2005/02/02
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テーマ: 社交ダンス(8596)
カテゴリ: 下町人情物語
私が4歳から14歳までの10年間住んでいた家は、同じような作りの家が立ち並ぶ、東京下町の住宅街。小さな子供のいる若い夫婦が次々と移り住んできて、町内会の行事も活発でした。

近所で夫婦げんかがあると、みんなで仲裁に入り、旅行に行ったら、向こう三軒両隣には必ずお土産を買ってくる、そんな人情味あふれる所でした。子供たちも同じような年代なので、遊び相手には不自由しません。

近くのアパートで火事があったときは、今どき信じられないような話ですが、消防車が来るまでバケツリレーをしました。「青空アパート」という名のアパートの2階でガス爆発が起こって、大きな火の手が上がり、夜中過ぎにもかかわらず次々とご近所さんが大集合。幸いアパートの住人はみんな避難して、火元の人も飛び降りてねんざした程度の怪我ですみました。

翌日、焦げた匂いのたちこめたアパートの近くで、子供たちはこわいもの見たさに集まって、ガラクタ集めをして遊びました。見上げると、2階の屋根が吹き飛んで、その名の通りの「青空アパート」。みんなこのダジャレが大いに気に入って、家に帰って親達に自慢したものです。

「ねえねえ、おかあさん。あのアパート、ほんとの青空アパートになってたよ。」

この事件は、私が小学校の4年くらいの時に起こって、それからしばらく、眠るのが怖くなった記憶があります。寝ている間に、火事になったらどうしよう、という不安からです。

こんなこともありました。町中が寝静まったある夜、空気を揺るがす大音響が響き渡りました。

「ドッカーン!!」

眠っていた家々に、次々と明かりが灯り、パジャマ姿のまま、一人、また一人と家から出てきました。私は「出ちゃだめ」といわれたので、2階の高窓から、目だけ出して覗いていました。


「飛行機が落ちたんじゃないの?」
「ガソリンスタンドが爆発したのか。」

みんな口々にいろんなことを言っています。外に出ている人はますます増えて、子供たちも出てきました。私も、出たくてウズウズしてきました。

隣のおばさんが玄関に現れ、何か話してしきりに頭を下げています。それを聞いた人たちが、次々に帰っていくではありませんか。なになに?私も一生懸命聞こうとしますが、おばさんの声は小さすぎて聞こえませんでした。(つづく)

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Last updated  2005/02/02 03:18:17 PM
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