2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
全3件 (3件中 1-3件目)
1

今日のまとめ 1. ムーディーズが東欧への貸付ポートフォリオの悪化に警鐘を発した 2. 東欧諸国は外貨建て融資を受けているので通貨安になると返済に困る 3. 欧州の金融機関に新興国全体の貸付リスクが集中し過ぎている ■ムーディーズが東欧に警鐘 2月17日にムーディーズが東欧各国の経済の悪化がそれらの国に貸し込んでいるヨーロッパの銀行の経営を不健全にすると警鐘を発しました。これを受けてヨーロッパの銀行株に不安が走りユーロも軟調な展開となっています。そこで今回はそもそもなぜ東欧が問題になっているのかについて解説します。 ■東欧ブーム いまから5年ほど前、新興国が注目されはじめた頃、欧州の投資家や銀行はBRICs(=ブラジル、ロシア、インド、中国)に続く投資先を物色していました。英国などでは不動産価格が高騰していましたから国内ではセカンド・ハウスなどのバケーションならびに投資用物件を買うことがだんだんむずかしくなっていました。ヨーロッパの投資家はスペインをはじめとする地中海沿岸地方の物件を昔から好みましたが、既にそれらの場所では不動産価格が上昇してしまったため、新しい地域が模索されるようになったのです。折からライアン・エアーのようなディスカウント航空会社のサービスが充実しはじめ、国内旅行の延長のような感覚で東欧に週末に遊びに行くことができるようになりました。このため東欧に不動産の投機ブームが来たのです。 ■外貨建て融資という誘惑 ヨーロッパの銀行はこのブームに乗じて東欧に積極的に店舗進出し、住宅ローンを提供し始めました。それらのローンの多くは現地通貨建てではなく外貨建てでした。例えばポーランドの住宅ローンの6割はスイス・フラン建てです。東欧の通貨が強含んでいるうちは返済金額が少なくなるのでそれらの外貨建てローンは借り手にとって好都合なのですが、ひとたび自国通貨が急落しはじめると逆に返済金額が雪だるま式に膨れ上がり、返せる筈のローンも返せなくなってしまいます。このため融資の焦げ付きが急増しつつあります。 ■ヨーロッパの銀行も窮地に 東欧の借り手が借金を返せなくなることは融資をした側であるヨーロッパの金融機関にとっても死活問題になっています。下のグラフは西側銀行の東欧への貸付残高を示したものです。 とりわけ東欧に貸付が多いのはオーストリア、イタリア、ドイツ、フランス、ベルギー、スウェーデンなどの銀行です。 ■国際通貨基金(IMF)の手にも負えない? 既にラトビア、ハンガリー、セルビア、ウクライナの各国は国際通貨基金(IMF)から緊急融資を受けています。しかし国際通貨基金の限られた財源では窮状を訴える東欧諸国全てを救うことはできません。東欧諸国の西側からの借り入れ総額は1.7兆ドルと言われており、そのうちの4000億ドルが今年返済期限を迎えます。この借り換えが失敗すると90年代のアジアの通貨危機よりもっとひどいことになると警告を発する関係者も居ます。 ■東欧以外の新興国へも飛び火する? 一方、東欧諸国よりもっと広く世界の新興国全体で物事を見た場合、4.9兆ドルの貸付が外国金融機関によってなされています。その貸付の74%がヨーロッパの金融機関に集中しているのです。つまり欧州の金融機関が東欧への融資の焦げ付きで痛手を受けるとラテン・アメリカやアジアの新興国へも影響が及ぶ可能性があるわけです。
2009年02月18日

今日のまとめ 1. ロシアの通貨危機はいよいよクライマックスを迎えつつある 2. これまでの経過は「教科書通り」の展開である 3. 通貨崩落が起こってしまったら株は「買い」 ■売り圧力を受けるルーブル ロシアのルーブルが売り圧力にさらされています。下のグラフはロシアの主な貿易相手地域である欧州の通貨、ユーロに対する為替レートを示したものです。チャートが上に行けば行くほどルーブルの価値が下落することを意味します。(出典:バーチャート・ドットコム) ロシア政府は去年の年末にルーブルのレートを徐々に切り下げてゆきたいと発表しました。通貨切り下げは「デバリュエーション」とも呼ばれます。デバリュエーションには一気に切り下げてしまう方法と今回のロシアのようにじりじりと切り下げる方法があります。 ■投機筋の餌食に さて、今回のようにじりじりと切り下げるやり方の問題点は政府の意図が余りにも明白なので投機家たちはそれに乗じてルーブルを売りやすいという点にあります。ルーブルの急落を避けるためには中央銀行がある程度買い支えなければいけません。買い支えの原資は外貨準備になりますから買い支えれば支えるほど外貨準備が減るわけです。 2月5日現在のロシアの外貨準備は3881億ドルまで下がりました。ロシアの中央銀行は政策金利を引き上げるとともに通貨の供給量を押さえ込むことでルーブルの「軟着陸」を演出しようとしています。 なお政策金利を吊り上げ、しかも流動性の供給を絞り込むと当然不景気になります。ですからこういう人工的な介入はロシアの経済成長や株式市場にとってはマイナスなのです。 ■防戦ラインを引いたロシア さて、先週、ロシア政府は今の為替水準(対ユーロと対ドルをミックスしたバスケットで41の水準)でルーブル安を容認することは止め、この位置で為替相場を安定させたいと発言しました。つまりここからは徹底的に為替介入してルーブルを支えるという宣言です。しかし市場参加者の多くはそういうロシア政府の発表を冷笑し、隙を見て一気にルーブルを突き崩そうと考えています。 ■デバリュエーションを巡る経験則 さて、ここで一旦、ロシアを離れ、過去のアジアやラテン・アメリカでの通貨危機の経験から、デバリュエーション(通貨切り下げ)の前後にどういう経済現象やマーケットの動きが見られたかをおさらいしておきます:デバリュエーションが辿る「お定まり」のコース【危機前夜】1. 輸入成長のペースが早まる2. 国内信用創造の成長率が高い【切り下げ前】1. 外貨準備が減少に転じる2. ドル建て輸出額が減少に転じる3. 経常収支が悪化する4. マネー・サプライ成長が鈍化する5. 金利が上昇する6. 株価が底値圏に落ちる【切り下げ後】1. 外貨準備の減少が止まる2. 輸出が回復する3. 輸入の回復には時間がかかる4. 経常収支の回復には時間がかかる5. 金利は高止まりする6. 企業収益は回復する7. 株価は回復する8. 失業率は高止まりする9. 工業生産は低水準から抜け出せないこれを見ると今回のルーブル危機でも「教科書通り」の出来事が次々起こっていることが確認できます。 ■今後のシナリオ さて、ロシアの今後のシナリオですが、若しユーロ+ドル・バスケットで41という、ロシア政府が目指している防戦ラインが維持された場合、その水準を死守しようとする限りロシアの外貨準備は減り続けるしマネー・サプライも増えないのでアク抜けにはなりません。 次にこれは「もしも」のシナリオですが、防戦ラインが投機筋によって打ち破られ、ルーブルが暴落したら(=その瞬間、海外の投資家は為替で大損します)、その後ロシア政府はルーブルを支えることを諦めるでしょう。すると外貨準備を費やし、買い支えすることが無くなるのでもうこれ以上、外貨準備は減りません。またルーブルがすごく安くなるとロシア製品がとても割安になるので輸出は好調になります。また外国製品は「高嶺の花」になり輸入は減少します。企業収益はようやく回復に向かうでしょう。すると株価は出直る事が予想されるのです。 つまり全てが壊れてしまったら、その後で株は一旦、「買い」になるのです。これは過去の通貨危機で何度も繰り返されてきた光景です。但し出動するのは通貨暴落の前ではなく、直後でないといけません。
2009年02月09日

