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ブルーノートのオールスター・メンバーによるアルバム。ディストリビューターによると、『2014年にブルーノートの75周年を記念して創られた現代ジャズを牽引するメンバー達が集結したスーパー・グループで、その年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでライヴ・デビュー。その後も何度かライヴを行っていたが、ついに今年アルバム・リリースが実現することになった。』とのこと。メンバーを見ると、すべてブルーノートからリーダー・アルバムを出している人たちだ。当ブログはブルーノート関係者はグラスパーぐらいしか知らなかった。リオーネル・ルエケまでブルーノートからアルバムをリリースしているとは思わなかった。エクスペリメントのメンバーで参加しているのは、デリック・ホッジのみ。ブルーノート・オール・スターズ名義のアルバムは以前にも数枚出ていて、このアルバムが発売することを知り、予習を兼ねて二つのアルバムを入手した。「Blue Spirit」(1996)で、メンバーはグレッグ・オズビーそのほか。もう一つは、「Straight To My Heart」というスティング作品集でボブ・ベルデンのプロデュース作品。前者はコンボ、後者はビッグバンドなので、今回のアルバムのポリシーに近いのは前者で、アルバムとして面白いのは後者。編成は基本的には2ホーンのセクステット。曲はすべてがメンバーのオリジナル。グラスパー中心なのだろうが、ヒップホップやR&Bのテイストはほとんど感じられない。メインストリームのシリアスなジャズでスタイリッシュでクールな肌触りが感じられる。ちょっと毛色が違っているのは、ルエケの作曲した「Freedom Dance」でアフリカの雰囲気が充満している、少し埃っぽい音楽。ドラムスの単調な刻みやシンセが、いつものグラスパーの音楽の雰囲気が漂わせているが、程よいスパイスにとどまっている。スローナンバーはなく、全編ゴリゴリと迫ってくる。ほとんどの曲で作曲者がフィーチャーされていて、どれもが素晴らしい出来だ。最初の「Bruce's Voice」はブルース・ランドバルの挨拶に音楽をつけたもので、特にコメントするほどのものではない。ショーターとハンコックがフィーチャーされているのは二枚目の「Masquelero」。マイルスの「Sorcerer」に収録されている曲だ。昔のマイルスの音楽をスケールアップした音楽で、クールな佇まいは似ている。ミステリアスなイントロもいい。「Sorcerer」での演奏も聞いてみたが、マイルスの音楽が古さを感じさせないのはさすがだ。「Witch Hunt」はショーターのブルーノートでの代表的なアルバムである「Speak No Evil」収録曲。倍テンポのリズムにのって、お馴染みのテーマがのほほんと現れる展開で、なかなかスリリングだ。テナー、トランペット、ピアノと続くソロはどれもが熱い。グラスパー作の「Byyinah」はイントロの神経を刺激するピアのソロに始まるダンサンブルなナンバー。後半のドラムソロのバックで聞こえる歪んだシンセのサウンドが効果的だ。ルエケがフィーチャーされた「Freedom Dance」では冒頭のルエケの驚異的なテクニックに圧倒される。中間部で聞かれるDerrick Hodgeのベースソロも達者なもの。一部コーラスが入るが、歌っているのは何語なんだろうか。できれば、ブックレットに歌詞を載せてほしかった。他の曲についての振れればきりがないが、ランドバルにちなんだ最初と最後の曲以外でつまらない演奏は一つもない。どのメンバーのプレイも一級品だが、特にグラスパーとドラムスのケンドリック・スコット、それにルエケの気の利いたおかずが光っていた。なお、このアルバムは2015年に亡くなったブルーノートの社長ブルース・ランドバルに捧げられている。彼は1985年からブルーノートの社長を25年間勤めた。ノラジョーンズやロバートグラスパーを世に出したのは晩年の彼の仕事だ。いわばブルーノートの中興の祖の様な存在だ。ラストナンバーの「Bruce The Last Dinosaur」(ブルース 最後の恐竜)とは彼以降は失われてしまった何かを意味しているのだろうか。ということで、演奏、録音とも文句のつけどころのないできで、控えめに言っても、今年の傑作ジャズ・アルバムの一つとして是非お聞きいただきたい。特にグラスパーを毛嫌いしている(実は当ブログもblack radio当時はそうだった)メインストリーム好きの方にとっては必聴のアルバムだろう。Blue Note All Stars:Our Point of View(Blue Note B002709202)1. Bruce's Vibe (Robert Glasper)2. Cycling Through Reality (Kendrick Scott)3. Meanings (Marcus Strickland)4. Henya (Ambrose Akinmusire)5. Witch Hunt (Wayne Shorter)6. Second Light (Derrick Hodge)7. Masquelero feat. Wayne Shorter & Herbie Hancock (Wayne Shorter)8. Bayyinah (Robert Glasper)9. Message Of Hope (Derrick Hodge)10. Freedom Dance (Lionel Loueke)11. Bruce The Last Dinosaur (Ambrose Akinmusire)Ambrose Akinmusire,(Tp)Robert Glasper(key) Derrick Hodge(b)Lionel Loueke(g)Kendrick Scott(ds)Marcus Strickland,(ts)Wayne Shorter(ss)Herbie Hancock(key)Recorded and is dedicated to the memory of beloved longtime Blue Note President Bruce Lundvall, who passed away in 2015.
