《櫻井ジャーナル》

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2015.10.09
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 アル・カイダ系武装集団やそこから派生したIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISISやダーイシュとも表記)、あるいはネオ・ナチをアメリカの好戦派は軍事侵略の手先にしてきた。以前からそうした戦略に反発する声がアメリカの軍や情報機関からも聞こえてきていたが、そうした意思を表明する「将軍」がまたひとり現れた。DIA(国防情報局)の長官を務めたマイケル・フリン中将だ。

 フリン中将が長官だった 2012年8月、DIAは反シリア政府軍の主力がサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIで、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとする報告書を作成 した。この報告書によると、2011年3月にシリアで体制転覆を目指す戦闘が始まった当時からAQIは反政府軍を支援、アル・ヌスラという名前を使い、シリア各地で軍事作戦を展開した。

 反政府軍は東部地区やトルコとの国境沿いに勢力圏を広げ、そこをサラフ主義者が支配するようになり、それを西側諸国、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコが支援するだろうとしている。またシリア政府軍からの攻撃を避けるため、拠点をイラクに築き、そこで新たな戦闘員を集めて訓練するとも予想している。実際、DIAの予想はISという形で現実のものになった。バラク・オバマ政権は何が起こるかを理解した上で反シリア政府軍を支援したわけである。

 ここでAQIやISの過去を振り返ってみたい。

 AQIは組織されたのは、アメリカ軍がイギリス軍などを率いてイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒した翌年、2014年のこと。フセイン政権はアル・カイダ系の組織を「人権無視」で弾圧、それまで活動らしい活動はしていなかった。

 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2007年3月5日付けニューヨーカー誌で、 アメリカ、イスラエル、サウジアラビアがシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を始めた と書いているが、その前年、2006年にAQIを中心としてISI(イラクのイスラム首長国)と呼ばれる武装グループが組織された。

 シリアより少し前、2011年2月にリビアでも体制転覆プロジェクトが動き始めている。ここではNATO軍と アル・カイダ系のLIFG YouTube にアップロードされ、イギリスの デイリー・メール紙 もその事実を伝えていた。

 リビアで戦闘が始まった段階で西側やペルシャ湾岸産油国がアル・カイダ系武装集団と手を組んでいることは明確になっていたのだが、その7年以上前、2004年2月にCIA長官だったジョージ・テネットはLIFGをアル・カイダと結びついた「過激派」で、アメリカの治安にとって脅威だと上院情報委員会で証言している。そうした集団であることを承知の上でNATOはLIFGを使ったということだ。

 アメリカ以上にLIFGとの関係が深いのはイギリス。MI5(イギリスの治安機関)の元オフィサー、デイビッド・シャイラーによると、1996年にイギリスの対外情報機関MI6はLIFGを使ってカダフィを爆殺しようと試みている。

 カダフィ体制を倒した アル・カイダ系武装集団は武器を携えてシリアやイラクへ移動 したようだが、その際、 マークを消したNATOの軍用機がシリアとの国境に近いトルコの軍事基地へ武器と戦闘員を運んだ と言われている。2012年になると、アメリカの CIAや特殊部隊はヨルダン北部に設置された秘密基地で戦闘員を訓練 、その中にはISのメンバーになる人びとも含まれていたという。2013年に入るとISはシリアでの戦闘を激化させる。

 アメリカ支配層は人びとの目を眩ますため、戦闘集団のタグを頻繁に付け替えるが、その実態は自分たちが訓練してきた傭兵にすぎない。アル・カイダとはアラビア語で「ベース」を意味、「データベース」の訳語としても使われているようで、 ロビン・クック元英外相 が明らかにしたように、CIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイルという意味でもある。アル・カイダという具体的な戦闘集団が存在するわけではない。この仕組みを作り上げたのは、ジミー・カーター政権で大統領補佐官を務めていたズビグネフ・ブレジンスキーだ。

 こうしたイスラム系武装集団を使い、アメリカはバルカン諸国、中東、北アフリカ、ウクライナを戦乱で破壊してきた。



 しかし、 フリン元DIA局長はロシアにも外交政策や安全保障戦略があることを理解しなければならなかったと主張 、それをせずにアメリカはロシアの「レッドライン」を踏み越え、ロシアはシリアでの軍事作戦を始めたのだとしている。このまま進めばロシアとアメリカ/NATOの軍事衝突の可能性が高まる。実際、 ブレジンスキー アシュトン・カーター 国防長官はそうした方向へ進もうとしている。

 フリン中将はそうした動きに危機感を持っているようだが、2001年当時からネオコンの好戦的な政策に反発する将軍は少なくなかった。当初、2002年に予定されたイラク攻撃が翌年に延びたのは、そうした反発が原因だったとも言われている。



 こうした反発が出てくる最大の理由はネオコンなど好戦派の戦略が常軌を逸しているからだが、日本では危機感が感じられない。政府やマスコミだけでなく、「革新政党」もアメリカのロシア批判の同調しているように感じられる。日本もアメリカも戦前の日本軍の状態に似ている。つまり事実を見ず、妄想の世界にどっぷり浸かっている。そうした中では情報将校の分析も無視される。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.10.09 17:41:11


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: