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2000.06.07
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中国の知嚢(下巻)(著者:村山吉広|出版社:中央公論新社)

 「孫子」「韓非子」「孟子」を取り上げ、あとは雑話。
 あとがきによると、もとは読売新聞社から書き下ろしで出版したものだった。
 文章は平易でわかりやすいのだが、二冊目となると気になる点がいろいろ出てくる。
 たとえば、
「日本の農民が「大金持ち」であることは、農村へ行って彼らの住んでいる家屋敷を見れば、すぐにわかることだ。終戦前後は闇米で都会人をさんざん泣かせた上、戦後は政府の手厚い補助金制作で幾重にも恩典を受けて生きて来ている。」(p117)
 などと書いている。そんなに農家がいいものなら、誰もが農家になることを目指しそうなものだが、現実には、後継者不足に悩んでいるようにしか見えないのはなぜだ。
 そうかと思うと、
「しかし「教育評論家」はこういう場合でも、「学校側の日頃の対応に果たして問題はなかったか?」などと、意味のわからぬことを言い、生徒の肩をもとうとしている」(p77)

「他人を責めるのではなく、自分の徳が足らなかったか、自分の借り方が上手でなかったか、自分の態度に落ち度はなかったかと自己反省する。」(p123)
と、教育評論家と同じようなことを言っている。
 著者は革新政党が嫌いなようで、「偏向した思想や現実に対する甘えは禁物である。また同時に県尉に弱いという事大主義も禁物である。ヘーゲルが言った、マルクスが言ったと言って恐れ入っていてはいけない。彼らはもはや過去の人である。」(p43)とまで言っているが、そんなことを言ったら孔子や孟子はどうなるのだ。マルクスどころではないはるかはるか過去の人だ。古典を学ぶ意義など無くなってしまうではないか。
 全編を通じて、古人の言葉が現代でも通用すると言っているのに。
 ただ、著者のあげる現代社会における事例というのが具体的でなく、現実感がないので説得力に欠けるところもある。
 やはり、二千年も時を隔てているものを、現代にあてはめるのは、難しいのだろう。
 むしろ、孔子や孟子の論理は、これこのように現代人とは異なっているのだぞ、ということを説く本を読んでみたいものだ。
 著者は一九二九年生まれ。この本が最初に出版されたのは一九七五年で、五十六歳なのだが、「耳ざわりのよい猫ナデ声の政治ではなくて」(p84)と書いている。「耳ざわり」は「耳障り」で聞いた感触がよくないことなのだが、こういう人でも勘違いしているんだなあ。
 また、巌流島の佐々木小次郎が若者だと思っているあたり(p37)、吉川英治の『宮本武蔵』がそのまま事実だと思っているらしい。





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Last updated  2006.12.29 16:49:15
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