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こんばんは。 土砂流出に伴うJR日高本線の災害復旧に関しては、国、道、JRの3者間の話し合いが続いているようですが、25億円といわれる復旧費用負担を巡って、膠着状態となっています。 沿線自治体も、復旧を求める姿勢では一致していますが、同時に復旧費用の負担はできないという点でも、見事に一致しています。道も同じです。 ただ、これではいつまでたっても、話は動いていきません。 沿線自治体に焦点を当ててみます。日高本線は、起点がある苫小牧市を除くと、厚真、むかわ、日高、新冠、新ひだか、浦河、様似の7町を通っています。この内、今回の鉄道不通区間を通るのが6町、実質的な影響が大きく及ぶのは、日高振興局管内の5町ということになります。 仮に復旧費用25億円を、国、道、5町の負担割合を3分の1ずつとし、5町が均等に負担するとなると、1町あたり約1億7千万円の負担となります。 5町の財政状況をごく簡単に見ると、一般会計の規模が100億円を切る町が3つあり、資料が見られる町だけで見ても、自主財源の割合は微々たるものであり、地方交付税交付金にも算定されない費用を億単位で捻出するのは、確かに難しいことでしょう。 ところで、国は沿線自治体に対し、何を求めているのでしょう。 最近10年間くらいの国土交通省の考え方は、鉄道を残す意思と意欲のある自治体を支援するというスタンスです。国だって、地元自治体がそんなにお金を持っていないことは、承知しているはずです。 だとすれば、町と町を結ぶために、地域が連携しながら地域の発展のために、鉄道をどのように活用していくのか。ストーリーを示した上で、鉄道活用の意思表示として、負担の意思を示すことが必要だと考えます。この場合、最初に町が示す負担額は、べらぼうなものでなくていいはずです。実際の負担額の落としどころは、その先の議論で決まっていくことです。 財政が厳しい折、新しい支出は大変なことだと思います。また、よそ者に自分の懐をとやかく言われたくないというお気持ちもあるかと思います。それを承知の上で、地元が鉄道をバックアップする「やる気」を示すためにも、地元負担についての検討をお願いしたいと思います。 なお、JR只見線のように、復旧費用捻出にふるさと納税制度を活用するアイデアも、検討の余地があると思います。
2015/09/29
こんばんは。 去る9月20日の書き込みの中で、タイトルをはじめとして、「豊浦町」と書かなければならないところを、「豊頃町」と記載した部分が多数ありました。読者の方のご指摘で気がつき、修正させていただきました。 豊浦も豊頃も、同じ道内にある町ですが、だからこそ間違ってはいけません。初歩的なミスであり、お恥ずかしい限りです。 読者の皆様、豊浦町、豊頃町の皆様にお詫び申し上げます。 また、ご指摘いただきました方に、感謝申し上げます。
2015/09/24
こんばんは。 鉄道愛好者ではない方でも、「秘境駅」という言葉をお聞きになられたことがある方は、多いのではないでしょうか。 秘境駅に関しては、既に多くの「達人」の方々が、さまざまな研究成果?を発表されています。山奥や平原など、地理的に他の集落と隔絶された場所で、かつ駅周辺に人家等、列車を利用するきっかけとなるものがなく、そこへ行くことそのものを理由とする以外、乗客の乗降が期待できない駅。「達人」とは見解が異なるかもしれませんが、これを秘境駅と呼ぶのが適切だと、私は考えます。 これら秘境駅の宝庫といわれたJR北海道の線区で、「JR北海道再生推進会議」が「提言書」を会社に対して提出したことを契機に、いくつかの秘境駅の廃止を地元に通告し、現在、多くの駅が廃止になろうとしています。 室蘭本線の小幌駅は、海岸線と山裾に囲まれた場所にあり、駅に通じる道路さえないことから、秘境駅として以前から有名な駅でした。この駅も、今年10月に廃止するとの通告が、JRから地元の豊浦町になされていました。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0174900.html ところが、豊浦町は小幌駅の廃止に待ったをかけました。