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周りのインカ兵たちに、アンドレスは前方を見据えたまま、声で応じる。
「ここは大丈夫だ。
皆は、下がっていていい」
「アンドレス様…!」
まだ大いに不安そうな兵たちに、アンドレスは真摯に、しかし、決然と繰り返す。
「大丈夫だ。
皆は戻って、アパサ殿に、俺は少し遅れて戻ると伝えてくれ」
非常に不安そうな兵たちが、やむなく去り、2人きりになると、フロレスは馬で距離を詰めてくる。
傍で見れば見るほど、単に外見が美麗だというだけではない、何か強烈なオーラを放つフロレスを前にして、アンドレスは無意識のうちに身を引いていた。
そんな己を叱咤するようにして、彼は、強気な口調でキッパリと言う。
「フロレス殿、お久しぶりです!!」
「久しぶりだな、アンドレス」
フロレスは淡々たる表情のまま、感情の見えない声で言う。
そして、あの吸い込まれるような蒼い瞳の宿る目元のみを、僅かに細めた。
あれほど直に話してみたいと思っていた相手だが、いざや本人を前にすると、どこから何を切り出したものか、アンドレスは言葉を探しあぐねて口ごもる。
【登場人物のご紹介】 ☆その他の登場人物はこちらです☆
≪アンドレス≫
トゥパク・アマル(インカ皇帝末裔で反乱軍総指揮官)の甥で、インカ皇族の青年(18歳)。
若くして剣術の達人であり、2万の軍勢を率いるインカ軍最年少の連隊将。
スペイン人神父の父とインカ皇族の母との間に生まれた。混血の美青年(史実どおり)。
現在は、ペルー副王領の隣国ラ・プラタ副王領に遠征している。
≪フロレス≫
ラ・プラタ副王領のスペイン軍総指揮官として、当地の反乱鎮圧の総責任者をつとめる。
副王の信任も篤く、かつては最高司法院の議長まで務めた有能、且つ、武勇に秀でた麗人。
植民地生まれであるためか、他のスペイン人高官とは異なり、偏見を持たぬ公明正大な人物。
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