2017年10月30日
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金曜日にCDのリッピングをしていたら、エラーが発生し、そのままフリーズしてしまった。仕方がないので、電源を切って再起動したのだが、チェックディスクが始まって、終わってもそのままうんともすんとも言わない。何回か試したが、だめで、セイフモードにも進まない。日頃バックアップを取っていない付けが回ってきてしまった。メーカーに修復の相談をしたが、専門の業者に頼めと言われた。土曜日に業者から連絡がきて、原因はどうもハードディスクの劣化のようだ。もうかなりの年月を使っているので、寿命だったのだろう。問題の修理費用だが最低でも5万円はかかるとのこと。高くなると数10万円する場合もあるというので、あっさりと断念した。幸いインストール用のディスクは残っていたので、ハードディスクを入れ替えてWindowsを再インストールすることにした。Vistaのサポート切れのため注文していたWindows10のパソコンが、測ったように届いたので、さっそくソフトのインストールを始めた。問題は有料のソフトで、今もっとも使っているdBpowerampはどこかのサイトにやり方が書いてあったので、幸いにも再ダウンロードできたが、他の有料のソフトについては問い合わせ中で、最悪買い替えなければならないとは思っている。そのほかのフリーソフトは大体インストールできたのだが、メールのアカウントの設定で悪戦苦闘。プロバイダで設定したパスワードにしたら、ThunderbirdがMozira内のデータを検索してくれて、登録があることが分かった。昔だったらアウトだと思うと、便利な世の中になったもんだ。もう一つのアカウントも契約を終わったプロバイダだったが、以前使っていたパスワードが使えたので登録して、これでメールも何とか使えるようになってめでたしめでたし。あとはメールのアドレス帳や住所録の再整備が残っているが、これはなかなか難儀な仕事だ。その後メールをチェックしていたら、「RE : [ Summary Invoice ] Apple からの領収書です」というメールが来ていた。中身を見ると身に覚えのないものをApple Storeで購入したことになっていて、「この購入を承認していない場合は、をご覧ください。iTunes支払いキャンセルフォーム 」(原文のまま)という文章があり、リンクに行ったらリンク先は消滅していた。susutinv2.comを検索したら、レンコンというところのブログに「これは危険!!「Apple 領収書」のメールに注意!! 」という内容があり、偽メールであることが分かった。幸いリンク先がないため、それ以上のことはできなかったので、結果としてはセーフだったが、危ないところだった。このような情報が流れたので、サイトを閉鎖したのだろうと思う。こういう情報はとてもありがたい。
2017年10月29日
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県民会館のコンサートサロンの最終回のパリ管ブラス・クインテットの演奏会を聞く。以前聴いたことがある筈なので、ブログをチェックしたらヒットした。2006年なので11年ぶりになる。その時の印象はホルンのガザレのことを思い出したくらいで、他のメンバーや演奏については、全く記憶にない。メンバーは変わっておらず、フォーレのパヴァーヌ、カルメン組曲とルグラン・メドレーが重複していた曲が、記憶にないので、初めて聴いたようなものだった。メンバーの紹介などはほとんど同じで、10年以上たっても変わっていないのもなんだかな~と思う。配置は下手から2nd Tp,Hr,Tuba,Tb,1st Tp一番トランペットが上手なのは珍しい。仕切っているのはステファン・ラベリという著名なチューバ奏者。全く知らないが、この方のサウンドはチューバから連想する鈍重な音ではなく、ユーフォニアム、それも軽い感じのサウンド。良く通るサウンドで、常に聞こえてくるが、決してうるさくない。なんという楽器を使っているのかわからないが、4本ピストンの楽器だった。トランペットのフレデリック・メラルディのやわらかいサウンドがこのアンサンブルのサウンドを決めているようだ。何曲かフリューゲルでも演奏したが、ベルがあまり広がっていない楽器だった。すっかり錆びついていたが、普通のフリューゲルよりも軽く柔らかいサウンドはかなり魅力的だ。トロンボーンも細管でこのアンサンブルにあってる。ルグラン・メドレーでの美しいソロが素晴らしかった。ホルンはアンドレ・カザレという著名な方らしいが、当ブログは知らない方だ。音を膨らます癖があるのが、ちょっと残念。前半はクラシックの編曲ものがほとんど。唯一のオリジナルはエヴァルトの金管五重奏曲第1番。昔は金管5重奏のための交響曲と言われていたが、いつの間にか金管五重奏曲第1番という呼び名になった。テンポは少し早目だが、刺激的な表現はなく、渋めでよくブレンドしたサウンドがとても美しい。私の手持ちのCDではストックホルム・チェンバー・ブラスのサウンドに最も近い。第2楽章の主旋律が晩秋にふさわしく、心に沁みわたって、思わずうるっとした。グリーグの組曲は彼のいろいろな作品を5曲集めたもので、彼の音楽がブラスアンサンブルととても親和性が高いと感じた。オッフェンバック・メドレーはさすがにフランスの団体ならではのしゃれっ気が感じられるが、フレンチ・カンカンではもっと大騒ぎをしてほしかった。フレンチ・シャンソン曲集こそ紛れもないフランスの団体の音楽だろう。シャンソンの世界へといざなってくれる。当ブログでは「枯葉」はバースから演奏していて、シャンソンであることを思い出させてくれた。アンコールのフェリーニの「8 1/2」の音楽もしゃれていた。こういう演奏会では珍しくブラボーの声が方々から聞こえたのは何よりだった。会場はほぼ満席に近かったが、中高生の姿があまり見えなかったのは残念だ。