単に廃止反対だけではなく、駅の存続維持に対し応分の負担の用意があるとのことから、JRを協議の場に引き出すことに成功したようです。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0179133.html 人が住まない駅前の、「人も乗らない」駅を、町はなぜ残そうとするのか。ひとつは、秘境駅が持つ集客力に注目したこと、もうひとつは、これも町の観光資源である「小幌洞窟」や、「洞爺湖有珠山ジオパーク」の「ジオサイト」へのアクセスとしての活用を考えていることにあります。 観光的な注目度がいまひとつだった町にとって、ともすれば負の要素ととられかねない秘境駅に価値を見出した発想の転換は、大したものだと思います。さらに、JRの廃止発表前から小幌駅の活用を研究し、観光ルート策定のための補助金申請まで行おうとしています。 柔軟な発送を計画性を持って、具体の行動に落とし込む。これは、町長の先見性とリーダーシップによるところが大きいと、私は睨んでいます。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/doo/1-0179038.html 豊浦町のホームページを見るたびに、この小さい町の小幌駅に賭ける「本気度」を感じずにはいられません。豊浦町ホームページhttp://www.town.toyoura.hokkaido.jp/hotnews/detail/00002331.html町長メッセージhttp://www.town.toyoura.hokkaido.jp/diary/detail/65.html
2015/09/20
こんばんは。 線路の盛土流出で長期運休が続くJR日高本線で、先日の被災区間と別の個所で、台風17号による高波が原因と考えられる、土砂流出が発生しました。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0179667.html 新たに被災したのは2か所、ひとつは厚賀-大狩部間の、1月の被災現場に近い場所です。もう1か所は豊郷-清畠間で、やはり太平洋に面した海岸線を走っている場所です。 現在、日高本線の復旧費用に関して、国、道、JR北海道の3者で話し合いが進められていますが、実際は膠着状態といってよいでしょう。さらに被災区間が増えたことで、今後の話し合いに影響が出ることも考えられます。 今回、新たに被災した区間を、道の日高振興局長が視察しました。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/doo/1-0179954.html 「被災状況はかなり厳しいが、現場は過去にも被災していると聞いている。応急対策にとどまり、きちんとした対策工事が行われていなかったのでは」振興局長の発言です。 一義的には、その通りです。しかし、JRだけに費用負担を負わせられるか。以前から言われていましたが、JR北海道自体が、2018年度中に経営破たんする可能性があったことも、報道されました。http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0180062.html 一部沿線自治体は、復旧費用の負担に難色を示しています。振興局長の発言にも、「JRには今後も引き続き復旧をお願いしていくしかない」というくだりがあり、責任を共に負うという気概が感じられません。 現在は、JRの線路修繕に対し自治体が負担をするという仕組みは、存在しません。東日本大震災による被災で、共に壊滅的打撃を受けた山田線と気仙沼線。山田線は、第三セクターへ移管し国の補助を受けての復旧、気仙沼線は、鉄道による復旧を断念し、バス専用道を整備しバス運行への転換を決定しました。このことは、JR線のままで鉄路を復旧させる仕組みが、整備されていないことを意味しています。 「鉄道はJRのもの。民間会社に公費は出せない」「鉄道はぜいたく品(道路は必需品)」根強くあるこの考え方を崩していかないと、鉄道復旧の仕組みづくりは難しいと考えます。そのカギとなるのは、地域住民の声と、住民自ら具体的に行動し支える力だと思います。JR日高線問題を考える会https://www.facebook.com/jrhidakasenmondai まだまだ地域の声は小さいかもしれませんが、こちらの会のような、鉄道存続に対する冷静な現状分析と熱い行動力を兼ね備えた方々の存在は、とても心強く思います。
