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2026.04.14
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 アメリカとイスラエルがイランに対して始めた戦争で負けていることは明らかであり、地上戦を始めると言いながらこれまで実行していないのはアメリカにとって大惨事になることをドナルド・トランプ大統領も理解していたからだろう。

 イスラマバードで開かれたアメリカとイランの協議で合意に達するためにはアメリカ政府が敗北を認めるしかなかったが、トランプ大統領がそうしたことをするはずはなく、イスラマバードの協議で合意に達することができるとアメリカ政府はは考えていなかっただろう。例によって時間稼ぎだった可能性が高い。

 結局、協議は決裂、ホルムズ海峡のイラン政府による航行規制は継続することになったが、それに対してトランプ大統領はアメリカ海軍がホルムズ海峡の封鎖を開始、イランの港湾へ向かう、またはイランの港湾から出港する船舶を制限すると発表した。ホルムズ海峡の航行規制はアメリカが主導権を握っているというイメージを広めたいのかもしれないが、イランに対する脅迫にはならない。

 アメリカ海軍が西アジアへ派遣していた空母ジェラルド・R・フォードは船内で大規模な火災が発生したとして離脱、修理に1年以上かかるようだ。空母エイブラハム・リンカーンは3月にイラン南部沿岸から約340キロメートルの地点まで接近したが、イラン軍のミサイルとドローンによる攻撃を受け、イラン沿岸から約1100キロメートルの地点まで離れざるをえなくなった。この状態でホルムズ海峡の航行を規制することは困難だと見られている。今後、ペルシャ湾から出航するタンカーにはMANPADS(携帯型地対空ミサイル)で武装した警備チームが乗船するかもしれない。アメリカ海軍がホルムズ海峡の封鎖を開始するという宣言は最初から破綻していると言えるだろう。

 現在、トランプ大統領はイランを征服、あるいは破壊しようとしているが、これは彼が始めたことではない。本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めた経験のあるウェズリー・クラークによると、2001年9月11日の攻撃から10日ほど後、彼は統合参謀本部で攻撃予定国のリストを見たと語っている。そのリストにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが記載されていた。(​ ココ ​や​ ココ

 その予定通りにアメリカは侵略戦争を実行してきたと言えるが、ネオコンは1980年代にイラクのサダム・フセイン政権を倒して親イスラエル体制を築いてイランとシリアを分断、その3カ国をイスラエルの支配下に置こうとしていた。サウジアラビアやペルシャ湾岸の産油国はイスラエルと同じようにイギリスが作り上げた国であり、親イスラエルだ。

 そのイスラエルでリクードが台頭したのは1970年代。その背後にはキリスト教シオニストがいた。その時期にリチャード・ニクソン大統領がウォーターゲート事件で失脚、ジェラルド・フォードが大統領に就任したが、その政権でネオコンは台頭した。

 そのネオコンの思想的な支柱と言われているレオ・ストラウスはウラジミール・ジャボチンスキーの「修正主義シオニスト世界連合」に傾倒していた人物で、シカゴ大学の教授を務めている。ジャボチンスキーの系譜に属すベンヤミン・ネタニヤフがイスラエルで実権を握った背後にはストラウスを信奉するひとり、エリオット・エイブラムスがいた。

 イスラエルでリクードと結びつき、影響力を及ぼすようになったフェデラリスト・ソサエティはロナルド・レーガン政権時代にアメリカの法曹界を支配し始め、新自由主義を法的に正当化していく。この団体は1980年代の初めに出現、議会に宣戦布告の権限があるとする憲法や73年の戦争権限法はアナクロニズムだと主張し、プライバシー権や市民権の制限、企業に対する政府の規制緩和を目指し、自分たちにとって脅威になりそうな国だと思えれば、先制攻撃できるとも主張してきた。レーガン以降、そうした考え方にホワイトハウスは支配されている。

 フェデラリスト・ソサエティの理論家であるリチャード・エプスタインは財産を自然法、すなわち神によって定められたものであると主張、経済活動に対するあらゆる規制は特定の所有者の行動様式を制限することにほかならず、あらゆる規制は補償を必要とするとした。この法律解釈により、レーガン大統領は既存のあらゆる経済規制を解体している。

 この法律家集団は国際条約を国内法に適用することを拒否する。他者の行動を厳しく裁く一方で、自分たちが同じことをしても原則免責。いかなる国際的な司法機関が自国の内政に関与することも拒絶する。アメリカやイスラエルは特別な存在だというわけだが、これは選民思想にほかならない。

 イスラエルでは2003年にエリオット・エイブラムスがエルサレムで会議を主催、イスラエルがパレスチナ人の要求を潰すまで、世界に平和は訪れないと主張した。それ以降、ヨルダン川西岸でユダヤ系入植者によるパレスチナ人襲撃が目立つようになる。ガザでの虐殺もその延長線上にある。

 ジャボチンスキーの修正主義シオニスト世界連合はシオニズムの一派だが、その思想は16世紀にはイギリスで現れた。海賊行為で富を蓄積していたエリザベス1世の時代(1593年から1603年)、イングランドに出現した「ブリティッシュ・イスラエル主義」だ。

 最初のキリスト教シオニストは16世紀に生きた司祭のギヨーム・ポステルだとも言われている。彼はフランス国王に聖地の再征服、ローマ教皇制の腐敗の終焉、そして黄金のモスクの跡地に第三神殿の再建を求めた。それが実現すれば、すべての隠された事柄が明らかになり、世界にはカバラという一つの宗教だけが存在するようになるというのだ。

 当時、イングランドの支配層の間でアングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと信じる人が現れ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まった。

 イギリスや西側世界にシオニズムを広めた人物としてブリティッシュ外国聖書協会の第3代会長を務めた反カトリック派のアントニー・アシュリー-クーパー(シャフツバリー伯爵)が知られているが、17世紀初頭にイギリス王として君臨したジェームズ1世も 自分を「イスラエルの王」だと信じていたという。

 その息子であるチャールズ1世はピューリタン革命で処刑されたが、 その 革命で中心的な役割を果たしたオリヴァー・クロムウェルをはじめとするピューリタンも 「イスラエルの失われた十支族」 話を信じていたとされている。クルムウェルはユダヤ人をイングランドへ入れることを許可したが、稼ぎ方を海賊行為から商取引へ切り替えるためだったとされている。ユダヤ人は商取引や金貸しに長けていた。

 アメリカでリクードを支えてきたのはテレビ宣教師。その主張はユダヤ教徒が改宗する必要がないほどユダヤ教的であり、キリスト教徒がキリスト教から離脱し、ユダヤ人と同じ理念を支持するようになったとも言われている。シオニストはキリスト教に浸透し、ユダヤ教を支配しようとしたカバラの一派だという人もいる。

 カール・マルクスは『ユダヤ人問題に寄せて』の中で、「キリスト教徒はもともとは、教義を重視するユダヤ人だった。だからユダヤ人は実利的なキリスト教徒であり、実利的なキリスト教徒はふたたびユダヤ人になった」(中山元訳『ユダヤ人問題に寄せて/ヘーゲル法哲学批判序説』光文社、2014年)と主張している。

 シオニズムは帝国主義と一体化し、世界を地獄に変えてきた。

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最終更新日  2026.04.14 00:47:04


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