もっともコンサート・サロンの通し券を持っている大人が大勢いるので、一回券がなかなか手に入らないことは確かだし、そもそもコンサートの存在自体を知らないのではないかと思う。こういうサウンドを聞くと耳から鱗の絶好の機会なのだが。。。前回も書いたが、このアンサンブルのCDは今回もなかった。また、編曲がいいので、出版されているのなら編曲者と出版社のクレジットがあれば、演奏する機会も増える可能性があり、惜しい。まあそこまで期待するのは業界関係者くらいなものだろうから、プログラム担当に酷なことは確かだが。。。パリ管弦楽団ブラス・クインテット・リサイタル1.ジェルヴェーズ:ルネッサンスのフランス舞曲集 パヴァーヌ、ガイヤルド、ブルゴーニュのブランル、アルマンド2.ホルボーン:組曲 ムイ・リンダ、愛の果実、パシャンシア、選択3.グリーグ:組曲 サラバンド、子守り歌、とろろウドは右舷の婚礼の日、バラード調で、婚礼の歌4.フォーレ:パヴァーヌ5.エヴァルト:金管五重奏曲第1番 休憩6.オッフェンバック・メドレー オレストの歌 ~ 歌劇「美しきエレーヌ」 クマシデ並木の鳥たち メロドラマ、 舟歌 ~ 歌劇「ホフマン物語」 王たちの歌 ~ 歌劇「美しきエレーヌ」 逃げてしまったあのキジバト ~ 歌劇「ホフマン物語」 フレンチ・カンカン ~歌劇「天国と地獄」7.ビゼー:カルメン組曲 序曲 ハバネラ 間奏曲 二重奏 闘牛士の歌8.フレンチ・シャンソン曲集 憲兵の策略(ブールビル) 群衆(エディット・ピアフ) 枯葉(イヴ・モンタン) ラ・ボエーム(シャルル・アズナブール) 黒い鷲(バルバラ) 喜びあり・優しきフランス(シャルル・トレネ) オー・シャンゼリゼ(ジョーダッサン)9.ミシェル・ルグラン:フレンチ・シャンソン集 イルカのウーム、風のささやき、 マクサンスの歌、 シェルブールの雨傘、双子の歌アンコールニーノ・ロータ 8 1/2 他パリ管弦楽団ブラス・クインテットフレデリック・メラルディ(tp)ブルーノ・トンバ(tp)アンドレ・ガザレ(Hr)ギョーム・コテ=デュムーラン(tb)ステファン・ラベリ(Tu)2017.10.25 盛岡市民ホールマリオス中ホール 10列29番で鑑賞
2017年10月26日
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ダニール・トリフォノフのショパンのコンチェルトを中心とした二枚組アルバム。ドイツ・グラモフォン創立120周年記念の「ピアノ・マスターズ・シリーズ」の第3弾だそうだ。トリフォノフは毎回興味深いプログラミングで聞き手を楽しませてくれる。このアルバムもショパンをテーマとしたコンセプトアルバムで、本命のコンチェルト以外の曲が大変興味深かった。トリフォノフの演奏は全体的にブルーがかったクールな表情が印象的だ。勿論技巧的には完璧で、テンポ設定も全く問題がない。ショパンの曲の他に、ショパンへのオマージュとして作曲された曲が並んでいる。殆んど当ブログが聞いたことがない曲で、当ブログの知的興奮を呼び覚ますには十分だった。特にモンポウの「ショパンの主題による変奏曲」(1938-1957)が面白かった。バレエ音楽として有名な「レ・シルフィード」に使われていたショパンの前奏曲集の第7番の旋律を使ったに演奏時間20分ほどの変奏曲。殆んどが1分ほどの曲だが、主題の雰囲気を壊さない静かな佇まいが美しい。ドビュッシーに通じる静けさも感じる。また第1変奏で和音がぶつかったりしていて、細かいところでも結構刺激的だ。愁いに満ちた旋律が美しい第10変奏で忽然と幻想即興曲の中間部の主題が出てくるところも、なかなか感動的だ。なお、このアルバムのタイトルのEvocationはこの第10変奏の「Evocation.Cantabile molt espressivo」からとられているとのこと。最後の第12変奏の軽快なギャロップと中間部での情熱的な表情、後半の変形されたショパンの主題がしみじみと演奏されるところもいい。これはなかなかの名曲と聴いた。バーバーの夜想曲はジョン・フィールドを讃えてという副題が付いている。ジョン・フィールドはクレメンティの弟子で、夜想曲の創始者らしく、ショパンの多大な影響を与えたというところからの選曲だろうが、本人えでゃなくバーバーにしたところが一ひねりしている。バーバーの夜想曲はブルー系のサウンドで甘いところがなく、激しい表情を見せるとこもある曲で、なかなか興味深い。ショパンの曲では「ドン・ジョバンニ」の「お手をどうぞ」による変奏曲、別名「ラ・チ・ダレム変奏曲」が面白かった。もともとは管弦楽伴奏つきの曲らしいが、今回はピアノ独奏版。リストのように面白く聴かせようとまではいかないが、曲のユーモアが感じられる。第4変奏やコーダのポロネーズの華やかな技巧は楽しめる。これが作品2とは恐れ入る。最後の「幻想即興曲」は大胆にテンポを落とした中間部が聞きもの。初めて聴いた時、思わず「おお!」と声が出てしまった。コンチェルトは今迄聞いたことのないフレーズが出て来たので、先のユニヴァーサルのサイトを見ていたら、プレトニョフのオーケストレーションとのこと。原曲は伴奏が貧弱で、つまらないのだが、プレトニョフの編曲は管が旋律を吹いたり、和音を追加したりしている。これがツボにはまって音楽が生き生きとしている。原曲をそのまま演奏するのもいいが、このようにいい編曲で聴くと曲の評価も違ってくることがある。以前マーラー編曲のシューマンの交響曲をシャイーの指揮で聞いた時に、シューマンの音楽がマーラーの編曲で一皮むけた音楽に変身し、音楽の本来持っている活力が生き生きと現れて来たこと思い出した。今回もその時と同じ感じで、聞き手も嬉しくなってしまう。ピアノも装飾音符に重みがあり、ちゃらちゃらした感じがないのがいい。ということで、このアルバムは演奏、企画ともドイツ・グラモフォン創立120周年記念にふさわしい仕上がりで大満足だった。