2015/09/17
次に、高橋町長の発言を拾っていきましょう。 「「ふるさと銀河線」の廃止から9年、影響は本別町内にもボディーブローのように効いてきました。」 その「ボディーブロー」の一例として、帯広まで出るのに鉄道と比べてバスが2倍以上の時間がかかることから、子供のいる家族や高齢者が、学校や病院に近い帯広市内に移住する例が目立ってきたことを掲げています。 今、手元ですぐ見られる統計で調べたものですが、平成17年(ふるさと銀河線廃止前年)と平成26年との人口を比較しますと、全道の人口は約4%の減ですが、本別町は約14%の減となっています。銀河線の廃止だけが理由ではないと思いますが、お子さんの進学を機に、本別から帯広に移住された方を、私も存じ上げておりますので、根拠のない分析とは言い切れないでしょう。 「JR北海道は今、利用者の少ないローカル線の廃止を進めようとしていますが、鉄路がなくなれば、田舎に人は住めなくなってしまう。吹雪や台風の中でも乗客を安全に輸送する鉄路の信頼感は、他の交通機関では補いきれません。」 この指摘に対しては、近年の様々な事例を捉えて、鉄道は安全ではない、悪天候で鉄道が止まってもクルマは走る、定時性も危ういという反論が出されるでしょう。 そもそも鉄道と、例えば道路交通との安全の捉え方、考え方には、大きな差があります。絶対的な安全を守るため、危ないときはまず「止める」発想の鉄道と、ドライバーの裁量に大幅に委ね、「自己責任」的部分も含んだ中で安全行動を取る道路交通とでは、安全に対する「本質」が異なっています。道路交通における事故は、数としては減っているものの、ドライバーの質の低下、道路交通の高速化、異常気象の頻発に伴い、1件当たりの事故の悲惨性(事故による人的物的ダメージ)は、むしろ増えている気がします。鉄道と道路とでは、インフラ更新への投資に圧倒的な差があること(不当に鉄道が古いままで残されている)、道路交通のインフラが整備されればされるほど、新たな形の危険(例えば高規格道路での正面衝突、積雪時の玉突き衝突や立ち往生)が発生することも、見逃せません。このように考えると、鉄道そのものが持つ安全性、安定性は、決して色あせてはいないものです。 「地域の願いを振り切って鉄路を切るようでは、鉄道が果たすべき本来の役割や使命を忘れたのではないかと感じます。」 このことも、日本における公共交通の維持存続問題で、繰り返し議論されることです。公共交通維持の責務は、運営事業者が負うべきものなのか。運営事業者は、自身の経営収支のみ責任を負い、公共の福祉にまで責任を負う必要はないのか。さらにこの後の発言を見てみましょう。 「ただ、交通網の維持はJRだけの責任ではありません。道内の交通網を考える上で、道の役割は重要です。」「JRも道も、「お金がない」という理由で鉄路廃止を進めれば、道内のほとんどの路線がなくなってしまうと危惧しています。」 もちろん、国も自治体も、出せる資金に限りがあることは当然のことです。にもかかわらず、道路への投資と鉄道への投資が、なぜこれほどまでに格差があるのでしょう。なぜ鉄道ばかりが、運営事業者の収支均衡に拘束されなければならないのか。「鉄道の赤字補てんによって、将来の世代に負担を負わすな」との主張が声高に言われるのに、鉄道がなくなるような人口減少地域に、建設にも維持にも経費がかかり、しかも受益者負担が少ない高規格道路がぐんぐん延伸していく事実を、どのように説明すればいいのでしょうか。 「一方で、沿線住民の交通網に対する意識も変えねばなりません。旧池北線は三セク化で存続されたため、町民は安心してしまいました。」 「しかし、帯広まで行くにはJRの初乗り料金が余計に必要になり、池田駅の銀河線ホームはJR線から遠く離れた場所に置かれたため、不便になって乗らなくなるという負のスパイラルに陥ったのです。」 