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先週、FOMC(米連邦公開市場委員会)は大方の予想を上回る0.5%の利下げを発表しました。米国が金融緩和局面に入る事は予想された事でしたが、あれだけ頑固だったFOMCの人達が0.25%ではなく、0.5%の利下げ幅としたのは意外感を持って受け止められました。この発表から一週間、ダウは400 ドル以上の上昇となり、7月半ばに付けた史上最高値まであと1%に迫っています。 さて、ここで改めてアメリカの金融政策を振り返ってみたいと思います。2000年ITバブル崩壊、2001年同時多発テロ、2002年不正会計問題、2003年イラク攻撃など、21世紀に入ってからのアメリカ経済を取り巻く環境は惨憺たるものでした。これら数々のショックを乗り越えるために取られた金融政策が2000年5月の6.5%から2003年の1.0%への利下げでした。しかし上記のような特殊な環境がいつまでも続く筈はありません。2004年以降、経済が正常化するに伴って「超低金利」も解除されていく事になったのです。 重要な事は、この「超低金利」が解除され始めた、即ち利上げが始まった2004年6月の長期金利と、そして現在の長期金利は全く同じ水準(4.6%)だという事です。即ちこの間、そもそも長期性の資産の価値は金利によって大きく動かされるべきではなかったという事です。例えば株式でしたら利益成長に伴って、不動産でしたら経済成長率に伴った上昇率を示すというのが、あるべき姿であった訳です。 2004年のS&P500指数の利益は、指数に引き直して67ドルでした。今は95ドルです。2004年のS&P500指数は1200でしたが、利益がこの間42%増加していますので、現在1525のS&P500指数は今年末には1700でもおかしくありません(もっとも株価形成には期待と不安が入っていますが、長期的には期待と不安が相殺される事を前提としています)。即ちここにバブルは全く観測されない、むしろ株式に関しては逆バブルが発生しているという事です。 一方で不動産はどうだったでしょうか。不動産はそもそも、人々が何年も住んだり使ったりする長期性の資産です。しかしここ数年は一部で、経済成長率に伴った、とは到底言えない上昇率が観測されました。恐らく長期性の資産価値を短期金利で引き直してしまった=資産と負債で期間のミスマッチが起こってしまった事が要因でしょう。その結果今、不動産を短期金利連動のローンで購入していた所に問題が生じているという事です。その証拠に、今騒がれているサブプライムローンの中でも、実は長期固定金利のローンに問題は生じておらず、問題は専ら短期金利連動の変動金利ローンに集中しています。 80年代も90年代も、短期金利がこのように急速に上昇する場面では、何らかの形で金融市場にストレスがかかるイベントがありました。今回のサブプライム住宅ローン問題もその一つです。これは必要かつ適切な調整過程の一つです。 しかしこれによって株式相場の方向を惑わされてはいけないと思います。上述の通り、現在米国株式市場はむしろ逆バブル状態で、中長期的に見てかなり強い上昇相場の中にあると見ています。後で振り返ってみれば、その中の短期的な調整の格好の材料にされたのが今回のサブプライム住宅ローン問題だった、となるのではないでしょうか。
2007.09.24
「サブプライム」という言葉は日本でも相当使われるようになってきました。もはや金融に関わる人にとっては「今さら聞けない用語」や「流行語大賞」の上位にランクされるくらいではないでしょうか。 改めてご説明すると、サブプライムというのはサブ(~の下)プライム(最上級)で最上級の下という意味です。何が最上級かというと信用力です。アメリカでは一人一人に信用情報というものがあります。信用情報の中に信用力を示すFICO点数というのがあり、一般にその点数が620を下回るのがサブプライムです。ただ現実的には最低700はないとプライムとは言えず、620以下というのはかなり悪い点数です。即ち用語とは裏腹に、現実的にはかなり信用力の低い人を指しています。ちなみに日本で「所得の低い人」と訳すケースがあるようですが、これは間違いです。所得の低い人でもFICO点数の高い人はいますし、逆に所得の高い人でもFICO点数の低い人はいるからです。 今起こっているのは、このような人たちが住宅ローンを借りて返さない、そしてそのような住宅ローンを証券化した証券に投資していた投資家が、証券の価値が下がって困っている、という事です。そしてこの問題は出口の見えない、解決策のないお手上げの問題のように捉えられています。しかし私はそうは思いません。 上記サブプライムの用語説明で明らかなように、投資家は、このような住宅ローン証券である事を予め分かっていながら投資していたのです。何故投資していたかというと利回りが高かったからです。逆にいうとリスクが高いから利回りが高かったのです。リスクの高い証券が大きく下落するのは特に不思議な事ではありません。唯一問題はその証券が下落した事による損失額が分からない事です。 しかし例えば、9月末から始まる決算の中で金融機関の保有する住宅ローン証券の価値が時価に引き直され、一時的損失は出るにせよ、新たなスタートを切ったとします。そうすると、第一に、市場が現在一番恐れている、「一体どのくらいの損失が出るのか分からない」という懸念が払拭されます。第二に、一旦時価に引き直された証券の価値は今後上昇する事だって有り得ます。そもそもこれだけ悪材料が重なって引き直される時価です。今後期待されるブッシュ大統領の住宅ローン対策、連銀による利下げ等によって上昇の可能性は十分にあります。もちろん今後も下落する可能性はありますが、それはどのような証券でも同じです。 私はこのように、サブプライム住宅ローン証券の価値が市場に認められる形で、時価に引き直されれば、かなりの問題が解決すると考えています。しかもこれらが時価に引き直される事に伴う損失は一時的性格の強いものである事を忘れてはなりません。 講演等でよくご紹介するFEDモデルが面白い水準にいるのでご紹介しておきたいと思います。本日時点で10年国債の利回りが4.3%、そしてS&P500指数の益利回りは6.85%です。ここ約5年間で、両者の差が2.5%以上離れる(株式が割安を示す)のは初めての事です。上記の通り、益利回りの「益」に与える影響が一時的であるとすれば、現在、中長期的に見て米国株式の割安度は際立っていると言えます。
2007.09.11
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