Daniil Trifonov:Chopin Evocations(DGG 479 7518)CD 1: 1.Chopin:Concerto For Piano And Orchestra No. 2 In F Minor, Op. 21 (Arr. By Mikhail Pletnev)4.Chopin::Variations On "La ci darem la mano", Op. 212.Schumann:Chopin.Agitato No.12 from Carnaval, Op.913.Grieg:Étude "Hommage à Chopin" Op.73 no.5.Allegro agitato14.Barber:Nocturne, Op. 33 Mderato15.Tchaikovsky:Un poco di Chopin Op. 72, no.15CD 2:1.Chopin:Rondo In C Major, Op.732.Chopin:Concerto For Piano And Orchestra No. 1 In E Minor, Op. 11 (Arr. By Mikhail Pletnev)5.Mompou:Variations On A Theme By Chopin18.Chopin:Fantaisie-Impromptu In C Sharp Minor, Op. 66Daniil Trifonov(p)Sergei Babayan(p CD2 4 Only)Mahler Chamber OrchestraMikhail Pletnev(cond)Recorded Bad Kissingen,Regentenbau,Rossini-Saal,7/2016(Rond)Hamburg-Harburg,Friedrich-Ebert-Halle,4/2017(solo piece)Konzerthaus Dortmund,4&5/2017(Concertos,Impromptu)
2017年10月23日
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作曲家、サックス奏者の本多俊之が還暦記念として製作したアルバム。「自身の音の集大成であり、未来への提案であり、大切なものへのオマージュ」とのこと。本多の趣味である“恐竜”を主題とする物語の一場面だそうだ。アルバムタイトルは、dinosaurs(恐竜)とsaxの造語だろう。トルヴェール・クヮルテット、川口千里、2つの高校生バンドが共演している。高校生バンドとの共演の狙いは、「吹奏楽でやるコンチェルト風ジャズ・フュージョン」楽しくユーモアのある音楽で、時折聞かせるスピード感のあるサックスソリなど本多らしさを感じさせる。ただ、高校生との共演を意識したのか、いまいち温いのが惜しい。その中ではトルヴェールも加わった「CRETACEOUS WIND」が哀愁を感じさせるキャッチーなメロディーで気に入った。トルヴェールとのアンサンブルは本多の作曲家としての良さが出ているし、演奏も、もう一人のトルヴェールみたいな感じで、アンサンブルに溶け込んでいて、演奏としてはバンドとの共演より数段上だ。こういうユーモアとのんびりした感覚を覚えるような曲は、本多ならではだろう。最後はサックス2本にピアノが加わって、静かに締めくくられているのも、気が利いている。いい曲が揃っているので、楽譜がリリースされたら、吹奏楽、サックス・アンサンブルとも結構流行りそうだ。本多のサックスは年齢を感じさせないパワフルなもの。川口は叩き過ぎでうるさい。櫻井のエレキ・ベースも、もう少し抑えたほうがよかった気がする。高校生バンドは技術的な綻びも感じられなかったし、立派な仕事をしたと思う。録音はポピュラー系の音場で、奥行きは感じられないが、曲にはあっていると思う。ということで、このアルバムはこの分野では飛びぬけて素晴らしい録音の一つなことは確かだ。少なくとも業界の皆さんには是非聴いて頂きたい。本多俊之:Dinosax(SEVEN SEAS KICC-1371)1.AMPLITUDE2.FEATHER TOUCH3.WADDLE-WADDLE4.THE TIME HAS COME5.IN THOSE DAYS6.TO THE SKY7.SEA FANTASY8.FILLED WITH TENDERNESS9.TACHIMACHI10.CRETACEOUS WIND11.うつろい本多俊之(as)櫻井哲夫 (eb 1,2,4,6,8)川口千里(ds 1,2,4,6,8,10)トルヴェール・クヮルテット(3,5,7,9,10)本多尚美(7,9,11)彦坂眞一郎(as 11 only)浜松海の星高等学校(W.Winds, Brass&Percussion 1,4,8)東海大学付属高輪台高等学校(W.Winds, Brass&Percussion 6,10)録音:2017年2-4月
2017年10月20日
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イブラギモヴァの演奏会の日の午前中に運慶の展覧会があるのを知り観に行った。当初は「怖い絵」展が上野の森美術館で開催されていたので、この二つを観に行くつもりだった。ところが、運慶展が一時間待ちで、予想より時間がかかり、運慶展しか観られなかった。これほどの混雑はここで開催された長谷川等伯の展覧会以来だ。運慶といえば東大寺の金剛力士像くらいしか知らなかったが、有名な彫刻をいくつも作っていることを初めて知った。今回は運慶作と言われる彫刻31体のうちの22体が出品されている。日本にある運慶作の仏像を各地から集めた展覧会で、運慶の父の康慶や運慶の息子たちの作品も少し出品されていた。当ブログは日本の美術特に仏教美術にはあまり関心がないが、今回ほどその底力を感じたことはなかった。木製なので、軽い感じがするかと思ったら、全然そんなことはなく、大迫力の彫刻が多数あった。仏像のすぐ近くまで近づくことが出来たし、普段見られない仏像の背面までしっかりと観られたのは得難い経験だった。解説も懇切丁寧でとても参考になった。とくに目が玉眼といって、水晶の裏に瞳を描いてはめ込んである技法であることは初めて知った。