アメリカ海軍の駆逐艦2隻、USSトラクストンとUSSメイソンがホルムズ海峡の通過を図り、イラン海軍が警告射撃を実施したと伝えられている。イラン政府は警告射撃を実施している様子とされる映像を公開、同国の通信社はアメリカ側が警告を無視したことからミサイルを発射、命中したと伝えた。その数時間後にアメリカ中央軍はその報道を否定、被害は記録されていないとしている。アメリカの軍艦がホルムズ海峡へ入ろうとしてもいないとしている。同じ頃、イランの対岸にあるアラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラで石油施設が炎上。これはイランの攻撃によるともされているのだが、イラン側は否定していた。
ホルムズ海峡の封鎖で最もダメージを受けるのは東アジアだが、中国はホルムズ海峡やマラッカ海峡を回避するルートの開発を進めてきた。そのひとつが中国とイランを結ぶ鉄道だ。アメリカとイスラエルは今回の対イラン攻撃でこの鉄道を爆撃していると言われている。
この鉄道は昨年5月に開通、上海からテヘランまで列車は15日で移動できる。イランから中国まで海上ルートを利用すると必要な日数は30日。鉄道を使うと日数は半分になる。
しかも、中国はホルムズ海峡やマラッカ海峡を通過する必要がなくなる。この鉄道は中国が進めているBRI(一帯一路)の一部で、イランから中国へ石油を輸送できるだけでなく中国製品をイランやヨーロッパへ運ぶことが可能だ。
バラク・オバマ政権は2013年11月にバラク・オバマ政権はキエフにあるユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でクーデターをはじめ、2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ大統領を追放することに成功した。
オバマ政権のネオコンはこのクーデターでウクライナを乗っ取り、ロシアとヨーロッパを結びつけていた天然ガスを断ち切ることで両者を弱体化できると計算していたようだが、ロシアとの関係が深いウクライナの東部や南部の住民はクーデター体制を拒否、ロシアと一体化したり武装闘争を始めた。2014年にはアメリカとイギリスの情報機関、CIAとMI-6が香港で反中国政府の佔領行動(雨傘運動)が仕掛けている。それを見てロシアは東へ目を向けて中国と同盟関係を結んだ。
オバマ政権は2011年春からシリアやリビアでムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を主力とする傭兵部隊を利用して侵略戦争を開始するが、イランの最高指導者を務めていたアリー・ハメネイ師は2018年、イランは西ではなく東に目を向けるべきだと述べた。
それ以降、中国はイランから石油化学製品、石油製品、ガス、あるいは銅精鉱、鉄精鉱などを購入、その一方でイランへはコンピュータや携帯電話といった電子機器を含む製品を供給するようになった。2019年にイランはBRI構想に参加する。鉄道の輸送能力が高まれば、両国はアメリカの妨害を受けることなく交易することが可能になる。
それに対してアメリカはインドを起点としてUAE、サウジアラビア、ヨルダン、イスラエルの占領地、そしてヨーロッパをつなぐIMEC(インド-中東-欧州経済回廊)プロジェクトを打ち出している。イスラエルがガザを破壊し、その住民を皆殺しにしようとしている理由の一因はここにあると言えるだろう。それに対し、イランはハイファを破壊した。
ペルシャ湾岸の産油国であるサウジアラビア、UAE、カタール、バーレーン、クウェート、オマーンはイスラエルと同じように、イギリスによって作り上げられた。そうした国々の「王族」とはアメリカやイギリスを拠点とする帝国主義者の代理人にすぎない。ジェフリー・エプスタインのネットワークと関係があっても不思議ではない。そうした国々と長い歴史のあるイラン(ペルシャ)とは大きな違いがある。その歴史の重さをトランプ政権は理解していないようだ。
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