銀河線の実例を基に、利用者である沿線住民の意識、公共交通の利便性を向上させる工夫の必要性を、端的に主張されています。帯広直通の初乗り運賃の二重負担、池田駅4番線ホーム(銀河線専用)の、乗り換え、下車共に不便極まりない配置、さらに踏切作動への不安という理由で、CR型車両単独のJR線乗り入れの拒否(JR線上は必ずJR車両と連結)による効率的な車両運用の阻害。いずれも、銀河線への沿線住民の信頼を、失わせるのに十分なものでした。 このような利用者の利便性を妨げる要素、運営事業者が自らの都合ばかりを優先し顧客主義を全く考えないことに対して、利用者が冷静に異議を唱えることは、必要なことであります。 「再生提言書」を読むと、新聞紙上での国広氏の主張と同じ内容が、あちこちに見られます。一方で、明らかに国広氏の主張と正反対の考え方、例えば「その際JR北海道は、安易な路線の休廃止は進めるべきではない。」(提言書30ページ)も記載され、委員の中でも完全な意見の一致が見られず、両論併記と捉えられる表現も見られます。 しかし、「提言書」にも記載され、国広氏、高橋氏双方の主張に共通する事項があります。「状況を丁寧に説明し、地域と一緒に考えていくことが求められています。」(国広氏)「JRがローカル線見直しを表明した今こそ、道が音頭を取り、沿線住民とJRとともに交通網の将来を考える時だと思います。」(高橋氏) 今こそ、沿線住民が関係者とともに、公共交通のあり方を真剣に考える時だと思います。
2015/09/16

閑話休題。 毎年夏になると、私は楽しみにしていることがあります。 ここ数年、JR東日本管内の駅構内で展開するキヨスクと、コンビニエンスストアであるNEWDAYSにおいて、道産の飲み物食べ物を扱うキャンペーンを実施しています。ナツキタ2015 夏の北海道キャンペーンhttp://www.j-retail.jp/natsukita2015/ 例えば、普段は道内でしか買うことができない「サッポロクラシック(生ビール)」や「マルちゃんやきそば弁当(カップ焼きそば)」などが、毎日通る駅構内で、買うことができるのです。http://www.sapporobeer.jp/classic/http://www.maruchan.co.jp/cupyakisoba/detail03.html さらに、道産食材を用いた限定商品が並ぶのも、楽しいものです。http://store.shopping.yahoo.co.jp/946kitchen/susukino-wasabi.html 本当に、これが置いてありました。これって、道内限定品…? そして猛暑の7月8月も、我が家は北海道気分に浸ることができました。 手前左側は、オホーツクの塩を使った塩キャラメル入りのパン、同じく右側は、本別町産の黒豆「キレイマメ」を使ったクリームパンです。 ビールのつまみに菓子パンは合いませんが… キャンペーンは終了していますが、サッポロクラシックは継続販売されています。 いつでも売っているとなると、うれしさ半分残念さ半分でもあります。
2015/09/15
「このまま多額の税金を使って鉄道を維持すべきか、あるいは資金を使うならもっと使い勝手のいい交通機関にできないか、」 「例えば、鉄道に比べて、バスは学校や病院の目の前に立ち寄るなどこまめに運行でき、本数も増やせるので、地域住民の利便性が増すこともあるでしょう。」 「普段は利用していないが地域の象徴だから廃止してはならない-という情緒的な議論は避けるべきです。」 これらの主張は、既に当ブログで、何度も取り上げてきたところです。 「バスが○○の近くを通るようになったから(鉄道より)便利になった」このような声も、多様な交通需要の中では当然出てきますし、否定するつもりはありません。各地の事例、特に鉄道からバスに転換した地域を見てみると、バスが病院なり学校なり、主要な地域の施設に立ち寄ることにより、所要時間が大幅に長くなった例が見られます。そもそも、商店も含めた地域の方が利用する公共施設の配置が、中心市街地を外れた場所に配置されている事例が増えています。