今回は双眼鏡で近くで見てもわからないようなディテールを観察することができて、大変有意義だった。双眼鏡を使うと、混雑している時でも遠くから観ることができるのもいい。見ている間に亡くなった父が観たら、さぞ喜んだろうなと思ってしまった。個別の作品については特に言及しないが、国宝や重文がゴロゴロあり、なんとも凄まじい内容に圧倒された。この展覧会のために特別に修復された愛知県の瀧山寺の「聖観音菩薩立像」が色鮮やかに彩色が施され、往時の姿を想像できたのも良かったが他の仏像に比べて違和感がばりばりあった。重量感があるのは岩絵の具(辰砂、孔雀石、藍銅鉱、ラピスラズリなど様々な鉱石、半貴石を砕いて作った顔料)を使っていることらしいが、経年変化によって、現在の重量感が生まれたのかもしれない。1個1個を見るための時間と費用を考えると、今回の展覧会がとても有り難い。美術を勉強している子供にも是非見るように勧めた。図録は3000円と少し高いがA4変型判で300ページ余り。六田知弘氏による撮り下ろしの写真が正面だけでなく、いろいろな角度からとられていて、クローズアップも多用されている。特に十二神将立像が見開き4ページに渡って勢揃いしている写真は見ごたえ十分。ディテールを知りたければ、現物を見に行くよりも、こちらの方が良く分かること請け合いだ。当ブログの経験では、いままででもっとも鮮明な図録のような気がする。これで3000円は大変お買い得だ。こちらで購入できる。公式サイト「興福寺中金堂再建記念特別展 運慶」 2017年10月8日 東京国立博物館にて鑑賞
2017年10月18日
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コミック雑誌の『イブニング』で連載していた奥浩哉の「いぬやしき」がアニメ化されたので、その第1回を見た。良くできていて、普通のアニメのような手抜きが少ない気がする。また、最初の頃のストーリーを忘れた者としては、再確認できたのが嬉しい。キャラクターは原作とほとんど同じで、漫画の予告ではちょっと違うと思っていた主人公の犬屋敷壱郎も原作とあまり変わらなかった。小日向文世の声もキャラにあっている。愛犬の花子の愛くるしさもそのまま。オープニングからかなり凝った映像が続き、ワクワクするような作りだ。主題のMAN WITH A MISSIONによる「My Hero」もいい。ストーリーは分かっているとはいえ、これからの展開が超楽しみだ。何故かブルーレイの宣伝がされていた。まだ始まったばかりなのに手回しがよすぎる。今回はテレビにつないだハードディスクで録画したが、あとで見直すためにはレコーダーの方がよさそうだ。ただ、見直すかはわからない。以前「坂の上のアポロン」を編集して、ブルーレイにまとめたことがあったが、結局見直した記憶がないからだ。1月末には前半の5話までがまとめられるようなので、発売になってからレンタルで借りた方が楽なような気がする。公式サイト
2017年10月15日
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「神々の黄昏」が終わるのが8時頃なので、当地で学校に行っている子供と会うため一泊した。翌日にコンサートがないか探したら、三鷹でイブラギモヴァのリサイタルがあることを知った。会場は三鷹芸術文化センター。JR三鷹駅から徒歩で20分ほどのところある。道を聞きながら、なんとか到着。670人ほどのこじんまりとしたホールだが、ホール内だけでなくエントランスとホワイエも木が多用されていて、とても気持ちがいい。顔がよく見えるように2列目の席を予約したが、暗めの照明で、彼女の目の下に影ができて、表情がよく見えなかったのは残念。楽譜を見ながら弾いたので、態勢が上手方向になっていて、当ブログの席からは顔が正面から見えた。初めてお目にかかったが、足が長い!8等身までいかないかもしれないが、かなり近い。体にぴったりの黒のブラウスとパンツで、足が細くて、おまけに爆乳だった。ジャケ写とはイメージがだいぶ違っている。また、殆んど笑顔は見せないので、強面のイメージがさらに強くなった。ベルギアンは、ついこのあいだまで放送していた朝ドラに出演していた沢村一樹によく似た、爽やかなイケメン。彼も黒いシャツとスラックスだったが、ベルトに腹が乗っかっていて、ちょっとがっかり。肝心の音楽だが、とても素晴らしい演奏だった。イブラギモヴァの澄みきって程よい厚みのサウンドがとても心地良い。低音から高音までむらなく鳴っていて、音程も完璧。ミスもモーツァルトの2楽章でのピチカートの引き損ねぐらいか。ヴェルギアンもミスらしいミスは音を2つ鳴らしたことが一度くらいか。イブラギモヴァにばかり注目していたが、ヴェルキアンのピアノの存在感もかなりなもの。自分の出番が来ると待ってましたとばかりに出てきて、音楽をするのが嬉しくてしょうがない様子が良く分かる。音は結構大きいが、決してヴァイオリンを邪魔しない。アルペジオはスケールが大きく、コロコロとよく転がる音も心地よい。最初のモーツァルトのソナタは昨年リリースしたソナタ集の第3巻に収録されている。最初のアルバムが出た時にはゴツゴツ感があったものだが、録音を重ねるごとに滑らかになり、今回もとても自然な表情だった。殆んどよく知らない曲だったが、集中して聴いたせいか、とてもよくわかった。面白くきかせようなどとは思っていないが、適切なテンポとフレージングで曲の良さが引き出されていた。特に第2楽章でピアノが主役になってヴァイオリンがピチカートで伴奏するところなど、そこはかとないユーモアと音楽をする楽しみが聴き手にも伝わってきて、思わずくすりとしてしまった。2曲めのシューベルトのファンタジーは今回のハイライトか。シューベルトのヴァイオリン曲はあまり目立たないが、よくできた曲が多いと思う。4つに別れた曲の各々の部分の性格がきっちりと描き分けられて、最後のパートでの高揚感も素晴らしかった。CDを聞くと結構激しい表現が聞かれたが、今回は激しさは感じられず、穏やかな表現。歌曲「挨拶を送ろう」による主題と変奏曲からなる第3部と最後のアレグロ・ヴィヴァーチェの高揚感が素晴らしかった。