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今日のまとめ 1.大統領選挙の年はブラジル株は冴えない 2.誰が大統領になっても経済運営の大方針は変わらない 3.ブラジル経済は好調だが輸出の変調には気をつけたい大統領選挙の年は鬼門ブラジルでは来年、大統領選挙があります。ブラジルには「大統領選挙の年は株式市場が冴えない」というジンクスがあります。過去5回の大統領選挙があった年のブラジルの株式市場のパフォーマンスを見ると一回の例外もなく春先に天井をつけています。下のチャートは前回、つまり2006年の大統領選挙の前後のボべスパ指数です。やはり5月2日の週に高値を付けた後、大統領選挙の直前までに8.4%程度調整しています。2006年の場合は比較的パフォーマンスが良かった例であり、過去の大統領選挙の年には高値から40%以上急落した年もあります。なぜブラジルの投資家は大統領選挙を嫌うのでしょうか? そのひとつの理由はブラジル特有の政府風土にあります。ブラジルではコロネリズモ(coronelismo)と呼ばれる、大地主などの地元有力者が政治の実権を握ることが歴史的に慣習化していました。そこでは農民や労働者から投票してもらうのと引き換えに公共工事を地元に引っ張ってきたり、地方の役職に支持者を優先的に任命するなどということが行なわれてきました。こうした汚職体質はこんにちのブラジルの政界にも根強く残っており、大統領選挙がはじまると候補者がお互いの汚職を追及する泥仕合が始まるのです。つまり俗に「ヘッドライン・リスク」と呼ばれる、スキャンダル報道が相次ぐことをある程度覚悟しなければいけないのです。経済運営の大方針には変更なしさて、現職のルラ大統領は労働者党の所属です。ルラ大統領自身は既に二期大統領を務めているので今回は出馬出来ません。そこで現在ルラ大統領の補佐を務めているジルマ・ルーセフ文官長が推されると見られています。一方、野党のブラジル社会民主党((PSDB)はサンパウロ州知事のホセ・セラ氏を候補に立てることがほぼ確実です。どちらの候補が大統領になった場合でも現在、概ね上手く行っているブラジルの経済政策の基本線には変更は加えられないと思われます。なお、ジルマ・ルーセフもホセ・セラもこれまでに大統領選挙を戦ったことはありません。何事においてもイメージが大事なブラジルの選挙に備えて、ジルマ・ルーセフ文官長は髪形を変えたり、服装をお洒落にしたりしてイメージ・アップに努めているそうです。ブラジル株式のリスクについてさて、経済に目を転じると、マクロ経済の数値を見るにつけ、現在、ブラジル株式市場にとって悪い材料は極めて少ないと感じます。現在の外貨準備は 2,330億ドルあり、どのような外的なショックにも耐えられるクッションを提供しています。また実質金利は5.3%程度であり、これは過去最低に近い水準です。そのことは国内の消費が好調になることを意味します。公的債務がGDPに占める割合は44%であり、ここ数年でずいぶん低下しました。銀行の自己資本は極めて充実しているし、ブラジルの金融監督当局は厳格なルールで銀行の活動を規制しています。また証券化やデリバティブなどの業務の監視という面でもブラジルは先進国の中央銀行より時代を先取りした規制・監視体制を敷いています。資本金のバッファーの補強、コーポレート・ガバナンスの強化、リスク・マネージメント強化、銀行会計の透明性の強化、クロスボーダー取引の監視など、どれを取っても世界の最先端だと言えるでしょう。するとブラジル株式にとってのリスクは現在絶好調の輸出、それも鉄鉱石やパルプなどの素材の輸出が変調をきたすシナリオが最も懸念されるべきリスクということになります。いまのところそれがスローダウンする兆候は見えていません。しかしこれまで絶好調が続いてきただけに警戒を怠らないことが重要だと思います。
2009年12月21日

