2005/02/10
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テーマ: 社交ダンス(9855)
三笠宮杯を次の週末に控え、私たちはいつものように練習に励んでいました。今度の大会にはウリナリの芸能人社交ダンス部も参加するとあって、とても楽しみ。ひょっとしたら、テレビに映っちゃうかも、なんて教室でもみんなに話していました。

そこへ、随分前に受けた健康診断の結果が送られてきたのです。ちょっと高めだったコレステロール値も問題ない、特に何もなしか、と思って下の方に目をやると、手書きの「要検査」の文字が目に飛び込んできました。そこには、見たこともない病名が書かれてあったのです。

「網膜色素変成症」

なんだろうこれ。ちょっと気になりましたが、三笠宮の方が最重点課題だったので、そのまま、ほったらかして練習に行きました。

帰ってきてインターネットで、この病名を調べてみて、私は心臓が凍り付くようなショックを受けました。

「1997年4月に、厚生省の難病に指定。現在、有効な治療法はなく、次第に視野・視力が失われて、失明に至る。原因は不明。現在日本に約2万人の患者がいる。」

息が苦しくなって、目を閉じました。

自分の歩いてきた道が突然無くなって、崖っぷちに立たされたような気分です。どうしたらいいんだろう。目が見えなくなるまで、あとどのくらいの時間が残されているんだろう。

そういえば、以前から、暗いところではよく見えなかった。子供の頃、何年も眼科に通って仮性近視の治療をしたのがいけなかったんだろうか。(詳しくは  <第109話> 夢が叶うまでの時間
まだ、そうだと決まったわけじゃないんだから、とにかく精密検査を受けに行かなくては。調べてみると、この難病を取り扱うことの出来る病院は限られていて、近所の市民病院はその一つに指定されていました。

「強い光を避けたほうがいい」と書いてあったので、その日から、濃いサングラスをかけ、極端に光に対して神経質になりました。病院に行って、「すぐ入院」なんてことはないとは思いましたが、行くのは三笠宮杯が終わってからにしようと決めました。

「ダンサー・イン・ザ・ダーク」という映画をご覧になったことがありますか?アテネオリンピックの閉会式で、歌声を披露したビョークが主演するミュージカルです。遺伝病で次第に視力を失っていく中で、息子には手術を受けさせて、失明から救おうとします。恋人に、「君は目が見えなくなっても平気なのか。」と聞かれて、彼女は、歌います。

「私は、見たいものを全て見てきた。これ以上、何を見ろというの。もう、私は見たいものは全て見たの。」

とても、そんな気持ちにはなれませんでした。私は、まだまだ見たいものがたくさんある。イタリアやオランダに行って名画を見たい、ワーグナーのオペラも見たい、素晴らしいダンスも見たい。もっともっと本も読みたいし、映画も見たい。目が見えなくなるなんてひどすぎる。子供の頃、あんなに頑張って、やっと見えるようになったのに。考えれば考えるほど、胸が張り裂ける思いでした。

「ねえ、もしさ、目が見えなくなっても、一緒に踊ってくれる?」

何かの間違いだろうと、心の中で一生懸命打ち消しながらも、どうしても不安で、私は彼に尋ねました。

「もちろんだよ。」

彼はすっと立って、私の右手をとり、ルンバを踊り始めたのでした。

ダンサー・イン・ザ・ダーク ダンサー・イン・ザ・ダーク

ジーニアス:ア・ナイト・フォー・レイ・チャールズ<音楽DVD/洋楽> ジーニアス:ア・ナイト・フォー・レイ・チャールズ<音楽DVD/洋楽>





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Last updated  2005/02/10 12:02:55 PM
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