休憩後はベートーヴェンのクロイツェル。彼女のベートーヴェンは初めて耳にした。ことさら力んでいる感じはなく、あくまでも自然体で、それをことさら強調することもない。ベートーヴェン特有の深刻ぶったところがなく、気持ちよく聴ける。新しいスタイルなのだろうか。2楽章のピチカートが続くところなど、ユーモアも感じられる。ヴェルギアンもここぞというところは、自己主張を貫き、他ではヴァイオリンを邪魔しない的確な伴奏で、ソリストにとってはやりやすい相手だろう。やはり生を聴かないとわからないことが多いということを、感じた演奏会だった。ただ、クロイツェルの2楽章あたりから弓の毛が何回も切れて、しきりに取っていたのは気の毒だった。ということで、今まで見送っていたベートーヴェンのソナタ全集を買わねばと思っている。ただ、全集は入手困難になっているようなので、一つずつ買わねばならないが。。。。イブラギモヴァ & ティベルギアン デュオ・リサイタル1.モーツァルト:ヴァイオリンとピアノのためのソナタト長調K.379 2.シューベルト:幻想曲ハ長調D934 3.ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調op.47『クロイツェル』アリーナ・イブラギモヴァ(ヴァイオリン) セドリック・ティベルギアン(ピアノ) 2017/10/8(日) 三鷹市芸術文化センター 風のホール 1階B列21番にて鑑賞
2017年10月13日
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ワーグナーの「神々の黄昏」の公演の日空き時間に見た美術展。ボストン美術館に美術品を寄贈した収集家別に作品をまとめた展示会。こういう企画もあまり聞いたことがないので、知識を深める上でとてもためになる企画だと思う。但し、収集家の名前は記憶に残っていないし、出品数は80点なので物足りなさは残る。開館30分ほど前に着いたが、すでに並んでいる方が20人ほどいらっしゃった。まあ、休日なので仕方がない。出来ればウイークデイがいいのだが、美術展だけを見に東京に来ることはないし、空いている時間に来ることもできないので仕方がない。混雑しているときは決められた人数を入れる方式。空調の関係で、温度を急変させないために徐々に観客を入れるという方法だそうだが、ならば空調を変えろと突っ込みたくなる。また、この美術館はチケットを見せる時のレイアウトがいまいちで、その場所が詰まってしまうのが難点。今回の美術展はエジプト、中国、日本、ヨーロッパ、アメリカ、版画・写真というセクションに分かれている。その中で収集家別の分類をしている。収集家など意識したことがないが、彼らの存在無くして、このような充実したコレクションは集まらないことを考えると、彼らに感謝しなければならない。エジプトは殆んどが彫刻で、1905年のボストン美術館とハーバード大学の現地での発掘調査により出土したものが展示されていた。レリーフ、彫像、調度品などが展示されていたが、どれも小ぶりなものだった。どれもさっぱりとしたもので、家にほしいと思ってしまった。特に「縛られたオリックス形の壺」が気に入ったが、蓋が見当たらないので、どうやってつかったのかわからなかった。化粧用の容器らしいが、まさかオリックスの口に入れていたのだろうか。中国美術では陳容の九龍図巻が圧巻だった。横幅が9メートル以上あるので、実物を見ないとそのスケールは分からない。日本美術では英一蝶の涅槃図が良かった。この方の名前は知らなかったが、涅槃図は大きさといい、描写の細かさといい、iなかなかのものだった。涅槃図というと長谷川等伯の絵を思い出すが、縦が2倍、幅が1.5倍ほど大きい。構図的には等伯の巨大な大涅槃図に近い。一年前の修復され、そのもようも見ることが出来る。ちょっとわからなかったのは、図録や修復時の映像を見るお釈迦様の顔の色が違うことだ。図録と映像は薄い黄土色で、実物は深みのある黄緑色なのだ。曽我蕭白という方の風仙図屏風は多分有名な絵だろう。黒い旋風で表された龍と戦っている人物の顔が印象的どこかで見た記憶がある。横幅が3.6メートルもあり大迫力だ。司馬江漢の「秋景芦雁図」も冬空を眺める思索的?な雁が何とも味わい深い。与謝蕪村の「柳堤渡水・丘辺行楽図屏風」(部分)が展示されていたが、蕪村が絵を描くとは知らなかった。中国風の絵で人物の顔が漫画チックで面白い。グランドツアーと題されたヨーロッパの絵画のコレクションでは、やはりゴッホの郵便配達人夫婦の肖像が印象深かった。当ブログはこの絵の存在を知らなかったが、鮮やかな色使いがゴッホらしいと思う。特に婦人を描いた作品の壁の装飾が印象深かった。ゴーガンの影響があるとのことだが、マチスへの影響も感じられた。アメリカの絵画という意識で絵を見たことはないが、全体的にシンプルできっちりした印象を受けた。気に入ったのはトマス・エイキンズの「クイナ猟への出発」という写実的な絵。水平線の位置、船のプロポーション、太陽の光の反射角度まできっちりと計算して船の傾きや帆の膨らみ具合などに反映したそうだ。実にリアルに迫ってくる。版画写真ではアンセル・アダムズの作品が印象深かった。特に「氷結湖と岩壁、セコイア国立公園カウェア・ギャップ写真とは思えないほど素晴らしく、どうやって撮ったのか知りたいと思った。帰ってから写真をやっている子供に見せたが、特に興味をひかなかったのが残念。図録は小ぶりだが丁寧な作りで価格も1900円とリーズナブル。ネットでも購入できる。 上野駅に向かう途中で東京江戸ウイーク2017という催し物が上野公園で開かれていた。テレビで有名な笠原将弘の名前についふらふらと寄ってしまい、彼の監修の出汁あんかけ牛丼と愛富士桜高原ビールとDHCのビールを飲んでしまった。牛丼はあっさりした味だが、それほどうまいとは思わなかった。ビールはどちらもうまかったが、特にDHCのビールがうまかった。ということで、不謹慎にも一杯機嫌でオペラに向かったのだった。良い子は絶対にマネしないように!
