2022/06/02
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テーマ: 社交ダンス(9896)
カテゴリ: 映画のはなし
映画が始まると画面に大きくタイトルが出て、音楽と共に出演者などの文字が次々と浮かんでは消えて行きます。

この映画は、違いました。

30分以上経って、そんなことをすっかり忘れていた頃に音楽と共に出演者の名前が出て、『あれ?これから始まるの?ずいぶん長い序章だね。』と思いました。

第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の脚本賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞、AFCAE賞を受賞。

第94回アカデミー賞では国際長編映画賞を受賞した作品です。





家福悠介は、俳優兼舞台演出家、妻の音(オト)と二人暮らしです。

チェーホフの戯曲『ワーニャ伯父さん』の舞台を多言語演出で演じ、評価を得ていました。

愛車の赤いサーブ900ターボで妻が吹き込んでくれた棒読みのテープを聴きながらセリフを覚えるのを習慣としています。





妻は脚本家で、娘を亡くしてから若い俳優との情事を重ねていたようです。



ある日、情事の現場を目撃してしまった悠介は、心に蟠りを抱えたままそれを見なかったことにする行動に出てこれまでと同じように妻に接します。

朝、悠介が出かける時、『帰ってきたら話したいことがある』と言っていた音は、その夜悠介が帰宅すると床に倒れていてそのまま帰らぬ人となってしまいました。





メインの話はここからで、舞台は2年後の広島国際演劇祭です。

『ワーニャ伯父さん』のためのオーディションで選抜された多国籍の俳優たち。

その中に、音の情事の相手だった高槻もいました。





事務局からの依頼で専属ドライバーに愛車を運転してもらうことになるんですが、その運転手が渡利みさきという無口な若い女性でした。

運転中にはずっとワーニャ伯父さんの棒読み音声を流しているんですが、このセリフが天からの啓示のように状況にピッタリハマったりするので、その辺が演出とか脚本とかの力だなあと思いました。





演じる役者は日本人ももちろんいますが、韓国人、台湾人、フィリピン人と多様で、それぞれが自国語でセリフを喋ります。

どんなに辛い状況でも生き続けるしかないと劇中で最後に語るソーニャは、手話で観客に語りかけるんです。

この映画がうけた理由の一つは多様性を尊重していたからかもねなんて話しました。





運転手のみさきも演出家の悠介も感情を内に秘めるタイプですので、交わす言葉も棒読みっぽくて、静まりかえった水面に起こる虫の波紋みたいな振動が伝わってきます。



いいところも悪いところも全部ひっくるめて受け入れ、それがその人なんだと認めると言った感情の昇華がクライマックスでしょうか。

水墨画のような色のない風景に、朱の落款で絞めるみたいな、村上春樹の世界ってこんなだったなあと思い出しました。





『ドライブ・マイ・カー』(Drive My Car)は、濱口竜介監督による2021年公開の映画です。

原作は村上春樹の小説、脚本は濱口竜介と大江崇允、主演は西島秀俊です。





R12指定のようです。






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Last updated  2022/06/02 08:01:12 PM
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