防衛省は5月29日、4名の自衛隊員をドイツのビースバーデンにあるNSATU(NATO対ウクライナ安全保障支援訓練組織)の本部へ派遣すると発表した 。
ウクライナでロシア軍と戦っている戦闘集団はNATOの兵器を含む物資や軍事情報を利用しているだけでなく、NATO加盟国の将兵や傭兵が中心になっている。今後、そうした傾向は強まるはずで、ウクライナ軍をNATO軍の代理にするのではなく、NATO軍が直接ロシア軍と戦うことになる可能性が高い。そうしたステージへ進んだ場合、「日本軍」もロシア軍と戦うことになるのだろう。
短期的に見ると、ウクライナでの戦争は1991年7月に始まっている。欧米のエリートがミハイル・ゴルバチョフ露大統領をロンドンで開催されたG7首脳会議に呼び出し、新自由主義の導入を求めたのだが、ゴルバチョフは拒否する。その直後の「クーデター未遂」でゴルバチョフは排除された。
そのタイミングでウクライナの最高会議で独立宣言法が採択され、12月8日にはロシアのエリツィン大統領、ゲンナジー・ブルブリス、ウクライナのウクライナのレオニード・クラフチュク大統領、ビトルド・フォキン首相、ベラルーシのソビエト最高会議で議長を務めていたスタニスラフ・シュシケビッチとバツァスラフ・ケビッチ首相がベロベーシの森で秘密会議を開き、国民に諮ることなくソ連からの離脱を決めた。ソ連の消滅だ。
それに対し、1991年1月20日にクリミアで実施された住民投票でクリミア自治ソビエト社会主義共和国の再建が94.3%の賛成多数で承認されている。ウクライナの最高会議で独立宣言法が採択されたのはその半年後のことだ。
ウクライナを征服しようとしていた西側諸国はクリミアの住民投票を無視、ウクライナの独立は認めた。こうした動きを潰すためにキエフ政権は特殊部隊を派遣してクリミア大統領だったユーリ・メシュコフを解任、クリミアの支配権を暴力的に取り戻している。
1994年3月27日にはドンバス(ドネツクとルガンスク)でこの地域におけるロシア語の地位、ウクライナの国家構造などを問う住民投票が実施され、キエフ政権にとって好ましくない結果が出た。クリミアやドンバス、つまりソ連時代にロシアからウクライナへ割譲された地域の住民はロシアへの復帰を願っていたのだが、それを西側は力で封じ込めようとしてきた。
そして2014年2月、アメリカのバラク・オバマ大統領はキエフでクーデターを実行したのだが、クーデターを拒否するウクライナ人は少なくなかった。特にクリミアやドンバスの住民は大多数がクーデター体制を拒否し、クリミアはロシアとの一体化を決め、ドンバスでは武装抵抗が始まった。その抵抗が強く、NATO加盟国はクーデター体制の戦力を増強するために時間稼ぎを目論む。それが2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」だ。
オバマは任期が終わるまでロシアとの関係悪化に注力、その政権で副大統領を務めたジョー・バイデンは2021年1月に大統領となり、ロシアに対する軍事的な挑発を開始した。2022年に入るとドンバスの周辺で軍事的な緊張が高まり、開戦が噂される中、2月24日にロシア軍はミサイルやドローンでウクライナ軍の部隊や軍事基地、そして生物兵器の研究開発施設を攻撃し始めた。
ロシア政府とウクライナ政府はすぐに停戦交渉を開始した。 仲介役のひとりだったイスラエルの首相だったナフタリ・ベネットは交渉の内容を長時間のインタビューで詳しく話している。
ベネットは2022年3月5日にモスクワへ飛んでプーチン大統領と数時間にわたって話し合い、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を殺害しないという約束をとりつけることに成功、その足でベネットはドイツへ向かってオラフ・ショルツ首相と会った。 SBUはその3月5日、キエフの路上でゼレンスキー政権の交渉チームで中心的な役割を果たしていたデニス・キリーエフを射殺している。
停戦交渉はトルコ政府の仲介でも行われ、やはり停戦でほぼ合意に達していた 。その際に仮調印されているのだが、「ウクライナの永世中立性と安全保障に関する条約」と題する草案をプーチン大統領はアフリカ各国のリーダーで構成される代表団が2023年6月17日にロシアのサンクトペテルブルクを訪問した際に示している。
それに対し、イギリスの首相を務めていたボリス・ジョンソンがキエフへ乗り込み、戦争を継続するようウォロディミル・ゼレンスキー大統領に命令した。2022年4月9日のことだ。( ココ や ココ )
イギリスを支配する私的権力は19世紀からロシアを征服し、スラブ人を殲滅しようとしてきた。その当時イギリスの政界に君臨していたパーマストン子爵(ヘンリー・ジョン・テンプル)は戦時大臣、外務大臣、内務大臣を歴任、1855年2月から58年2月まで、そして59年6月から65年10月まで首相を務めた人物。ビクトリア女王にアヘン戦争を指示したのもパーマストン卿だ。彼はロシアをイギリスにとって最大のライバルとみなし、「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語っている。