2017年10月11日
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新国立劇場の新演出の神々の黄昏を見る。序幕の出だしの和音が揃わない。クラが飛び出ているというより、ホルンが遅れている感じか。ホルン吹き注目の「ラインの旅」でのホルンコールはイマイチ。音が割れていて、最後に行くに従って音が大きくなるのではなく、何故か小さくなってしまった。安全運転かもしれないが、これではさあ行くぞというジークフリートの気持ちが伝わってこない。ホルンコールの前の盛り上がりは全曲の中でも聞かせどころなのだが、ちっともワクワクしない。歌はまあまあだがオケに力強さが不足している。第一幕のヴァルトラウテ(マイヤー)がブリュンヒルデ(ラング)に切々と訴える場面は、流石とは思うものの、容貌の衰えも含めて全盛期のキレはなかったように思う。第一幕は不覚にも途中で寝てしまったが、それほど目覚ましい演奏ではなかった。第2幕はブリュンヒルデの裏切りに対する怒りがビシビシと伝わってきて、舞台がしまったものになっていた。当ブログも演奏に刺激されたのか、ラングの怖い顔に刺激されたのかわからないが、この幕からは眠ることはなかった。今回も双眼鏡の効果は絶大だったが、おかげでラングの怖い顔を見る羽目になってしまったのだ。聴きどころの葬送行進曲は早めのテンポであっさりした仕上がり。個人的には物足りない。静かな部分でクラがこけていたのも珍しい。三人のノルンは黒のツルツルした水着を着ていて、太い足やたるんだ腹を晒して醜悪この上ない。ノルンがハーゲンをライン川に引っ張り込むシーンも、装置が貧弱なせいか、学芸会を見ているようだった。ジークフリートの時も感じたのだが、それほど重要なシーンでもないのに、どうしてこういう奇抜な演出をするのか理解に苦しむ。自ら品位を落としているといったら、言い過ぎだろうか。第三幕もラングの歌が断然光っていた。総じて歌唱陣は三人のノルンを除いてよかった、合唱も素晴らしい声で大満足。グンター(アントン・ケレミチェフ)とグートルーネ(安藤赴美子)は最初少し弱いかと思っていたが、ケレミチェフは途中から調子を上げ、安藤も最後はしっかりと締めていた。オケは次第に調子を上げていたが、東京交響楽団に比べると少し落ちる。バス・トランペットの緊張感のない音や、ワーグナー・チューバの音程の悪さも少し気になった。オケは、昔のように後半の疲れはさすがに目立たなくなってきたものの、ここぞというところで爆発的なサウンドを出すまでには至っていない。外国人との体力の差だろうが、それをいかに克服するか、今後の課題だろう。指揮によるのかもしれないが、弦もあまり目立たなかったのは不満が残る。飯守の指揮は相変わらず安定したものだったが、あまり刺激がないのが物足りない。いろいろ文句は書いてしまったが、一定以上の水準にあることは確かでも、聴き手の要求はきりがないのだ。ところで、ブリュンヒルデの自己犠牲のシーンで、何故か涙が出てきてしまった。映画で泣くことは結構あるのだが、オペラで泣くなんて初めてだ。ブリュンヒルがかわいそうだ、という感情だったのかもしれない。泣いてしまった自分が少し忌々しかった。ワーグナー:神々の黄昏 ステファン・グールド(ジークフリート) ブリュンヒルデ( ペトラ・ラング) 島村武男( アルベリヒ) アントン・ケレミチェフ(グンター) アルベルト・ ペーゼンドルファー(ハーゲン) 安藤赴美子(グートルーネ) ヴァルトラウト・マイヤー(ヴァルトラウテ) 増田のり子(ヴォークリンデ) 加納悦子(ヴェルグンデ) 田村由貴絵(フロスヒルデ) 竹本節子(第一のノルン) 池田香織(第二のノルン) 橋爪ゆか(第三のノルン) 新国立劇場合唱団 読売日本交響楽団 飯守泰次郎(指揮)2017年10月8日 新国立劇場オペラパレス 1階10列3番にて鑑賞
2017年10月09日
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Hiromiが世界最高峰と言われるラテンジャズハープ奏者でコロンビア出身のエドマール・カスタネーダと共演したアルバム。ハープと聞いたら普通想像するであろうグランドハープではなく、ラテンハープ(アルパ)のことだとわかったのはしばらくしてから。アルパは、国によって形や音色、弾き方が異なるそうだ。ブックレットによると、カスタネーダが弾いているのはコロンビア・ハープというもので、弦も通常34弦のところ2弦多いという。この楽器は半音が出ないので編曲が大変だったと上原はブックレットで語っている。最近はレバーをつけて半音を出している楽器もあるようなのだが、カスタネーダは普通のアルパだろう。最初ギターが参加しているのかと思ったが、何とカスタネーダがアルパで出している音らしい。すごいテクニックだがどうやって出しているのかわからないが、おまけのDVDで確認したら、左でベースラインを弾いて右手でメロディーを弾いている。ピアノの分業と同じようなものだが、右手一本で速いパッセージをこともなげに弾いているのは脅威だ。見慣れたクラシックのハープ奏者の演奏と比べると異次元の演奏のように見える。これを見るだけで、ライブに行く価値は十分あるだろう。「Fire」での後半にピアノとハープが打楽器的な音を出すところも見ものだ。ピアノは蓋を閉めて叩いていたのは意外!DVDにはアルバム未収録でのピアノソロ(Haze)が含まれているのも嬉しい。ただ、映像的には照明がきつすぎて、ハイライトが飛んでしまっているのは惜しい。Hiromiのクローズアップではピントも甘い。余白にオタワでのオフステージでの状況や両者のインタビューが付いて、音楽は勿論のこと性格もすごく相性がいいのが分かる。それは音だけを聴いていても感じることだ。最初の二曲はカスタネーダの作曲だが、上原の曲とのマッチングも申し分ない。「A Harp In New York」は途中の激しいアドリブ・ソロも、とてもハープとは思えない素晴らしさだ。後半のソロの応酬もワクワクする。「For Jaco」はジャコ・パストリアスへのオマージュだろうと思うが、冒頭のベースを思わせるようなサウンドはとてもハープで出しているとは思えない。「Moonlight Sunshine」は口ずさめるような素朴なメロディーがHiromiらしい。