《櫻井ジャーナル》

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2015.11.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 11月13日金曜日にパリの施設が襲撃され、死者は150名程度、負傷者は数百名に及ぶと伝えられている。襲撃の後、IS(ISIS、ISIL、ダーイシュなどとも表記)を攻撃するという名目でフランス政府は空母シャルル・ド・ゴールを中心とする艦隊を中東へ派遣したが、この計画は11月5日に発表されていた。つまり襲撃に対応したわけではない。

 そのフランスでは支配層の内部にも政府の姿勢とは関係なくアメリカを批判する人物がいる。例えば、IMF専務理事だった ドミニク・ストロス-カーンは2011年4月にブルッキングス研究所でアメリカ支配層が推進している新自由主義を批判 している。失業や不平等は不安定の種をまき、市場経済を蝕むことになりかねないと主張、その不平等を弱め、より公正な機会や資源の分配を保証するべきだと発言したのだ。進歩的な税制と結びついた強い社会的なセーフティ・ネットは市場が主導する不平等を和らげることができ、健康や教育への投資は決定的だと語り、停滞する実質賃金などに関する団体交渉権も重要だともしている。演説の翌月、ストロス-カーンはアメリカで逮捕された。

 また、フランスの大手石油会社、トタルのクリストフ・ド・マルジェリ会長兼CEOもアメリカに批判的で、2014年7月には石油取引をドルで決済する必要はないと言い切っていた。その3カ月後、ド・マルジェリを乗せたビジネス機がモスクワの滑走路で除雪車と激突して彼は死亡するが、フランスのビジネス界には同じ考え方の人たちはいる。ここにきて、ドイツと同じようにフランスでもアメリカ離れが顕著になり、ニコラ・サルコジ元仏大統領でさえウラジミル・プーチン露大統領に接近している。

 そのロシアはシリアで空爆を開始、アル・カイダ系武装集団やそこから派生したISは敗走を始め、重要地点をシリア政府軍が制圧しつつあるが、フランス政府はアメリカの好戦派(ネオコン/シオニストなど)、イスラエル、イギリス、トルコ、サウジアラビア、カタールと同じように、アル・カイダ系武装集団やISを支えてきた。自分たちが使っている傭兵集団が崩壊するのを見て、慌てているかもしれない。こうした「親米政策」に対する批判の高まりもフランソワ・オランド仏大統領を動揺させているだろう。

 ネオコンの中枢グループに属している ポール・ウォルフォウィッツがシリア、イラン、イラクを5年で壊滅させると語った のは1991年のこと。これは欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の元最高司令官、ウェズリー・クラークの話だ。1992年には国防総省を支配するネオコンが 世界制覇プロジェクト をDPGの草案という形で描いている。この草案がいわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。

 この草案はアメリカを「唯一の超大国」だと位置づけ、世界制覇を実現するために潜在的なライバル、つまり旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアなどを潰し、ライバルを生み出すのに十分な資源を抱える西南アジアを支配するとしている。



 この攻勢でクリントン夫妻は弁護費用なので多額の借財を背負うことなるが、いつのまにか巨万の富を築いた。現在、ヒラリー・クリントンは巨大軍需企業のロッキード・マーチンから多額の資金を得ている好戦派の上院議員として知られている。

 もっとも、クリントン政権が平和的だったわけではない。ネオコンが「決別」という文書を作成、サダム・フセインをイラクから排除して親イスラエルの体制の国に作り替え、ヨルダンからトルコに至る友好国の帯を作ってシリア、サウジアラビア、イラン、湾岸の産油国を分断し、不安定化して国力を衰退させようと提言したのは1996年だが、その翌年にクリントン政権は国務長官を戦争に慎重なウォーレン・クリストファーから好戦的なマデリーン・オルブライトに交代、ユーゴスラビアに対する軍事行動へ向かってアメリカは進み始めた。オルブライトはチェコスロバキアの出身で、ポーランドに生まれたズビグネフ・ブレジンスキーからコロンビア大学で学んでいる。

 また、バラク・オバマ大統領は1981年にコロンビア大学の3年へ編入、そこでブレジンスキーから学んだとされているのだが、詳細は不明。そのオバマ政権で国家安全保障問題担当の大統領補佐官に指名されたスーザン・ライスはオルブライトから学んだ経験の持ち主。スーザンの母親はブルッキングス研究所の研究員だったこともあり、自宅にオルブライトが訪ねていたことから、スーザンは子どもの頃からオルブライトを知っていた。

 オルブライトの後押しもあり、1999年にアメリカ/NATOはユーゴスラビアを先制攻撃し、破壊と殺戮を繰り広げる。その際、スロボダン・ミロシェビッチの自宅や中国大使館も攻撃している。

 2000年にネオコン系シンクタンクのPNACはDPGをベースにした報告書「米国防の再構築」を発表した。この年には大統領選があり、最終的にはネオコンに担がれたジョージ・W・ブッシュが大統領に就任するのだが、選挙に不正があった可能性が高いと言われている。

 そして2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、そのショックを利用してアメリカ支配層は国内で憲法の機能を停止させ、国外では侵略戦争を本格化させる。クラーク元最高司令官によると、2001年9月11日から数週間後に作成された 攻撃予定国リストには、イラク、イラン、シリアのほか、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンが載っていた という。9-11の直後にアフガニスタンが攻められ、2003年にはイラクが先制攻撃された。

 2007年3月5日付けのニューヨーカー誌に掲載されたシーモア・ハーシュのレポートによると、 アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3カ国はその時点でシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始 していたという。その手先はスンニ派の武装勢力だ。

 1988年から93年にかけてフランスの外相を務めたロラン・デュマによると、2009年にイギリスでシリア政府の転覆工作に加わらないかと声をかけられたという。声を掛けてきたふたりが誰かは語られていないが、ニコラ・サルコジ政権やフランソワ・オランド政権はシリアでの平和を望んでいないとデュマが判断するような相手だった。

 また、シリア駐在のフランス大使だったエリック・シュバリエは、アラン・ジュペ外相を非難する発言をしている。シリアでは2011年3月に戦闘が始まるのだが、その際、西側のメディアやカタールのアル・ジャジーラはシリア政府が暴力的に参加者を弾圧していると伝えていたが、シュバリエが調査したところ、実際は限られた抗議活動があっただけで、すぐに平穏な状況になったことが判明した。その調査結果をパリへ報告したところ、外相は報告を無視しただけでなく、シリアのフランス大使館に電話して「流血の弾圧」があったと報告するように命じたという。

フランスとイギリスは相互防衛条約 を結んだ。

 フランスで広まっているアメリカ離れの動きを今回のショックが止めて欲しいと願っている人もいるだろう。第2の「9-11」だが、裏目に出る可能性もある。つまり「アメリカ帝国」崩壊の加速だ。





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最終更新日  2015.11.17 00:27:34


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