今日のまとめ 1. 産金会社には業績面でフォローの風が吹いている 2. これまでは急成長を実現できた企業が高い株価評価を得た 3. 今後はオペレーティング・レバレッジや含みの有無が重視される ■金価格の上昇だけではないフォローの風 ゴールドを掘り出す産金会社の業績をイメージする場合、我々はどうしても金価格だけに注目してしまいます。しかしゴールドを掘り出す作業は資本集約的、即ちコストの嵩む作業です。露天掘りの金山の場合、大量の土砂を削ってその中に含有される僅かな金を回収するわけですからディーゼル、天然ゴム、鉄鋼、アンモニアなど金山の操業にまつわる諸々の原料・素材の価格が上昇するとすぐにマージンは悪化します。去年3月、ゴールドの価格が$1033をつけたとき、産金会社各社の業績が意外に伸びず、がっかりさせられたのはそのような事情によります。またオバマ氏は「経済復興プログラム」の予算を実際に使ってゆく際も「長期に渡り給与水準の高い雇用機会を創出するやり方」で実際のプログラムを進めると公言しており、単にアジアで組まれたソーラー・パネルをそのまま買ってきて据え付けるということはやらないという意味の発言をしています。 ■世界不況でラッキーとなる産金会社 さて、去年の夏以降、折からの不況の影響で上に掲げたコモディティーの価格はいずれも急落しました。その一方でゴールドの価格は現在$927であり、比較的高値に近い水準にあります。これは今年こそ産金会社のマージンが拡大することを意味します。また南アフリカの金鉱株の場合、去年後半からの南ア・ランド安がプラスに働いています。その理由は金山の操業コストの大半は南ア・ランド建てで発生するからです。また折からの好景気で慢性的な電力不足に悩まされてきた南アフリカの電力事情は経済活動の鈍化とともに改善基調にあります。 ■世界の金鉱株を大きく3つのグループに分ける私は世界の金鉱株を考える際、大きく3つのグループに分けて考えています。即ち:1. 急成長している企業2. 大手で高水準の生産量・埋蔵量を誇っている企業3. 事業規模が小さい、事業計画が不安定、ないしはくたびれた金山を抱えている企業です。 1. のグループに入る企業はキンロス・ゴールド(KGC)とゴールド・コープ(GG)です。これらの企業の特徴は毎年安定的に生産量を伸ばしており、生産コストも比較的低い点です。ゴールドの価格が若し一定だとすれば、このグループだけが成長を実現できることになります。財務内容もしっかりしています。 2. のグループに入る企業はバリック・ゴールド(ABX)、ニューモント・マイニング(NEM)、アングロ・ゴールド(AU)、ゴールド・フィールズ(GFI)などです。これらの企業は世界的に有名な金山を擁しており、埋蔵量も豊富です。ただ成長という観点では余り多くを期待できません。バリックとニューモントは露天掘り中心ですから最近のコモディティー価格の低迷はプラスに働きます。アングロ・ゴールドとゴールド・フィールズは南アの企業で地下深い縦坑の金山です。南ア・ランド安、電力事情の改善の恩恵を受けています。 3. のグループに入る企業はいずれも事業規模が中途半端です。DRDゴールド(DROOY)は既に掘り尽されたくたびれた金山に依存しており、コストも高いため健全経営ではありません。ハーモニー(HMY)は老舗の一角ですが近年は操業上の問題を多く抱え、再建に苦労しています。アイバンホー(IVN)はモンゴルのオユ・トルゴイという潜在力を秘めた金・銅山の権益を所有しているのですがモンゴルの鉱山法の行方がいまだに流動的であることと、ジョイント・ベンチャーのパートナーであるリオチント(RTP)の資金繰り悪化で事業化のメドは立っていません。 ■現在の世界の金鉱株の株価評価 さて、現在の世界の金鉱株に与えられた株価評価を見ると1オンスの埋蔵量に対してどれだけの株価をしているかという尺度(=時価総額÷埋蔵量)で見るとゴールド・コープ、バリック・ゴールド、キンロス・ゴールドなどが上位に来ています。 これは安定的生産や成長という要素に対して投資家がプレミアムを払っても良いと考えていることを示唆しています。しかし今後、上に述べたように産金会社各社の操業環境が改善し、採掘コストが下落するのであれば、オペレーティング・レバレッジ(利幅の改善余地が大きいこと)のある企業で、なおかつ含みの大きい企業にも物色の矛先が向かう可能性があります。
2009年02月02日
全3件 (3件中 1-3件目)
1


