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それは10世紀のブルガリアでのこと。世を捨て山に入り、ひたすら修行に明け暮れ、
神の声を聴くに至ったひとりの僧がいた。僧の名はイヴァン・リルスキー。やがて彼を慕う
僧や信者たちが集まり僧院が建てられ、壮大な修道院に発展した。
それが、ブルガリアが誇る世界遺産、リラ修道院の創設にまつわる物語。
首都ソフィアから南へ約120km。リラ山脈の山懐に抱かれたリラ修道院は、統治者の庇護を
受け14世紀にはブルガリアの宗教・文化の中心になっていた。
しかし1396年からブルガリアは、約500年にわたりオスマン・トルコの支配下に。
キリスト教信仰と自国の言語の使用も制限された。それでも屈することなく、リラ修道院は
信仰とブルガリアの文化を守り抜き、オスマン・トルコも黙認せざるを得まかった。
リラ修道院がブルガリア正教の支柱的存在、ブルガリア人の心の拠り所といわれる所以。
残念なことに1833年の大火で建物の大半を失ったが、建築家、芸術家たちが結集し、
19世紀後半には見事に再建。城壁のような外陣(修道士の居室)に囲まれて建つ聖母教会は、
タマネギ型のドームと白黒で装飾されたアームの列柱廊を持ち、壁、柱、梁、天井を埋め尽くす
極彩色のフレスコ画は、ブルガリア宗教画の至宝といえるのだと。
入口の門の中央に描かれているイヴァン・リルスキーのフレスコ画をズームで。
入口は意外と小さな作りとなっていたがが、そこは既に美しいブルガリア正教会の世界観が
描かれていたのであった。