今日も他人事

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2024年04月16日
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カテゴリ: アニメ
『メタリックルージュ』について考えると、どうにも『まどマギ』を思い出す。



どちらも1クールオリジナルアニメであり、有名なスタッフが集まっている点では一致していた。

ただ、事前に「面白そう」と感じていたのは『メタリックルージュ』の方で、逆に『まどマギ』に大して関心はなかった。魔法少女物にも、蒼樹うめ先生のキャラデザにも、シャフト制作にも別段、思い入れはない。

私が『まどマギ』を見た理由は、たった一つ。『沙耶の唄』と『Fate/Zero』で名前を知っていた虚淵先生が脚本を担当されているから、という1点だけ。ちなみに、『サンボル』と『鎧武』を見た理由も全く同じ。『ゴジラ』と『バブル』は観ませんでしたけどね。だって、お金掛けてまで観に行きたいとは思えなかったから。

……が、それはともかく、『まどマギ』は面白かった。



流石に、細かいシーンや台詞の全ては覚えきれてないが、お話の流れやインパクトの大きいシーンは今でも、はっきりと覚えている。まさしく、当時の私は「脳を灼かれた」訳だ。

こうして振り返ると、『まどマギ』の構成は上手い。どう上手いかといえば、一つとして無駄な回が無いからだ。必ず、ある話が次の話につながるようになっている。単につながるだけでなく、緩急の付け方も上手いし、出すタイミングも絶妙だ。ほむらの種明かしに当たる10話の内容は、まさしく、あのタイミング以外で明かせない。かといって明かさなければ、11話の緊張感につながらないし、最終話のアルティメットまどかによる救済も、ご都合主義と化してしまう。あの回想は、まさにここしかないというタイミングで明かされている。




もう一つ、『まどマギ』が凄かったのは、ある種のブレイクスルーを実現してみせたことだと思う。

それは当時、女児向けコンテンツとして認知されていた「魔法少女」というジャンルを一つの題材としつつ、「女児向けコンテンツではない物語」として再構成したことにある。「魔法少女」ものであるが、明らかに狙っていたのは女児ではなく、私のようなオタク層向けだった。それは制作スタッフや歌手、放映時間などを観れば一目瞭然である。深夜枠のオタク向けアニメとして女児向けコンテンツを大真面目に再構成した作品。それが『まどマギ』だった。



第一、90年代には既に「カードキャプターさくら」があったし、00年代にはエロゲのファンディスクから大躍進を遂げた「リリカルなのは」も人気を博していた。それに、「セーラームーン」や「神風怪盗ジャンヌ」のような(比較的)女児向けだった作品でも陰鬱な展開や苛烈な展開は随所に観られた。俗にいう曇らせ展開もあったし、セクシャルな描写だってあった。




しかし、『まどマギ』が強烈だったのは、「魔法少女」というジャンルの被っているある種の膜、というか、殻のようなものを容赦なく剥ぎ取り、踏みにじって見せたところにあると思う。「リリカルなのは」が「魔法少女」をオタク向け全年齢エンタメ作品として作り変えたのと同じように、『まどマギ』は「魔法少女」を別の形で再構成してみせた。それも単なる試みとして、ではなく、1クールアニメとして、これ以上も無いほどの完成度の高い構成で。

結果、『まどマギ』は大勢のオタクの脳を灼いた。私だけでなく、本当に大勢の。これは当時、リアタイで見ていた人達にしか分からない感覚だと思う。

……後にも先にも、これだけ脳を灼かれた作品は、正直、そう多くない。

かつては『エヴァ』に灼かれたし、近年では『リズと青い鳥』にも灼かれた。もしかすると、『星矢』や『遊戯王』にも灼かれたかもしれない。あるいは、『Fate』にも。

オタクにとって、脳を灼かれる体験は貴重であると同時に快感でもある。それが忘れられなくて、今でも、私はアニメを追い続けている……のかもしれない。




※補足:[新編]叛逆の物語。そして、〈ワルプルギスの廻天〉

そんな訳で、TV版の『まどマギ』をリアタイで楽しんでた私だけども、その後、乱立した『まどマギ』の各種コンテンツには、正直な所、ほとんどタッチしてない。

一応、コミカライズやソシャゲ(『マギレコ』)も触れてみたけど、結局、途中で飽きてしまった。飽きっぽくてゴメンよ……(--

唯一、きちんと見届けて評価できる作品といえば……やはり、劇場版か。




本作に関しては放映当時、原作が綺麗に完結してただけに、評判としては賛否両論だった印象が拭えない。

ただ、私個人は賛成派だった。一ファンとして『まどマギ』の続編を観たかったし、途中退場してしまっていたマミさん達の活躍をもっと観たかったという気持ちも強かった。

「一人生贄になったまどか可哀想」「一人残された、ほむらちゃん可哀想」 という気持ちが引っかかってたみたい。

だからでしょうね。劇場版の終局、ああいう形で、ほむらちゃんがまどかを引き戻す決断を受け入れられたのは。



TV版が 「一人の少女が神様となって世界を救う物語」 だとすれば、劇場版は 「神様となって世界を救った少女を取り戻す物語」



ある意味、 「TV版の後日談」だからこそ成り立つ「蛇足、しかし、至高」 だったと思うんです。『反逆のルルーシュ』にとっての『復活のルルーシュ』に近いというか。

物語の美しさを優先するなら間違いなくTV版だけの方がいい。

しかし、物語を彩っていたキャラクターを優先するなら、やはり劇場版は必要だったと思います。杏子も言ってたじゃないですか。 「独りぼっちは、寂しいもんな」 って。

というより、あれだけ完成されたTV版の続きをやるとなると、どうしても、そういう形でしかやれなかったのではないか、というのが率直な印象です。いや、良い仕事しましたねぇ……。




……まぁ、だからこそ、まさか、もう一度、新作映画が作られるとは思いませんでした。やるんだ、と正直、びっくりしましたね。特報を聞いた時は。



おそらくですが、次の映画は『まどマギ』シリーズにおける完結編になるのでしょう。というか、それしかもうない筈。

果たして、どんな物語になるのか。どういう結末を迎えることになるのか。

当時、脳を灼かれた一ファンとして、首を長くして楽しみにしたいと思いますd(--









また、一年、生き延びなきゃならなくなったね……!





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最終更新日  2024年11月04日 23時57分06秒
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