今日のまとめ 1.貿易に関しては希望が持てる数字だった 2.むやみな景気刺激一辺倒からより制御の効いた経済政策へ転換 3.内需は期待外れ戻った輸入中国の11月の輸入は去年の同期に比べて+26.7%の上昇を見ました。これは市場関係者の予想より良い数字ですし、10月の落ち込みを挽回する動きでした。中国の場合、加工輸出型経済なので、まず原材料を輸入し、それを加工してから輸出するという順番になります。このため輸入増加は将来の輸出増加の先行指標と言えます。その輸出ですが去年の同期に比べて-1.2%の位置にとどまっています。輸入が既に去年に比べて大きく増えているのに輸出が未だモタモタしている理由は上に書いた遅行性に加え、そもそも去年の金融危機の際に中国の輸入がひと足先に急落したという事情によります。急上昇した鉱工業生産次に11月の鉱工業生産ですが、+19.2%と過去2年以内で最も大きな伸びを示しました。これはコンセンサス予想の+18.2%を遥かに超える数字でした。この数字は前年同期との比較になりますので、経済活動が鈍り始めたリーマン倒産以降の前年比較は容易になります。銀行融資は低い水準で安定一方、11月の銀行融資は2,948億人民元でした。アナリストの予想は2,500億人民元でした。銀行融資は経済の過熱を抑制する観点からかなり厳格にコントロールされはじめています。物価のトレンド11月の消費者物価指数は+0.6%で、1月以来、はじめてプラス圏に入りました。その中でも注目度の高い食品価格は悪天候などの要因から+3.2%となっています。小売売上のトレンド11月の小売売上高は+15.8%にとどまりました。これはコンセンサス予想の+16.5%より低い数字でした。内需振興を掲げている割には期待外れな数字と言えるでしょう。
2009年12月14日

今日のまとめ 1.ブラジルの貧富の差は今後縮小する 2.中流に属する人口が増える 3.このトレンドは幅広いセクターに恩恵をもたらす貧富の差の激しい国ブラジルは世界でも最も貧富の差の激しい国のひとつとして知られています。所得分配の不公平さを示すひとつの指標としてジニ係数というのがあります。これは数字が大きくなればなるほど不平等な社会であることを示しています。ブラジルの場合、2000年のジニ係数は0.567であり、米国の0.45(2007年の統計、CIA)日本の0.38(2002年の統計、CIA)などと比べても比較にならない大きな格差です。しかし下のグラフのように格差は縮小する傾向を見せています。その理由は、所謂、中流に属する国民の数がだんだん増えていることによります。下のグラフはブラジル中央銀行が国民の所得階層を分類する際に使う区分け(A1が超裕福層、Eが極貧層です)に基づき、それぞれの階層が総人口に占める割合を示したものです。B2は「中の上」、Cは「中の中」ですが2000年と2020年の予想値を比較するとどちらも大幅に伸びると予想されていることがわかります。逆に貧困層の比率は低下が予想されています。同じ区分けを使用して、今度は2008年から2020年にかけての所得階層別の所属人口の増減数を予測したのが次のグラフです。B2、つまり「中の上」のカテゴリーは1,200万人増加するとみられています。このようにブラジルでは今後、中流層が増えることで貧富の差の是正が起こるのです。中流が増える理由ブラジルで中流が増えている理由は失業率が低下していることと実質賃金が上昇していることが原因です。それに加えて、派遣や季節労働者が減り、正規採用が増えているという、日本と逆の現象が見られることも見逃せません。株式市場への影響ミドルクラスの出現は日用品、食品、外食産業、娯楽、旅行、耐久消費財など幅広い業種に好影響をもたらすと考えられます。内需や消費のストーリーにはフォローの風が吹くわけです。またクレジットカードや住宅ローンなどの金融サービスはミドルクラスの暮らしには欠かせませんが、ブラジルにおけるそれらの普及率は未だ極めて低く、今後成長が期待されます。
2009年12月03日
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