戦争を始めて敗北、中国に対して経済戦争を仕掛けたところ、反撃されて屈服、イランを攻撃したところ、厳しい反撃に遭い、苦しんでいる。 イランの最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師をアメリカ軍とイスラエル軍は2月28日に殺害した。その日、アメリカ政府とイラン政府のスタッフが、3月2日に予定されていたジュネーブでの会談の準備のため会談中だったという。12月29日にはトランプ大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とフロリダ州のマール・アー・ラーゴで会談していた。 ハメネイは地下施設に隠れることなく、執務室にいたようだ。このハメネイ殺害はイラン国内の団結を強め、アメリカやイスラエルに対する報復攻撃にレバノンの「ヒズボラ」、イラクで活動している「イラクのイスラム抵抗運動」、そしてイエメンの「アンサール・アッラー(フーシ派)」も参戦を表明、すでに攻撃を始めた組織もある。 イランやイランを支持する組織によるアメリカ軍に対する攻撃を予測していなかった人もいるらしい。例えば、アメリカのネットワーク局であるNBCニュースのキャスターはイランのアッバース・アラグチ外相に対し、なぜアメリカ軍基地を攻撃するのかと質問している。勿論、アメリカがイスラエルと共同でイランを攻撃しているからであり、アラグチ外相もそのように答えている。自分たちが攻撃しても反撃されないと信じているのだ。日本にもそうした手合いが少なくない。 昨年6月にもイランは攻撃されているが、その当時、イランはロシア製防空システムの供与を受けていなかったようだ。イラン政府が拒否したからだと言われている。今回、ロシアや中国からの支援を受け入れているなら、アメリカやイスラエルの犠牲は増える。ただ、オペレーターを訓練する余裕がないため、システムを機能さえるためにはロシアや中国がオペレーターを派遣しなければならない。 クウェート上空ではアメリカ軍のF-15戦闘機3機が墜落した。アメリカ軍は「友軍による誤射」による事故だとしているが、イランの防空システムに落とされた可能性もある。実際、イランは少なくとも1機、F-15を撃墜したとしている。 2月28日にアメリカ軍とイスラエル軍から攻撃されてから90分後、イラン軍はミサイルやドローンでイスラエルや中東にあるアメリカ軍基地を攻撃している。イスラエルのテルアビブやハイファ、そしてカタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地を含む27基地を攻撃している。キプロスの基地もドローンで攻撃され、サウジアラビアの石油施設も破壊された。 バーレンの基地はアメリカの艦船にとってミサイルなどを補給する重要な港。ホルムズ海峡から出られなくなった艦船は補給できなくなり、外にいてもディエゴガルシアの基地まで3日かけて航行しなければならない。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.03

アメリカ軍とイスラエル軍は2月28日にイランの主要都市を奇襲攻撃し、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師を殺害した。アメリカのドナルド・トランプ大統領はイスラエルやシオニストから早く攻撃を開始するよう強い圧力を受けていた。 イラン国営テレビによると、ハメネイ師は執務室で仕事をしていた。同じ日にアブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニも殺害されたようだ。 イランによる核爆弾の製造と使用は罪であるとするファトワ(イスラム法)を発布したハメネイ師をアメリカとイスラエルは殺したわけで、両国はイランに核兵器を開発させたいのだろうか、という人もいる。 昨年6月にイランを攻撃した際にもアメリカ軍とイスラエル軍は最初にイランの要人を殺害している。殺されたひとりがモハメド・バゲリ参謀総長だった。要人の殺害には、テヘラン周辺に作られた秘密の基地から飛びたったドローンが使われたとされている。今回、どのような手段が使われたかは明確でないが、要人の行動をイスラエルやアメリカが把握していたことは間違いない。 現在、イラン大統領を務めている人物はマスード・ペゼシュキアン。大統領に就任したのは2024年7月のことだ。前任者のエブラヒム・ライシが同年5月、アゼルバイジャンからベル212ヘリコプターで帰国する途中、そのヘリコプターが墜落し、同乗していたホセイン・アミール-アブドラヒヤン外相らと共に死亡したことを受けてのことだ。濃い霧で視界が悪かったことが原因だとされているが、同行していた2機のロシア製ヘリコプターは問題なく帰還している。 2月28日のアメリカ軍とイスラエル軍による攻撃から90分後にイラン軍はイスラエルのテルアビブやハイファ、そしてサウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、カタールなどにあるアメリカ軍の基地を攻撃した。IRGCによると、攻撃したアメリカ軍の基地は27カ所で、イスラエル軍の司令部やテル・アビブの防衛施設も標的だったという。昨年6月より反応は速い。 ドナルド・トランプとネオコンはハメネイ師殺害を喜んでいるというが、イラン国内では多くの人が街に出てハメネイ師の死を悼んでいる。イラク、パキスタン、インドなどでハメネイ師殺害に対する抗議活動があり、アメリカの大使館や領事館が襲われている。 昨年6月の場合もそうだったが、イランはまず安価なドローンや旧式のミサイルで攻撃して敵の防空ミサイルを枯渇させ、その上で新型ミサイルで攻撃すると見られている。