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銀色の手紙@ Re:『お札を置きに……』&『メジロの観察……』(01/12) 小鳥と柿のお話、興味深く拝見させていた…
2020.03.11
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カテゴリ: 私事
​​​​​​​​​​​​​
 劇作家、童話作家であり随筆家の別役実さんが3月3日に他界されました。82歳。
 ご冥福をお祈りいたします。



 本棚にささったままになっていたのを引き抜いてみました。


 第二戯曲集『スパイものがたり』劇中歌楽譜
 フォーク史に残る名作でしょう 「雨が空から降れば」は 別役実さんの劇中歌から生まれました。スパイものがたりで歌われる 他の5曲も小室等氏の作曲。歌うはもちろん六文銭。


​ 私が別役実さんを知ったのは1970年頃……「不思議の国のアリス」「街と飛行船」で紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞された頃。それも本が先ではなく歌が先。
​​
街と飛行船 (劇中歌・第6) 詞:別役実 曲:小室等
​『空には飛行船
 地上にはお祭り
​​
 じいさんもばあさんも
 しわだらけの顔に
 お白粉をベタベタ塗って
 踊ろう
​​
 こじきもドロボーも
 ボロボロの衣装に
 造花をいっぱいくっつけて
 歌おう
​​
 まま子もみなし児も
 涙で汚れた顔に
 しあわせのお面をつけて
 笑おう
​​
 空には飛行船
 地上にはお祭り
​​
 リュウマチも小児マヒも
 曲がったそえ木に
 リボンで飾りをつけて
 走ろう
​​
 踊って歌って笑って走れば
 踊って歌って笑って走れば……
 きっと空には飛行船
 地上にはお祭り』​​(第三戯曲集より)


 放送倫理だったかレコード倫理だったか、お咎めをうけた歌です。新聞各紙は「不条理劇きりひらいた」「不条理劇を確立」の見出しを打つけど、別役実さんにとってお咎めは不条理だったかもれません。

戯曲『街と飛行船』……
​『その街の波止場には、船が来なくなりました。その街の飛行場には、飛行機が来なくなりました。中央停車場から西と東には鉄道線路が延びていますけれど、誰も、そこを走る汽車を見たものはありません。』​(後に出す童話集より・黒い郵便船に収録)

 ある日、そんな街の空にうすい桃色の大きな体をキラキラさせた飛行船が現れます。科学博物館の地下にあった古い高射砲が丘の上に立てられると「戦争がはじまるの?」「お祭りの祝砲じゃないの?」と騒ぐ街中の人々の前に登場した市長が言います。
『われわれは……静かにやってきました。この街に一体何が起きたのか、そして何が起きつつあるのか知らないままに、それでも落ち着いて静かな折目正しい生活をしてきました。混乱の中から、われわれがわれわれ自身の手でその折目正しさを創りあげてきたのです。そうするより他なかったからです。われわれの新しい生活は、ほとんど成功したかのように見えました。そして飛行船がやってきました。今から三カ月前の晴れた日の午後、見つけたのはあの牧師さんでした。われわれは何時間も、或いは何日も、あの飛行船を見て暮らしました。しかし飛行船は何もしませんでした。われわれの生活は変わる事なく続けられました。まるでわれわれの街には、最初から飛行船が浮いていたかのように……。しかし、みなさん、考えてみるとやはりわれわれの生活は、その時から変わっていたのです。(ややざわめき)われわれが飛行船に対して如何に何気なく装っても、心の底ではそれに対する恐ろしい疑惑を抱き、それがわれわれの生活の折目正しさを、目に見えずむしばんでいたのです。(ざわめき)われわれが伝染病にかかっているのだという、根も葉もないうわさが流れ始めたのは、きっとそのせいです。』​​(戯曲より・以下同様)

 高射砲から発射された三回目の弾が飛行船をかすめると、機体がパックリ割れる。
​『声:白い花粉のようなものが、いきなり空いっぱいに拡がり、ゆっくりと舞い落ちてきました。みんなが何かを叫びながら(歓声は舞台上からではなく、何処か遠くから)、空の方へ大きく両手を拡げました。甘ずっぱい匂いが、つんと鼻をつきました。濃い霧のようなものが、みる間にその小さな街をつつみました。その中で街の人々は、何度も何度も深呼吸をしました。それから霧の中で手に触れたあたたかいものを、なんでもかまわず抱きしめて頬ずりしました。』​

 そしてその街からは人はおろか、微生物にいたるまで姿を消してしまう、というのが粗いあらすじです。
​​
 東日本大震災から今日で9年。常磐線・富岡-浪江駅間は14日に運転が再開されるようだが、福島からの避難者はいまだ4万人を超える。この9年間で避難先での定住が進み、避難指示が解除された町には戻らないとする人々が6割に上るそうだ。
 福島第一原子力発電所1号機の運転開始は1971年3月……まさに別役実さんが書いた飛行船はこれだったのかもしれない。


《おまけ》

 モクレン……毎日のように眺めているけど、撮影条件が悪かったので今日になってしまいました。おかげで少し枯れてきちゃいました。
​​​​​​​​​​​​
 追記……20歳の頃、別役実さんの童話『淋しいおさかな』を戯曲に仕立て、学友たちと影絵を作りました。人形を操作しながらセリフをしゃべるのは面倒だし、繰り返し上映(ってほどのことでもないけど)するにためテープに吹き込みました。もちろん、自作の詞と曲で音楽を入れ幼稚園でやらせてもらいました。宮沢賢治の『 よだかの星 』と二本立て……園児たちにはちょいと難しかったかもしれませんが、私たちは楽しかった~ 若く懐かしい年代でした。
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Last updated  2020.03.11 16:42:50
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