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2月末から始まった世界的株安の背景には「2つの流動性低下」が挙げられます。一つは日銀の利上げをきっかけとしたもの、そしてもう一つはアメリカのサブプライムと呼ばれる、信用力の低い人向け住宅ローン証券の急落をきっかけとしたものです。しかし後者に関してはかなり誤解があるか、よく分からないという理由で不安が増幅されている部分が大きいように感じます。実際日本の新聞等でも誤った記事が散見されます。ですので今一度アメリカの住宅ローン市場についてご理解いただき、少なくとも「よく分からないという理由で不安が増幅」する事のないようにしていただきたいと思います。アメリカの住宅ローン市場では下図のような仕組で資金が流れています。 (1)金融機関が住宅ローン専門会社に貸出し (2)住宅ローン専門会社が住宅ローン借入人を審査の上、貸出し (3)住宅ローン専門会社は住宅ローンをまとめて証券化 (4)住宅ローン専門会社は証券化した住宅ローンを投資家に売却 (5)住宅ローン専門会社が売却資金を得る (6)売却した資金を金融機関に返済このように、金融機関が直接住宅ローン借入人に貸すというよりも、間に住宅ローン専門会社が入ってそれを証券化して投資家に売却するという手法が主流になっています。これによって各主体の役割・責任を明確にする事ができるというメリットがあります。即ち、金融機関は住宅ローンを担保にした大口の貸出し、住宅ローン専門会社は各住宅ローン借入人の審査、投資家は住宅ローン証券のリスクを負う、といった構図です。実は今回のサブプライム住宅ローン問題を理解するにあたっては、住宅ローン市場がこのような仕組になっている事を予め理解しておく事が非常に重要なのです。何故ならこの仕組によって、ある主体にシワ寄せが行っても、その悪影響が住宅ローン市場全体に広がるのが防がれているからです。次号以降、アメリカの住宅ローン市場で何か起こっているのか、そしてそれによってどの主体に影響が出ているのをご説明したいと思います。しかし結論から申し上げるとすると、現在騒がれているサブプライム住宅ローン問題がアメリカ経済に悪影響を及ぼすほど重大な問題になるとは思えません。大きな理由は、現在起こっている問題が上記アメリカの住宅ローン市場の仕組によって十分吸収可能な範囲であるからです。
2007.03.23

「良いビジネスを安く買」う場合、私が必ず重点を置くのが、「いつ」良いビジネスが高く評価されるようになるか、そのきっかけ(カタリスト)です。「良いビジネスを安く買」っていても、いつまでも安いままでは投資とは言えません。ビジネスというのは中長期的視点で経営されるものです。ですのでその「いつ」は数年先、というのが普通です。しかし稀に、比較的短期間のうちにカタリストが予想できる投資対象があります。それが今回のマイクロソフトでした。 去年4月のマイクロソフト株急落後、真っ先に分析したのが新OS・ビスタについてでした。ビスタ発売がカタリストになると考える事ができた理由は大きく以下の2つでした。 1.新OS発売までの期間が今回一番長い ウインドウズ・ビスタについてはそもそも冷めた見方が多かったように思います。調査会社のアンケートでも、2007年発売後すぐにビスタに入れ替える、と答えた会社は10%強に過ぎませんでした。しかしこれまでマイクロソフト社がこれまで新OSをリリースしてきた中で、発売までの期間が一番長いのがビスタなのです。マイクロソフト社がウインドウズ95を発売したのが95年8月、次にウインドウズ98が98年6月、ウインドウズ2000が00年2月、ウインドウズXPが01年1月と、間が3年以上空く事はありませんでした。それが今回は5年以上です。新OSだけを買ってアップグレードする人はそれほどいないにしても、新OSが出るまでPCの買い替えを控えていた人は結構いるのではないでしょうか。実際、ウインドウズ・ビスタの機能を生かすにはそれなりのPCが必要になっています。 2.消費者のニーズにより合わせた価格設定をしている ウインドウズ・ビスタではバージョンによってより肌理細かい価格設定がなされています。ウインドウズXPはホームとプロフェッショナルの2バージョンでした。しかしビスタでは一般に売り出されるホーム・ベーシック、ホーム・プレミアム、ビジネス、オルティメートのほか、エマージング市場向けに売り出されるスターター版、そしてエンタープライズ版の6バージョンとなっています。この結果、消費者のニーズにより合わせた価格設定となり、その分売り上げを伸ばす事が出来るという訳です。イメージは下記の通りです。 縦軸は価格、横軸は数量、赤線は需要曲線、黄色い部分はマイクロソフトの収入です。左のグラフの黄色い部分より、右のグラフの黄色い部分の方が大きい事がお分かりいただけると思います。 以上から、マイクロソフト株上昇のカタリストはウィンドウズ・ビスタ発売のタイミング(2007年1月)であると判断する事ができました。 補足になりますが、これまでのパターンから新OS発売後、マイクロソフトの株価はしばらく低迷する傾向がある事も掴んでいました。ビスタ発売にかけて盛り上がっても、すぐに多くの人が新OSに乗り換える訳ではなく、発売後、一旦投資家の熱が冷めてしまうのは想像に難くありませんでした。結果的にこの想定通り、マイクロソフト株は我々がオプションの利食いを全て実行した1月19日前後がほぼ高値でした。
2007.03.13
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