駅を中心とした場所にコンパクトになぜ配置されなかったのか。バスは路線の開設も廃止も容易に見えますが、実際は、廃止が許可制から届出制になったことにより、容易な廃止だけが進んでいます。ハードやソフト面での「まちづくり」と連動させて、しっかりした筋のある公共交通機関を構築し、そこから派生する二次交通を充実させる。これが公共交通の利便性向上と、まちの発展につながることになるでしょう。「筋のある公共交通機関」として、既存の鉄道を最大限利用しない手はありません。 もう一点、もう30年以上前になりますか、国鉄赤字ローカル線廃止問題が浮上した際、「時刻表から私たちの街が消える」との廃止反対スローガンに対して、「情緒的な反対はすべきでない」「鉄道のない街に対して失礼だ」との反論が寄せられていました。「地域の象徴」とか「時刻表に載る」ということが「情緒的」かどうかはわかりませんが、鉄道が地域のアイデンティティになり得ること、地域の名前とそこまでの行き方を、全国的な媒体に明確に掲載、PRされる広告効果、これらは決して馬鹿にできないものと考えます。地域が鉄道を利用しない理由と「情緒的」ということとは、別の問題です。前者は、「乗る仕組みづくり」を地域で(あるいは地域外の人と一緒に)考え実践していく。後者は、地域の鉄道に抱くアイデンティティを、「見える化」(金銭価値への変換)した上で、「乗る仕組みづくり」や「まちづくり」と連動した展開を積極的に行えば、「情緒的」であるとの指摘は、むしろ地域活性化へのプラスになります。「路線別の利用状況などの情報提供を日ごろから積極的に行う必要があります。」 鉄道運行に関する情報の地域への開示は、まさにその通りだと思います。しかし、国鉄赤字ローカル線廃止問題の際にさんざんやり玉に挙げられた、路線別収支係数のような、幹線とローカル線との収入の分配方法でいくらでも数値が変えられるようなデータの出し方は、線区の存廃について誤った判断を招きます。このときは、収支係数の発表が赤字線廃止の世論形成に大きな役割を果たしましたが、実は、国が路線存廃を判断した根拠に、収支係数は使われていません(特定地方交通線の選定は、輸送密度が判断基準となりました)。現在、特定地方交通線の選定基準(4,000人/キロ/日)に満たない輸送密度の線区は、JR北海道営業距離の内、75%を占めるに至っています。(「提言書」別紙44ページ) 「乗る仕組みづくり」「稼ぐ姿勢」を持ち続けることを大前提として、地方において鉄道が存在する意義は、少子高齢化が進み、コンパクトシティあるいは地方への投資が「選択と集中」といわれる中で、鉄道の存在がいかに地域経済に効果を与えるかを重視すべきで、輸送密度だけが存廃の判断基準ではなくなってきています。このことは、指摘しておきたいと思います。 全体的に、国広氏の論調は、会社の不備や問題点を厳しく指摘しているように見えて、会社が負うべき鉄道運行の義務を縮小するという、鉄道会社側の思惑に立脚している点で、企業防衛的な視点を感じずにはいられません。(続く)
2015/09/15
こんばんは。 JR北海道再生推進会議が、去る6月に発表した「JR北海道再生のための提言書」について、その内容を詳しく検討し、当ブログで発表しようと考えていました。 8月10日付け北海道新聞朝刊の「月曜討論」というコーナーの記事が、「提言書」の内容と問題点を簡潔かつ的確に表していることに気づき、この記事を引用しながら、「提言書」の問題点と道内公共交通を考えていく「視点」を提示していきたいと思います。 「月曜討論」は、ひとつのテーマに対して主張の異なる論者2人の考え方を並列して紹介するコーナーで、「JR再生と赤字路線廃止」というテーマが与えられています。論者の一人は、再生推進会議のメンバーである、国広 正氏です。弁護士で、危機管理やコンプライアンスが専門とのこと。もう一人の論者は、銀河線沿線にあたる本別町の町長である高橋 正夫氏です。銀河線廃止の際も、町長として対応にあたっていました。元国鉄職員です。 では、まず国広氏の発言で注目すべき点を、記事から拾っていきましょう。 