パーマストン子爵は中国におけるイギリスの権益を守るためにチャールズ・エリオットを1836年に広東へ派遣、東インド艦隊の軍事行動の規制を緩めて清(中国)への軍事的な圧力を強化、1840年にはアヘン戦争を仕掛けている。彼の政策はセシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、アルフレッド・ミルナー、ウィンストン・チャーチルらが引き継いだ。
また、イギリスはロシアを征服する布石として中央アジアを抑えにかかり、インドがロシアの手に落ちることを恐れて3度にわたり、アフガニスタンへ派兵した。そのほかペルシャ(現在のイラン)やチベットへの影響力を強めようとしている。
その一方、ロシアはトルコ(オスマン帝国)とクリミア半島を舞台にして戦うが、その際、イギリスとフランスがトルコを支援した。イギリスとフランスはクリミア半島を抑えることでロシアが黒海へ出ることを阻止しようとしたと言われている。
パーマストン子爵の後を継いだセシル・ローズは南部アフリカを征服し、金やダイヤモンドで巨万の富を得た。ローズに融資したのはNMロスチャイルド&サン。ローズの計画にはナサニエル・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット(エシャー卿)、そしてアルフレッド・ミルナー(ミルナー卿)が関係している。(Gerry Docherty & Jim Macgregor, “Hidden History,” Mainstream Publishing, 2013)
南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して成功した後、ローズはフリーメーソンへ入会、『信仰告白』を書いている。その中で彼はアングロ・サクソンが最も優秀な人種だと主張、その優秀な人種が住む地域が増えれば増えるほど人類にとってより良く、大英帝国の繁栄につながるとしている。秘密結社はそのために必要なのだという。
スペインがポルトガルがラテン・アメリカで金銀財宝を奪い、それを海賊行為で略奪していたエリザベス1世の時代(1593年から1603年)の時代、イギリスの支配層の中で「ブリティッシュ・イスラエル主義」が現れた。
アングロ-サクソン-ケルトは「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だと彼らは信じ、人類が死滅する最後の数日間にすべてを包括する大英帝国が世界を支配すると予言されているという妄想が広まったのだ。
イギリスや西側世界にシオニズムを広めた人物としてブリティッシュ外国聖書協会の第3代会長を務めた反カトリック派のアントニー・アシュリー-クーパー(シャフツバリー伯爵)が知られているが、17世紀初頭にイギリス王として君臨したジェームズ1世も 自分を「イスラエルの王」だと信じていたという。
その息子であるチャールズ1世はピューリタン革命で処刑されたが、 その 革命で中心的な役割を果たしたオリヴァー・クロムウェルをはじめとするピューリタンも 「イスラエルの失われた十支族」 話を信じていたとされている。クルムウェルはユダヤ人をイングランドへ入れることを許可したが、稼ぎ方を海賊行為から商取引へ切り替えるためだったとされている。ユダヤ人は商取引や金貸しに長けていた。
エリザベス1世が統治していた時代、イングランドはアイルランドでも軍事侵略し、先住民を追放した。イングランドやスコットランドから入植者をアイルランドのアルスター地方へ移住させた。
その後、 ピューリタン革命の時代にもアイルランドで先住民を虐殺している。クロムウェルは革命で仲間だったはずの水平派を弾圧した後にアイルランドへ軍事侵攻して住民を虐殺したのだ。
侵攻前の1641年には147万人だったアイルランドの人口は侵攻後の52年に62万人へ減少。50万人以上が殺され、残りは「年季奉公」や「召使い」、事実上の奴隷としてアメリカなどに売られたと言われている。
ダブリン出身でプリマス・ブレザレンを創設したジョン・ネルソン・ダービー牧師は1830年代から宗教活動を始めたが、彼はキリストの千年王国がすべての文明を一掃し、救われるのは選ばれた少数のグループだけだと考えていた。
イギリスの支配層はロシアを征服するため、ユーラシア大陸の周囲を海軍力で支配、内陸部を締め上げていくが、それを可能にしたのがスエズ運河にほかならない。イギリスの首相を務めていたベンジャミン・ディズレーリは1875年にスエズ運河運河を買収。そして1917年11月、アーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出してイスラエル建国への道を切り開く。いわゆる「バルフォア宣言」だ。ここからパレスチナにおける先住民の大量虐殺が始まる。
ピューリタンはアメリカやオーストラリアでも似たことを行なっている。アメリカでは「アメリカ・インディアン」を大量虐殺してヨーロッパ系移民と入れ替え、オーストラリアではアボリジニを大量虐殺、土地を奪った。そして現在、シオニストはパレスチナだけでなく西アジア全域のアラブ人やペルシャ人を殲滅し、「大イスラエル」を作ろうとしているように見える。
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【 Sakurai’s Substack 】
【 櫻井ジャーナル(note) 】