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2021.05.27
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カテゴリ: 農学校教師時代
原文の翁は、翁にさんずいで、読み方はオウです。機種依存文字のため翁で代用しました。

1925(大正14)年5月31日に書かれた詩です。
現在では、田植えは5月上旬で、5月末には本田に稲の青い槍の葉がたっていますが、育苗用ビニールハウスのなかったこのころは6月10日ごろが田植え時期でした。そこで、この詩ではまだ苗代がでてきます。

「田植花」は、タニウツギと思われます。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%84%E3%82%AE

黒い服の子どもが、リン酸を散布する姿は、賢治の詩に何回か登場するモチーフです。

(本文開始)

  三四五
         一九二五、五、三一、


くゎりんの花もぼそぼそ暗く燃えたつころ
   延びあがるものあやしく曲り惑むもの
   あるひは青い蘿をまとふもの
風が苗代の緑の氈と
はんの木の葉にささやけば
馬は水けむりをひからせ
こどもはマオリの呪神のやうに
小手をかざしてはねあがる
   ……あまずっぱい風の脚
     あまずっぱい風の呪言……
かくこうひとつ啼きやめば

   ……畦はたびらこきむぽうげ
     また田植花くすんで赭いすいばの穂……
つかれ切っては泥を一種の飴ともおもひ
水をぬるんだ汁ともおもひ
またたくさんの銅のラムプが

またひとまはりひとまはり
鉛のいろの代を掻く
   ……たてがみを
     白い夕陽にみだす馬
     その親に肖たうなじを垂れて
     しばらく畦の草食ふ馬……
檜葉かげろへば
赤楊の木鋼のかゞみを吊し
こどもはこんどは悟空を気取り
黒い衣裳の両手をひろげ
またひとしきり燐酸をまく
   ……ひらめくひらめく水けむり
     はるかに遷る風の裾……
湿って桐の花が咲き
そらの玉髄しづかに焦げて盛りあがる

(本文終了)

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#宮沢賢治 #苗代 #田植花 #桐の花





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最終更新日  2021.05.27 03:03:37
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