「これまでのJR北海道は、高速化への投資など華がある施策を進め、全方向に「よい顔」ばかりをしてきました。」 このことにより、地道な安全投資がおろそかになり、事故やトラブルの続発を招いたと主張しています。まず、この過去の分析に疑問があります。 JRが進めた「高速化」は、国鉄分割民営化以後急速に進められた、高速道路(高規格道路を含む)の整備に対抗して、輸送シェアを守るためやらざるを得なかった部分です。JRの投資、特に旅客サービスに直接関わる部分(車両、ダイヤ等)を見ると、行き当たりばったり的な感は否めないにせよ、決して総花的に行ったものではありません。それが証拠に、普通列車の時刻や駅の整備に関して、札幌圏は別として、現在でも概ね分割民営化直前に定められたダイヤ、整備された駅施設を踏襲し、そこから合理化、削減を進めています。観光用車両に関しても、ほとんどが在来車両のリニューアルであり、コンセプトが弱い点も含めて、決して華があるとは言えません。 今までのJR北海道の施策(特に営業面)は、「全方位にいい顔」ではなく、ネットワークとしての鉄道の魅力と可能性を活用せず、目立つ部分に対症療法的な施策を行ってきたものであり、そのツケが、人口減以上の、利用客減を生んでいると考えるべきです。 「赤字ローカル線といえども、すべての線区で安全基準を満たさなければなりません。その一方、「大量高速輸送」という鉄道の特性を発揮できないような、利用客の少ない路線に多額のコストを振り向け続ければ、遠からずJR北海道自体が破綻します。」 「そうなれば、かえって多くの路線が運行できなくなり、北海道経済に重大なダメージを及ぼすことになるでしょう。」 ここで主張されているのは、安全の絶対性と、安全と路線別収支のバーター関係です。いずれも、ローカル線廃止問題の中では、廃止賛成論者から必ず出される主張です。 JR北海道の一連の事件・事故が発生した場所は、圧倒的に幹線に関わるものが多くなっています。そもそも、地理的条件や経済的条件によって、路線別に安全基準が変わってくるのは当然のことです。ローカル線に新幹線同様の60Kgレールを使う必要はありません。すべての線区で満たすべき「安全基準」とは、例えば基本動作や作業手順の正確な励行であり、合理的な個別の安全基準の制定とその遵守であります。それらがおろそかになったことと、故意に踏みにじられていたことが、今回の「不祥事」を生み出しています。ここでは、守るべき「安全基準」の意味合いを、混同しているように聞こえます。 もう一点、国広氏の主張に一貫しているのは、安全投資と会社収支との関係を、「バーター」で捉えていることです。一般的な企業で、しかも他の企業との間に資本関係のないのであれば、それは正しいでしょう。会社としてのJR北海道は、企業単体では確実に赤字が出ることを前提としている、国(独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が100パーセント株式を保有する、極めて特殊な会社であることです。そして運輸収入だけでは赤字にしかなりようがない会社に対して、経営安定基金による運用益を以て充当することになっています。運用益の金利、国からの支援、これらの「お金」がいくら渡されるかは、人為的に決定されるものです。さらに加えるならば、鉄道のインフラ維持(線路等)は鉄道運営事業者が負担しているのに対し、自家用車所有者やバス事業者が、自分が道路を利用した分の道路維持のコストを負担しているでしょうか。答えはノーです。道路利用者は明らかに「下駄」を履いていて、鉄道との比較において、インフラコストの負担が軽いという点で、極めて有利な状況となっています。 JR北海道の会社収支と、高速道路、高規格道路をはじめとする北海道の道路への投資と鉄道への投資との比較を考えると、現状として「バーター」ではないし、不公平な競争の中で、JR北海道にのみ、バーターを前提とした安全投資しか認めず、公的資金投入を否定的に捉えることは、おかしいと考えます。(続く)
2015/09/15
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