2005/02/04
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テーマ: 社交ダンス(8596)
カテゴリ: 下町人情物語
うちの斜向いは「書道教室」でした。私もご近所付き合いの一環として、小学校に上がる前からその書道教室に通い始めました。そこは子供の社交場。いってみれば、遊びに行く前の、待ち合わせ場所みたいなもんでした。

小学生になると、冬休みの宿題に「書き初め」というのが入ってきます。父も一緒に書き初めをしますが、何年経っても、書道教室に行っているはずの私の方が下手くそでした。父は、母との結婚のお許しを得るために、毛筆の手紙を書いて母の郷里に送ったそうで、そのレトロさに圧倒されて、結婚を許されたとか言う話を聞いたことがあります。要するに、達筆なのです。

中学に入る前に、書道教室が引越してしまったため、もう通わなくてもよかったのですが、母が、どこからか「いい先生」を探しだしてきて、そっちに通うことになりました。

新しい先生は、大きな自宅の一室を教室にしている、82歳のおじいさんでした。教室はしーんとして、誰一人ふざけあう子供もなく、私はいままでとあまりに勝手が違うので、かなり腰が引けていました。白髪混じりの太い眉の下には、キリっとした光を放つ目がこちらをじっと見つめていて、私のいい加減な気持ちを見透かされるようでした。

実際の先生はとてもやさしくて、真面目に取り組めば熱心に指導して下さいました。単なる近所付き合いで始まった書道も、中学生になるころにはかなり上達し、まだまだ父には及びませんでしたが、特待生候補にまで到達しました。これが、どのくらい凄いかといっても、今となってはどっちでも言い話ですが、高校から大人クラスに変わるとき、スライドして準五段になれるのです。そのあとは、たしか、五段、準師範、師範となっていくんだったと思います。

プロゴルファーがだめなら書道家か?

親の目論見はよく分かりませんが、何せ、高校1年まで書道を続けて、五段になりました。

今となっては、パソコン全盛ですから、年賀状も筆では書きませんし、役に立つのはご祝儀袋に名前書く時くらいです。うちには硯も筆もなく、あるのは筆ペんだけ。そして未だに、父にはかなわないのです。

毎年、立春を迎えると、父は色紙に「立春大吉」と筆で書き、それをみんなが一番集まるダイニングの壁に東向きに貼ります。それに、どんな意味があるのか、実は分からないのですが、なんとなく縁起がいいし、結婚してからは2枚ずつ書いてもらって、一枚うちに貼っています。去年の分も、捨てるのももったいないので、うちではとっておいてあります。



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Last updated  2005/02/04 11:28:33 AM
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