カスタネーダの落ち着いたソロに続くHiromiの静かなソロが味わい深い。最後のメロディーを繰り返して収斂していくところはなかなか感動的だ。4曲目はスターウォーズのエピソード4の酒場の音楽。吹奏楽では以前よく取り上げられていたが、最近はあまり聞かなくなった。ジャズで取り上げられるのは珍しいと思う。リズミックでとても楽しい演奏だった。ハープがバッキングをしていると、ピアノとギターのデュオと勘違いしてしまいそうだ。こういう演奏をすればさぞかし楽しいだろうと想像できるし、聴き手もそのおこぼれにあずかることが出来る。このコンサート最大の聴きものはHiromiの4曲からなる「The Elements」だろう。ハープの音が自然界の音に最も近いという発想から一つ一つの自然をエチュードにした作品。カスタネーダが絶賛するように、彼のスタイルと楽器の特性が存分に発揮されている。ところどころHiromi節が出てくるのも微笑ましい?このなかでは躍動的な「Earth」(途中の掛け合いも楽しい)、ラテンの激しいリズムが特徴の「Fire」がとても楽しめる。最後のリベルタンゴはカスタネーダのリクエスト。カスタネーダの熱いソロ、Hiromiのアルペジオによるオブリガート、アドリブ、共に繊細でセンス抜群の素晴らしいものだった。盛り上がった後、ソット・ヴォーチェで終わるところは、思わずため息が出そうだ。 全体にラテン色の濃いコンサートだが、彼ら二人の特徴が出たいいコンサートだと思う。未収録の曲があればそれも聴きたい気がする。彼らは11月末から12月にかけてコットンクラブやブルーノート東京を含む日本でのツアーが予定されている。近場でないかチェックしたら、宮城でもHiromiの公演が予定されているが、カスタネーダとの共演ではなかった。残念。。。公式サイトを見ると彼女らは少なくとも8月から世界中を飛び回っているようで、今月はヨーロッパ、来月の前半はアメリカ、後半から日本というめまぐるしいスケジュール。売れるということも大変なことだ。ということで、これは大変なアルバムで、軽量級ながら今年のJapan Jazz Awardでの受賞の可能性もありそうだ。Hiromi & Edmar Castaneda(Telac UCCO-8018)1. Castaneda:A Harp In New York2. Castaneda:For Jaco3. Hiromi:Moonlight Sunshine4. Williams:Cantina Band5. Hiromi:The Element Air Earth Water Fire9. Piazzolla:LibertangoHiromi(p)Edmar Castaneda(Harp)Recorded Live at Monument-National Festival International de Jazz de Montreal Canada June 30 2017
2017年10月04日
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ここ10年ほど前からネルソン・フレイレの音楽が気に入ってよく聴いている。やわらかく暖かい温もりのあるサウンドと、無理のない音楽がとても心地よいからだ。最近は以前にも増してレコーディングが活発になっている。このアルバムは今年の2月に録音されたばかりで、ブラームスのピアノ曲からピックアップされている。ピアノ・ソナタ第3番はデビュー・レコーディングで録音しているが(1967年 CBS)、間奏曲は多分初録音だろう。ピアノ・ソナタ第3番はもっと激しい表現をする演奏家がいる中で、このような穏やかな表現はあまりない。ともすると女性的な表現と非難される恐れはあるが、彼の場合にはそれに代わる滋味あふれる表現がある。ただ、いまのフレイレの芸風に最もぴったりくるのは間奏曲だろう。ブラームスの間奏曲は晩年の諦念を表した枯れた味わいに特徴がある。フレイレの演奏では、そういう寂しさはあまり感じられないが、音楽をそっと優しく包むような暖かさに満ちていて、聴いていると夢心地になってくる。テンポも妥当で、作為的なところは毛ほども感じられない。気に入ったのは、作品76の3第,作品119の第1、作品117の第2など。ブラームスの子守唄で知られる作品35の15のワルツも格調高い。参考までに名盤の誉れ高いグールドの演奏を聞こうと思ったが、例によって見当たらない。仕方がないので、アファナシェフのデンオン盤を聴いてみた。いつもの特異な解釈ではなく、穏やかな表情が意外だった。まあ、このような曲は小手先の技術ではどうにもならない。ピアニストの内面性が現れるものだろう。テンポはフレイレと大きく変わらず、違いはピアノの音。アファナシェフは少し芯のある音。これに対してフレイレはなんとも言えないとろけるような音だ。ペダルの使い方が絶妙なのだろうか。この間聴いたバッハのアルバムも大変優れていた。いまフレイレはまさに円熟の極みにあるのだろう。是非、お聴き頂きたい。Nelson Freire:Brahms Recital(DECCA 483 2154)Brahms:1.Piano Sonata No. 3 in F minor, Op. 55.Intermezzo in A flat, Op. 76 No. 36.Intermezzo in B flat major, Op. 76 No. 47.Capriccio in D minor, Op. 116 No. 18.Intermezzo in E major, Op. 116 No. 49.Intermezzo in B flat minor, Op. 117 No. 210.Intermezzo in A major, Op. 118 No. 211.Ballade in G minor, Op. 118, No. 312.Klavierstücke (4), Op. 11913.Waltz, Op. 39 No. 15 in A flat majorNelson Freire(p)Recorded 20-25 February 2017,Friedrich-Halle,Hamburg-Hamburg,Germany
2017年10月02日
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