昨年のケースでは12日でミサイルの撃ち合いは終了したが、これはアメリカやイスラエルが保有するミサイルがなくなりそうになったからだ。今回、アメリカやイスラエルもそれなりの準備をしているだろうが、戦闘が3週間、4週間と続いた場合、イランが優位になる。その間、ホルムズ海峡が封鎖された場合、世界経済に大きな影響を与えることは確かだ。 ドナルド・トランプ大統領は「国際法」を無視していると批判する人もいるが、ネオコンは1992年2月の段階で、「唯一の超大国」になったアメリカが他国を配慮する必要はないとしていた。アメリカ国防総省のDPG(国防計画指針)草案、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」の中でそのように主張されていた。国際法を無視するという姿勢を1992年以降のアメリカ政府はとってきた。 ウォルフォウィッツ・ドクトリンとは世界征服計画であり、核開発は本質的な問題ではない。2月18日にマイク・ハッカビー駐イスラエル米国大使はタッカー・カールソンに対し、イスラエルが聖書に登場するすべての土地を占領しても問題ないと主張している。いわゆる「大イスラエル構想」を肯定しているのだ。アメリカやオーストラリアの場合と同じように、先住民を殲滅して欧米の富豪が望む人びとを移住させるということだろう。 中東全域を「親イスラエル体制」にするというプロジェクトは2003年3月のイラクへの軍事侵攻から始まっている。イランを支配できればイスラエルが中東を管理でき、そこにあるエネルギー資源を欧米の巨大資本が支配できる。中東とベネズエラを支配できればエネルギー分野でロシアに対抗できる。経済的に追い詰められているアメリカとしては、強引な手段をとらざるをえないのだろう。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.02
アメリカ軍とイスラエル軍は2月28日にイランの主要都市をミサイルとドローンで攻撃、イランはイスラエルや中東のアメリカ軍基地を報復攻撃した。 攻撃されたアメリカ軍の基地にはカタールにあるアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地が含まれている。サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地も攻撃したとする情報もある。攻撃目標になったイスラエルの都市にはテルアビブ、エルサレム、ハイファなどが含まれている。また、イエメンのアンサール・アッラー(フーシ派)は紅海における攻撃を再開すると発表した。 アメリカやイスラエルは今後、本格的な空爆を開始すると見られているが、イランも攻撃を本格化させる可能性が高い。イランの政府高官は今後、アメリカやイスラエルが中東に保有する資産と利権を標的にすると発言、報復にレッドラインは存在しないとしている。 昨年6月13日から6月25日にかけてもアメリカとイスラエルはイランを攻撃、イランは反撃している。その際、アメリカとイスラエルはミサイルやドローンが枯渇、戦闘の継続は難しくなっていたが、イランには兵器の備蓄に余裕があり、戦いが継続されていればイランが勝利していた。今回、イランは敵の事情に合わせて戦闘を終えることはないと見られている。 昨年の場合、イランはロシアや中国からレーダーや防空システムなどを受け取っていなかった。イランが拒否したのだ。それに対して今回はそうした軍事機器を受け取っているようだ。ロシア製の防空システムS-400やS-300、中国で開発された3次元の長距離対ステルス監視レーダーYLC-8Bはアメリカやイスラエルにとって厄介だ。 アメリカやイスラエルはF-22やF-35のような「ステルス戦闘機」を投入するのだろうが、こうした戦闘機はすでに「ロック-オン」されたことがあると言われている。つまり「ステルス」は御伽話にすぎず、イラン側の防空システムを突破できない可能性が高い。イランは航空母艦を撃沈する能力もある。 また、イランが発射したミサイルは旧式のミサイル。防空システムのミサイルを使わせることが目的で、最新式のミサイルが発射されるのはこれからだ。昨年6月にもこうした順番でミサイルやドローンを発射していた。 トランプ米大統領はベネズエラの時のように裏切りを期待しているのかもしれないが、難しい。アメリカ政府はイランの経済を混乱させるため、昨年12月28日にイランの通貨リアルを暴落させた。経済混乱を利用してて反政府デモを誘発させたのだが、その際、スターリンクを利用してデモに潜り込んだ工作員に治安部隊の動きを知らせ、行動を指示していた。 事前にトランプ政権は約5万台のスターリンク端末をイランに密輸、政権転覆工作のために編成したグループに資金と共に渡したとされているが、イラン政府はスターリンクを遮断することに成功、アメリカの目論見は破れた。その遮断には中国とロシアが協力したと言われている。その結果、デモは沈静化、トランプ政権が目論んだような不安定化は起こらなかった。 しかし、ここにきて西側諸国は同じことを行おうしている。スターリンクの装置と衛星電話を持ち込もうという動きがあるのだ。イマーム・ホメイニ空港では、複数のスターリンク装置と衛星電話をイランへ持ち込もうとしたオランダの外交官が逮捕されている。アメリカとイスラエルは軍事力でイランを屈服させることは困難であり、内部崩壊を仕掛けるしかないのだろう。 世界のエネルギーを支えるタンカーが通過しているホルムズ海峡はすでに通航できない状況で、戦闘が長引くとアメリカやイスラエルが窮地に陥るだけでなく、世界の経済は大混乱になる。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.03.01
全31件 (31件中 1-31件目)
1


![]()