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私のブログに訪問してくれてありがとうございます。 大人はどうして二つの顔を使い分けているのだろう。表と裏の顔を。それも上手に。そんな疑問からこの小説を書いています。 大人への階段を戸惑いながら歩いている青年ヒロシの苦悩を通じて。 青春の戸惑い (三十一ページ) 「何処のスナック?」「池袋、女の娘が二人しかいない小さなお店」 沙央里は、スナックのライターをバックから取り出すと、ヒロシの前に差し出した。 ヒロシは、差し出されたライターを手に取りもせず、目だけを落とすと、興味がないのかさらりと目を逸らし、ひたすら子羊の肉を口に運んでいる。 沙央里はそんなヒロシの仕草をじっと目で追っていた。 ヒロシは子羊の肉とライスを全て食べ終えると、フーと一つ大きく深呼吸をしてから、丁寧にナプキンで口のまわりを拭いた。 沙央里の皿には料理がまだ半分以上残っている。だが、ナイフとフォークは皿の隅にきちんと並べられ、沙央里に食事を続ける様子は見られなかった。 ヒロシは支配人に微笑みだけの礼を残し、チロルを後にした。 歩道を歩く二人の足元から、アメリカフウの落ち葉が一枚、一陣の風に吹かれてフワリと車道に飛んで行った。「ホテルに連れて行って!」 突然、沙央里が妙に陽気な声を出していった。「約束でしょ、私の誕生日に食事をしたら、その後はホテルに行くって」 沙央里は、ヒロシの手を掴むと、ずんずん道玄坂を登り、ホテル街への横道に入っていった。 沙央里は、他のホテルには目もくれず足早に歩いていく。ヒロシが引きずられた格好で付いて行くと、沙央里の足が一軒のホテルの目で止まった。 ガラスの城だ。其処は、ヒロシが沙央里と出会って始めてセックスした時に泊まったホテルだった。沙央里はこのホテルを目指していたのだ。 エレベーターを降りると、二人が入る部屋を知らせるルームナンバーが、廊下の向こうで仄赤い明かりを点滅させている。 部屋に入るなり沙央里は、ヒロシに抱きつき荒々しくキスを迫った。ヒロシは沙央里がするがままに任せていた。ただ、沙央里の目尻が、蛍光灯の明かりに白く光っていたのは気付いていた。 それでも沙央里は悲しそうな顔など見せず、「寝よ、寝よ」 と、忙しく服を脱ぎ捨てると、布団の中に潜り込んだ。 沙央里は布団を胸元まで引き寄せ、黙って天井を見つめている。そんな沙央里の顔をヒロシは立ったままじっと見つめていた。が、ゆっくりと服を脱ぐと沙央里の横に体を並べた。 触れ合う沙央里の肌は、ヒヤリとした冷たさがあった。沙央里は向きを変えると、ヒロシの顔を両手で包み込み、荒々しく唇を吸った。 重ねた肌の温もりが一つに解け合い、煽情を誘っていく。沙央里のヘアーが太股に触れるたびに、ヒロシのペニスは呼応して膨らんでいった。 もう其処には、理性など存在しない、情欲の感情だけが昴まりを見せていた。性の快楽を求める本能が、時として、愛情の欠片もないセックスを、いとも簡単に行わせてしまうのだ。 沙央里の上になったヒロシは、欲望が吐き出されるまで、快楽の悪魔にあやつられたかのように、腰を動かし続けなければならなかった。 続く
2007.02.15
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